JP2002166266A - アンモニアの回収方法 - Google Patents

アンモニアの回収方法

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JP2002166266A JP2000363374A JP2000363374A JP2002166266A JP 2002166266 A JP2002166266 A JP 2002166266A JP 2000363374 A JP2000363374 A JP 2000363374A JP 2000363374 A JP2000363374 A JP 2000363374A JP 2002166266 A JP2002166266 A JP 2002166266A
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賢二 野崎
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弘隆 磯村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 石油系燃焼灰の処理工程などにおいて効
率よくアンモニアを回収する方法を提供する。 【解決手段】 石油系燃焼灰の処理溶液にアンモニアを
添加して中性ないし弱アルカリ性に調整し、この溶液か
らバナジウムおよび/またはニッケルを溶媒抽出し、さ
らに石膏および水酸化マグネシウムを沈殿分離した溶液
を蒸留塔に導き、アンモニアを蒸発させて水と分離し、
蒸発したアンモニアを凝縮して回収し、このアンモニア
および分離した水をおのおの処理系に戻して再利用する
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、石油系燃焼灰の処
理溶液からアンモニアを効率よく回収する方法に関す
る。より詳しくは、石油系燃焼灰からバナジウムやニッ
ケルなどの有価金属を分離回収する方法などにおいて、
アンモニアを添加して中性ないし弱アルカリ性に調整し
た溶液からバナジウムやニッケルを溶媒によって抽出し
た後に、この溶液からアンモニアを効率よく回収して再
利用することができるアンモニア回収方法に関する。
【0002】
【従来の技術】火力発電所や各種工業プラントのボイラ
ー等は重油や石油コークス等の重質油系燃料を用いるも
のが多く、現在、多量の燃焼灰が排出されている。これ
らの大部分は埋め立て処分されているが、この燃焼灰に
はバナジウム等の有価金属が含有されており、環境汚染
の防止および再資源化の観点から、その有効利用が求め
られている。
【0003】このような重油灰から有価金属を回収する
方法として、例えば、石油系燃料の燃焼灰スラリーに硫
酸を加えて灰中の有価金属を浸出させた後に、液性をア
ルカリ性に転化して鉄分を酸化沈殿させて除去し、液性
を再び強酸性として液中のバナジウムを酸化バナジウム
として沈殿させる方法が知られている(特願昭60-46930
号公報)。また、鉄分を除去した濾液を冷却してさらに
バナジウム化合物を分離し、これに硫酸を添加してニッ
ケルを回収する方法も提案されている(特公平04-61709
号公報)。さらに、バナジウムを分離した後に、残渣か
らニッケルスラッジと石膏を分離する方法などが知られ
ている(特公平05-13718号公報)。ところが、これらの処
理方法は何れも硫酸浸出を行う方法であり、強酸性下で
加熱するため浸出槽などの腐蝕が激しい問題がある。ま
た、硫酸浸出を行った後に、液性をアルカリ性に転化し
て酸化剤を添加し、その後に再び酸性にするなど液性の
調整が煩雑である。
【0004】一方、硫酸浸出を行う上記従来方法に代え
て、アンモニア浸出を行う方法が本出願人によって提案
されている(特願平11-207923号公報)。このアンモニア
浸出の方法は装置の腐食などの問題がなく、しかも液性
の煩雑な調整が不要であり、バナジウムやニッケルなど
を効率良く浸出できる利点がある。このバナジウムやニ
ッケルは溶媒抽出によって分離回収することができる。
【0005】
【発明の解決課題】本発明は、このようなアンモニア性
溶液からアンモニアを効率良く回収する方法を提供する
ものであって、石油系燃焼灰の処理方法などにおいて、
バナジウムやニッケルを抽出したアンモニア性溶液から
アンモニアを回収する場合などに好適な処理方法であ
る。
【0006】
【課題を解決する手段】すなわち、本発明は、(1)石
油系燃焼灰から含有金属を溶媒抽出する際に生じるアン
モニア含有処理溶液を蒸留塔に導き、加熱してアンモニ
アを蒸発させて水と分離した後に、蒸発したアンモニア
を凝縮して回収し、分離した水を処理系に戻すことを特
徴とするアンモニアの回収方法に関する。
【0007】本発明の回収方法は、(2)石油系燃焼灰
の水性スラリーを固液分離した濾液を希釈し、アンモニ
アを添加して中性ないし弱アルカリ性に調整しつつ酸化
処理し、次いでこの溶液からバナジウムを溶媒抽出した
ものを処理溶液として用いる回収方法、(3)石油系燃
焼灰の水性スラリーを固液分離した固形分にアンモニア
水を加えて中性ないし弱アルカリ性に調整し、この濾液
に空気を導入し、さらに過酸化水素を添加して酸化浸出
した後に、溶媒抽出工程に導いてバナジウムおよび/ま
たはニッケルを抽出したものを処理溶液として用いる回
収方法を含む。さらに、(4)上記(2)または(3)におい
て、バナジウムおよび/またはニッケルを溶媒抽出した
後に、この溶液にカルシウム化合物を添加して石膏およ
び水酸化マグネシウムを生成させて分離した溶液を用
い、回収したアンモニアおよび分離した水をおのおの処
理系に戻して再利用する回収方法を含む。
【0008】
【発明の実施の態様】以下、本発明を実施形態に基づい
て詳細に説明する。なお、特に示さない限り%は重量%
であり、石膏は二水石膏である。本発明の回収方法の概
略を図1に示す。図示する回収系には、蒸発塔11、コ
ンデンサー12、アンモニア性溶液10を蒸発塔11に
導く管路13、蒸発塔11とコンデンサー12を連通し
て系外に至る管路14が設けられている。
【0009】石油系燃焼灰を処理して得たアンモニア含
有溶液10を、管路13を通じて蒸留塔11に導き、約
100℃に加熱してアンモニアを蒸発させる。水の一部
はアンモニアと共に蒸発するが、大部分の水は蒸発せず
に塔内に残る。蒸発して水と分離したアンモニアガスは
管路14を通じてコンデンサー12に導かれ、凝集して
アンモニア水になる。このアンモニア水および未凝縮の
アンモニアガスを回収する。一方、蒸発塔11の底部か
ら抜き出した水は処理系に戻して再利用することができ
る。
【0010】本発明において用いる石油系燃焼灰の処理
溶液とは、例えば、石油系燃焼灰の水性スラリーを固液
分離した濾液を希釈し、アンモニアを添加して中性ない
し弱アルカリ性に調整しつつ酸化処理し、次いでこの溶
液からバナジウムを溶媒抽出した処理溶液である。ある
いは、この水性スラリーを固液分離した固形分にアンモ
ニア水を加えて中性ないし弱アルカリ性に調整し、この
濾液に空気を導入し、さらに過酸化水素を添加して酸化
浸出した後に、溶媒抽出工程に導いてバナジウムおよび
/またはニッケルを抽出した処理溶液である。これらの
処理溶液は、バナジウムおよび/またはニッケルを溶媒
抽出した後に、この溶液にカルシウム化合物を添加して
石膏および水酸化マグネシウムを沈殿させて分離したも
のでも良い。回収したアンモニアは処理系に戻して際利
用することができる。また、分離した水を処理系に戻し
て再利用することができる。
【0011】本発明の回収方法を石油系燃焼灰の処理工
程に適用した例を図2に示す。図示する処理工程は、石
油系燃焼灰を水性スラリーにする水浸出工程(A)、この
水性スラリーを固液分離した溶液を希釈し、アンモニア
を添加して中性ないし弱アルカリ性に調整し、さらに液
中のバナジウムを酸化する工程(B)、この溶液にバナジ
ウム抽出溶媒を加えてバナジウムを抽出する工程(C)、
この抽出処理後の溶液からアンモニアを回収する工程
(G)からなる処理系統と、上記水性スラリーを固液分離
した固形分にアンモニア水を加えて中性ないし弱アルカ
リ性に調整すると共に酸化処理して固形分に含まれるバ
ナジウム、ニッケルおよびマグネシウムを溶出させる酸
化浸出工程(D)、この浸出スラリーを固液分離した溶液
からバナジウムおよび/またはニッケルを溶媒抽出する
工程(E)、溶媒抽出した溶液から石膏と水酸化マグネシ
ウムを沈澱分離して回収する工程(F)、石膏と水酸化マ
グネシウムを固液分離した溶液を蒸留塔に導いてアンモ
ニアを蒸発させて水と分離して回収する工程(H)からな
る処理系統とを有する。以下、これら二種の処理系統の
各工程について説明する。
【0012】(A)水浸出工程 本発明の方法で処理する石油系燃焼灰はタール質燃料、
重油、石油コークス、石油ピッチ、アスファルトなどの
石油系燃料を燃焼した際に生じる塵灰である。水浸出工
程(A)において石油系燃焼灰に水または硫酸を加えて水
性スラリーにする。この水性スラリーには多量の硫黄分
が溶出しておりpH1〜3の強酸性を示す。この水性ス
ラリーを固液分離し、次の希釈酸化工程(B)に導く。
【0013】(B)希釈酸化工程 水性スラリーを固液分離した溶液を水で希釈し、または
多量の水で浸出し、液中のバナジウム濃度を3000pp
m以下に調整する。バナジウム濃度が3000ppmより高
いと酸化工程に時間がかかるため適当ではない。さら
に、この溶液にアンモニア水を加えて液性を中性ないし
弱アルカリ性(pH8〜9)に調整する。この液性下で酸
化剤、例えば空気や過酸化水素などを導入して液中のバ
ナジウムを4価から5価にする。4価のバナジウムイオ
ンは沈澱を生じるので次工程の溶媒抽出による回収に適
さない。なお、この希釈酸化工程ではニッケルの溶出は
予め水浸出工程(A)が行われることによって抑えられ
る。この溶液を次のバナジウム抽出工程(C)に導く。
【0014】(C)バナジウム抽出工程 バナジウムの抽出溶媒としてはキレート剤(Tricaprylyl
Methyl Ammonium Chloride)をケロシンで5vol%に希
釈したものなどを用いることができる。抽出したバナジ
ウムを含む有機溶媒(キレート溶液)に塩化アンモニウムとア
ンモニア水の混合液(NH4Cl:75%、NH4OH:25%)などを混
合して逆抽出を行う。次いでこの逆抽出液にアンモニア
水を加えてpH9前後に調整してメタバナジン酸アンモ
ニウムを沈澱させ、この沈澱を濾過分離して回収する。
分離した濾液は逆抽出工程に循環して再利用することが
できる。回収したメタバナジン酸アンモニウムは乾燥
し、あるいは加熱分解してバナジン酸の粉末を得る。
【0015】(G)アンモニア回収工程 バナジウムの溶媒抽出工程を経た溶液(ラフィネート溶
液)に消石灰スラリーなどを添加して石膏を沈澱させ、
これを分離する。この溶液は燃焼灰の硫安分が溶解した
アンモニウムイオンや溶媒抽出工程で加えたアンモニア
水などを含有しているので、この溶液を本発明のアンモ
ニア回収工程に導いてアンモニアを回収する。アンモニ
ア回収工程は蒸留塔11とコンデンサー12を有する。
このアンモニア含有溶液を蒸留塔11で約100℃に加
熱してアンモニアを蒸発させる。水の一部はアンモニア
と共に蒸発するが、大部分の水は蒸発せずに塔内に残
る。蒸発して水と分離したアンモニアガスはコンデンサ
ー12に導かれ、凝集してアンモニア水になる。このア
ンモニア水および未凝縮のアンモニアガスを回収する。
【0016】以上の処理系統(A〜B〜C〜G)の他に、
石油系燃焼灰の水性スラリーを固液分離した固形分の処
理系統(D〜E〜F〜H)においてもアンモニアを回収す
ることができる。この回収系統を以下に示す。
【0017】(D)アンモニア酸化浸出工程 石油系燃焼灰の水性スラリーを固液分離した固形分をア
ンモニア酸化浸出工程(D)に導き、固形分に含まれてい
るバナジウム、ニッケル、マグネシウムを溶出させる。
まずこの固形分にアンモニア水と水を加えて中性ないし
弱アルカリ性(pH7〜10)に調整しながら空気を導入
してスラリーを酸化処理する。この酸化処理は二段階に
行うと良い。まず中性ないし弱アルカリ性下で空気を導
入して攪拌し、スラリーに含まれるニッケルやバナジウ
ム等を酸化する。空気酸化の後にスラリーを固液分離
し、その固形分に必要に応じてアンモニアを再度添加し
て液性を上記と同様に中性ないし弱アルカリ性に調整
し、これに過酸化水素を添加して二段目の酸化処理を行
う。
【0018】このような二段階の酸化処理を行うことに
より、スラリーに含まれるバナジウム、ニッケル、マグ
ネシウムの浸出率が向上する。また、二段目の酸化処理
の後に固液分離を行い、その濾液の全量を一段目の空気
酸化に循環し、中性ないし弱アルカリ性下の酸化浸出を
繰り返すことによりこの浸出工程の液量を増加せずに浸
出効果を高めることができる。なお、酸化処理後の固形
分はシリカやアルミナ等を含むため硫酸洗浄を行って回
収し、セメント原料として利用することができる。
【0019】(E)溶媒抽出工程 (イ)ニッケル抽出 上記アンモニア酸化浸出工程で得た溶液から溶媒抽出に
よってニッケルを回収する。ニッケル抽出溶媒としては
キレート剤(2-Hydroxy-5-Nonylacetophenone-Oxime)を
ケロシンで10vol%に希釈したものや、リン酸系抽出
剤を用いることができる。また、これらに代えてバーサ
チック酸を用いることにより、アンモニア浸出濾液に含
まれるニッケルをマグネシウムと分離して効率良く抽出
することができる。このバーサチック酸による抽出は、
アンモニア浸出濾液のpHを弱アルカリ性、好ましくは
pH7.5〜8.5に調整して行うのが好ましい。バーサ
チック酸の濃度は5%以上が適当であり10%以上が好
ましい。
【0020】バーサチック酸を上記アンモニア性溶液か
ら分離した後に希硫酸と混合して洗浄する。ニッケルに
随伴して抽出されたマグネシウムイオンは希硫酸中に洗
い出される。この洗浄はpH2〜4の酸性下で行い、濃
度0.01〜5g/lの希硫酸を用いるのが良い。濃度0.
01〜5g/l、好ましくは0.1〜2g/lの希硫酸を用い
ることによってニッケルをバーサチック酸に残してマグ
ネシウムを選択的に希硫酸中に洗い出すことができる。
このマグネシウムは石膏の回収工程に導く。
【0021】希硫酸で洗浄したバーサチック酸に濃硫酸
を混合し、この濃硫酸にバーサチック酸中のニッケル
(イオン)を逆抽出する。この逆抽出はpH1以下の酸性
下で行い、濃度100〜300g/lの濃硫酸を用いるの
が良い。混合後、濃硫酸とバーサチック酸を分離する。
このバーサチック酸はニッケル抽出工程に循環して再度
使用することができる。一方、分離した濃硫酸には逆抽
出したニッケルが硫酸ニッケルの状態で含まれている。
この濃硫酸液を30〜80℃程度に加熱し、望ましくは
真空中で水分を蒸発させ、濃縮することにより硫酸ニッ
ケルを回収することができる。あるいは、この濃硫酸液
を硫酸ニッケルの溶解度以下に冷却して析出させても良
い。この硫酸ニッケルを濾過して回収し、乾燥すれば硫
酸ニッケルの粉末を得ることができる。この濾液(濃硫
酸)は逆抽出工程に循環して再利用することができる。
【0022】(ロ)バナジウム抽出 上記アンモニア浸出工程の濾液、あるいは上記ニッケル
抽出工程で有機溶媒相と分離した浸出液(水相)にバナジ
ウム抽出溶媒を加えて混合し、溶媒中にバナジウムを抽
出する。抽出手段としてはミキサセトラー等を利用する
と良い。先の希釈溶液からバナジウムを溶媒抽出する工
程(C)と同様に、バナジウムの抽出溶媒としては、キレ
ート剤(Tricaprylyl Methyl Ammonium Chloride)をケロ
シンで5vol%に希釈したものなどを用いることができ
る。抽出操作は、例えば、浸出液に対してこの溶媒を
1:1の液量で混合し、液性を中性(pH=7.5程度)に保っ
て行う。なお、バナジウム抽出溶媒として一般に用いら
れている他の溶液を用いても良い。
【0023】バナジウムイオンを含む有機溶媒を浸出濾
液と分離し、これに逆抽出液(水相)を加えてバナジウム
を水相に移行させる。逆抽出液としては、塩化アンモニ
ウムとアンモニア水の混合液(NH4Cl:80%、NH4OH:30%)
等を用いることができる。逆抽出液と分離した有機溶媒
はバナジウム抽出工程に循環して再利用することができ
る。この逆抽出液からバナジウム化合物(メタハ゛ナシ゛ン酸アンモ
ニウム等)を析出させ、これを固液分離して回収する。
【0024】バナジウムの抽出とニッケルの抽出は何れ
が先でも良い。また溶液中のバナジウム濃度およびニッ
ケル濃度に応じて何れか一方のみを行っても良い。さら
に、これらの抽出処理は、好ましくは、条件を整えて連
続抽出を行う。なお、バナジウム抽出液として用いられ
るメチルアンモニウム系キレート液は中性(約pH7.5)で
作用し、ニッケル抽出液として用いられるアセトフェノ
ン系キレート液は中性付近(約pH8)で作用するので、こ
れらを用いれば溶液の液性を大幅に調整せずにバナジウ
ムとニッケルの溶媒抽出を連続して行うことができる。
【0025】(F)石膏、水酸化マグネシウム回収工程 本回収工程には、上記溶媒処理を経た溶液(ラフィネー
ト溶液)を導入して石膏と水酸化マグネシウムを生成さ
せる晶析槽1、晶析槽1に連通した液体サイクロン2お
よび3、これらを連通する送液管路、液体サイクロン上
部の微粒子を回収する手段、晶析槽の槽底から石膏を抜
き出して回収する手段が設けられている。
【0026】上記溶媒抽出を経たラフィネート溶液と消
石灰スラリーを晶析槽1に導入して均一に攪拌し、オー
バーフローした後に、槽底の沈澱物を抜き出し、固液分
離して石膏を回収する。一方、晶析槽上部の懸濁液を第
一液体サイクロン2に導き、分級した後に、サイクロン
下部の凝集物を晶析槽10に戻す。この凝集物は概ね平
均粒径約20〜80μm、大部分が平均粒径約50μmの
粒子であり、石膏を主体とし一部に水酸化マグネシウム
を含む。さらに、第一液体サイクロン2の上部から懸濁
液を抜き出して第二液体サイクロン3に送る。微分級の
後、サイクロン下部の凝集物の一部を第一液体サイクロ
ン2に戻し、残部を晶析槽1に戻す。この凝集物は平均
粒径約2〜20μm、大部分が平均粒径約15μmの粒子
であり、石膏を主体とし一部に水酸化マグネシウムを含
む。一方、第二液体サイクロン上部の懸濁液を抜き出し
て固液分離することにより、濃度約90%以上および平
均粒径約2μm程度の水酸化マグネシウムを回収するこ
とができる。
【0027】なお、上記ラフィネート溶液には灰中の硫
安分が分解したアンモニウムイオンが存在し、さらに溶
媒抽出の際にアンモニアを添加してpHを中性ないし弱
アルカリ性に調整されているので、石膏および水酸化マ
グネシウムを固液分離して回収した際に、その濾液をア
ンモニア回収工程(H)に導く。
【0028】(H)アンモニア回収工程 アンモニア回収工程は蒸留塔11とコンデンサー12を
有する。石膏および水酸化マグネシウムを固液分離して
回収した濾液(アンモニア含有溶液)を蒸留塔11に導
き、約100℃に加熱してアンモニアを蒸発させる。水
の一部はアンモニアと共に蒸発するが、大部分の水は蒸
発せずに塔内に残る。蒸発して水と分離したアンモニア
ガスはコンデンサー12に導かれ、凝集してアンモニア
水になる。このアンモニア水および未凝縮のアンモニア
ガスを回収する。
【0029】以上の処理工程(A)〜(H)は硫酸ニッケル
の濃縮工程およびアンモニアの蒸発工程を除いて全て常
温で行うことができる。また、以上の処理方法におい
て、石油系燃焼灰の水性スラリーを固液分離した溶液を
希釈してバナジウムの溶媒抽出を行う処理系列(I:A→
B→C)のアンモニア回収工程(G)と、水性スラリーを
固液分離した固形分を中性ないし弱アンモニア性下で酸
化浸出し、この浸出スラリーを固液分離した溶液からバ
ナジウムおよび/またはニッケルを溶媒抽出する処理系
統系列(II:D→E→F)のアンモニア回収工程(H)とを
まとめて行っても良い。
【0030】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に示
す。 〔実施例1〕タール質燃料の焼却灰(V:2.0wt%、Ni:0.4
4wt%、Mg:2.3wt%、S:22wt%、NH4:21wt%)を水性スラリ
ーとし、固液分離した濾液(pH1.8)に水を加えて液中の
バナジウム濃度を2200ppmに調整した後に、さらに
アンモニア水を加えてpHを8.9に調整し、さらに空
気を吹き込んで均一に撹拌した。この溶液にバナジウム
抽出溶媒としてキレート剤(2-Hydroxy-5-Nonylacetophe
none-Oxime)をケロシンで5vol%に希釈したものを混合
した。バナジウム抽出後、抽出溶媒をスラリー濾液と分
離し、抽出溶媒に塩化アンモニウム(0.8wt%)と25%
濃度アンモニア水(0.6wt%)を水で溶かした混合液(逆抽
出液)を混合し、この水相にバナジウムを逆抽出させ
た。このバナジウム抽出溶媒と逆抽出液とを分離した後
に、抽出溶媒は再び抽出工程に循環してバナジウムの抽
出を行った。一方、逆抽出液には新しい逆抽出液を加え
た後に再びバナジウム抽出溶媒と混合することにより逆
抽出を繰り返し、逆抽出液中のバナジウムを濃縮させ
た。このときのバナジウム抽出溶媒と新しく加える逆抽
出液の比は15:1である。逆抽出を繰り返して濃縮し
たバナジウムはメタバナジン酸アンモニウムを析出し液
底に沈降するので、これを分離槽に導いて濾過回収し
た。一方、バナジウムを抽出した後の溶液(スラリー濾
液)に、消石灰スラリー(10wt%濃度)を混合し、液のp
Hを11に調整して石膏を生成させた。この石膏スラリ
ーを濾過して回収した後に、濾液を蒸留塔に導き、加熱
して蒸発したアンモニアガスをコンデンサーに導き、ア
ンモニア水を回収した。この回収結果を表1に示した。
【0031】〔実施例2〕実施例1と同様の燃焼灰を水
性スラリーとし、これを固液分離した固形分にアンモニ
ア水を加えてpH8にし、これに空気を導入して2時間
攪拌した後に固液分離し、この固形分にアンモニア水を
加え、さらに過酸化水素水(濃度31vol%)を加えて攪拌
混合した後に濾過し、濾液の全量を空気酸化工程に戻し
て酸化浸出を繰り返した。この空気酸化後の濾液を抜き
出し、このアンモニア浸出濾液のpHを8に調整した後
に溶媒抽出工程に導き、ニッケルの溶媒抽出とバナジウ
ムの溶媒抽出を行った後に、そのラフィネート溶液に消
石灰スラリーを加えて石膏を沈澱させ、固液分離した懸
濁液を液体サイクロンに導いて水酸化マグネシウムを固
液分離して回収した後に、溶液分をアンモニア回収工程
の蒸留塔に導き、約100℃に加熱してアンモニアを蒸
留し、コンデンサーを経て回収した。この回収結果を表
1に示した。
【0032】
【表1】
【0033】
【発明の効果】本発明の回収方法によれば、アンモニア
性溶液から効率よくアンモニアを回収し、分離した水を
処理系に循環して再利用することができる。特に、石油
系燃焼灰からバナジウムやニッケルを溶媒抽出によって
回収する処理工程において、抽出処理した後のアンモニ
ア含有溶液から液中のアンモニアを効率よく回収して再
利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法の概略を示す工程図
【図2】本発明の方法を石油系燃焼灰の処理工程に適用
した工程図。
【符号の説明】
10−アンモニア含有溶液、11−蒸留塔、12−コン
デンサー、13,14−管路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三浦 啓一 千葉県佐倉市大作二丁目4番2号 太平洋 セメント株式会社中央研究所内 Fターム(参考) 4D004 AA36 AB03 BA10 CA13 CA35 CA36 CC02 CC03 CC04 CC06 CC11 CC12 DA02 DA10 DA20 4D034 AA27 CA12 4D076 AA05 AA16 AA22 BB21 BC01 FA03 FA12 FA16 FA18 HA03 JA03 JA05

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 石油系燃焼灰から含有金属を溶媒抽出す
    る際に生じるアンモニア含有処理溶液を蒸留塔に導き、
    加熱してアンモニアを蒸発させて水と分離した後に、蒸
    発したアンモニアを凝縮して回収し、分離した水を処理
    系に戻すことを特徴とするアンモニアの回収方法。
  2. 【請求項2】 石油系燃焼灰の水性スラリーを固液分離
    した濾液を希釈し、アンモニアを添加して中性ないし弱
    アルカリ性に調整しつつ酸化処理し、次いでこの溶液か
    らバナジウムを溶媒抽出したものを処理溶液として用い
    る請求項1の回収方法。
  3. 【請求項3】 石油系燃焼灰の水性スラリーを固液分離
    した固形分にアンモニア水を加えて中性ないし弱アルカ
    リ性に調整し、この濾液に空気を導入し、さらに過酸化
    水素を添加して酸化浸出した後に、溶媒抽出工程に導い
    てバナジウムおよび/またはニッケルを抽出したものを
    処理溶液として用いる請求項1の回収方法。
  4. 【請求項4】 請求項2または3において、バナジウム
    および/またはニッケルを溶媒抽出した後に、この溶液
    にカルシウム化合物を添加して石膏および水酸化マグネ
    シウムを生成させて分離した溶液を用い、回収したアン
    モニアおよび分離した水をおのおの処理系に戻して再利
    用する回収方法。
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JP2011207672A (ja) * 2010-03-30 2011-10-20 Taiheiyo Cement Corp アンモニア回収装置およびアンモニア回収方法

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