JP2002166845A - 操舵装置 - Google Patents

操舵装置

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JP2002166845A
JP2002166845A JP2000367598A JP2000367598A JP2002166845A JP 2002166845 A JP2002166845 A JP 2002166845A JP 2000367598 A JP2000367598 A JP 2000367598A JP 2000367598 A JP2000367598 A JP 2000367598A JP 2002166845 A JP2002166845 A JP 2002166845A
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rack shaft
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JP2000367598A
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English (en)
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Takashi Kato
貴史 加藤
Yoshiyasu Akuta
好恭 飽田
Kazuo Matsuura
一夫 松浦
Keiichi Takigawa
桂一 滝川
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Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 運転者のハンドル操作から独立して転舵車輪
の転舵角を制御することができるようにした操舵装置に
おいて、ハウジングを車幅方向へ円滑に移動できるこ
と。 【解決手段】 操舵装置10は、ステアリングハンドル
21に連結するピニオン軸24と転舵車輪に連結するラ
ック軸33とからなるラックアンドピニオン機構25を
ハウジング35に収納し、ハウジングをリンク機構60
を介して車幅方向へ移動可能に車体にて支持したもので
ある。リンク機構を、車幅方向へスイング可能に車体5
7に連結した左右2個のリンクアーム61L,61Rと
した。各リンクアームのスイング端にハウジングを車幅
方向にスイング可能に連結した。第1リンクアーム61
Lのスイング端61cを、駆動リンク64を介してアク
チュエータ52の出力部にスイング可能に連結した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、運転者のハンドル
操作から独立して、転舵車輪の転舵角を制御することが
できるようにした操舵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車両の運転中において、走行路面の状況
や風向きなどの外的要因は頻繁に変化する。種々の外的
要因により車両の走行状態や操舵状態は急激に変化し得
る。このような変化に対し、運転者はハンドル操作によ
って安定した走行状態を維持しなければならない。例え
ば、高速走行中の車両の側面に向って吹く横風は、車両
の直進を妨げようとする。このような外的要因に対し、
運転者はハンドル操作によって直進走行を維持しなけれ
ばならず、面倒である。この点を踏まえて近年、車両の
走行状態や操舵状態に応じて運転者の操縦を支援するこ
とにより、操縦安定性や車両の運動性能をより高めるよ
うにした操舵装置の開発が進んでいる。この種の操舵装
置としては、例えば特許第2501606号公報「操舵
装置」が知られている。以下、この従来の技術について
説明する。
【0003】図8は特許第2501606号公報の図1
に基づき作成した説明図である。なお、各構成要素の名
称や符号については適宜変更した。従来の操舵装置10
0は、車体101に左右2個のリンク102,102を
介してギヤハウジング103を車幅方向(図の左右方
向)へスイング可能に連結するとともに、車体101に
左右2個の弾性部材104,104を介してギヤハウジ
ング103を車幅方向及び径方向に変位可能に支持した
というものである。さらに操舵装置100は、車体10
1に弾性部材105を介してアクチュエータ106を支
持し、アクチュエータ106の駆動用ロッド107にL
字状のアーム108の一端を連結し、アーム108の他
端をギヤハウジング103に固定したというものであ
る。
【0004】ギヤハウジング103はラックアンドピニ
オン機構111を収納したものである。ラックアンドピ
ニオン機構111は、ステアリングハンドル112にス
テアリングシャフト113及び軸継手114,114を
介して連結したピニオン115と、転舵車輪116,1
16にタイロッド117,117を介して連結したラッ
ク軸118とからなる。
【0005】このような操舵装置100は、ステアリン
グハンドル112を操舵することにより、ラックアンド
ピニオン機構111を介して転舵車輪116,116を
転舵させることができる。しかも、アクチュエータ10
6の駆動用ロッド107を進退させ、アーム108を介
してギヤハウジング103を車幅方向へ移動させること
で、ラックアンドピニオン機構111を車幅方向へ移動
させることによっても、転舵車輪116,116を転舵
させることができる。運転者のハンドル操作をアクチュ
エータ106で支援することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の技術は、車
両旋回時などにおいて、操舵車輪116,116からの
路面反力がラック軸118を介してギヤハウジング10
3に伝わったときに、L字状のアーム108にはギヤハ
ウジング103やアクチュエータ106を傾ける方向の
モーメントが生じる。このようなモーメントは、可動部
分に「こじれ」(歪み等)が発生して摩擦抵抗が増すな
どの要因となるので、抑制されることが好ましい。
【0007】こじれを抑制するためには、ギヤハウジン
グ103を支持する弾性部材104,104のばね定数
や、アクチュエータ106を支持する弾性部材105の
ばね定数を、下げることが考えられる。しかし、ばね定
数を下げると、アクチュエータ106でギヤハウジング
103を車幅方向へ移動させるときに、これらの部材1
03,106の基準位置が定まりにくい。この結果、転
舵車輪116,116を転舵制御する精度が低下するの
で好ましくない。
【0008】そこで本発明の目的は、運転者のハンドル
操作から独立して転舵車輪の転舵角を制御することがで
きるようにした操舵装置において、ハウジングを車幅方
向へより円滑に移動させることができる技術を提供する
ことにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項1は、ステアリングハンドルに連結するととも
にピニオンを有するピニオン軸を回転可能にハウジング
にて支持し、ピニオンに噛み合うラックを有するととも
に転舵車輪に連結したラック軸を車幅方向へ移動可能に
ハウジングにて支持し、このハウジングをリンク機構を
介して車幅方向へ移動可能に車体にて支持し、ハウジン
グを車幅方向へアクチュエータで移動させることによっ
ても転舵車輪を操舵することができるようにした操舵装
置であって、リンク機構を、車幅方向へスイング可能に
車体に連結した左右2個のリンクアームとし、これら2
個のリンクアームの各スイング端にハウジングを車幅方
向にスイング可能に連結し、2個のリンクアームのうち
1個のスイング端を駆動リンクを介してアクチュエータ
の出力部にスイング可能に連結し、このアクチュエータ
を車体に取付け、アクチュエータにて駆動リンクを介し
てリンクアームをスイング駆動するように構成したこと
を特徴とする。
【0010】ハウジング、リンク機構並びに駆動リンク
の全ての連結部分をスイング可能な構造にした。この結
果、車両旋回時などにおいて、転舵車輪からの路面反力
がラック軸を介してハウジングに伝わったときに、ハウ
ジングを傾ける方向のモーメントが生じることはない。
従って、可動部分に「こじれ」(歪み等)が発生して摩
擦抵抗が増すことはない。ハウジングを円滑に移動させ
ることができるので、操舵装置の性能や耐久性を、より
一層高めることができる。
【0011】請求項2は、2個のリンクアームにハウジ
ングを連結する部位が、ラック軸の近傍であることを特
徴とする。
【0012】転舵車輪からの路面反力は、ラック軸及び
ハウジングを介して2個のリンクアームに作用する。2
個のリンクアームにハウジングを連結する部位がラック
軸の近傍なので、連結する部位に作用する偏心荷重を抑
制できる。従って、偏心荷重によるモーメントの発生を
抑制することができる。このため、シール部分や軸受部
分等の各部のこじれ現象を、より抑制することができ
る。
【0013】請求項3は、ラック軸をタイロッドを介し
て転舵車輪に連結し、ハウジングを、車幅方向中立位置
で最大高さになるとともに車幅方向へ移動するにつれて
低位になるように、2個のリンクアームに連結し、ハウ
ジングが低位になるにつれて、転舵車輪のバンプ時にお
けるトーアウトの角度が増すように、転舵車輪にタイロ
ッドを連結したことを特徴とする
【0014】アクチュエータでハウジングを車幅方向へ
移動させたときに、ハウジングは移動するにつれて低位
になる。ハウジングに支持されたラック軸及びラック軸
に連結されたタイロッドも低位になる。一般にタイロッ
ドが低位になれば、転舵車輪のバンプ時におけるトーア
ウトの角度が増す。車両の旋回時には車体がローリング
するので、旋回外側の転舵車輪がバンプする。バンプし
た旋回外側の転舵車輪がトーアウトになるので、アンダ
ステアリングの傾向が強まる。従って車両の旋回安定性
は、より高まる。
【0015】さらに上述の内容は、補助操舵機構のアク
チュエータが中立位置ではないところで故障して、固定
されてしまったような場合に有効である。すなわち、こ
のような場合にラック軸は中立位置に対して車幅方向及
び上下方向に変位したところで固定されてしまう。車幅
方向の変位については運転者の操作により補正可能であ
るが、上下方向については運転者の操作では補正できな
い。この場合であっても、転舵車輪のバンプ時における
トーアウトの角度が増すので、車両の旋回安定性をより
十分に確保することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を添付図面に
基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、
「左」、「右」、「上」、「下」は運転者から見た方向
に従う。また、図面は符号の向きに見るものとする。
【0017】図1は本発明に係る操舵装置の模式図であ
る。操舵装置10は、車両のステアリングハンドル21
から転舵車輪28,28に至るステアリング系20と、
このステアリング系20に補助トルクを加える補助トル
ク機構40と、運転者のハンドル操作から独立して転舵
車輪28,28の転舵角を制御することができる補助操
舵機構50とからなる。この操舵装置10は、ラック軸
33の両端から操舵トルクを取り出すようにしたエンド
テイクオフ型操舵装置である。
【0018】ステアリング系20は、ステアリングハン
ドル21にステアリングシャフト22及び自在軸継手機
構23を介してピニオン軸24を連結し、ピニオン軸2
4に第1ラックアンドピニオン機構25を連結し、第1
ラックアンドピニオン機構25に左右のタイロッド2
6,26及びナックル27,27を介して左右の転舵車
輪28,28を連結したものである。
【0019】より具体的に説明すると、ステアリング系
20は、ラックアンドピニオン機構25のラック軸33
の両端に第1自在軸継手81,81を介してタイロッド
26,26の一端を連結し、タイロッド26,26の他
端に第2自在軸継手82,82を介してナックル27,
27を連結し、ナックル27,27に転舵車輪(前輪)
28,28を回転可能に連結したものである。第1・第
2自在軸継手81,82はボールジョイントである。運
転者のハンドル操作により、ラック軸33を介してタイ
ロッド26,26を移動させたときに、タイロッド2
6,26に連結したナックル27,27及び転舵車輪2
8,28は、キングピン軸29,29を中心に回る。
【0020】「キングピン軸29,29」とはサスペン
ションジオメトリ、すなわちサスペンションリンクの幾
何学的な配置において、図示するまでもなく周知のこと
であるが、例えば次の(1)や(2)のことを言う。 (1)ダブルウイッシュボーン式サスペンションの場合
には、アッパリンク側のアッパボールジョイントとロア
リンク側のロアボールジョイントを結ぶ直線のこと。 (2)ストラット式サスペンションの場合には、ストラ
ット上端とロアボールジョイントを結ぶ直線のこと。
【0021】上記第1ラックアンドピニオン機構25
は、ピニオン軸24に設けた第1ピニオン31と、第1
ピニオン31に噛み合う第1ラック32を設けて車幅方
向に延びたラック軸33とからなり、ハウジング35に
収納したものである。言い換えれば第1ラックアンドピ
ニオン機構25は、ステアリングハンドル21に連結し
た第1ピニオン31と転舵車輪28,28に連結したラ
ック軸33とからなる。ハウジング35は、ピニオン軸
24を回転可能に且つ軸方向移動不能に取付けるととも
に、ラック軸33を軸方向(車幅方向)へスライド可能
に取付けたものであり、さらには、ラック軸33と同心
で車幅方向へ細長い収納部材である。
【0022】ところで自在軸継手機構23は、ラック軸
33の軸方向への第1ピニオン31の変位を許容するも
のである。言い換えると自在軸継手機構23は、ステア
リングハンドル21の回転トルクをピニオン軸24に伝
達するとともに、ピニオン軸24の軸方向には伸縮可能
な機構である。
【0023】補助トルク機構40は、ステアリングハン
ドル21で発生したステアリング系20の操舵トルクを
検出する操舵トルクセンサ41と、操舵トルクセンサ4
1の検出信号に基づき制御信号を発生する制御部42
と、制御信号に基づき操舵トルクに応じた補助トルクを
発生する電動機43と、電動機43に連結した第2ラッ
クアンドピニオン機構44とからなる。操舵トルクセン
サ41及び電動機43は、ハウジング35に取付けたも
のである。
【0024】第2ラックアンドピニオン機構44は、電
動機43の出力軸43aに設けた第2ピニオン45と、
第2ピニオン45に噛み合う第2ラック46とからな
る。第2ラック46は、第1ラックアンドピニオン機構
25のラック軸33に設けたものである。すなわち、第
1ラックアンドピニオン機構25のラック軸33が、第
2ラックアンドピニオン機構44のラック軸を兼ねる。
【0025】このような操舵装置10によれば、運転者
がステアリングハンドル21を操舵することにより発生
した操舵トルクを、ピニオン軸24及び第1ラックアン
ドピニオン機構25を介して、ラック軸33に伝達する
ことができる。さらには、操舵トルクを操舵トルクセン
サ41で検出し、この検出信号に基づき制御部42で制
御信号を発生し、この制御信号に基づき操舵トルクに応
じた補助トルクを電動機43で発生し、第2ラックアン
ドピニオン機構44を介して、ラック軸33に伝達する
ことができる。従って、運転者の操舵トルクに電動機4
3の補助トルクを加えた複合トルクにより、ラック軸3
3、タイロッド26,26及びナックル27,27を介
して左右の転舵車輪28,28を転舵させることができ
る。
【0026】補助操舵機構50は、補助制御部51にて
予め設定した所定の操舵条件に基づいてアクチュエータ
52を駆動することで、アクチュエータ52にてハウジ
ング35を車幅方向へ移動させるようにしたものであ
る。補助制御部51は例えば、ステアリングハンドル2
1の操舵角を検知する操舵角センサ53、車両の走行速
度を検知する車速センサ54、ハウジング35の変位量
を検知する変位量検知センサ55の各検知信号に応じて
アクチュエータ52を駆動制御する機能を有する。
【0027】さらに詳しく説明すると、補助操舵機構5
0は、車体57にリンク機構60を介してハウジング3
5を車幅方向へ移動可能に支持し、アクチュエータ52
で駆動リンク64を介してリンク機構60をスイング駆
動することで、ハウジング35を車幅方向へ移動させる
ようにしたものである。以下、補助操舵機構50の構成
を詳しく説明する。
【0028】図2は本発明に係る操舵装置の構成図であ
る。補助操舵機構50のリンク機構60は、車幅方向へ
スイング可能に車体57に連結した左右2個のリンクア
ーム(第1・第2リンクアーム61L,61R)であ
る。詳しくはリンク機構60は、車体57の支持台5
8,58に支軸59,59を介して第1・第2リンクア
ーム61L,61Rの基部61a,61aを車幅方向へ
スイング可能に連結し、第1・第2リンクアーム61
L,61Rをラック軸33の軸心33aに直交する方向
に延し、第1・第2リンクアーム61L,61Rのスイ
ング端61b,61bに連結ピン62,62を介してハ
ウジング35を車幅方向へ移動可能に且つスイング可能
に連結したものである。なお、第1・第2リンクアーム
61L,61Rは、ハウジング35を径方向にそれぞれ
挟み込むように、例えばフォーク形状の部材であっても
よい。
【0029】リンク機構60は、2個のリンクアーム6
1L,61Rにハウジング35を連結する部位を、ラッ
ク軸33の近傍に配置したことを特徴とする。具体的に
は、ラック軸33の軸心33aに直交する位置に連結ピ
ン62,62を配置した。このようなリンク機構60
は、ハウジング35と車体57と2個のリンクアーム6
1L,61Rとによって4節平行リンクをなすことにな
る。4節平行リンクの構成にしたので、ハウジング35
及びハウジング35に収納された第1ラックアンドピニ
オン機構25は、ラック軸33の軸方向(車幅方向)へ
スイングしつつ移動するときに、中立状態におけるラッ
ク軸33の軸心33aに対して平行移動を許容するとと
もに、傾くことを阻止することができる。
【0030】動力伝達機構70は、アクチュエータ52
の出力軸52aに取付けた小ギヤ71と、小ギヤ71に
噛み合うべく支軸72に回転可能に取付けた大ギヤ73
と、小・大ギヤ71,73を収納したギヤケース74
と、からなるギヤ減速機構である。ギヤケース74は、
アクチュエータ52を結合した状態で車体57に取付け
たものである。アクチュエータ52やギヤケース74を
車体57に固定するので、これらの部材52,74の配
置の自由度が高まる。さらには、アクチュエータ52で
ハウジング35を車幅方向へ移動させるときに、これら
の部材52,35の基準位置が定まる。この結果、転舵
車輪28,28を転舵制御する精度を確保することがで
きる。
【0031】このようにアクチュエータ52とリンク機
構60との間に介在した動力伝達機構70は、負荷側の
リンク機構60からの力によってアクチュエータ52が
駆動されることを阻止するセルフロック機能を有してい
る。「セルフロック機能」とは、入力側から出力側への
動力伝達を許容し、出力側から入力側への動力伝達を阻
止する機能のことを言う。具体的には、小・大ギヤ7
1,73にハイポイドギヤを採用した。ハイポイドギヤ
の組合せは、負荷側から駆動側への逆方向の動力伝達効
率(逆伝達効率)が一般に小さい。この逆伝達効率を更
に、負荷側のリンク機構60からの力でアクチュエータ
52が駆動されることを阻止するように設定した。停止
状態のアクチュエータ52が外力によって駆動されるこ
とはない。
【0032】左右2個のリンクアーム61L,61Rの
うち1個(第1リンクアーム61L)はスイング端61
bを更に延長し、延びた先端部61cに駆動リンク64
を介してアクチュエータ52の出力部、すなわち動力伝
達機構70にスイング可能に連結したものである。具体
的には、図左の第1リンクアーム61Lはスイング端6
1bの一部である先端部61cに、連結ピン63にて駆
動リンク64の一端をスイング可能に連結したものであ
る。駆動リンク64の他端は、大ギヤ73のディスク7
3aに且つ大ギヤ73の回転中心から所定距離だけ離れ
た位置に、連結ピン75でスイング可能に連結したもの
である。支軸59,59,72、連結ピン62,62,
63,75は互いに平行である。
【0033】次に、上記図2〜図6に基づき操舵装置1
0の作用を説明する。上記図2に示すように、第1,第
2リンクアーム61L,61Rはラック軸33に対し直
交する方向に延びているときに、中立状態にある。操舵
条件に応じて、アクチュエータ52で動力伝達機構70
の大ギヤ73を図時計回りに所定角度だけ回転させる
と、駆動リンク64は図左へ変位する。図左の第1リン
クアーム61Lは駆動リンク64に押されて図左へスイ
ングする。リンク機構60が4節平行リンクの役割を果
たすので、図右の第2リンクアーム61Rも図左へスイ
ングする。リンク機構60と共にハウジング35並びに
第1ピニオン31も、左へスイングしつつラック軸33
の軸方向左へ変位する。運転者がステアリングハンドル
21を握っているときには、第1ピニオン31は回転し
ない。従って、ラック軸33はハウジング35と共に軸
方向左へ移動する。このようにして、転舵車輪28,2
8(図1参照)を転舵することができる。
【0034】この状態から大ギヤ73を図反時計回りに
回転させると、リンク機構60と共にハウジング35、
第1ピニオン31並びにラック軸33も、この図に示す
中立位置に復帰する。一方、中立位置にある第1リンク
アーム61Lを図右へスイングさせることで、左スイン
グ時と同様にラック軸33を軸方向右へ移動させること
ができる。このように、運転者のハンドル操作から独立
して転舵車輪28,28の転舵角を制御することができ
る。
【0035】さらには、ステアリングハンドル21を操
舵しつつ、操舵条件に応じてアクチュエータ52で動力
伝達機構70の大ギヤ73を回転させることができる。
ラック軸33の軸方向への全移動量S0は、運転者のハ
ンドル操作によるラック軸33の移動量S1に、アクチ
ュエータ52によるラック軸33の移動量S2を合成し
たものになる(S0=S1±S2)。従って、ラック軸
33の移動量を加算して転舵車輪28,28を大きく転
舵させたり、又はラック軸33の移動量を減算して小さ
く転舵させることができる。
【0036】図3(a),(b)は本発明に係る操舵装
置の作用図である。(a)は、上記図2に示す操舵装置
10の一部を再掲したところの、中立状態を示す。上述
のように、第1,第2リンクアーム61L,61Rは中
立状態において、ラック軸33に対し直交する方向に延
びている。従って、車幅方向中立位置にある状態のラッ
ク軸33及びハウジング35の高さ、すなわち車体57
からラック軸33の軸心33aまでの高さはH1であ
る。この高さH1は最大高さである。
【0037】(b)は、第1リンクアーム61Lが中立
位置からスイングする過程を示す。中立位置にある第1
リンクアーム61Lを図左へ角度β1だけスイングさせ
たとき、第1リンクアーム61Lに連結ピン62で連結
されたハウジング35及び第2リンクアーム61Rも軸
方向左(車幅方向左)へスイングしつつ移動する。すな
わち、ハウジング35及びハウジング35に収納された
ラック軸33は、(a)の中立状態におけるラック軸3
3の軸心33aに対して平行移動をする。この結果、ラ
ック軸33及びハウジング35は、車幅方向左へ寸法L
sだけ移動するとともに、車幅方向へ移動するにつれて
低位になる。
【0038】移動した後のラック軸33及びハウジング
35の高さ、すなわち車体57からラック軸33の軸心
33aまでの高さはH2である。この高さH2は(a)
に示す最大高さH1よりも小さい(H1>H2)。ラッ
ク軸33が低位になれば、タイロッド26,26の高さ
も下がる。
【0039】第1リンクアーム61Lを図右へスイング
させたときも同様の作用をなす。以上の説明から明らか
なように、ハウジング35は車幅方向中立位置で最大高
さH1になるとともに車幅方向へ移動するにつれて低位
になるように、2個のリンクアーム61L,61Rに連
結したことを特徴とする。
【0040】ところで上述のように操舵装置10は、下
記(1)〜(4)の如く全ての連結部分をスイング可能
な構造にしたことを特徴とする。 (1)車体57に支軸59,59で第1・第2リンクア
ーム61L,61Rを車幅方向へスイング可能に連結し
た。 (2)第1・第2リンクアーム61L,61Rのスイン
グ端に連結ピン62,62でハウジング35を車幅方向
へ移動可能に且つスイング可能に連結した。 (3)第1リンクアーム61Lのスイング端に連結ピン
63で駆動リンク64の一端をスイング可能に連結し
た。 (4)駆動リンク64の他端に大ギヤ73に連結ピン7
5でスイング可能に連結した。
【0041】このようにして、2個のリンクアーム61
L,61Rのうち1個のスイング端を駆動リンク64を
介して、アクチュエータ52の出力部である大ギヤ73
にスイング可能に連結した。上述のように、運転者がス
テアリングハンドル21(図1参照)を握っているとき
には、第1ピニオン31は回転しない。車両旋回時など
において、転舵車輪28,28(図1参照)からの路面
反力はラック軸33に軸方向の力として伝わる。この力
はラック軸33から第1ピニオン31、ピニオン軸24
を介してハウジング35に伝わり、ハウジング35から
更に連結ピン62,62を介して2個のリンクアーム6
1L,61Rに伝わる。
【0042】全ての連結部分がスイング可能な構成なの
で、車両旋回時などにおいて、転舵車輪28,28から
の路面反力がラック軸を介してハウジング35に伝わっ
たときに、ハウジング35を傾ける方向のモーメントが
生じることはない。従って、可動部分に「こじれ」(歪
み等)が発生して摩擦抵抗が増すことはない。このた
め、ハウジング35を円滑に移動させることができるの
で、操舵装置10の性能や耐久性を、より一層高めるこ
とができる。なお、各連結部分にボールジョイント、ベ
アリング、ブッシュを用いることで、転舵車輪28,2
8の路面反力による各部のこじれ現象を、より一層抑制
することができる。
【0043】さらに、リンク機構60は上述のように2
個のリンクアーム61L,61Rにハウジング35を連
結する部位を、ラック軸33の近傍に配置したものであ
る。転舵車輪28,28からの路面反力は、ラック軸3
3及びハウジング35を介して2個のリンクアーム61
L,61Rに作用する。2個のリンクアーム61L,6
1Rに連結ピン62,62にてハウジング35を連結す
る部位が、ラック軸33の近傍(ラック軸33の軸心3
3aを含む)なので、連結する部位に作用する偏心荷重
を抑制できる。従って、偏心荷重によるモーメントの発
生を抑制することができる。このため、第1ラックアン
ドピニオン機構25、ハウジング35、リンク機構60
におけるシール部分や軸受部分等の各部に無理な力が作
用することはない。各部のこじれ現象を、より抑制する
ことができる。
【0044】さらにまた、簡単な構成で優れた耐久性を
有する、リンク機構60並びに駆動リンク64によっ
て、ハウジング35を支持するとともに移動させるよう
にしたので、操舵装置10を比較的安価にできる。
【0045】さらには、第1リンクアーム61Lにおい
て、スイング基端の支軸59からハウジング35を連結
する連結ピン62までの距離に対し、支軸59から駆動
リンク64を連結する連結ピン63までの距離の比率
(アーム比)を大きく設定することにより、アクチュエ
ータ52の出力を小さくすることができる。その分、ア
クチュエータ52を小型にすることができる。例えば、
アーム比を1:2とすれば、1:1の場合に比べてアク
チュエータ52の出力を半減できる。
【0046】図4(a),(b)は本発明に係るラック
軸、タイロッド、転舵車輪回りの構成図兼作用図であ
る。(a)は車両側面から見た模式的構成を示し、
(b)は車両背面から見た模式的構成を示す。なお、F
rは運転者から見て前側、Rrは運転者から見て後側を
示す。
【0047】この図4(a),(b)において実線は、
中立位置(最大の高さ)にあるタイロッド26、ナック
ル27、転舵車輪28、ラック軸33、第1・第2自在
軸継手81,82を模式的に示したものである。また想
像線は、低位にあるタイロッド26、ナックル27、ラ
ック軸33、第1・第2自在軸継手81,82を示すと
ともに、バンプしたときの転舵車輪28を模式的に示し
たものである。なお、これら低位にある部材やバンプし
た部材については、他と識別するために、符号にAを付
した。例えば、低位にあるラック軸の符号33を符号3
3Aに変えて示す。また、バンプしたときの転舵車輪の
符号28を符号28Aに変えるとともに、ホイールセン
タ(転舵車輪28の中心)の符号28aを符号28aA
に変えて示す。
【0048】一般にサスペンションジオメトリは、実線
にて示す転舵車輪28である前輪においてはバンプ時に
弱トーアウト(バンプトーアウト)に変化するように設
定し、後輪においてはバンプ時に弱トーイン(バンプト
ーイン)に変化するように設定することが多い。車両の
旋回時には車体がローリングするので、旋回外側の転舵
車輪(外輪)28がバンプし、旋回内側の転舵車輪(内
輪)28がリバウンドすることによって、トー角が変化
する。この結果、旋回時には外輪28がバンプしてトー
アウトになるので、ステアリング特性としてはアンダス
テアリングの傾向が強まる。従って、車両の旋回安定性
を確保することができる。
【0049】このような転舵車輪28のサスペンション
83に対して、タイロッド26の位置を下げると、転舵
車輪28のバンプ時におけるトーアウトの角度が増す、
いわゆるバンプトーアウトの傾向が強くなる。この結
果、旋回時に外輪28のバンプトーアウトの傾向が強ま
るので、車両の旋回安定性はより高まる。本発明者等
は、この点に着目したものである。
【0050】操舵装置10は(a)において、実線で示
すように転舵車輪28を側面から見たときに、キング
ピン軸29を所定のキャスタ角で後方へ傾けてホイール
センタ28aの後方を通し、キングピン軸29に対し
てナックル27を垂直に且つ後方へ延し、キングピン
軸29の後方に且つホイールセンタ28aより下にタイ
ロッド26並びに第1・第2自在軸継手81,82を配
置したものである。本発明は、ハウジング35(図3参
照)及びハウジング35に支持されたラック軸33が低
位になるにつれて、転舵車輪28のバンプ時のトーアウ
トの角度が増すように、転舵車輪28にタイロッド26
を連結したことを特徴とする。この点について、以下詳
しく説明する。
【0051】(b)において、実線で示すように左の転
舵車輪28を背面から見たときに、ラック軸33に対し
てタイロッド26は角度θ1だけ上に傾いている。転舵
車輪28がバンプするときに、第2自在軸継手82は第
1自在軸継手81を中心に旋回軌跡Q1上を旋回する。
この結果、転舵車輪28が距離h1だけバンプしたとき
に、第2自在軸継手82は車体中心側へ変位量b1だけ
寄った点P1に変位する。
【0052】次に、実線で示すラック軸33が想像線で
示す位置33Aまで下がったときのことを考える。な
お、上述のようにラック軸33は下がるときに車幅方向
へも移動する。しかし、ここでは理解を容易にするため
に、ラック軸33が車幅方向へ移動することについては
無視して考えることにする。(a),(b)において実
線で示すラック軸33が想像線で示す位置33Aまで下
がったときに、タイロッド26及び第1自在軸継手81
も想像線で示す位置26A,81Aまで下がる。この結
果、下がったタイロッド26Aに引き寄せられた第2自
在軸継手82及びナックル27は想像線で示す位置82
A,27Aまで下がる。
【0053】操舵装置10に対するサスペンション83
の干渉があるので、第2自在軸継手82及びナックル2
7が下がる距離は、サスペンション83による制限を受
ける。従って、第1自在軸継手81が位置81Aまで下
がる距離に比べて、第2自在軸継手82及びナックル2
7が下がる距離は小さい。下がる距離が小さいので、
(b)において想像線で示すラック軸33Aに対してタ
イロッド26Aが上に傾く角度θ2は上記角度θ1より
も大きい(θ1<θ2)。
【0054】(b)において、転舵車輪28がバンプす
るときに、想像線で示す第2自在軸継手82Aは第1自
在軸継手81Aを中心に旋回軌跡Q2上を旋回する。こ
の結果、転舵車輪28が距離h1だけバンプしたとき
に、第2自在軸継手82は車体中心側へ変位量b2だけ
寄った点P2に変位する。θ1<θ2なので、転舵車輪
28が距離h1だけバンプしたときに、変位量b2は変
位量b1よりも大きい(b1<b2)。なお、上記旋回
軌跡Q1,Q2は正確には円弧ではない。
【0055】図5(a),(b)は本発明に係るラック
軸、タイロッド、転舵車輪回りの作用図である。なお、
Frは運転者から見て前側、Rrは運転者から見て後側
を示す。(a)はラック軸33が中立位置(最大の高
さ)にあるときの、タイロッド26、ナックル27、転
舵車輪28、ラック軸33、第1・第2自在軸継手8
1,82を車両平面から見て模式的に示したものであ
る。上述のように、左の転舵車輪28がバンプしたと
き、第2自在軸継手82は車体中心側(図右側)へ変位
量b1だけ寄った点P1に変位する。この結果、ナック
ル27がキングピン軸29を中心に図反時計方向へ回る
ので、転舵車輪28は想像線で示す28Aのようにトー
アウトになる。
【0056】(b)はラック軸33Aが低位にあるとき
の、タイロッド26A、ナックル27A、転舵車輪2
8、ラック軸33A、第1・第2自在軸継手81A,8
2Aを車両平面から見て模式的に示したものである。上
述した内容を繰り返すと、(b)に示すようにラック軸
33Aが低位にあるとき、第2自在軸継手は82Aの位
置にある。この位置82Aは、(a)に示す第2自在軸
継手82の位置よりも、車体中心側(図右側)へ変位し
たところにある。左の転舵車輪28がバンプしたとき、
第2自在軸継手82Aは車体中心側(図右側)へ変位量
b2だけ寄った点P2に変位する。この結果、ナックル
27がキングピン軸29を中心に図反時計方向へ回るの
で、転舵車輪28は想像線で示すようにトーアウトにな
る。
【0057】このように、ハウジング35(図3参照)
及びハウジング35に支持されたラック軸33が低位に
なるにつれて、転舵車輪28のバンプ時のトーアウトの
角度は増すことが判る。
【0058】以上の説明から明らかなように操舵装置1
0によれば、上記図3に示すように、アクチュエータ5
2でハウジング35を車幅方向へ移動させたときに、ハ
ウジング35は移動するにつれて低位になる。ハウジン
グ35に支持されたラック軸33及びラック軸33に連
結されたタイロッド26,26も低位になる。タイロッ
ド26,26が低位になれば、転舵車輪28(図5参
照)のバンプ時におけるトーアウトの角度が増す。車両
の旋回時には車体がローリングするので、旋回外側の転
舵車輪28がバンプする。バンプした旋回外側の転舵車
輪28がトーアウトになるので、アンダステアリングの
傾向が強まる。従って車両の旋回安定性は、より高ま
る。
【0059】上述の内容は、図3(a)に示すアクチュ
エータ52が中立位置ではないところで故障して、固定
されてしまったような場合に有効である。すなわち、こ
のような場合にはリンク機構60はスイング作動しない
で固定した状態になる。この結果、ハウジング35及び
ラック軸33は図3(a)の中立位置に対して、図3
(b)のように車幅方向及び上下方向に変位したところ
で固定されてしまう。ラック軸33の車幅方向の変位に
ついては、運転者の操作により補正可能である(但し、
ステアリングハンドル21の中立位置に対する、転舵車
輪28,28の中立位置が不一致であることによる違和
感は残る。)。しかし、ラック軸33の上下方向の変位
については、運転者の操作では補正できない。
【0060】これに対して、上述のように本発明の操舵
装置10によれば、アクチュエータ52が中立位置にあ
るときに、ラック軸33は図3(a)に示す最大高さH
1にある。また、アクチュエータ52が中立位置ではな
いところでロックしたときに、ラック軸33は図3
(b)に示すように最大高さH1よりも低位にあり、こ
の高さでロックする。この結果、タイロッド26,26
が低位になるので、転舵車輪28(図5参照)のバンプ
時におけるトーアウトの角度が増す。従ってアンダステ
アリングの傾向が強まる。以上の説明から明らかなよう
に、アクチュエータ52が中立位置ではないところで故
障して、固定されてしまったような場合であっても、車
両の旋回安定性をより十分に確保することができる。
【0061】図6は本発明に係る転舵車輪のトー特性図
であり、縦軸を転舵車輪のホイールストローク(mm)
とし、横軸を転舵車輪のトー角(deg)として表した
ものである。実線にて示すトー特性曲線T1は、ハウジ
ング35及びハウジング35に支持されたラック軸33
が中立位置(最大の高さ)にあるときのトーの変化を示
す。破線にて示すトー特性曲線T2は、ハウジング35
及びハウジング35に支持されたラック軸33が低位に
あるときのトーの変化を示す。この図によると転舵車輪
が、バンプ時にトーアウトに変化するとともに、リバウ
ンド時にトーインに変化することが判る。さらには、ラ
ック軸33及びハウジング35が低位に変化したとき
に、実線のトー特性曲線T1から破線のトー特性曲線T
2に変わることで、バンプトーアウトの傾向が強まるこ
とが判る。
【0062】図7は本発明に係る操舵装置の変形例図で
ある。変形例の操舵装置100は、ラック軸33の長手
途中に左右のタイロッド126,126を連結すること
で、ラック軸33の長手途中から操舵トルクを取り出す
ようにした、センタテイクオフ形式操舵装置であること
を特徴とする。他の構成については上記図1〜図6に示
す操舵装置10と同じであり、同一符号を付し、その説
明を省略する。
【0063】なお、上記本発明の実施の形態において、
補助トルク機構40の有無は任意である。また、アクチ
ュエータ52は電動機に限定されるものではなく、例え
ば油圧モータ、リニアモータ、エアシリンダ、電動シリ
ンダ、油圧シリンダ、ソレノイドであってもよい。さら
には、動力伝達機構70は、セルフロック機能を有して
アクチュエータ52の動力を負荷側に伝達するものであ
ればよい。例えばアクチュエータ52に取付けたウォー
ムと負荷側のウォームホイールの組合せからなるウォー
ムギヤ機構であってもよい。その場合の逆伝達効率も、
負荷側のリンク機構60からの力によってアクチュエー
タ52が駆動されることを阻止するように設定すればよ
い。さらにまた、転舵車輪28のサスペンション83の
種類は限定されるものではない。
【0064】
【発明の効果】本発明は上記構成により次の効果を発揮
する。請求項1は、ラック軸を車幅方向へ移動可能に支
持したハウジングを、リンク機構を介して車幅方向へ移
動可能に車体にて支持する構成とし、リンク機構を、車
幅方向へスイング可能に車体に連結した左右2個のリン
クアームとし、これら2個のリンクアームの各スイング
端にハウジングを車幅方向にスイング可能に連結し、2
個のリンクアームのうち1個のスイング端を駆動リンク
を介してアクチュエータの出力部にスイング可能に連結
したので、全ての連結部分がスイング可能な構造にな
る。車両旋回時などにおいて、転舵車輪からの路面反力
がラック軸を介してハウジングに伝わったときに、ハウ
ジングを傾ける方向のモーメントが生じることはない。
従って、可動部分に「こじれ」(歪み等)が発生して摩
擦抵抗が増すことはない。このため、ハウジングを円滑
に移動させることができるので、操舵装置の性能や耐久
性を、より一層高めることができる。
【0065】請求項2は、2個のリンクアームにハウジ
ングを連結する部位をラック軸の近傍に配置したので、
転舵車輪からの路面反力が、ラック軸及びハウジングを
介して2個のリンクアームに作用したときに、前記連結
する部位に作用する偏心荷重を抑制できる。従って、リ
ンクアームやハウジングに偏心荷重によるモーメントが
発生することを抑制することができる。このため、ハウ
ジングをより円滑に移動させることができるので、操舵
装置の性能や耐久性を、更により一層高めることができ
る。
【0066】請求項3は、ラック軸をタイロッドを介し
て転舵車輪に連結し、ハウジングを、車幅方向中立位置
で最大高さになるとともに車幅方向へ移動するにつれて
低位になるように、2個のリンクアームに連結し、ハウ
ジングが低位になるにつれて、転舵車輪のバンプ時にお
けるトーアウトの角度が増すように、転舵車輪にタイロ
ッドを連結したので、アクチュエータでハウジングを車
幅方向へ移動させつつ低位にすることで、転舵車輪のバ
ンプ時におけるトーアウトの角度を増すことができる。
例えば、車両の旋回時には車体がローリングするので、
旋回外側の転舵車輪はバンプする。バンプした旋回外側
の転舵車輪のトーアウトの角度を増すことができる。こ
の結果、アンダステアリングの傾向が強まるので、車両
の旋回安定性は、より高まる。
【0067】さらに上述の内容は、補助操舵機構のアク
チュエータが中立位置ではないところで故障して、固定
されてしまったような場合に有効である。すなわち、こ
のような場合にラック軸は中立位置に対して上下方向に
変位したところで固定されてしまう。この場合であって
も、転舵車輪のバンプ時におけるトーアウトの角度が増
すので、車両の旋回安定性をより十分に確保することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る操舵装置の模式図
【図2】本発明に係る操舵装置の構成図
【図3】本発明に係る操舵装置の作用図
【図4】本発明に係るラック軸、タイロッド、転舵車輪
回りの構成図兼作用図
【図5】本発明に係るラック軸、タイロッド、転舵車輪
回りの作用図
【図6】本発明に係る転舵車輪のトー特性図
【図7】本発明に係る操舵装置の変形例図
【図8】特許第2501606号公報の図1に基づき作
成した説明図
【符号の説明】
10,100…操舵装置、21…ステアリングハンド
ル、24…ピニオン軸、25…ラックアンドピニオン機
構(第1ラックアンドピニオン機構)、26…タイロッ
ド、27…ナックル、28…転舵車輪、29…キングピ
ン軸、31…ピニオン(第1ピニオン)、32…ラック
(第1ラック)、33…ラック軸、33a…軸心、35
…ハウジング、50…補助操舵機構、52…アクチュエ
ータ、52a…アクチュエータの出力軸、57…車体、
60…リンク機構、61L,61R…リンクアーム、6
1b…リンクアームのスイング端、64…駆動リンク、
70…動力伝達機構、81…第1自在軸継手、82…第
2自在軸継手、83…サスペンション。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B62D 119:00 B62D 119:00 137:00 137:00 (72)発明者 松浦 一夫 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 滝川 桂一 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 Fターム(参考) 3D032 CC05 CC06 CC12 CC16 DA03 DA15 DA23 DB11 EA01 EB05 EC22 EC31 GG01 3D033 CA02 CA16 CA22 CA28

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ステアリングハンドルに連結するととも
    にピニオンを有するピニオン軸を回転可能にハウジング
    にて支持し、前記ピニオンに噛み合うラックを有すると
    ともに転舵車輪に連結したラック軸を車幅方向へ移動可
    能に前記ハウジングにて支持し、このハウジングをリン
    ク機構を介して車幅方向へ移動可能に車体にて支持し、
    ハウジングを車幅方向へアクチュエータで移動させるこ
    とによっても前記転舵車輪を操舵することができるよう
    にした操舵装置であって、 前記リンク機構は、車幅方向へスイング可能に前記車体
    に連結した左右2個のリンクアームであり、これら2個
    のリンクアームの各スイング端に前記ハウジングを車幅
    方向にスイング可能に連結し、前記2個のリンクアーム
    のうち1個のスイング端を駆動リンクを介して前記アク
    チュエータの出力部にスイング可能に連結し、このアク
    チュエータを前記車体に取付け、アクチュエータにて駆
    動リンクを介してリンクアームをスイング駆動するよう
    に構成したことを特徴とする操舵装置。
  2. 【請求項2】 前記2個のリンクアームに前記ハウジン
    グを連結する部位は、前記ラック軸の近傍であることを
    特徴とした請求項1記載の操舵装置。
  3. 【請求項3】 前記ラック軸は、タイロッドを介して前
    記転舵車輪に連結し、前記ハウジングは、車幅方向中立
    位置で最大高さになるとともに車幅方向へ移動するにつ
    れて低位になるように、前記2個のリンクアームに連結
    し、前記ハウジングが低位になるにつれて、前記転舵車
    輪のバンプ時におけるトーアウトの角度が増すように、
    転舵車輪に前記タイロッドを連結したことを特徴とする
    請求項1記載の操舵装置。
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