JP2002163811A - スピンバルブ型薄膜磁気素子およびこのスピンバルブ型薄膜磁気素子を備えた薄膜磁気ヘッド - Google Patents

スピンバルブ型薄膜磁気素子およびこのスピンバルブ型薄膜磁気素子を備えた薄膜磁気ヘッド

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JP2002163811A JP2000357827A JP2000357827A JP2002163811A JP 2002163811 A JP2002163811 A JP 2002163811A JP 2000357827 A JP2000357827 A JP 2000357827A JP 2000357827 A JP2000357827 A JP 2000357827A JP 2002163811 A JP2002163811 A JP 2002163811A
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    • H01F10/3268Exchange coupling of magnetic film pairs via a very thin non-magnetic spacer, e.g. by exchange with conduction electrons of the spacer the exchange coupling being asymmetric, e.g. by use of additional pinning, by using antiferromagnetic or ferromagnetic coupling interface, i.e. so-called spin-valve [SV] structure, e.g. NiFe/Cu/NiFe/FeMn

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 狭トラック化に対応し出力特性の向上と再生
波形の安定性(stability)の向上と磁歪のコントロー
ルとを図ったスピンバルブ型薄膜素子を提供する。 【解決手段】 基板上10に、反強磁性層11と、この
反強磁性層11と接して形成され磁化方向が固定される
固定磁性層12と、固定磁性層12に非磁性導電層13
を介して形成され、固定磁性層12の磁化方向と交差す
る方向へ磁化方向が揃えられたフリー磁性層14と、フ
リー磁性層14の磁化方向を揃えるためのハードバイア
ス層17と、固定磁性層12,非磁性導電層13,フリ
ー磁性層14付近に検出電流を与える一対の電極層18
とを有し、磁気再生トラック幅方向寸法Twが0.4μ
m以下に設定され、前記フリー磁性層14の少なくとも
一部がNiFe合金からなり、そのNi濃度CNi(原子
%)が70.2%≦CNi≦89.9%の範囲に設定され
てなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固定磁性層(ピン
(Pinned)磁性層)の固定磁化方向と外部磁界の影響を
受けるフリー(Free)磁性層の磁化方向との関係で電気
抵抗が変化するスピンバルブ型薄膜磁気素子および、こ
のスピンバルブ型薄膜磁気素子を備えた薄膜磁気ヘッド
に関し、特に、狭トラック化に対応して、出力の向上と
スタビリティの向上とを図り、バルクハウゼンノイズ発
生の低減等、素子の安定性を向上させ、フリー磁性層の
磁区制御を良好に行うことができるスピンバルブ型薄膜
磁気素子に用いて好適な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】スピンバルブ型薄膜素子は、巨大磁気抵
抗効果を示すGMR(Giant Magnetoresistive)素子の
一種であり、ハードディスクなどの記録媒体から記録磁
界を検出するものである。前記スピンバルブ型薄膜素子
は、GMR素子の中で比較的構造が単純で、しかも、外
部磁界に対して抵抗変化率が高く、弱い磁界で抵抗が変
化するなどの優れた点を有している。
【0003】図35は、従来のスピンバルブ型薄膜素子
の一例を記録媒体との対向面(ABS面)側から見た場
合の構造を示した断面図である。図35に示すスピンバ
ルブ型薄膜素子は、反強磁性層、固定磁性層、非磁性導
電層、フリー磁性層が一層ずつ形成された、いわゆるボ
トム型のシングルスピンバルブ型薄膜素子である。この
スピンバルブ型薄膜素子では、ハードディスクなどの磁
気記録媒体の移動方向は、図示Z方向であり、磁気記録
媒体からの洩れ磁界の方向は、Y方向である。
【0004】図35における従来のスピンバルブ型薄膜
素子は、基板上に、下から下地層106、反強磁性層1
01、固定磁性層(ピン(Pinned)磁性層)102、非
磁性導電層103、フリー(Free)磁性層104、およ
び保護層107で構成された積層体109と、この積層
体109の両側に形成された一対のハードバイアス層1
05,105と、このハードバイアス層105,105
の上に形成された一対の電極層108,108とで構成
されている。下地層106は、Ta(タンタル)などか
らなり、反強磁性層101が、NiO合金、FeMn合
金、NiMn合金などから形成されている。さらに、前
記固定磁性層102およびフリー磁性層104は、C
o、NiFe合金などから形成され、非磁性導電層10
3にはCu(銅)膜が適応され、また、ハードバイアス
層105,105が、Co−Pt(コバルトー白金)合
金などで形成され、電極層108,108がTa,A
u,Cr,Wなどで形成されている。
【0005】前記固定磁性層102は、前記反強磁性層
101に接して形成されることにより、前記固定磁性層
102と反強磁性層101との界面にて交換結合磁界
(交換異方性磁界)が発生し、前記固定磁性層102の
固定磁化は、例えば、図示Y方向に固定されている。前
記ハードバイアス層105,105が図示X1方向に磁
化されていることで、これらハードバイアス層105,
105によって挟まれたフリー磁性層104の変動磁化
が図示X1方向に揃えられている。これにより、前記フ
リー磁性層104の変動磁化と前記固定磁性層102の
固定磁化とが交差する関係となっている。
【0006】このスピンバルブ型薄膜素子では、ハード
バイアス層105の上に形成された電極層108から、
固定磁性層102、非磁性導電層103、フリー(Fre
e)磁性層104、に検出電流(センス電流)が与えら
れる。ハードディスクなどの磁気記録媒体の移動方向
は、図示Z方向であり、磁気記録媒体からの洩れ磁界が
Y方向に与えられると、フリー磁性層104の磁化がX
1方向からY方向へ向けて変化する。このフリー磁性層
104内での磁化の方向の変動と、固定磁性層102の
固定磁化方向との関係で電気抵抗値が変化し、(これを
磁気抵抗(MR)効果という)、この電気抵抗値の変化
に基づく電圧変化により、磁気記録媒体からの漏れ磁界
が検出される。
【0007】このようなスピンバルブ型薄膜素子におい
ては、フリー磁性層104の変動磁化が、このフリー磁
性層104の両側のハードバイアス層105,105に
よりしっかりと固定されたタイプ(abutted junction t
ype)とされており、フリー磁性層104の磁化の安定
性が高い。通常、フリー磁性層104は、その両側に形
成されトラック幅方向に磁化されたハードバイアス層1
05の影響を受けて、前記フリー磁性層104の磁化が
トラック幅方向に揃えられる。しかし、前記ハードバイ
アス層105の影響は、フリー磁性層104の両端部が
最も大きく、フリー磁性層104の中央部に近づくほ
ど、すなわち前記ハードバイアス層105から距離的に
離れるほど小さくなる。
【0008】図36,図37は、図35に示すスピンバ
ルブ型薄膜磁気ヘッドのトラック幅方向における出力分
布を示す模式グラフである。ここで、スピンバルブ型薄
膜素子の再生出力は、再生トラック幅方向(図35に示
すX1方向)にある分布を有しており、積層体109の
中央部分が、実質的に磁気記録媒体からの記録磁界の再
生に寄与し、磁気抵抗効果を発揮する程度に再生出力の
高い感度領域109aであり、再生トラック幅Twに対
応している。そして、積層体109における感度領域1
09aの両側に位置する部分は、図36に示すように、
実質的に磁気記録媒体からの記録磁界の再生に寄与しな
い程度に再生出力の低い不感領域109b,109bと
なっている。この積層体に占める感度領域109aおよ
び不感領域109bは、後述するマイクロトラックプロ
ファイル法によって測定される。
【0009】このようなスピンバルブ型薄膜素子におい
ては、その出力のインスタビリティが小さいほうが好ま
しい。そして、メディアへの磁気記録に際して、記録密
度の向上への要求が存在し、これに伴って、スピンバル
ブ型薄膜素子では、再生トラック幅が1μm以下、さら
に0.5μm程度以下、特に0.4μm以下への狭トラ
ック化と、同時に出力の低下防止という強い要求があっ
た。
【0010】しかし、このタイプ(abutted junction t
ype )のようなスピンバルブ型薄膜素子において、トラ
ック幅を狭く設定した場合には、再生出力そのものが低
下してしまうという問題があった。というのも、上記の
ようなトラック幅方向の再生出力分布は、感度領域10
9aに対応するフリー磁性層104中央部分の感度領域
104aに比べて、ハードバイアス層105に近い部分
の不感領域104bの方が、ハードバイアス層105,
105に近い分だけ、このハードバイアス層105から
の磁界が強く、その分フリー磁性層104の変動磁化に
対する固定が強固に固定されていることに起因する。つ
まり、前記ハードバイアス層105の影響が、フリー磁
性層104の両端部が最も大きく、フリー磁性層104
の中央部に近づくほど、すなわち前記ハードバイアス層
105から距離的に離れるほど小さくなるため、不感領
域104b,104bができると考えられる。ここで、
不感領域104b,104bは、あくまで、ハードバイ
アス層105からの磁界によってフリー磁性層104の
変動磁化の回転が鈍くなっている部分を指すものであ
り、物理的トラック幅と光学トラック幅寸法との差とは
異なるものである。このため、不感領域104bのトラ
ック幅方向長さ寸法は、スピンバルブ型薄膜素子のトラ
ック幅方向寸法に依存しないため、狭トラック化を図っ
て積層体109全体のトラック幅寸法を小さく設定した
場合にも、不感領域104b,104bのトラック幅方
向寸法は変化せず、狭くならない。
【0011】したがって、狭トラック化を図りトラック
幅寸法を狭く設定した場合には、結果的に、あたかも感
度領域104aが減少したようになり、両脇の不感領域
104b,104bに対応する再出力分布曲線がトラッ
ク幅方向中心に移動してしまう。特に、一層の狭トラッ
ク化を図り、再生トラック幅寸法を0.4μm以下程度
に設定した場合には、あたかも感度領域104aが無く
なってトラック幅方向全体が、不感領域104bになっ
たようになり、図37に示すように、スピンバルブ型薄
膜素子全体としての再生出力つまり再生出力の最大値そ
のものが減少してしまうという問題があった。
【0012】一方、金属膜の多層構造であるスピンバル
ブ型薄膜素子は、その上下、およびハイト奥側の側面
が、絶縁膜(ギャップ膜)により覆われ、前記ハイト側
の逆側(すなわちABS面側;正面側)の面が外部に露
出した構造となっており、前記スピンバルブ型薄膜素子
におけるフリー磁性層の中央付近には、ハイト方向に引
っ張り応力が働いている。
【0013】したがって、再生トラック幅寸法を1μm
程度以上程度に設定した場合には、前述したように、前
記ハードバイアス層105の影響が、フリー磁性層10
4の両端部が最も大きく、フリー磁性層104の中央部
に近づくほど小さくなるため、特に、フリー磁性層10
4の中央付近では、前記フリー磁性層104に加わる応
力と磁歪とで求めることができる逆磁歪効果による一軸
磁気異方性磁界の影響が、大きくなっている。前述した
ように、フリー磁性層104の中央部付近には、ハイト
方向に引っ張り応力が働いているため、前記フリー磁性
層104の磁歪が正の値で、しかもその値が大きくなる
ほど、逆磁歪効果によるハイト方向への磁化回転容易性
は大きくなり、ハイト方向が磁化容易軸方向となってし
まう。このような状態であると、フリー磁性層の中央付
近における磁化は、ハイト方向に向きやすく、バルクハ
ウゼンノイズが発生しやすくなるといった問題が起こ
る。
【0014】言い換えると、フリー磁性層104に磁歪
が発生していると、磁気履歴ヒステリシスが発生する可
能性があり、図38に示すように、フリー磁性層104
内に、あたかも、磁壁104c,104cができたよう
に、単磁区化が妨げられ、磁化の不均一が発生し、スピ
ンバルブ型薄膜素子において、磁気記録媒体からの信号
の処理が不正確になる不安定性(instability)の原因
となるバルクハイゼンノイズ等が発生しやすくなるとい
う可能性があった。例えば、ヒステリシスが発生した場
合には、図39に示すヒステリシスのない場合の再生波
形に対して、図40に示すように、ベースラインシフト
(Baselineshift )が出て、再生波形がシンメトリー
(対称形)にならない。ここで、図39、図40は、ス
ピンバルブ型薄膜素子の出力波形を示すグラフである。
したがって、スピンバルブ型薄膜素子において、磁歪に
よって生じる影響を低減しようとしていた。
【0015】さらに、根本的に、スピンバルブ型薄膜素
子におけ狭トラック化を図るとともに、より一層の出力
特性の向上、および、感度の向上を図りたいという要求
が存在していた。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の事情
に鑑みてなされたもので、以下の目的を達成しようとす
るものである。 スピンバルブ型薄膜素子において狭トラック化に対
応し出力特性の向上を図ること。 再生波形の安定性(stability)の向上を図ること。 磁歪のコントロールを図ること。 上記のようなスピンバルブ型薄膜素子を備えた薄膜
磁気ヘッドを提供すること。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明のスピンバルブ型
薄膜素子は、基板上に、反強磁性層と、この反強磁性層
と接して形成され、前記反強磁性層との交換結合磁界に
より磁化方向が固定される固定磁性層と、前記固定磁性
層に非磁性導電層を介して形成され、前記固定磁性層の
磁化方向と交差する方向へ磁化方向が揃えられたフリー
磁性層と、前記フリー磁性層の磁化方向を前記固定磁性
層の磁化方向と交差する方向へ揃えるためのハードバイ
アス層と、前記固定磁性層,前記非磁性導電層,前記フ
リー磁性層付近に検出電流を与える一対の電極層とを有
し、磁気再生トラック幅方向寸法Twが0.4μm以下
に設定されるとともに、前記フリー磁性層の少なくとも
一部がNiFe合金からなり、該NiFe合金のNi濃
度CNi(原子%)が、70.2%≦CNi≦89.9%の
範囲に設定されてなることにより上記課題を解決した。
本発明において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw
(μm)と、前記フリー磁性層の少なくとも一部を構成
するNiFe合金におけるNi濃度CNi(原子%)と
が、添付図面図1に各点(Tw,CNi)で示すように、
点A1 (0.4,89.9),点B1 (0.35,8
9),点C1 (0.3,87.7),点D1 (0.2
5,86.5),点E1 (0.22,84.9),点F
1 (0.20,83),点G1 (0.19,82.
5),点H1 (0.18,81),点I1 (0.17,
80.5),点J1 (0.15,77.3),点K1
(0.13,76.8),点L1 (0.1,75),点
1 (0.1,70.2),点N1 (0.13,70.
2),点O1 (0.15,70.2),点P 1 (0.1
7,70.2),点Q1 (0.18,70.2),点R
1 (0.19,70.2),点S1 (0.20,70.
2),点T1 (0.22,70.2),点U1 (0.2
5,71.5),点V1 (0.3,73.6),点W1
(0.35,75.6),点X1 (0.4,77.3)
で囲まれる範囲内の値に設定されることが好ましい。さ
らに本発明において、前記磁気再生トラック幅方向寸法
Tw(μm)と、前記フリー磁性層の少なくとも一部を
構成するNiFe合金におけるNi濃度CNi(原子%)
とが、添付図面図2に各点(Tw,CNi)で示すよう
に、点A2 (0.4,83.7),点B2 (0.35,
83.9),点C2 (0.3,83.5),点D2
(0.25,83),点E2 (0.22,82.9),
点F2 (0.20,81.5),点G2 (0.19,8
1),点H2 (0.18,80),点J2 (0.15,
78.4),点K2 (0.13,76.5),点L2
(0.1,75),点M2 (0.1,70.6),点N
2 (0.13,70.6),点O2 (0.15,70.
6),点Q2 (0.18,71.7),点R 2 (0.1
9,72),点S2 (0.20,72.5),点T2
(0.22,73.6),点U2 (0.25,74),
点V2 (0.3,75.6),点W2 (0.35,7
6.5),点X2 (0.4,77.3)で囲まれる範囲
内の値に設定されることが好ましい。さらに本発明にお
いて、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)
と、前記フリー磁性層の少なくとも一部を構成するNi
Fe合金におけるNi濃度CNi(原子%)とが、添付図
面図3に各点(Tw,CNi)で示すように、点B1
(0.35,89),点C1 (0.3,87.7),点
1 (0.25,86.5),点E1 (0.22,8
4.9),点F1 (0.20,83),点G1 (0.1
9,82.5),点H1 (0.18,81),点I1
(0.17,80.5),点J1 (0.15,77.
3),点K1 (0.13,76.8),点L1 (0.
1,75),点M1 (0.1,70.2),点N1
(0.13,70.2),点O1 (0.15,70.
2),点P1 (0.17,70.2),点Q1 (0.1
8,70.2),点R1 (0.19,70.2),点S
1 (0.20,70.2),点T1 (0.22,70.
2),点U1 (0.25,71.5),点V1 (0.
3,73.6),点W1 (0.35,75.6)で囲ま
れる範囲内の値に設定されることが好ましい。さらに本
発明において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw
(μm)と、前記フリー磁性層の少なくとも一部を構成
するNiFe合金におけるNi濃度CNi(原子%)と
が、添付図面図4に各点(Tw,CNi)で示すように、
点B2 (0.35,83.9),点C2 (0.3,8
3.5),点D2 (0.25,83),点E2 (0.2
2,82.9),点F2 (0.20,81.5),点G
2 (0.19,81),点H2 (0.18,80),点
2 (0.15,78.4),点K2 (0.13,7
6.5),点L2 (0.1,75),点M2(0.1,
70.6),点N2 (0.13,70.6),点O2
(0.15,70.6),点Q2 (0.18,71.
7),点R2 (0.19,72),点S2(0.20,
72.5),点T2 (0.22,73.6),点U2
(0.25,74),点V2 (0.3,75.6),点
2 (0.35,76.5)で囲まれる範囲内の値に設
定されることが好ましい。さらに本発明において、前記
磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリ
ー磁性層の少なくとも一部を構成するNiFe合金にお
けるNi濃度CNiと(原子%)が、添付図面図5に各点
(Tw,CNi)で示すように、点C1 (0.3,87.
7),点D1 (0.25,86.5),点E1 (0.2
2,84.9),点F1 (0.20,83),点G1
(0.19,82.5),点H1 (0.18,81),
点I1 (0.17,80.5),点J1 (0.15,7
7.3),点K1 (0.13,76.8),点L1
(0.1,75),点M1 (0.1,70.2),点N
1 (0.13,70.2),点O1 (0.15,70.
2),点P1 (0.17,70.2),点Q1 (0.1
8,70.2),点R1 (0.19,70.2),点S
1 (0.20,70.2),点T1 (0.22,70.
2),点U1 (0.25,71.5),点V1 (0.
3,73.6)で囲まれる範囲内の値に設定されること
が好ましい。さらに本発明において、前記磁気再生トラ
ック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の少
なくとも一部を構成するNiFe合金におけるNi濃度
Ni(原子%)とが、添付図面図6に各点(Tw,
Ni)で示すように、点C2 (0.3,83.5),点
2 (0.25,83),点E2 (0.22,82.
9),点F2 (0.20,81.5),点G2 (0.1
9,81),点H2 (0.18,80),点J2 (0.
15,78.4),点K2 (0.13,76.5),点
2 (0.1,75),点M2 (0.1,70.6),
点N2 (0.13,70.6),点O2 (0.15,7
0.6),点Q2 (0.18,71.7),点R2
(0.19,72),点S2 (0.20,72.5),
点T2(0.22,73.6),点U2 (0.25,7
4),点V2 (0.3,75.6)で囲まれる範囲内の
値に設定されることが好ましい。さらに本発明におい
て、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、
前記フリー磁性層の少なくとも一部を構成するNiFe
合金におけるNi濃度CNi(原子%)とが、添付図面図
7に各点(Tw,CNi)で示すように、点D1 (0.2
5,86.5),点E1 (0.22,84.9),点F
1 (0.20,83),点G1 (0.19,82.
5),点H1 (0.18,81),点I1 (0.17,
80.5),点J1 (0.15,77.3),点K1
(0.13,76.8),点L1 (0.1,75),点
1 (0.1,70.2),点N1 (0.13,70.
2),点O1 (0.15,70.2),点P1 (0.1
7,70.2),点Q1 (0.18,70.2),点R
1 (0.19,70.2),点S1 (0.20,70.
2),点T1 (0.22,70.2),点U1 (0.2
5,71.5)で囲まれる範囲内の値に設定されること
が好ましい。さらに本発明において、前記磁気再生トラ
ック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の少
なくとも一部を構成するNiFe合金におけるNi濃度
Ni(原子%)とが、添付図面図8に各点(Tw,
Ni)で示すように、点D2 (0.25,83),点E
2 (0.22,82.9),点F2 (0.20,81.
5),点G2 (0.19,81),点H2 (0.18,
80),点J 2 (0.15,78.4),点K2 (0.
13,76.5),点L2 (0.1,75),点M2
(0.1,70.6),点N2 (0.13,70.
6),点O2(0.15,70.6),点Q2 (0.1
8,71.7),点R2 (0.19,72),点S2
(0.20,72.5),点T2 (0.22,73.
6),点U 2 (0.25,74)で囲まれる範囲内の値
に設定されることが好ましい。さらに本発明において、
前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記
フリー磁性層の少なくとも一部を構成するNiFe合金
におけるNi濃度CNi(原子%)とが、添付図面図9に
各点(Tw,CNi)で示すように、点F1 (0.20,
83),点G1 (0.19,82.5),点H1 (0.
18,81),点I1 (0.17,80.5),点J1
(0.15,77.3),点K1 (0.13,76.
8),点L1 (0.1,75),点M1 (0.1,7
0.2),点N1 (0.13,70.2),点O1
(0.15,70.2),点P1 (0.17,70.
2),点Q1 (0.18,70.2),点R1 (0.1
9,70.2),点S1 (0.20,70.2)で囲ま
れる範囲内の値に設定されることが好ましい。さらに本
発明において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw
(μm)と、前記フリー磁性層の少なくとも一部を構成
するNiFe合金におけるNi濃度CNi(原子%)と
が、添付図面図10に各点(Tw,CNi)で示すよう
に、点E2 (0.22,82.9),点F2 (0.2
0,81.5),点G2 (0.19,81),点H2
(0.18,80),点J2 (0.15,78.4),
点K2 (0.13,76.5),点L2 (0.1,7
5),点M2 (0.1,70.6),点N2 (0.1
3,70.6),点O2 (0.15,70.6),点Q
2 (0.18,71.7),点R2 (0.19,7
2),点S2 (0.20,72.5),点T2 (0.2
2,73.6)で囲まれる範囲内の値に設定されること
が好ましい。さらに本発明において、前記磁気再生トラ
ック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の少
なくとも一部を構成するNiFe合金におけるNi濃度
Ni(原子%)とが、添付図面図11に各点(Tw,C
Ni)で示すように、点G1 (0.19,82.5),点
1 (0.18,81),点I1 (0.17,80.
5),点J1 (0.15,77.3),点K1 (0.1
3,76.8),点L1 (0.1,75),点M1
(0.1,70.2),点N1 (0.13,70.
2),点O1 (0.15,70.2),点P1 (0.1
7,70.2),点Q1 (0.18,70.2),点R
1 (0.19,70.2)で囲まれる範囲内の値に設定
されることが好ましい。さらに本発明において、前記磁
気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー
磁性層の少なくとも一部を構成するNiFe合金におけ
るNi濃度CNi(原子%)とが、添付図面図12に各点
(Tw,CNi)で示すように、点F2 (0.20,8
1.5),点G2 (0.19,81),点H2 (0.1
8,80),点J2 (0.15,78.4),点K2
(0.13,76.5),点L2 (0.1,75),点
2 (0.1,70.6),点N2 (0.13,70.
6),点O2 (0.15,70.6),点Q2 (0.1
8,71.7),点R2 (0.19,72),点S2
(0.20,72.5)で囲まれる範囲内の値に設定さ
れることが好ましい。さらに本発明において、前記磁気
再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁
性層の少なくとも一部を構成するNiFe合金における
Ni濃度CNi(原子%)とが、添付図面図13に各点
(Tw,CNi)で示すように、点H1 (0.18,8
1),点I1 (0.17,80.5),点J1 (0.1
5,77.3),点K1 (0.13,76.8),点L
1 (0.1,75),点M1 (0.1,70.2),点
1 (0.13,70.2),点O1 (0.15,7
0.2),点P1 (0.17,70.2),点Q1
(0.18,70.2)で囲まれる範囲内の値に設定さ
れることが好ましい。さらに本発明において、前記磁気
再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁
性層の少なくとも一部を構成するNiFe合金における
Ni濃度CNi(原子%)とが、添付図面図14に各点
(Tw,CNi)で示すように、点G2 (0.19,8
1),点H2 (0.18,80),点J2 (0.15,
78.4),点K2 (0.13,76.5),点L2
(0.1,75),点M2(0.1,70.6),点N2
(0.13,70.6),点O2 (0.15,70.
6),点Q2 (0.18,71.7),点R2 (0.1
9,72)で囲まれる範囲内の値に設定されることが好
ましい。さらに本発明において、前記磁気再生トラック
幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の少なく
とも一部を構成するNiFe合金におけるNi濃度CNi
(原子%)とが、添付図面図15に各点(Tw,CNi
で示すように、点I1 (0.17,80.5),点J1
(0.15,77.3),点K1 (0.13,76.
8),点L1 (0.1,75),点M1 (0.1,7
0.2),点N1 (0.13,70.2),点O1
(0.15,70.2),点P1 (0.17,70.
2)で囲まれる範囲内の値に設定されることが好まし
い。さらに本発明において、前記磁気再生トラック幅方
向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の少なくとも
一部を構成するNiFe合金におけるNi濃度CNi(原
子%)とが、添付図面図16に各点(Tw,CNi)で示
すように、点H2 (0.18,80),点J2 (0.1
5,78.4),点K2 (0.13,76.5),点L
2 (0.1,75),点M2 (0.1,70.6),点
2 (0.13,70.6),点O2 (0.15,7
0.6),点Q2 (0.18,71.7)で囲まれる範
囲内の値に設定されることが好ましい。さらに本発明に
おいて、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)
と、前記フリー磁性層の少なくとも一部を構成するNi
Fe合金におけるNi濃度CNi(原子%)とが、添付図
面図17に各点(Tw,CNi)で示すように、点J1
(0.15,77.3),点K1 (0.13,76.
8),点L1 (0.1,75),点M1 (0.1,7
0.2),点N1 (0.13,70.2),点O1
(0.15,70.2)で囲まれる範囲内の値に設定さ
れることが好ましい。さらに本発明において、前記磁気
再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁
性層の少なくとも一部を構成するNiFe合金における
Ni濃度CNi(原子%)とが、添付図面図18に各点
(Tw,CNi)で示すように、点J2 (0.15,7
8.4),点K2 (0.13,76.5),点L2
(0.1,75),点M2 (0.1,70.6),点N
2 (0.13,70.6),点O2 (0.15,70.
6)で囲まれる範囲内の値に設定されることが好まし
い。さらに本発明において、前記磁気再生トラック幅方
向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の少なくとも
一部を構成するNiFe合金におけるNi濃度CNi(原
子%)とが、添付図面図19に各点(Tw,CNi)で示
すように、点K1 (0.13,76.8),点L1
(0.1,75),点M1 (0.1,70.2),点N
1 (0.13,70.2)で囲まれる範囲内の値に設定
されることが好ましい。さらに本発明において、前記磁
気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー
磁性層の少なくとも一部を構成するNiFe合金におけ
るNi濃度CNi(原子%)とが、添付図面図20に各点
(Tw,CNi)で示すように、点K2 (0.13,7
6.5),点L2 (0.1,75),点M2 (0.1,
70.6),点N2 (0.13,70.6)で囲まれる
範囲内の値に設定されることが好ましい。本発明の前記
基板上には、前記各層が、少なくとも前記反強磁性層、
前記固定磁性層、前記非磁性導電層、前記フリー磁性層
の順に積層されてなることが好ましい。本発明におい
て、前記反強磁性層が、X−Mn合金,Pt−Mn−
X’合金(ただし前記組成式において、XはPt,P
d,Ir,Rh,Ru、Osのなかから選択される1種
を示し、X’はPd、Cr、Ru、Ni、Ir、Rh、
Os、Au、Ag、Ne、Ar、Xe、Krのなかから
選択される1種または2種以上を示す)のいずれかから
なることができる。本発明において、前記固定磁性層と
フリー磁性層との少なくとも一方が非磁性中間層を介し
て2つに分断され、分断された層どうしで磁化の向きが
180゜異なるフェリ磁性状態とされていてもよい。本
発明において、前記フリー磁性層の前記再生トラック幅
方向の幅寸法と前記フリー磁性層の素子高さ方向寸法と
が略1:1〜3:2の比率に設定されてなることができ
る。本発明の薄膜磁気ヘッドにおいては、上述のスピン
バルブ型薄膜磁気素子を備えたことにより上記課題を解
決することができる。
【0018】通常、1μm程度のトラック幅を有するス
ピンバルブ型薄膜磁気素子において、例えば、反強磁性
層、固定磁性層、非磁性導電層、およびフリー磁性層、
を積層して、形成された積層体において、実際には、こ
の積層体全体が磁気抵抗効果を発揮するのではなく、そ
の中央領域のみが再生感度に優れており、実質的にこの
中央領域のみが、磁気抵抗効果を発揮する領域となって
いる。この再生感度に優れた積層体の領域を感度領域と
呼び、前記感度領域の両側であって、再生感度の悪い領
域を不感領域と呼ぶが、積層体に占める感度領域および
不感領域は、マイクロトラックプロファイル法によって
測定される。以下、マイクロトラックプロファイル法に
ついて、図41に基づいて説明する。
【0019】図41に示すように、磁気抵抗効果を発揮
する積層体と、その両側に形成されたハードバイアス層
と、このハードバイアス層上に形成された電極層とを有
し、かつ、磁歪の影響を無視し得る、従来のスピンバル
ブ型薄膜磁気素子を基板上に形成する。次に、光学顕微
鏡または走査型電子顕微鏡によって、積層体の上面の幅
寸法Aを測定する。この幅寸法Aは光学的方法によって
測定されたトラック幅Tw(以下、光学的トラック幅寸
法O−Twという)として定義され、1μm程度に設定
される。
【0020】そして、磁気記録媒体上に、微小トラック
として、所定の信号を記録しておき、スピンバルブ型薄
膜磁気素子を、この微小トラック上でトラック幅方向に
走査させることにより、積層体の幅寸法Aと、再生出力
との関係を測定する。あるいは、微小トラックが形成さ
れた磁気記録媒体側を、スピンバルブ型薄膜磁気素子上
にトラック幅方向に走査させて積層体の幅寸法Aと、再
生出力との関係を測定してもよい。その測定結果の一例
が、図41の下側に示されている。
【0021】この測定結果によると、積層体の中央付近
では、再生出力が高くなり、前記積層体の側部付近で
は、再生出力が低くなることがわかる。この結果から、
積層体の中央付近では、良好に磁気抵抗効果が発揮さ
れ、再生機能に関与するが、その両側部付近において
は、磁気抵抗効果が悪化して再生出力が低く、再生機能
が低下している。
【0022】通常、図41に示すように、積層体上面に
おけるトラック幅寸法Aのうち、最大再生出力に対して
50%以上の再生出力が発生する積層体上面の幅寸法B
で形成された領域を感度領域と定義し、最大再生出力に
対して50%以下の再生出力しか発生しない積層体上面
の幅寸法Cを有して形成された領域を不感領域として定
義する。ここで、不感領域は、ハードバイアス層からの
磁界によってフリー磁性層の変動磁化の回転が鈍くなっ
ている部分であり、物理的トラック幅と光学トラック幅
寸法との差とは異なるものである。
【0023】本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子にお
いては、反強磁性層と、この反強磁性層と接して形成さ
れ、前記反強磁性層との交換結合磁界により磁化方向が
固定される固定磁性層と、前記固定磁性層に非磁性導電
層を介して形成され、前記固定磁性層の磁化方向と交差
する方向へ磁化方向が揃えられたフリー磁性層とが積層
されて積層体を形成し、この積層体のトラック幅方向両
側位置に、前記フリー磁性層の磁化方向を前記固定磁性
層の磁化方向と交差する方向へ揃えるためのハードバイ
アス層と、前記フリー磁性層付近に検出電流を与える一
対の電極層とを有し、前記積層体上面において後述する
マイクロトラッププロファイル法により定義された磁気
再生トラック幅方向寸法Twが0.4μm以下に設定さ
れるとともに、前記フリー磁性層の少なくとも一部がN
iFe合金からなり、そのNiFe合金におけるNi濃
度CNi(原子%)が70.2%≦CNi≦89.9%の範
囲に設定されてなることにより、狭トラック化によって
低下するスピンバルブ型薄膜磁気素子の再生出力を向上
することができる。
【0024】スピンバルブ型薄膜素子において、トラッ
ク幅が1μm程度に設定された場合に比べて、トラック
幅が0.4μm以下に設定されている場合には、このま
までは、前述したようにスピンバルブ型薄膜磁気素子の
再生出力が低下するが、本発明では、逆磁歪効果により
再生出力の向上を図るため、フリー磁性層の組成を設定
している。
【0025】ここで、磁歪とスピンバルブ型薄膜磁気素
子の出力との関係について説明する。
【0026】一般的に、平面的に成膜された膜にかかっ
ている応力というのは、その膜面内方向でほぼ等方的な
状態になっている。しかし、例えばスピンバルブ型薄膜
素子のフリー磁性層に対するABS面のように、一部を
切断することにより一部が開放された膜においては、膜
面内における応力分布が異方的になってしまう。例え
ば、この場合、フリー磁性層内には、素子高さ方向(ス
トライプハイト方向)に引張応力が異方的にはたらくこ
とになる。ここで、磁性体、いまの場合フリー磁性層の
磁歪がゼロの場合には、フリー磁性層を磁化したときに
も磁歪が起こることはない。したがって、フリー磁性層
の磁歪によって誘導される磁気異方性は等方的になって
いる。しかし、磁歪をプラス、つまり磁化した方向に伸
びる状態に設定することで、逆磁歪効果により、作用す
る引張応力の方向に磁化が向きやすくなり、磁気異方性
が現出することになる。つまり、この引張応力の作用す
るフリー磁性層においては、前記引張応力の方向を磁化
容易軸とすることができる。したがって、フリー磁性層
の磁化変化状態はハードバイアス層からの磁界によりト
ラック幅方向に固定されているが、素子高さ方向の磁気
異方性を有することにより、そのハードバイアスの磁界
に反して(打ち勝って)、磁化容易軸方向、つまり素子
高さ方向に割と回転しやすくなる。その結果、スピンバ
ルブ型薄膜磁気素子において、フリー磁性層の変動磁化
方向が、固定磁性層の固定磁化方向に対して回転するこ
とにより発現する磁気抵抗効果による抵抗変化がおこり
やすくなるため、再生出力の増大を見込むことができ
る。
【0027】一方、スピンバルブ型薄膜素子において、
上記のようにトラック幅が0.4μm以下に設定されて
いる場合には、ハードバイアス層の影響を受けて前記フ
リー磁性層の磁化がトラック幅方向に揃えられる際に、
フリー磁性層には、前述した感度領域の生じるほど前記
ハードバイアス層から距離的に離れている部分がないた
め、トラック幅が0.4μmより広い場合において、ト
ラック幅方向においてフリー磁性層へ前記ハードバイア
ス層からの影響が大きく変動することが防止される。従
って、上記のようにフリー磁性層を構成するNiFe合
金におけるNi濃度CNi(原子%)を設定することによ
って、フリー磁性層における素子高さ方向の磁歪λsを
―7.0×10-5≦λs≦2.0×10-6の範囲に設定
することが可能となるとともに、トラック幅が広い場合
に比較してトラック幅方向において、フリー磁性層の変
動磁化の回転容易性が分布を有し、磁壁ができて磁区が
不安定になることを防止することができる。このため、
フリー磁性層には、トラック幅方向において、感度のば
らつく領域が形成されることがなく、フリー磁性層内に
磁壁ができて単磁区化が妨げられ、磁化の不均一が発生
し、スピンバルブ型薄膜素子において、磁気記録媒体か
らの信号の処理が不正確になる不安定性(instability
)の原因となるバルクハイゼンノイズ等が発生するこ
とを防止することができる。
【0028】本発明においては、磁気再生トラック幅方
向寸法Twが0.4μm以上に設定された場合には、前
述したように、フリー磁性層内に磁壁ができる可能性が
あるとともに、前記フリー磁性層を構成するNiFe合
金におけるNi濃度CNi(原子%)が70.2%より小
さく設定された場合には、フリー磁性層におけるハード
バイアス層からの保磁力が400A/m程度以上にな
り、フリー磁性層の軟磁気特性が低下するため好ましく
ない。また、前記フリー磁性層を構成するNiFe合金
におけるNi濃度CNi(原子%)が89.9%より大き
く設定された場合には、スピンバルブ型薄膜磁気素子の
10MHz〜20MHz程度の低周波数帯における再生
出力が実用下限値1.2mVを下まわってしまい好まし
くない。ここで、前述のように前記フリー磁性層を構成
するNiFe合金におけるNi濃度CNi(原子%)が設
定された場合において、前記フリー磁性層の磁歪λs
が、―7.0×10-6より小さく設定されると、フリー
磁性層の変動磁化がハードバイアス層に必要以上に強固
に固定されてしまい、印加される外部磁界に対して、感
度好く変動磁化が回転せず、スピンバルブ型薄膜磁気素
子の10MHz〜20MHz程度の低周波数帯における
再生出力が実用下限値1.2mVを下まわってしまい好
ましくない。また、磁歪λsが2.0×10-5以上に設
定された場合には、フリー磁性層における保磁力が40
0A/m程度以上になり、フリー磁性層の軟磁気特性が
低下するため好ましくない。
【0029】本発明において、前記磁気再生トラック幅
方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層少なくとも
一部を構成するNiFe合金におけるNi濃度CNi(原
子%)とが、添付図面図1に各点(Tw,CNi)で示す
ように、点A1 (0.4,89.9),点B1 (0.3
5,89),点C1 (0.3,87.7),点D1
(0.25,86.5),点E1 (0.22,84.
9),点F1 (0.20,83),点G1 (0.19,
82.5),点H1 (0.18,81),点I1 (0.
17,80.5),点J1 (0.15,77.3),点
1 (0.13,76.8),点L1 (0.1,7
5),点M1 (0.1,70.2),点N1 (0.1
3,70.2),点O1 (0.15,70.2),点P
1 (0.17,70.2),点Q1 (0.18,70.
2),点R1 (0.19,70.2),点S1 (0.2
0,70.2),点T1 (0.22,70.2),点U
1 (0.25,71.5),点V1 (0.3,73.
6),点W1 (0.35,75.6),点X1 (0.
4,77.3)で囲まれる範囲内の値に設定されること
ができ、これにより、前記磁気再生トラック幅方向寸法
Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10
-6)とを、図42に各点(Tw,λs)で示すように、
点SA1 (0.4,6),点SB1 (0.35,8),
点SC1(0.3,12.5),点SD1 (0.25,
18),点SE1 (0.23,20),点SF1 (0.
2,20),点SG1 (0.19,20),点SH1
(0.18,20),点SI1 (0.17,20),点
SJ1 (0.15,20),点SK1 (0.1,2
0),点SL1 (0.1,9),点SM1 (0.15,
3.5),点SN1 (0.17.2),点SO1 (0.
18,1),点SP1 (0.19,0),点SQ1
(0.2,−0.7),点SR1 (0.22,−2),
点SS1 (0.25,−3),点ST1 (0.3,−
5),点SU1 (0.35,−6.3),点SV1
(0.4,−7)で囲まれた対応する範囲内の値に設定
することが可能となる ここで、図42,43は、本発明における磁気再生トラ
ック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁
歪λs(×10-6)との範囲を示す図である。上記の範
囲以外に前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)
と、前記フリー磁性層の少なくとも一部を構成するNi
Fe合金におけるNi濃度CNi(原子%)とが設定され
た場合には、以下のような不都合があった。 磁気再生トラック幅方向寸法Twが、図1において点
1 ,点X1 より右側に設定された場合には、前述した
ように、フリー磁性層内に磁壁ができて不安定性(inst
ability )の原因となるバルクハイゼンノイズ等が発生
する可能性があり好ましくない。 磁気再生トラック幅方向寸法Tw、および、前記フリ
ー磁性層の少なくとも一部を構成するNiFe合金にお
けるNi濃度CNiが、点A1 ,点B1 ,点C1 ,点D
1 ,点E1 ,点F1 ,点G1 ,点H1 ,点I1 ,点J
1 ,点K1 ,点L1 より上側に設定された場合には、フ
リー磁性層の変動磁化がハードバイアス層に必要以上に
強固に固定されてしまい、印加される外部磁界に対し
て、感度好く変動磁化が回転せず、スピンバルブ型薄膜
磁気素子10MHz〜20MHz程度の低周波数帯にお
ける再生出力が実用下限値1.2mVを下まわってしま
い好ましくない。 前記フリー磁性層の少なくとも一部を構成するNi
Fe合金におけるNi濃度CNiが、点M1 ,点N1 ,点
1 ,点P1 ,点Q1 ,点R1 ,点S1 ,点T1より下
側に設定された場合には、フリー磁性層における保磁力
が400A/m程度以上になり、フリー磁性層の軟磁気
特性が低下し、再生波形の歪みや不安定性(instabilit
y )が増加するため好ましくない。 磁気再生トラック幅方向寸法Tw、および、前記フリ
ー磁性層の少なくとも一部を構成するNiFe合金にお
けるNi濃度CNi(原子%)が、点T1 ,点U1,点V1
,点W1 ,点X1 より下側に設定された場合には、ス
ピンバルブ型薄膜磁気素子の10MHz〜20MHz程
度の低周波数帯における再生出力が実用上限値約2.0
mVを上まわってしまい、再生波形の不安定性(instab
ility )が増加する可能性があり、好ましくない。ここ
で、本発明のように磁歪を大きくしても出力が得られに
くいため、ハードバイアス層によりフリー磁性層の磁化
方向を揃えるハードバイアス方式そのものが使える可能
性が低い。このため、本発明においては、トラック幅の
範囲を1μm以上に規定している。
【0030】本発明において、前記磁気再生トラック幅
方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の少なくと
も一部を構成するNiFe合金におけるNi濃度C
Ni(原子%)とが、添付図面図2に各点(Tw,CNi
で示すように、点A2 (0.4,83.7),点B2
(0.35,83.9),点C2 (0.3,83.
5),点D2 (0.25,83),点E2 (0.22,
82.9),点F2 (0.20,81.5),点G2
(0.19,81),点H2 (0.18,80),点J
2 (0.15,78.4),点K2 (0.13,76.
5),点L2 (0.1,75),点M2 (0.1,7
0.6),点N2 (0.13,70.6),点O2
(0.15,70.6),点Q2 (0.18,71.
7),点R 2 (0.19,72),点S2 (0.20,
72.5),点T2 (0.22,73.6),点U2
(0.25,74),点V2 (0.3,75.6),点
2 (0.35,76.5),点X2 (0.4,77.
3)で囲まれる範囲内の値に設定されることができ、こ
れにより、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μ
m)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)と
が、図43に各点(Tw,λs)で示すように、点SA
2 (0.4,6),点SB2 (0.35,6),点SC
2 (0.3,7.5),点SD2 (0.25,10.
5),点SE2 (0.23,11),点SF2 (0.2
2,12),点SG2 (0.2,13.5),点SH2
(0.19,14.2),点SI2 (0.18,15.
1),点SJ2 (0.15,17.5),点SK
2 (0.1,20),点SL2 (0.1,9),点SX
2 (0.13,5),点SM2 (0.15,3.5),
点SN2 (0.18,1.5),点SO2 (0.19,
1.2),点SP2 (0.2,1),点SQ2 (0.2
2,0),点SR2 (0.23,−0.5),点SS2
(0.25,−1),点ST2 (0.3,−1.5),
点SU2 (0.35,−1.6),点SV2 (0.4,
−1.5)で囲まれる範囲内の値に設定されることが可
能となる。上記の範囲以外に前記磁気再生トラック幅方
向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の少なくとも
一部を構成するNiFe合金におけるNi濃度CNi(原
子%)とが設定された場合には、以下のような不都合が
あった。 磁気再生トラック幅方向寸法Twが、図2において点
2 ,点X2 より右側に設定された場合には、前述した
ように、フリー磁性層内に磁壁ができて不安定性(inst
ability )の原因となるバルクハイゼンノイズ等が発生
する可能性があり好ましくない。 磁気再生トラック幅方向寸法Tw、および、前記フリ
ー磁性層少なくとも一部を構成するNiFe合金におけ
るのNi濃度CNi(原子%)が、点A2 ,点B2,点C2
,点D2 ,点E2 ,点F2 ,点G2 ,点H2 ,点J
2 ,点K2 ,点L2より上側に設定された場合には、フ
リー磁性層の変動磁化がハードバイアス層に必要以上に
強固に固定されてしまい、印加される外部磁界に対し
て、感度好く変動磁化が回転せず、スピンバルブ型薄膜
磁気素子10MHz〜20MHz程度の低周波数帯にお
ける再生出力が実用下限値1.2mVを下まわってしま
い好ましくない。さらに、上記のような、点A2 ないし
点L2 の内側に設定されることにより、トラック幅が狭
くなるにしたがって、フリー磁性層の変動磁化を安定す
るためのハードバイアス層の残留磁化×膜厚積を、再生
波形の不安定性をより確実に防止するのに必要とされる
以下に、小さくしなくてもよいため、より好ましい。 前記フリー磁性層の少なくとも一部を構成するNi
Fe合金におけるNi濃度CNi(原子%)が、点M2
点N2 ,点O2 より下側に設定された場合には、フリー
磁性層における保磁力が400A/m程度以上になり、
フリー磁性層の軟磁気特性が低下し、再生波形の歪みや
不安定性(instability )が増加するため好ましくな
い。 磁気再生トラック幅方向寸法Tw、および、前記フリ
ー磁性層の少なくとも一部を構成するNiFe合金にお
けるNi濃度CNi(原子%)が、点O2 ,点Q2,点R2
,点S2 ,点T2 ,点U2 ,点V2 ,点W2 ,点X2
より下側に設定された場合には、スピンバルブ型薄膜磁
気素子の10MHz〜20MHz程度の低周波数帯にお
ける再生出力が実用上限値約2.0mVを上まわってし
まい、再生波形の不安定性(instability )が増加する
可能性があり、好ましくない。さらに、上記のような、
点E2 ないし点V2 の内側に設定されることにより、ト
ラック幅が狭くなるにしたがって、フリー磁性層の変動
磁化を安定するためのハードバイアス層の残留磁化×膜
厚積は少なくてよいため、時期的な再生トラック幅精度
の制御性の上でより好ましい。
【0031】ところでバルク固体状態のNiFe合金膜
の磁歪はNiFe合金膜の組成に非常に敏感であること
が一般的に知られている。また、バルク固体状態のNi
Fe合金膜に非磁性原子を添加すると、非磁性原子の添
加量と、非磁性原子の種類によって、磁歪が変化するこ
とも知られている。
【0032】スピンバルブ型薄膜磁気素子のフリー磁性
層のように、NiFe合金膜やNiFe合金膜とCoF
e合金膜との積層体を数十原子層の厚さに薄膜化し、そ
の上下に非磁性膜を形成すると、非磁性原子(TaやC
u)とNiFe合金膜中の強磁性原子(NiやFe)ど
うしが直接接するため、非磁性膜原子と直接接したNi
Fe合金膜の強磁性原子の磁歪は変化することになる。
この磁歪の変化は、非磁性原子がTa膜である場合と、
Cu膜である場合とでは異なる。従って、トップタイプ
(top type;PtMn上配置型)あるいはボトムタイプ
(bottom type;PtMn下配置型)のスピンバルブ型
薄膜磁気素子および、デュアルタイプのスピンバルブ型
薄膜磁気素子で、それぞれフリー磁性層の磁歪を最適化
するために必要とされるフリー磁性層の少なくとも一部
を構成するNiFe合金膜の組成範囲を設定することが
できる。
【0033】またスピンバルブ型薄膜磁気素子に熱処理
を施すことにより、フリー磁性層のNiFe合金膜とT
a,Cu等の非磁性膜の界面には熱拡散層が形成され、
NiFe合金膜中の強磁性原子は上下に配置されている
非磁性原子と、より多く接することになる。NiFe合
金膜と非磁性膜の熱拡散層の厚みは、熱処理の温度、熱
処理時間、非磁性膜の種類、非磁性膜が上に配置されて
いるか、下に配置されているか、には依存するが、Ni
Fe合金膜の膜厚にはほとんど依存しないため、NiF
e合金膜が薄くなるほど、NiFe合金膜中に占める熱
拡散層の割合が増加することになる。従って、NiFe
合金膜が薄くなるほど、熱拡散層の形成によって変化し
た磁歪の影響が大きくなるため、NiFe合金膜の膜厚
を変えると、磁歪が変化することになる。熱処理を施す
と磁歪が変化する理由も同様である。
【0034】また、NiFe合金膜の膜組成、膜厚、熱
処理条件が同じでも、トップタイプあるいはボトムタイ
プのスピンバルブ型薄膜磁気素子と、デュアルタイプの
スピンバルブ型薄膜磁気素子では、NiFe合金膜を挟
む非磁性材料が異なるため、フリー磁性層の磁歪を最適
化するために必要とされるフリー磁性層の少なくとも一
部を構成するNiFe合金膜の組成範囲が各々で異なる
ことになる。他方、トップタイプのスピンバルブ膜と、
ボトムタイプのスピンバルブ膜では、NiFe合金膜の
上下に形成される非磁性材料は同じであるが、積層順序
が逆であるので、層界面での結晶格子のミスマッチ度
(整合度)が異なり、その結果、直接接する強磁性原子
と非磁性原子の割合と接し方が異なるとともに、層界面
における熱拡散係数も異なってくるため、フリー磁性層
の磁歪を最適化するために必要とされるフリー磁性層の
少なくとも一部を構成するNiFe合金膜の組成範囲が
各々で異なることになる。本発明においては、このよう
な事情を考慮した上て、前記磁気記録トラック幅方向寸
法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の少なくとも一部
を構成するNiFe合金におけるNi濃度CNiとが設定
されている。
【0035】さらに、本発明において、前記磁気再生ト
ラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の
少なくとも一部を構成するNiFe合金におけるNi濃
度C Ni(原子%)とが、添付図面図3に各点(Tw,C
Ni)で示すように、点B1 (0.35,89),点C1
(0.3,87.7),点D1 (0.25,86.
5),点E1 (0.22,84.9),点F1 (0.2
0,83),点G1 (0.19,82.5),点H1
(0.18,81),点I1 (0.17,80.5),
点J1 (0.15,77.3),点K1 (0.13,7
6.8),点L1 (0.1,75),点M1 (0.1,
70.2),点N1 (0.13,70.2),点O1
(0.15,70.2),点P1 (0.17,70.
2),点Q1 (0.18,70.2),点R1 (0.1
9,70.2),点S1 (0.20,70.2),点T
1 (0.22,70.2),点U1 (0.25,71.
5),点V1 (0.3,73.6),点W1 (0.3
5,75.6)で囲まれる範囲内の値に設定されること
ができ、この範囲であると、図42において対応するト
ラック幅の範囲で規定される範囲に前記フリー磁性層の
磁歪λsを規定することができるため、特に0.35μ
m以下の再生トラック幅の磁気ヘッドにおいて、再生波
形の歪みや不安定性(instability )を抑制しつつ必要
な再生出力を確保する上でより好ましい。
【0036】本発明において、前記磁気再生トラック幅
方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の少なくと
も一部を構成するNiFe合金におけるNi濃度C
Ni(原子%)とが、添付図面図4に各点(Tw,CNi
で示すように、点B2 (0.35,83.9),点C2
(0.3,83.5),点D2 (0.25,83),点
2 (0.22,82.9),点F2 (0.20,8
1.5),点G2 (0.19,81),点H2 (0.1
8,80),点J2 (0.15,78.4),点K2
(0.13,76.5),点L2 (0.1,75),点
2(0.1,70.6),点N2 (0.13,70.
6),点O2 (0.15,70.6),点Q2 (0.1
8,71.7),点R2 (0.19,72),点S
2(0.20,72.5),点T2 (0.22,73.
6),点U2 (0.25,74),点V2 (0.3,7
5.6),点W2 (0.35,76.5)で囲まれる範
囲内の値に設定されることができ、この範囲であると、
図43において対応するトラック幅の範囲で規定される
範囲に前記フリー磁性層の磁歪λsを規定することがで
きるため、特に0.35μm以下の再生トラック幅の磁
気ヘッドにおいて、再生波形の歪みや不安定性(instab
ility )を更に効果的に抑制する上で好ましく、そし
て、磁気的再生トラック幅の制御性の上で好適なハード
バイアス層の残留磁化×膜厚積にハードバイアス層を設
定しつつ、必要な再生出力を確保する上でより好まし
い。
【0037】本発明において、前記磁気再生トラック幅
方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の少なくと
も一部を構成するNiFe合金におけるNi濃度C
Ni(原子%)とが、添付図面図5に各点(Tw,CNi
で示すように、点C1 (0.3,87.7),点D1
(0.25,86.5),点E1 (0.22,84.
9),点F1 (0.20,83),点G1 (0.19,
82.5),点H1 (0.18,81),点I1 (0.
17,80.5),点J1 (0.15,77.3),点
1 (0.13,76.8),点L1 (0.1,7
5),点M1 (0.1,70.2),点N1 (0.1
3,70.2),点O1 (0.15,70.2),点P
1 (0.17,70.2),点Q1 (0.18,70.
2),点R1 (0.19,70.2),点S1 (0.2
0,70.2),点T1 (0.22,70.2),点U
1 (0.25,71.5),点V1 (0.3,73.
6)で囲まれる範囲内の値に設定されることができ、こ
の範囲であると、図42において対応するトラック幅の
範囲で規定される範囲に前記フリー磁性層の磁歪λsを
規定することができるため、特に0.3μm以下の再生
トラック幅の磁気ヘッドにおいて、再生波形の歪みや不
安定性(instability )を抑制しつつ必要な再生出力を
確保する上でより好ましい。
【0038】本発明において、前記磁気再生トラック幅
方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の少なくと
も一部を構成するNiFe合金におけるNi濃度C
Ni(原子%)とが、添付図面図6に各点(Tw,CNi
で示すように、点C2 (0.3,83.5),点D2
(0.25,83),点E2 (0.22,82.9),
点F2 (0.20,81.5),点G2 (0.19,8
1),点H2 (0.18,80),点J2 (0.15,
78.4),点K2 (0.13,76.5),点L2
(0.1,75),点M2 (0.1,70.6),点N
2 (0.13,70.6),点O2 (0.15,70.
6),点Q2 (0.18,71.7),点R2 (0.1
9,72),点S2 (0.20,72.5),点T
2(0.22,73.6),点U2 (0.25,7
4),点V2 (0.3,75.6)で囲まれる範囲内の
値に設定されることができ、この範囲であると、図43
において対応するトラック幅の範囲で規定される範囲に
前記フリー磁性層の素子高さ方向の磁歪λsを規定する
ことができるため、特に0.3μm以下の再生トラック
幅の磁気ヘッドにおいて、再生波形の歪みや不安定性
(instability )を更に効果的に抑制する上で好まし
く、そして、磁気的再生トラック幅の制御の上で好適な
ハードバイアス層の残留磁化×膜厚積にハードバイアス
層を設定しつつ、必要な再生出力を確保する上でより好
ましい。
【0039】本発明において、前記磁気再生トラック幅
方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の少なくと
も一部を構成するNiFe合金におけるNi濃度C
Ni(原子%)とが、添付図面図7に各点(Tw,CNi
で示すように、点D1 (0.25,86.5),点E1
(0.22,84.9),点F1 (0.20,83),
点G1 (0.19,82.5),点H1 (0.18,8
1),点I1 (0.17,80.5),点J1 (0.1
5,77.3),点K1 (0.13,76.8),点L
1 (0.1,75),点M1 (0.1,70.2),点
1 (0.13,70.2),点O1 (0.15,7
0.2),点P1 (0.17,70.2),点Q1
(0.18,70.2),点R1 (0.19,70.
2),点S1 (0.20,70.2),点T1 (0.2
2,70.2),点U1 (0.25,71.5)で囲ま
れる範囲内の値に設定されることができ、この範囲であ
ると、図42において対応するトラック幅の範囲で規定
される範囲に前記フリー磁性層の磁歪λsを規定するこ
とができるため、特に0.25μm以下の再生トラック
幅の磁気ヘッドにおいて、再生波形の歪みや不安定性
(instability)を抑制しつつ必要な再生出力を確保す
る上でより好ましい。
【0040】本発明において、前記磁気再生トラック幅
方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の少なくと
も一部を構成するNiFe合金におけるNi濃度C
Ni(原子%)とが、添付図面図8に各点(Tw,CNi
で示すように、点D2 (0.25,83),点E2
(0.22,82.9),点F2 (0.20,81.
5),点G2 (0.19,81),点H2 (0.18,
80),点J 2 (0.15,78.4),点K2 (0.
13,76.5),点L2 (0.1,75),点M2
(0.1,70.6),点N2 (0.13,70.
6),点O2(0.15,70.6),点Q2 (0.1
8,71.7),点R2 (0.19,72),点S2
(0.20,72.5),点T2 (0.22,73.
6),点U 2 (0.25,74)で囲まれる範囲内の値
に設定されることができ、この範囲であると、図43に
おいて対応するトラック幅の範囲で規定される範囲に前
記フリー磁性層の磁歪λsを規定することができるた
め、特に0.25μm以下の再生トラック幅の磁気ヘッ
ドにおいて、再生波形の歪みや不安定性(instabilit
y)を更に効果的に抑制する上で好ましく、そして、磁
気的再生トラック幅の制御の上で好適なハードバイアス
層の残留磁化×膜厚積にハードバイアス層を設定しつ
つ、必要な再生出力を確保する上でより好ましい。
【0041】本発明において、前記磁気再生トラック幅
方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の少なくと
も一部を構成するNiFe合金におけるNi濃度C
Ni(原子%)とが、添付図面図9に各点(Tw,CNi
で示すように、点F1 (0.20,83),点G1
(0.19,82.5),点H1 (0.18,81),
点I1 (0.17,80.5),点J1 (0.15,7
7.3),点K1 (0.13,76.8),点L1
(0.1,75),点M1 (0.1,70.2),点N
1 (0.13,70.2),点O1 (0.15,70.
2),点P1 (0.17,70.2),点Q1 (0.1
8,70.2),点R1 (0.19,70.2),点S
1 (0.20,70.2)で囲まれる範囲内の値に設定
されることができ、この範囲であると、図42において
対応するトラック幅の範囲で規定される範囲に前記フリ
ー磁性層の磁歪λsを規定することができるため、特に
0.25μm以下の再生トラック幅の磁気ヘッドにおい
て、再生波形の歪みや不安定性(instability )を抑制
しつつ必要な再生出力を確保する上でより好ましい。
【0042】本発明において、前記磁気再生トラック幅
方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の少なくと
も一部を構成するNiFe合金におけるNi濃度C
Ni(原子%)とが、添付図面図10に各点(Tw,
Ni)で示すように、点E2 (0.22,82.9),
点F2 (0.20,81.5),点G2 (0.19,8
1),点H2 (0.18,80),点J2 (0.15,
78.4),点K2 (0.13,76.5),点L2
(0.1,75),点M2 (0.1,70.6),点N
2 (0.13,70.6),点O2 (0.15,70.
6),点Q2 (0.18,71.7),点R2 (0.1
9,72),点S2 (0.20,72.5),点T2
(0.22,73.6)で囲まれる範囲内の値に設定さ
れることができ、この範囲であると、図43において対
応するトラック幅の範囲で規定される範囲に前記フリー
磁性層の磁歪λsを規定することができるため、特に
0.22μm以下の再生トラック幅の磁気ヘッドにおい
て、再生波形の歪みや不安定性(instability )を更に
効果的に抑制する上で好ましく、そして、磁気的再生ト
ラック幅の制御の上で好適なハードバイアス層の残留磁
化×膜厚積にハードバイアス層を設定しつつ、必要な再
生出力を確保する上でより好ましい。
【0043】本発明において、前記磁気再生トラック幅
方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の少なくと
も一部を構成するNiFe合金におけるNi濃度C
Ni(原子%)とが、添付図面図11に各点(Tw,
Ni)で示すように、点G1 (0.19,82.5),
点H1 (0.18,81),点I1 (0.17,80.
5),点J1 (0.15,77.3),点K1 (0.1
3,76.8),点L1 (0.1,75),点M1
(0.1,70.2),点N1 (0.13,70.
2),点O1 (0.15,70.2),点P1 (0.1
7,70.2),点Q1 (0.18,70.2),点R
1 (0.19,70.2)で囲まれる範囲内の値に設定
されることができ、この範囲であると、図42において
対応するトラック幅の範囲で規定される範囲に前記フリ
ー磁性層の磁歪λsを規定することができるため、特に
0.19μm以下の再生トラック幅の磁気ヘッドにおい
て、再生波形の歪みや不安定性(instability )を抑制
しつつ必要な再生出力を確保する上でより好ましい。
【0044】本発明において、前記磁気再生トラック幅
方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の少なくと
も一部を構成するNiFe合金におけるNi濃度C
Ni(原子%)とが、添付図面図12に各点(Tw,
Ni)で示すように、点F2 (0.20,81.5),
点G2 (0.19,81),点H2 (0.18,8
0),点J2 (0.15,78.4),点K2 (0.1
3,76.5),点L2 (0.1,75),点M2
(0.1,70.6),点N2 (0.13,70.
6),点O2 (0.15,70.6),点Q2 (0.1
8,71.7),点R2 (0.19,72),点S2
(0.20,72.5)で囲まれる範囲内の値に設定さ
れることができ、この範囲であると、図43において対
応するトラック幅の範囲で規定される範囲に前記フリー
磁性層の磁歪λsを規定することができるため、特に
0.2μm以下の再生トラック幅の磁気ヘッドにおい
て、再生波形の歪みや不安定性(instability )を更に
効果的に抑制する上で好ましく、そして、磁気的再生ト
ラック幅の制御の上で好適なハードバイアス層の残留磁
化×膜厚積にハードバイアス層を設定しつつ、必要な再
生出力を確保する上でより好ましい。
【0045】本発明において、前記磁気再生トラック幅
方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の少なくと
も一部を構成するNiFe合金におけるNi濃度C
Ni(原子%)とが、添付図面図13に各点(Tw,
Ni)で示すように、点H1 (0.18,81),点I
1 (0.17,80.5),点J1 (0.15,77.
3),点K1 (0.13,76.8),点L1 (0.
1,75),点M1 (0.1,70.2),点N1
(0.13,70.2),点O1 (0.15,70.
2),点P1 (0.17,70.2),点Q1 (0.1
8,70.2)で囲まれる範囲内の値に設定されること
ができ、この範囲であると、図42において対応するト
ラック幅の範囲で規定される範囲に前記フリー磁性層の
磁歪λsを規定することができるため、特に0.18μ
m以下の再生トラック幅の磁気ヘッドにおいて、再生波
形の歪みや不安定性(instability )を抑制しつつ必要
な再生出力を確保する上でより好ましい。
【0046】本発明において、前記磁気再生トラック幅
方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の少なくと
も一部を構成するNiFe合金におけるNi濃度C
Ni(原子%)とが、添付図面図14に各点(Tw,
Ni)で示すように、点G2 (0.19,81),点H
2 (0.18,80),点J2 (0.15,78.
4),点K2 (0.13,76.5),点L2 (0.
1,75),点M2(0.1,70.6),点N2
(0.13,70.6),点O2 (0.15,70.
6),点Q2 (0.18,71.7),点R2 (0.1
9,72)で囲まれる範囲内の値に設定されることがで
き、この範囲であると、図43において対応するトラッ
ク幅の範囲で規定される範囲に前記フリー磁性層の磁歪
λsを規定することができるため、特に0.19μm以
下の再生トラック幅の磁気ヘッドにおいて、再生波形の
歪みや不安定性(instability )を更に効果的に抑制す
る上で好ましく、そして、磁気的再生トラック幅の制御
の上で好適なハードバイアス層の残留磁化×膜厚積にハ
ードバイアス層を設定しつつ、必要な再生出力を確保す
る上でより好ましい。
【0047】本発明において、前記磁気再生トラック幅
方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の少なくと
も一部を構成するNiFe合金におけるNi濃度C
Ni(原子%)とが、添付図面図15に各点(Tw,
Ni)で示すように、点I1 (0.17,80.5),
点J1 (0.15,77.3),点K1 (0.13,7
6.8),点L1 (0.1,75),点M1 (0.1,
70.2),点N1 (0.13,70.2),点O1
(0.15,70.2),点P1 (0.17,70.
2)で囲まれる範囲内の値に設定されることができ、こ
の範囲であると、図42において対応するトラック幅の
範囲で規定される範囲に前記フリー磁性層の磁歪λsを
規定することができるため、特に0.17μm以下の再
生トラック幅の磁気ヘッドにおいて、再生波形の歪みや
不安定性(instability )を抑制しつつ必要な再生出力
を確保する上でより好ましい。
【0048】本発明において、前記磁気再生トラック幅
方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の少なくと
も一部を構成するNiFe合金におけるNi濃度C
Ni(原子%)とが、添付図面図16に各点(Tw,
Ni)で示すように、点H2 (0.18,80),点J
2 (0.15,78.4),点K2 (0.13,76.
5),点L2 (0.1,75),点M2 (0.1,7
0.6),点N 2 (0.13,70.6),点O2
(0.15,70.6),点Q2 (0.18,71.
7)で囲まれる範囲内の値に設定されることができ、こ
の範囲であると、図43において対応するトラック幅の
範囲で規定される範囲に前記フリー磁性層の磁歪λsを
規定することができるため、特に0.18μm以下の再
生トラック幅の磁気ヘッドにおいて、再生波形の歪みや
不安定性(instability )を更に効果的に抑制する上で
好ましく、そして、磁気的再生トラック幅の制御の上で
好適なハードバイアス層の残留磁化×膜厚積にハードバ
イアス層を設定しつつ、必要な再生出力を確保する上で
より好ましい。
【0049】本発明において、前記磁気再生トラック幅
方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の少なくと
も一部を構成するNiFe合金におけるNi濃度C
Ni(原子%)とが、添付図面図17に各点(Tw,
Ni)で示すように、点J1 (0.15,77.3),
点K1 (0.13,76.8),点L1 (0.1,7
5),点M1 (0.1,70.2),点N1 (0.1
3,70.2),点O1 (0.15,70.2)で囲ま
れる範囲内の値に設定されることができ、この範囲であ
ると、図42において対応するトラック幅の範囲で規定
される範囲に前記フリー磁性層の磁歪λsを規定するこ
とができるため、特に0.15μm以下の再生トラック
幅の磁気ヘッドにおいて、再生波形の歪みや不安定性
(instability )を抑制しつつ必要な再生出力を確保す
る上でより好ましい。
【0050】本発明において、前記磁気再生トラック幅
方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の少なくと
も一部を構成するNiFe合金におけるNi濃度C
Ni(原子%)とが、添付図面図18に各点(Tw,
Ni)で示すように、点J2 (0.15,78.4),
点K2 (0.13,76.5),点L2 (0.1,7
5),点M2 (0.1,70.6),点N2 (0.1
3,70.6),点O2 (0.15,70.6)で囲ま
れる範囲内の値に設定されることができ、この範囲であ
ると、図43において対応するトラック幅の範囲で規定
される範囲に前記フリー磁性層の磁歪λsを規定するこ
とができるため、特に0.15μm以下の再生トラック
幅の磁気ヘッドにおいて、再生波形の歪みや不安定性
(instability )を更に効果的に抑制する上で好まし
く、そして、磁気的再生トラック幅の制御の上で好適な
ハードバイアス層の残留磁化×膜厚積にハードバイアス
層を設定しつつ、必要な再生出力を確保する上でより好
ましい。
【0051】本発明において、前記磁気再生トラック幅
方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の少なくと
も一部を構成するNiFe合金におけるNi濃度C
Ni(原子%)とが、添付図面図19に各点(Tw,
Ni)で示すように、点K1 (0.13,76.8),
点L1 (0.1,75),点M1 (0.1,70.
2),点N1 (0.13,70.2)で囲まれる範囲内
の値に設定されることができ、この範囲であると、図4
2において対応するトラック幅の範囲で規定される範囲
に前記フリー磁性層の磁歪λsを規定することができる
ため、特に0.13μm以下の再生トラック幅の磁気ヘ
ッドにおいて、再生波形の歪みや不安定性(instabilit
y )を抑制しつつ必要な再生出力を確保する上でより好
ましい。
【0052】本発明において、前記磁気再生トラック幅
方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の少なくと
も一部を構成するNiFe合金におけるNi濃度C
Ni(原子%)とが、添付図面図20に各点(Tw,
Ni)で示すように、点K2 (0.13,76.5),
点L2 (0.1,75),点M2 (0.1,70.
6),点N2 (0.13,70.6)で囲まれる範囲内
の値に設定されることができ、この範囲であると、図4
3において対応するトラック幅の範囲で規定される範囲
に前記フリー磁性層の磁歪λsを規定することができる
ため、特に0.125μm以下の再生トラック幅の磁気
ヘッドにおいて、再生波形の歪みや不安定性(instabil
ity )を更に効果的に抑制する上で好ましく、そして、
磁気的再生トラック幅の制御の上で好適なハードバイア
ス層の残留磁化×膜厚積の値にハードバイアス層を設定
しつつ、必要な再生出力を確保する上でより好ましい。
【0053】さらに、本発明の前記フリー磁性層におい
ては、そのトラック幅方向の幅寸法と前記フリー磁性層
の素子高さ方向寸法とが略1:1〜3:2の比率に設定
され、前記フリー磁性層の素子高さ方向寸法が0.06
μm〜0.4μmの範囲に設定されてなることができ、
これにより、横長の形状による形状磁気異方性によって
素子高さ方向における磁区の単一性を向上して、不安定
性(instability )の原因となるバルクハイゼンノイズ
等が発生する可能性を低減することができる。
【0054】前記基板上には、前記各層が基板側から、
少なくとも前記反強磁性層、前記固定磁性層、前記非磁
性導電層、前記フリー磁性層の順に積層された、いわゆ
るボトムタイプのシングルスピンバルブ型とされてなる
ことができ、また、前記基板上には、前記各層が基板側
から、少なくとも前記フリー磁性層、前記非磁性導電
層、前記固定磁性層、前記反強磁性層の順に積層され
た、いわゆるトップタイプのシングルスピンバルブ型と
されてなること、また、前記フリー磁性層の厚さ方向両
側に各々非磁性導電層と固定磁性層と反強磁性層とが積
層された、いわゆる、デュアルスピンバルブ型とされて
なることができる。また、前記反強磁性層が、X−Mn
合金,Pt−Mn−X’合金(ただし前記組成式におい
て、XはPt,Pd,Ir,Rh,Ru、Osのなかか
ら選択される1種を示し、X’はPd、Cr、Ru、N
i、Ir、Rh、Os、Au、Ag、Ne、Ar、X
e、Krのなかから選択される1種または2種以上を示
す)のいずれかからなることや、前記固定磁性層とフリ
ー磁性層との少なくとも一方が非磁性層を介して2つに
分断され、分断された層どうしで磁化の向きが180゜
異なるフェリ磁性状態とされてなることができる。フリ
ー磁性層が非磁性中間層を介して2つに分断されたスピ
ンバルブ型薄膜素子とした場合、2つに分断されたフリ
ー磁性層どうしの間に互いの磁化を反平行に向けようと
作用する交換結合磁界が発生し、フェリ磁性状態とさ
れ、磁気的な膜厚が減少するので外部磁界に対して感度
よく反転できるものとなる。固定磁性層が非磁性中間層
を介して2つに分断されたスピンバルブ型薄膜素子とし
た場合、2つに分断された固定磁性層どうしの間に互い
の磁化を反平行に向けようと作用する交換結合磁界が発
生し、フェリ磁性状態とされ、磁気的な安定性を向上す
ることができる。
【0055】さらにまた、上記のスピンバルブ型薄膜素
子が備えられてなることを特徴とする薄膜磁気ヘッドに
よって、前記課題を解決することができる。
【0056】なお、金属膜の多層構造であるスピンバル
ブ型薄膜素子は、その上下、およびハイト側の側面が例
えばAl23などの絶縁膜(ギャップ膜)により覆わ
れ、前記ハイト側の逆側(すなわちABS面側;正面
側)の面が外部に露出した構造となっており、上記のよ
うにフリー磁性層の組成を設定した上で、このギャップ
膜の組成、成膜条件、および、フリー磁性層の成膜条件
をコントロールすることにより、フリー磁性層にかかる
ハイト方向(素子高さ方向)の引っ張り応力をコントロ
ールすることができる。
【0057】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るスピンバルブ
型薄膜磁気素子およびその製造方法、およびこのスピン
バルブ型薄膜磁気素子を備えた薄膜磁気ヘッドの第1実
施形態を、図面に基づいて説明する。 [第1実施形態]図21は、本発明の第1実施形態のス
ピンバルブ型薄膜素子を記録媒体との対向面側から見た
場合の構造を示した断面図である。本発明のスピンバル
ブ型薄膜素子は、巨大磁気抵抗効果を利用したGMR
(giant magnetoresitive )素子の一種である。このス
ピンバルブ型薄膜素子は、後述するように、ハードディ
スク装置に設けられた浮上式スライダーのトレーリング
側端部などに設けられて、ハードディスクなどの記録磁
界を検出するものである。なお、ハードディスクなどの
磁気記録媒体の移動方向は図においてZ方向であり、磁
気記録媒体からの漏れ磁界方向はY方向である。本発明
の第1の実施形態のスピンバルブ型薄膜素子は、反強磁
性層、2層の固定磁性層、非磁性導電層、フリー磁性層
が形成されたボトム型(Bottom type )とされ、さら
に、固定磁性層が、第1の固定磁性層と、前記第1の固
定磁性層に非磁性中間層を介して形成され、前記第1の
固定磁性層の磁化方向と反平行に磁化方向が揃えられた
第2の固定磁性層と、を有し、固定磁性層が合成フェリ
磁性状態とされてなる手段、いわゆる、シンセティック
フェリピンド型(synthetic-ferri-pinned type )とさ
れるシングルスピンバルブ型薄膜素子の一種である。
【0058】図21において、符号11は、基板10上
に設けられた反強磁性層である。この反強磁性層11の
上には、固定磁性層12A,12B,12Cが形成され
ている。この固定磁性層12A,12B,12Cは、第
1の固定磁性層12Aと、前記第1の固定磁性層12A
の上に非磁性中間層12Bを介して形成され、前記第1
の固定磁性層12Aの磁化方向と反平行に磁化方向が揃
えられた第2の固定磁性層12Cとからなる。この第2
の固定磁性層12Cの上には、Cu(銅)等からなる非
磁性導電層13が形成され、さらに、前記非磁性導電層
13の上には、フリー磁性層14が形成されている。前
記フリー磁性層14の上には、Taなどで形成された保
護層15が形成され、この保護層の上側が、酸化タンタ
ル(Ta−Oxide )からなる酸化層15aとされてい
る。図21に示すように、これら反強磁性層11の一部
から酸化層15aまでの各層により、略台形状の断面形
状を有する積層体16が構成されている。
【0059】また、符号17,17は、ハードバイアス
層を、符号18,18は、電極層を示している。これ
ら、ハードバイアス層17,17は、積層体16の両側
位置に張り出している反強磁性層11上にバイアス下地
層17aを介して形成されている。このハードバイアス
層17,17上には、TaまたはCrからなる中間層1
9を介して電極層18,18が形成されている。
【0060】さらに詳細に説明すると、本発明の第1の
実施形態のスピンバルブ型薄膜素子では、図21に矢印
X1で示す方向の寸法、つまりトラック幅方向の光学的
寸法(磁気再生トラック幅方向寸法)Twが、0.4μ
m以下に設定されている。ここで、上記光学的トラック
寸法は、図21に示すように、フリー磁性層14の図示
X1方向の幅として定義する。より詳細には、フリー磁
性層の図21のZ方向における中点位置つまりフリー磁
性層14の膜厚方向中間位置におけるX1方向の寸法を
もって、光学的トラック寸法を定義する。前記反強磁性
層11は、積層体19中央部分において、80〜300
オングストローム程度の厚さとされ、PtMn合金で形
成されることが好ましい。PtMn合金は、従来から反
強磁性層として使用されているNiMn合金やFeMn
合金などに比べて耐食性に優れ、しかもブロッキング温
度が高く、交換結合磁界(交換異方性磁界)も大きい。
また、前記PtMn合金に代えて、X−Mn(ただし、
Xは、Pd、Ru、Ir、Rh、Osのうちから選択さ
れる1種の元素を示す。)の式で示される合金、あるい
は、X’−Pt−Mn(ただし、X’は、Pd、Ru、
Ir、Rh、Os、Au、Ag、Cr、Ni、Ar、N
e、Xe、Krのうちから選択される1種または2種以
上の元素を示す。)の式で示される合金で形成されてい
てもよい。
【0061】また、前記PtMn合金および前記X−M
nの式で示される合金において、PtあるいはXが37
〜63原子%の範囲であることが望ましい。より好まし
くは、47〜57原子%の範囲である。さらにまた、
X’−Pt−Mnの式で示される合金において、X’+
Ptが37〜63原子%の範囲であることが望ましい。
より好ましくは、47〜57原子%の範囲である。さら
に、前記X’−Pt−Mnの式で示される合金として
は、X’が0.2〜10原子%の範囲であることが望ま
しい。ただし、X’がPd、Ru、Ir、Rh、Osの
1種以上の場合は、X’は0.2〜40原子%の範囲で
あることが望ましい。前記反強磁性層11として、上記
した適正な組成範囲の合金を使用し、これをアニール処
理することで、大きな交換結合磁界を発生する反強磁性
層11を得ることができる。とくに、PtMn合金であ
れば、6.4kA/mを越える交換結合磁界を有し、前
記交換結合磁界を失うブロッキング温度が380℃と極
めて高い優れた反強磁性層11を得ることができる。
【0062】第1および第2の固定磁性層12A,12
Cは、強磁性体の薄膜からなり、例えば、Co、NiF
e合金、CoNiFe合金、CoFe合金、CoNi合
金などで形成され、合計で40オングストローム程度の
厚さとされることが好ましく、第1の固定磁性層12A
は、例えばCoからなりその膜厚が13〜20オングス
トロームに設定され、第2の固定磁性層12Cは、例え
ばCoからなりその膜厚が15〜25オングストローム
に設定される。また、前記非磁性中間層12Bは、R
u、Rh、Ir、Cr、Re、Cuのうち1種あるいは
2種以上の合金で形成されていることが好ましく、通
常、8オングストローム程度の厚さに形成されている。
【0063】この第1の固定磁性層12Aは、反強磁性
層11に接して形成され、磁場中アニール(熱処理)を
施すことにより、前記第1の固定磁性層12Aと反強磁
性層11との界面にて交換結合磁界(交換異方性磁界)
が発生し、図21に示すように、前記第1の固定磁性層
12Aの磁化が、図示Y方向に固定される。前記第1の
固定磁性層12Aの磁化が、図示Y方向に固定される
と、非磁性中間層12Bを介して対向する第2の固定磁
性層12Cの磁化は、第1の固定磁性層12Aの磁化と
反平行の状態、つまり、図示Y方向と逆方向に固定され
る。
【0064】本実施形態では、交換結合磁界(Hex)
を大きくするために、第1の固定磁性層12Aと第2の
固定磁性層12Cとの膜厚比を適正な範囲内に収めると
ともに、第1の固定磁性層12Aと第2の固定磁性層1
2Cとの磁化を、熱的にも安定した反平行状態(フェリ
状態)に保ち、しかも、△R/R(抵抗変化率)を従来
と同程度に確保することが可能である。さらに熱処理中
の磁場の大きさおよびその方向を適正に制御することに
よって、第1の固定磁性層12Aおよび第2の固定磁性
層12Cの磁化方向を、所望の方向に制御する。
【0065】非磁性導電層13は、Cu(銅)等からな
り、その膜厚は、20〜30オングストロームに設定さ
れる。
【0066】図22は、図21におけるスピンバルブ薄
膜磁気素子のフリー磁性層14に等しい階層で図21の
X1−Y平面を示す断面図である。図1,2は、本実施
形態における磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)
と、前記フリー磁性層の少なくとも一部を構成するNi
Fe合金におけるNi濃度CNi(原子%)との範囲を示
す図である。前記フリー磁性層14は、通常、20〜5
0オングストローム程度の厚さとされ、NiFeあるい
はNiFeとCoFeの積層膜等からなるものとされ
る。さらに、図21に矢印X1で示す方向の寸法、つま
り、トラック幅方向寸法(磁気再生トラック幅方向寸
法)Twが、0.4μm以下に設定されている。ここ
で、前記フリー磁性層14の非磁性導電層13側にはC
oあるいはCoFe合金,CoFeNi合金からなる層
を設けることもできる。このフリー磁性層14において
は、フリー磁性層14の少なくとも一部を構成するNi
Fe合金におけるNiFe合金のNi濃度CNi(原子
%)が70.2%≦CNi≦89.9%の範囲に設定され
てなるとともに、前記磁気記録トラック幅方向寸法Tw
(μm)と、前記フリー磁性層の少なくとも一部を構成
するNiFe合金におけるNi濃度CNi(原子%)と
が、添付図面図1に各点(Tw,CNi)で示すように、
点A1 (0.4,89.9),点B1 (0.35,8
9),点C1 (0.3,87.7),点D1 (0.2
5,86.5),点E1 (0.22,84.9),点F
1 (0.20,83),点G1 (0.19,82.
5),点H1 (0.18,81),点I1 (0.17,
80.5),点J1 (0.15,77.3),点K1
(0.13,76.8),点L1 (0.1,75),点
1(0.1,70.2),点N1 (0.13,70.
2),点O1 (0.15,70.2),点P1 (0.1
7,70.2),点Q1 (0.18,70.2),点R
1 (0.19,70.2),点S1 (0.20,70.
2),点T1 (0.22,70.2),点U1 (0.2
5,71.5),点V1 (0.3,73.6),点W1
(0.35,75.6),点X1 (0.4,77.3)
で囲まれる範囲内の値に設定される。これにより、フリ
ー磁性層14の磁歪λsを、―7.0×10-6≦λs≦
2.0×10-5の範囲に設定することができ、より好ま
しくは、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)
と、前記フリー磁性層14の磁歪λs(×10-6)と
を、図42に各点(Tw,λs)で示すように、点SA
1 (0.4,6),点SB1 (0.35,8),点SC
1 (0.3,12.5),点SD1 (0.25,1
8),点SE1 (0.23,20),点SF1 (0.
2,20),点SG1 (0.19,20),点SH1
(0.18,20),点SI1 (0.17,20),点
SJ1 (0.15,20),点SK1 (0.1,2
0),点SL1 (0.1,9),点SM1 (0.15,
3.5),点SN1 (0.17.2),点SO1(0.
18,1),点SP1 (0.19,0),点SQ1
(0.2,−0.7),点SR1 (0.22,−2),
点SS1 (0.25,−3),点ST1 (0.3,−
5),点SU1 (0.35,−6.3),点SV1
(0.4,−7)で囲まれる範囲内の値に設定できる。
【0067】ここで、本実施形態のスピンバルブ型薄膜
素子においては、上記のようにトラック幅寸法Twが
0.4μm以下に設定されているので、後述するように
ハードバイアス層17,17の影響を受けて前記フリー
磁性層14の磁化がトラック幅方向に揃えられる際に、
フリー磁性層14には、前述したマイクロトラックプロ
ファイル法により測定した場合における感度領域および
不感領域の差が生じるほど前記ハードバイアス層17,
17から距離的に離れている部分がないため、トラック
幅方向においてフリー磁性層へ前記ハードバイアス層か
らの影響が大きく変動することが防止される。同時に、
上記のようにフリー磁性層の少なくとも一部を構成する
NiFe合金におけるNi濃度CNi(原子%)を設定す
ることによって、フリー磁性層における素子高さ方向の
磁歪λsを―7.0×10-6≦λs≦2.0×10-6
範囲に設定することが可能となり、このように素子高さ
方向に磁歪λsをプラス側、つまり磁化した方向に伸び
る状態におおく設定することで、逆磁歪効果により、作
用する引張応力の方向に磁化が向きやすくなり、磁気異
方性が現出することになる。つまり、この引張応力の作
用するフリー磁性層14においては、前記引張応力の方
向つまり、図19,20に示す矢印Y方向とされる素子
高さ方向(ハイト方向)を磁化容易軸とすることができ
る。このように磁歪λsを設定した場合は、トラック幅
方向寸法Twを0.4μm以下に設定することにより、
トラック幅方向(X1方向)において、フリー磁性層1
4の変動磁化の回転容易性が分布を有し、磁壁ができて
磁区が不安定になることを防止することができる。この
ため、フリー磁性層14には、トラック幅方向(X1方
向)において、感度のばらつく領域が形成されることが
少なく、フリー磁性層内に磁壁ができて単磁区化が妨げ
られ、磁化の不均一が発生し、スピンバルブ型薄膜素子
において、磁気記録媒体からの信号の処理が不正確にな
る不安定性(instability )の原因となるバルクハイゼ
ンノイズ等が発生することを防止することができる。
【0068】本実施形態において、磁気再生トラック幅
方向寸法Twが0.4μm以上に設定された場合には、
前述したように、フリー磁性層内に磁壁ができる可能性
があるため好ましくない。同時に、フリー磁性層の少な
くとも一部を構成するNiFe合金におけるNi濃度C
Ni(原子%)が89.9%より大きく設定されることに
よって、フリー磁性層14の素子高さ方向の磁歪λs
が、―7.0×10-6より小さくなる場合があり、この
場合、フリー磁性層14の変動磁化がハードバイアス層
17,17に必要以上に強固に固定されてしまい、印加
される外部磁界に対して、感度好く変動磁化が回転せ
ず、スピンバルブ型薄膜磁気素子の10MHz〜20M
Hz程度の低周波数帯における再生出力が実用下限値
1.2mVを下まわってしまうため好ましくない。ま
た、フリー磁性層のNi濃度CNi(原子%)が70.2
%より小さく設定されることによって、磁歪λsが2.
0×10-5以上に設定された場合には、フリー磁性層1
4における保磁力が400A/m程度以上になり、フリ
ー磁性層14の軟磁気特性が低下するため好ましくな
い。
【0069】さらに、前記磁気再生トラック幅方向寸法
Tw(μm)と、前記フリー磁性層の少なくとも一部を
構成するNiFe合金におけるNi濃度CNi(原子%)
とが、添付図面図1に各点(Tw,CNi)で示すよう
に、点A1 〜点X1 で囲まれる範囲内の値に設定される
ことができ、この範囲以外に設定された場合には、以下
のような不都合があった。 磁気再生トラック幅方向寸法Twが、図1において点
1 ,点X1 より右側に設定された場合には、前述した
ように、フリー磁性層内に磁壁ができて不安定性(inst
ability )の原因となるバルクハイゼンノイズ等が発生
する可能性があり好ましくない。 磁気再生トラック幅方向寸法Tw、および、前記フリ
ー磁性層の少なくとも一部を構成するNiFe合金にお
けるNi濃度CNi(原子%)が、点A1 ,点B1,点C1
,点D1 ,点E1 ,点F1 ,点G1 ,点H1 ,点I
1 ,点J1 ,点K1,点L1 より上側に設定された場合
には、フリー磁性層の変動磁化がハードバイアス層に必
要以上に強固に固定されてしまい、印加される外部磁界
に対して、感度好く変動磁化が回転せず、スピンバルブ
型薄膜磁気素子の10MHz〜20MHz程度の低周波
数帯における再生出力が実用下限値1.2mVを下まわ
ってしまい好ましくない。 前記フリー磁性層の少なくとも一部を構成するNi
Fe合金におけるNi濃度CNi(原子%)が、点M1
点N1 ,点O1 ,点P1 ,点Q1 ,点R1 ,点S 1 ,点
1 より下側に設定された場合には、フリー磁性層にお
ける保磁力が400A/m程度以上になり、フリー磁性
層の軟磁気特性が低下し、再生波形の歪みや不安定性
(instability )が増加するため好ましくない。 磁気再生トラック幅方向寸法Tw、および、前記フリ
ー磁性層の少なくとも一部を構成するNiFe合金にお
けるNi濃度CNi(原子%)が、点T1 ,点U1,点V1
,点W1 ,点X1 より下側に設定された場合には、ス
ピンバルブ型薄膜磁気素子の10MHz20M〜Hz程
度の低周波数帯における再生出力が実用上限値約2.0
mVを上まわってしまい、再生波形の不安定性(instab
ility )が増加する可能性があり、好ましくない。
【0070】さらに、上記の磁気再生トラック幅方向寸
法およびNi濃度CNi(原子%)に対応して、前記磁気
記録トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁
性層14の磁歪λs(×10-6)とが、図42に各点
(Tw,λs)で示すように、点A1 〜点V1 で囲まれ
る範囲内の値に設定されることができ、この範囲以外に
設定された場合には、以下のような不都合があった。 磁気再生トラック幅方向寸法Twが、図42において
点SA1 ,点SV1 より右側に設定された場合には、前
述したように、フリー磁性層14内に磁壁ができて不安
定性(instability )の原因となるバルクハイゼンノイ
ズ等が発生する可能性があり好ましくない。 磁気再生トラック幅方向寸法Tw、および、前記フリ
ー磁性層14の磁歪λsが、図42において点SA1
点SB1 ,点SC1 ,点SD1 ,点SE1 より外側に設
定された場合には、スピンバルブ型薄膜磁気素子の10
MHz〜10MHz程度の低周波数帯における再生出力
が実用上限値約2.0mVを上まわってしまい、再生波
形の不安定性(instability )が増加する可能性があ
り、好ましくない。 前記フリー磁性層14の磁歪λsが、図42において
点SE1 ,点SF1 ,点SG1 ,点SH1 ,点SI1
点SJ1 ,点SK1 より上側に設定された場合には、フ
リー磁性層14における保磁力が400A/m程度以上
になり、フリー磁性層14の軟磁気特性が低下し、再生
波形の歪みや不安定性(instability )が増加するため
好ましくない。 磁気再生トラック幅方向寸法Tw、および、前記フリ
ー磁性層14の素子高さ方向の磁歪λsが、図42にお
いて点SL1 ,点SM1 ,点SN1 ,点SO1 ,点SP
1 ,点SQ1 ,点SR1 ,点SS1 ,点ST1 ,点SU
1 ,点SV1 より下側に設定された場合には、フリー磁
性層14の変動磁化がハードバイアス層17に必要以上
に強固に固定されてしまい、印加される外部磁界に対し
て、感度好く変動磁化が回転せず、スピンバルブ型薄膜
磁気素子の10MHz〜20MHz程度の低周波数帯に
おける再生出力が実用下限値1.2mVを下まわってし
まい好ましくない。
【0071】本実施形態においては、さらに、前記磁気
再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁
性層の少なくとも一部を構成するNiFe合金における
Ni濃度CNi(原子%)が、添付図面図2に各点(T
w,CNi)で示すように、点A 2 〜点X2 で囲まれる範
囲内の値に設定されることができ、この範囲以外に設定
された場合には、以下のような不都合があった。 磁気再生トラック幅方向寸法Twが、図2において点
2 ,点X2 より右側に設定された場合には、前述した
ように、フリー磁性層内に磁壁ができて不安定性(inst
ability )の原因となるバルクハイゼンノイズ等が発生
する可能性があり好ましくない。 磁気再生トラック幅方向寸法Tw、および、前記フリ
ー磁性層の少なくとも一部を構成するNiFe合金にお
けるNi濃度CNi(原子%)が、点A2 ,点B2,点C2
,点D2 ,点E2 ,点F2 ,点G2 ,点H2 ,点J
2 ,点K2 ,点L2より上側に設定された場合には、フ
リー磁性層の変動磁化がハードバイアス層に必要以上に
強固に固定されてしまい、印加される外部磁界に対し
て、感度好く変動磁化が回転せず、スピンバルブ型薄膜
磁気素子の10MHz〜20MHz程度の低周波数帯に
おける再生出力が実用下限値1.2mVを下まわってし
まい好ましくない。さらに、上記のような、点A2 ない
し点L2 の内側に設定されることにより、トラック幅が
狭くなるにしたがって、フリー磁性層14の変動磁化を
安定化するためのハードバイアス層17の残留磁化×膜
厚積を、再生波形の不安定性をより確実に防止するのに
必要とされる以上に小さくしてよいため、より好まし
い。 前記フリー磁性層の少なくとも一部を構成するNi
Fe合金におけるNi濃度CNi(原子%)が、図2にお
いて点M2 ,点N2 ,点O2 より下側に設定された場合
には、フリー磁性層における保磁力が400A/m程度
以上になり、フリー磁性層の軟磁気特性が低下し、再生
波形の歪みや不安定性(instability )が増加するため
好ましくない。 磁気再生トラック幅方向寸法Tw、および、前記フリ
ー磁性層のNi濃度CNi(原子%)が、図2において点
2 ,点Q2 ,点R2 ,点S2 ,点T2 ,点U2,点V2
,点W2 ,点X2 より下側に設定された場合には、ス
ピンバルブ型薄膜磁気素子の10MHz〜20MHz程
度の低周波数帯における再生出力が実用上限値約2.0
mVを上まわってしまい、再生波形の不安定性(instab
ility )が増加する可能性があり、好ましくない。さら
に、上記のような、図2において点O2 ないし点X2
内側に設定されることにより、トラック幅Twが狭くな
るに従って、フリー磁性層14の変動磁化を安定化する
ためのハードバイアス層17の残留磁化×膜厚積は少な
くてもよいため、磁気的な実効再生トラック幅の制御性
の上でより好ましい。
【0072】さらに、上記の図2に示す磁気再生トラッ
ク幅方向寸法およびNi濃度CNi(原子%)で囲まれる
範囲内の値に対応して、前記磁気再生トラック幅方向寸
法Tw(μm)と、前記フリー磁性層14の磁歪λs
(×10-6)とが、図43に各点(Tw,λs)で示す
ように、点SA2 (0.4,6),点SB2 (0.3
5,6),点SC2 (0.3,7.5),点SD
2 (0.25,10.5),点SE2 (0.23,1
1),点SF2 (0.22,12),点SG2 (0.
2,13.5),点SH2 (0.19,14.2),点
SI2 (0.18,15.1),点SJ2 (0.15,
17.5),点SW2 (0.13,20),点SK
2 (0.1,20),点SL2 (0.1,9),点SX
2 (0.13,5),点SM 2 (0.15,3.5),
点SN2 (0.18,1.5),点SO2 (0.19,
1.2),点SP2 (0.2,1),点SQ2 (0.2
2,0),点SR2 (0.23,−0.5),点SS2
(0.25,−1),点ST2 (0.3,−1.5),
点SU2 (0.35,−1.6),点SV2 (0.4,
−1.5)で囲まれる範囲内の値に設定されることがで
きる。そして、この範囲以外に設定された場合には、以
下のような不都合があった。 磁気再生トラック幅方向寸法Twが、図43において
点SA2 ,点SV2 より右側に設定された場合には、前
述したように、フリー磁性層14内に磁壁ができて不安
定性(instability )の原因となるバルクハイゼンノイ
ズ等が発生する可能性があり好ましくない。 磁気再生トラック幅方向寸法Tw、および、前記フリ
ー磁性層14の磁歪λsが、図43において点SA2
点SB2 ,点SC2 ,点SD12 ,点SE2 ,点SF
2 ,点SG12 ,点SH2 ,点SI2 ,点SJ2 ,点S
2 より外側に設定された場合には、スピンバルブ型薄
膜磁気素子の10MHz〜20MHz程度の低周波数帯
における再生出力が実用上限値約2.0mVを上まわっ
てしまい、再生波形の不安定性(instability )が増加
する可能性があり、好ましくない。さらに、上記のよう
な、図43において点SA2 ないし点SW2 の内側に設
定されることにより、トラック幅Twが狭くなるにした
がって、フリー磁性層14の変動磁化を安定するための
ハードバイアス層17の残留磁化×膜厚積は少なくてよ
いため、磁気的な実効再生トラック幅の制御性の上でよ
り好ましい。 前記フリー磁性層14の磁歪λsが、図43において
点SW2 ,点SK2 より上側に設定された場合には、フ
リー磁性層14における保磁力が400A/m程度以上
になり、フリー磁性層14の軟磁気特性が低下し、再生
波形の歪みや不安定性(instability )が増加するため
好ましくない。 磁気再生トラック幅方向寸法Tw、および、前記フリ
ー磁性層14の素子高さ方向の磁歪λsが、図43にお
いて点SL2 ,点SX2 ,点SM2 ,点SN2 ,点SO
2 ,点SP2 ,点SQ2 ,点SR2 ,点SS2 ,点ST
2 ,点SU2 ,点SV2 より下側に設定された場合に
は、フリー磁性層14の変動磁化がハードバイアス層1
7に必要以上に強固に固定されてしまい、印加される外
部磁界に対して、感度好く変動磁化が回転せず、スピン
バルブ型薄膜磁気素子の10MHz〜20MHz程度の
低周波数帯における再生出力が実用下限値1.2mVを
下まわってしまい好ましくない。さらに、上記のよう
な、図43において点SF2 ないし点SV2 の内側に設
定されることにより、トラック幅が狭くなるにしたがっ
て、フリー磁性層14の変動磁化を安定するためのハー
ドバイアス層17の残留磁化×膜厚積を再生波形の不安
定性をより確実に防止するのに必要とされる以下に小さ
くしなくてよいため、より好ましい。
【0073】さらに、前記フリー磁性層14において
は、そのトラック幅方向の幅寸法と前記フリー磁性層の
素子高さ方向寸法とが略1:1〜3:2の比率に設定さ
れ、図22に示すように、Y方向の寸法、つまり前記フ
リー磁性層の素子高さ方向寸法MRhが0.06μm〜
0.4μmの範囲に設定されてなることができ、これに
より、横長形状による形状磁気異方性によって素子高さ
方向における磁区の単一性を向上して、不安定性(inst
ability )の原因となるバルクハイゼンノイズ等が発生
する可能性を低減することができる。
【0074】保護層15は、Taからなり、その表面
が、酸化された酸化層15aとされている。バイアス下
地層17aは、緩衝膜および配向膜であり、Crなどで
形成されることが好ましく、例えば、20〜100オン
グストローム程度、好ましくは50オングストローム程
度の厚さとされ、中間層19は例えばTaからなり、5
0オングストローム程度の膜厚とされる。これらバイア
ス下地層17aおよび中間層19により、後工程のイン
ダクティブヘッド(書込ヘッド)の製造プロセスでおこ
なう絶縁レジストの硬化工程(UVキュアまたはハード
ベーク)等で高温に曝される場合に、拡散バリアーとし
て機能し、ハードバイアス層17,17と周辺層の間で
熱拡散がおこり、ハードバイアス層17,17の磁気特
性が劣化することを防止することができる。
【0075】前記ハードバイアス層17,17は、通
常、200〜700オングストローム程度の厚さとさ
れ、例えば、Co−Pt合金やCo−Cr−Pt合金や
Co−Cr−Ta(コバルト−クロム−タンタル)合金
などで形成されることが好ましい。また、前記ハードバ
イアス層17,17が、図示X1方向に磁化されている
ことで、前記フリー磁性層14の磁化が、図示X1方向
に揃えられている。これにより、前記フリー磁性層14
の変動磁化と前記第2の固定磁性層12Cの固定磁化と
が90度で交差する関係となっている。
【0076】前記ハードバイアス層17,17は、前記
フリー磁性層14と同じ階層位置に配置され、前記フリ
ー磁性層14の膜厚方向に前記フリー磁性層14の膜厚
よりも大きな膜厚とされることが好ましい。また、前記
ハードバイアス層17,17の上面17b,17bは、
フリー磁性層14の上面14Aよりも基板10から離れ
た位置に(すなわち、図1では上側に)配置され、前記
ハードバイアス層17,17の下面は、前記フリー磁性
層14の下面よりも基板10側の位置に(すなわち、図
1では下側に)配置されている。
【0077】電極層18,18が、ハードバイアス層1
7,17の上側に、Cr、Au、Ta、Wから選択され
る1種またはそれ以上からなる単層膜もしくはその多層
膜で形成されて、積層体16へセンス電流を与える。こ
こで、電極層18,18としてCrが選択されて、Ta
からなる中間層19上にエピタキシャル成長することに
より形成されることにより電気抵抗値を低減することが
できる。
【0078】図21,22に示す構造のスピンバルブ型
薄膜素子においては、電極層18,18から積層体16
にセンス電流が与えられる。ハードディスク等のメディ
ア(磁気記録媒体)から図示Y方向に磁界が与えられる
と、フリー磁性層14の磁化は、図示X1方向からY方
向に変動する。このときの非磁性導電層13とフリー磁
性層14との界面で、いわゆるGMR効果によってスピ
ンに依存した伝導電子の散乱が起こることにより、電気
抵抗が変化し、記録媒体からの洩れ磁界が検出される。
【0079】ここで、本実施形態においては、上記のよ
うに前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)とフ
リー磁性層の少なくとも一部を構成するNiFe合金に
おけるNi濃度CNi(原子%)とが設定されていること
により、前記フリー磁性層14の磁歪λs(×10-6
を設定することができ、スピンバルブ型薄膜磁気素子に
おいて、フリー磁性層14の変動磁化方向が、逆磁歪効
果により固定磁性層12の固定磁化方向に対して回転し
やすくなることにより発現する磁気抵抗効果による抵抗
変化がおこりやすくなるため、再生出力の増大を見込む
ことができる。同時に、スピンバルブ型薄膜素子におい
て、磁気記録媒体からの信号の処理が不正確になる不安
定性(instability )の原因となるバルクハイゼンノイ
ズ等が発生することを防止することができる。
【0080】本実施形態のスピンバルブ型薄膜素子にお
いて、その上下方向(Z方向)両側には、図32,図3
3において後述するように、それぞれ下部シールド層2
53、下部ギャップ層254、上部ギャップ層256、
および、上部シールド層257が、フリー磁性層14の
膜面内方向(X1−Y面内方向)に形成されている。こ
れら、下部シールド層253、下部ギャップ層254、
上部ギャップ層256、上部シールド層257にかかっ
ている応力は、ABS面によって一部が開放されている
ため、膜面内における応力分布が異方的になっている。
例えば、この場合、これら下部シールド層253、下部
ギャップ層254、上部ギャップ層256、上部シール
ド層257の成膜条件等を制御することによって、フリ
ー磁性層14において、素子高さ方向(ストライプハイ
ト方向)に引張応力が異方的にはたらくように、これ
ら、下部シールド層253、下部ギャップ層254、上
部ギャップ層256、上部シールド層257にかかって
いる応力を所望の状態に設定する。その結果、フリー磁
性層14内において、上記の範囲に磁歪を設定すること
が可能になる。あるいは、フリー磁性層14成膜時のス
パッタ条件等を制御して、上記の範囲に磁歪の範囲設定
を制御することもできる。
【0081】以下、本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁
気素子およびこのスピンバルブ型薄膜磁気素子を備えた
薄膜磁気ヘッドの第2実施形態を、図面に基づいて説明
する。 [第2実施形態]図23は、本発明の第2実施形態のス
ピンバルブ型薄膜素子を記録媒体との対向面側から見た
場合の構造を示した断面図である。本実施形態において
も、ボトム型(Bottom type )のシンセティックフェリ
ピンド型(synthetic-ferri-pinned spin-valves)とさ
れ、図21,図22に示した第1実施形態と異なるとこ
ろは、バックド層B1を設けた点、および、フリー磁性
層14に関する点である。それ以外、第1実施形態の構
成要素と対応する構成要素には同一の符号を付して説明
を省略する。
【0082】図23において、符号B1は、バックド層
である。このバックド層B1は、図23に示すように、
前記フリー磁性層14の上に設けられ、このバックド層
B1の上には、Taなどで形成された保護層15が形成
されて、積層体16が構成されている。バックド層B1
は、Cu等の金属材料や、非磁性導電材料からなり、A
u、Ag、Cu、Ru等からなる群から選択された材料
から構成されることができ、例えばその膜厚が5〜20
オングストロームに設定される。
【0083】図3,4は、本実施形態における磁気再生
トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層
の少なくとも一部を構成するNiFe合金におけるNi
濃度CNi(原子%)との範囲を示す図である。本実施形
態において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μ
m)と、前記フリー磁性層の少なくとも一部を構成する
NiFe合金におけるNi濃度CNi(原子%)とが、添
付図面図3に各点(Tw,CNi)で示すように、点B1
(0.35,89),点C1 (0.3,87.7),点
1 (0.25,86.5),点E1 (0.22,8
4.9),点F1 (0.20,83),点G1 (0.1
9,82.5),点H1 (0.18,81),点I1
(0.17,80.5),点J1 (0.15,77.
3),点K1 (0.13,76.8),点L1 (0.
1,75),点M1 (0.1,70.2),点N1
(0.13,70.2),点O 1 (0.15,70.
2),点P1 (0.17,70.2),点Q1 (0.1
8,70.2),点R1 (0.19,70.2),点S
1 (0.20,70.2),点T1 (0.22,70.
2),点U1 (0.25,71.5),点V1 (0.
3,73.6),点W1 (0.35,75.6)で囲ま
れる範囲内の値に設定されることができ、この範囲であ
ると、図42において対応するトラック幅の範囲で規定
される範囲に前記フリー磁性層の磁歪λsを規定するこ
とができる。つまり、前記磁気再生トラック幅方向寸法
Tw(μm)と、前記フリー磁性層14の素子高さ方向
の磁歪λs(×10-6)とが、図42に各点(Tw,λ
s)で示すように、点SB1 (0.35,8),点SC
1 (0.3,12.5),点SD 1 (0.25,1
8),点SE1 (0.23,20),点SF1 (0.
2,20),点SG1 (0.19,20),点SH1
(0.18,20),点SI1 (0.17,20),点
SJ1 (0.15,20),点SK1 (0.1,2
0),点SL1 (0.1,9),点SM1 (0.15,
3.5),点SN1 (0.17.2),点SO1 (0.
18,1),点SP1 (0.19,0),点SQ1
(0.2,−0.7),点SR1 (0.22,−2),
点SS1 (0.25,−3),点ST1 (0.3,−
5),点SU1 (0.35,−6.3)で囲まれる範囲
内の値に設定されることができ、この範囲であると、特
に0.35μm以下の再生トラック幅の磁気ヘッドにお
いて、再生波形の歪みや不安定性(instability )を抑
制しつつ必要な再生出力を確保する上でより好ましい。
【0084】さらに、本実施形態において、前記磁気再
生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性
層の少なくとも一部を構成するNiFe合金におけるN
i濃度CNi(原子%)とが、添付図面図4に各点(T
w,CNi)で示すように、点B2 (0.35,83.
9),点C2 (0.3,83.5),点D2 (0.2
5,83),点E2 (0.22,82.9),点F2
(0.20,81.5),点G2 (0.19,81),
点H2 (0.18,80),点J2 (0.15,78.
4),点K2 (0.13,76.5),点L2 (0.
1,75),点M2(0.1,70.6),点N2
(0.13,70.6),点O2 (0.15,70.
6),点Q2 (0.18,71.7),点R2 (0.1
9,72),点S2(0.20,72.5),点T2
(0.22,73.6),点U2 (0.25,74),
点V2 (0.3,75.6),点W2 (0.35,7
6.5)で囲まれる範囲内の値に設定されることがで
き、この範囲であると、図43において対応するトラッ
ク幅の範囲で規定される範囲に前記フリー磁性層の磁歪
λsを規定することができる。つまり、前記磁気再生ト
ラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層1
4の磁歪λs(×10-6)とが、図43に各点(Tw,
λs)で示すように、点SB2 (0.35,6),点S
2 (0.3,7.5),点SD2 (0.25,10.
5),点SE2 (0.23,11),点SF2 (0.2
2,12),点SG2 (0.2,13.5),点SH2
(0.19,14.2),点SI2 (0.18,15.
1),点SJ2 (0.15,17.5),点SW 2
(0.13,20),点SK2 (0.1,20),点S
2 (0.1,9),点SX2 (0.13,5),点S
2 (0.15,3.5),点SN2 (0.18,1.
5),点SO2 (0.19,1.2),点SP2 (0.
2,1),点SQ2 (0.22,0),点SR2 (0.
23,−0.5),点SS2 (0.25,−1),点S
2 (0.3,−1.5),点SU2 (0.35,−
1.6)で囲まれる範囲内の値に設定されることがで
き、この範囲であると、特に0.35μm以下の再生ト
ラック幅の磁気ヘッドにおいて、再生波形の歪みや不安
定性(instability )を更に効果的に抑制する上で好ま
しく、そして、磁気的再生トラック幅の制御性の上で好
適なハードバイアス層の残留磁化×膜厚積にハードバイ
アス層を設定しつつ、必要な再生出力を確保する上でよ
り好ましい。
【0085】前記フリー磁性層14のトラック幅方向の
幅寸法と素子高さ方向寸法とが略1:1〜3:2の比率
に設定され、前記フリー磁性層の素子高さ方向寸法が
0.06μm〜0.4μmの範囲に設定される。
【0086】本実施形態のスピンバルブ型薄膜素子にお
いては、電極層18,18から積層体16にセンス電流
を与えられる。磁気記録媒体から図示Y方向に磁界が与
えられると、フリー磁性層5の磁化は、図示X1方向か
らY方向に変動する。このときの非磁性導電層13とフ
リー磁性層14との界面で、いわゆるGMR効果によっ
てスピンに依存した伝導電子の散乱が起こることによ
り、電気抵抗が変化し、記録媒体からの洩れ磁界が検出
される。
【0087】ここで、バックド層B1によって、磁気抵
抗効果に寄与する+スピン(上向きスピン:up spin )
の電子における平均自由行程(mean free path)をのば
し、いわゆるスピンフィルター効果(spin filter effe
ct)によりスピンバルブ型薄膜素子において、大きな△
R/R(抵抗変化率)が得られ、高密度記録化に対応で
きるものとすることができる。ここで、上記のバックド
層によって磁気抵抗変化率が高くなる理由を簡単に述べ
る。スピンバルブ型薄膜磁気素子にセンス電流を印加し
たときには、伝導電子が主に電気抵抗の小さい非磁性導
電層付近を移動する。この伝導電子にはアップスピン
(up spin )とダウンスピン(down spin )の2種類の
伝導電子が確率的に等量存在する。スピンバルブ型薄膜
磁気素子の磁気抵抗変化率は、これらの2種類の伝導電
子の平均自由行程(mean free path)の行程差に対して
正の相関を示す。
【0088】ダウンスピン電子については、印加される
外部磁界の向きにかかわらず、非磁性導電層13とフリ
ー磁性層14との界面で常に散乱され、フリー磁性層1
4に移動する確率は低いまま維持され、その平均自由行
程はアップスピン電子の平均自由行程に比べて短いまま
である。一方、アップスピン電子については、外部磁界
によってフリー磁性層14の磁化方向が固定磁性層12
の磁化方向と平行状態になったときに、非磁性導電層1
3からフリー磁性層14に移動する確率が高くなり、平
均自由行程が長くなっている。これに対し、外部磁界に
よってフリー磁性層14の磁化方向が固定磁性層12の
磁化方向に対して平行状態から変化するに従って、非磁
性導電層13とフリー磁性層14との界面で散乱される
確率が増加し、アップスピン電子の平均自由行程が短く
なる。このように外部磁界の作用によって、アップスピ
ン電子の平均自由行程がダウンスピン電子の平均自由行
程に比べて大きく変化し、行程差が大きく変化すること
によって、抵抗率が変化し、スピンバルブ型薄膜磁気素
子の磁気抵抗変化率(△R/R)が大きくなる。
【0089】ここで、フリー磁性層14にバックド層B
1を接続すると、フリー磁性層14中を移動するアップ
スピン電子がバックド層B1内にまで移動することが可
能となり、バックド層B1の膜厚に比例してアップスピ
ン電子の平均自由行程を更に延ばすことができる。この
ため、いわゆるスピンフィルター効果を発現させること
が可能となり、伝導電子の平均自由行程の行程差が大き
くなって、スピンバルブ型薄膜磁気素子の磁気抵抗変化
率(△R/R)をより向上させることができる。
【0090】本実施形態のスピンバルブ型薄膜素子によ
れば、図21,図22に示す第1実施形態におけるスピ
ンバルブ型薄膜素子と同等の効果を奏するとともに、バ
ックド層B1が形成されているため、スピンフィルター
効果により特にフリー磁性層が薄い場合に磁気抵抗変化
率(△R/R)をより向上させることができる。
【0091】また、フリー磁性層14の磁気再生トラッ
ク幅方向寸法Tw(μm)とNi濃度CNi(原子%)あ
るいは、磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と素
子高さ方向の磁歪λs(×10-6)とが、上記の値に設
定されているために再生波形の歪みや不安定性(instab
ility )を増加させることなしに、狭いトラック幅の磁
気ヘッドで必要な再生出力を確保することができる。
【0092】なお、本実施形態のみならず本発明におい
ては、図24に示すように、固定磁性層12を単層から
なる構成とすることも可能である。この場合、固定磁性
層12の固定磁化は、反強磁性層1との交換結合によっ
て、図24に示すように、図示Y方向と逆方向に固定す
ることができる。
【0093】以下、本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁
気素子およびこのスピンバルブ型薄膜磁気素子を備えた
薄膜磁気ヘッドの第3実施形態を、図面に基づいて説明
する。 [第3実施形態]図25は、本発明の第3実施形態のス
ピンバルブ型薄膜素子を記録媒体との対向面側から見た
場合の構造を示した断面図である。本実施形態において
も、ボトム型(Bottom type )のシンセティックフェリ
ピンド型(synthetic-ferri-pinned spin-valves)とさ
れ、、図23に示した第2実施形態と異なるところは、
バックド層B1に替えて鏡面反射層S1を設けた点、お
よび、フリー磁性層に関する点である。それ以外、第2
実施形態の構成要素と対応する構成要素には同一の符号
を付して説明を省略する。
【0094】図25において、符号S1は、鏡面反射層
である。この鏡面反射層S1は、図25に示すように、
前記フリー磁性層14の上に設けられ、この鏡面反射層
S1の上には、Taなどで形成された保護層15が形成
されて、積層体16が構成されている。
【0095】図5,6は、本実施形態における磁気再生
トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層
の少なくとも一部を構成するNiFe合金におけるNi
濃度CNi(原子%)との範囲を示す図である。本実施形
態において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μ
m)と、前記フリー磁性層の少なくとも一部を構成する
NiFe合金におけるNi濃度CNi(原子%)とが、添
付図面図5に各点(Tw,CNi)で示すように、点C1
(0.3,87.7),点D1 (0.25,86.
5),点E1 (0.22,84.9),点F1 (0.2
0,83),点G1 (0.19,82.5),点H1
(0.18,81),点I1 (0.17,80.5),
点J1 (0.15,77.3),点K1 (0.13,7
6.8),点L1 (0.1,75),点M1 (0.1,
70.2),点N1 (0.13,70.2),点O1
(0.15,70.2),点P1 (0.17,70.
2),点Q1 (0.18,70.2),点R1 (0.1
9,70.2),点S1 (0.20,70.2),点T
1 (0.22,70.2),点U1 (0.25,71.
5),点V1 (0.3,73.6)で囲まれる範囲内の
値に設定されることができ、この範囲であると、図42
において対応するトラック幅の範囲で規定される範囲に
前記フリー磁性層の磁歪λsを規定することができる。
つまり、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)
と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とが、図
42に各点(Tw,λs)で示すように、点SC1
(0.3,12.5),点SD1 (0.25,18),
点SE 1 (0.23,20),点SF1 (0.2,2
0),点SG1 (0.19,20),点SH1 (0.1
8,20),点SI1 (0.17,20),点SJ1
(0.15,20),点SK1 (0.1,20),点S
1 (0.1,9),点SM 1 (0.15,3.5),
点SN1 (0.17,2),点SO1 (0.18,
1),点SP1 (0.19,0),点SQ1 (0.2,
−0.7),点SR1 (0.22,−2),点SS1
(0.25,−3),点ST1 (0.3,−5)で囲ま
れる範囲内の値に設定されることができ、この範囲であ
ると、特に0.3μm以下の再生トラック幅の磁気ヘッ
ドにおいて、再生波形の歪みや不安定性(instability
)を抑制しつつ必要な再生出力を確保する上でより好
ましい。
【0096】本実施形態において、前記磁気再生トラッ
ク幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の少な
くとも一部を構成するNiFe合金におけるNi濃度C
Ni(原子%)とが、添付図面図6に各点(Tw,CNi
で示すように、点C2 (0.3,83.5),点D2
(0.25,83),点E2 (0.22,82.9),
点F2 (0.20,81.5),点G2 (0.19,8
1),点H2 (0.18,80),点J2 (0.15,
78.4),点K2 (0.13,76.5),点L2
(0.1,75),点M2 (0.1,70.6),点N
2 (0.13,70.6),点O2 (0.15,70.
6),点Q2 (0.18,71.7),点R 2 (0.1
9,72),点S2 (0.20,72.5),点T2
(0.22,73.6),点U2 (0.25,74),
点V2 (0.3,75.6)で囲まれる範囲内の値に設
定されることができ、この範囲であると、図43におい
て対応するトラック幅の範囲で規定される範囲に前記フ
リー磁性層の磁歪λsを規定することができる。つま
り、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、
前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とが、添付図
面図43に各点(Tw,λs)で示すように、点SC2
(0.3,7.5),点SD2 (0.25,10.
5),点SE2 (0.23,11),点SF2 (0.2
2,12),点SG2 (0.2,13.5),点SH2
(0.19,14.2),点SI2 (0.18,15.
1),点SJ2 (0.15,17.5),点SW2
(0.13,20),点SK2 (0.1,20),点S
2 (0.1,9),点SX2 (0.13,5),点S
2 (0.15,3.5),点SN2 (0.18,1.
5),点SO2 (0.19,1.2),点SP2 (0.
2,1),点SQ2 (0.22,0),点SR2 (0.
23,−0.5),点SS2 (0.25,−1),点S
2 (0.3,−1.5)で囲まれる範囲内の値に設定
されることができ、この範囲であると、特に0.3μm
以下の再生トラック幅の磁気ヘッドにおいて、再生波形
の歪みや不安定性(instability )を更に効果的に抑制
する上で好ましく、そして、磁気的な実効再生トラック
幅の制御の上で好適なハードバイアス層の残留磁化×膜
厚積の値にハードバイアス層を設定しつつ、必要な再生
出力を確保する上でより好ましい。
【0097】本実施形態において、鏡面反射層S1は、
伝導電子の平均自由行程を鏡面反射効果により延長する
平均自由行程延長層として形成され、後述するように、
磁気抵抗効果に寄与する+スピン(上向きスピン:up s
pin )の伝導電子における平均自由行程(mean free pa
th)をのばし、いわゆる鏡面反射効果(specular effec
t )によりスピンバルブ型薄膜素子において、大きな△
R/R(抵抗変化率)を得ることが可能となり、これに
より、高密度記録化に対応できるものとすることができ
る。この鏡面反射層S1の厚さは、10〜400オング
ストロームの範囲に設定されることが好ましく、より好
ましくは10〜200オングストロームの範囲に設定さ
れることができる。この鏡面反射層S1の膜厚が、10
オングストロームよりも薄い値に設定されると、ポテン
シャル障壁を形成可能な結晶構造を有する酸化物として
連続した一様な膜にならず、鏡面反射の効果が充分得ら
れないため、好ましくない。また、この鏡面反射層S1
の膜厚が、厚くなるに従い、反強磁性層11と同様に、
反強磁性膜として機能する可能性が増大してしまい、予
期しない交換結合磁界(Hex)を生じてしまう可能性
が生じる。このため、上記の値よりも厚い値に設定され
ると、好ましくない。同時に、薄膜磁気ヘッドとして構
成した場合に、再生ギャップであるシールド間隔が広く
なり過ぎ、ヘッドの分解能が低下するため好ましくない
という問題が発生する。
【0098】このように設定することにより、鏡面反射
層S1は、フリー磁性層14とフリー磁性層14との界
面付近においてポテンシャル障壁を形成し、フリー磁性
層14を移動してきたアップスピンの伝導電子を、フリ
ー磁性層14と鏡面反射層S1との界面付近においてス
ピンの状態を保存したまま反射させることができ、アッ
プスピンの伝導電子の平均自由行程をさらに延ばして、
後述するように、いわゆる鏡面反射効果を示す。
【0099】ここで、伝導電子をスピンの状態を保存し
たまま反射させるために、バックド層B1と鏡面反射層
S1との界面でポテンシャル障壁を形成すること、すな
わち、フリー磁性層14は良好な導電体であるのに対
し、鏡面反射層S1は電気的に絶縁体であることが有効
である。
【0100】この様な条件を満たす絶縁材料としては、
酸化物が適用されることが好ましく、例えば、α−Fe
23,NiO,CoO,Co−Fe−O,Co−Fe−
Ni−O,Al23,Al−Q−O(ここでQはB,S
i,N,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Niから
選択される一種以上),R−O(ここでRはTi,V,
Cr,Zr,Nb,Mo,Hf,Ta,Wから選択され
る1種以上)等の酸化膜を採用することができる。この
ような酸化物絶縁材料によって、鏡面反射層S1を構成
することができる。また、Al−N,Al−Q−N(こ
こでQはB,Si,O,Ti,V,Cr,Mn,Fe,
Co,Niから選択される一種以上),R−N(ここで
RはTi,V,Cr,Zr,Nb,Mo,Hf,Ta,
Wから選択される1種以上)等の窒化膜等を採用するこ
とも可能で、同様な効果を得ることができる。また、鏡
面反射層S1としてα−Fe23やNiOなどの反強磁
性体を用いた場合には、ハードバイアス層17のかわり
にフリー磁性層14の磁化を図示X1方向に揃えて、バ
イアス層を兼ねることも可能となる。
【0101】ここで、フリー磁性層14の前記非磁性導
電層13に接しない位置に鏡面反射層S1を積層する
と、この鏡面反射層S1はフリー磁性層14との界面に
おいてポテンシャル障壁を形成し、フリー磁性層14中
を移動するアップスピンの伝導電子を、そのスピンの状
態を保存させたまま反射させることができ、アップスピ
ンの伝導電子を鏡面反射することが可能となり、アップ
スピンの伝導電子の平均自由行程をさらに延ばすことが
できる。つまり、いわゆる鏡面反射効果(specular eff
ect )を発現させることが可能となり、スピンに依存し
た伝導電子における平均自由行程の行程差がさらに大き
くなって、スピンバルブ型薄膜磁気素子の磁気抵抗変化
率をより向上させることができる。
【0102】本実施形態のスピンバルブ型薄膜素子によ
れば、図23に示す第2実施形態におけるスピンバルブ
型薄膜素子と同様の効果を奏するとともに、鏡面反射層
S1が形成されているため、鏡面反射効果により磁気抵
抗変化率(△R/R)をより向上させることができる。
【0103】また、フリー磁性層14の磁気再生トラッ
ク幅方向寸法Tw(μm)とNi濃度CNi(原子%)と
素子高さ方向の磁歪λs(×10-6)とが、上記の値に
設定されているために再生波形の歪みや不安定性(inst
ability )を増加させることなしに、狭いトラック幅の
磁気ヘッドで必要な再生出力を確保することができる。
【0104】以下、本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁
気素子およびこのスピンバルブ型薄膜磁気素子を備えた
薄膜磁気ヘッドの第4実施形態を、図面に基づいて説明
する。 [第4実施形態]図26は、本発明の第4実施形態のス
ピンバルブ型薄膜素子を記録媒体との対向面側から見た
場合の構造を示した断面図である。本実施形態において
も、ボトム型(Bottom type )のシンセティックフェリ
ピンド型(synthetic-ferri-pinned spin-valves)とさ
れ、図23に示した第2実施形態と異なるところは、鏡
面反射層S1,S2を設けた点、および、フリー磁性層
に関する点である。それ以外、第2実施形態の構成要素
と対応する構成要素には同一の符号を付して説明を省略
する。
【0105】図26において、符号S1,S2は、鏡面
反射層である。この鏡面反射層S1は、図26に示すよ
うに、前記バックド層B1のフリー磁性層14と反対側
の上側に鏡面反射層S1が設けられ、図25に示す第3
実施形態と同様に、この鏡面反射層S1の上には、Ta
などで形成された保護層15が形成されて、積層体16
が構成されている。本実施形態においては、固定磁性層
12が多層膜からなる構造とされ、図26に示すよう
に、第2の固定磁性層12Cが、鏡面反射層S2によっ
てその膜厚方向(図26における上下方向)に分断され
て、三層からなる構造とされている。鏡面反射層S2の
上下の固定磁性層12C’,12C”は、図21に示す
第1実施形態の固定磁性層12Cと略同等の材質からな
るものとされ、これら固定磁性層12C’,固定磁性層
12C”の膜厚の合計が、図21に示す第1実施形態の
固定磁性層12Cの磁気的膜厚と等しくなるよう設定さ
れている。
【0106】鏡面反射層S2は、鏡面反射層S1と同様
に、固定磁性層12C”との界面付近においてポテンシ
ャル障壁を形成し、非磁性導電層13および固定磁性層
12C”を移動してきたアップスピンの伝導電子を、固
定磁性層12C”と鏡面反射層S2との界面付近におい
てスピンの状態を保存したまま反射させることができ、
アップスピンの伝導電子の平均自由行程をさらに延ばし
て、前述したように、いわゆる鏡面反射効果を示す。ま
た、鏡面反射層S2がフリー磁性層14に対して磁気的
相互作用が微小なため、フリー磁性層14に対する磁気
的影響を低減した状態で、鏡面反射層S1によって得ら
れる鏡面反射効果と同等の鏡面反射効果を得ることがで
きる。
【0107】図7,8は、本実施形態における磁気再生
トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層
の少なくとも一部を構成するNiFe合金におけるNi
濃度CNi(原子%)との範囲を示す図である。本実施形
態において、前記磁気記録トラック幅方向寸法Tw(μ
m)と、前記フリー磁性層の少なくとも一部を構成する
NiFe合金におけるNi濃度CNi(原子%)とが、添
付図面図7に各点(Tw,CNi)で示すように、点D1
(0.25,86.5),点E1 (0.22,84.
9),点F1 (0.20,83),点G1 (0.19,
82.5),点H1 (0.18,81),点I1 (0.
17,80.5),点J1 (0.15,77.3),点
1 (0.13,76.8),点L1 (0.1,7
5),点M1 (0.1,70.2),点N1 (0.1
3,70.2),点O1 (0.15,70.2),点P
1 (0.17,70.2),点Q1 (0.18,70.
2),点R1 (0.19,70.2),点S1 (0.2
0,70.2),点T1 (0.22,70.2),点U
1 (0.25,71.5)で囲まれる範囲内の値に設定
されることができ、この範囲であると、図42において
対応するトラック幅の範囲で規定される範囲に前記フリ
ー磁性層の磁歪λsを規定することができる。つまり、
前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記
フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とが、図42に各
点(Tw,λs)で示すように、点SD1 (0.25,
18),点SE1 (0.23,20),点SF1 (0.
2,20),点SG1 (0.19,20),点SH1
(0.18,20),点SI1 (0.17,20),点
SJ1 (0.15,20),点SK1 (0.1,2
0),点SL1 (0.1,9),点SM1 (0.15,
3.5),点SN1 (0.17,2),点SO1 (0.
18,1),点SP1 (0.19,0),点SQ1
(0.2,−0.7),点SR1 (0.22,−2),
点SS1 (0.25,−3)で囲まれる範囲内の値に設
定されることができ、この範囲であると、特に0.25
μm以下の再生トラック幅の磁気ヘッドにおいて、再生
波形の歪みや不安定性(instability )を抑制しつつ必
要な再生出力を確保する上でより好ましい。
【0108】本実施形態において、前記磁気再生トラッ
ク幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の少な
くとも一部を構成するNiFe合金におけるNi濃度C
Ni(原子%)とが、添付図面図8に各点(Tw,CNi
で示すように、点D2 (0.25,83),点E2
(0.22,82.9),点F2 (0.20,81.
5),点G2 (0.19,81),点H2 (0.18,
80),点J2 (0.15,78.4),点K2 (0.
13,76.5),点L2 (0.1,75),点M
2(0.1,70.6),点N2 (0.13,70.
6),点O2 (0.15,70.6),点Q2 (0.1
8,71.7),点R2 (0.19,72),点S
2(0.20,72.5),点T2 (0.22,73.
6),点U2 (0.25,74)で囲まれる範囲内の値
に設定されることができ、この範囲であると、図43に
おいて対応するトラック幅の範囲で規定される範囲に前
記フリー磁性層の磁歪λsを規定することができる。つ
まり、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)
と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とが、図
43に各点(Tw,λs)で示すように、点SD
2 (0.25,10.5),点SE2 (0.23,1
1),点SF2 (0.22,12),点SG2 (0.
2,13.5),点SH2 (0.19,14.2),点
SI2 (0.18,15.1),点SJ2 (0.15,
17.5),点SW2 (0.13,20),点SK
2 (0.1,20),点SL2 (0.1,9),点SX
2 (0.13,5),点SM2 (0.15,3.5),
点SN2 (0.18,1.5),点SO2 (0.19,
1.2),点SP2 (0.2,1),点SQ2 (0.2
2,0),点SR2 (0.23,−0.5),点SS2
(0.25,−1)で囲まれる範囲内の値に設定される
ことができ、この範囲であると、特に0.25μm以下
の再生トラック幅の磁気ヘッドにおいて、再生波形の歪
みや不安定性(instability )を更に効果的に抑制する
上で好ましく、そして、磁気的な実効再生トラック幅の
制御の上で好適なハードバイアス層の残留磁化×膜厚積
の値にハードバイアス層を設定しつつ、必要な再生出力
を確保する上でより好ましい。
【0109】本実施形態のスピンバルブ型薄膜素子によ
れば、図21ないし図24に示す第1,第2実施形態に
おけるスピンバルブ型薄膜素子と同様の効果を奏すると
ともに、さらに、鏡面反射層S2を設けたことにより、
抵抗変化率(ΔR/R)をより向上して、狭トラック
化、高記録密度化に対応することが可能となる。また、
フリー磁性層14の磁気再生トラック幅方向寸法Tw
(μm)とNi濃度CNi(原子%)と磁歪λs(×10
-6)とが、上記の値に設定されているために、再生波形
の歪みや不安定性(instability )を増加させることな
しに、狭いトラック幅のヘッドにおいても必要な再生出
力を確保することができる。
【0110】以下、本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁
気素子およびこのスピンバルブ型薄膜磁気素子を備えた
薄膜磁気ヘッドの第5実施形態を、図面に基づいて説明
する。 [第5実施形態]図27は、本発明の第5実施形態のス
ピンバルブ型薄膜素子を記録媒体との対向面側から見た
場合の構造を示した断面図である。本実施形態のスピン
バルブ型薄膜磁気素子は、基板側から、フリー磁性層、
非磁性導電層、固定磁性層、反強磁性層が形成されたト
ップタイプ(Top type)とされるシングルスピンバルブ
型薄膜磁気素子の一種である。
【0111】図27において、符号1は、基板K上に設
けられた下地層である。この下地層1の上には、フリー
磁性層5、非磁性導電層4、固定磁性層3、反強磁性層
2、保護層7が積層され、これら、下地層1、フリー磁
性層5、非磁性導電層4、固定磁性層3、反強磁性層
2、保護層7は、断面略台形とされる積層体9を形成し
ている。この積層体9の両側には、バイアス下地層6A
と、ハードバイアス層6Bと、中間層6Cとが積層さ
れ、中間層6Cには電極層8が積層されている。ハード
バイアス層は、図において、X1方向に磁化されてお
り、これにより、フリー磁性層の磁化方向が、X1方向
に設定されている。
【0112】さらに詳細に説明すると、前記反強磁性層
2は、積層体9中央部分において、50〜300オング
ストローム程度の厚さとされ、PtMn合金で形成され
ることが好ましい。PtMn合金は、従来から反強磁性
層として使用されているNiMn合金やFeMn合金な
どに比べて耐食性に優れ、しかもブロッキング温度が高
く、交換結合磁界(交換異方性磁界)も大きい。また、
前記PtMn合金に代えて、X−Mn(ただし、Xは、
Pd、Ru、Ir、Rh、Osのうちから選択される1
種の元素を示す。)の式で示される合金、あるいは、
X’−Pt−Mn(ただし、X’は、Pd、Ru、I
r、Rh、Os、Au、Ag、Cr、Ni、Ar、N
e、Xe、Krのうちから選択される1種または2種以
上の元素を示す。)の式で示される合金で形成されてい
てもよい。
【0113】また、前記PtMn合金および前記X−M
nの式で示される合金において、PtあるいはXが37
〜63原子%の範囲であることが望ましい。より好まし
くは、47〜57原子%の範囲である。ここで、特に規
定しない限り〜で示す数値範囲の上限と下限は、以下、
以上を意味する。さらにまた、X’−Pt−Mnの式で
示される合金において、X’+Ptが37〜63原子%
の範囲であることが望ましい。より好ましくは、47〜
57原子%の範囲である。さらに、前記X’−Pt−M
nの式で示される合金としては、X’が0.2〜10原
子%の範囲であることが望ましい。ただし、X’がP
d、Ru、Ir、Rh、Osの1種以上の場合は、X’
は0.2〜40原子%の範囲であることが望ましい。前
記反強磁性層2として、上記した適正な組成範囲の合金
を使用し、これをアニール処理することで、大きな交換
結合磁界を発生する反強磁性層2を得ることができる。
とくに、PtMn合金であれば、48kA/m以上、例
えば、64kA/mを越える交換結合磁界を有し、前記
交換結合磁界を失うブロッキング温度が380℃と極め
て高い優れた反強磁性層2を得ることができる。これら
の合金は、成膜したままでは不規則系の面心立方構造
(fcc:格子定数がa軸とc軸とで同じ値)である
が、熱処理により、CuAuIタイプの規則系の面心正
方構造(fct:a軸/c軸≒0.9)に構造変態す
る。
【0114】固定磁性層3は、強磁性体の薄膜からな
り、例えば、Co、NiFe合金、CoNiFe合金、
CoFe合金、CoNi合金などで形成され、10〜5
0オングストローム程度の厚さとされることが好まし
く、固定磁性層3は、例えばCoからなりその膜厚が3
0オングストロームに設定される。この固定磁性層3
は、反強磁性層2に接して形成され、磁場中アニール
(熱処理)を施すことにより、前記固定磁性層3と反強
磁性層2との界面にて交換結合磁界(交換異方性磁界)
が発生し、例えば図27に示すように、前記固定磁性層
3の磁化が、図示Y方向に固定される。
【0115】前記フリー磁性層5は、NiFeやCoF
eやCoFeNi系合金からなる単層あるいはCoFe
等のCo合金とNiFe合金の積層膜とされ、その膜厚
が、10〜50オングストロームの範囲に設定され、よ
り好ましくは、20〜35オングストロームの範囲に設
定されることが好ましい。ここで、前記フリー磁性層5
には、非磁性導電層4側にはCoからなる層を設けるこ
ともできる。
【0116】図9,10は、本実施形態における磁気再
生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、フリー磁性層の
少なくとも一部を構成するNiFe合金におけるNi濃
度C Ni(原子%)との範囲を示す図である。本実施形態
において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μ
m)と、前記フリー磁性層の少なくとも一部を構成する
NiFe合金におけるNi濃度CNi(原子%)とが、添
付図面図9に各点(Tw,CNi)で示すように、点F1
(0.20,83),点G1 (0.19,82.5),
点H1 (0.18,81),点I1 (0.17,80.
5),点J1 (0.15,77.3),点K1 (0.1
3,76.8),点L1 (0.1,75),点M1
(0.1,70.2),点N 1 (0.13,70.
2),点O1 (0.15,70.2),点P1 (0.1
7,70.2),点Q1 (0.18,70.2),点R
1 (0.19,70.2),点S1 (0.20,70.
2)で囲まれる範囲内の値に設定されることができ、こ
の範囲であると、図42において対応するトラック幅の
範囲で規定される範囲に前記フリー磁性層の磁歪λsを
規定することができる。つまり、前記磁気再生トラック
幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層5の磁歪
λs(×10 -6)とが、図42に各点(Tw,λs)で
示すように、点SF1 (0.2,20),点SG1
(0.19,20),点SH1 (0.18,20),点
SI1 (0.17,20),点SJ1 (0.15,2
0),点SK1 (0.1,20),点SL1 (0.1,
9),点SM1 (0.15,3.5),点SN1 (0.
17,2),点SO1 (0.18,1),点SP1
(0.19,0),点SQ1 (0.2,−0.7)で囲
まれる範囲内の値に設定されることができ、この範囲で
あると、特に0.2μm以下の再生トラック幅の磁気ヘ
ッドにおいて、再生波形の歪みや不安定性(instabilit
y )を抑制しつつ必要な再生出力を確保する上でより好
ましい。
【0117】本実施形態において、前記磁気再生トラッ
ク幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の少な
くとも一部を構成するNiFe合金におけるNi濃度C
Ni(原子%)とが、添付図面図10に各点(Tw,
Ni)で示すように、点E2 (0.22,82.9),
点F2 (0.20,81.5),点G2 (0.19,8
1),点H2 (0.18,80),点J2 (0.15,
78.4),点K2 (0.13,76.5),点L2
(0.1,75),点M2 (0.1,70.6),点N
2 (0.13,70.6),点O2 (0.15,70.
6),点Q2 (0.18,71.7),点R2 (0.1
9,72),点S2 (0.20,72.5),点T2
(0.22,73.6)で囲まれる範囲内の値に設定さ
れることができ、この範囲であると、図43において対
応するトラック幅の範囲で規定される範囲に前記フリー
磁性層の磁歪λsを規定することができる。つまり、前
記磁気記録トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フ
リー磁性層5の磁歪λs(×10-6)とが、図43に各
点(Tw,λs)で示すように、点SF2 (0.22,
12),点SG2 (0.2,13.5),点SH
2 (0.19,14.2),点SI 2 (0.18,1
5.1),点SJ2 (0.15,17.5),点SW2
(0.13,20),点SK2 (0.1,20),点S
2 (0.1,9),点SX2(0.13,5),点S
2 (0.15,3.5),点SN2 (0.18,1.
5),点SO2 (0.19,1.2),点SP2 (0.
2,1),点SQ2 (0.22,0)で囲まれる範囲内
の値に設定されることができ、この範囲であると、特に
0.22μm以下の再生トラック幅の磁気ヘッドにおい
て、再生波形の歪みや不安定性(instability )を更に
効果的に抑制する上で好ましく、そして、磁気的再生ト
ラック幅の制御の上で好適なハードバイアス層の残留磁
化×膜厚積にハードバイアス層を設定しつつ、必要な再
生出力を確保する上でより好ましい。
【0118】非磁性導電層4は、Cu(銅)等からな
り、その膜厚は、20〜30オングストロームに設定さ
れる。保護層7は、Taからなり、その表面が、酸化さ
れた酸化層7aとされている。
【0119】バイアス下地層6Aは、緩衝膜および配向
膜であり、Crなどで形成されることが好ましく、例え
ば、20〜100オングストローム程度、好ましくは5
0オングストローム程度の厚さとされ、中間層6Cは、
例えばTaからなり50オングストローム程度の膜厚と
される。これらバイアス下地層6Aおよび中間層6C
が、後工程のインダクティブヘッド(書込ヘッド)の製
造プロセスでおこなう絶縁レジストの硬化工程(UVキ
ュアまたはハードベーク)等で高温に曝される場合に、
拡散バリアーとして機能することにより、ハードバイア
ス層6B,6Bと周辺層の間で熱拡散がおこり、ハード
バイアス層6B,6Bの磁気特性が劣化することを防止
することができる。
【0120】前記ハードバイアス層6B,6Bは、通
常、200〜700オングストローム程度の厚さとさ
れ、例えば、Co−Pt合金やCo−Cr−Pt合金や
Co−Cr−Ta(コバルト−クロム−タンタル)合金
などで形成されることが好ましい。また、前記ハードバ
イアス層6B,6Bが、図示X1方向に磁化されている
ことで、前記フリー磁性層5の磁化が、図示X1方向に
揃えられている。これにより、前記フリー磁性層5の変
動磁化と前記固定磁性層3の固定磁化とが90度で交差
する関係となっている。
【0121】前記ハードバイアス層6B,6Bは、前記
フリー磁性層5と同じ階層位置に配置され、前記フリー
磁性層5の膜厚方向に前記フリー磁性層5の膜厚よりも
大きな膜厚とされることが好ましい。また、前記ハード
バイアス層6B,6Bの上面(基板Kに対向する面と反
対側の面)は、フリー磁性層5の上面(基板Kに対向す
る面と反対側の面)よりも基板Kから離れた位置に(す
なわち、図では上側に)配置され、前記ハードバイアス
層6B,6Bの下面は、前記フリー磁性層5の下面と略
等しいかフリー磁性層5の下面よりも基板K側の位置に
(すなわち、図では下側に)配置されている。前記ハー
ドバイアス層6B,6Bは、前記フリー磁性層5と同じ
階層位置に配置されて前記積層体9と接合されている
が、ここで、「前記フリー磁性層5と同じ階層位置に配
置されて前記積層体9と接合され」とは、少なくともハ
ードバイアス層6B,6Bとフリー磁性層5とが磁気的
に主に接合されている状態を意味し、前記ハードバイア
ス層6B,6Bと前記フリー磁性層5との接合部分の厚
さが、前記フリー磁性層5の膜厚に等しいかこのフリー
磁性層5の膜厚よりも薄い状態も含まれる。また、ここ
で、ハードバイアス層6B,6Bの上面とは、基板K側
と反対側の面を意味している。さらに、「接合」とは、
磁気的に主に接合されていればよく、直接接触して接続
することのみならず、例えばバイアス下地層6A、中間
層6C等を介して積層体9と接続されることをも意味し
ている。
【0122】電極層8,8が、Cr、Au、Ta、Wか
ら選択される1種またはそれ以上からなる単層膜もしく
はその多層膜で形成されたことにより、抵抗値を低減す
ることができる。ここでは、電極層8,8としてCrが
選択されて、Taからなる中間層6C上にエピタキシャ
ル成長することにより形成されることにより電気抵抗値
を低減することができる。
【0123】図27に示す構造のスピンバルブ型薄膜磁
気素子においては、電極層8,8から積層体9にセンス
電流を与えられる。磁気記録媒体から図示Y方向に磁界
が印加されると、フリー磁性層5の磁化は、図示X1方
向からY方向に変動する。このときの非磁性導電層4と
フリー磁性層5との界面および非磁性導電層4と固定磁
性層3との界面で、いわゆるGMR効果によってスピン
に依存した伝導電子の散乱が起こることにより、電気抵
抗が変化し、記録媒体からの洩れ磁界が検出される。
【0124】本実施形態のスピンバルブ型薄膜素子によ
れば、図21ないし図26に示す第1ないし第4実施形
態におけるスピンバルブ型薄膜素子と同様の効果を奏す
ることができ、抵抗変化率(ΔR/R)をより向上し
て、狭トラック化、高記録密度化に対応することが可能
となる。また、フリー磁性層5の磁気再生トラック幅方
向寸法Tw(μm)とNi濃度CNi(原子%)と磁歪λ
s(×10-6)とが、上記の値に設定されているために
再生波形の歪みや不安定性(instability )を増加させ
ることなしに狭いトラック幅のヘッドにおいても必要な
再生出力を確保することができる。
【0125】以下、本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁
気素子およびこのスピンバルブ型薄膜磁気素子を備えた
薄膜磁気ヘッドの第6実施形態を、図面に基づいて説明
する。 [第6実施形態]図28は、本発明の第6実施形態のス
ピンバルブ型薄膜磁気素子を記録媒体との対向面側から
見た場合の構造を示した断面図である。本実施形態のス
ピンバルブ型薄膜磁気素子は、先に説明した図27に示
す第5実施形態のものと略同等のトップタイプ(Top ty
pe)とされるシングルスピンバルブ型薄膜磁気素子とさ
れ、対応する構成には、同一の符号を付けその説明を省
略する。
【0126】本実施形態のスピンバルブ型薄膜磁気素子
において、図27に示す第5実施形態と異なる点は、固
定磁性層が、第1の固定磁性層と、前記第1の固定磁性
層に非磁性中間層を介して形成され、前記第1の固定磁
性層の磁化方向と反平行に磁化方向が揃えられた第2の
固定磁性層と、を有し、固定磁性層が合成フェリ磁性状
態とされてなる手段、いわゆる、シンセティックフェリ
ピンド型(synthetic-ferri-pinned type )とされた点
と、フリー磁性層に関する点である。
【0127】本実施形態においては、Cu(銅)等から
なる非磁性導電層4の上に、固定磁性層3A,3B,3
Cが形成されている。この固定磁性層3A,3B,3C
は、非磁性導電層4の上に積層された第2の固定磁性層
3Cと、前記第2の固定磁性層3Cの上に非磁性中間層
3Bを介して形成され、前記第2の固定磁性層3Cの磁
化方向と反平行に磁化方向が揃えられた第1の固定磁性
層3Aとからなる。この第1の固定磁性層3Aの上に
は、PtMn合金からなる反強磁性層2が形成される。
第1および第2の固定磁性層3A,3Cは、強磁性体の
薄膜からなり、例えば、Co、NiFe合金、CoNi
Fe合金、CoFe合金、CoNi合金などで形成さ
れ、両方の合計が40オングストローム程度の厚さとさ
れることが好ましく、第1の固定磁性層3Aは、例えば
Coからなりその膜厚が13〜20オングストロームに
設定され。第2の固定磁性層3Cは、例えばCoからな
りその膜厚が15〜25オングストロームに設定され
る。また、前記非磁性中間層3Bは、Ru、Rh、I
r、Cr、Re、Cuのうち1種あるいは2種以上の合
金で形成されていることが好ましく、通常、8オングス
トローム程度の厚さに形成されている。
【0128】この第1の固定磁性層3Aは、反強磁性層
2に接して形成され、磁場中アニール(熱処理)を施す
ことにより、前記第1の固定磁性層3Aと反強磁性層2
との界面にて交換結合磁界(交換異方性磁界)が発生
し、例えば図に示すように、前記第1の固定磁性層3A
の磁化が、図示Y方向に固定される。前記第1の固定磁
性層3Aの磁化が、図示Y方向に固定されると、非磁性
中間層3Bを介して対向する第2の固定磁性層3Cの磁
化は、第1の固定磁性層3Aの磁化と反平行の状態、つ
まり、図示Y方向と逆方向に固定される。図2に示すよ
うに、これら下地層1から酸化層7aまでの各層によ
り、略台形状の断面形状を有する積層体91が構成され
ている。
【0129】図11,12は、本実施形態における磁気
再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁
性層の少なくとも一部を構成するNiFe合金における
Ni濃度CNi(原子%)との範囲を示す図である。本実
施形態において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw
(μm)と、前記フリー磁性層の少なくとも一部を構成
するNiFe合金におけるNi濃度CNi(原子%)と
が、添付図面図11に各点(Tw,CNi)で示すよう
に、点G1 (0.19,82.5),点H1 (0.1
8,81),点I1 (0.17,80.5),点J1
(0.15,77.3),点K1 (0.13,76.
8),点L1 (0.1,75),点M1 (0.1,7
0.2),点N1 (0.13,70.2),点O1
(0.15,70.2),点P1 (0.17,70.
2),点Q1 (0.18,70.2),点R1 (0.1
9,70.2)で囲まれる範囲内の値に設定されること
ができ、この範囲であると、図42において対応するト
ラック幅の範囲で規定される範囲に前記フリー磁性層の
磁歪λsを規定することができる。つまり、前記磁気再
生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性
層5の磁歪λs(×10-6)とが、図42に各点(T
w,λs)で示すように、点SG1 (0.19,2
0),点SH1 (0.18,20),点SI1 (0.1
7,20),点SJ1 (0.15,20),点SK1
(0.1,20),点SL1 (0.1,9),点SM1
(0.15,3.5),点SN1 (0.17,2),点
SO1 (0.18,1),点SP1 (0.19,0)で
囲まれる範囲内の値に設定されることができ、この範囲
であると、特に0.19μm以下の再生トラック幅の磁
気ヘッドにおいて、再生波形の歪みや不安定性(instab
ility )を抑制しつつ必要な再生出力を確保する上でよ
り好ましい。
【0130】本実施形態において、前記磁気再生トラッ
ク幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の少な
くとも一部を構成するNiFe合金におけるNi濃度C
Ni(原子%)とが、添付図面図12に各点(Tw,
Ni)で示すように、点F2 (0.20,81.5),
点G2 (0.19,81),点H2 (0.18,8
0),点J2 (0.15,78.4),点K2 (0.1
3,76.5),点L2 (0.1,75),点M2
(0.1,70.6),点N2 (0.13,70.
6),点O2 (0.15,70.6),点Q2 (0.1
8,71.7),点R2 (0.19,72),点S2
(0.20,72.5)で囲まれる範囲内の値に設定さ
れることができ、この範囲であると、図43において対
応するトラック幅の範囲で規定される範囲に前記フリー
磁性層の磁歪λsを規定することができる。つまり、前
記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フ
リー磁性層5の磁歪λs(×10-6)とが、図43に各
点(Tw,λs)で示すように、点SG2 (0.2,1
3.5),点SH2 (0.19,14.2),点SI2
(0.18,15.1),点SJ2 (0.15,17.
5),点SW2 (0.13,20),点SK2 (0.
1,20),点SL2 (0.1,9),点SX2 (0.
13,5),点SM2 (0.15,3.5),点SN2
(0.18,1.5),点SO2 (0.19,1.
2),点SP2 (0.2,1)で囲まれる範囲内の値に
設定されることができ、この範囲であると、特に0.2
μm以下の再生トラック幅の磁気ヘッドにおいて、再生
波形の歪みや不安定性(instability )を更に効果的に
抑制する上で好ましく、そして、磁気的再生トラック幅
の制御の上で好適なハードバイアス層の残留磁化×膜厚
積にハードバイアス層を設定しつつ、必要な再生出力を
確保する上でより好ましい。
【0131】本実施形態のスピンバルブ型薄膜素子によ
れば、図21ないし図27に示す第1ないし第5実施形
態におけるスピンバルブ型薄膜素子と同様の効果を奏す
ることができ、抵抗変化率(ΔR/R)をより向上し
て、狭トラック化、高記録密度化に対応することが可能
となる。また、いわゆる、シンセティックフェリピンド
型(synthetic-ferri-pinned type )としたことによ
り、特にフリー磁性層を薄くして感度を向上させたとき
に生じやすい波形の非対称性(Asymmetry )を防止でき
るとともに、磁気記録媒体からの信号の処理が不正確に
なる不安定性(instability )の原因となるバルクハイ
ゼンノイズ等が発生することを防止することができる。
また、フリー磁性層5の磁気再生トラック幅方向寸法T
w(μm)とNi濃度CNi(原子%)と磁歪λs(×1
-6)とが、上記の値に設定されているために、再生波
形の歪みや不安定性(instability )を増加させること
なしに、狭いトラック幅のヘッドに置いて、必要な再生
出力を確保することができる。
【0132】以下、本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁
気素子およびこのスピンバルブ型薄膜磁気素子を備えた
薄膜磁気ヘッドの第7実施形態を、図面に基づいて説明
する。 [第7実施形態]図29は、本発明の第7実施形態のス
ピンバルブ型薄膜磁気素子を記録媒体との対向面側から
見た場合の構造を示した断面図である。このスピンバル
ブ型薄膜磁気素子は、フリー磁性層を中心としてその膜
厚方向両側に非磁性導電層、固定磁性層、および反強磁
性層がそれぞれ形成された、いわゆるデュアルスピンバ
ルブ型(Dual spin-valves)とされる。このデュアルス
ピンバルブ型薄膜磁気素子では、磁気抵抗効果を発現す
るフリー磁性層/非磁性導電層/固定磁性層のこの3層
の組合わせが2組存在するためシングルスピンバルブ型
薄膜磁気素子に比べて大きな△R/Rを期待でき、高密
度記録化に対応できるものとなっている。
【0133】図29に示すスピンバルブ型薄磁気膜素子
は、基板側から下地層30、反強磁性層31、第1の固
定磁性層(下)32、非磁性中間層(下)33、第2の
固定磁性層(下)34、非磁性導電層35、フリー磁性
層36、非磁性導電層40、第2の固定磁性層(上)4
1、非磁性中間層(上)42、第1の固定磁性層(上)
43、反強磁性層44、および保護層45の順で積層さ
れている。なお図7に示すように、下地層30から保護
層45までの積層体46の両側には、バイアス下地層1
30a、ハードバイアス層130、中間層131a、電
極層131が形成されている。
【0134】図29に示すスピンバルブ型薄膜磁気素子
の反強磁性層31,44は、PtMn合金で形成されて
いることが好ましく、あるいはPtMn合金に代えて、
X−Mn(ただしXは、Pd,Ir,Rh,Ruのいず
れか1種または2種以上の元素である)合金、あるい
は、Pt−Mn−X´(ただしX´は、Pd,Ir,R
h,Ru,Au,Agのいずれか1種または2種以上の
元素である)合金で形成されていてもよい。
【0135】前記フリー磁性層36は、前述した図21
〜図28に示す第1〜第6実施形態と同様に、NiFe
やCoFe,CoFeNi系合金からなる単層あるいは
CoFe等のCo合金とNi合金の積層膜とされ、その
膜厚が、10〜50オングストローム程度の厚さの範囲
に設定され、より好ましくは、20〜35オングストロ
ームの範囲に設定されることが好ましい。ここで、前記
フリー磁性層36には、非磁性導電層35,40側、つ
まりその上下にCoからなる層を設けることもできる。
【0136】図13,14は、本実施形態における磁気
再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁
性層の少なくとも一部を構成するNiFe合金における
Ni濃度CNi(原子%)との範囲を示す図である。本実
施形態において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw
(μm)と、前記フリー磁性層の少なくとも一部を構成
するNiFe合金におけるNi濃度CNi(原子%)と
が、添付図面図13に各点(Tw,CNi)で示すよう
に、点H1 (0.18,81),点I1 (0.17,8
0.5),点J1 (0.15,77.3),点K1
(0.13,76.8),点L1 (0.1,75),点
1 (0.1,70.2),点N1 (0.13,70.
2),点O1 (0.15,70.2),点P1 (0.1
7,70.2),点Q1 (0.18,70.2)で囲ま
れる範囲内の値に設定されることができ、この範囲であ
ると、図42において対応するトラック幅の範囲で規定
される範囲に前記フリー磁性層の磁歪λsを規定するこ
とができる。つまり、前記磁気再生トラック幅方向寸法
Tw(μm)と、前記フリー磁性層36の磁歪λs(×
10-6)とが、図42に各点(Tw,λs)で示すよう
に、点SH1 (0.18,20),点SI1 (0.1
7,20),点SJ 1 (0.15,20),点SK1
(0.1,20),点SL1 (0.1,9),点SM1
(0.15,3.5),点SN1 (0.17,2),点
SO1 (0.18,1)で囲まれる範囲内の値に設定さ
れることができ、この範囲であると、特に0.18μm
以下の再生トラック幅の磁気ヘッドにおいて、再生波形
の歪みや不安定性(instability )を抑制しつつ必要な
再生出力を確保する上でより好ましい。
【0137】本実施形態において、前記磁気再生トラッ
ク幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の少な
くとも一部を構成するNiFe合金におけるNi濃度C
Ni(原子%)とが、添付図面図14に各点(Tw,
Ni)で示すように、点G2 (0.19,81),点H
2 (0.18,80),点J2 (0.15,78.
4),点K2 (0.13,76.5),点L2 (0.
1,75),点M2 (0.1,70.6),点N2
(0.13,70.6),点O2 (0.15,70.
6),点Q2 (0.18,71.7),点R2 (0.1
9,72)で囲まれる範囲内の値に設定されることがで
き、この範囲であると、図43において対応するトラッ
ク幅の範囲で規定される範囲に前記フリー磁性層の素子
高さ方向の磁歪λsを規定することができる。つまり、
前記磁気記録トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記
フリー磁性層36の素子高さ方向の磁歪λs(×1
-6)とが、図43に各点(Tw,λs)で示すよう
に、点SH2 (0.19,14.2),点SI2 (0.
18,15.1),点SJ2 (0.15,17.5),
点SW2 (0.13,20),点SK2 (0.1,2
0),点SL2 (0.1,9),点SX2 (0.13,
5),点SM2 (0.15,3.5),点SN2 (0.
18,1.5),点SO2 (0.19,1.2)で囲ま
れる範囲内の値に設定されることができ、この範囲であ
ると、特に0.19μm以下の再生トラック幅の磁気ヘ
ッドにおいて、再生波形の歪みや不安定性(instabilit
y )を更に効果的に抑制する上で好ましく、そして、磁
気的な再生トラック幅の制御の上で好適なハードバイア
ス層の残留磁化×膜厚積にハードバイアス層を設定しつ
つ、必要な再生出力を確保する上でより好ましい。
【0138】このスピンバルブ型薄膜磁気素子において
も、前記第1の固定磁性層(下)32の膜厚tP1と、
第2の固定磁性層(下)34の膜厚tP2との膜厚比、
および第1の固定磁性層(上)43の膜厚tP1と第2
の固定磁性層41(上)の膜厚tP2との膜厚比(第1
の固定磁性層の膜厚tP1)/(第2の固定磁性層の膜
厚tP2)は、0.33〜0.95、あるいは1.05
〜4の範囲内であることが好ましい。さらには、膜厚比
が上記範囲内であり、第1の固定磁性層(下)32,
(上)43の膜厚tP1および第2の固定磁性層(下)
34,(上)41の膜厚tP2が10〜70オングスト
ロームの範囲内で、かつ第1の固定磁性層32,43の
膜厚tP1から第2の固定磁性層34,41の膜厚tP2
を引いた絶対値が2オングストローム以上であると、4
0kA/m以上の交換結合磁界を得ることが可能であ
る。なお第1の固定磁性層(下)32,(上)43と第
2の固定磁性層(下)34,(上)41との膜厚比や膜
厚、非磁性中間層(下)33,(上)42の膜厚、およ
び反強磁性層31,44の膜厚を上述した範囲内で適正
に調節することにより、充分な△R/R(抵抗変化率)
を保つことができる。
【0139】バイアス下地層130aは、緩衝膜および
配向膜であり、Crなどで形成されることが好ましく、
例えば、20〜100オングストローム程度、好ましく
は50オングストローム程度の厚さとされ、中間層13
1aは、例えばTaからなり50オングストローム程度
の膜厚とされる。これらバイアス下地層130aおよび
中間層131aにより、後工程のインダクティブヘッド
(書込ヘッド)の製造プロセスでおこなう絶縁レジスト
の硬化工程(UVキュアまたはハードベーク)等で高温
に曝される場合に、拡散バリアーとして機能し、ハード
バイアス層130,130と周辺層の間で熱拡散がおこ
り、ハードバイアス層130,130の磁気特性が劣化
することおよび、電極層131,131と周辺層の間で
熱拡散がおこり、電極層131,131の特性が劣化す
ることを防止することができる。
【0140】前記ハードバイアス層130,130は、
通常、200〜800オングストローム程度の厚さとさ
れ、例えば、Co−Pt合金やCo−Cr−Pt合金や
Co−Cr−Ta(コバルト−クロム−タンタル)合金
などで形成されることが好ましい。また、前記ハードバ
イアス層130,130が、図示X1方向に磁化されて
いることで、前記フリー磁性層36の磁化が、図示X1
方向に揃えられている。これにより、前記フリー磁性層
36の変動磁化と第2の固定磁性層(下)34,(上)
41の固定磁化とが略90度で交差する関係となってい
る。このハードバイアス層130,130はフリー磁性
層36と磁気的に結合されていればよく、このハードバ
イアス層130からの固定磁性層32,34,41,4
3への影響を低減するために、例えば、膜厚方向におけ
る配置位置をフリー磁性層36と略等しい位置に規定す
ることもできる。
【0141】電極層131,131が、Cr、Au、T
a、Wから選択される1種またはそれ以上からなる単層
膜もしくはその多層膜で形成されることにより、抵抗値
を低減することができる。ここでは、電極層131,1
31としてCrが選択されて、Taからなる中間層13
1a上にエピタキシャル成長することにより形成される
ことにより電気抵抗値を低減することができる。
【0142】本実施形態のスピンバルブ型薄膜素子によ
れば、図21ないし図28に示す第1ないし第6実施形
態におけるスピンバルブ型薄膜素子と同様の効果を奏す
ることができ、デュアルタイプとして構成したことによ
り、さらに、抵抗変化率(ΔR/R)をより向上して、
狭トラック化、高記録密度化に対応することが可能とな
る。また、いわゆる、シンセティックフェリピンド型
(synthetic-ferri-pinned type )としたことにより、
再生波形の非対称性(Asymmetry )が低減されるととも
に、磁気記録媒体からの信号の処理が不正確になる不安
定性(instability )の原因となるバルクハイゼンノイ
ズ等が発生することを防止することができる。また、フ
リー磁性層5の磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μ
m)とNi濃度CNi(原子%)と磁歪λs(×10-6
とが、上記の値に設定されているために、再生波形の歪
みや不安定性(instability )を増加させることなし
に、狭いトラック幅のヘッドに置いて、必要な再生出力
を確保することができる。
【0143】以下、本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁
気素子、およびこのスピンバルブ型薄膜磁気素子を備え
た薄膜磁気ヘッドの第8実施形態を、図面に基づいて説
明する。 [第8実施形態]図30は、本発明の第8実施形態のス
ピンバルブ型薄膜磁気素子を記録媒体との対向面側から
見た場合の構造を示した断面図である。本実施形態のス
ピンバルブ型薄膜磁気素子は、先に説明した図29に示
す第7実施形態のものと略同等のシンセティックフェリ
ピンド型(synthetic-ferri-pinned type )とされるデ
ュアルシングルスピンバルブ型薄膜磁気素子とされ、対
応する構成には、同一の符号を付けその説明を省略す
る。本実施形態のスピンバルブ型薄膜磁気素子におい
て、図29に示す第7実施形態と異なる点は、第2の固
定磁性層(下)34,(上)41の一部に、強磁性絶縁
材料からなる鏡面反射層51,52を設けた点と、フリ
ー磁性層に関する点である。
【0144】この鏡面反射層51,52はともに、図2
6に示す第4実施形態における鏡面反射層S1に対応し
ており、鏡面反射効果により大きな△R/R(抵抗変化
率)が得られ、高密度記録化に対応することが可能なも
ので、その詳細な説明は省略する。
【0145】図15,16は、本実施形態における磁気
再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁
性層の少なくとも一部を構成するNiFe合金における
Ni濃度CNi(原子%)との範囲を示す図である。本実
施形態において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw
(μm)と、前記フリー磁性層の少なくとも一部を構成
するNiFe合金におけるNi濃度CNi(原子%)と
が、添付図面図15に各点(Tw,CNi)で示すよう
に、点I1 (0.17,80.5),点J1 (0.1
5,77.3),点K1 (0.13,76.8),点L
1 (0.1,75),点M1 (0.1,70.2),点
1 (0.13,70.2),点O1 (0.15,7
0.2),点P1 (0.17,70.2)で囲まれる範
囲内の値に設定されることができ、この範囲であると、
図42において対応するトラック幅の範囲で規定される
範囲に前記フリー磁性層の磁歪λsを規定することがで
きる。つまり、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw
(μm)と、前記フリー磁性層36の磁歪λs(×10
-6)とが、図42に各点(Tw,λs)で示すように、
点SI1 (0.17,20),点SJ1 (0.15,2
0),点SK1 (0.1,20),点SL1 (0.1,
9),点SM1 (0.15,3.5),点SN1 (0.
17,2.0)で囲まれる範囲内の値に設定されること
ができ、この範囲であると、特に0.17μm以下の再
生トラック幅の磁気ヘッドにおいて、再生波形の歪みや
不安定性(instability )を抑制しつつ必要な再生出力
を確保する上でより好ましい。
【0146】本実施形態において、前記磁気再生トラッ
ク幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の少な
くとも一部を構成するNiFe合金におけるNi濃度C
Ni(原子%)とが、添付図面図16に各点(Tw,
Ni)で示すように、点H2 (0.18,80),点J
2 (0.15,78.4),点K2 (0.13,76.
5),点L2 (0.1,75),点M2 (0.1,7
0.6),点N2 (0.13,70.6),点O2
(0.15,70.6),点Q2 (0.18,71.
7)で囲まれる範囲内の値に設定されることができ、こ
の範囲であると、図43において対応するトラック幅の
範囲で規定される範囲に前記フリー磁性層の磁歪λsを
規定することができる。つまり、前記磁気再生トラック
幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層36の磁
歪λs(×10-6)とが、図43に各点(Tw,λs)
で示すように、点SI2 (0.18,15.1),点S
2 (0.15,17.5),点SW2 (0.13,2
0),点SK2 (0.1,20),点SL2 (0.1,
9),点SX2 (0.13,5),点SM2 (0.1
5,3.5),点SN2 (0.18,1.5)で囲まれ
る範囲内の値に設定されることができ、この範囲である
と、特に0.18μm以下の再生トラック幅の磁気ヘッ
ドにおいて、再生波形の歪みや不安定性(instability
)を更に効果的に抑制する上で好ましく、そして、磁
気的再生トラック幅の制御の上で好適なハードバイアス
層の残留磁化×膜厚積にハードバイアス層を設定しつ
つ、必要な再生出力を確保する上でより好ましい。
【0147】本実施形態のスピンバルブ型薄膜素子によ
れば、図21ないし図29に示す第1ないし第7実施形
態におけるスピンバルブ型薄膜素子と同様の効果を奏す
ることができ、抵抗変化率(ΔR/R)をより向上し
て、狭トラック化、高記録密度化に対応することが可能
となる。また、フリー磁性層36の磁気記録トラック幅
方向寸法Tw(μm)とNi濃度CNi(原子%)と磁歪
λs(×10-6)とが、上記の値に設定されているため
に、再生波形の歪みや不安定性(instability )を増加
させることなしに、狭いトラック幅のヘッドに置いて、
必要な再生出力を確保することができる。
【0148】なお、本発明においては、上記の各実施形
態におけるフリー磁性層5,14,36において、他の
実施形態のフリー磁性層における磁気再生トラック幅方
向寸法Tw(μm)とNi濃度CNi(原子%)とを適用
することが可能である。つまり、上記の各実施形態にお
けるフリー磁性層5,14,36において、他の実施形
態のフリー磁性層における磁気再生トラック幅方向寸法
Tw(μm)と磁歪λs(×10-6)とを適用すること
が可能である。さらに、上記の各実施形態において、前
記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フ
リー磁性層の少なくとも一部を構成するNiFe合金に
おけるNi濃度CNi(原子%)とが、添付図面図17に
各点(Tw,CNi)で示すように、点J1 (0.15,
77.3),点K1 (0.13,76.8),点L1
(0.1,75),点M1 (0.1,70.2),点N
1 (0.13,70.2),点O1 (0.15,70.
2)で囲まれる範囲内の値に設定されることができ、こ
の範囲であると、図42において対応するトラック幅の
範囲で規定される範囲に前記フリー磁性層の磁歪λsを
規定することができる。つまり、フリー磁性層5,1
4,36において、前記磁気再生トラック幅方向寸法T
w(μm)と、前記フリー磁性層の素子高さ方向の磁歪
λs(×10-6)とが、図42に各点(Tw,λs)で
示すように、点SJ1 (0.15,20),点SK1
(0.1,20),点SL1 (0.1,9),点SM1
(0.15,3.5)で囲まれる範囲内の値に設定され
ることができ、この範囲であると、特に0.15μm以
下の再生トラック幅の磁気ヘッドにおいて、再生波形の
歪みや不安定性(instability )を抑制しつつ必要な再
生出力を確保する上でより好ましい。
【0149】さらに、上記の各実施形態において、前記
磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリ
ー磁性層の少なくとも一部を構成するNiFe合金にお
けるNi濃度CNi(原子%)とが、添付図面図18に各
点(Tw,CNi)で示すように、点J2 (0.15,7
8.4),点K2 (0.13,76.5),点L2
(0.1,75),点M2 (0.1,70.6),点N
2 (0.13,70.6),点O2 (0.15,70.
6)で囲まれる範囲内の値に設定されることができ、こ
の範囲であると、図43において対応するトラック幅の
範囲で規定される範囲に前記フリー磁性層の磁歪λsを
規定することができる。つまり、フリー磁性層5,1
4,36において、前記磁気再生トラック幅方向寸法T
w(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×1
-6)とが、図43に各点S(Tw,λs)で示すよう
に、点SJ2 (0.15,17.5),点SW2 (0.
13,20),点SK2 (0.1,20),点SL
2 (0.1,9),点SX2 (0.13,5),点SM
2 (0.15,3.5)で囲まれる範囲内の値に設定さ
れることができ、この範囲であると、特に0.15μm
以下の再生トラック幅の磁気ヘッドにおいて、再生波形
の歪みや不安定性(instability )を更に効果的に抑制
する上で好ましく、そして、磁気的な実効再生トラック
幅の制御の上で好適なハードバイアス層の残留磁化×膜
厚積にハードバイアス層を設定しつつ、必要な再生出力
を確保する上でより好ましい。
【0150】さらに、上記の各実施形態において、前記
磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリ
ー磁性層の少なくとも一部を構成するNiFe合金にお
けるNi濃度CNi(原子%)とが、添付図面図19に各
点(Tw,CNi)で示すように、点K1 (0.13,7
6.8),点L1 (0.1,75),点M1 (0.1,
70.2),点N1 (0.13,70.2)で囲まれる
範囲内の値に設定されることができ、この範囲である
と、図42において対応するトラック幅の範囲で規定さ
れる範囲に前記フリー磁性層の磁歪λsを規定すること
ができるため、特に0.13μm以下の再生トラック幅
の磁気ヘッドにおいて、再生波形の歪みや不安定性(in
stability )を抑制しつつ必要な再生出力を確保する上
でより好ましい。
【0151】また、上記の各実施形態において、前記磁
気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー
磁性層の少なくとも一部を構成するNiFe合金におけ
るNi濃度CNi(原子%)とが、添付図面図20に各点
(Tw,CNi)で示すように、点K2 (0.13,7
6.5),点L2 (0.1,75),点M2 (0.1,
70.6),点N2 (0.13,70.6)で囲まれる
範囲内の値に設定されることができ、この範囲である
と、図43において対応するトラック幅の範囲で規定さ
れる範囲に前記フリー磁性層の素子高さ方向の磁歪λs
を規定することができるる。つまり、フリー磁性層5,
14,36において、前記磁気再生トラック幅方向寸法
Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10
-6)とが、図43に各点S(Tw,λs)で示すよう
に、点SW2 (0.13,20),点SK2 (0.1,
20),点SL2 (0.1,9),点SX2 (0.1
3,5)で囲まれる範囲内の値に設定されることがで
き、この範囲であると、特に0.13μm以下の再生ト
ラック幅の磁気ヘッドにおいて、再生波形の歪みや不安
定性(instability )を更に効果的に抑制する上で好ま
しく、そして、磁気的再生トラック幅の制御の上で好適
なハードバイアス層の残留磁化×膜厚積の値にハードバ
イアス層を設定しつつ、必要な再生出力を確保する上で
より好ましい。
【0152】次に、本発明の薄膜磁気へッドについて詳
しく説明する。図32は、本発明の薄膜磁気ヘッドの一
例を示した斜視図である。この薄膜磁気ヘッドは、ハー
ドディスク装置などの磁気記録媒体に搭載される浮上式
のものである。この薄膜磁気ヘッドのスライダ251
は、図32において符号235で示す側がディスク面の
移動方向の上流側に向くリーディング側で、符号236
で示す側がトレーリング側である。このスライダ251
のディスクに対向する面では、レール状のABS面(エ
アーベアリング面:レール部の浮上面)251a、25
1a、251bと、エアーグルーブ251c、251c
とが形成されている。そして、このスライダ251のト
レーリング側の端面251dには、磁気コア部250が
設けられている。
【0153】この例で示す薄膜磁気ヘッドの磁気コア部
250は、図33および図34に示す構造の複合型磁気
ヘッドであり、スライダ251のトレーリング側端面2
51d上に、MRヘッド(読出ヘッド)h1と、インダ
クティブヘッド(書込ヘッド)h2とが順に積層されて
構成されている。
【0154】この例のMRヘッドh1は、基板を兼ねる
スライダ251のトレーリング側端部に形成された磁性
合金からなる下部シールド層253上に、下部ギャップ
層254が設けられている。そして、下部ギャップ層2
54上には、磁気抵抗効果素子層245が積層されてい
る。この磁気抵抗効果素子層245上には、上部ギャッ
プ層256が形成され、その上に上部シールド層257
が形成されている。この上部シールド層257は、その
上に設けられるインダクティブヘッドh2の下部コア層
と兼用にされている。このMRヘッドh1は、ハードデ
ィスクのディスクなどの磁気記録媒体からの微小の漏れ
磁界の有無により、磁気抵抗効果素子層245の抵抗を
変化させ、この抵抗変化を読み取ることで記録媒体の記
録内容を読み取るものである。
【0155】前記MRヘッドh1に設けられている磁気
抵抗効果素子層245には、上述したスピンバルブ型薄
膜素子が備えられている。前記スピンバルブ型薄膜素子
は、薄膜磁気へッド(再生用ヘッド)を構成する最も重
要なものである。
【0156】また、インダクティブヘッドh2は、下部
コア層257の上に、ギャップ層264が形成され、そ
の上に平面的に螺旋状となるようにパターン化されたコ
イル層266が形成されている。前記コイル層266
は、第1の絶縁材料層267Aおよび第2の絶縁材料層
267Bに囲まれている。第2絶縁材料層267Bの上
に形成された上部コア層268は、ABS面251bに
て、その磁極端部268aを下部コア層257に、磁気
ギャップGの厚みをあけて対向させ、図32および図3
4に示すように、その基端部268bを下部コア層25
7と磁気的に接続させて設けられている。また、上部コ
ア層268の上には、アルミナなどからなる保護層26
9が設けられている。
【0157】このようなインダクティブヘッドh2で
は、コイル層266に記録電流が与えられ、コイル層2
66からコア層に記録磁束が与えられる。そして、前記
インダクティブヘッドh2は、磁気ギャップGの部分で
の下部コア層257と上部コア層268の先端部からの
漏れ磁界により、ハードディスクなどの磁気記録媒体に
磁気信号を記録するものである。
【0158】本発明の薄膜磁気へッドを製造するには、
まず、図33に示す磁性材料製の下部シールド層253
上に下部ギャップ層254を形成した後、磁気抵抗効果
素子層254を形成する前記スピンバルブ型薄膜素子を
成膜する。その後、前記スピンバルブ型薄膜素子の上
に、上部ギヤップ層256を介して上部シールド層25
7を形成すると、MRヘッド(読出ヘッド)h1が完成
する。続いて、前記MRヘッドh1の上部シールド層2
57と兼用である下部コア層257の上に、ギャップ層
264を形成し、その上に螺旋状のコイル層266を、
第1の絶縁材料層267Aおよび第2の絶縁材料層26
7Bで囲むように形成する。さらに、第2絶縁材料層2
67Bの上に上部コア層268を形成し、上部コア層2
68の上に、保護層269を設けることによって薄膜磁
気へッドとされる。
【0159】このような薄膜磁気へッドは、上述したス
ピンバルブ型薄膜素子が備えられてなる薄膜磁気へッド
であるので、耐熱性、信頼性に優れ、アシンメトリーの
小さい薄膜磁気へッドとなる。
【0160】なお、薄膜磁気ヘッドのスライダ部分の構
成およびインダクティブヘッドの構成は、図32〜図3
4に示すものに限定されず、その他の種々の構造のスラ
イダおよびインダクティブヘッドを採用することができ
るのは勿論である。
【0161】(実施例)本発明では、スピンバルブ型薄
膜磁気素子において、トラック幅方向寸法Twと、フリ
ー磁性層少なくとも一部を構成するNiFe合金におけ
るにおけるNi濃度CNi(原子%)とフリー磁性層の磁
歪λsと、再生出力との関係について測定した。ここ
で、本発明においてトラック幅方向とは、薄膜磁気ヘッ
ドとして形成されて場合における媒体対向面(ABS
面)と平行でかつ積層体における各層の膜面内方向と平
行な方向を意味しており、素子高さ方向とは、前記媒体
対応面と直交する方向を意味している。実験に使用した
スピンバルブ型薄膜磁気素子は、図23に示す第2実施
形態のスピンバルブ型薄膜磁気素子である。ここで、積
層体における各層の膜厚は、下から PtMn110/Co15/Ru8/Co25/Cu2
4/Co/NiFe/Cu15/Ta11(各数字はそ
れぞれの膜厚のオングストローム単位に対応する) に設定されている。
【0162】まず、このスピンバルブ型薄膜磁気素子に
おいて、フリー磁性層を構成するNiFe合金膜中のN
i濃度CNi(原子%)と磁歪λs(×10-6)との関係
を測定した。ここで、フリー磁性層としてのCo層およ
びNiFe層の膜厚を Co5/NiFe30/ Co5/NiFe15/ Co10/NiFe25/ Co10/NiFe10/ と変化させた。(単位はオングストローム) その結果を図31に示す。これによれば、Ni濃度が低
くなると、磁歪の値が上昇することがわかる。
【0163】次に、スピンバルブ型薄膜磁気素子におい
て、 ハードバイアス層の残留磁束密度×膜厚Brt=22
T・nm フリー磁性層膜厚3.6nm ハードバイアス層の残留磁束密度×膜厚Brt=14
T・nm フリー磁性層膜厚3.6nm ハードバイアス層の残留磁束密度×膜厚Brt=14
T・nm フリー磁性層膜厚2.5nm に設定したものにおいて、それぞれ、トラック幅寸法と
して、0.15μm,0.22μm,0.3μm,0.
4μmのものを作成し、同時に、このときの磁歪λsを
変化させて、出力を測定した。このときの外部からの磁
気信号の発生源となる磁気記録媒体としては、 磁気記録磁性層の残留磁化×膜厚Mr・t=0.4me
mu/cm2 (残留磁束密度×膜厚Brt=5T・n
m) 保磁力296kA/m かつ、センス電流の大きさを5mAとした。そして、こ
れらの再生出力のうち10MHz〜20MHz程度の低
周波数帯における再生出力が実用下限値(a)1.2m
Vを上回り、かつ、実用上限値(b)2.0mVを下回
った範囲をピックアップした。その結果を、図44に示
す。
【0164】これ等の結果によれば、図1〜図20に示
す範囲に磁気記録トラック幅方向寸法Twと、前記フリ
ー磁性層の少なくとも一部を構成するNiFe合金にお
けるNi濃度CNi(原子%)とを設定することにより、
前記フリー磁性層の素子高さ方向の磁歪λsが適正に設
定されることになり、その結果、再生出力が適正な範囲
に設定されていることがわかる。また、再生トラック幅
が狭くなるほど適正なフリー磁性層の磁歪λsの範囲
は、プラス符号の側に大きくなる方向に変化してしてい
く傾向は〜のどの場合も同様であることがわかる。
さらに、ハードバイアス層の残留磁化×膜厚積およびフ
リー磁性層の膜厚が比較的大きく設定されたの場合に
は比較的大きな磁歪に設定しないと再生出力が確保でき
ないため、適正な再生出力の範囲となるためのフリー磁
性層における磁歪の範囲は、比較的プラスの符号の側に
大きくなる傾向があことがわかるる。一方、ハードバイ
アス層の残留磁化×膜厚積およびフリー磁性層の膜厚が
比較的小さく設定されたの場合には、比較的小さな磁
歪でも再生出力が確保できる一方で、あまり磁歪が大き
くなりすぎると、再生波形の歪みや不安定性(instabil
ity )の発生確率が増加するため、適正な再生出力の範
囲となるためのフリー磁性層の磁歪の範囲は比較的マイ
ナス符号の側にずれる傾向があることがわかる。また、
の場合は、との中間的な範囲となることがわか
る。
【0165】
【発明の効果】本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子お
よびこのスピンバルブ型薄膜磁気素子を備えた薄膜磁気
ヘッドによれば、以下の効果を奏する。 (1) トラック幅寸法Twを0.4μm以下に設定す
ることにより、フリー磁性層にはハードバイアス層から
距離的に離れている部分がないため、再生トラック幅が
0.4μmより広い場合に比較してトラック幅方向にお
いてフリー磁性層へ前記ハードバイアス層からの影響が
大きく変動することが防止される。同時に、前記フリー
磁性層の少なくとも一部がNiFe合金からなり、その
Ni濃度C Ni(原子%)が70.2%≦CNi≦89.9
%の範囲に設定されてなることにより、フリー磁性層の
磁歪λsを設定することが可能となる。これらによっ
て、逆磁歪効果により、作用する引張応力の方向に磁化
が向きやすくなり、磁気異方性が現出し、素子高さ方向
(ハイト方向)を磁化容易軸とすることができるため、
磁気記録媒体からの磁界に対してフリー磁性層の磁化を
感度よく回転させ、再生出力を向上することができる。
この場合、前述したようにTwが0.4μm以下に設定
されていることでトラック幅方向の位置によるハードバ
イアス磁界の分布が小さいために、トラック幅方向にお
いて、フリー磁性層の変動磁化の回転容易性がトラック
幅方向に大きな分布を有し、フリー磁性層内に磁壁がで
きて磁区が不安定になることをトラック幅が広い場合と
比較して防止することができる。このため、フリー磁性
層には、トラック幅方向において、感度のばらつく領域
が形成されることがなく、フリー磁性層内に磁壁ができ
て単磁区化が妨げられ、磁化の不均一が発生し、スピン
バルブ型薄膜素子において、磁気記録媒体からの信号の
処理が不正確になる不安定性(instability )の原因と
なるバルクハイゼンノイズ等が発生することを防止する
ことができる。
【0166】(2) 前記磁気再生トラック幅方向寸法
Tw(μm)と、前記フリー磁性層14の少なくとも一
部を構成するNiFe合金におけるNi濃度CNi(原子
%)とを、添付図面図1に各点(Tw,λs)で示すよ
うに、点A1 〜点X1 で囲まれる範囲内の値に設定する
ことで、磁歪を設定することができ、これにより、フリ
ー磁性層内に磁壁ができて不安定性(instability )の
原因となるバルクハイゼンノイズ等が発生する可能性を
低減することができる。すなわち、スピンバルブ型薄膜
磁気素子の低周波数帯における再生出力が実用上限値約
2.0mVを上まわってしまい再生波形の不安定性(in
stability )が増加する可能性を低減することができ
る。また、フリー磁性層における保磁力が400A/m
程度以上になり、フリー磁性層の軟磁気特性が低下し、
再生波形の歪みや不安定性(instability )が増加する
ことを防止することができる、一方、フリー磁性層の変
動磁化がハードバイアス層に必要以上に強固に固定され
ることが防止でき、印加される外部磁界に対して、感度
好く変動磁化が回転し、検出感度を向上することができ
る。すなわち、スピンバルブ型薄膜磁気素子の低周波数
帯における再生出力が実用下限値1.2mVを下まわる
ことを防止することができる。
【0167】(3) 前記磁気再生トラック幅方向寸法
Tw(μm)と、前記フリー磁性層14の少なくとも一
部を構成するNiFe合金におけるNi濃度CNi(原子
%)とを、添付図面図2に各点(Tw,λs)で示すよ
うに、点A2 〜点X2 で囲まれる範囲内の値に設定する
ことで、磁歪を設定することができ、これにより、フリ
ー磁性層内に磁壁ができて不安定性(instability )の
原因となるバルクハイゼンノイズ等が発生する可能性を
低減することができる。同時に、ハードバイアス層の残
留磁化×膜厚積を磁気的な実効再生トラック幅の制御の
上で好適な値に設定した状態でスピンバルブ型薄膜磁気
素子の低周波数帯における再生出力が実用上限値約2.
0mVを上まわってしまい再生波形の不安定性(instab
ility )が増加する可能性を低減することができる。ま
た、フリー磁性層における保磁力が400A/m程度以
上になり、フリー磁性層の軟磁気特性が低下し、再生波
形の歪みや不安定性(instability )が増加することを
防止することができる、一方、ハードバイアス層の残留
磁化×膜厚積を再生波形の歪みや不安定性(instabilit
y )をより効果的に抑制する上で好適な値に設定した状
態で、フリー磁性層の変動磁化がハードバイアス層に必
要以上に強固に固定されることが防止でき、印加される
外部磁界に対して、感度好く変動磁化が回転し、再生感
度を向上することができる。すなわち、スピンバルブ型
薄膜磁気素子の低周波数帯における再生出力が実用下限
値1.2mVを下まわることを防止することができる。
【0168】(4) 再生トラック幅寸法Twが変化す
ると、フリー磁性層に作用するハードバイアス層からの
磁化も変化することになる。本発明では、種々の再生ト
ラック幅方向寸法毎で好適なフリー磁性層の磁歪の範囲
を規定することで、再生波形の歪みや不安定性の防止と
必要十分な再生出力の両立を図ることができる。 (5) 上記により、磁歪のコントロールを図ることが
でき、スピンバルブ型薄膜素子において狭トラック化に
対応し出力特性の向上を図ることができる。 (6) 上記のようなスピンバルブ型薄膜素子を備えた
薄膜磁気ヘッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素子
の磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フ
リー磁性層の少なくとも一部を構成するNiFe合金に
おけるNi濃度CNi(原子%)とを設定する範囲を示す
グラフである。
【図2】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素子
の磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フ
リー磁性層の少なくとも一部を構成するNiFe合金に
おけるNi濃度CNi(原子%)とを設定する範囲を示す
グラフである。
【図3】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素子
の磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フ
リー磁性層の少なくとも一部を構成するNiFe合金に
おけるNi濃度CNi(原子%)とを設定する範囲を示す
グラフである。
【図4】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素子
の磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フ
リー磁性層の少なくとも一部を構成するNiFe合金に
おけるNi濃度CNi(原子%)とを設定する範囲を示す
グラフである。
【図5】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素子
の磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フ
リー磁性層の少なくとも一部を構成するNiFe合金に
おけるNi濃度CNi(原子%)とを設定する範囲を示す
グラフである。
【図6】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素子
の磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フ
リー磁性層の少なくとも一部を構成するNiFe合金に
おけるNi濃度CNi(原子%)とを設定する範囲を示す
グラフである。
【図7】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素子
の磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フ
リー磁性層の少なくとも一部を構成するNiFe合金に
おけるNi濃度CNi(原子%)とを設定する範囲を示す
グラフである。
【図8】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素子
の磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フ
リー磁性層の少なくとも一部を構成するNiFe合金に
おけるNi濃度CNi(原子%)とを設定する範囲を示す
グラフである。
【図9】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素子
の磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フ
リー磁性層の少なくとも一部を構成するNiFe合金に
おけるNi濃度CNi(原子%)とを設定する範囲を示す
グラフである。
【図10】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素
子の磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記
フリー磁性層の少なくとも一部を構成するNiFe合金
におけるNi濃度CNi(原子%)とを設定する範囲を示
すグラフである。
【図11】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素
子の磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記
フリー磁性層の少なくとも一部を構成するNiFe合金
におけるNi濃度CNi(原子%)とを設定する範囲を示
すグラフである。
【図12】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素
子の磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記
フリー磁性層の少なくとも一部を構成するNiFe合金
におけるNi濃度CNi(原子%)とを設定する範囲を示
すグラフである。
【図13】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素
子の磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記
フリー磁性層の少なくとも一部を構成するNiFe合金
におけるNi濃度CNi(原子%)とを設定する範囲を示
すグラフである。
【図14】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素
子の磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記
フリー磁性層の少なくとも一部を構成するNiFe合金
におけるNi濃度CNi(原子%)とを設定する範囲を示
すグラフである。
【図15】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素
子の磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記
フリー磁性層の少なくとも一部を構成するNiFe合金
におけるNi濃度CNi(原子%)とを設定する範囲を示
すグラフである。
【図16】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素
子の磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記
フリー磁性層の少なくとも一部を構成するNiFe合金
におけるNi濃度CNi(原子%)とを設定する範囲を示
すグラフである。
【図17】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素
子の磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記
フリー磁性層の少なくとも一部を構成するNiFe合金
におけるNi濃度CNi(原子%)とを設定する範囲を示
すグラフである。
【図18】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素
子の磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記
フリー磁性層の少なくとも一部を構成するNiFe合金
におけるNi濃度CNi(原子%)とを設定する範囲を示
すグラフである。
【図19】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素
子の磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記
フリー磁性層の少なくとも一部を構成するNiFe合金
におけるNi濃度CNi(原子%)とを設定する範囲を示
すグラフである。
【図20】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素
子の磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記
フリー磁性層の少なくとも一部を構成するNiFe合金
におけるNi濃度CNi(原子%)とを設定する範囲を示
すグラフである。
【図21】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素
子の第1実施形態を記録媒体との対向面側から見た場合
の構造を示した断面図である。
【図22】 図21のスピンバルブ型薄膜磁気素子に
おけるフリー磁性層14に等しい階層の図21における
X1−Y平面を示す断面図である。
【図23】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜素子の
製造方法の第2実施形態を記録媒体との対向面側から見
た場合の構造を示した断面図である。
【図24】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜素子の
製造方法の他の実施形態を記録媒体との対向面側から見
た場合の構造を示した断面図である。
【図25】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜素子の
製造方法の第3実施形態を記録媒体との対向面側から見
た場合の構造を示した断面図である。
【図26】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜素子の
製造方法の第4実施形態を記録媒体との対向面側から見
た場合の構造を示した断面図である。
【図27】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜素子の
製造方法の第5実施形態を記録媒体との対向面側から見
た場合の構造を示した断面図である。
【図28】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜素子の
製造方法の第6実施形態を記録媒体との対向面側から見
た場合の構造を示した断面図である。
【図29】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜素子の
製造方法の第7実施形態を記録媒体との対向面側から見
た場合の構造を示した断面図である。
【図30】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜素子の
製造方法の第8実施形態を記録媒体との対向面側から見
た場合の構造を示した断面図である。
【図31】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素
子において、フリー磁性層の一部を構成するNiFe合
金におけるNi濃度CNi(原子%)と磁歪λsとの関係
を示すグラフである。
【図32】 本発明の薄膜磁気ヘッドの一例を示した
斜視図である。
【図33】 図32に示した薄膜磁気ヘッドの磁気コ
ア部を示した断面図である。
【図34】 図32に示した薄膜磁気ヘッドを示した
概略斜視図である。
【図35】 従来のスピンバルブ型薄膜素子の一例を
記録媒体との対向面(ABS面)側から見た場合の構造
を示した断面図である。
【図36】 図35に示すスピンバルブ型薄膜磁気ヘ
ッドのトラック幅方向における出力分布を示す模式グラ
フである。
【図37】 図35に示すスピンバルブ型薄膜磁気ヘ
ッドのトラック幅方向における出力分布を示す模式グラ
フである。
【図38】 フリー磁性層に磁壁ができた状態を示す
図である。
【図39】 スピンバルブ型薄膜素子の出力波形を示
すグラフである。
【図40】 スピンバルブ型薄膜素子の出力波形を示
すグラフである。
【図41】 スピンバルブ型薄膜磁気素子の積層体に
占める感度領域と不感領域との測定方法を示す模式図で
ある。
【図42】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素
子の磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記
フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とを設定する範囲
を示すグラフである。
【図43】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素
子の磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記
フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とを設定する範囲
を示すグラフである。
【図44】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素
子において、再生出力の下限値および上限値に対する、
磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリ
ー磁性層の磁歪λs(×10-6)との関係を示すグラフ
である。
【符号の説明】
K,10…基板 1…下地層 11,2…反強磁性層 3,12…固定磁性層 3A,12A…第1の固定磁性層 3B,12B…非磁性中間層 3C,12C…第2の固定磁性層 4,13…非磁性導電層 5,14…フリー磁性層 7,15…保護層 9,16,91…積層体 6A,6B,6C,17…ハードバイアス層 17b…上面 8,18…電極層 B1…バックド層 S1,S2…鏡面反射層 30…下地層 31…反強磁性層 32…第1の固定磁性層(下) 33…非磁性中間層(下) 34…第2の固定磁性層(下) 35…非磁性導電層 36…フリー磁性層 40…非磁性導電層 41…第2の固定磁性層(上) 42…非磁性中間層(上) 43…第1の固定磁性層(上) 44…反強磁性層 45…保護層 46…積層体 51,52…鏡面反射層 130a…バイアス下地層 130…ハードバイアス層 131a…中間層 131…電極層

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、反強磁性層と、この反強磁
    性層と接して形成され、前記反強磁性層との交換結合磁
    界により磁化方向が固定される固定磁性層と、前記固定
    磁性層に非磁性導電層を介して形成され、前記固定磁性
    層の磁化方向と交差する方向へ磁化方向が揃えられたフ
    リー磁性層と、前記フリー磁性層の磁化方向を前記固定
    磁性層の磁化方向と交差する方向へ揃えるためのハード
    バイアス層と、前記固定磁性層,前記非磁性導電層,前
    記フリー磁性層付近に検出電流を与える一対の電極層と
    を有する素子であって、 磁気再生トラック幅方向寸法Twが0.4μm以下に設
    定されるとともに、 前記フリー磁性層の少なくとも一部がNiFe合金から
    なり、該NiFe合金のNi濃度CNi(原子%)が、7
    0.2%≦CNi≦89.9%の範囲に設定されてなるこ
    とを特徴とするスピンバルブ型薄膜磁気素子。
  2. 【請求項2】 前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw
    (μm)と、前記フリー磁性層の少なくとも一部を構成
    するNiFe合金におけるNi濃度CNi(原子%)と
    が、添付図面図1に各点(Tw,CNi)で示すように、 点A1 (0.4,89.9),点B1 (0.35,8
    9),点C1 (0.3,87.7),点D1 (0.2
    5,86.5),点E1 (0.22,84.9),点F
    1 (0.20,83),点G1 (0.19,82.
    5),点H1 (0.18,81),点I1 (0.17,
    80.5),点J1 (0.15,77.3),点K1
    (0.13,76.8),点L1 (0.1,75),点
    1 (0.1,70.2),点N1 (0.13,70.
    2),点O1 (0.15,70.2),点P 1 (0.1
    7,70.2),点Q1 (0.18,70.2),点R
    1 (0.19,70.2),点S1 (0.20,70.
    2),点T1 (0.22,70.2),点U1 (0.2
    5,71.5),点V1 (0.3,73.6),点W1
    (0.35,75.6),点X1 (0.4,77.3)
    で囲まれる範囲内の値に設定されることを特徴とする請
    求項1記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子。
  3. 【請求項3】 前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw
    (μm)と、前記フリー磁性層の少なくとも一部を構成
    するNiFe合金におけるNi濃度CNi(原子%)と
    が、添付図面図2に各点(Tw,CNi)で示すように、 点A2 (0.4,83.7),点B2 (0.35,8
    3.9),点C2 (0.3,83.5),点D2 (0.
    25,83),点E2 (0.22,82.9),点F2
    (0.20,81.5),点G2 (0.19,81),
    点H2 (0.18,80),点J2 (0.15,78.
    4),点K2 (0.13,76.5),点L2 (0.
    1,75),点M2 (0.1,70.6),点N2
    (0.13,70.6),点O2 (0.15,70.
    6),点Q2 (0.18,71.7),点R 2 (0.1
    9,72),点S2 (0.20,72.5),点T2
    (0.22,73.6),点U2 (0.25,74),
    点V2 (0.3,75.6),点W2 (0.35,7
    6.5),点X2 (0.4,77.3)で囲まれる範囲
    内の値に設定されることを特徴とする請求項1記載のス
    ピンバルブ型薄膜磁気素子。
  4. 【請求項4】 前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw
    (μm)と、前記フリー磁性層の少なくとも一部を構成
    するNiFe合金におけるNi濃度CNi(原子%)と
    が、添付図面図3に各点(Tw,CNi)で示すように、 点B1 (0.35,89),点C1 (0.3,87.
    7),点D1 (0.25,86.5),点E1 (0.2
    2,84.9),点F1 (0.20,83),点G1
    (0.19,82.5),点H1 (0.18,81),
    点I1 (0.17,80.5),点J1 (0.15,7
    7.3),点K1 (0.13,76.8),点L1
    (0.1,75),点M1 (0.1,70.2),点N
    1 (0.13,70.2),点O1 (0.15,70.
    2),点P1 (0.17,70.2),点Q1 (0.1
    8,70.2),点R1 (0.19,70.2),点S
    1 (0.20,70.2),点T1 (0.22,70.
    2),点U1 (0.25,71.5),点V1 (0.
    3,73.6),点W1 (0.35,75.6)で囲ま
    れる範囲内の値に設定されることを特徴とする請求項2
    記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子。
  5. 【請求項5】 前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw
    (μm)と、前記フリー磁性層の少なくとも一部を構成
    するNiFe合金におけるNi濃度CNi(原子%)と
    が、添付図面図4に各点(Tw,CNi)で示すように、 点B2 (0.35,83.9),点C2 (0.3,8
    3.5),点D2 (0.25,83),点E2 (0.2
    2,82.9),点F2 (0.20,81.5),点G
    2 (0.19,81),点H2 (0.18,80),点
    2 (0.15,78.4),点K2 (0.13,7
    6.5),点L2 (0.1,75),点M2(0.1,
    70.6),点N2 (0.13,70.6),点O2
    (0.15,70.6),点Q2 (0.18,71.
    7),点R2 (0.19,72),点S2(0.20,
    72.5),点T2 (0.22,73.6),点U2
    (0.25,74),点V2 (0.3,75.6),点
    2 (0.35,76.5)で囲まれる範囲内の値に設
    定されることを特徴とする請求項3記載のスピンバルブ
    型薄膜磁気素子。
  6. 【請求項6】 前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw
    (μm)と、前記フリー磁性層の少なくとも一部を構成
    するNiFe合金におけるNi濃度CNi(原子%)と
    が、添付図面図5に各点(Tw,CNi)で示すように、 点C1 (0.3,87.7),点D1 (0.25,8
    6.5),点E1 (0.22,84.9),点F1
    (0.20,83),点G1 (0.19,82.5),
    点H1 (0.18,81),点I1 (0.17,80.
    5),点J1 (0.15,77.3),点K1 (0.1
    3,76.8),点L1 (0.1,75),点M1
    (0.1,70.2),点N1 (0.13,70.
    2),点O1 (0.15,70.2),点P1 (0.1
    7,70.2),点Q1 (0.18,70.2),点R
    1 (0.19,70.2),点S1 (0.20,70.
    2),点T1 (0.22,70.2),点U1 (0.2
    5,71.5),点V1 (0.3,73.6)で囲まれ
    る範囲内の値に設定されることを特徴とする請求項4記
    載のスピンバルブ型薄膜磁気素子。
  7. 【請求項7】 前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw
    (μm)と、前記フリー磁性層の少なくとも一部を構成
    するNiFe合金におけるNi濃度CNi(原子%)と
    が、添付図面図6に各点(Tw,CNi)で示すように、 点C2 (0.3,83.5),点D2 (0.25,8
    3),点E2 (0.22,82.9),点F2 (0.2
    0,81.5),点G2 (0.19,81),点H2
    (0.18,80),点J2 (0.15,78.4),
    点K2 (0.13,76.5),点L2 (0.1,7
    5),点M2 (0.1,70.6),点N2 (0.1
    3,70.6),点O2 (0.15,70.6),点Q
    2 (0.18,71.7),点R2 (0.19,7
    2),点S2 (0.20,72.5),点T2(0.2
    2,73.6),点U2 (0.25,74),点V2
    (0.3,75.6)で囲まれる範囲内の値に設定され
    ることを特徴とする請求項5記載のスピンバルブ型薄膜
    磁気素子。
  8. 【請求項8】 前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw
    (μm)と、前記フリー磁性層の少なくとも一部を構成
    するNiFe合金におけるNi濃度CNi(原子%)と
    が、添付図面図7に各点(Tw,CNi)で示すように、 点D1 (0.25,86.5),点E1 (0.22,8
    4.9),点F1 (0.20,83),点G1 (0.1
    9,82.5),点H1 (0.18,81),点I1
    (0.17,80.5),点J1 (0.15,77.
    3),点K1 (0.13,76.8),点L1 (0.
    1,75),点M1 (0.1,70.2),点N1
    (0.13,70.2),点O1 (0.15,70.
    2),点P1 (0.17,70.2),点Q1 (0.1
    8,70.2),点R1 (0.19,70.2),点S
    1 (0.20,70.2),点T1 (0.22,70.
    2),点U1 (0.25,71.5)で囲まれる範囲内
    の値に設定されることを特徴とする請求項6記載のスピ
    ンバルブ型薄膜磁気素子。
  9. 【請求項9】 前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw
    (μm)と、前記フリー磁性層の少なくとも一部を構成
    するNiFe合金におけるNi濃度CNi(原子%)と
    が、添付図面図8に各点(Tw,CNi)で示すように、 点D2 (0.25,83),点E2 (0.22,82.
    9),点F2 (0.20,81.5),点G2 (0.1
    9,81),点H2 (0.18,80),点J 2 (0.
    15,78.4),点K2 (0.13,76.5),点
    2 (0.1,75),点M2 (0.1,70.6),
    点N2 (0.13,70.6),点O2(0.15,7
    0.6),点Q2 (0.18,71.7),点R2
    (0.19,72),点S2 (0.20,72.5),
    点T2 (0.22,73.6),点U 2 (0.25,7
    4)で囲まれる範囲内の値に設定されることを特徴とす
    る請求項7記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子。
  10. 【請求項10】 前記磁気再生トラック幅方向寸法T
    w(μm)と、前記フリー磁性層の少なくとも一部を構
    成するNiFe合金におけるNi濃度CNi(原子%)と
    が、添付図面図9に各点(Tw,CNi)で示すように、 点F1 (0.20,83),点G1 (0.19,82.
    5),点H1 (0.18,81),点I1 (0.17,
    80.5),点J1 (0.15,77.3),点K1
    (0.13,76.8),点L1 (0.1,75),点
    1 (0.1,70.2),点N1 (0.13,70.
    2),点O1 (0.15,70.2),点P1 (0.1
    7,70.2),点Q1 (0.18,70.2),点R
    1 (0.19,70.2),点S1 (0.20,70.
    2)で囲まれる範囲内の値に設定されることを特徴とす
    る請求項8記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子。
  11. 【請求項11】 前記磁気再生トラック幅方向寸法T
    w(μm)と、前記フリー磁性層の少なくとも一部を構
    成するNiFe合金におけるNi濃度CNi(原子%)と
    が、添付図面図10に各点(Tw,CNi)で示すよう
    に、 点E2 (0.22,82.9),点F2 (0.20,8
    1.5),点G2 (0.19,81),点H2 (0.1
    8,80),点J2 (0.15,78.4),点K2
    (0.13,76.5),点L2 (0.1,75),点
    2 (0.1,70.6),点N2 (0.13,70.
    6),点O2 (0.15,70.6),点Q2 (0.1
    8,71.7),点R2 (0.19,72),点S2
    (0.20,72.5),点T2 (0.22,73.
    6)で囲まれる範囲内の値に設定されることを特徴とす
    る請求項9記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子。
  12. 【請求項12】 前記磁気再生トラック幅方向寸法T
    w(μm)と、前記フリー磁性層の少なくとも一部を構
    成するNiFe合金におけるNi濃度CNi(原子%)と
    が、添付図面図11に各点(Tw,CNi)で示すよう
    に、 点G1 (0.19,82.5),点H1 (0.18,8
    1),点I1 (0.17,80.5),点J1 (0.1
    5,77.3),点K1 (0.13,76.8),点L
    1 (0.1,75),点M1 (0.1,70.2),点
    1 (0.13,70.2),点O1 (0.15,7
    0.2),点P1 (0.17,70.2),点Q1
    (0.18,70.2),点R1 (0.19,70.
    2)で囲まれる範囲内の値に設定されることを特徴とす
    る請求項10記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子。
  13. 【請求項13】 前記磁気再生トラック幅方向寸法T
    w(μm)と、前記フリー磁性層の少なくとも一部を構
    成するNiFe合金におけるNi濃度CNi(原子%)と
    が、添付図面図12に各点(Tw,CNi)で示すよう
    に、 点F2 (0.20,81.5),点G2 (0.19,8
    1),点H2 (0.18,80),点J2 (0.15,
    78.4),点K2 (0.13,76.5),点L2
    (0.1,75),点M2 (0.1,70.6),点N
    2 (0.13,70.6),点O2 (0.15,70.
    6),点Q2 (0.18,71.7),点R2 (0.1
    9,72),点S2 (0.20,72.5)で囲まれる
    範囲内の値に設定されることを特徴とする請求項11記
    載のスピンバルブ型薄膜磁気素子。
  14. 【請求項14】 前記磁気再生トラック幅方向寸法T
    w(μm)と、前記フリー磁性層の少なくとも一部を構
    成するNiFe合金におけるNi濃度CNi(原子%)と
    が、添付図面図13に各点(Tw,CNi)で示すよう
    に、 点H1 (0.18,81),点I1 (0.17,80.
    5),点J1 (0.15,77.3),点K1 (0.1
    3,76.8),点L1 (0.1,75),点M1
    (0.1,70.2),点N1 (0.13,70.
    2),点O1 (0.15,70.2),点P1 (0.1
    7,70.2),点Q1 (0.18,70.2)で囲ま
    れる範囲内の値に設定されることを特徴とする請求項1
    2記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子。
  15. 【請求項15】 前記磁気再生トラック幅方向寸法T
    w(μm)と、前記フリー磁性層の少なくとも一部を構
    成するNiFe合金におけるNi濃度CNi(原子%)と
    が、添付図面図14に各点(Tw,CNi)で示すよう
    に、 点G2 (0.19,81),点H2 (0.18,8
    0),点J2 (0.15,78.4),点K2 (0.1
    3,76.5),点L2 (0.1,75),点M
    2(0.1,70.6),点N2 (0.13,70.
    6),点O2 (0.15,70.6),点Q2 (0.1
    8,71.7),点R2 (0.19,72)で囲まれる
    範囲内の値に設定されることを特徴とする請求項13記
    載のスピンバルブ型薄膜磁気素子。
  16. 【請求項16】 前記磁気再生トラック幅方向寸法T
    w(μm)と、前記フリー磁性層の少なくとも一部を構
    成するNiFe合金におけるNi濃度CNi(原子%)と
    が、添付図面図15に各点(Tw,CNi)で示すよう
    に、 点I1 (0.17,80.5),点J1 (0.15,7
    7.3),点K1 (0.13,76.8),点L1
    (0.1,75),点M1 (0.1,70.2),点N
    1 (0.13,70.2),点O1 (0.15,70.
    2),点P1 (0.17,70.2)で囲まれる範囲内
    の値に設定されることを特徴とする請求項14記載のス
    ピンバルブ型薄膜磁気素子。
  17. 【請求項17】 前記磁気再生トラック幅方向寸法T
    w(μm)と、前記フリー磁性層の少なくとも一部を構
    成するNiFe合金におけるNi濃度CNi(原子%)と
    が、添付図面図16に各点(Tw,CNi)で示すよう
    に、 点H2 (0.18,80),点J2 (0.15,78.
    4),点K2 (0.13,76.5),点L2 (0.
    1,75),点M2 (0.1,70.6),点N 2
    (0.13,70.6),点O2 (0.15,70.
    6),点Q2 (0.18,71.7)で囲まれる範囲内
    の値に設定されることを特徴とする請求項15記載のス
    ピンバルブ型薄膜磁気素子。
  18. 【請求項18】 前記磁気再生トラック幅方向寸法T
    w(μm)と、前記フリー磁性層の少なくとも一部を構
    成するNiFe合金におけるNi濃度CNi(原子%)と
    が、添付図面図17に各点(Tw,CNi)で示すよう
    に、 点J1 (0.15,77.3),点K1 (0.13,7
    6.8),点L1 (0.1,75),点M1 (0.1,
    70.2),点N1 (0.13,70.2),点O1
    (0.15,70.2)で囲まれる範囲内の値に設定さ
    れることを特徴とする請求項16記載のスピンバルブ型
    薄膜磁気素子。
  19. 【請求項19】 前記磁気再生トラック幅方向寸法T
    w(μm)と、前記フリー磁性層の少なくとも一部を構
    成するNiFe合金におけるNi濃度CNi(原子%)と
    が、添付図面図18に各点(Tw,CNi)で示すよう
    に、 点J2 (0.15,78.4),点K2 (0.13,7
    6.5),点L2 (0.1,75),点M2 (0.1,
    70.6),点N2 (0.13,70.6),点O2
    (0.15,70.6)で囲まれる範囲内の値に設定さ
    れることを特徴とする請求項17記載のスピンバルブ型
    薄膜磁気素子。
  20. 【請求項20】 前記磁気再生トラック幅方向寸法T
    w(μm)と、前記フリー磁性層の少なくとも一部を構
    成するNiFe合金におけるNi濃度CNi(原子%)と
    が、添付図面図19に各点(Tw,CNi)で示すよう
    に、 点K1 (0.13,76.8),点L1 (0.1,7
    5),点M1 (0.1,70.2),点N1 (0.1
    3,70.2)で囲まれる範囲内の値に設定されること
    を特徴とする請求項18記載のスピンバルブ型薄膜磁気
    素子。
  21. 【請求項21】 前記磁気再生トラック幅方向寸法T
    w(μm)と、前記フリー磁性層の少なくとも一部を構
    成するNiFe合金におけるNi濃度CNi(原子%)と
    が、添付図面図20に各点(Tw,CNi)で示すよう
    に、 点K2 (0.13,76.5),点L2 (0.1,7
    5),点M2 (0.1,70.6),点N2 (0.1
    3,70.6)で囲まれる範囲内の値に設定されること
    を特徴とする請求項19記載のスピンバルブ型薄膜磁気
    素子。
  22. 【請求項22】 前記基板上には、前記各層が、少な
    くとも前記反強磁性層、前記固定磁性層、前記非磁性導
    電層、前記フリー磁性層の順に積層されてなることを特
    徴とする請求項1から21のいずれか記載のスピンバル
    ブ型薄膜素子。
  23. 【請求項23】 前記反強磁性層が、X−Mn合金,
    Pt−Mn−X’合金(ただし前記組成式において、X
    はPt,Pd,Ir,Rh,Ru、Osのなかから選択
    される1種を示し、X’はPd、Cr、Ru、Ni、I
    r、Rh、Os、Au、Ag、Ne、Ar、Xe、Kr
    のなかから選択される1種または2種以上を示す)のい
    ずれかからなることを特徴とする請求項1から22のい
    ずれか記載のスピンバルブ型薄膜素子。
  24. 【請求項24】 前記固定磁性層とフリー磁性層との
    少なくとも一方が非磁性層を介して2つに分断され、分
    断された層どうしで磁化の向きが180゜異なるフェリ
    磁性状態とされてなることを特徴とする請求項1から2
    3のいずれか記載のスピンバルブ型薄膜素子。
  25. 【請求項25】 前記フリー磁性層の前記再生トラッ
    ク幅方向の幅寸法と前記フリー磁性層の素子高さ方向寸
    法とが略1:1〜3:2の比率に設定されてなることを
    特徴とする請求項1から24のいずれか記載のスピンバ
    ルブ型薄膜素子。
  26. 【請求項26】 請求項1から25のいずれか記載の
    スピンバルブ型薄膜磁気素子を備えたことを特徴とする
    薄膜磁気ヘッド。
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