JP2002167410A - 低ラクトン変性ポリエステル不飽和単量体組成物、その製造方法、それを使用したアクリル樹脂 - Google Patents

低ラクトン変性ポリエステル不飽和単量体組成物、その製造方法、それを使用したアクリル樹脂

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JP2002167410A
JP2002167410A JP2000366339A JP2000366339A JP2002167410A JP 2002167410 A JP2002167410 A JP 2002167410A JP 2000366339 A JP2000366339 A JP 2000366339A JP 2000366339 A JP2000366339 A JP 2000366339A JP 2002167410 A JP2002167410 A JP 2002167410A
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modified polyester
low
acid
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Akira Okazaki
明 岡崎
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Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 短かい工程で、しかも工業的に容易に製造す
ることができる低カプロラクトン変性ポリエステル不飽
和単量体の製造方法を提供する。 【解決手段】 カルボキシル基を有するラジカル重合性
不飽和単量体1モルに対して、1モル未満のε−カプロ
ラクトンを、酸性触媒の存在下で反応させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低ラクトン変性ポ
リエステル不飽和単量体組成物、その製造方法、及びそ
れを用いたタックの少ないアクリル樹脂に関する。これ
らの組成物は、他のエチレン性不飽和単量体と反応させ
て、種々の慣用の橋かけ剤及びその他の通常用いられる
成分の配合により、種々のバランスの取れた高品質の工
業用仕上剤、例えば塗料や粘着剤、紫外線及び電子硬化
コーティング剤、反応性改質剤等となし得る硬化性オリ
ゴマー及び重合体を製造することができる。
【0002】
【従来の技術】近年、コーティング分野におけるアクリ
ル系塗料の重要性が高まっている。その理由は、他のア
ルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂と比較
して耐候性、耐化学薬品性、耐汚染性等において優れた
特徴を持つからである。そのため自動車、家庭電器、金
属、建材等あらゆる分野にアクリル系コーティングが使
用されるに至っている。しかしながら、従来のラクトン
変性(メタ)アクリレートにおいてはラクトンの連鎖分
布が広く、かつラクトン連鎖数(n)が大きくなること
により、硬化反応性や柔軟性が改善される反面、硬度や
耐酸性等が低下したりする問題が生じることがある。例
えば、ラクトン連鎖が多いε−カプロラクトンを付加反
応させたヒドロキシアルキルアクリル酸エステル、ある
いはヒドロキシアルキルメタクリル酸エステルを自動車
用トップコート塗料原料として用いる場合、製品の単位
重量当たりの水酸基価が低くなるので、水酸基価の調整
のためには多量に使用することが必要となり、これによ
り耐擦傷性以外の光沢や耐酸性等他の要求項目を損なう
ことがある。
【0003】又、ラクトン変性ヒドロキシアルキル(メ
タ)アクリル酸エステルを多量に仕込むこと無しに、水
酸基価を調整する為に、ビドロキシエチル(メタ)アク
リル酸エステルで調整することがあるが、この場合は可
撓性と硬度のバランスの良いn=1のラクトン単一連鎖
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルエステルの割合が
少なくなる。一方、カルボキシル基を有するラジカル重
合性不飽和単量体として、例えば、(メタ)アクリル
酸、イタコン酸、マレイン酸、β−(メタ)アクリロイ
ルオキシエチルコハク酸、β−(メタ)アクリロイルオ
キシエチルマレイン酸、β−(メタ)アクリロイルオキ
シエチルフタル酸などが知られている。これらカルボキ
シル基を有するラジカル重合性不飽和単量体は、熱硬化
性塗料、接着剤、紙加工用コポリマーの改質剤、架橋
剤、繊維処理剤などの原料又は中間体として極めて広範
囲の用途に用いられているが、各々の用途に最も適した
カルボキシル基を有するラジカル重合性単量体の種類を
慎重に選択する必要がある。
【0004】一般に、末端にカルボキシル基を有するポ
リエステル不飽和単量体を合成する方法としては、例え
ば,ω−ヒドロキシカルボン酸とカルボキシル基を有す
るラジカル重合性不飽和単量体を反応させる方法、α
-,ω-ポリエステルジカルボン酸とヒドロキシル基を有
するラジカル重合性不飽和単量体を反応させる方法、酸
無水物、カルボキシル基を有するラジカル重合性不飽和
単量体、及びエポキシ化合物を反応させる方法などが知
られている。しかし、これらの方法によると、ラジカル
重合性官能基が全くないもの、又は、2個入ったものな
どが、副生成物として多量に生じる欠点を有している。
又、別の方法として、カルボキシル基を有するラジカル
重合性不飽和単量体の金属塩、例えば、アクリル酸ナト
リウムとω−ハロゲノカルボン酸、例えば、ε−クロル
カプロン酸を反応させる方法等もある。しかしながら、
これらの方法は、原料となるω−ハロゲノカルボン酸の
製造工程が多く、また、ラジカル重合性官能基を2個以
上導入するには複数の工程を必要とし、さらに、副生す
るハロゲン化金属塩との分離工程も必要となり、未だ工
業的製造方法に至っていない。
【0005】このような欠点を改良しようとする方法と
して、例えば、特開昭60−67446号などの提案があ
る。この方法では、カルボキシル基を有するラジカル重
合成不飽和単量体とε−カプロラクトンを、酸性触媒の
存在下で反応して、カプロラクトンポリエステル不飽和
単量体を製造し、工業的製造法としてはかなりの成果が
得られている。しかしながら、これを用いたアクリル樹
脂は、しばしばタックがあり、電気材料としては問題が
ある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、他の単量体との重合反応において共単量体
とし使用することにより、種々の塗膜物性のバランスの
取れた高品質の工業用仕上剤(塗料)となる、ラクトン
連鎖を低減して得られたラクトンを付加反応させた低ラ
クトン変性ポリエステル不飽和単量体組成物、その製造
方法、及びそれを用いたタックの少ないアクリル樹脂を
提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記課題を
解決するため鋭意検討した結果、カルボキシル基含有重
合性不飽和単量体の反応モル比率(前者モル数/後者モ
ル数)を大きくして反応させることにより得られるラク
トン2連鎖以上(n≧2)の単量体の割合を低減した低
ラクトン変性ポリエステル不飽和単量体組成物が前記要
求を満たすものであることを見いだし、本発明を完成し
た。また、本発明は特定の触媒を使用することにより触
媒使用量が少なく、着色が少ない低ラクトン変性ポリエ
ステル不飽和単量体組成物の製造方法を完成した。
【0008】すなわち本発明の第1は、カルボキシル基
含有重合性不飽和単量体に対して、ラクトンを開環重合
させて得られる、ラクトン2連鎖以上(n≧2)の単量
体の割合が50%(GPC面積%)未満である低ラクトン
変性ポリエステル不飽和単量体組成物を提供する。本発
明の第2は、カルボキシル基含有重合性不飽和単量体
が、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、β−(メタ)ア
クリロイルオキシエチルコハク酸、β−(メタ)アクリ
ロイルオキシエチルマレイン酸、β−(メタ)アクリロ
イルオキシエチルフタル酸、マレイン酸、マレイン酸モ
ノアルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜12)、
テトラヒドロフタル酸、及びこれらの酸無水物からなる
群から選ばれた1種以上である本発明の第1に記載の低
ラクトン変性ポリエステル不飽和単量体組成物を提供す
る。本発明の第3は、カルボキシル基含有重合性不飽和
単量体が(メタ)アクリル酸であり、下記式(1)で表
される反応により得られる本発明の第2に記載の低ラク
トン変性ポリエステル不飽和単量体組成物を提供する。
【化2】 (式中、R及びR1は独立的に水素又はメチル基であ
り、xn個のR4及びR5は独立的に水素であるか、又は
炭素原子1〜12のアルキル基であり、xは4〜7であ
り、そしてnは0又は1以上の整数であり、組成物中の
nの平均値は0.3以上、1.0未満である。) 本発明の第4は、ラクトンモノマーが、5,6,7及び
/又は8員環のラクトンである本発明の第1〜3のいず
れかに記載の低ラクトン変性ポリエステル不飽和単量体
組成物を提供する。本発明の第5は、ラクトンモノマー
が、ε−カプロラクトン及び/又はバレロラクトンであ
る本発明の第1〜4のいずれかに記載の低ラクトン変性
ポリエステル不飽和単量体組成物を提供する。本発明の
第6は、ラクトン2連鎖以上(n≧2)の低ラクトン変
性重合性不飽和単量体エステルの割合が40重量%(GP
C面積%)未満であることを特徴とする本発明の第1〜
5のいずれかに記載の低ラクトン変性ポリエステル不飽
和単量体組成物を提供する。本発明の第7は、残留ラク
トンの含有量が0〜10重量%(GPC面積%)である本
発明の第1〜6のいずれかに記載の低ラクトン変性ポリ
エステル不飽和単量体組成物を提供する。本発明の第8
は、残留カルボキシル基含有重合性不飽和単量体の含有
量が20重量%(GPC面積%)よりも多く、50重量%
(GPC面積%)までである本発明の第1〜7のいずれか
に記載の低ラクトン変性ポリエステル不飽和単量体組成
物を提供する。本発明の第9は、カルボキシル基含有重
合性不飽和単量体ジエステル副生物の含有量が2重量%
又はそれ以下である本発明の第1〜8のいずれかに記載
の低ラクトン変性ポリエステル不飽和単量体組成物を提
供する。本発明の第10は、ミカエル付加、アクリル重
合、エステル交換又はその他の副反応から得られる副生
物の含有量が10重量%(GPC面積%)以下である本発
明の第1〜9のいずれかに記載の低ラクトン変性ポリエ
ステル不飽和単量体組成物を提供する。本発明の第11
は、開環重合に使用される(メタ)アクリル酸の重合抑
制剤が仕込み総量に対し1重量%以下である本発明の第
1〜10のいずれかに記載の低ラクトン変性ポリエステ
ル不飽和単量体組成物を提供する。本発明の第12は、
カルボキシル基を有するラジカル重合性不飽和単量体1
モルに対してラクトンを0.3モル以上、1.0モル未
満を触媒の存在下に開環重合させ、ラクトン2連鎖以上
(n≧2)の単量体の割合を50%(GPC面積%)未満
とする低ラクトン変性ポリエステル不飽和単量体組成物
の製造方法を提供する。本発明の第13は、酸性触媒
が、ルイス酸又はブレンステッド酸であることを特徴と
する本発明の第12に記載の低ラクトン変性ポリエステ
ル不飽和単量体組成物の製造方法を提供する。本発明の
第14は、本発明の第1〜11のいずれかに記載の低ラ
クトン変性ポリエステル不飽和単量体組成物を用いたア
クリル樹脂を提供する。本発明の第15は、カルボキシ
ル基を有するラジカル重合性不飽和単量体1モルに対し
てラクトンを0.3モル以上、1.0モル未満を、触媒
としてハロゲン化第一スズ、モノブチルスズトリス−2
−エチルヘキサネート、オクタン酸第一スズ、ジブチル
スズジラウレート、又はこれらの混合物を使用して、開
環重合させた後、未反応のカルボキシル基を有するラジ
カル重合性不飽和単量体を分離することを特徴とする低
ラクトン変性ポリエステル不飽和単量体組成物の製造方
法を提供する。本発明の第16は、開環重合に使用され
る触媒が仕込み総量に対し1000重量ppmよりも少な
い本発明の第15に記載の低ラクトン変性ポリエステル
不飽和単量体組成物を提供する。
【0009】本発明によれば、原料として用いるカルボ
キシル基を有するラジカル重合性不飽和単量体が持つラ
ジカル重合性官能基の数と同一のラジカル重合性官能基
を有する、ラクトンの平均付加量が0.3以上、1.0
モル未満の低ラクトン変性ポリエステル不飽和単量体を
製造することができる。特に、カルボキシル基を有する
ラジカル重合性不飽和単量体として、例えば、アクリル
酸(AA)、メタクリル酸(MAA)を用いた場合に
は、ラジカル重合性官能基を全く含まない化合物や2個
以上含む化合物を生成させることなく、ラジカル重合性
不飽和官能基を必ず1個含む低ラクトン変性ポリエステ
ル不飽和単量体を製造することができる。得られた低ラ
クトン変性ポリエステル不飽和単量体は、反応性に富む
カルボキシル基を片末端に有し、さらに、このカルボキ
シル基から遠く離れたところにラジカル重合性不飽和基
があるという特徴を持っている。更に、本発明の低ラク
トン変性ポリエステル不飽和単量体を使用するアクリル
樹脂組成物は、該樹脂組成物のTgを上げてタックをなく
すことが出来るので、特に電気材料分野等で有用であ
る。また本発明は、特定の触媒により着色の少ない、低
ラクトン変性ポリエステル不飽和単量体組成物の製造方
法として有用である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明で使用されるカルボキシル
基含有重合性不飽和単量体としては、例えば、(メタ)
アクリル酸、イタコン酸、β−(メタ)アクリロイルオ
キシエチルコハク酸、β−(メタ)アクリロイルオキシ
エチルマレイン酸、β−(メタ)アクリロイルオキシエ
チルフタル酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエ
ステル(アルキル基の炭素数1〜12)、テトラヒドロ
フタル酸、及びこれらの酸無水物からなる群から選ばれ
た1種以上が挙げられる。これらのうちアクリル酸、メ
タクリル酸が特に好ましい。
【0011】本発明は、カルボキシル基を有するラジカ
ル重合性不飽和単量体にラクトンを開環重合させラクト
ン変性カルボキシル基を有するラジカル重合性不飽和単
量体を製造するに際し、カルボキシル基を有するラジカ
ル重合性不飽和単量体の反応モル比率を1より大きくし
て反応させて得られる組成物より成る。さらに詳しく
は、酸素を含む雰囲気中、ラクトンとカルボキシル基含
有重合性不飽和単量体とを、1000ppmよりも少ない
触媒及びカルボキシル基含有重合性不飽和単量体の重合
を防ぐための1000ppmよりも少ない抑制剤の存在下
に、約80〜約140℃の温度で反応させて得られる組
成物より成る。
【0012】カルボキシル基を有するラジカル重合性不
飽和単量体に対するε−カプロラクトンの使用量は、目
的物の分子量に応じて決まる量であり、また特に触媒
量、溶媒の種類、溶媒量によって影響を受けるが、ラク
トン連鎖を低減させる為に、カルボキシル基を有するラ
ジカル重合性不飽和単量体1モルに対して、1モル未
満、好ましくは0.35〜1モル、更に好ましくは0.
5〜0.75モル反応させる。ラクトンの反応量が1モ
ル以上では、ラクトン連鎖が多くなり、例えば塗料原料
として用いると硬化反応性や柔軟性は良くなる反面、硬
化物の硬度や耐酸性が低下する。又、0.35より小さ
いと耐擦傷性が悪くなる。
【0013】本発明の第1〜15で使用しうる触媒とし
ては、例えば,塩化アルミニウム、塩化第二スズなどの
ルイス酸及び硫酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼン
スルホン酸、スルホン酸型イオン交換樹脂等のブレンス
テッド酸が挙げられるが、反応液に溶解する触媒がよ
く、硫酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン
酸が好ましい。触媒の使用量はカルボキシル基含有重合
性不飽和単量体100重量部に対して0.1〜50重量
部が好ましく、0.1〜20重量部がさらに好ましい
が、スルホン酸型イオン交換樹脂を用いる場合には硫
酸、p−トルエンスルホン酸等に比べ多量必要とする。
【0014】本発明の第15〜16で使用しうる触媒と
しては、従来、塩化アルミ、塩化第二スズ、硫酸、p−
トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、スルホン酸
型イオン交換樹脂等が用いられているが、高温でε−カ
プロラクトンを付加しようとしても、(メタ)アクリル
酸自体が熱重合を起し、目的物を得ることは困難である
か、又は生成物の着色が見られる。低温ではアクリル酸
自体の重合は防止できてもε−カプロラクトンの開環反
応速度が非常に遅い。本発明では、触媒活性が強く、8
0〜130℃の低い温度、かつ少ない触媒量で十分反応
が進行し、得られた生成物の着色の少ない触媒を使用す
ることが望ましい。このような観点からハロゲン化第一
スズ、モノブチルスズトリス−2−エチルヘキサネー
ト、オクタン酸第一スズ、ジブチルスズジラウレート等
の触媒を使用する。これらの中でも、モノブチルスズト
リス−2−エチルヘキサネートを用いることが着色がよ
り低減でき、触媒濃度を増やすことが出来、反応時間短
縮の点でも非常に優れていてより好ましい。この触媒を
用いる場合の添加量としては、1〜1000ppm好まし
くは10〜500ppmである。
【0015】これにより低ラクトン変性ポリエステル不
飽和単量体組成物の合成に有用なラクトン連鎖を低減さ
せた低ラクトン変性ポリエステル不飽和単量体組成物を
製造し得ることになる。ラクトン連鎖を低減させる一
方、未反応のカルボキシル基含有重合性不飽和単量体が
残存することになるが、カルボキシル基含有重合性不飽
和単量体を単独で用いることも多く、50wt%以下であ
れば混合モノマーであっても許容可能となることが多
い。しかしながら、実際には、カルボキシル基含有重合
性不飽和単量体1モルに対し、ラクトンを1モル反応さ
せた場合、反応物は、前記式(1)で表される化合物で
ある。
【0016】反応組成物には、n=0の未反応物から、
n=1、2、3、4、5…のポリラクトンに到るまで統
計的に分布する。ここでnは2以下であることが好まし
く、組成物中のnの平均値は0.3以上、1.0未満で
ある。しかしながら、これらを分離精製することは工業
的に難しい為、2連鎖以上のものの生成量を少なくする
為に、カルボキシル基含有重合性不飽和単量体1モルに
対しε−カプロラクトン等のラクトンの仕込反応量を1
未満に低減する。ラクトンモノマーとしては、5,6,
7,8員環のラクトンが好ましく、例えば、ε−カプロ
ラクトン及び/又はバレロラクトン等が挙げられる。
又、ラクトンとしてε−カプロラクトンを使用する場
合、ε−カプロラクトン以外にもトリメチルカプロラク
トンやバレロラクトンのような他の環状ラクトンを一部
併用することもできる。
【0017】本発明の第15〜16に係る低ラクトン変
性ポリエステル不飽和単量体組成物は反応マスから未反
応(メタ)アクリル酸を分離除去して得られる。未反応
(メタ)アクリル酸を分離除去方法としては、蒸留分
離、塩基性物質による中和分離(さらに、必要により水
洗してもよい)、イオン交換分離等が挙げられる。
【0018】本発明において使用しうる溶媒としては、
触媒、ラクトン及びカルボキシル基を有するラジカル重
含性不飽和単量体と反応しないものであり、例えば,ベ
ンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素が挙げ
られる。また無溶媒でも製造することができる。
【0019】本発明の低ラクトン変性ポリエステル不飽
和単量体組成物の製造方法を具体的に述べると、カルボ
キシル基を有するラジカル重合性不飽和単量体100部
に対し、触媒、及び必要に応じて重合防止剤として、例
えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエー
テル、BHT、フエノチアジン等を0.01〜1重量
%、好ましくは0.03〜0.5重量%加え、反応温度
40〜150℃、好ましくは60〜150℃で、ラクト
ンを一括又は連続的に加えて反応させる。溶媒の量とし
ては、例えば、反応液中(溶媒量が)0〜95重量%の
濃度で使用できる。
【0020】本発明の上記した製造法により製造される
低ラクトン変性ポリエステル不飽和単量体組成物は、残
留ラクトンの含有量が0〜10重量%(以下、GPC面
積%)であり、低ラクトン変性ポリエステル不飽和単量
体の含有量が20重量%以上50重量%までであり、ジ
(メタ)アクリラート副生物の含有量が2重量%又はそ
れ以下であり、ミカエル付加、アクリル重合、エステル
交換又はその他の副反応から得られる副生物の含有量が
10重量%以下であり、触媒の含有量が1000ppmよ
りも少なく、重合抑制剤の含有量が1%以下である。
【0021】本発明の低ラクトン変性ポリエステル不飽
和単量体組成物は、他のラジカル重合性モノマーと共重
合させることにより、架橋剤との反応性がすぐれ、か
つ、可撓性に富んだアクリルポリオール樹脂を提供する
ことができる。また、ポリイソシアネート類と反応させ
てウレタン結合を含む、可撓性多官能(メタ)アクリレ
ートの合成に有用である。本発明によつて製造した生成
物は上記のように塗料の他に、光硬化性樹脂、光硬化性
樹脂の反応性稀釈剤、AS・ABS樹脂の可撓性付与
剤、アクリル樹脂、粘着剤、接着剤、可撓性のあるメガ
ネレンズ、アクリルエマルジョン(特に反応タイプ)、
不飽和ポリエステル樹脂のスチレンに代る可撓性のある
反応性稀釈剤、重合性ポリウレタンエラストマー等の材
料としても応用できる。
【0022】本発明の低ラクトン変性ポリエステル不飽
和単量体組成物と共重合させる他のラジカル重合性モノ
マーとしては、イソシアネート基含有不飽和モノマー、
活性水素含有重合性モノマー及びその他の重合性不飽和
モノマーが挙げられる。
【0023】その他の重合性不飽和モノマーとしては、
次のものが例示される。(メタ)アクリル酸エステルと
して、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アク
リル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)
アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキ
シル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル
酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メ
タ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダ
マンチル等の(メタ)アクリル酸の炭素数1〜20のア
ルキル又は環状アルキルエステル;(メタ)アクリル酸
メトキシブチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、
(メタ)アクリル酸エトキシブチル等の(メタ)アクリ
ル酸の炭素数2〜8のアルコキシアルキルエステルが挙
げられる。(メタ)アクリル酸エステル以外のものとし
て、例えばグリシジル(メタ)アクリル酸エステル;ス
チレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、(メ
タ)アクリロニトリル、(メタ)アクロレイン、ブタジ
エン、イソプレン等が挙げられ、これらは混合して使用
することができる。
【0024】活性水素含有重合性モノマーとしては、下
記水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル、アミノ基含
有(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられ、これらは
混合して使用することができる。水酸基含有(メタ)ア
クリル酸エステルとしては、例えばヒドロキシエチル
(メタ)アクリル酸エステル、ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリル酸エステル等の(メタ)アクリル酸の炭素
数2〜8のヒドロキシアルキルエステル等が挙げられ、
これらは混合して使用することができる。アミノ基含有
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えばジメチル
アミノエチル(メタ)アクリル酸エステル、ジエチルア
ミノエチル(メタ)アクリル酸エステルなどの(メタ)
アクリル酸のアミノアルキルエステル;(メタ)アクリ
ルアミド等が挙げられ、これらは混合して使用すること
ができる。
【0025】イソシアネート基含有モノマーとしては、
例えばイソシアネートエチル(メタ)アクリル酸エステ
ル、イソシアネートプロピル(メタ)アクリル酸エステ
ル、イソシアネートブチル(メタ)アクリル酸エステ
ル、イソシアネートヘキシル(メタ)アクリル酸エステ
ル、m−イソプロペニル−α、α´−ジメチルベンジル
イソシアネート、m−エチレニル−α、α´−ジメチル
ベンジルイソシアネートなどが挙げられ、さらにヒドロ
キシエチル(メタ)アクリル酸エステル等の前記活性水
素含有重合性モノマーにヘキサメチレンジイソシアネー
ト等のポリイソシアネート化合物を付加してなる不飽和
化合物が挙げられ、これらは混合して使用することがで
きる。上記のラジカル重合性モノマーは、混合して使用
することも可能であり、所望の物性に応じて選択して使
用される。
【0026】本発明のアクリル樹脂は、本発明の低ラク
トン変性ポリエステル不飽和単量体及び上記のラジカル
重合性モノマーを公知の溶液重合法によりラジカル重合
開始剤の存在下でラジカル重合することによって製造さ
れる。上記ラジカル重合開始剤としては、過酸化ベンゾ
イル、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クミルハイ
ドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、
t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオ
キシ−2−エチルヘキサノエート等の過酸化物開始剤
や、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバ
レロニトリル等のアゾ系開始剤が使用できる。溶液重合
に用いる溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キ
シレン;酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、セロ
ソルブアセテート等のエステル系;ジオキサン、エチレ
ングリコールジブチルエーテル等のエーテル系;メチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系な
どの溶剤が挙げられ、これらは単独又は2種以上混合し
て使用できる。
【0027】上記重合に使用する反応器としては、攪拌
機、乾燥管付き還流冷却器を備えた反応器や、二軸押出
機が好ましく使用される。重合温度、重合時間は、本発
明の低ラクトン変性ポリエステル不飽和単量体組成物及
び上記のラジカル重合性モノマーのそれぞれの種類、仕
込み比率、触媒の種類と量、さらには反応装置により異
なり、特に制限されるものではなく、目的とするアクリ
ル樹脂の用途、例えば塗料なら要求される塗膜物性等に
より適宜決められる。このようにして得られた低ラクト
ン変性ポリエステル不飽和単量体を含む反応液から、中
和、吸着等の処理により酸性触媒を除去し、又必要に応
じて水洗、蒸留等の操作により、低ラクトン変性ポリエ
ステル不飽和単量体の単一品、又はラクトンの付加モル
数の異なる混合物が得られる。得られた低ラクトン変性
ポリエステル不飽和単量体の構造は、NMR、元素分
析、GPC分析、酸価、二重結合の測定などにより同定
確認することができる。
【0028】本発明によれば、カルボキシル基を有する
ラジカル重合性不飽和単量体に含まれるラジカル重合性
官能基と同一のラジカル重合性官能基を有する低カプロ
ラクトン変性ポリエステル不飽和単量体が、短かい工程
で、しかも工業的に容易に製造することができ、得られ
た低カプロラクトン変性ポリエステル不飽和単量体は、
ラジカル重合性不飽和基を1個有し、また末端にカルボ
キシル基を有しているので、これを利用して熱硬化性塗
料、接着剤、架橋剤、エマルジョン安定剤、分散剤、乳
化剤などの原料、中間体として広範囲な応用が期待され
る。また、本発明の低カプロラクトン変性ポリエステル
不飽和単量体を使用する組成物は、組成物のTgを上げて
タックをなくすことが出来るので、特に電気材料分野等
で有用である。
【0029】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお
各例における部は重量部を意味する。 実施例1 空気導入管、温度計、冷却管、攪拌装置を備えた4つロ
フラスコに、メタクリル酸1616部(18.8モ
ル)、ε−カプロラクトン(ε−CL)1610部(1
4.1モル)、重合抑制剤としてハイドロキノンモノメ
チルエーテル(HQME)1.99部、反応触媒として
塩化第1スズ(SnCl2)0.199部を入れ、空気を通
じながら 100℃で23時間反応させた。ε−カプロ
ラクトンの反応率は99.3%、反応物の色相は20
(APHA)であつた。得られたラクトン変性メタクリ
ル酸エステル組成物に他のモノマーを共重合させたとこ
ろ良好なアクリルポリオール樹脂を得た。
【0030】実施例2 反応触媒としてモノブチルスズトリス−2−エチルヘキ
サネート0.795部を入れて反応させた以外は実施例
1と同様に行った。ε−カプロラクトンの反応率は9
9.5%、反応物の色相は20(APHA)であつた。
得られたラクトン変性メタクリル酸エステル組成物に他
のモノマーを共重合させたところ良好なアクリルポリオ
ール樹脂を得た。
【0031】比較例1 反応触媒としてテトラブチルチタネート(TBT)0.
147部を入れて、空気を通じながら100℃、64時
間反応させた以外は実施例1と同様に行った。ε−カプ
ロラクトンの反応率は99.6%、反応物の色相は50
(APHA)であつた。
【0032】比較例2 空気導入管、温度計、冷却管、攪拌装置を備えた4つロ
フラスコに、メタクリル酸1616部(18.8モ
ル)、ε−カプロラクトン(ε−CL)4286部(3
7.6モル)、重合抑制剤としてハイドロキノンモノメ
チルエーテル(HQME)1.99部、反応触媒として
p−トルエンスルホン酸・1水和物0.4部を入れ、空
気を通じながら100℃で16時間反応させた。ε−カ
プロラクトンの反応率は99.4%、反応物の色相は4
0(APHA)であつた。
【0033】実施例3 温度計、還流冷却器、窒素ガス導入口、攪拌機を備えた
4つロフラスコに酢酸ブチル50部、トルエン50部、
ジターシヤリブチルパーオキシド(DTBPO)1.0
部を仕込み、115℃まで昇温し、115℃に達したと
ころでスチレン17.3部、ブチルメタクリル酸エステ
ル17.3部、ブチルアクリル酸エステル17.3部、
メタクリル酸2.0部、実施例1で合成したカプロラク
トン変性メタクリル酸エステル組成物46部、メタクリ
ル酸0部、アゾビスイソブチロニトリル1.0部を3時
間で滴下し更に4時間反応を継続し、良好なアクリルポ
リオール樹脂透明溶液を得た。
【0034】実施例4及び比較例3および4 実施例2、比較例1および2で得たカプロラクトン変性
メタクリル酸エステル組成物及び2−ヒドロキシエチル
メタクリル酸エステル(HEMA)を実施例3と同様の
装置、配合条件で重合させたところ、実施例2で得られ
たモノマーからは良好なアクリルポリオール樹脂透明溶
液を得ることができたが、比較例1で得たモノマーの場
合は重合途中において反応液が着色が大きかった。比較
例2で得たモノマーの場合を使用して、塗料材料を作製
する場合、塗膜の耐擦傷性が悪い。
【0035】アクリル樹脂の重合において、得られるヒ
ドロキシル価(OHV)を120に、又Tgを0〜10
℃に設定した上記実施例3〜4及び比較例4において、
実施例ではε−カプロラクトンの単一付加物(n=1)
の割合が高く、かつアクリル樹脂の硬化物の硬度が下が
るε−カプロラクトンの二連鎖以上の付加物の割合が低
くなることが分かる。これらの二連鎖以上のε−カプロ
ラクトン付加物の割合が少ないものを、例えば自動車用
トップコートの塗料材料として用いる場合、塗膜の硬
度、仕上り外観、耐候性、耐酸性、耐汚染性、光沢、柔
軟性、耐擦傷性のバランス良い塗膜を作ることが出来
る。
【0036】実施例5 撹拌機、還流冷却器、滴下ロート、温度計を備えたガラ
ス製フラスコに、アクリル酸144部(2モル)、p−
トルエンスルホン酸1水塩8部、及び重合防止剤として
ハイドロキノンモノメチルエーテル0.08部を仕込
み、液温を80℃に保ちつつ、滴下ロートよりε−カプ
ロラクトン171部(1.5モル)を、4時間かかって
滴下反応させた。滴下終了後、さらに2時間同温度で反
応させ、反応を完結させた。反応液をガスクロ分析した
ところ、ε−カプロラクトンの転化率は99.3%であ
った。得られたカプロラクトン変性アクリル酸エステル
組成物の構造を確認するため、反応液中のp−トルエン
スルホン酸を1.1倍当量の5%苛性ソーダメタノール
液で中和を行ない、ロータリーエバポレーターにて過剰
のアクリル酸を減圧下110℃で除去を行なった。得ら
れた反応液をろ過して、カプロラクトン変性アクリル酸
エステル組成物を得た。得られたカプロラクトン変性ア
クリル酸エステル組成物(FA075A)について物性
を測定した。得られた分析結果は次のとおりである。 酸価:3.59mg-KOH/g 二重結合:3.68mg当量/g GPCによるポリスチレン換算数平均分子量:273 元素分析:C59.9%、H7.6% また得られたカプロラクトン変性アクリル酸エステル組
成物の示性式は次のようであり、n=1.76である。 CH2=CH−COO(−CH2CH2CH2CH2CH2
OO−)nH
【0037】実施例6 酸性触媒として98%硫酸8部使用した以外は実施例5
と同様にして、カプロラクトン変性アクリル酸エステル
組成物を製造した。得られた反応液をガスクロ分析した
ところ、ε−カプロラクトンの転化率は、99.1%で
あった。さらに実施例5と同様の操作により、硫酸の中
和後、アクリル酸を除去して、ろ過することにより、カ
プロラクトン変性アクリル酸エステル組成物を得た。得
られたカプロラクトン変性アクリル酸エステル組成物
(FA075A2)について同様の分析を行なった。そ
の結果は次のとおりである。 酸価:3.61mg-KOH/g 二重結合:3.73mg当量/g GPCによるポリスチレン換算数平均分子量:275
【0038】実施例7 カルボキシル基を有するラジカル重合性不飽和単量体と
してメタクリル酸172部(2.0モル)使用した以外は
実施例5と何様にして、カプロラクトン変性アクリル酸
エステル組成物を製造した。得られた反応液をガスクロ
分析したところ、ε−カプロラクトンの転化率は、9
9.2%であった。さらに、実施例5と同様に精製した
ところ、カプロラクトン変性アクリル酸エステル組成物
(FM075A)を得た。得られたカプロラクトン変性
アクリル酸エステル組成物について実施例5と同様の分
析を行なった。その結果は次のとおりである。 酸価:3.41mg-KOH/g 二重結合:3.51mg当量/g GPCによるポリスチレン換算数平均分子量:287
【0039】比較例5 ε−カプロラクトン236部(2モル)使用した以外は
実施例5と同様にして、カプロラクトン変性アクリル酸
エステル組成物を製造した。得られた反応液をろ過し
て、カプロラクトン変性アクリル酸エステル組成物(F
A200A)を得た。得られたカプロラクトン変性アク
リル酸エステル組成物について物性を測定した。得られ
た分析結果は次のとおりである。 酸価:3.30mg-KOH/g 二重結合:3.38mg当量/g ポリスチレン換算数平均分子量:297 元素分析:C59.9%、H7.6% また得られたカプロラクトン変性アクリル酸エステル組
成物のnは1.97であった。
【0040】同様にしてアクリル酸/ε−カプロラクト
ン=1/0.5モル比で反応させ実施例のFA050A
を得た。同様にしてメタクリル酸/ε−カプロラクトン
=1/0.5モル比で反応させ実施例のFM050A
を、メタクリル酸/ε−カプロラクトン=1/2.0モ
ル比で反応させ比較例のFM200Aを得た。結果を表
1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】応用例 温度計、還流冷却器、窒素ガス導入口、攪拌機を備えた
4つロフラスコに酢酸ブチル50部、トルエン50部、
ジターシヤリブチルパーオキシド(DTBPO)1.0
部を仕込み、115℃まで昇温し、115℃に達したと
ころでスチレン17.3部、ブチルメタクリル酸エステ
ル17.3部、ブチルアクリル酸エステル17.3部、
メタクリル酸2.0部、実施例5で合成したラクトン変
性アクリル酸エステル組成物46部、2−ヒドロキシエ
チルメタクリル酸エステル0部、アゾビスイソブチロニ
トリル1.0部を3時間で滴下し更に4時間反応を継続
し、良好なアクリルポリオール樹脂透明溶液を得た。
【0043】二連鎖以上のε−カプロラクトン付加物の
割合が少ないものを、例えば自動車用トップコートの塗
料材料として用いる場合、塗膜の硬度、仕上り外観、耐
候性、耐酸性、耐汚染性、光沢、柔軟性、耐擦傷性のバ
ランス良い塗膜を作ることが出来る。
【0044】
【発明の効果】本発明の低カプロラクトン変性ポリエス
テル不飽和単量体は、短かい工程で、しかも工業的に容
易に製造することができる。得られた低カプロラクトン
変性ポリエステル不飽和単量体は、ラジカル重合性不飽
和基を1個有し、また末端にカルボキシル基を有してい
るので、これを利用して熱硬化性塗料、接着剤、架橋
剤、エマルジョン安定剤、分散剤、乳化剤などの原料、
中間体として広範囲な応用が期待される。また、本発明
の低カプロラクトン変性ポリエステル不飽和単量体を使
用する組成物は、組成物のTgを上げてタックをなくすこ
とが出来るので、特に電気材料分野等で有用である。ま
た、着色の少ない低カプロラクトン変性ポリエステル不
飽和単量体が得られる。

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルボキシル基含有重合性不飽和単量体
    に対して、ラクトンを開環重合させて得られる、ラクト
    ン2連鎖以上(n≧2)の単量体の割合が50%(GPC
    面積%)未満である低ラクトン変性ポリエステル不飽和
    単量体組成物。
  2. 【請求項2】 カルボキシル基含有重合性不飽和単量体
    が、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、β−(メタ)ア
    クリロイルオキシエチルコハク酸、β−(メタ)アクリ
    ロイルオキシエチルマレイン酸、β−(メタ)アクリロ
    イルオキシエチルフタル酸、マレイン酸、マレイン酸モ
    ノアルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜12)、
    テトラヒドロフタル酸、及びこれらの酸無水物からなる
    群から選ばれた1種以上である請求項1に記載の低ラク
    トン変性ポリエステル不飽和単量体組成物。
  3. 【請求項3】 カルボキシル基含有重合性不飽和単量体
    が(メタ)アクリル酸であり、下記式(1)で表される
    反応により得られる請求項2に記載の低ラクトン変性ポ
    リエステル不飽和単量体組成物。 【化1】 (式中、R及びR1は独立的に水素又はメチル基であ
    り、xn個のR4及びR5は独立的に水素であるか、又は
    炭素原子1〜12のアルキル基であり、xは4〜7であ
    り、そしてnは0又は1以上の整数であり、組成物中の
    nの平均値は0.3以上、1.0未満である。)
  4. 【請求項4】 ラクトンモノマーが、5,6,7及び/
    又は8員環のラクトンである請求項1〜3のいずれかに
    記載の低ラクトン変性ポリエステル不飽和単量体組成
    物。
  5. 【請求項5】 ラクトンモノマーが、ε−カプロラクト
    ン及び/又はバレロラクトンである請求項1〜4のいず
    れかに記載の低ラクトン変性ポリエステル不飽和単量体
    組成物。
  6. 【請求項6】 ラクトン2連鎖以上(n≧2)の低ラク
    トン変性重合性不飽和単量体エステルの割合が40重量
    %(GPC面積%)未満であることを特徴とする請求項1
    〜5のいずれかに記載の低ラクトン変性ポリエステル不
    飽和単量体組成物。
  7. 【請求項7】 残留ラクトンの含有量が0〜10重量%
    (GPC面積%)である請求項1〜6のいずれかに記載の
    低ラクトン変性ポリエステル不飽和単量体組成物。
  8. 【請求項8】 残留カルボキシル基含有重合性不飽和単
    量体の含有量が20重量%(GPC面積%)よりも多く、
    50重量%(GPC面積%)までである請求項1〜7のい
    ずれかに記載の低ラクトン変性ポリエステル不飽和単量
    体組成物。
  9. 【請求項9】 カルボキシル基含有重合性不飽和単量体
    ジエステル副生物の含有量が2重量%又はそれ以下であ
    る請求項1〜8のいずれかに記載の低ラクトン変性ポリ
    エステル不飽和単量体組成物。
  10. 【請求項10】 ミカエル付加、アクリル重合、エステ
    ル交換又はその他の副反応から得られる副生物の含有量
    が10重量%(GPC面積%)以下である請求項1〜9の
    いずれかに記載の低ラクトン変性ポリエステル不飽和単
    量体組成物。
  11. 【請求項11】 開環重合に使用される(メタ)アクリ
    ル酸の重合抑制剤が仕込み総量に対し1重量%以下であ
    る請求項1〜10のいずれかに記載の低ラクトン変性ポ
    リエステル不飽和単量体組成物。
  12. 【請求項12】 カルボキシル基を有するラジカル重合
    性不飽和単量体1モルに対してラクトンを0.3モル以
    上、1.0モル未満を触媒の存在下に開環重合させ、ラ
    クトン2連鎖以上(n≧2)の単量体の割合を50%
    (GPC面積%)未満とする低ラクトン変性ポリエステル
    不飽和単量体組成物の製造方法。
  13. 【請求項13】 酸性触媒が、ルイス酸又はブレンステ
    ッド酸であることを特徴とする請求項12に記載の低ラ
    クトン変性ポリエステル不飽和単量体組成物の製造方
    法。
  14. 【請求項14】 請求項1〜11のいずれかに記載の低
    ラクトン変性ポリエステル不飽和単量体組成物を用いた
    アクリル樹脂。
  15. 【請求項15】 カルボキシル基を有するラジカル重合
    性不飽和単量体1モルに対してラクトンを0.3モル以
    上、1.0モル未満を、触媒としてハロゲン化第一ス
    ズ、モノブチルスズトリス−2−エチルヘキサネート、
    オクタン酸第一スズ、ジブチルスズジラウレート、又は
    これらの混合物を使用して、開環重合させた後、未反応
    のカルボキシル基を有するラジカル重合性不飽和単量体
    を分離することを特徴とする低ラクトン変性ポリエステ
    ル不飽和単量体組成物の製造方法。
  16. 【請求項16】 開環重合に使用される触媒が仕込み総
    量に対し1000重量ppmよりも少ない請求項15に記
    載の低ラクトン変性ポリエステル不飽和単量体組成物の
    製造方法。
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