JP2002167667A - ブラックマトリックス用遮光膜を形成するためのスパッタリングターゲットおよびそのスパッタリングターゲットを用いて形成した遮光膜 - Google Patents
ブラックマトリックス用遮光膜を形成するためのスパッタリングターゲットおよびそのスパッタリングターゲットを用いて形成した遮光膜Info
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Abstract
る工程で積層させるブラックマトリックス用遮光膜を形
成するためのスパッタリングターゲットおよびそのスパ
ッタリングターゲットを用いて形成した遮光膜を提供す
る。 【解決手段】(a)Mo:10〜30%およびNb:4
〜20%を複合して含有し、残りがNiおよび不可避不
純物からなる組成を有するNi基合金、(b)前記Ni
基合金にさらにTi:1〜5%、Fe:1〜5%の内の
1種または2種を添加した組成を有するNi基合金、
(c)前記(a)または(b)に記載のNi基合金に、
さらにCuおよびVの内の1種または2種を合計で1〜
10%を複合添加した組成を有するNi基合金、からな
るスパッタリングターゲット、およびこれらスパッタリ
ングターゲットを用いて形成した遮光膜。
Description
ーなどのカラーパネルを作製する工程で積層させるブラ
ックマトリックス用遮光膜を形成するためのスパッタリ
ングターゲットおよびそのスパッタリングターゲットを
用いて形成した遮光膜に関するものである。
ラーパネルには、ガラス板や透明樹脂板などからなる透
明板の上に赤、青、緑の3原色カラーフィルターと、こ
の3原色の色画素間を仕切るための格子状にパターニン
グされたブラックマトリックスが形成されており、この
ブラックマトリックスはカラーフィルターの3原色の色
画素を区切り、3原色の混合を防止して画像の高コント
ラスト化および高品位画質化を図る役目を担っている。
前記ブラックマトリックスは、蒸着またはスパッタリン
グにより形成された遮光膜の上にフォトリゾグラフィに
よりレジストパターンを形成し、次いでこれをマスクと
してエッチングすることにより微小開口部分を有する格
子状パターン膜とすることにより作製する。前述のよう
に、ブラックマトリックスは遮光膜をパターンエッチン
グすることにより形成されるが、遮光膜の特性として最
も重要な特性は、パターンエッチングが可能であるとと
もに耐食性を有すること、および光源からの必要のない
光を十分に遮蔽することができる遮光性を有することで
ある。
ン膜により区切られた微小開口部分にオフセット印刷な
どにより赤、青、緑の3原色カラーフィルター層を形成
し、さらにこのカラーフィルター層およびブラックマト
リックスの上にトップコート層を形成し、さらにこのト
ップコート層の上にITO(インジウム錫酸化物)など
の透明電極膜を形成してカラーパネルが作製される。
の遮光膜の反射率が高いと外部からの反射光が表示画像
のコントラストを低下させるので、画像を一層見やすく
するために透明板と遮光膜の間にCrO,CrNなどの
化合物薄膜からなる低反射膜を形成することがある。ブ
ラックマトリックスを形成するための遮光膜としては従
来は金属CrまたはCr基合金の蒸着膜またはスパッタ
リング膜が使用されており、この金属CrまたはCr基
合金からなる遮光膜は、優れた耐食性および遮光性を有
している。
なる遮光膜は、エッチングして格子状パター膜を形成す
る際に有害な6価クロムが発生し、この6価クロムは処
理がなされずに外部に流出すると、環境問題に発展す
る。そのため、近年、ブラックマトリックスを形成する
ための遮光膜としてNiまたはCrを含まないNi基合
金からなる薄膜が使用されている。前記Crを含まない
Ni基合金からなる薄膜として、Mo:15〜75原子
%を含有し、残部がNiおよび不可避不純物からなる組
成のNi基合金遮光膜(特開平10−301499号公
報参照)、NiにMo:5〜30原子%、Ti:7〜1
5原子%を含有する組成のNi基合金からなる遮光膜
(特開平11−119676号公報参照)などが提案さ
れており、これら遮光膜はいずれもスパッタリングター
ゲットを用いて形成されることが知られている。
パッタリングターゲットを用いて形成されるNi基合金
からなる薄膜は遮光性が十分でなく、またITO洗浄液
に対する耐食性も十分なものではなかった。
一層エッチング性および耐食性に優れ、さらに一層遮光
性に優れたブラックマトリックスを形成するための遮光
膜を得るべく研究を行った結果、(a)質量%で(以下
%は質量%を示す)、Mo:10〜30%およびNb:
4〜20%を複合して含有し、残りがNiおよび不可避
不純物からなる組成を有するNi基合金からなるスパッ
タリングターゲットを作製し、このスパッタリングター
ゲットを用いて得られた遮光膜は、従来の遮光膜よりも
一層遮光性に優れる、(b)前記(a)に記載のNi基
合金にさらにTi:1〜5%を添加した組成を有するN
i基合金からなるスパッタリングターゲットは、組織が
一層微細化され、このスパッタリングターゲットを用い
て得られた遮光膜は、従来の遮光膜よりも均一な膜が得
られる、(c)前記(a)に記載のNi基合金にさらに
Fe:1〜5%を添加した組成を有するNi基合金から
なるスパッタリングターゲットを用いて得られた遮光膜
は、従来の遮光膜よりもパターンエッチング性が一層向
上する、(d)前記(a)、(b)または(c)に記載
のNi基合金に、さらにCuおよびVの内の1種または
2種を合計で1〜10%を複合添加した組成を有するN
i基合金からなるスパッタリングターゲットを作製し、
このスパッタリングターゲットを用いて得られた遮光膜
は、パターンエッチング性が一層向上する、などという
研究結果が得られたのである。
されたものであって、(1)Mo:10〜30%、N
b:4〜20%を含有し、残りがNiおよび不可避不純
物からなる組成を有するブラックマトリックス用遮光膜
を形成するためのスパッタリングターゲット、(2)M
o:10〜30%、Nb:4〜20%を含有し、さらに
Ti:1〜5%を含有し、残りがNiおよび不可避不純
物からなる組成を有するブラックマトリックス用遮光膜
を形成するためのスパッタリングターゲット、(3)M
o:10〜30%、Nb:4〜20%を含有し、さらに
Fe:1〜5%を含有し、残りがNiおよび不可避不純
物からなる組成を有するブラックマトリックス用遮光膜
を形成するためのスパッタリングターゲット、(4)M
o:10〜30%、Nb:4〜20%を含有し、さらに
Ti:1〜5%、Fe:1〜5%を含有し、残りがNi
および不可避不純物からなる組成を有するブラックマト
リックス用遮光膜を形成するためのスパッタリングター
ゲット、(5)前記(1)、(2)、(3)または
(4)記載のスパッタリングターゲットに、さらにCu
およびVの内の1種または2種を合計で1〜10%を含
有させたブラックマトリックス用遮光膜を形成するため
のスパッタリングターゲット、に特徴を有するものであ
る。
には、まず、前記(1)〜(5)記載の成分組成を有す
るNi基合金インゴットを作製し、このインゴットを1
000〜1230℃で熱間一次塑性加工してスラブを作
製し、さらにこのスラブを900〜1200℃で熱間二
次塑性加工して板を作製し、この板を機械加工すること
により製造する。
載のスパッタリングターゲットを用いて形成したブラッ
クマトリックス用遮光膜をも含むものである。したがっ
て、この発明は、(6)Mo:10〜30%、Nb:4〜
20%を含有し、残りがNiおよび不可避不純物からな
る組成を有するブラックマトリックス用遮光膜、(7)
Mo:10〜30%、Nb:4〜20%を含有し、さら
にTi:1〜5%を含有し、残りがNiおよび不可避不
純物からなる組成を有するブラックマトリックス用遮光
膜、(8)Mo:10〜30%、Nb:4〜20%を含
有し、さらにFe:1〜5%を含有し、残りがNiおよ
び不可避不純物からなる組成を有するブラックマトリッ
クス用遮光膜、(9)Mo:10〜30%、Nb:4〜
20%を含有し、さらにTi:1〜5%、Fe:1〜5
%を含有し、残りがNiおよび不可避不純物からなる組
成を有するブラックマトリックス用遮光膜、(10)前記
(6)、(7)、(8)または(9)記載の遮光膜に、
さらにCuおよびVの内の1種または2種を合計で1〜
10%を含有させた組成を有するブラックマトリックス
用遮光膜、に特徴を有するものである。
を形成するためのスパッタリングターゲットおよびその
スパッタリングターゲットを用いて形成した遮光膜の成
分組成を前記のごとく限定した理由を説明する。 Mo:Ni基合金からなるスパッタリングターゲットに
含まれるMoは、Niの磁性を低下させてマグネトロン
スパッタリング速度を増す作用があり、さらに得られた
遮光膜の耐食性を向上させるとともに遮光性を一段と向
上させる作用を有するが、Moの含有量が10%未満で
は所定の効果が得られないので好ましくなく、一方、M
oが30%を越えて含有しても格別な耐食性向上および
磁性減少効果が得られない。したがってこの発明のブラ
ックマトリックス用遮光膜を形成するためのスパッタリ
ングターゲットおよびそのスパッタリングターゲットを
用いて形成した遮光膜に含まれるMoは10〜30%に
定めた。Moの含有量の一層好ましい範囲は11〜24
%であり、さらに一層好ましい範囲は12〜18%であ
る。
させることによりスパッタリングして得られた遮光膜の
耐食性および遮光性を向上させる作用を有するが、Nb
の含有量が4%未満では十分な耐食性および遮光性が得
られないので好ましくなく、一方、Nbが20%を越え
て含有すると耐食性が良くなりすぎてエッチングによる
格子状パターンを形成できなくなるので好ましくない。
したがってNbの含有量を4〜20%に定めた。Nbの
含有量の一層好ましい範囲は6〜17%であり、さらに
一層好ましい範囲は8〜12%である。
し、この微細化した組織を有するターゲットを用いて成
膜すると均質な遮光膜が得られるところから添加され
る。しかし、Tiの含有量が1%未満では所望の効果が
得られず、一方、5%を越えて添加するとターゲット作製
時の加工性が低下するので好ましくない。したがって、
Tiの含有量を1〜5%に定めた。Ti含有量の一層好
ましい範囲は2〜4%である。
た遮光膜のパターンエッチング性を良くするために添加
される。しかし、Feの含有量が1%未満では所望の効
果が得られず、一方、5%を越えて添加すると遮光膜の耐
食性が低下するので好ましくない。したがって、Feの
含有量を1〜5%に定めた。Fe含有量の一層好ましい
範囲は2〜4%である。
ンエッチングにおけるエッチング性を向上させるために
必要に応じて添加するが、その添加量はCuおよびVの
内の1種または2種を合計で1%未満では所望の作用が
得られないので好ましくなく、一方、10%を越えて含
有すると耐食性が低下するので好ましくない。したがっ
て、CuおよびVの内の1種または2種を合計で1〜1
0%(一層好ましくは2〜5%)に定めた。
し、直径:180mmの寸法を有するNi基合金インゴ
ットを作製し、これらNi基合金インゴットを1250
℃、4時間保持することにより均質化処理し、この均質
化処理したインゴットを1200℃で熱間一次鍛造する
ことにより厚さ:25mmのスラブを作製し、次いでこ
れらスラブを1180℃で熱間二次鍛造することにより
厚さ:7mmの板を作製し、この板を機械加工すること
により直径:150mm、厚さ:5mmの寸法を有する
本発明ターゲット1〜22、比較ターゲット1〜2およ
び従来ターゲット1〜2を作製した。
ッタリング装置に設置し、コーニング社製の#7059
ガラス基板表面にいずれも膜厚:約110nmを有し、
本発明ターゲット1〜22、比較ターゲット1〜2およ
び従来ターゲット1〜2の成分組成と同じ成分組成を有
する遮光膜を形成した。このようにして得られた遮光膜
について、下記の透過試験および腐食試験を行った。
率I/I0を求め、−log(I/I0)で定義する値
(オプティカルデンシティ値、以下これをOD値とい
う)を求め、その結果を表1〜2に示した。
Hの水酸化カリウム水溶液および酸性溶液として9質量
%HClの塩酸水溶液を用意し、これら水酸化カリウム
水溶液および塩酸水溶液それぞれに15分間浸漬し、浸
漬前後における遮光膜の膜厚変化量を測定し、その結果
を表1〜2に示して耐食性を評価した。膜厚の変化量が
多いほど腐食により膜厚が減少し、耐食性が劣るという
評価が得られることになる。
ーゲット1〜22を用いてスパッタリングすることによ
り形成した遮光膜は、比較ターゲット1〜2および従来
ターゲット1〜2を用いてスパッタリングすることによ
り形成した遮光膜に比べて、膜厚変化量が小さいところ
から耐食性に優れ、さらにOD値が高いところから遮光
性が優れていることが分かる。したがって、この発明は
液晶パネルの品質の向上を行うことができ、ディスプレ
ー産業の発展に大いに貢献し得るものである。
Claims (6)
- 【請求項1】質量%で(以下%は質量%を示す)、M
o:10〜30%、Nb:4〜20%を含有し、残りが
Niおよび不可避不純物からなる組成を有することを特
徴とするブラックマトリックス用遮光膜を形成するため
のスパッタリングターゲット。 - 【請求項2】Mo:10〜30%、Nb:4〜20%を
含有し、さらにTi:1〜5%を含有し、残りがNiお
よび不可避不純物からなる組成を有することを特徴とす
るブラックマトリックス用遮光膜を形成するためのスパ
ッタリングターゲット。 - 【請求項3】Mo:10〜30%、Nb:4〜20%を
含有し、さらにFe:1〜5%を含有し、残りがNiお
よび不可避不純物からなる組成を有することを特徴とす
るブラックマトリックス用遮光膜を形成するためのスパ
ッタリングターゲット。 - 【請求項4】Mo:10〜30%、Nb:4〜20%を
含有し、さらにTi:1〜5%、Fe:1〜5%を含有
し、残りがNiおよび不可避不純物からなる組成を有す
ることを特徴とするブラックマトリックス用遮光膜を形
成するためのスパッタリングターゲット。 - 【請求項5】さらに、CuおよびVの内の1種または2
種を合計で1〜10%を含有することを特徴とする請求
項1、2、3または4記載のブラックマトリックス用遮
光膜を形成するためのスパッタリングターゲット。 - 【請求項6】前記請求項1、2、3、4または5記載の
スパッタリングターゲットを使用して作製したブラック
マトリックス用遮光膜。
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JP2000359191A JP4419037B2 (ja) | 2000-11-27 | 2000-11-27 | ブラックマトリックス用遮光膜を形成するためのスパッタリングターゲット |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006162942A (ja) * | 2004-12-07 | 2006-06-22 | Ulvac Seimaku Kk | ブランクス及びその形成方法、並びに該ブランクスを用いたブラックマトリックス及びその形成方法、 |
JP2007031832A (ja) * | 2005-06-22 | 2007-02-08 | Hitachi Metals Ltd | 冷陰極放電管電極用合金 |
JP2007101848A (ja) * | 2005-10-04 | 2007-04-19 | Fujifilm Corp | 濃色隔画壁の形成方法、カラーフィルタ及びその製造方法、並びに表示装置 |
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CN106062241A (zh) * | 2014-06-27 | 2016-10-26 | 三菱综合材料株式会社 | 溅射靶、光学功能膜及层叠配线膜 |
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2000
- 2000-11-27 JP JP2000359191A patent/JP4419037B2/ja not_active Expired - Fee Related
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