JP2002154963A - 徐放性抗腫瘍剤 - Google Patents

徐放性抗腫瘍剤

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JP2002154963A
JP2002154963A JP2000346430A JP2000346430A JP2002154963A JP 2002154963 A JP2002154963 A JP 2002154963A JP 2000346430 A JP2000346430 A JP 2000346430A JP 2000346430 A JP2000346430 A JP 2000346430A JP 2002154963 A JP2002154963 A JP 2002154963A
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cpt
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antitumor agent
camptothecin
microspheres
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JP2000346430A
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English (en)
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Masaaki Machida
昌明 町田
Hiroshi Onishi
啓 大西
Akinobu Morikawa
明信 森川
Ryoji Machida
良治 町田
Akinobu Kurita
晃伸 栗田
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NAKAYAMAKAI HACHIOJI SHOKAKI B
NAKAYAMAKAI HACHIOJI SHOKAKI BYOIN
Yakult Honsha Co Ltd
Original Assignee
NAKAYAMAKAI HACHIOJI SHOKAKI B
NAKAYAMAKAI HACHIOJI SHOKAKI BYOIN
Yakult Honsha Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 カンプトテシン又はその誘導体を内包
し、ポリマーで形成されたマイクロスフェアを含有する
ことを特徴とする徐放性抗腫瘍剤。 【効果】 本発明のマイクロスフェアは、従来の注射製
剤と比較して、抗腫瘍効果が向上し、且つ効果が持続
し、注入部より離れた部位に有る腫瘍にも効果を発揮し
うる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カンプトテシン又
はその誘導体を含有する徐放性抗腫瘍剤に関する。
【0002】
【従来の技術】中国原産の喜樹(Camptotheca acuminat
a)の樹皮、根、果実、葉等から単離されたカンプトテ
シン(以下CPTと略記する)は、五環性のアルカロイ
ドであり、核酸合成を阻害することによって抗腫瘍活性
を示すことが知られている。また、毒性の低減、効果の
増強等を目的とした9−アミノメチル−10−ヒドロキ
シカンプトテシン、7−エチルカンプトテシン、7−エ
チル−10−ヒドロキシカンプトテシン等で代表される
各種誘導体も報告されており、肺癌、消化器癌、卵巣
癌、子宮癌、乳癌、肝癌、頭頚部癌、血液癌、腎癌、睾
丸腫瘍等の治療に用いられている。CPTの水溶性半合
成誘導体である7−エチル−10−[4−(1−ピペリ
ジノ)−1−ピペリジノ]カルボニルオキシカンプトテ
シン(以下CPT−11と略記する)も同様に多種の腫
瘍に対して抗腫瘍作用を有し、かつCPTに比べ毒性が
軽減された化合物として知られている。また、CPT−
11は生体内で代謝され、DNAトポイソメラーゼIを
強く阻害する7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテ
シン(以下SN−38と略記する)となって、活性が現
れるとされている。また、CPT−11の抗腫瘍作用は
SN−38濃度に決定的に依存しているとされ、例えば
L1210細胞に対するSN−38のED50値は1ng
/ml前後であり、血漿中のSN−38濃度をED50
よりも高く維持することが良好な有効性を得るために重
要であると報告されている(N.Kaneda等,Cancer Re
s.,50,1715-1720(1990)、Y.Kawato等,Cancer Res.,
51,4187-4191(1991)、K.Okada等,Antibiot. Chemothe
r.,9,221-228(1993))。
【0003】一方、カンプトテシン誘導体の徐放性製剤
に関する報告としては、例えば乳酸−グリコール酸共重
合体よりなるマトリックスに担持させた徐放性薬剤が開
示されている(特開平10−017472号公報)。し
かしながら、この方法により製造し得るのは錠剤であ
り、経口投与や皮下投与等の使用形態には適しているも
のの、肺内投与用肺癌治療剤のような吸入粉剤、又は注
射剤のような剤形には難い等、その使用方法には制限が
あった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、カンプトテシン又はその誘導体の局所、或いは血中
濃度を長期間にわたり有効域に保つ事が出来、且ついか
なる剤形にも対応しうる徐放性製剤を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】かかる事情を鑑み鋭意研
究した結果、本発明者は、カンプトテシン又はその誘導
体をポリマーで形成されたマクロスフェア中に内包せし
めれば、カンプトテシン誘導体の局所、及び血中濃度が
長期間にわたり有効域に保たれ、持続的な抗腫瘍効果を
発現する徐放性抗腫瘍剤が得られることを見出し、本発
明を完成した。すなわち、本発明は、カンプトテシン又
はその誘導体を内包し、ポリマーで形成されたマイクロ
スフェアを含有することを特徴とする徐放性抗腫瘍剤を
提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明におけるカンプトテシン又
はカンプトテシン誘導体としては、天然のカンプトテシ
ン、天然由来のカンプトテシン誘導体(10−ヒドロキ
シカンプトテシン、11−ヒドロキシカンプトテシン、
9−メトキシカンプトテシン、10−メトキシカンプト
テシン、11−メトキシカンプトテシン等)、及び全合
成法で得られたカンプトテシン及びカンプトテシン誘導
体(特開平1−186892号公報、特開平1−279
891号公報)などが挙げられる。また、天然のカンプ
トテシン等を原料に用いて化学修飾して得られる、半合
成法によるカンプトテシン誘導体等も挙げられる。
【0007】半合成法によるカンプトシン誘導体として
は、7−ヒドロキシメチル体及びその誘導体(特公昭6
2−42911号公報及び特公昭62−42913号公
報)、7−アルデヒド体及びその誘導体(特公昭62−
47191号公報、特公昭62−47192号公報及び
特公昭62−47189号公報)、7−エチルカンプト
テシン、7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシ
ン、7−エチル−10−[4−(1−ピペリジノ)−1
−ピペリジノ]カルボニルオキシカンプトテシンなどの
7−アルキル体(特公昭62−42914号公報)、7
−カルボン酸誘導体(特開昭58−154582号公
報)、5−ヒドロキシ体及びその誘導体(特公昭62−
42912号公報、特開昭56−12394号公報、特
公昭63−6072号公報)、カンプトテシンのA環の
9位、10位、11位及び12位にニトロ基、アミノ
基、ハロゲン基などの種々の置換基を有する誘導体(特
公昭62−47193号公報、特公昭63−6070号
公報、特公平3−10630号公報、特公平3−120
70号公報、特公平4−34999号公報)が挙げられ
る。更に、カンプトテシン誘導体を水溶性型のプロドラ
ッグタイプのものとした誘導体群、例えば、A環にアミ
ノカルボニロキシ基を有するもの(特公平3−6800
7号公報)、A環のヒドロキシル基をリン酸エステル、
硫酸エステル、グリコシドとしたもの(特公平5−69
112号公報、特開昭62−195384号公報、特開
昭63−238098号公報)、また、20位水酸基に
各種可溶化基を結合させたもの(特公平5−69111
号公報、特開平1−249777号公報)、E環ラクト
ン環開環型の可溶化誘導体(特開平1−131179号
公報)などが挙げられる。
【0008】また、カンプトテシン誘導体には、上記カ
ンプトテシン又はカンプトテシン誘導体の塩も含まれ
る。当該塩としてはアルカリ金属塩、有機酸塩、無機酸
塩等が挙げられ、具体的にはカンプトテシンナトリウム
塩、塩酸イリノテカンが挙げられる。
【0009】本発明に使用されるカンプトテシン又はそ
の誘導体の量は、標的となる腫瘍に有効で且つ白血球減
少などの重篤な副作用を招かない濃度であればよく、各
々の活性又は目的に合わせて適宜決定すればよい。例え
ば、塩酸イリノテカンであれば1回の投与量は、体重あ
たり10〜200mg/kg、特に50〜100mg/
kgが好ましい。
【0010】本発明のマイクロスフェアを形成するポリ
マーとしては、マイクロスフェアを形成することにより
徐放性機能を発揮するポリマーであれば、いずれも好適
に使用する事ができ、例えばポリ乳酸、乳酸−グリコー
ル酸共重合体、ポリグリコール酸、アルブミン、ゼラチ
ン、コラーゲン等の生分解性を有する高分子類を挙げる
ことができるが、このうち特にポリ乳酸、乳酸−グリコ
ール酸共重合体が好ましい。乳酸−グリコール酸共重合
体における乳酸とグリコール酸の重合比は10:1〜
1:10が好ましい。ここで乳酸としてはD−乳酸、L
−乳酸、D,L−乳酸のいずれも使用できるが、D,L
−乳酸が特に好ましい。
【0011】用いるポリマーの重量平均分子量は5,0
00〜20,000であるのが、徐放性の点から特に好
ましい。
【0012】本発明で用いられるマイクロスフェアとし
ては、通常の方法で製造したものであれば良い。このよ
うな製造方法としては例えば、クロロホルム等の有機溶
媒にカンプトテシン又はその誘導体とポリマーを任意の
配合比で溶解した後、その溶解液をゼラチン水溶液中に
攪拌しながら滴下する。得られた乳濁液を減圧下で加熱
攪拌した後、遠心分離によって得られたマイクロスフェ
アを回収し、乾燥して用いればよい。なお、特開平10
−017472号には、カンプトテシン誘導体と乳酸−
グリコール酸共重合体とをジクロロメタンに溶解後、乾
固せしめ粉末化する方法が記載されているが、かかる手
段ではマイクロスフェアは形成されない。
【0013】本発明で使用されるポリマーの量として
は、剤形や用いる基剤等によって適宜調製すればよい
が、例えばカンプトテシン又はその誘導体に対して20
重量倍以下であればよく、特に3〜7重量倍投入するの
が好ましい。
【0014】本発明のマイクロスフェアは、目的とする
剤形によっても異なるが、200μmよりも小さい粒径
であることが好ましく、より好ましくは2〜70μm、
特に10〜30μmであることが好ましい。剤形ごとに
考えた場合、例えば腫瘍の栄養血管に投与する塞栓療法
の場合は50〜70μm程度、皮下投与用製剤としては
20〜50μm、エアゾール剤或いは吸入粉剤としては
2〜5μmが好ましい。
【0015】かかるマイクロスフェアには、このほかに
分散補助剤、賦形剤等の製薬的に不活性な担体を用いて
もよく、ガス等の噴射剤、推進剤と混合して用いること
もできる。このような担体としては、例えば、マンニト
ール、乳糖、デキストランなどの水溶性の単糖類、オリ
ゴ糖類及び多糖類;例えばヒドロキシプロピルセルロー
ス、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセル
ロース等のゲル形成性又は水溶性のセルロース類;例え
ば結晶性セルロース、α―セルロース、架橋カルボキシ
メチルセルロースナトリウム、及びそれらの誘導体など
の水吸収性でかつ水難溶性のセルロース類;例えばヒド
ロキシプロピル澱粉、カルボキシメチル澱粉、架橋澱
粉、アミロース、アミロペクチン、ペクチン及びそれら
の誘導体などの水吸収性でかつ水難溶性の多糖類;例え
ばアラビアガム、トラガントガム、グリコマンナン及び
それらの誘導体などの水吸収性でかつ水難溶性のガム
類;例えばポリビニルピロリドン、架橋ポリアクリル酸
及びその塩、架橋ポリビニルアルコール、ポリヒドロキ
シエチルメタクリレート及びそれらの誘導体などの架橋
ビニル重合体類;リン脂質、コレステロール等のリポソ
ーム等分子集合体を形成する脂質類糖を挙げることがで
きる。
【0016】噴射剤、推進剤としては、例えばクロロフ
ルオロカーボン類、ハイドロフルオロカーボン類、ハイ
ドロカーボン類、ジメチルエーテル、窒素ガスなどを挙
げることができる
【0017】本発明のマイクロスフェアは、吸入粉剤、
吸入液剤、エアゾール剤、液剤、カプセル剤、懸濁剤、
乳剤、シロップ剤、エリキシル剤、顆粒剤、丸剤、錠
剤、トローチ剤、リモナーデ剤等の内服、又は注射剤等
の剤形で使用することができる。
【0018】
【実施例】以下に実施例をもって本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0019】実施例1(マイクロスフェアの調製) カンプトテシン誘導体としては塩酸イリノテカン(7−
エチル−10−[4−(1−ピペリジノ)−1−ピペリ
ジノ]カルボニルオキシカンプトテシン塩酸塩;(株)
ヤクルト本社製)を、ポリマーとしては、(D,L−乳
酸−グリコール酸)のコポリマー(3:1、mol/m
ol)、(D,L−乳酸−グリコール酸)のコポリマー
(1:1、mol/mol)、及びポリ−D,L−乳酸
(いずれも分子量10,000;和光純薬(株)製)を
用いた。
【0020】塩酸イリノテカン(以下CPT−11と略
記する)をpH8.5の弱アルカリ性水溶液に懸濁し、
クロロホルムで抽出した後に、溶媒を蒸発させて凝固さ
せた。このCPT−11(300mg)とポリマー(1
200mg)をクロロホルム(30ml)に溶解した
後、その溶解液を2%(w/v)ゼラチン水溶液中に6
00rpmで攪拌しながら滴下した。その結果得られた
乳濁液を45℃まで徐々に加熱し、アスピレーターを用
い減圧下で攪拌した。形成したマイクロスフェアは30
00rpm、10分間の遠心分離により回収した。マイ
クロスフェアは十分量の水を用いた3000rpm、1
0分間の遠心分離により3回繰り返し洗浄した。洗浄し
たマイクロスフェアはシリカゲルを入れたデシケーター
内で室温乾燥した。ポリ−D,L−乳酸、(D,L−乳
酸−グリコール酸)のコポリマー(1:1、mol/m
ol)、及び(D,L−乳酸−グリコール酸)のコポリ
マー(3:1、mol/mol)を用いて調製したCP
T−11を含むマイクロスフェアを、以後それぞれM0
010、M5010、M7510と略記する。
【0021】実施例2(薬物含量、粒子サイズ、形状) 得られたマイクロスフェアの薬物含量、粒子サイズ、及
び形状について測定した。すなわち、一定量のマイクロ
スフェアをクロロホルム中に溶解した後、HITACH
I 22A分光光度計(日立製作所(株)製)を用いた
365nmの吸光光度法により薬物含量を測定した。一
方、粒子径と形状の測定には以下の方法を用いた。すな
わち、約200Åの膜厚で金をコーティングした後に、
JEOLJSM−T200走査電子顕微鏡(日本電子
(株)製)を用いて測定した。
【0022】測定の結果、得られたマイクロスフェアの
平均粒子径は約10μmであり、変動領域は5〜40μ
mであった。また、マイクロスフェアの形状は、ほぼ球
状であった。M0010、M5010、及びM7510
の薬物含量は、各々7.2、7.5、及び7.2%(w
/v)であり、HPLCの分析により、各マイクロスフ
ェアに含有されているCPT−11は、ラクトン型とし
て存在していることがわかった。
【0023】実施例3(薬物放出特性) マイクロスフェアの薬物放出は、10mgのマイクロス
フェアを25mlの1/15Mリン酸緩衝液(pH7.
5)に懸濁し、37℃で1分間に60回往復振盪するこ
とにより調べた。適時溶液1mlを採取し、3000r
pm、10分間遠心分離した後に上清を上述の緩衝液で
希釈し、365nmの分光分析により放出されたCPT
−11量を定量した。また、遠心分離後のペレットには
1mlの新鮮な緩衝液を加え、その混合物を上述の反応
溶液に戻した。測定結果を図1〜図3に示す。図中のC
PT−11放出率(%)は、平均±SD(n=3)であ
る。
【0024】その結果、図1〜図3に示したように、放
出速度はM5010が最も早く、ついでM7510、M
0010の順であった。M5010、及びM7510は
放出実験開始後4日間でCPT−11をそれぞれ65
%、及び40%(w/v)放出した。一方、M0010
の放出は緩慢で、放出実験開始後4日間で6%(w/
v)放出した。
【0025】実施例4(薬物動態) (4.1.試料の投与、及び採血方法)実験動物として
は雄Wistarラット(7週齢、Tokyo Laboratory A
nimalScience製)を用いた。麻酔はラットの体重1kg
に対し0.9gとなるようにウレタンを含む生理食塩液
4mlを腹腔内投与して行い、飼料及び水を投与せずに
背部を固定し、8時間後まで採血を行い、その後は固定
せずに飼料及び水を自由摂取させ、採血は浅麻酔下で行
った。CPT−11溶液は、体重1kgあたり10mg
/mlの用量で頚静脈内、或いは腹腔内に投与した。ま
た、CPT−11を含むマイクロスフェアは体重1kg
あたり50mg/mlに相当するCPT−11用量で、
以下の手順で腹腔内投与した。すなわち、腹部の皮膚を
約5mm切開して開腹した後、腹腔内へマイクロスフェ
アを注入し、切開部分を縫合した。採血はヘパリン処理
したシリンジを用いて行い、得られた血液を15,00
0rpm、30秒間遠心分離した。得られた血漿のうち
0.1mlを試験管に移し、等量の0.15Mリン酸水
溶液を加えて激しくボルテックス攪拌して、分析用試料
とした。
【0026】(4.2.HPLC分析)上述の分析用試
料に、内部標準として既知濃度のCPT−11を含む同
用量の0.15Mリン酸水溶液を加えた。その混合液を
HPLCシステムと連結した自動化固相抽出システム(Pros
pekt; Spark Holland, Emmen, The Netherlands)のカ
ートリッジ−C18 analytichemに注入した。カートリ
ッジを10 mMのりん酸で洗浄した後、カートリッジ中の
化合物CPT−11、SN−38、SN−38のグルク
ロニド(以下SN−38Gと略す)を移動層を満たした
分析用カラム中へ直接溶出させ、Waters 470
走査型蛍光検出器(Waters社製)を用いて測定し
た。分析用カラムとしては、Waters製対称型C18
カラム P/N 45905(内径4.6mm×150
mm)とWaters製対称型C18ガードカラム P/
N 54225(内径3.9mm×20mm)を連結
し、Waters製カラムヒーターを用いて50℃に保
温して用いた。移動相は4mMの1−デカンスルホン酸
ナトリウムを含む50mM KH2PO4‐H3PO4緩衝
液(pH3.5)とアセトニトリルの混液(7:3,v
/v)を用いた。流速は1.5ml/分とした。CPT
−11とSN−38Gは励起波長373nm、検出波長
428nmで蛍光定量的に検出した。SN−38は励起
波長380nm、検出波長540nmで同様に検出し
た。得られた結果を図4〜図8に示す。図4及び図5は
薬物溶液を直接投与した場合、図6〜図8はCPT−1
1を内包したマイクロスフェアを投与した場合である。
図中の血漿中濃度は平均±S.Eである(n=3〜
5)。
【0027】図4に示したように、CPT−11を静注
した場合、CPT−11及びSN−38G濃度はSN−
38よりも高かった。SN−38Gの濃度が高かったこ
とは、SN−38のグルクロン酸抱合が急速であること
を示している。SN−38G濃度は、投与後24時間を
超えるとCPT−11及びSN−38よりも高かった。
図5から、CPT−11の腹腔内投与30分後にCPT
−11及びSN−38Gは最大濃度に達し、このピーク
の後にこれらの血漿濃度は静注の場合と同様に低下し
た。このことは注入部位から血液循環へCPT−11が
迅速に移動することを示している。腹腔内投与15分後
のSN−38濃度はSN−38G濃度よりもわずかに高
かったが、それ以後は逆転した。腹腔内投与24時間以
後のSN−38G濃度はCPT−11やSN−38の濃
度よりも高かったが、これは静注の場合と同様であっ
た。
【0028】一方、図6〜図8に示したように、マイク
ロスフェアを腹腔内投与した場合、投与24時間後の血
漿中CPT−11濃度は、M5010が最も高く、次い
でM7510,M0010の順に高かった。また、M5
010は投与後24時間以後、CPT−11溶液を静注
あるいは腹腔内注射した場合よりも高いCPT−11濃
度を示した。M7510は投与48時間後及び72時間
後に、CPT−11溶液を静注した場合よりも高いCP
T−11濃度を示した。一方、M0010は投与72時
間後にCPT−11溶液を静注した場合よりも高いCP
T−11濃度を示す傾向があったが、一方で投与24時
間後にCPT−11溶液を腹腔内注射した場合よりもC
PT−11濃度が低くなる傾向があった。血漿中SN−
38濃度は、投与48時間後にはM5010及びM75
10はCPT−11溶液を静注した場合よりも高い濃度
を示した。一方、M0010の投与では投与24時間後
にはSN−38濃度は検出不能となった。また、いずれ
のマイクロスフェアも、投与後の血漿中SN−38G濃
度は一定であった。しかしながらCPT−11溶液の静
注、あるいは腹腔注射した場合と比べると、すべてのミ
クロスフェアで投与24時間後まではSN−38G濃度
は有意に低かったが、48時間以降はSN−38G濃度
は同等であった。M5010とM7510に関しては、
SN−38濃度とSN−38G濃度の比は投与24時間
後には1/10〜1/20程度に維持されていた。以上
の結果は、いずれのマイクロスフェアも、血液循環中に
CPT−11を連続的に供給できることを示している。
特にM5010、及びM7510は、抗腫瘍活性を示す
SM−38を高い濃度で連続的に供給できることを示し
ている。
【0029】
【発明の効果】本発明のマイクロスフェアは、従来の注
射製剤と比較して、抗腫瘍効果が向上し、且つ効果が持
続し、注入部より離れた部位に有る腫瘍にも効果を発揮
しうる。また肺癌治療剤としての吸入粉剤や吸入液剤、
エアゾール剤、液剤、カプセル剤、懸濁剤、乳剤、シロ
ップ剤、エリキシル剤、顆粒剤、丸剤、錠剤、トローチ
剤、リモナーデ剤等の内服、又は注射剤等様々な剤形に
応用することができ、本発明のマイクロスフェアを使用
することで、治療法により適した効果的な抗腫瘍剤を提
供することことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インビトロにおけるマイクロスフェアM501
0からのCPT−11の放出特性を示す図である。
【図2】インビトロにおけるマイクロスフェアM751
0からのCPT−11の放出特性を示す図である。
【図3】インビトロにおけるマイクロスフェアM001
0からのCPT−11の放出特性を示す図である。
【図4】CPT−11溶液(黒丸)、SN−38溶液
(黒三角)及びSN−38G溶液(黒四角)を10mg
/kg静脈内投与した時の血漿中濃度変化を示す図であ
る[a:p<0.001(対SN−38)、b:p<
0.01(対SN−38)、c:p<0.001(対C
PT−11及びSN−38)、d:p<0.05(対C
PT−11及びSN−38)]。
【図5】CPT−11溶液(黒丸)、SN−38溶液
(黒三角)及びSN−38G溶液(黒四角)を10mg
/kg腹腔内投与した時の血漿中濃度変化を示す図であ
る[b:p<0.01(対SN−38)、e:p<0.
05(対SN−38)]。
【図6】CPT−11を内包するマイクロスフェアM5
010(黒丸)、M7510(黒四角)又はM0010
(黒三角)を腹腔内投与した時、及びCPT−11溶液
を静脈内投与(白丸)又は腹腔内投与(白三角)した時
のCPT−11の血漿中濃度変化を示す図である[a:
p<0.05(対M7510、M0010及びCPT−
11溶液(i.v.)及びCPT−11溶液(i.p.))、
b:p<0.01(対M0010)、c:p<0.05
(対M0010及びCPT−11溶液(i.v.))、d:
p<0.01(対CPT−11溶液(i.v.)及びCPT
−11溶液(i.p.))、e:p<0.05(対CPT−
11溶液(i.v.)及びM0010)]。
【図7】CPT−11を内包するマイクロスフェアM5
010(黒丸)、M7510(黒四角)又はM0010
(黒三角)を腹腔内投与した時、及びCPT−11を静
脈内投与(白丸)又は腹腔内投与(白三角)した時のS
N−38の血漿中濃度変化を示す図である[a:p<
0.05(対CPT溶液(i.v.))、b:p<0.05
(対CPT−11溶液(i.v.))、c:p<0.05
(対CPT−11溶液(i.p.))]。
【図8】CPT−11を内包するマイクロスフェアM5
010(黒丸)、M7510(黒四角)又はM0010
(黒三角)を腹腔内投与した時、及びCPT−11を静
脈内投与(白丸)又は腹腔内投与(白三角)した時のS
N−38Gの血漿中濃度変化を示す図である[a:p<
0.01(対全マイクロスフェア)、b:p<0.05
(対M5010)、c:p<0.05(対M751
0)]。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 町田 昌明 埼玉県浦和市太田窪4−17−22−309 (72)発明者 大西 啓 東京都葛飾区東四ツ木4−2−3 シイナ シティハイツB103号 (72)発明者 森川 明信 神奈川県藤沢市鵠沼松が岡1−22−12 (72)発明者 町田 良治 神奈川県鎌倉市岡本1241−4 鎌倉ロジュ マンC−401 (72)発明者 栗田 晃伸 東京都港区東新橋1−1−19 株式会社ヤ クルト本社内 Fターム(参考) 4C076 AA29 CC27 EE24 EE42 FF31 4C086 AA02 CB22 MA02 MA05 MA43 NA12 ZB26

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カンプトテシン又はその誘導体を内包
    し、ポリマーで形成されたマイクロスフェアを含有する
    ことを特徴とする徐放性抗腫瘍剤。
  2. 【請求項2】 ポリマーが、ポリ乳酸、又は乳酸−グリ
    コール酸コポリマーである請求項1記載の徐放性抗腫瘍
    剤。
  3. 【請求項3】 ポリマーの平均分子量が5,000〜2
    0,000である請求項1又は2記載の徐放性抗腫瘍
    剤。
  4. 【請求項4】 マイクロスフェアの粒子径が2〜70μ
    mである請求項1〜3のいずれか1項記載の徐放性抗腫
    瘍剤。
  5. 【請求項5】 カンプトテシン誘導体が、7−エチル−
    10−[4−(1−ピペリジノ)−1−ピペリジノ]カ
    ルボニルオキシカンプトテシンである請求項1〜4のい
    ずれか1項記載の徐放性抗腫瘍剤。
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