JP2002161853A - 圧縮機の能力制御弁 - Google Patents

圧縮機の能力制御弁

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JP2002161853A
JP2002161853A JP2000365523A JP2000365523A JP2002161853A JP 2002161853 A JP2002161853 A JP 2002161853A JP 2000365523 A JP2000365523 A JP 2000365523A JP 2000365523 A JP2000365523 A JP 2000365523A JP 2002161853 A JP2002161853 A JP 2002161853A
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chamber
shaft
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pressure side
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茂樹 三浦
Satoru Okada
悟 岡田
Takayuki Sakai
孝行 坂井
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Pacific Industrial Co Ltd
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Pacific Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加工性に優れると共に、低コストで構成可能
な圧縮機の能力制御弁の提供。 【解決手段】 圧縮機の能力制御弁1は、圧縮機からの
高圧側圧力と低圧側圧力とから中間圧力を発生させる2
方弁部10と、低圧側圧力を変位に変換して2方弁部1
0を開閉するためのシャフト33を移動させる圧力変位
変換部20と、帰還部30とを備える。帰還部30は、
低圧側圧力を圧力変位変換部20に伝達するための第1
チャンバ34と、中間圧力をシャフト33に伝達するた
めの第2チャンバ37と、低圧側圧力をシャフト33に
伝達するための第3チャンバ38とを有する。そして、
第3チャンバ38は、2方弁部10の弁口部11と連通
すると共に、2方弁部10からの冷媒を流出させる流出
孔6と連通しており、かつ、第2チャンバ27の内径と
略同一の内径を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧縮機の能力制御
弁に関し、特に、車両用空調装置に備えられる可変容量
式圧縮機の能力制御弁に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、このような分野の技術として
は、実開平4−79981号公報によって開示されたも
のが知られている。この公報に記載された従来の能力制
御弁は、車両用空調装置に備えられる可変容量式圧縮機
のケーシングに装着され、高圧側(吐出側)から低圧側
(吸込側)にバイパスされる冷媒の量を調整するアンロ
ードバルブを制御するために用いられる。このため、こ
の能力制御弁は、圧縮機からの高圧側圧力と低圧側圧力
とを利用して、アンロードバルブに供給する中間圧力を
発生させる2方弁部を有すると共に、圧力変位変換部、
帰還部、及び、補正部を備える。
【0003】2方弁部は、本体に形成された弁口部を含
み、この弁口部は、ボール(弁体)によって開閉され
る。また、2方弁の弁口部は、本体に形成された流出孔
を介して低圧側と連通している。更に、本体には、弁口
部を開閉するボールをガイドするガイド部と、中間圧力
を出力するためのクロス孔とが形成されている。また、
圧力変位変換部は、本体と上部ボディとの間にOリング
を介して挟持されたダイヤフラムを含む。ダイヤフラム
の上方には、当金、スプリング、ディッシュ、及び、ア
ジャスタが配置され、アジャスタは、上部ボディに螺合
されている。
【0004】帰還部は、パッキンホルダアッシー及びシ
ャフトアッシーを含む。パッキンホルダアッシーは、ブ
ッシュ、パッキン、およびパッキンホルダとからなり、
パッキンホルダは本体に圧入されている。一方、シャフ
トアッシーは、上端が圧力変位変換部のダイヤフラムと
当接するシャフトを含む。このシャフトは、パッキンホ
ルダアッシーによってパッキンを介して摺動自在に保持
され、これにより、パッキンホルダアッシーと圧力変位
変換部のダイヤフラムとの間に、第1のチャンバが画成
される。また、シャフトとパッキンホルダアッシーとの
間には、スプリングが介設されており、このスプリング
によってシャフトは上方に付勢される。
【0005】更に、シャフトの下部には、ブッシュ、パ
ッキン、パッキンホルダが装着されており、シャフトに
装着されたパッキンは、本体に形成された孔部と摺接す
る。そして、シャフトアッシーのパッキンと本体の孔部
とが摺接することにより、パッキンホルダアッシーとシ
ャフトアッシーのパッキンホルダとの間に第2のチャン
バが画成される。また、シャフトの先端には、本体に形
成されて上記孔部の下方に位置する小径の貫通孔を通過
するピンが装着されており、このピンによって、2方弁
部の弁口部を開閉するボールにダイヤフラムからの力が
伝えられる。そして、シャフトアッシーのパッキンホル
ダと本体の貫通孔との間には、第3のチャンバが画成さ
れる。
【0006】帰還部の第1のチャンバと、第3のチャン
バとには、本体に形成された導入孔を介して圧縮機から
の低圧側圧力が導かれる。これにより、第1のチャンバ
を介して、圧力変位変換部のダイヤフラムに低圧側圧力
が伝えられ、第3のチャンバを介して、シャフトに低圧
側圧力が伝えられる。また、第2のチャンバには、2方
弁部のクロス孔と直交するように本体に形成された圧力
導入孔を介して中間圧力が導かれる。これにより、第2
のチャンバを介して、シャフトに中間圧力が伝えられ
る。
【0007】補正部は、パッキンホルダアッシー、補正
シャフト、及び、スプリングを含む。補正部のパッキン
ホルダアッシーも、ブッシュ、パッキン、及び、パッキ
ンホルダとからなり、パッキンホルダは本体に圧入され
ている。また、補正シャフトの中心部には、穴が形成さ
れており、その壁面には、オリフィスが設けられてい
る。そして、スプリングは、補正シャフトとパッキンホ
ルダとの間に介設されている。これにより、2方弁部の
ボールは、補正シャフトの上端部によって上方へ押し上
げられる。また、補正シャフトの外周面とパッキンホル
ダアッシーのパッキンとが摺接することにより、上側チ
ャンバと下側チャンバが画成される。下側チャンバには
導通孔を介して高圧側圧力が導かれる。また、下側チャ
ンバと上側チャンバとは、補正シャフトの穴とオリフィ
スとを介して互いに連通する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述したように構成さ
れた従来の圧縮機の能力制御弁によれば、各種諸元を適
切に設定することにより、低圧側圧力と中間圧力との間
の特性を圧縮機側の要求に合致するよう定めることが可
能となり、また、高圧側圧力の変動に対応して、中間圧
力が立ち上がる低圧側圧力の値を任意に設定することが
可能となる。しかしながら、当該従来の能力制御弁に
は、次のような問題点が存在していた。
【0009】すなわち、上述した従来の能力制御弁で
は、帰還部の第3のチャンバと、2方弁部の弁口部とを
貫通孔によって区画すると共に、流出孔を介して弁口部
を低圧側と連通させることにより、弁口部を介して2方
弁部から流出する冷媒の影響によって第3のチャンバ内
の圧力が低圧側圧力よりも上昇してしまうことを防止し
ていた。しかしながら、従来の能力制御弁では、弁口部
は小径の孔部として形成されている。このため、2方弁
部の弁口部に流出孔を形成する際に、流出孔の内周面の
弁口部側に生じたバリを除去するのが極めて困難となっ
ていた。
【0010】また、従来の能力制御弁の本体には、第2
のチャンバに中間圧力を導くための圧力導入孔がクロス
孔と直交するように形成されるが、本体のクロス孔近傍
には、2方弁のボールをガイドするためのガイド部を形
成する必要上、クロス孔も小径の孔部として形成されて
いる。このため、圧力導入孔の形成時に、圧力導入孔の
内周面のクロス孔側に生じたバリを除去するのが極めて
困難となっていた。更に、従来の能力制御弁の補正部で
は、下側チャンバと上側チャンバとが補正シャフトの穴
とオリフィスとを介して連通させられているが、補正シ
ャフトの孔も小径である。このため、オリフィスの形成
時に、オリフィスの内部側に発生するバリを除去するの
が極めて困難となっていた。このように、従来の能力制
御弁は、加工性の面で問題を有しており、また、加工性
が悪いことに起因して、製造コスト自体も増大化してし
まうという問題もあった。
【0011】そこで、本発明は、加工性に優れると共
に、低コストで構成可能な圧縮機の能力制御弁の提供を
目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明
による圧縮機の能力制御弁は、圧縮機の高圧側から低圧
側にバイパスされる冷媒の量を調整するための圧縮機の
能力制御弁において、圧縮機からの高圧側圧力と低圧側
圧力とから中間圧力を発生させる2方弁部と、低圧側圧
力を変位に変換し、2方弁部を開閉するためのシャフト
を移動させる圧力変位変換部と、低圧側圧力を圧力変位
変換部に伝達するための第1チャンバと、中間圧力をシ
ャフトに伝達するための第2チャンバと、低圧側圧力を
シャフトに伝達するための第3チャンバとを有する帰還
部とを備え、第3チャンバは、2方弁部の弁口部と連通
すると共に、2方弁部からの冷媒を流出させる流出孔と
連通しており、かつ、第2チャンバの内径と略同一の内
径を有するものである。
【0013】この圧縮機の能力制御弁では、帰還部の第
3チャンバを、2方弁部の弁口部と連通させると共に2
方弁部からの冷媒を流出させる流出孔と連通させる一
方、第3チャンバの内径を第2チャンバの内径と略同一
としている。更に、この圧縮機の能力制御弁は、第3チ
ャンバと低圧側とを連通させる流出孔を有する。この流
出孔は、弁口部を介して2方弁部から流れ込んだ冷媒を
低圧側に流出させるのに十分な流路面積を有するもので
ある。これにより、第3チャンバの内径を大きくすると
共に、第3チャンバ内の圧力が低圧側圧力よりも上昇し
てしまうことを防止することができる。従って、2方弁
部からの冷媒を流出させる流出孔を形成する際に、流出
孔の内周面の弁口部側に生じたバリを除去する作業を極
めて容易に行うことが可能となる。従って、この圧縮機
の能力制御弁によれば、加工性を良好にすると共に製造
コストを低減することができる。
【0014】また、2方弁部の弁体を圧力変位変換部側
に付勢するための補正シャフトと、補正シャフトを摺動
自在に保持し、弁体側チャンバと、高圧側チャンバとを
画成すると共に、弁体を摺動自在にガイドするガイド部
を有するホルダ部とを更に備えると好ましい。
【0015】このように、2方弁部の弁体(ボール)を
ガイドするためのガイド部をホルダ部(パッキンホルダ
アッシー)に設ければ、能力制御弁の本体側にガイド部
を設ける必要がなくなり、弁体側チャンバの容積を大き
くすることができる。従って、帰還部の第2チャンバに
中間圧力を導くための圧力導入孔を弁体側チャンバと直
接連通するように形成することができる。これにより、
圧力導入孔の形成時に、圧力導入孔の内周面に生じたバ
リを除去する作業を極めて容易に行うことが可能とな
る。従って、この圧縮機の能力制御弁によれば、加工性
を良好にすると共に製造コストを低減することができ
る。
【0016】更に、補正シャフトの外周には、弁体側チ
ャンバと高圧側チャンバとを連通させる連通溝が形成さ
れていると好ましい。
【0017】このような構成を採用すれば、従来の能力
制御弁の補正部において必要であったオリフィスの成形
作業(バリの除去作業)等が不要となる。そして、補正
シャフトに対しては、連通溝を極めて容易に形成するこ
とができる。従って、この圧縮機の能力制御弁によれ
ば、加工性を良好にすると共に製造コストを低減するこ
とができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、図面と共に本発明による圧
縮機の能力制御弁の好適な実施形態について詳細に説明
する。
【0019】図1は、本発明による圧縮機の能力制御弁
を示す縦断面図であり、図2は、図1に示す能力制御弁
の要部拡大断面図である。図1及び図2に示す能力制御
弁1は、車両用空調装置に備えられる可変容量式圧縮機
のケーシングに装着され、高圧側(吐出側)から低圧側
(吸込側)にバイパスされる冷媒の量を調整するアンロ
ードバルブを制御するために用いられる。このため、能
力制御弁1は、圧縮機からの高圧側圧力と低圧側圧力と
を利用して、アンロードバルブ50に供給する中間圧力
を発生させる2方弁部10を有すると共に、圧力変位変
換部20、帰還部30、及び、補正部40を備える。
【0020】図1及び図2に示すように、2方弁部10
は、本体2に形成された弁口部11を含み、この弁口部
11は、ボール(弁体)12によって開閉される。ま
た、本体2には、ボール12の近傍に位置するように、
アンロードバルブ50に対して中間圧力を出力するため
のクロス孔14が形成されている。圧力変位変換部20
は、本体2と上部ボディ3との間にOリング21を介し
て挟持されたダイヤフラム22を含む。ダイヤフラム2
2の上方には、当金23、スプリング24、ディッシュ
25、及び、アジャスタ26が配置され、アジャスタ2
6は、上部ボディ3に螺合されている。
【0021】帰還部30は、パッキンホルダアッシー3
1及びシャフトアッシー32を含む。パッキンホルダア
ッシー31は、ブッシュ31a、パッキン31b、およ
びパッキンホルダ31cとからなり、パッキンホルダ3
1cは本体2に圧入されている。一方、シャフトアッシ
ー32は、上端が圧力変位変換部20のダイヤフラム2
2と当接するシャフト33を含む。シャフト33は、パ
ッキンホルダアッシー31によってパッキン31bを介
して摺動自在に保持される。
【0022】これにより、パッキンホルダアッシー31
と圧力変位変換部20のダイヤフラム22との間に、第
1チャンバ34が画成される。この第1チャンバ34に
は、図1に示すように、本体2に形成された導入孔4を
介して圧縮機からの低圧側圧力が導かれる。これによ
り、第1チャンバ34を介して、圧力変位変換部20の
ダイヤフラム22に低圧側圧力を伝達することができ
る。また、シャフト33とパッキンホルダアッシー31
との間には、スプリング35が介設されており、このス
プリング35によってシャフト33は上方に付勢され
る。
【0023】更に、シャフト33の下部には、ブッシュ
36a、パッキン36b、パッキンホルダ36cが装着
されており、シャフト33に装着されたパッキン36b
は、本体2に形成された孔部5と摺接する。そして、シ
ャフトアッシー32のパッキン36bと本体2の孔部5
とが摺接することにより、パッキンホルダアッシー31
とシャフトアッシー32のパッキンホルダ36cとの間
に第2チャンバ37が画成される。
【0024】また、本体に形成された孔部5は、図2に
示すように、2方弁部10の弁口部11と連通してお
り、これにより、シャフトアッシー32のパッキンホル
ダ36cと弁口部11との間には、第2チャンバ37と
同一の内径を有する第3チャンバ38が画成される。シ
ャフト33の先端は、図2に示すように先細に形成さ
れ、弁口部11から突出して、2方弁部10のボール1
2と当接する。更に、本体2には、第3チャンバ38と
低圧側とを連通させる流出孔6が形成されている。これ
により、第3チャンバ38、パッキン36bを介して、
シャフト33に低圧側圧力を伝達することができる。ま
た、弁口部11を介して2方弁部10から流れ込んだ冷
媒は、流出孔6を介して低圧側に流出することになる。
【0025】補正部40は、パッキンホルダアッシー
(ホルダ部)41、補正シャフト42、及び、スプリン
グ44を含む。補正部40のパッキンホルダアッシー4
1も、ブッシュ41a、パッキン41b、及び、パッキ
ンホルダ41cとからなり、パッキンホルダ41cは本
体2に圧入されている。補正シャフト42の外周面は、
パッキンホルダアッシー41のパッキン41bと摺接し
ている。また、スプリング44は、パッキンホルダ41
と補正シャフト42との間に介設されている。これによ
り、2方弁部10のボール12は、補正シャフト42の
上端部によって上方へ押し上げられることになる。
【0026】このようにパッキンホルダ41cで補正シ
ャフト42を摺動自在に保持することにより、2方弁部
10の弁口部11とパッキンホルダアッシー41との間
に、弁体側チャンバ45が画成され、本体2の下部に装
着された蓋体7とパッキンホルダアッシー41との間
に、高圧側チャンバ46が画成される。高圧側チャンバ
46には、本体2に形成された導通孔9を介して、圧縮
機から吐出される冷媒(高圧側圧力)が導入される。
【0027】また、図2に示すように、本体2には、孔
部5と略平行に延びる圧力導入孔8が形成されている。
この圧力導入孔8は、弁体側チャンバ45と、帰還部3
0の第2チャンバ37とを連通しており、これにより、
帰還部30の第2チャンバ37には、2方弁部10から
の中間圧力が導かれ、第2チャンバ37、パッキン36
bを介して、シャフト33に中間圧力を伝達することが
できる。
【0028】更に、パッキンホルダ41cには、図2に
示すように、円筒状のガイド部41dが設けられてお
り、このガイド部41dは、2方弁部10のボール12
を摺動自在にガイドする。加えて、補正シャフト42の
外周には、弁体側チャンバ45と高圧側チャンバ46と
を連通させる連通溝42aが形成されている。
【0029】このように構成された能力制御弁1の動作
は、静的な力の釣合によって説明することができる。す
なわち、力の平衡式を考えると、導入孔4と第1チャン
バ34とを介して圧力変位変換部20のダイヤフラム2
2に作用する低圧側圧力は、当金23とディッシュ25
との間に設けられたスプリング24の作用によりシャフ
ト33を押し下げるための変位に変換される。そして、
この変位は、帰還部30のシャフト33を介して2方弁
部10のボール12に伝達される。また、シャフト33
が2方弁部10のボール12と接している間、軸方向の
主な力は次のようになる。
【0030】すなわち、上向きの力として、 F1:圧力変位変換部20のダイヤフラム22に作用す
る低圧側圧力による力 F2:シャフト33に装着されたパッキン36bに作用
する低圧側圧力による力 F3:補正シャフト42に作用する高圧側圧力による力 F4:スプリング35による力 F5:スプリング24による力 また、下向きの力として、 F6:スプリング44による力 F7:圧力導入孔8を介して第2チャンバ37に帰還さ
れた中間圧力がシャフト33のパッキン36bに作用す
る力 が挙げられる。
【0031】そして、低圧側圧力をLP、中間圧力をA
P、高圧側圧力をHPとすると、上記F1,F2,F
3,F7は次のように表すことができる。 F1 =K1 ×LP,F2 =K2 ×LP,F3 =K3 ×HP, F7 =K7 ×AP …(1) ここで、K1〜K7は各部の諸元により一義的に決まる
定数であり、力の平衡式は次のようになる。 F1+F2+F3+F4+F5=F6+F7 …(2) 式(1)および(2)からAP=f(LP,HP)の形
式に整理すると、次式が選られる。 AP=a×LP+b×HP+c…(3) 但し、a,b,cは定数である。
【0032】上記(3)式は、図3に示す特性図におい
て、直線ロ−ホの傾きを持つ直線群を表す。また、図3
の直線イ−ロは、ボール12が弁口部11からある程度
離れ、補正シャフト42の連通溝42aから弁体側チャ
ンバ45に導入される高圧側圧力が急激に圧力降下する
ことにより、中間圧力が低圧側圧力とほぼ一致すること
を示す。更に、直線ロ−ホと同じ傾きをもつ直線ト−ヌ
は、高圧側圧力の大小に依存する直線を示す。また、直
線ホ−ヘ(高圧側圧力=一定)は、弁口部11が概略閉
状態にあることを示している。
【0033】ここで、能力制御弁1の制御因子となる低
圧側圧力は、高圧側圧力が高い場合にはLP1−LP2
の範囲が、また、高圧側圧力HPが低い場合にはLP
1’−LP2’の範囲が採用されるものと仮定する。こ
の場合、圧縮機の運転中、熱負荷が大きいと(高圧側圧
力も高いと)、低圧側圧力はLP2より高い圧力とな
り、低圧側圧力は導入孔4を通して第1チャンバ34に
導入され、ダイヤフラム22に作用する上向きの力とな
って現れる。
【0034】これにより、スプリング24の付勢力に抗
してシャフト33が上方に移動し、2方弁部10のボー
ル12は弁口部11に接近する。この際、冷媒は、導通
孔9、補正シャフト42の連通溝42aを通過し、弁口
部11、流出孔6を介して低圧側に流出する。この場
合、中間圧力は、図3に示す特性図のニ−ホ−ヘの範囲
内にある。この結果、LP≧LP2の範囲では、アンロ
ードバルブ50のスプール51はスプリング52を押し
下げ、アンロードバルブ50の本体側面に形成された孔
部53を閉鎖する。これにより、圧縮機の吐出側から吸
入側に対する冷媒のバイパスが停止される。
【0035】また、圧縮機の運転中、熱負荷が軽減され
ると、低圧側圧力も低下し、やがて、図3の低圧側圧力
がLP2に達すると中間圧力も低下し、アンロードバル
ブ50のスプール51が上方に移動して、スプール51
の連通孔54とアンロードバルブ50の本体側面に形成
された孔部53とが連通するようになる。これにより、
アンロードバルブ50によって冷媒のバイパスが行わ
れ、LP2−LP1の領域において、冷媒のバイパス量
は低圧側圧力に比例するように制御される。また、外気
温が低い等の環境条件により高圧側圧力が低下すると、
図3の直線ロ−ホは、低圧側圧力が高い方へ(図中右
へ)シフトするため、低圧側圧力が同程度の値であって
も、アンロードバルブ50による冷媒のバイパス量は、
高圧側圧力が高い場合に比べて増加することになる。
【0036】このように、能力制御弁1を用いれば、各
種諸元を適切に設定することにより、低圧側圧力と中間
圧力との間の特性を圧縮機側の要求に合致するよう定め
ることが可能となり、また、高圧側圧力の変動に対応し
て、中間圧力が立ち上がる低圧側圧力の値を任意に設定
することが可能となる。
【0037】これに加えて、上述したように構成された
能力制御弁1では、帰還部30の第3チャンバ38を、
2方弁部10の弁口部11とを連通させると共に2方弁
部10からの冷媒を流出させる流出孔6と連通させる一
方、第3チャンバ38の内径を第2チャンバ37の内径
と略同一としている。更に、能力制御弁1は、第3チャ
ンバ38と低圧側とを連通させる流出孔6を有する。こ
の流出孔6は、弁口部11を介して2方弁部10から流
れ込んだ冷媒を低圧側に流出させるのに十分な流路面積
を有するものである。これにより、第3チャンバ38の
内径を大きくしても、第3チャンバ38内の圧力が低圧
側圧力よりも上昇してしまうことを防止することが可能
となる。従って、2方弁部10からの冷媒を流出させる
流出孔6を形成する際に、流出孔6の内周面の弁口部1
1側に生じたバリを除去する作業を極めて容易に行うこ
とが可能となる。
【0038】また、2方弁部10のボール12をガイド
するためのガイド部41dをパッキンホルダアッシー4
1に設ければ、能力制御弁1の本体2側にガイド部を設
ける必要がなくなり、弁体側チャンバ45の容積を大き
くすることができる。従って、帰還部30の第2チャン
バ37に中間圧力を導くための圧力導入孔8を弁体側チ
ャンバ45と直接連通するように形成することができ
る。これにより、圧力導入孔8の形成時に、圧力導入孔
8の弁体側チャンバ45側に生じたバリを除去する作業
を極めて容易に行うことが可能となる。
【0039】更に、補正部40の補正シャフト42は、
極めて容易に形成可能な連通溝42aを有する。従っ
て、従来の能力制御弁の補正部において必要であったオ
リフィスの成形作業(バリの除去作業)等が不要とな
る。なお、連通溝42aの断面積を、従来の能力制御弁
の補正シャフトに設けられていたオリフィスの断面積と
略同一にしておけば、補正部の機能を従来のものと略同
一に保つことができる。
【0040】このように、本発明による圧縮機の能力制
御弁では、流出孔6の内周面の弁口部11側や、圧力導
入孔8の弁体側チャンバ45側に生じたバリを除去する
作業を極めて容易に行うことが可能である。更に、補正
シャフト42の連通溝42aも、極めて容易に形成可能
である。この結果、能力制御弁1は、きわめて良好な加
工性を有し、かつ、低コストで製造可能となる。
【0041】
【発明の効果】このように、本発明による圧縮機の能力
制御弁は、圧縮機からの高圧側圧力と低圧側圧力とから
中間圧力を発生させる2方弁部と、低圧側圧力を変位に
変換し、2方弁部を開閉するためのシャフトを移動させ
る圧力変位変換部と、低圧側圧力を圧力変位変換部に伝
達するための第1チャンバと、中間圧力をシャフトに伝
達するための第2チャンバと、低圧側圧力をシャフトに
伝達するための第3チャンバとを有する帰還部とを備
え、第3チャンバは、2方弁部の弁口部と連通すると共
に、2方弁部からの冷媒を流出させる流出孔と連通して
おり、かつ、第2チャンバの内径と略同一の内径を有す
る。この結果、加工性に優れると共に、低コストで構成
可能な圧縮機の能力制御弁の実現が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による圧縮機の能力制御弁を示す縦断面
図である。
【図2】図1に示す能力制御弁の要部拡大断面図であ
る。
【図3】本発明による能力制御弁を備えた圧縮機の低圧
側圧力と中間圧力との関係を示す特性図である。
【符号の説明】
1…能力制御弁、2…本体、4…導入孔、5…孔部、6
…流出孔、8…圧力導入孔、9…導通孔、10…2方弁
部、11…弁口部、12…ボール(弁体)、14…クロ
ス孔、20…圧力変位変換部、22…ダイヤフラム、2
4…スプリング、30…帰還部、31…パッキンホルダ
アッシー、31a…ブッシュ、31b…パッキン、31
c…パッキンホルダ、32…シャフトアッシー、33…
シャフト、34…第1チャンバ、35…スプリング、3
6a…ブッシュ、36b…パッキン、36c…パッキン
ホルダ、37…第2チャンバ、38…第3チャンバ、4
0…補正部、41…パッキンホルダアッシー、41a…
ブッシュ、41b…パッキン、41c…パッキンホル
ダ、41d…ガイド部、42…補正シャフト、42a…
連通溝、44…スプリング、45…弁体側チャンバ、4
6…高圧側チャンバ、50…アンロードバルブ。
フロントページの続き (72)発明者 岡田 悟 岐阜県大垣市久徳町100番地 太平洋工業 株式会社内 (72)発明者 坂井 孝行 岐阜県大垣市久徳町100番地 太平洋工業 株式会社内 Fターム(参考) 3H045 AA04 AA10 AA13 AA27 BA19 CA02 CA03 DA25 EA33 3H076 AA06 BB50 CC41 CC83 CC92 CC93

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧縮機の高圧側から低圧側にバイパスさ
    れる冷媒の量を調整するための圧縮機の能力制御弁にお
    いて、 前記圧縮機からの高圧側圧力と低圧側圧力とから中間圧
    力を発生させる2方弁部と、 前記低圧側圧力を変位に変換し、前記2方弁部を開閉す
    るためのシャフトを移動させる圧力変位変換部と、 前記低圧側圧力を前記圧力変位変換部に伝達するための
    第1チャンバと、前記中間圧力を前記シャフトに伝達す
    るための第2チャンバと、前記低圧側圧力を前記シャフ
    トに伝達するための第3チャンバとを有する帰還部とを
    備え、前記第3チャンバは、前記2方弁部の弁口部と連
    通すると共に、前記2方弁部からの冷媒を流出させる流
    出孔と連通しており、かつ、前記第2チャンバの内径と
    略同一の内径を有することを特徴とする圧縮機の能力制
    御弁。
  2. 【請求項2】 前記2方弁部の弁体を前記圧力変位変換
    部側に付勢するための補正シャフトと、 前記補正シャフトを摺動自在に保持し、弁体側チャンバ
    と、高圧側チャンバとを画成すると共に、前記弁体を摺
    動自在にガイドするガイド部を有するホルダ部とを更に
    備えることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機の能力
    制御弁。
  3. 【請求項3】 前記補正シャフトの外周には、前記弁体
    側チャンバと前記高圧側チャンバとを連通させる連通溝
    が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の圧
    縮機の能力制御弁。
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