JP2000320178A - 免震建築物における柱壁間の可動機構 - Google Patents

免震建築物における柱壁間の可動機構

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JP2000320178A JP13212899A JP13212899A JP2000320178A JP 2000320178 A JP2000320178 A JP 2000320178A JP 13212899 A JP13212899 A JP 13212899A JP 13212899 A JP13212899 A JP 13212899A JP 2000320178 A JP2000320178 A JP 2000320178A
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Muneo Kamoto
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 意匠性に優れるとともに、柱面を直線状に形
成して柱周りのスペースの有効活用が可能となり、かつ
地震発生時に壁の破壊を防ぐことが可能となるととも
に、さらに大地震の前後においても防火区画性能等を維
持することができる免震建築物における柱壁間の可動機
構を提供する。 【解決手段】 一端部が柱10に回動自在に連結され、
他端部が壁15に回動自在に連結された伸縮自在な形状
保持部材31と、この形状保持部材31に沿って設けら
れ、柱10と壁15との間を伸縮自在に塞ぐ耐火帯32
とを備えてなり、かつ、耐火帯32は、可撓性を有する
複数のU字状耐火材38が開口部を形状保持部材31に
向けて直列的に配設され、これらU字状耐火材38の隣
接する開口端部38a同士が互いに連結されるととも
に、両端部に位置するU字状耐火材38が柱10および
壁15または形状保持部材31の両端部にそれぞれ取付
けられることにより、形状保持部材31と一体的に伸縮
することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、中間階免震による
免震建物等において、地震発生時に相対変位する柱と壁
との間に介装されて地震前後における防火区画を維持す
る免震建築物における柱壁間の可動機構に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】近年、各種の建築物において、当該建築
物の基礎部分や中間階層等に、積層ゴム支承やすべり支
承系等による免震装置を介装することにより、地震等に
よって地盤から構造物に伝播しようとする振動を減衰さ
せて、構造物の躯体に生じる応力や変形を少なくする様
々な免震構造が開発されている。
【0003】ところで、このような免震建築物のうち、
中間階の柱の中間部に上記免震装置を介装した建築物に
おいては、地震発生時に、上記免震装置の弾性変形等に
よって当該免震装置の下部側の躯体と上部側の躯体とが
異なった変位動をする。このため、上記柱と壁とが交差
する場合に、この壁を一枚板によって形成し、免震装置
を間に挟む上下部の柱と接合すると、上記変位動によっ
て壁や、この壁と柱との接合部にクラックが発生して、
当該壁が損傷を被ることになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、従来この種の
中間階免震による免震建築物の免震装置設置柱と壁との
取合いは、例えば壁を、免震装置の設置位置を境として
水平方向にスリットを形成することにより上下に2分割
し、床側に固定された下部壁を同一の挙動をする柱下部
に接合し、天井側に固定された上部壁を同一挙動する柱
上部に接合することにより、地震時に免震装置の変形に
よって生じる上下階の変位差を上記スリットで吸収し、
かつ上下部壁が互いに干渉しないようにした壁構造が採
用されている。
【0005】しかしながら、上記従来の免震建築物にお
ける壁構造にあっては、壁の中間部にこれを分断する水
平方向のスリットが形成されているために、当該壁の仕
上げに連続性が損なわれて外観に劣るという欠点が有
る。このため、上記スリットを覆う仕上げ材を設けて意
匠性を確保しようとすると、地震時における上下部の相
対変位によって、当該仕上げ材が破損して、別途その補
修に手間を要するという問題点がある。また、特に上記
壁の面外方向の変位が生じた場合には、壁が、近傍に設
置された他の設備や家具等に衝突するという欠点もあ
る。
【0006】そこで、このような問題点を解決するため
に、図9に示すように、上下部柱1a、1b間に介装さ
れた免震装置2によって相対的に変位する上部柱1aと
壁3との取合い部の構造として、壁3を、床4およびこ
れと一体化された下部柱1bの補強用鋼管5bに固定
し、かつ天井6に対して相対変位自在に設けるととも
に、壁3の上部を切り欠いて上部柱1aの補強用鋼管5
aとの間に空間部7を形成し、この壁3の切り欠き縁部
に、下端部が下部の補強用鋼管5bと一体化され、かつ
上端部が天井6に対して相対変位自在とされた固定カバ
ー8を一体的に接合したものが提案されている。
【0007】上記構成からなる柱と壁との取合い部構造
によれば、地震が発生した際に、壁3および固定カバー
8は、これが固定されている床4および下部側の鋼管5
bと一体的に挙動し、他方免震装置2の上方に位置する
上部柱1aの補強用鋼管5aおよび天井6は、壁3と異
なった挙動を生じた場合においても、壁3と天井6とが
相対変位し、かつ免震装置2の上部側の補強用鋼管5a
が、これを囲繞する固定カバー8の空間部7内において
相対変位することにより、床4から天井6へ至るまでの
壁3の連続性を確保した上で、地震時に生じる上下部躯
体の相対変位を吸収して、壁3の損傷を防止することが
できるという利点がある。
【0008】しかしながら、上記従来の取合い部構造に
あっては、管状の固定カバー8が、柱1aの補強用鋼管
5aからさらに外方に突出することになるため、意匠性
に劣るとともに、柱周りのスペースの活用に制約が生じ
という欠点があり、特に大地震を想定した設計を行なっ
た場合には、対応して固定カバー8の径も大きくなるた
めに、上記短所が顕著になるという課題があった。
【0009】本発明は、上記従来の免震建築物における
壁構造が有する課題を有効に解決すべくなされたもの
で、意匠性に優れるとともに、柱面を直線状に形成して
柱周りのスペースの有効活用が可能となり、かつ地震発
生時に壁の破壊を防ぐことが可能となるとともに、さら
に大地震の前後においても防火区画性能等を維持するこ
とができる免震建築物における柱壁間の可動機構を提供
することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明
に係る免震建築物における柱壁間の可動機構は、柱に介
装された免震装置によって、相対的に変位する上記柱と
壁との間に介装される可動機構であって、一端部が上記
柱に回動自在に連結され、他端部が上記壁に回動自在に
連結された伸縮自在な形状保持部材と、この形状保持部
材に沿って設けられ、柱と壁との間を伸縮自在に塞ぐ耐
火帯とを備えてなり、かつ、上記耐火帯は、可撓性を有
する複数のU字状耐火材が開口部を上記形状保持部材に
向けて直列的に配設され、これらU字状耐火材の隣接す
る開口端部同士が互いに連結されるとともに、両端部に
位置する上記U字状耐火材が上記柱および壁または上記
形状保持部材の両端部にそれぞれ取付けられることによ
り、形状保持部材と一体的に伸縮することを特徴とする
ものである。
【0011】ここで、請求項2に記載の発明は、上記耐
火帯の少なくとも片面に、一端部が上記柱にヒンジを介
して回動自在に連結され、他端部が上記壁の側面に当接
して耐火帯を覆う可動パネルが設けられ、、かつ上記可
動パネルを上記壁側に向けて付勢する付勢手段が設けら
れていることを特徴とするものであり、さらに請求項3
に記載の発明は、上記可動パネルに、上記付勢手段の付
勢力に抗して、所定の角度以上に可動パネルが回動する
ことを阻止する係止手段が設けられていることを特徴と
するものである。
【0012】また、請求項4に記載の発明は、請求項1
または2に記載の発明において、相対的に変位する上記
耐火帯と床または天井との間には、耐火性を有する防火
ガスケットが介装されていることを特徴とするものであ
る。
【0013】請求項1〜4のいずれかに記載の発明にあ
っては、地震時に発生する壁の面内方向における柱の壁
との相対変位に対して、形状保持部材が伸縮するととも
に、これに付設された耐火帯も伸縮することにより当該
変位が吸収される。また、壁の面外方向における柱と壁
との相対変位に対しては、上記形状保持部材が柱および
壁に対して回動し、かつ上記変位に対応して伸縮すると
ともに、上記耐火帯もこれに追従することにより、当該
変位が吸収される。そして、地震後に壁がほぼ元位置ま
で復元した際にも、上記形状保持部材および耐火帯がこ
れに応じて伸縮および回動することにより、同様にほぼ
元位置まで復元する。
【0014】以上により、請求項1〜4のいずれかに記
載の発明によれば、地震時に相対変位する柱壁間に上記
可動機構を介装することにより、壁の中間部等に当該壁
を分断するスリットを形成する必要が無く、しかも上記
可動機構を壁と連続した平面内に収める事により、柱面
を直線状に形成することが可能になるために、意匠性に
優れるとともに、柱周りのスペースの有効活用が可能と
なる。加えて、上記可動機構が、地震時に発生する柱壁
間の相対変位に対応して、伸縮および回動することによ
り、柱壁間に生じる全方向の相対変位差を吸収すること
ができるために、壁の破壊を確実に防止することができ
る。さらに、上記耐火帯が柱と壁との間を覆っているた
めに、万一、大地震時に柱壁に残留歪みが生じて元位置
に復帰しなかった場合においても、大地震直後の防火区
画性能および遮音性能を地震前の状態に維持することが
できる。
【0015】また、請求項2に記載の発明によれば、耐
火帯の少なくとも片面に、当該耐火帯を覆う可動パネル
を、柱に回動自在に設けているので、地震発生時に柱と
壁とが相対変位すると、形状保持部材および耐火帯が、
可動パネル内において伸縮するとともに、上記形状保持
部材および耐火帯の回動に追従して、可動パネルも回動
する。そして、地震後においては、形状保持部材および
耐火帯の元位置復元に伴って、可動パネルも付勢手段に
よって元位置に復帰する。この結果、上記可動パネルに
よって、意匠性を高めることができるとともに、可動パ
ネルと耐火帯との協働によって、防火区画性能も向上さ
せることが可能になる。
【0016】この際に、請求項3に記載の発明において
は、可動パネルに係止手段を設けているので、付勢手段
の付勢力によって可動パネルが所定の角度以上に回動す
ることがなく、よって地震時に壁が柱に対して相対変位
動を行なう際に、当該壁と可動パネルとが干渉すること
が無い。さらに、請求項4に記載の発明によれば、相対
的に変位する耐火帯と床または天井との間に、耐火性を
有する防火ガスケットを介装しているので、地震前後に
おける防火区画性能および遮音性能をより一層高めるこ
とができる。
【0017】
【発明の実施の形態】図1〜図8は、本発明に係る可動
機構の一実施形態を示すものである。図1〜図3に示す
ように、この免震建築物は、中間階の柱10の中間部に
積層ゴム支承による免震装置11が介装されることによ
り、免震化が図られている。ここで、免震装置11が配
設されている階層の柱10の周囲には、補強用の鋼管1
2a、12bが設けられており、さらに免震装置11の
外周には耐火被覆13a、13bが施されている。そし
て、これら上下の耐火被覆13a、13b間に、全周に
わたってスリット14が形成されている。また、図中右
方に隣接する柱(図示を略す)にも、同様の免震装置が
介装されており、これら柱10間に、防火区画を画成す
る壁15が設けられている。
【0018】この壁15は、外周面に所望の耐火性能
(例えば、2時間耐火性能)を有する耐火材16が添設
されたもので、床17側に一体的に立設されるととも
に、その両側端部15aの下部が、免震装置11よりも
下部側の柱10の鋼管12bおよび耐火被覆13bに接
合されている。これにより、壁15は、免震装置11の
下部側の躯体と一体化されている。また、この壁15
は、その上端と天井18との間にセラミックファイバ1
9aの表面に、熱膨張性セラミックファイバ19bが一
体化された防火ガスケット19が介装されることによ
り、上部側の躯体に対して相対変位自在とされている。
そして、上記壁15は、その側端部15aの上部が所定
の長さ寸法切り欠かれている。
【0019】他方、図2に示すように、この切欠き部に
対向する柱10の外周には、角パイプからなる取付部材
21が接合されており、さらにこの取付部材21の両側
面には、耐火ボード22を挟むようにL字状の取付板2
3a、23bが、それぞれボルト24によって取付けら
れている。そして、柱10と壁15との間の上記切欠き
部との間に、可動機構30が設けられている。
【0020】この可動機構30は、形状保持部材31
と、耐火帯32と、可動パネル33とから概略構成され
たものである。上記形状保持部材31は、図8に示すよ
うに、複数枚のステンレス等の金属製帯板34を傾斜し
た格子状に組み合わせ、交差部をボルト35によって連
結することにより、伸縮自在のパンタグラフ状に組み立
てられたもので、図3に示すように、上記切欠き部内の
上下2個所に互いに平行に配設されている。そして、こ
れら形状保持部材31は、その一端部が、取付板23a
にヒンジ36を介して水平方向に回動自在に取付けら
れ、他端部が、壁15の切欠き部にヒンジ37を介して
水平方向に回動自在に取付けられている。
【0021】また、耐火帯32は、例えばセラミックフ
ァイバ等の耐火材をアルミニウム薄板で覆うことにより
構成された、壁15の耐火材16とほぼ同程度の耐火性
能を有し、かつ可撓性を有する複数(図では3つ)のU
字状耐火材38によって構成されている。そして、これ
らU字状耐火材38は、それぞれの開口部を形状保持部
材31側に向けて直列的に配設され、かつこれらU字状
耐火材38の隣接する開口端部38a同士がボルト39
によって互いに連結されて一体化されており、この結果
耐火帯23は、全体として上記切欠き部を覆う寸法の波
板状に形成されている。そして、この耐火帯32は、一
端部に位置するU字状耐火材38が、ボルト40によっ
て取付板23aに取付けられ、他端部に位置するU字状
耐火材38が、ボルト41によって壁15の切欠き部端
面に取付けられている。さらに、この耐火帯32は、隣
接するU字状耐火材38間に介装されたL字状の支持板
42を介して、形状保持部材31におけるパンタグラフ
の交差部に支承されている。これにより、耐火帯32
は、柱10と壁15とが相対変位して形状保持部材31
が伸縮すると、これと一体的に伸縮するようになってい
る。
【0022】他方、上記切欠き部の上部には、天井18
と壁15との間に設けられた防火ガスケット19が柱1
0まで延長して設けられており、他方当該切欠き部を形
成する壁15の水平縁部には、同様のセラミックファイ
バ43aの表面に、熱膨張性セラミックファイバ43b
が一体化された防火ガスケット43が固定されている。
そして、これら防火ガスケット19、43と摺動する耐
火帯32の上下縁部には、熱膨張性セラミックファイバ
44が取付けられている。
【0023】そして、上記形状保持部材31および耐火
帯32の両面側に、上記可動パネル33が配設されてい
る。この可動パネル33は、スチール、ステンレスある
いはアルミニウム等の金属からなる枠材33aの表面
に、スチール板33bが張設されたパネル材であり、そ
れぞれの柱側端部が取付板23a、23bにヒンジ46
を介して回動自在に連結されている。これら可動パネル
33は、その高さ寸法が壁15の切欠き部に対応した寸
法に設定され、かつその長さ寸法は、平常時の形状保持
部材31および耐火帯32の長さ寸法よりも、想定され
る大地震時における柱10と壁15との最大相対変位量
以上長くなるように設定されている。これにより、壁1
5の切欠き縁部は、可動パネル33間に挿入された状態
になっている。
【0024】ここで、可動パネル33の壁側端部に臨む
壁15の側面には、スチール等の金属板からなる係止部
材47が取付けられている。この係止部材47には、壁
15の端面側から内方に向けて漸次高さ寸法が増加する
傾斜面47aと、この傾斜面47aの頂部に位置する平
坦面47bとが形成されており、この平坦面47bに緩
衝用のゴム材48が貼設されている。そして、このゴム
材48に、上記可動パネル33の壁側端部が当接するよ
うになっている。
【0025】また、可動パネル33の柱側端部には、上
下方向4個所に当該可動パネル33を壁15側に向けて
付勢する復元スプリング(付勢手段)49が設けられて
いる。さらに、柱10の固定部材21に固定された取付
板23a、23bには、可動パネル33が壁15側へ一
定量回動した際に、パネル33の内方屈曲段部33cに
内方折り曲げ部50aが当接して、それ以上の回動を阻
止する係止板(係止手段)50が取付けられている。そ
して、これら可動パネル33の内面には、珪酸カルシウ
ム板や石膏ボード等からなる耐火板45が貼設されてい
る。なお、図中符号25は、上記取付板23a、23b
と耐火被覆13aおよび可動パネル33との間を塞ぐセ
ラミックファイバ等の耐火材、符号26は耐火シリコン
等からなるシール材、符号51は熱膨張性セラミックフ
ァイバ等からなるシール材である。
【0026】次に、図4〜図7に基づいて、以上の構成
からなる可動機構の作用について説明する。先ず、図4
および図5に示すように、地震時に発生する壁15の面
内方向における柱10の壁15との相対変位に対して
は、可動パネル33間においてパンタグラフ状の形状保
持部材31が伸縮するとともに、これに付設された耐火
帯32も伸縮することにより当該変位が吸収される。こ
の際に、可動パネル33は、上記復元スプリング49に
よって壁15側に付勢されているために、図4に示すよ
うに、壁15側面の係止部材47に当接した状態で、当
該可動パネル33間を壁15が進退することになる。と
ころが、図5に示すように、万一壁15が所定の変位量
以上柱10から離間する方向に変位した場合には、可動
パネル33が壁15の係止部材47から外れることにな
る。
【0027】この結果、可動パネル33は、復元スプリ
ング49の付勢力によってヒンジ46回りを互い接近す
る方向に回動しようとするが、可動パネル33の内方屈
曲段部33cが係止板50の内方折り曲げ部50aに当
接することにより、所定の角度以上の回動が阻止され
る。これにより、柱10と壁15との相対変位量が大き
な大地震時においても、壁15は、可動パネル33に干
渉すること無く可動パネル33間を相対変位するととも
に、再び壁15が柱10に接近する方向に変位した際に
は、係止部材47の傾斜面47aが可動パネル33の先
端部の案内板として機能する。
【0028】また、図6および図7に示すように、壁1
5の面外方向における柱10と壁15との相対変位に対
しては、形状保持部材31が柱10および壁15に対し
てヒンジ36、37回りに回動し、かつ上記変位に対応
して伸縮するとともに、これに連結された耐火帯32も
一体的に追従することにより、当該変位が吸収される。
そして、これらの図に示すように、大地震時に、壁15
が大きく変位して可動パネル33(図4中下方の可動パ
ネル33および図5中上方の可動パネル33)が壁15
から離間した場合においても、これら可動パネル33
は、その内方屈曲段部33cが係止板50の内方折り曲
げ部50aに係止されることにより、それ以上の回動が
阻止され、復帰する壁15との干渉が防止される。
【0029】そして、地震後に、壁15が元位置まで復
元すると、形状保持部材31、耐火帯32および可動パ
ネル33がこれに応じて伸縮および回動することによ
り、図2に示すように、同様に元位置まで復元する。こ
こで、大地震や巨大地震時のように、大きな地震力が躯
体に作用した場合には、当該地震後に、躯体に生じた残
留歪みによって壁15が完全に元位置まで復元しなくな
る。このような場合にも、復元した柱10および壁15
の相対位置に応じて、これらの間に可動機構30が収ま
り、かつ柱10および壁15間が耐火帯32によって区
画されているとともに、両者間にシール材51が介装さ
れているために、当該大地震直後の防火区画性能および
遮音性能を地震前の状態に維持することができる。
【0030】このように、上記構成からなる免震建物に
おける柱壁間の可動機構によれば、地震時に相対変位す
る柱10と壁15との間に上記可動機構30を介装する
ことにより、従来の構造のように壁15の中間部等に当
該壁を分断するスリットを形成する必要が無く、しかも
可動機構30を壁15と連続した平面内に収める事によ
り、柱面を直線状に形成することができるために、意匠
性に優れるとともに、柱10周りのスペースを有効に活
用することがができる。加えて、図4〜図7に示したよ
うに、可動機構30の形状保持部材31、耐火帯32お
よび可動パネル33が、地震時に発生する柱10と壁1
5との間の相対変位に対応して、適宜伸縮および回動す
ることにより、柱壁間に生じる面内外の全方向の相対変
位差を吸収することができるために、壁15の破壊を確
実に防止することができる。
【0031】さらに、地震に起因する火災は、当該地震
と同時に発生せずに地震後に発生するものであり、かつ
上述したように大地震後においても、柱10と壁15と
の間は耐火帯32および防火ガスケット19、43によ
って確実に覆われているために、さらに可動パネル33
の内面に耐火板45を設けているので、大地震直後の防
火区画性能を地震前の状態に維持することができ、かつ
平常時においても高い遮音性能を得ることができる。ま
た、耐火帯32の両面に、耐火帯32を覆う可動パネル
33を設けているので、これら可動パネル33によっ
て、壁15両面側における意匠性を高めることができる
とともに、可動パネル33と耐火帯32との協働によっ
て、防火区画性能も向上させることもできる。
【0032】さらに、上記可動機構30においては、可
動パネル33の柱10側端部に、内方屈曲段部33cを
形成し、かつ柱10側に、上記内方屈曲段部33cに臨
む位置に内方折り曲げ部50aが形成された係止板50
を取付けているので、大地震発生時に、壁15が所定の
変位量以上柱10から離間する方向に変位して、可動パ
ネル33が壁15の係止部材47から外れた場合におい
ても、復元スプリング49の付勢力によって可動パネル
33がヒンジ46回りを回動して、その内方屈曲段部3
3cが係止板50の内方折り曲げ部50aに当接するこ
とにより、それ以上の回動が阻止されるため、壁15が
可動パネル33の先端部に干渉することを確実に防止す
ることができる。
【0033】なお、上記実施の形態においては、耐火帯
32の両面に可動パネル33を設けた場合についてのみ
説明したが、これに限るものではなく、加熱側の片面側
のみでもよく、さらに必要とされない場合には、上記可
動パネル33を省略することも可能である。また、可動
機構30の上下部に位置する天井18の下面および壁1
5の切欠き部に、それぞれ防火ガスケット19、43を
設けているが、これに限定されるものではなく、耐火性
能上あるいは遮音性能上支障が無い場合には、これらの
防火ガスケット19、43についても、省略することが
可能である。さらに、柱10の周囲に補強用の鋼管12
a、12bを施工した場合に適用した場合についてのみ
説明したが、これに限定されるものではなく、上記鋼管
12a、12bを施工しない場合には、直接柱10に上
記可動機構30を接続することも可能である。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1〜4のい
ずれかに記載の免震建築物における柱壁間の可動機構に
よれば、地震時に相対変位する柱壁間に上記可動機構を
介装することにより、壁の中間部等に当該壁を分断する
スリットを形成する必要が無く、しかも上記可動機構を
壁と連続した平面内に収める事により、柱面を直線状に
形成することが可能になるために、意匠性に優れるとと
もに、柱周りのスペースの有効活用が可能となる。加え
て、上記可動機構が、地震時に発生する柱壁間の相対変
位に対応して、伸縮および回動することにより、柱壁間
に生じる全方向の相対変位差を吸収することができるた
めに、壁の破壊を確実に防止することができ、さらに耐
火帯が柱と壁との間を覆っているために、大地震直後の
防火区画性能および遮音性能を地震前の状態に維持する
ことができる。
【0035】特に、請求項2に記載の発明によれば、可
動パネルによって、意匠性を高めることができるととも
に、可動パネルと耐火帯との協働によって、防火区画性
能および遮音性も向上させることができ、また請求項3
に記載の発明によれば、付勢手段の付勢力によって可動
パネルが所定の角度以上に回動することがなく、よって
地震時に壁が柱に対して相対変位動を行なう際に、当該
壁と可動パネルとが干渉することが無い。さらに、請求
項4に記載の発明によれば、相対的に変位する耐火帯と
床または天井との間に介装した耐火性を有する防火ガス
ケットによって、地震前後における防火区画性能および
遮音性能をより一層高めることができるといった効果が
得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す正面図である。
【図2】図1のII−II線視断面図である。
【図3】図2のIII−III線視断面図である。
【図4】壁が柱側に変位した際の状態を示す図2相当図
である。
【図5】壁が柱から離間する方向に変位した際の状態を
示す図2相当図である。
【図6】壁がその面外の一方向に変位した際の状態を示
す図2相当図である。
【図7】壁がその面外の他方向に変位した際の状態を示
す図2相当図である。
【図8】図2の形状保持部材の構成を示す正面図であ
る。
【図9】従来の可動機構を示す縦断面図である。
【符号の説明】
10 柱 11 免震装置 15 壁 15a 壁の端部 17 床 18 天井 19、43 防火ガスケット 30 可動機構 31 形状保持部材 32 耐火帯 33 可動パネル 36、37、46 ヒンジ 38 U字状耐火材 38a U字状耐火材の上端部 49 復元スプリング(付勢手段) 50 係止板(係止手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 春田 義行 東京都新宿区西新宿一丁目25番1号 大成 建設株式会社内 (72)発明者 清水 貴裕 東京都新宿区西新宿一丁目25番1号 大成 建設株式会社内 (72)発明者 林 昌宏 大阪府大阪市淀川区三国本町三丁目9番39 号 株式会社日本アルミ内 (72)発明者 嘉本 宗夫 大阪府大阪市淀川区三国本町三丁目9番39 号 株式会社日本アルミ内 Fターム(参考) 2E001 DD01 DD05 DE01 DE03 DG02 DH31 DH35 EA01 FA02 FA03 FA11 FA14 GA33

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 柱に介装された免震装置によって、相対
    的に変位する上記柱と壁との間に介装される可動機構で
    あって、 一端部が上記柱に回動自在に連結され、他端部が上記壁
    に回動自在に連結された伸縮自在な形状保持部材と、こ
    の形状保持部材に沿って設けられ、上記柱と壁との間を
    伸縮自在に塞ぐ耐火帯とを備えてなり、 かつ、上記耐火帯は、可撓性を有する複数のU字状耐火
    材が開口部を上記形状保持部材に向けて直列的に配設さ
    れ、これらU字状耐火材の隣接する開口端部同士が互い
    に連結されるとともに、両端部に位置する上記U字状耐
    火材が上記柱および壁または上記形状保持部材の両端部
    にそれぞれ取付けられることにより、上記形状保持部材
    と一体的に伸縮することを特徴とする免震建築物におけ
    る柱壁間の可動機構。
  2. 【請求項2】 上記耐火帯の少なくとも片面に、一端部
    が上記柱にヒンジを介して回動自在に連結され、他端部
    が上記壁の側面に当接して上記耐火帯を覆う可動パネル
    が設けられ、かつ上記可動パネルを上記壁側に向けて付
    勢する付勢手段が設けられていることを特徴とする請求
    項1に記載の免震建築物における柱壁間の可動機構。
  3. 【請求項3】 上記可動パネルには、上記付勢手段の付
    勢力に抗して、所定の角度以上に上記可動パネルが回動
    することを阻止する係止手段が設けられていることを特
    徴とする請求項2に記載の免震建築物における柱壁間の
    可動機構。
  4. 【請求項4】 相対的に変位する上記耐火帯と床または
    天井との間には、耐火性を有する防火ガスケットが介装
    されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれ
    かに記載の免震建築物における柱壁間の可動機構。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN107605062A (zh) * 2017-09-14 2018-01-19 云南震安减震科技股份有限公司 一种用于建筑隔震橡胶支座的可动式防火保护装置
CN113322782A (zh) * 2021-05-31 2021-08-31 哈尔滨工业大学 一种内填橡胶的免焊形状记忆合金双管剪切耗能装置

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