JP2002166556A - インクジェットヘッド及びその製造方法 - Google Patents

インクジェットヘッド及びその製造方法

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JP2002166556A JP2000366695A JP2000366695A JP2002166556A JP 2002166556 A JP2002166556 A JP 2002166556A JP 2000366695 A JP2000366695 A JP 2000366695A JP 2000366695 A JP2000366695 A JP 2000366695A JP 2002166556 A JP2002166556 A JP 2002166556A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】駆動電極に被覆形成した有機被膜の水系インク
に対する濡れ性を向上させ、インク射出性能に優れる高
品質のインクジェットヘッド及びその製造方法を提供す
る。 【解決手段】圧電材料1からなる駆動壁13とチャンネ
ル部12とを交互に配列すると共に、該駆動壁13に駆
動電極6を設け、該駆動電極6を介して上記駆動壁13
に電界を印加することにより該駆動壁13をせん断変形
させてチャンネル部12内のインクを吐出させるように
したインクジェットヘッドにおいて、前記駆動電極6に
有機被膜7を被覆してなり、該有機被膜7は、それを構
成する成分の分子中にカルボキシル基又はアミノ基を有
すると共に、該カルボキシル基又はアミノ基の存在比率
が下記式1を満たすようにする。 (式1) 200≦(有機被膜を構成する成分の分子量)/(分子中
に含まれるカルボキシル基又はアミノ基の総数)≦10,0
00

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェットヘ
ッド及びその製造方法に関し、詳しくは、インクの射出
性能に優れたインクジェットヘッド及びその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、圧電材料からなる駆動壁とチ
ャンネル部とを交互に配列すると共に、該駆動壁に駆動
電極を設け、該駆動電極を介して上記駆動壁に電界を印
加することにより該駆動壁をせん断変形させてチャンネ
ル部内のインクを吐出させるようにしたシェアモード型
のインクジェットヘッドが知られている。
【0003】かかるシャアモード型のインクジェットヘ
ッドにおいては、駆動壁を駆動させるための駆動電極
は、駆動壁の側面に設けられるため、チャンネル部内に
貯留されるインクは、この駆動電極と常に接触する。こ
こで空気チャンネルを接地してインクチャンネルに臨む
駆動電極に電圧を印加させると、使用されるインクが水
系インクの場合、水の理論分解電圧は1.23Vであ
り、駆動電極に印加される電圧は10〜20Vであるた
め、水系インク中の水が電気分解を起こして気泡を発生
させ、この気泡により駆動壁の変形による圧力が緩衝さ
れてしまい、チャンネル部内のインクを吐出できなくな
るばかりでなく、駆動電極の溶解をも惹き起こす。
【0004】一方、溶剤を使用する溶剤系インクは電気
絶縁性であり、水系インクに見られるような上記問題は
ないものの、洗浄のために特定の有機溶剤が必要であ
り、水系インクに比べて取り扱いが格段に面倒であると
いう欠点がある。このため、インクチャンネル側の電極
を接地して空気チャンネル側の電極に電圧を印加させる
ようにして、水系インクの使用を可能とした技術も提案
されている(特開平7−132589号)が、インクチ
ャンネルと空気チャンネルとで電極の形状を変えなくて
はならず、チャンネル部の高密度化が困難である。
【0005】このため、従来、駆動壁に形成した駆動電
極の表面に絶縁性を付与するための保護膜を被覆形成す
ることで、駆動電極に電圧を印加しても、水系インク、
溶剤系インクを問わずにインク吐出が行えるようにした
インクジェットヘッドが提案されている。かかる保護膜
としては無機被膜、有機被膜等いろいろ考えられるが、
駆動電極の表面にピンホールの発生がなく安定した保護
膜が被覆形成できる点で有機被膜が好ましく用いられて
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、駆動電
極の表面に保護膜として有機被膜を被覆形成したインク
ジェットヘッドにおいては、水系インクを使用した場
合、インク射出性能が必ずしも良好とはいえず、射出不
良を起こす場合があった。この点について本発明者が鋭
意検討したところによると、有機被膜は水系インクに対
して濡れ性が不足しており、その結果、チャンネル部内
に気泡を巻き込んでしまうことにより駆動壁のせん断変
形力を緩衝させてしまい、これが原因でインク射出が不
可能となってしまうことがわかった。
【0007】そこで、本発明は、駆動電極に被覆形成し
た有機被膜の水系インクに対する濡れ性を向上させ、イ
ンク射出性能に優れる高品質のインクジェットヘッド及
びその製造方法を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、有機被膜の
水系インクに対する濡れ性について鋭意検討した結果、
有機被膜を構成する成分中には、カルボキシル基又はア
ミノ基を有していることに着目し、これらの官能基の密
度を所定の範囲に調整することにより、有機被膜を駆動
電極表面に被覆形成した際に、その被膜表面の表面エネ
ルギーを高くし、以って濡れ性を向上させることができ
ることを見出し、本発明に至った。
【0009】即ち、請求項1記載の発明は、圧電材料か
らなる駆動壁とチャンネル部とを交互に配列すると共
に、該駆動壁に駆動電極を設け、該駆動電極を介して上
記駆動壁に電界を印加することにより該駆動壁をせん断
変形させてチャンネル部内のインクを吐出させるように
したインクジェットヘッドにおいて、前記駆動電極に有
機被膜を被覆してなり、該有機被膜は、それを構成する
成分の分子中にカルボキシル基又はアミノ基を有すると
共に、該カルボキシル基又はアミノ基の存在比率が下記
式1を満たすことを特徴とするインクジェットヘッドで
ある。
【0010】(式1) 200≦(有機被膜を構成する成分の分子量)/(分子中
に含まれるカルボキシル基又はアミノ基の総数)≦10,0
00
【0011】請求項2記載の発明は、前記有機被膜は電
着法により駆動電極に被覆されていることを特徴とする
請求項1記載のインクジェットヘッドである。
【0012】また、請求項3記載の発明は、圧電材料か
らなる駆動壁とチャンネル部とを交互に配列すると共
に、該駆動壁に駆動電極を設け、該駆動電極を介して上
記駆動壁に電界を印加することにより該駆動壁をせん断
変形させてチャンネル部内のインクを吐出させるように
したインクジェットヘッドの製造方法において、カルボ
キシル基又はアミノ基を成分の分子中に有し且つ該カル
ボキシル基又はアミノ基の存在比率が下記式1を満たす
有機被膜を前記駆動電極に被覆することを特徴とするイ
ンクジェットヘッドの製造方法である。
【0013】(式1) 200≦(有機被膜を構成する成分の分子量)/(分子中
に含まれるカルボキシル基又はアミノ基の総数)≦10,0
00
【0014】請求項4記載の発明は、前記有機被膜を電
着法により駆動電極に被覆することを特徴とする請求項
3記載のインクジェットヘッドの製造方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面に基づいて説明する。
【0016】図1は、本発明に係るインクジェットヘッ
ドの概要を示す部分破断斜視図、図2は同ヘッドの縦断
面図である。図1において、1は圧電材料基板、2はカ
バー部材、3はノズルプレート、4はバックプレート、
5はインクマニホールドである。
【0017】圧電材料基板1に用いられる圧電材料とし
ては、電界を加えることにより変形を生じる公知の圧電
材料を用いることができ、有機材料からなる基板、非金
属製の基板等がある。特に、非金属製の圧電材料基板が
好ましく、成形、焼成等の工程を経て形成される圧電セ
ラミックス基板、又は成形、焼成を必要としないで形成
される基板等がある。
【0018】有機材料からなる基板に用いられる有機材
料としては、ポリフッ化ビニリデン等の有機ポリマー
や、有機ポリマーと無機物とのハイブリッド材料等が挙
げられる。
【0019】非金属製の圧電材料基板において、成形、
焼成等の工程を経て形成される圧電セラミックス基板と
しては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)が好ましい。
さらにBaTiO3、ZnO、LiNbO3、LiTaO
3等を用いてもよい。
【0020】PZTとしては、PZT(PbZrO3
PbTiO3)と、第三成分添加PZTがある。添加す
る第三成分としてはPb(Mg1/2Nb2/3)O3、Pb
(Mn1 /3Sb2/3)O3、Pb(Co1/3Nb2/3)O3
がある。
【0021】また、非金属製の圧電材料基板において、
成形、焼成を必要としないで形成される基板として、例
えば、ゾル−ゲル法、積層基板コーティング法等で形成
することができる。
【0022】圧電材料基板1は、2枚の圧電材料基板1
a、1bを分極方向を互いに反対に向けて上下に接合し
てなる。2枚の圧電材料基板1a、1bを接合する手段
としては、エポキシ系接着剤等の接着剤を用いた接合を
採用できるが、接合可能であれば特にこれに限定されな
い。接着剤を用いて接合する場合、その接着剤層の硬化
後の厚みは、1〜10μmの範囲が好ましい。
【0023】この圧電材料基板1に、円盤状の砥石(ダ
イシングブレード)等の公知の研削機を用いて所定ピッ
チで互いに平行な複数列の溝を加工することにより、イ
ンクが貯留されるインクチャンネル11と空気チャンネ
ル12とからなるチャンネル部10と、それら各チャン
ネル部10間の駆動壁13とを交互に形成する。
【0024】この溝加工の後に、各駆動壁13の壁面に
駆動電極6をめっきにより形成する。駆動壁13は分極
方向の異なる2枚の圧電材料基板1a、1bからなるた
め、各駆動電極6は、それら両基板1a、1bを駆動さ
せるべく、少なくとも各駆動壁13を構成している圧電
材料基板1a及び1bに亘る側面の全面に形成するが、
必ずしも底面には形成しなくてもよい。
【0025】駆動電極6を形成し得る金属としては、N
i(ニッケル)、Co(コバルト)、Cu(銅)、Al
(アルミニウム)等があるが、NiやCuが好ましく、
特に好ましくはNiである。
【0026】駆動電極6を形成するめっきは、特に、無
電解めっきであることが好ましい。無電解めっきによれ
ば、より均一且つピンホールフリーの金属皮膜を簡易に
形成することができる。
【0027】無電解めっきによる電極形成においては、
Ni−Pめっき又はNi−Bめっきを単独で使用しても
よいし、あるいはNi−PとNi−Bを重層してもよ
い。Ni−PめっきはP含量が高くなると電気抵抗が増
大するので、P含量は1〜数%程度がよい。Ni−Bめ
っきのB含量は普通1%以下なので、Ni−PよりNi
含量が多く、電気抵抗が低く、且つ外部配線との接続性
が良いため、Ni−PよりNi−Bの方が好ましいが、
Ni−Bは高価なのでNi−PとNi−Bを組み合わせ
ることも好ましい。
【0028】Ni−P又はNi−Bからなる無電解めっ
き法により形成された駆動電極6は、析出が均一に行わ
れ、その結果平滑な表面性を有している。
【0029】また、めっき膜の厚みは0.5〜5μmの
範囲が好ましい。
【0030】なお、駆動電極6は、駆動壁13に例えば
Ni−Bからなる無電解めっきによりめっき膜を形成し
た上に、更にNi−Pからなる無電解めっき処理を施す
ようにして形成することもできる。この場合、更にそれ
ぞれのめっき金属を異ならせるようにすることもでき
る。また、駆動壁13に無電解めっきによりめっき膜を
形成した後、そのめっき膜上に金めっき等の電解めっき
処理を行うようにしてもよい。更に、駆動壁13に蒸着
法により金属皮膜を形成した後に、該金属皮膜上に電解
めっき処理を行ってめっき膜を形成することにより駆動
電極6を形成するようにしてもよい。
【0031】このように各チャンネル部10内に駆動電
極6を形成した後、各駆動電極6に有機被膜7を形成す
る。この有機被膜7を駆動電極6の表面に被覆形成する
方法としては、電着法や塗布法があるが、塗布法では塗
布液をスピンコートしたり、コンフォーマルコーティン
グすることによって被覆形成するため、駆動電極6以外
の部分もコーティングされるので、面倒なマスキングが
必要であり、また大掛かりな装置も必要となる。このた
め電着法により形成することが好ましい。特に電着法に
よれば、導電性のある電極部分にだけ被膜を形成するこ
とができ、また、一度薄い被膜が形成されるとその個所
が絶縁されるため、それ以上その個所には析出せず、別
の導電性のある個所を探して析出するので、複雑な形状
の表面でも均一な薄膜を被覆形成することができる。従
って、微細なチャンネル部10内の駆動電極6の表面に
も均一な有機被膜7を簡単に被覆形成することができ
る。
【0032】本発明において用いられる有機被膜は、そ
れを構成する成分中にカルボキシル基又はアミノ基を有
する。かかる有機被膜は、その成分中に含まれる上記カ
ルボキシル基又はアミノ基の電気泳動性を利用して駆動
電極6の表面に被膜を形成する。本発明においては、こ
の有機被膜7を構成する成分の分子中のカルボキシル基
又はアミノ基の存在比率が下記式1を満たすように規定
する。
【0033】(式1) 200≦(有機被膜を構成する成分の分子量)/(分子中
に含まれるカルボキシル基又はアミノ基の総数)≦10,0
00
【0034】カルボキシル基又はアミノ基の存在比率が
上記範囲を満足することによって、駆動電極6表面に被
覆形成した有機被膜7の表面エネルギーが向上し、その
結果、有機被膜7表面の濡れ性及び気泡排出性が向上す
るものとなる。従って、特に水系インクを使用した際
に、インクチャンネル11内へのインク流入時の気泡の
混入を防止し、円滑にインクを流入させることができ、
各ノズル孔31から確実にインク射出を行うことができ
るようになる。
【0035】カルボキシル基又はアミノ基の存在比率が
200を下回ると、有機被膜が弱く、ピンホールが発生し
易くなり、保護膜としての機能を果たさない。また、1
0,000を上回ると、有機被膜の親水性が十分ではなく、
特に水系インクを用いる時には気泡の排除が非常に困難
になり、いずれも水系インクを使用した場合にインクを
射出しないノズルが発生し、実用上好ましくない。
【0036】かかる有機被膜の膜厚は、0.1〜20μ
mが好ましい。
【0037】以上のようにして各チャンネル部10の駆
動電極6表面に有機被膜7を形成した後、図1に示すよ
うに、圧電性材料基板1の上面にエポキシ系接着剤等の
接着剤を用いてカバー部材2を接合する。このカバー部
材2としては、圧電材料基板1と同じものを使用する
と、貼り合せた時にソリ、変形、熱膨張係数の差による
剥離等が起こらないために好ましい。また、圧電材料基
板1と同じ程度の熱膨張係数を持つ非圧電性基板であっ
てもよい。非圧電性基板としては、例えば成形、焼成等
の工程を経て形成されるセラミックス基板、または成
形、焼成を必要としないで形成される基板等があり、焼
成等の工程を経て形成されるセラミックス基板として、
例えばAl23、SiO2、それらの混合、混融体、さ
らにZrO2、BeO、AeN、SiC等を用いること
ができる。その他、有機材料からなる基板であってもよ
く、有機ポリマーや有機ポリマーと無機物のハイブリッ
ド材料等を用いてもよい。
【0038】次いで、圧電材料基板1の前端面に、イン
クを吐出するためのノズル孔31を有するノズルプレー
ト3をエポキシ系接着剤等の接着剤を用いて接合する。
また、圧電材料基板1の後端面には、インク導入孔41
を有するバックプレート4を介して、インクチャンネル
11内にインクを供給するインクマニホールド5を、同
様にエポキシ系接着剤等の接着剤を用いて接合し、イン
クジェットヘッドを構成する。
【0039】
【実施例】次に、本発明の効果を実施例に基づいて例証
する。
【0040】実施例1〜3 撹拌機、冷却管、滴下ロート及び温度計を備えた反応器
に、イソプロピルアルコール45部、ブチルセロソルブ
25部を加え、撹拌しながら約70℃の還流温度にて表
1に示す配合の混合物を滴下ロートで2時間かけて滴下
せしめた。滴下し終わった後、そのまま還流温度で3時
間反応を続け、目的とするビニル重合体溶液を得た。
【0041】得られたビニル系重合体溶液100部にト
リエチレンアミン3部を加え、約10分間撹拌せしめて
中和した後、ポリアミド樹脂60部を加え、約20分間
撹拌した後、イオン交換水400部を撹拌しながら加え
て電着液を製造した。
【0042】圧電性材料基板(PZT)に複数列の溝を
平行に加工形成し、その側壁面にNiからなる駆動電極
及び各駆動電極と接続する配線パターンを無電解めっき
により形成したものに、上記電着液を用いて、電着装置
によって、加電圧30V、浴温25℃で2μm厚の有機
被膜を電着形成した。
【0043】その後、カバー部材、ノズルプレート、バ
ックプレート、インクマニホールドをそれぞれ接合する
と共に、配線パターンと駆動ICとをフレキシブルプリ
ント回路(FPC)を異方性導電フィルム(ACF)を
用いて接合してインクジェットヘッドを製造した。
【0044】
【表1】
【0045】実施例4〜6 撹拌機、冷却管、滴下ロート及び温度計を備えた反応器
に、イソプロピルアルコール45部、ブチルセロソルブ
25部を加え、撹拌しながら約70℃の還流温度にて表
1に示す配合の混合物を滴下ロートで2時間かけて滴下
せしめた。滴下し終わった後、そのまま還流温度で3時
間反応を続け、目的とするビニル重合体溶液を得た。
【0046】得られたビニル系重合体溶液100部に酢
酸1部を加え、約10分間撹拌せしめて中和した後、多
官能ブロックイソシアネート60部を加え、約20分間
撹拌した後、イオン交換水400部を撹拌しながら加え
て電着液を製造した。
【0047】圧電性材料基板(PZT)に複数列の溝を
平行に加工形成し、その側壁面にNiからなる駆動電極
及び各駆動電極と接続する配線パターンを無電解めっき
により形成したものに、上記電着液を用いて、電着装置
によって、加電圧30V、浴温25℃で2μm厚の有機
被膜を電着形成した。
【0048】その後、カバー部材、ノズルプレート、バ
ックプレート、インクマニホールドをそれぞれ接合する
と共に、配線パターンと駆動ICとをフレキシブルプリ
ント回路(FPC)を異方性導電フィルム(ACF)を
用いて接合してインクジェットヘッドを製造した。
【0049】
【表2】
【0050】実施例7 窒素導入管及び冷却管の下部にストッブコックのついた
水分受容器を取り付ける。窒素を通しながら、更に撹拌
しながら反応器をシリコン油中につけて加熱して反応さ
せる。反応温度はシリコン油で示す。3,4,3’,
4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物64.
44g(0.2mol)、ビス−[4−(3−アミノフ
ェノキシ)フェニル]スルホン42.72g(0.1m
ol)、バレロラクトン3g(0.03mol)、ピリ
ジン4.8g(0.006mol)、NMP(N−メチ
ルピロリドンの略)400g、トルエン90gを加えて
室温で30分間撹拌、次いで昇温して180℃、1時
間、200rpmで撹拌しながら反応させる。反応後、
トルエン−水留出分30mlを除く。空冷して、3,
4,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無
水物32.22g(0.1mol)、3,5−ジアミノ
安息香酸15.22g(0.1mol)、2,6−ジア
ミノピリジン11.01g(0.1mol)、NMP2
2.2g、トルエン45gを添加し、室温で1時間撹拌
(200rpm)、次いで昇温して180℃に1時間加
熱撹拌する。トルエン−水留出分15mlを除き、以後
は留出分を系外に除きながら180℃、3時間、加熱撹
拌して反応を終了した。これにより20%ポリイミドワ
ニスを得た。
【0051】ポリイミドワニス100g、NMP:テト
ラヒドロチオフェン−1−ジオキシド=1:1(重量)
の混合物100g、ペンジルアルコール50g、メチル
モルホリン2.60g(中和率200mol%)、水1
gを撹拌して水性電着液を調製する。
【0052】圧電性材料基板(PZT)に複数列の溝を
平行に加工形成し、その側壁面にNiからなる駆動電極
及び各駆動電極と接続する配線パターンを無電解めっき
により形成したものに、上記電着液を用いて、電着装置
によって、加電圧30V、浴温25℃で2μm厚の有機
被膜を電着形成した。
【0053】その後、カバー部材、ノズルプレート、バ
ックプレート、インクマニホールドをそれぞれ接合する
と共に、配線パターンと駆動ICとをフレキシブルプリ
ント回路(FPC)を異方性導電フィルム(ACF)を
用いて接合してインクジェットヘッドを製造した。
【0054】比較例1〜3 混合物の配合を表3に示す通りにした以外は、比較例1
及び2は実施例1〜3と同様にして、また比較例3は実
施例4〜6と同様にしてビニル系重合体溶液を作製し、
電着液を調製した。
【0055】圧電性材料基板(PZT)に複数列の溝を
平行に加工形成し、その側壁面にNiからなる駆動電極
及び各駆動電極と接続する配線パターンを無電解めっき
により形成したものに、上記電着液を用いて、電着装置
によって、加電圧30V、浴温25℃で2μm厚の有機
被膜を電着形成した。
【0056】その後、カバー部材、ノズルプレート、バ
ックプレート、インクマニホールドをそれぞれ接合する
と共に、配線パターンと駆動ICとをフレキシブルプリ
ント回路(FPC)を異方性導電フィルム(ACF)を
用いて接合してインクジェットヘッドを製造した。
【0057】
【表3】
【0058】評価 実施例1〜6、比較例1〜3によりそれぞれ製造したイ
ンクジェットヘッドに水系インクを充填して射出試験を
1010ショットまで行い、インク射出に問題がないかど
うかを以下の基準により観察し評価した。その結果を表
4に示す。
【0059】問題なし:○ インク射出不良あり:×
【0060】
【表4】
【0061】この結果、本発明によれば、いずれもイン
ク射出性能に問題は見られなかったのに対し、比較例1
〜3では、いずれもインク射出性能に問題が見られた。
具体的には、比較例1では102ショットでインクを射
出しないノズルが多数発生し、比較例2及び3では、初
期よりインクを射出しないノズルが多数発生した。
【0062】
【発明の効果】本発明によれば、駆動電極に被覆形成し
た有機被膜の水系インクに対する濡れ性を向上させ、イ
ンク射出性能に優れる高品質のインクジェットヘッド及
びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインクジェットヘッドの部分破断
斜視図
【図2】本発明に係るインクジェットヘッドの部分断面
【符号の説明】
1:圧電材料基板 2:カバー部材 3:ノズルプレート 4:バックプレート 5:インクマニホールド 6:駆動電極 7:有機被膜 10:チャンネル部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】圧電材料からなる駆動壁とチャンネル部と
    を交互に配列すると共に、該駆動壁に駆動電極を設け、
    該駆動電極を介して上記駆動壁に電界を印加することに
    より該駆動壁をせん断変形させてチャンネル部内のイン
    クを吐出させるようにしたインクジェットヘッドにおい
    て、前記駆動電極に有機被膜を被覆してなり、該有機被
    膜は、それを構成する成分の分子中にカルボキシル基又
    はアミノ基を有すると共に、該カルボキシル基又はアミ
    ノ基の存在比率が下記式1を満たすことを特徴とするイ
    ンクジェットヘッド。 (式1) 200≦(有機被膜を構成する成分の分子量)/(分子中
    に含まれるカルボキシル基又はアミノ基の総数)≦10,0
    00
  2. 【請求項2】前記有機被膜は電着法により駆動電極に被
    覆されていることを特徴とする請求項1記載のインクジ
    ェットヘッド。
  3. 【請求項3】圧電材料からなる駆動壁とチャンネル部と
    を交互に配列すると共に、該駆動壁に駆動電極を設け、
    該駆動電極を介して上記駆動壁に電界を印加することに
    より該駆動壁をせん断変形させてチャンネル部内のイン
    クを吐出させるようにしたインクジェットヘッドの製造
    方法において、カルボキシル基又はアミノ基を成分の分
    子中に有し且つ該カルボキシル基又はアミノ基の存在比
    率が下記式1を満たす有機被膜を前記駆動電極に被覆す
    ることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。 (式1) 200≦(有機被膜を構成する成分の分子量)/(分子中
    に含まれるカルボキシル基又はアミノ基の総数)≦10,0
    00
  4. 【請求項4】前記有機被膜を電着法により駆動電極に被
    覆することを特徴とする請求項3記載のインクジェット
    ヘッドの製造方法。
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