JP2002161594A - 免震装置の耐火被覆工法 - Google Patents

免震装置の耐火被覆工法

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JP2002161594A JP2000356716A JP2000356716A JP2002161594A JP 2002161594 A JP2002161594 A JP 2002161594A JP 2000356716 A JP2000356716 A JP 2000356716A JP 2000356716 A JP2000356716 A JP 2000356716A JP 2002161594 A JP2002161594 A JP 2002161594A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 構成が簡単で施工性が良く、免震装置の定期
点検を容易に行え、意匠性に優れて仕上材を必要とせ
ず、コストの削減に寄与する免震装置の耐火被覆工法を
提供する。 【解決手段】 上側又は下側のフランジの少なくとも一
方を、免震装置の周辺部について耐火ボードで被覆し、
前記フランジを固定するボルト又はナットの天端よりも
若干高いレベルの平面を形成する。前記免震装置の外周
を取り囲む配置で設けた耐火パネルの上下の端部の一方
を構造体へ取付け、他方の端部は前記耐火ボードの平面
に沿って移動可能に組立てる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ビル、マンショ
ン等の既存建物の中間階免震層などに設置される免震装
置の耐火被覆工法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ビル、マンション等の既存建物の
中間階免震層などに設置される免震装置の耐火被覆工法
として、以下に示す公知技術が存在する。
【0003】(I)特開平3−87433号公報等に開
示された耐火被覆工法は、所謂提灯型と云われるタイプ
であり、免震装置の積層ゴムの水平変位に十分追従でき
る長さを有する耐火材を袋状に加工製作して、前記耐火
材により積層ゴムの外周面を取り囲む。
【0004】(II)特開平11−71938号公報等に
開示された耐火被覆工法は、所謂多段スライド型と云わ
れるタイプであり、リング状の耐火材を積層して積層ゴ
ムの外周面を取り囲み、積層ゴムの水平変位に対して分
割層がスライドして追従する。
【0005】(III)特開平10−22715号公報等
に開示された耐火被覆工法は、所謂分割摺動型と云われ
るタイプであり、上下に2分割した耐火材により積層ゴ
ムの外周面を取り囲み、積層ゴムの水平変位に対して分
割層がスライドして追従する。
【0006】(IV)特開平10−18433号公報に開
示された耐火被覆工法は、所謂巻付け型と云われるタイ
プであり、発泡型防火性組成物のゴム材により積層ゴム
の外周面を取り囲み、積層ゴムの水平変形に対して同等
の弾性を有するゴム材により追従する。なお、前記ゴム
材は、火災時の一定温度以上に加熱されると発泡型防火
性組成物のゴム材が数十倍に発泡膨張して炭化層を形成
して断熱材となる。
【0007】(V)その他、実公平7−1369号公報
に開示された耐火被覆工法は、免震装置の高さ相当の長
さを有する帯状の耐火材が、上部構造体に固定した取付
金物にピン支持されて上部構造体から回転自在に懸架さ
れ、帯状の耐火材により積層ゴムの外周面を取り囲む。
なお、前記耐火材は、地震等による免震装置変形時に接
触しても衝撃を受けないように可撓性の材料を用いてい
る。
【0008】
【本発明が解決しようとする課題】上記(I)の公知技
術は、免震装置の高さに制限があることから、耐火材の
形状が複雑(中間部が膨張した提灯型)であり、取付け
作業が煩雑で施工性が悪い。
【0009】上記(II)の公知技術は、リング状の耐火
材を構成する部材数が多く、その加工製作にコストが嵩
む。また、積層ゴムの外周に多数のリング状耐火材を設
置する必要があり、作業が煩雑で施工性が悪い。
【0010】上記(IV)の公知技術は、発泡型防火性組
成物のゴム材が所定の耐火性能を確保するためにかなり
の被覆厚を必要とするためコストが嵩む。
【0011】また、上記(I)〜(V)の公知技術は、通
常、免震装置の定期点検時に耐火材を取り外さなければ
積層ゴムの正確な損傷等を確認することができないにも
かかわらず、構造上耐火材の取り外し作業が煩雑で、点
検作業を容易に行うことができない。
【0012】更に、上記(I)〜(V)の公知技術は、前
記耐火材として構成されているだけなので見栄えが悪
く、中間階免震層の用途によっては意匠性に劣り、別
途、仕上材が必要でコストが嵩む。
【0013】従って、本発明の目的は、構成が簡単で施
工性が良く、免震装置の定期点検を容易に行え、しか
も、意匠性に優れて仕上材を必要としないことでコスト
の削減に寄与することができる免震装置の耐火被覆工法
を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
めの手段として、請求項1に記載した発明に係る免震装
置の耐火被覆工法は、積層ゴムと、これを上部構造体及
び下部構造体へ結合する上下のフランジとから成る免震
装置の耐火被覆工法において、上側又は下側のフランジ
の少なくとも一方を、前記免震装置の周辺部について耐
火ボードで被覆し、前記フランジを固定するボルト又は
ナットの天端よりも若干高いレベルの平面を形成するこ
と、前記免震装置の外周を取り囲む配置で設けた耐火パ
ネルの上下の端部の一方を構造体へ取付け、他方の端部
は前記耐火ボードの平面に沿って移動可能に組立てるこ
とを特徴とする。
【0015】請求項2記載の発明は、請求項1に記載し
た発明に係る免震装置の耐火被覆工法において、耐火パ
ネルは、水平移動を許容するに足りる距離を積層ゴムか
ら開け、前記耐火パネルの一方の端部は、上部又は下部
構造体の一方へ固定した複数個の鋼製金物にボルトで固
定し、この耐火パネルで積層ゴムの外周面を取り囲むこ
と、前記耐火パネルの他端部と耐火ボードの間には、耐
火パネルの水平移動を許容するに足る大きさの隙間を開
け、前記隙間に発泡性耐火ガスケットを設けることを特
徴とする。
【0016】請求項3記載の発明は、請求項1に記載し
た発明に係る免震装置の耐火被覆工法において、耐火パ
ネルにおいて、耐火ボードの平面に沿って移動する端部
とは反対側の端部を、構造体へヒンジ機構により回転可
能に取り付けて、前記耐火パネルで積層ゴムの外周面を
取り囲むこと、耐火パネルにおいて耐火ボードの平面に
沿って移動する端部と耐火ボードの間には、耐火パネル
の水平移動を許容するに足りる大きさの隙間を開け、前
記隙間に発泡性耐火ガスケットを設けること、前記耐火
パネルの内側面の四隅に位置するコーナー金物を、耐火
パネルを回転可能に取り付けた構造体へ設け、該コーナ
ー金物に隣接する二辺の耐火パネルはスプリングにより
連結し、隣接する耐火パネルの相対面する小口の少なく
とも一方に発泡性耐火ガスケットを設けることを特徴と
する。
【0017】請求項4記載の発明は、請求項2又は3に
記載した発明に係る免震装置の耐火被覆工法において、
耐火ボードは、フランジの周辺部のみを被覆することを
特徴とする。
【0018】請求項5に記載した発明に係る免震装置の
耐火被覆工法は、積層ゴムと、これを上部構造体及び下
部構造体へ結合する上下のフランジとから成る免震装置
の耐火被覆工法において、上側及び下側のフランジにお
ける前記免震装置の周辺部を耐火ボードで被覆し、前記
フランジを固定するボルト又はナットの天端よりも若干
高いレベルの平面を形成すること、前記免震装置の外周
を取り囲む配置で設けた耐火パネルの上下の端部は、前
記耐火ボードの平面に沿って移動可能に組立てることを
特徴とする。
【0019】請求項6記載の発明は、請求項5に記載し
た発明に係る免震装置の耐火被覆工法において、免震装
置の積層ゴムの略中央の高さ位置に取り付けたリング状
の金物と、前記リング状の金物に一端を取り付けて水平
方向に配置した複数本のアーム材と、前記アーム材の他
端に取り付けたコーナー金物とで構成した鋼製金物へ耐
火パネルをボルトで固定し、前記耐火パネルで積層ゴム
の外周面を取り囲むこと、前記耐火パネルの上下の端部
と耐火ボードの平面との間には、耐火パネルの水平移動
を許容するに足りる大きさの隙間を開け、前記隙間に発
泡性耐火ガスケットを設けることを特徴とする。
【0020】請求項7記載の発明は、請求項2、3又は
6のいずれか一に記載した免震装置の耐火被覆工法にお
いて、発泡性耐火ガスケットは、耐火パネルの端部と耐
火ボードの平面との隙間の高さより若干低く形成してい
ることを特徴とする。
【0021】請求項8記載の発明は、請求項1〜7のい
ずれか一に記載した免震装置の耐火被覆工法において、
耐火パネル及び発泡性耐火ガスケットは、仕上材として
用いることを特徴とする。
【0022】請求項9記載の発明は、請求項1又は請求
項3、4、7、8のいずれか一に記載した免震装置の耐
火被覆工法において、積層ゴムと接触する耐火パネルの
端部には、弾力性のある保護材を設けることを特徴とす
る。
【0023】
【本発明の実施の形態、及び実施例】図1〜図4は、請
求項1及び請求項2並びに請求項7、8に記載した発明
に係る免震装置の耐火被覆工法の実施形態を示す。
【0024】この耐火被覆工法は、ビル、マンション等
の既存建物の中間階免震層などに設置する積層ゴム3a
と、これを上部構造体、下部構造体としての上部柱1及
び下部柱2へ結合する上下のフランジ3b、3cとから
成る免震装置3が、地震火災時に発生する火災により損
傷したり、免震機能を損うことがないように耐火被覆し
て実施される。
【0025】下側のフランジ3cを、前記積層ゴム3a
の周辺部について耐火ボード4で被覆し、同下側フラン
ジ3cを固定するボルト7の頭天端よりも若干高いレベ
ルの平面を形成する。
【0026】前記耐火ボード4は、けい酸カルシウム又
は強化石膏ボード等で構成する。耐火ボード4は、上面
を平面に形成し、下面は下側のフランジ3cとそれを固
定するボルト7、更にはこれらと下部柱2の切断面とが
形成する段差へぴったり嵌め込むことができるように形
成する。前記耐火ボード4の上面の高さは、前記免震装
置3の周辺部へ耐火ボード4を配置した際にボルト7の
天端よりも若干高い位置となるように、耐火ボード4は
所定の厚みを有する。前記上面は、後述する耐火パネル
6の下端部が移動する範囲に十分な平面長さを有してい
る。
【0027】前記構成の耐火ボード4を免震装置3の周
辺部へ配置し、下部柱2に図示を省略したアンカー等で
固定する。
【0028】一方、前記免震装置3の外周を取り囲む配
置で設けた耐火パネル6の下端部は、前記耐火ボード4
の上面(平面)に沿って移動可能に組み立てる。
【0029】具体的には、図2に示したように、上部柱
1へ固定した複数個(8個)の鋼製金物5へボルト8で
固定し、前記耐火パネル6で積層ゴム3aの外周面を四
角形状に取り囲む(請求項2記載の発明)。
【0030】鋼製金物5は、上部柱1の四隅に設けたL
型のコーナー金物5a…と、各辺の略中間位置に設けた
I型の鋼製金物5b…とで構成している。L型のコーナ
ー金物5a及びI型の鋼製金物5bに、4枚の耐火パネ
ル6…をそれぞれボルト8…で取り付けている。従っ
て、耐火パネル6はボルト8により取り外し可能な構成
となっている。そのため、免震装置3の定期点検時には
耐火パネル6は容易に取り外すことができ、点検作業を
容易に進めることができる。
【0031】前記耐火パネル6の下端部と耐火ボード4
との間には、図3に拡大して示すように、耐火パネル6
の水平移動を許容するに足る大きさの隙間hを開け、前
記隙間hに発泡性耐火ガスケット9を設けている(請求
項2記載の発明)。前記発泡性耐火ガスケット9は、耐
火パネル6の下端部と耐火ボード4の上面との隙間hの
高さよりも若干低く形成する(請求項7記載の発明)。
したがって、耐火パネル6の下端部にクリアランスを確
保することができ、前記耐火パネル6の水平移動を妨げ
ることがない。そのため、前記耐火パネル6は、図4に
示すように、地震等による免震装置3の水平変形に対
し、耐火パネル6の下端部がスムーズに水平移動(追従
移動)することができる。
【0032】前記耐火パネル6及び発泡性耐火ガスケッ
ト9は、仕上材として用いる(請求項8記載の発明)。
具体的には、前記耐火パネル6の外側面には化粧板等の
意匠性に優れた材料が用いられ、前記発泡性耐火ガスケ
ット9を目地部材として用いる。従って、中間階免震層
の空間をいずれの用途に用いても意匠性に優れている。
そのため、別途仕上材を必要とせずコストの削減に寄与
する。
【0033】以上に説明したように、本発明の免震装置
の耐火被覆工法は、耐火パネル6をボルト8により脱着
可能としたので、免震装置3の定期点検作業を容易に行
うことができるほか、構成が簡単であるため施工性も良
い。しかも、意匠性に優れた耐火パネル6を用いること
により、中間階免震層の空間をいずれの用途に用いても
意匠性に優れている。そのため、別途仕上材を必要とせ
ずコストの削減に寄与する。
【0034】なお、上記実施形態では、上部柱1へ鋼製
金物5を固定し下部柱2を耐火ボード4で被覆している
が、逆に上部柱1へ固定したフランジ3bを耐火ボード
4で被覆し、下部柱2へ鋼製金物5を固定し、耐火パネ
ル6を取付けても良い。
【0035】図5〜図7は、請求項1及び請求項3並び
に請求項7〜9に記載した発明の実施形態を示す。上記
図1〜図4の実施形態とは、耐火パネル6…の取付け方
法を異にする。
【0036】具体的には、図5及び図6に示したよう
に、耐火パネル6の上端部を上部柱1へヒンジ機構10
により回転可能に取り付け、この耐火パネル6で積層ゴ
ム3aの外周面を取り囲む(請求項3記載の発明)。
【0037】一方、前記耐火パネル6の下端部と耐火ボ
ード14との間には、耐火パネル6の水平移動を許容す
るに足る大きさの隙間hを開け、前記隙間hに発泡性耐
火ガスケット9を設けている。前記耐火ボード14は、
下側のフランジ3cの周辺部のみを被覆して(請求項4
記載の発明)、やはり、前記フランジ3cを固定するボ
ルト7の頭天端よりも若干高いレベルの平面を形成して
いる。前記発泡性耐火ガスケット9は、耐火パネル6の
下端部と耐火ボード14の上面との隙間の高さよりも若
干低く形成する(請求項7記載の発明)。したがって、
耐火パネル6の下端部にクリアランスを確保することが
でき、前記耐火パネル6の水平移動及び開閉を妨げるこ
とがない。
【0038】前記耐火パネル6の内側面の四隅に位置す
るL型のコーナー金物15を、図6に示したように上部
柱1へ固定して設け、四隅のコーナー金物15にそれぞ
れ隣接し上端をヒンジ機構10により回転可能に取付け
た二辺の耐火パネル6、6はその比較的下部の位置をス
プリング11により連結し、隣接する耐火パネル6、6
の小口の一方に発泡性耐火ガスケット19を設けてい
る。従って、隣接する耐火パネル6、6の小口の隙間か
らの火熱及び火炎の侵入を防止することができる。
【0039】ちなみに、上記免震層に水平変形が生じる
と、図7に示すように水平変形の行き側(図中の右側)
に位置する耐火パネル6は、略鉛直状態を保ったまま水
平移動する。他方、来し側(図中の左側)に位置する耐
火パネル6は、耐火ボード14の外周縁から積層ゴム3
aの外周面まで略鉛直状態を保ったまま水平移動し、そ
れ以上の水平変形に対しては、耐火パネル6の下端部が
積層ゴム3aの外周面に接触し、同耐火パネル6は面外
方向に回転しつつ追従する。その後の揺れ戻しに際して
は、耐火パネル6はコーナー金物15を定規として、ス
プリング11により精度よく元の形状に復元する。
【0040】したがって、図1〜図4の実施形態のよう
に耐火ボードの平面長さを十分に確保する必要がなく、
柱の太さが十分でない場合にも好適に実施できる。ま
た、柱の太さが十分な場合でも、より大きな水平変形に
追従することができる。なお、本実施形態の場合、前記
積層ゴム3aと接触する耐火パネル6の下端部には、弾
力性のある保護材12を設けている(請求項9記載の発
明)。そのため、耐火パネル6の下端部が積層ゴム3a
の外周面に衝突しても、当該積層ゴム3aの外周面を破
損させることがない。
【0041】更に免震装置3の定期点検時には、耐火パ
ネル6を容易に開閉(図5の矢印方向)することがで
き、点検作業を容易に進めることができる。
【0042】なお、本実施形態も前記耐火パネル6及び
発泡性耐火ガスケット9、19を、仕上材として用いる
(請求項8記載の発明)。従って、中間階免震層の空間
をいずれの用途に用いても意匠性に優れている。そのた
め、別途仕上材を必要とせずコストの削減に寄与する。
【0043】以上に説明したように、上記の耐火被覆工
法は、耐火パネル6を回転可能としたので、免震装置3
の定期点検作業を容易に行うことができるほか、構成が
簡単であるため施工性も良い。しかも、意匠性に優れた
耐火パネル6を用いることにより、中間階免震層の空間
をいずれの用途に用いても意匠性に優れている。そのた
め、別途仕上材を必要とせずコストの削減に寄与する。
【0044】図8〜図11は、請求項5〜8に記載した
発明の実施形態を示す。この耐火被覆工法も、ビル、マ
ンション等の既存建物の中間階免震層などに設置する積
層ゴム3aとこれを上部構造体、下部構造体としての上
部柱1及び下部柱2と結合する上下のフランジ3b、3
cとから成る免震装置3が、地震火災時に発生する火災
により損傷したり、免震機能を損うことがないように耐
火被覆して実施される。
【0045】上側及び下側のフランジ3b、3cにおけ
る積層ゴム3aの周辺部を耐火ボード24で被覆し、同
フランジ3b、3cを固定するボルト7の頭天端よりも
若干高いレベルの平面を形成する。
【0046】前記耐火ボード24は、図1〜図4の実施
形態及び図5〜図7の実施形態と同様の構成とされ、同
耐火ボード24を積層ゴム3aの周辺部へそれぞれ配置
し、上下の柱1、2へ図示を省略したアンカー等で固定
する。
【0047】前記免震装置3の外周を取り囲む配置で設
けた耐火パネル6の上下の端部は、前記耐火ボード2
4、24の上面及び下面(平面)に沿って移動可能に組
み立てることが特徴である。
【0048】具体的には、図9に示すように免震装置3
の積層ゴム3aの略中央の高さ位置に取り付けたリング
状の金物25aと、前記リング状の金物25aに一端を
取り付けて水平な対角線方向に配置した複数本(4本)
のアーム材25bと、前記アーム材25bの端部に取り
付けたコーナー金物25cとで構成した鋼製金物25へ
耐火パネル6をボルト8…で固定し、この耐火パネル6
で積層ゴム3aの外周面を取り囲んでいる(請求項6記
載の発明)。
【0049】前記アーム材25bは、リング状の金物2
5aからおよそ柱躯体の四隅までの長さを有し、前記四
隅にコーナー金物25cを設けている。前記コーナー金
物25cは、図1〜図4の実施形態等と同様にL型に形
成されている。なお、本実施形態は、耐火パネル6をよ
り強固に固定するために、上部柱1の各辺の略中間位置
にI型の鋼製金物25dを設けている。そのI型の鋼製
金物25d及びL型のコーナー金物25cに、4枚の耐
火パネル6…をそれぞれボルト8…で取り付けている。
従って、耐火パネル6はボルト8により取り外し可能な
構成となっている。そのため、免震装置3の定期点検時
には耐火パネル6を容易に取り外すことができ、点検作
業を容易に進めることができる。
【0050】前記耐火パネル6の上端部と上側の耐火ボ
ード24の下面及び耐火パネル6の下端部と下側の耐火
ボード24の上面との間には、図1〜図4の実施形態等
と同様、図10に拡大して示したように、前記耐火パネ
ル6の水平移動に対し支障がないようにそれぞれ隙間h
を開け、前記隙間hに発泡性耐火ガスケット9を設ける
(請求項6記載の発明)。前記発泡性耐火ガスケット9
は、耐火パネル6の上下の端部と耐火ボード24、24
の上面及び下面との隙間hの高さより若干低く形成する
(請求項7記載の発明)。したがって、耐火パネル6の
上下の端部にクリアランスを確保することができ、耐火
パネル6の水平移動の妨げにならない。そのため、前記
耐火パネル6は、図11に示すように、免震装置3の水
平変形に対し、上下の端部が耐火ボード24、24の上
面及び下面に沿ってスムーズに水平移動(追従移動)す
ることができる。
【0051】なお、本実施形態も、耐火パネル6及び発
泡性耐火ガスケット9は、仕上材として用いる(請求項
8記載の発明)。従って、中間階免震層の空間をいずれ
の用途に用いても意匠性に優れている。そのため、別途
仕上材を必要とせずコストの削減に寄与する。
【0052】以上に説明したように、本発明の耐火被覆
工法も、図1〜図4の実施形態と同様に、耐火パネル6
をボルト8により脱着可能としたので、免震装置3の定
期点検作業を容易に行うことができるほか、構成が簡易
であるため施工性も良い。しかも、意匠性に優れた耐火
パネル6を用いることにより、中間階免震層の空間をい
ずれの用途に用いても意匠性に優れている。そのため、
別途仕上材を必要とせずコストの削減に寄与する。
【0053】なお、第1〜第3の実施形態では、柱1、
2として角柱を用いているが、丸形でも良く、柱の形状
は特に限定されない。
【0054】また、第1〜第3の実施形態では、耐火パ
ネル6をけい酸カルシウム又は石膏ボードで構成してい
るが、前記けい酸カルシウム又は石膏ボードを2枚の鋼
板で挟んでサンドイッチ材として構成しても良い。その
場合、耐火パネル6の剛性を高めることができ、鋼製金
物5又は25に固定するときにボルト8の本数を削減す
ることができる。
【0055】更に、第1〜第3の実施形態では、耐火パ
ネルと耐火ボードとの隙間に発泡性耐火ガスケット9の
みを設けているが、ブチルゴム等の加熱発泡性ゴムを発
泡性耐火ガスケット9と併設しても良い。
【0056】
【本発明の奏する効果】請求項1〜9に記載した発明に
係る免震装置の耐火被覆工法は、耐火パネルを脱着可能
又は回転可能としたので、免震装置の定期点検作業を容
易に行うことができるほか、構成が簡単であるため施工
性も良い。しかも、意匠性に優れた耐火パネルを用いる
ことにより、中間階免震層の空間をいずれの用途に用い
ても意匠性に優れている。そのため、別途仕上材を必要
とせずコストの削減に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1及び請求項2、7、8に記載した発明
に係る免震装置の耐火被覆工法の実施形態を示した立面
図である。
【図2】図1のA−A矢視断面図である。
【図3】耐火パネルの周辺を示した拡大図である。
【図4】図1の水平変形時を示した立面図である。
【図5】請求項1及び請求項3並びに請求項7〜9に記
載した発明に係る免震装置の耐火被覆工法の実施形態を
示した立面図である。
【図6】図5のB−B矢視断面図である。
【図7】図5の水平変形時を示した立面図である。
【図8】請求項5〜8に記載した発明に係る免震装置の
耐火被覆工法の実施形態を示した立面図である。
【図9】図8のC−C矢視断面図である。
【図10】耐火パネルの周辺を示した拡大図である。
【図11】図8の水平変形時を示した立面図である。
【符号の説明】
1 上部柱 2 下部柱 3 免震装置 3a 積層ゴム 3b、3c フランジ 4、14、24 耐火ボード 5、25 鋼製金物 5a、15、25c コーナー金物 25a リング状の金物 25b アーム材 6 耐火パネル 7、8 ボルト 9、19 発泡性耐火ガスケット 10 ヒンジ機構 11 スプリング 12 保護材 h 隙間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 矢野 忠弘 東京都中央区銀座八丁目21番1号 株式会 社竹中工務店東京本店内 (72)発明者 遠藤 勝三 東京都中央区銀座八丁目21番1号 株式会 社竹中工務店東京本店内 (72)発明者 木林 長仁 東京都中央区銀座八丁目21番1号 株式会 社竹中工務店東京本店内 (72)発明者 八島 寛治 東京都中央区銀座八丁目21番1号 株式会 社竹中工務店東京本店内 Fターム(参考) 2E001 DE01 FA26 GA12 HF12 3J048 AA01 BA08 BA17 DA03 EA38

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】積層ゴムと、これを上部構造体及び下部構
    造体へ結合する上下のフランジとから成る免震装置の耐
    火被覆工法において、 上側又は下側のフランジの少なくとも一方を、前記免震
    装置の周辺部について耐火ボードで被覆し、前記フラン
    ジを固定するボルト又はナットの天端よりも若干高いレ
    ベルの平面を形成すること、 前記免震装置の外周を取り囲む配置で設けた耐火パネル
    の上下の端部の一方を構造体へ取付け、他方の端部は前
    記耐火ボードの平面に沿って移動可能に組立てることを
    特徴とする、免震装置の耐火被覆工法。
  2. 【請求項2】耐火パネルは、水平移動を許容するに足り
    る距離を積層ゴムから開け、前記耐火パネルの一方の端
    部は、上部又は下部構造体の一方へ固定した複数個の鋼
    製金物にボルトで固定し、この耐火パネルで積層ゴムの
    外周面を取り囲むこと、 前記耐火パネルの他端部と耐火ボードの間には、耐火パ
    ネルの水平移動を許容するに足る大きさの隙間を開け、
    前記隙間に発泡性耐火ガスケットを設けることを特徴と
    する、請求項1に記載した免震装置の耐火被覆工法。
  3. 【請求項3】耐火パネルにおいて、耐火ボードの平面に
    沿って移動する端部とは反対側の端部を、構造体へヒン
    ジ機構により回転可能に取り付けて、前記耐火パネルで
    積層ゴムの外周面を取り囲むこと、 耐火パネルにおいて耐火ボードの平面に沿って移動する
    端部と耐火ボードの間には、耐火パネルの水平移動を許
    容するに足りる大きさの隙間を開け、前記隙間に発泡性
    耐火ガスケットを設けること、 前記耐火パネルの内側面の四隅に位置するコーナー金物
    を、耐火パネルを回転可能に取り付けた構造体へ設け、
    該コーナー金物に隣接する二辺の耐火パネルはスプリン
    グにより連結し、隣接する耐火パネルの相対面する小口
    の少なくとも一方に発泡性耐火ガスケットを設けること
    を特徴とする、請求項1に記載した免震装置の耐火被覆
    工法。
  4. 【請求項4】耐火ボードは、フランジの周辺部のみを被
    覆することを特徴とする、請求項2又は3に記載した免
    震装置の耐火被覆工法。
  5. 【請求項5】積層ゴムと、これを上部構造体及び下部構
    造体へ結合する上下のフランジとから成る免震装置の耐
    火被覆工法において、 上側及び下側のフランジにおける前記免震装置の周辺部
    を耐火ボードで被覆し、前記フランジを固定するボルト
    又はナットの天端よりも若干高いレベルの平面を形成す
    ること、 前記免震装置の外周を取り囲む配置で設けた耐火パネル
    の上下の端部は、前記耐火ボードの平面に沿って移動可
    能に組立てることを特徴とする、免震装置の耐火被覆工
    法。
  6. 【請求項6】免震装置の積層ゴムの略中央の高さ位置に
    取り付けたリング状の金物と、前記リング状の金物に一
    端を取り付けて水平方向に配置した複数本のアーム材
    と、前記アーム材の他端に取り付けたコーナー金物とで
    構成した鋼製金物へ耐火パネルをボルトで固定し、前記
    耐火パネルで積層ゴムの外周面を取り囲むこと、 前記耐火パネルの上下の端部と耐火ボードの平面との間
    には、耐火パネルの水平移動を許容するに足りる大きさ
    の隙間を開け、前記隙間に発泡性耐火ガスケットを設け
    ることを特徴とする、請求項5に記載した免震装置の耐
    火被覆工法。
  7. 【請求項7】発泡性耐火ガスケットは、耐火パネルの端
    部と耐火ボードの平面との隙間の高さより若干低く形成
    していることを特徴とする、請求項2、3又は6のいず
    れか一に記載した免震装置の耐火被覆工法。
  8. 【請求項8】耐火パネル及び発泡性耐火ガスケットは、
    仕上材として用いることを特徴とする、請求項1〜7の
    いずれか一に記載した免震装置の耐火被覆工法。
  9. 【請求項9】積層ゴムと接触する耐火パネルの端部に
    は、弾力性のある保護材を設けることを特徴とする、請
    求項1又は請求項3、4、7、8のいずれか一に記載し
    た免震装置の耐火被覆工法。
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