JP2002153291A - 新規酵素イソニトリルヒドラターゼ - Google Patents

新規酵素イソニトリルヒドラターゼ

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JP2002153291A
JP2002153291A JP2001058812A JP2001058812A JP2002153291A JP 2002153291 A JP2002153291 A JP 2002153291A JP 2001058812 A JP2001058812 A JP 2001058812A JP 2001058812 A JP2001058812 A JP 2001058812A JP 2002153291 A JP2002153291 A JP 2002153291A
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isonitrile
hydratase
enzyme
compound
protein
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JP2001058812A
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Tatsuhiko Kobayashi
達彦 小林
Akira Shimizu
昌 清水
Yoshiteru Hashimoto
義輝 橋本
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 新規酵素イソニトリルヒドロラーゼの提供。 【解決手段】 シュードモナス(Pseudomonas)属に属
する細菌をイソニトリル化合物を含有する培地に培養
し、培養物から酵素イソニトリルヒドラターゼを採取す
ることを特徴とする該酵素の製造方法。及び該酵素をコ
ードするポリヌクレオチドをクローン化し、宿主へ導入
・発現させ、該酵素を製造する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規酵素イソニト
リルヒドラターゼ、該酵素を含有する微生物、該酵素の
製造方法及び該酵素を触媒として用いるイソニトリル化
合物からのN置換ホルムアミドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】微生物によるニトリル化合物の変換反応
を触媒する酵素としては、ニトリルをアミドに変換する
ニトリルヒドラターゼ、生じたアミドをカルボン酸とア
ンモニアとに変換するアミダーゼ、ニトリルを直接、酸
とアンモニアとに変換するニトリラーゼなどが知られて
いる。これらの酵素は様々な微生物や植物から見出され
ており、酵素化学的な解析や遺伝子レベルでの分析も盛
んに行われ、多くの知見が得られている。しかし、ニト
リルの異性体であるイソニトリル(イソシアニドともい
う)化合物の変換反応を触媒する酵素は知られていな
い。
【0003】ところで、N置換ホルムアミドは、化学工
業において使用される極めて重要な化合物である。例え
ば、N-シクロヘキシルホルムアミドは、頭髪の染色にお
ける染色促進剤として、さらに繊維染色用インクのイン
ク乾燥防止剤としての有用性が示されている[特開平5-2
79233号、特許第2841019号]。N置換ホルムアミドは、
その化学構造からも明らかなように、イソニトリルに水
が一分子付加した構造を有する。従って、イソニトリル
化合物に水を一分子付加する反応を触媒する酵素は産業
上有用であるが、現在までにそのような変換反応を触媒
する酵素は知られていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、イソニトリ
ル化合物のN置換ホルムアミドへの水和反応を触媒する
新規酵素イソニトリルヒドラターゼ、該酵素を含有する
微生物、該酵素の製造方法及び該酵素を触媒として用い
るイソニトリル化合物からのN置換ホルムアミドの製造
方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意研究を行った結果、イソニトリル化
合物の一つシクロヘキシルイソシアニドを分解する活性
を有する微生物をスクリーニングし、該微生物から新規
酵素イソニトリルヒドラターゼを単離精製し、さらには
該酵素をコードする遺伝子をクローニングすることに成
功し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明
は、イソニトリル化合物のN置換ホルムアミドへの水和
反応を触媒する酵素イソニトリルヒドラターゼである。
【0006】さらに、本発明は、以下の酵素学的性質を
有する酵素イソニトリルヒドラターゼである。 (1) 作用:イソニトリル化合物のN置換ホルムアミドへ
の水和反応を触媒する、 (2) 基質特異性:シクロヘキシルイソシアニド、ベンジ
ルイソシアニド、イソシアノ酢酸メチル、イソシアノ酢
酸エチル及びイソシアノメチルリン酸ジエチルエステル
に対する活性を有する、 (3) 至適pH:6.0〜6.5、 (4) 至適温度:35℃、 (5) 分子量:約58,000(ゲル濾過法による) (6) 金属イオンの影響:Cd2+、Hg2+、Cu2+、Ag+、Co2+
及びNi2+で阻害される、 (7) SH基修飾試薬の影響:ヨード酢酸、N-エチルマレイ
ミド及びp-クロロメルクリ安息香酸で阻害される、 (6) キレート剤の影響:EDTA、8-ヒドロキシキノリン、
o-フェナントロリン、及びα,α’-ジピリジルで阻害さ
れない、 (7) 還元剤の影響:ジチオトレイトール、2-メルカプト
エタノール及び亜ジチオン酸ナトリウムで阻害されな
い。
【0007】さらに、本発明は、シュードモナス属に属
し、酵素イソニトリルヒドラターゼ生産能を有する微生
物(例えば、シュードモナス・プチダ、シュードモナス
・フルオレッセンス等)をイソニトリル化合物(例え
ば、シクロヘキシルイソシアニド、イソシアノ酢酸メチ
ル、イソシアノ酢酸エチル、イソシアノメチルリン酸ジ
エチルエステル等)を含有する培地に培養し、培養物か
ら酵素イソニトリルヒドラターゼを採取することを特徴
とする該酵素の製造方法である。
【0008】さらに、本発明は、酵素イソニトリルヒド
ラターゼ又は該酵素を含有するシュードモナス属に属す
る微生物(例えば、シュードモナス・プチダ、シュード
モナス・フルオレッセンス等)をイソニトリル化合物
(例えば、シクロヘキシルイソシアニド)に接触させ
て、該イソニトリル化合物をN置換ホルムアミドに変換
(例えば、N-シクロヘキシルホルムアミド)することを
特徴とするイソニトリルからのN置換ホルムアミドの製
造方法である。
【0009】さらに、本発明は、酵素イソニトリルヒド
ラターゼ生産能を有するシュードモナス・プチダFERM P
-18010又はシュードモナス・フルオレッセンスFERM P-1
8011である。さらに、本発明は、以下の(a)又は(b)のタ
ンパク質である。 (a) 配列番号2で表されるアミノ酸配列を含むタンパク
質 (b) 配列番号2で表されるアミノ酸配列において、1若
しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加された
アミノ酸配列からなり、かつイソニトリルヒドラターゼ
活性を有するタンパク質 さらに、本発明は、以下の(a)又は(b)のタンパク質をコ
ードする遺伝子である。
【0010】(a) 配列番号2で表されるアミノ酸配列を
含むタンパク質 (b) 配列番号2で表されるアミノ酸配列において1若し
くは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたア
ミノ酸配列からなり、かつイソニトリルヒドラターゼ活
性を有するタンパク質 さらに、本発明は、以下の(c)又は(d)のDNAを含む遺伝
子である。
【0011】(c) 配列番号1で表される塩基配列を含む
DNA (d) 配列番号1で表される塩基配列を含むDNAとストリ
ンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつイソニト
リルヒドラターゼ活性を有するタンパク質をコードする
DNA さらに、本発明は、上記いずれかの遺伝子を含有する組
換えベクターである。さらに、本発明は、上記組換えベ
クターを含む形質転換体である。
【0012】さらに、本発明は、上記形質転換体を培地
に培養し、得られる培養物からイソニトリルヒドラター
ゼ活性を有するタンパク質を採取することを特徴とす
る、該タンパク質の製造方法である。以下、本発明を詳
細に説明する。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の酵素は、イソニトリル化
合物のN置換ホルムアミドへの水和反応を触媒する新規
酵素イソニトリルヒドラターゼである。本酵素は、以下
のように、自然界からイソニトリル化合物分解活性を有
する微生物をスクリーニングし、該微生物から単離精製
することにより得ることができる。
【0014】1.イソニトリル化合物分解微生物のスク
リーニング及び分類学的同定 (1) イソニトリル化合物分解微生物のスクリーニング まず、自然界より収集した土壌を直接あるいは滅菌水で
希釈後、イソニトリル化合物(例えば、シクロヘキシル
イソシアニド)を単一の窒素源あるいは単一の炭素源と
する液体培地に接種し、該培地で生育可能な微生物を分
離する。得られた微生物を常法に従って、シングルコロ
ニーアイソレーションした後、イソニトリル化合物、ト
リプトン、酵母エキス等を含有する液体培地中培養す
る。微生物が十分生育した後、培養液から菌体を遠心分
離によって集める。集めた休止菌体をイソニトリル化合
物を含有するバッファーに懸濁し、適当な条件下でイン
キュベートする。そして、インキュベート前後の、バッ
ファー中のイソニトリル化合物の量を定量し、インキュ
ベート後のイソニトリル化合物量が減少した菌株をイソ
ニトリル化合物分解微生物とする。
【0015】(2) イソニトリル化合物分解微生物の分類
学的同定 上記(1)において得られた微生物の分類学的同定を、常
法に従って行う。すなわち、細胞の形態、胞子形成、グ
ラム染色性、運動性、各種酵素活性の有無、炭水化物の
資化性、有機酸の資化性、色素生産性等の菌学的性質を
調べ、バージェ−ズ・マニュアル・オブ・デターミネイ
ティブ・バクテリオロジー(Bergey’sManual of Deter
minative Bascteriology)第8版、微生物の分類と同定
(長谷川武治編著、東京大学出版会)等に基づいて、種
を同定することができる。本発明において、シクロヘキ
シルイソシアニド分解微生物としてスクリーニングされ
たN19-2株及びN20-4株の形態を図1(A:N19-2株、
B:N20-4株)に、菌学的性質を表1に示す。
【0016】
【表1】
【0017】上記菌学的性質より、N19-2株はシュード
モナス・プチダ(Pseudomonas putida)、N20-4株はシ
ュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluor
escens)と同定された。なお、シュードモナス・プチダ
N19-2株及びシュードモナス・フルオレッセンス(Pseud
omonas fluorescens)N20-4株は、産業技術総合研究所
生命工学工業技術研究所(茨城県つくば市東1丁目1番
3号)に、平成12年9月1付で、それぞれFERM P-18010
及びFERM P-18011として寄託されている。なお、本発明
において、イソニトリル化合物からのN置換ホルムアミ
ドの製造に用いられるシュードモナス属に属する微生物
としては、イソニトリルヒドラターゼ生産能を有するも
のであれば、いずれでもよい。
【0018】2.イソニトリル化合物分解微生物の培養 イソニトリル化合物微生物の培養は、それらの微生物が
利用し得る炭素源、窒素源、無機物等を含む培地が用い
られる。イソニトリル化合物は、炭素源としても窒素源
としても使用することができ、その他の炭素源として
は、ペプトン、トリプトン、カゼイン分解物、肉エキス
等が挙げられ、その他の窒素源としては、窒素源として
は、例えば、酵母エキス、肉エキス、ペプトン、カザミ
ノ酸、コーンスティープリカー、大豆粕等の有機窒素源
や、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、尿素、硝酸
アンモニウム、リン酸二アンモニウム等の無機窒素源が
挙げられる。さらに、無機塩類としては、例えば、カリ
ウム塩、ナトリウム塩、リン酸塩、マグネシウム塩、鉄
塩や必要に応じて微量の金属塩を用いることも可能であ
る。
【0019】なお、本発明においてスクリーニングされ
たシュードモナス・プチダN19-2株の保有するはイソニ
トリルヒドラターゼは、イソニトリル化合物の存在下で
培養して初めて菌体内に生成される誘導酵素である。従
って、該微生物の培養は、イソニトリル化合物の存在下
で行う。培養条件は、培地組成によって、多少異なる
が、培養温度は20〜45℃、好ましくは30〜40℃、pHは4.
0〜9.0、好ましくは6.0〜8.0、培養時間は18〜60時間、
好ましくは24〜48時間である。
【0020】3.イソニトリル化合物分解微生物中にお
けるイソニトリル化合物分解反応 上記1において得られた微生物中でのイソニトリル分解
反応は、イソニトリル化合物の存在下で培養して得られ
た上記1の微生物の休止菌体を、イソニトリル化合物を
含有するバッファー中でインキュベートしたときに菌体
内又は反応系中に生成される反応生成物を化学的に同定
することにより明らかにすることができる。ここで、化
学的同定は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、ガ
スクロマトグラフィー/質量分析法、元素分析、NMR分光
法、IR分光法等を適宜組合わせて行うことができる。
【0021】なお、本発明において得られたイソニトリ
ル化合物分解微生物を、シクロヘキシルイソシアニドを
含有するバッファー中で培養したところ、シクロヘキシ
ルホルミアミドが生成されたことから、以下の反応を触
媒する酵素イソニトリルヒドラターゼが存在することが
判明した。 R-NC+H2O→R-NHCHO 4.酵素イソニトリルヒドラターゼ イソニトリル分解微生物からのイソニトリルヒドラター
ゼの分離・精製は、以下のように行うことができる。す
なわち、まず、菌体を公知の菌体破砕法(例えば、超音
波破砕法、フレンチプレス破砕法、ガラスビーズ破砕
法、ダイノミル破砕法等)によって破砕する。次いで、
菌体破砕物から遠心分離により固形物を除去した後、得
られた菌体破砕液上清を市販の陰イオン交換カラム、陽
イオン交換カラム、ゲル濾過カラム、ヒドロキシアパタ
イトカラム、疎水カラム等のカラムクロマトグラフィー
や、ネイティブ-PAGE等を組合わせて精製操作を行い、
電気泳動的に単一バンドになるまで精製する。なお、酵
素イソニトリルヒドラターゼは、部分精製品でも十分な
活性を有するため、本発明の酵素イソニトリルヒドラタ
ーゼは、精製品と部分精製品の両方を含むものとする。
【0022】5.イソニトリル化合物からのN置換ホル
ムアミド化合物の製造 上記イソニトリルヒドラターゼ又は該酵素を含有する微
生物を触媒として、イソニトリル化合物からN置換ホル
ムアミド化合物を製造することができる。すなわち、イ
ソニトリルヒドラターゼを含有する微生物又はイソニト
リルヒドラターゼの酵素標品をイソニトリル化合物と接
触させ、一定温度で一定時間インキュベートすることに
よって、イソニトリル化合物に水分子が付加したN置換
ホルムアミドを製造することができる。なお、変換反応
の基質となるイソニトリル化合物としては、シクロヘキ
シルイソシアニド、イソシアノ酢酸メチル、イソシアノ
酢酸エチル、イソシアノメチルリン酸ジエチルエステル
等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】6.イソニトリルヒドラターゼ遺伝子のク
ローニング イソニトリルヒドラターゼ遺伝子は、以下のようにして
クローニングすることができる。すなわち、まず、精製
したイソニトリルヒドラターゼについて、部分アミノ酸
配列を決定する。決定されたアミノ酸配列に基づいてプ
ライマーを設計・合成し、イソニトリルヒドラターゼ活
性を有する菌株由来の染色体DNAを鋳型としてPCRを行
う。得られた増幅断片中に前記部分アミノ酸配列がコー
ドされていることを塩基配列の決定によって確認後、当
該DNA断片をプローブとして、ゲノムDNAライブラリー等
からコロニーハイブリダイゼーション法によって、陽性
クローンを分離する。得られた陽性クローンから、組換
えプラスミドを分離し挿入DNA断片の塩基配列を決定す
る。塩基配列の決定は、自動塩基配列決定機(例えばPE
RKIN-ELMER社製373A DNAシークエンサー等)を用いてジ
デオキシ法等の公知手法により行うことができる。
【0024】配列番号1に本発明のイソニトリルヒドラ
ターゼ遺伝子の塩基配列を、配列番号2にイソニトリル
ヒドラターゼのアミノ酸配列を例示するが、このアミノ
酸配列からなるタンパク質がイソニトリルヒドラターゼ
活性を有する限り、当該アミノ酸配列において少なくと
も1個のアミノ酸に欠失、置換、付加等の変異体も本発
明の範囲に含まれる。なお、配列番号1で表されるイソ
ニトリルヒドラターゼ遺伝子を含むプラスミドは、産業
技術総合研究所生命工学工業技術研究所(茨城県つくば
市東1丁目1番3号)に、平成13年3月1日付で、識別
表示puc-inhA、受託番号FERM P-18237として寄託されて
いる。また、イソニトリルヒドラターゼ活性は、反応系
に基質として、シクロヘキシルイソシアニドを添加し、
単位時間当たりの基質分解量をHPLC等を用いて測定する
ことにより決定することができる。イソニトリルヒドラ
ターゼ1単位(U)は、1分間に1μmolのシクロヘキ
シルイソシアニドを分解する活性又はシクロヘキシルイ
ソシアニドから1分間に1μmolのN-シクロヘキシルホ
ルムアミドを生成する活性と定義することができる。
【0025】例えば、変異体のタンパク質がイソニトリ
ルヒドラターゼ活性を保持している限り、配列番号2で
表されるアミノ酸配列の少なくとも1個、好ましくは1
〜10個程度、さらに好ましくは1〜5個のアミノ酸が欠
失してもよく、又は配列番号2で表わされるアミノ酸配
列に少なくとも1個、好ましくは1〜10個程度、さらに
好ましくは1〜5個のアミノ酸が付加してもよく、ある
いは配列番号2で表されるアミノ酸配列の少なくとも1
個、好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは1〜5
個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換してもよい。また、
上記遺伝子とストリンジェントな条件下でハイブリダイ
ズすることができるDNAも当該DNAがコードするタンパク
質がイソニトリルヒドラターゼ活性を保持している限
り、本発明の遺伝子に含まれる。ストリンジェントな条
件とは、例えば、ナトリウム濃度が300〜2,000mM、好ま
しくは600〜900mMであり、温度が40〜75℃、好ましくは
65℃での条件をいう。
【0026】なお、遺伝子に変異を導入するには、Kunk
el法やGapped duplex法等の公知の手法又はこれに準ず
る方法により、例えば部位特異的突然変異誘発法を利用
した変異導入用キット(例えば、TAKARA社製Mutant-K、
Mutant-G)、TAKARA社製LA PCR in vitro Mutagenesis
シリーズキットを用いて行うことができる。
【0027】本発明の遺伝子は、当業者であれば、本明
細書中に開示した塩基配列に基いて、化学合成によって
又は本発明の遺伝子を含む細胞由来の染色体DNA若しく
はcDNAを鋳型とするPCRによって、容易に本発明の遺伝
子を得ることができる。
【0028】7.組換えベクター及び形質転換体の作製 (1) 組換えベクターの作製 本発明の組換えベクターは、適当なベクターに本発明の
遺伝子を挿入(連結)することにより得ることができ
る。本発明の遺伝子を挿入するためのベクターは、宿主
中で複製可能なものであれば特に限定されず、例えば、
プラスミドDNA、ファージDNA等が挙げられる。プラスミ
ドDNAとしては、大腸菌由来のプラスミド(例えばpBR32
2, pBR325, pUC118, pUC119, pUC18, pUC19等)、枯草
菌由来のプラスミド(例えばpUB110, pTP5等)、酵母由
来のプラスミド(例えばYEp13, YEp24, YCp50等)など
が挙げられ、ファージDNAとしてはλファージ等が挙げ
られる。さらに、レトロウイルス又はワクシニアウイル
スなどの動物ウイルス、バキュロウイルスなどの昆虫ウ
イルスベクターを用いることもできる。ベクターへの本
発明の遺伝子の挿入は、まず、精製されたDNAを適当な
制限酵素で切断し、同じ制限酵素で切断したベクターDN
Aに連結することにより行うことができる。
【0029】本発明の遺伝子は、各宿主細胞中で遺伝子
の発現が行われるようにベクターに組み込まれることが
必要である。そこで、本発明のベクターには、本発明の
遺伝子のほか、プロモーター、所望によりエンハンサー
などのシスエレメント、スプライシングシグナル、ポリ
A付加シグナル、選択マーカー、リボソーム結合配列(S
D配列)などを配置することが好ましい。大腸菌を宿主
とする場合のプロモーターとしては、trpプロモータ
ー、lacプロモーター、PLプロモーター、PRプロモータ
ーなどが挙げられる。また、tacプロモーターなどのよ
うに、人為的に設計改変されたプロモーターを用いても
よい。また、酵母を宿主とする場合のプロモーターとし
ては、gal1プロモーター、gal10プロモーター、ヒート
ショックタンパク質プロモーター、MFα1プロモータ
ー、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモー
ター、ADHプロモーター、AOX1プロモーターなどが挙げ
られる。動物細胞を宿主とする場合のプロモーターとし
ては、該動物細胞中で発現できるものであれば特に限定
されず、例えばSRαプロモーター、SV40プロモーター、
LTRプロモーター、CMVプロモーター等が挙げられる。な
お、選択マーカーとしては、導入する宿主に応じて、ア
ンピシリン耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子、
ネオマイシン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、ジ
ヒドロ葉酸還元酵素遺伝子等を適宜使用することができ
る。
【0030】(2) 形質転換体の作製 本発明の形質転換体は、本発明の組換えベクターを、目
的遺伝子が発現し得るように宿主中に導入することによ
り得ることができる。ここで、宿主としては、本発明の
DNAを発現できるものであれば特に限定されるものでは
ない。例えば、大腸菌(Escherichia coli)、枯草菌(Bac
illus subtilis)等の細菌、サッカロミセス・セレビシ
エ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・
ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、ピヒア・パスト
リス(Pichia pastoris)等の酵母、サル細胞COS-7、Ver
o、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)、マウ
スL細胞、ラットGH3、ヒトFL細胞等の動物細胞、Sf9細
胞、Sf21細胞等の昆虫細胞が挙げられる。
【0031】大腸菌(Escherichia coli)への組換えベク
ターの導入は、カルシウムイオンを用いる方法[Cohen,
S.N. et al.:Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 69:2110
(1972)]、エレクトロポレーション法などにより行うこ
とができる。また、酵母への組換えベクターの導入は、
エレクトロポレーション法[Becker, D.M. et al.:Meth
ods. Enzymol., 194: 182(1990)]、スフェロプラスト
法[Hinnen, A. et al.:Proc. Natl. Acad. Sci., USA,
75: 1929(1978)]、酢酸リチウム法[Itoh, H.:J. Bac
teriol., 153:163(1983)]などのより行うことができ
る。さらに、動物細胞への組換えベクターの導入方法と
しては、例えばエレクトロポレーション法、リン酸カル
シウム法、リポフェクション法等が挙げられる。
【0032】8.イソニトリルヒドラターゼの製造 本発明のイソニトリルヒドラターゼは、前記形質転換体
を培養し、その培養物から酵素タンパク質を採取するこ
とにより製造することができる。「培養物」とは、培養
上清、あるいは培養細胞若しくは培養菌体又は細胞若し
くは菌体の破砕物のいずれをも意味するものである。本
発明の形質転換体を培養する方法は、宿主の培養に用い
られる通常の方法に従って行われる。
【0033】大腸菌や酵母等の微生物の形質転換体を培
養する培地としては、当該微生物が資化し得る炭素源、
窒素源、無機塩類等を含有し、形質転換体の培養を効率
的に行うことができる培地であれば、天然培地、合成培
地のいずれを用いてもよい。炭素源としては、グルコー
ス、フラクトース、スクロース、デンプン等の炭水化
物、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、エタノール、プロ
パノール等のアルコール類が用いられる。窒素源として
は、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウ
ム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸
若しくは有機酸のアンモニウム塩又はその他の含窒素化
合物のほか、ペプトン、肉エキス、コーンスティープリ
カー等が用いられる。無機物としては、リン酸第一カリ
ウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸
マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マン
ガン、硫酸銅、炭酸カルシウム等が用いられる。前記微
生物の培養は、通常、振盪培養又は通気攪拌培養などの
好気的条件下、37℃で6〜24時間行う。培養期間中、pH
は7.0〜7.5に保持する。pHの調整は、無機又は有機酸、
アルカリ溶液等を用いて行う。培養中は必要に応じてア
ンピシリンやテトラサイクリン等の抗生物質を培地に添
加してもよい。また、動物細胞の形質転換体を培養する
培地としては、RPMI1640培地、DMEM培地又はこれらの培
地に牛胎児血清等を添加した培地等が用いられる。動物
細胞の培養は、通常、5%CO2存在下、37℃で1〜30日
行う。培養中は必要に応じてカナマイシン、ペニシリン
等の抗生物質を培地に添加してもよい。
【0034】なお、誘導性のプロモーターを含む発現ベ
クターで形質転換された形質転換体を培養する場合は、
インデューサーを培地に添加することによってプロモー
ター下流のタンパク質発現を誘導する。例えば、lacプ
ロモーターを含む発現ベクターで形質転換された形質転
換体を培養する場合には、イソプロピル-β-D-チオガラ
クトピラノシド(IPTG)等を、trpプロモーターを含む発
現ベクターで形質転換した形質転換体を培養するときに
はインドールアクリル酸(IAA)等を培地に添加すること
で目的タンパク質の発現を誘導する。
【0035】培養後、本発明のイソニトリルヒドラター
ゼが菌体内又は細胞内に生産される場合には、菌体又は
細胞を破砕することによりイソニトリルヒドラターゼを
抽出する。また、本発明のイソニトリルヒドラターゼが
菌体外又は細胞外に生産される場合には、培養液をその
まま使用するか、遠心分離等により菌体又は細胞を除去
する。その後、タンパク質の単離精製に用いられる一般
的な生化学的方法、例えば硫酸アンモニウム沈殿、ゲル
クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、
アフィニティークロマトグラフィー等を単独で又は適宜
組み合わせて用いることにより、前記培養物中から本発
明のイソニトリルヒドラターゼを単離精製することがで
きる。
【0036】
【実施例】以下に、本発明の実施例を示して具体的に説
明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものでは
ない。 〔実施例1〕 イソニトリル化合物分解微生物のスクリ
ーニング イソニトリル化合物のシクロヘキシルイソシアニドを単
一の炭素源とする液体培地(表2)及び単一の窒素源と
する液体培地(表3)を用いて、イソニトリル化合物分
解微生物の単離を行った。微生物の分離源としては、京
都市京都大学周辺から採取した土壌サンプルを用いた。
まず、シクロヘキシルイソシアニド濃度を0.01%に調整
した前記培地に、土壌サンプルの一部を添加し3週間培
養後、シクロヘキシルイソシアニド濃度を0.02%に引き
上げた同培地中で、さらに1ヶ月間培養を続けた。得ら
れた培養物を培養は、1週間ごとに新鮮な同培地に植え
替えながら、28℃で3週間にわたり行った。その結果、
イソニトリルを単一の窒素源として利用する菌として95
株が、イソニトリルを単一の炭素源として利用する菌と
して100株が得られた。
【0037】
【表2】
【表3】
【0038】〔実施例2〕 スクリーニングされた菌株
のイソニトリル分解活性 実施例1においてスクリーニングされた菌株のイソニト
リル分解活性を以下のようにして調べた。すなわち、ま
ず表4の組成の液体培地10mlに各菌株を植菌し、28℃で
1日間振盪培養後、集菌した。得られた菌体を休止菌体
として、10mMシクロヘキシルイソシアニドを含有する10
0mMリン酸カリウムバッファーに加え、20℃で1時間反
応後、残存するシクロヘキシルイソシアニドの量をHPLC
で定量することで、イソニトリル分解活性を求めた。図
2に反応混液の代表的な高速液体クロマトグラフィー
(HPLC)のチャートを示した。なお、HPLCは、Cosmosil
5C1 8-ARカラム(ナカライ社)を用い、5mM KH2PO4-H3PO4
バッファー(pH2.9)/アセトニトリル(50/50、v/v)
を溶離液として、35℃、1ml/分の流速で行い、検出はRI
Dを使用した。図2のように、基質のシクロヘキシルイ
ソシアニドが減少する一方、保持時間2分強の位置に生
成物のピークが検出された。
【0039】
【表4】
【0040】シクロヘキシルイソシアニドを単一の窒素
源として利用し得る菌株95株のうちの39株、及びシクロ
ヘキシルイソシアニドを単一の炭素源として利用し得る
菌株100株のうちの45株がイシニトリル分解活性を示し
た。分解活性を有する菌株のうち、特に高い分解活性を
示したものについて再度培養を行い、より正確に活性測
定を行ったところ、表5及び表6のような結果となっ
た。なお、表中、1単位(U)は、1分間に1μmolの
シクロヘキシルイソシアニドを分解する活性と定義し
た。N19-2株、N20-4株、C8-2株、C8-3株及びC15-3
株が、スクリーニングされた菌株の中でも特に高い分解
活性を有していることが明らかとなった。
【0041】
【表5】
【表6】
【0042】分類学的同定を行ったところ、N19-2株は
シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、N20-
4株はシュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas
fluorescens)であることが判明した。また、これらの
菌株を95℃で10分間熱処理を行ったところ、いずれにつ
いても活性が完全に消失したところから、イソニトリル
の分解反応は、化学的な反応ではなく、酵素的な反応で
あることがわかった。
【0043】〔実施例3〕 イソニトリル分解活性に及
ぼす培養条件の検討 (1) 培地組成及び培養時間の影響 分解菌の分解活性に及ぼす培地組成と培養時間の影響を
調べた。すなわち、表7〜9に示した組成の培地I、培
地II及び培地IIIの3種類の培地中で、N19-2株、
N20-4株、C8-2株、C8-3株及びC15-3株を、28℃で72
時間それぞれ培養し、各菌株のイソニトリル分解活性の
経時的変化を調べた。
【0044】
【表7】
【表8】
【表9】
【0045】結果を、図3〜5に示した。図3は培地I
で培養した場合、図4は培地IIで培養した場合、図5
は培地IIIで培養した場合の結果である。最大の分解
活性は、N19-2株を培地IIIで24時間培養した場合に
得られた。そこで、以下ではN19-2株を用い、更なる検
討を行った。
【0046】(2) イソニトリル化合物、ニトリル化合物
及びアミド化合物の影響 培地に、イソニトリル化合物、ニトリル化合物又はアミ
ド化合物を添加したときの、菌体のイソニトリル分解活
性に及ぼす影響を調べた。結果を表10に示した。
【0047】
【表10】
【0048】表10のように、各種イソニトリル化合物
を添加した場合、ベンジルイソシアニドでは菌が生育し
なかったため、イソニトリル分解活性は測定できなかっ
たが、それ以外のイソニトリル化合物を用いた場合に
は、いずれもイソニトリル分解活性が検出された。一
方、ニトリル化合物又はアミド化合物を添加した場合に
は、菌は生育したものの、イソニトリル分解活性は全く
検出されなかった。従って、N19-2株のイソニトリル分
解酵素は、イソニトリル化合物によって特異的に誘導さ
れる酵素であることがわかった。
【0049】(3) シクロヘキシルイソシアニドの濃度の
影響 0.02〜0.125%の範囲で培地中のシクロヘキシルイソシ
アニドの濃度を変え、菌の生育及びイソニトリル分解活
性の経時的変化を調べた。図6に菌の生育を、図7にイ
ソニトリル分解活性を示した。図7から明らかなよう
に、イソニトリル分解活性は、培養中一旦ピーク値を示
した後、培養時間が長くなるにつれて低下する傾向にあ
った。濃度0.02%、培養時間24時間が最も高い活性が得
られる条件であった。
【0050】(4) 炭素源の影響 培地中の炭素源を各種の糖または有機酸に置換したとき
のイソニトリル分解活性を調べた。結果を表11に示し
た。表11から明らかなように、フマル酸及びコハク酸
を用いた場合には、わずかに活性の上昇は見られるもの
の、菌の生育が5分の1以下に低下した。また、それ以
外の炭素源では、いすれも活性は低下した。このことか
ら、試験した炭素源の中では、グリセロールが最も適し
ていることがわかった。
【0051】
【表11】
【0052】(5) 無機塩類の影響 各種無機塩類の影響について調べた。結果を表12に示
した。表12から明らかなように、リチウム、カルシウ
ム、マンガン、コバルト、銅、亜鉛、モリブデン、鉛を
添加することにより、イソニトリル分解活性は上昇し、
中でも、マンガン、亜鉛、モリブデンの添加がより効果
的であった。
【0053】
【表12】
【0054】〔実施例4〕 分解産物及び分解反応に関
与する酵素の同定 次いで、シクロヘキシルイソシアニドの分解によって生
じる生成物の同定を行った。図2に反応液のHPLCチャー
トの一例を示した。図中で、保持時間5分強に見られる
シクロヘキシルイソシアニドが減少する一方で、保持時
間2分強の位置に、反応生成物と推定される新たなピー
クが出現した。保持時間から、この生成物は、シクロヘ
キシルイソシアニドに水1分子が付加した化合物のN-シ
クロヘキシルホルムアミドであると推定された。そこ
で、市販のN-シクロヘキシルホルムアミドと反応生成物
をHPLC及びGC-MSとで比較し、同一であるか否かについ
て調べた。まず、HPLCの保持時間は一致した。さらに、
MSスペクトルも一致した(図8:反応生成物、図9:標
準のN-シクロヘキシルホルムアミド)。さらに、反応生
成物がN-シクロヘキシルホルムアミドであると仮定し
て、反応生成物を定量し、そのモル量を算出したとこ
ろ、表13のように、基質と反応生成物のモル量の和
が、反応の前後でほぼ一致し、化学量論的観点からも、
反応生成物がN-シクロヘキシルホルムアミドであること
が支持された。以上より、シクロヘキシルイソシアニド
の分解によって生じる生成物はN-シクロヘキシルホルム
アミドであることがわかった。
【0055】
【表13】
【0056】以上より、N19-2株中には、イソニトリル
に水1分子を付加する酵素、イソニトリルヒドラターゼ
が存在し、該酵素の作用によりイソニトリル化合物から
N置換イソニトリルホルムアミドを製造することが可能
であることが判明した。
【0057】〔実施例5〕 イソニトリルヒドラターゼ
の精製 以下のようにして、N19-2株からイソニトリルヒドラタ
ーゼの精製を行った。なお、全ての精製工程は、0〜4℃
の温度下で、10%グリセロールを含有するリン酸カリウ
ムバッファー(pH7.5)を用いて行った。まず、12Lの培
養液より得た洗浄菌体(約40 g)を0.1Mバッファーに懸
濁したのち超音波破砕し、遠心処理により残滓を除い
て、細胞抽出液を調製した。次いで、得られた細胞抽出
液に硫酸アンモニウムを加え、45〜60%飽和の濃度にお
いて析出した画分を遠心処理により回収し、少量の0.1M
バッファーに溶解した後、10mMバッファーに対して透析
した。透析された粗酵素溶液を10 mMバッファーで平衡
化したDEAE-Sephacelカラム(5x 20cm)に吸着させた。タ
ンパクの溶出は、KClを含む1Lのバッファーを用い、KCl
濃度を0〜1Mまで直線的に上昇させることにより行っ
た。酵素活性を持つ画分を回収し、硫酸アンモニウムを
70%飽和に達するまで添加した。析出した沈殿を遠心処
理により回収し、少量の0.1Mバッファーに溶解した後、
10 mMバッファーに対して透析した。得られた粗酵素液
を、等容のバッファー(ただし硫酸アンモニウムを40%
飽和濃度で含む)と混合し、50 mMバッファー(ただし
硫酸アンモニウムを20%飽和濃度で含む)で平衡化したT
SK gel Butyl-Toyopearl 650M カラム(2.6 x 22 cm)に
吸着させた。タンパクの溶出は、カラムの平衡化に用い
られたバッファー1Lにより、硫酸アンモニウム濃度を20
%飽和から0%飽和に直線的に低下させることで行っ
た。酵素活性を持つ画分を回収し、硫酸アンモニウムを
70%飽和に達するまで添加した。析出した沈殿を遠心処
理により回収し、少量の0.1 Mバッファーに溶解した
後、10 mMバッファーに対して透析した。得られた粗酵
素液を、Centricon-10(アミコン社製、超小型濃縮器)
を用いた限外濾過により0.7 mlまで濃縮し、10 mMバッ
ファーで平衡化したCellulofine GCL-2000sfカラム(2.6
x 108 cm)に吸着させた。タンパクの吸着および溶出
は、15 ml/時の流速で同一のバッファーを流すことによ
り行った。酵素活性を持つ画分を回収し、硫酸アンモニ
ウムを70%飽和に達するまで添加した。析出した沈殿を
遠心処理により回収し、少量の0.1 Mバッファーに溶解
した後、10 mMバッファーに対して透析し、精製酵素標
品を得た。得られた精製酵素標品は、50%グリセロール
を含むバッファーに対して再度透析した後、-20℃で保
存した。精製結果を表14に示した。精製酵素標品は、
細胞抽出液の38.2倍まで精製され、収率は16.7%であっ
た。
【0058】
【表14】
【0059】〔実施例6〕 イソニトリルヒドラターゼ
の酵素学的性質の検討 実施例5において得られた精製酵素を用い、酵素学的諸
性質を調べた。 (1) 分子量及びサブユニット構造 まず、精製した酵素イソニトリルヒドラターゼを、Laem
mliらの方法[Laemmli,U.K.:Nature 227:680-685(1970)]
によりゲル濃度12.5%のSDS-PAGEに供試した。泳動結果
を図10に示した。図10において、レーンAは分子量
マーカー、レーンBは精製酵素標品である。分子量マー
カーとの比較から、レーンBの精製酵素標品の分子量は
約29,000と見積もられた。さらに、精製酵素標品をゲル
濾過HPLC(カラム:TSK G-3000SW(東ソー社製)、移動
相:50mMリン酸カリウムバッファー(pH7.5)、流速:
0.5ml/分)に供試した。その結果、ネイティブ酵素の分
子量は、約59, 000と見積もられた。以上の結果より、
本酵素は、分子量約29, 000のサブユニット2つから構
成される分子量約58,000のホモダイマー構造を有するこ
とが判明した。また、原子発光分析により本酵素は金属
原子を含まないことが判明した。
【0060】(2) 基質特異性及び動力学的定数 本酵素の基質特異性を調べた。結果を表15に示した。
本酵素はシクロヘキシルイソシアニド、ベンジルイソシ
アニド、イソシアノ酢酸メチル、イソシアノ酢酸エチ
ル、イソシアノメチルリン酸ジエチルエステルに対する
分解活性を示した。その一方、ニトリルまたはアミドに
対しては全く作用しなかった。シクロヘキシルイソシア
ニドに対するミカエリス定数(Km)は16.2 mM、最大反
応速度(Vmax)は精製酵素1mgあたり39.6mmol/分であ
った。
【0061】
【表15】
【0062】(3) 至適pHおよび安定pH範囲 本酵素を様々なpHに設定したバッファー中で反応させ、
至適pHを求めた。その結果、本酵素の至適pHは、約6.0
〜6.5であることが判明した。
【0063】(4) 作用適温の範囲 本酵素を様々な温度に設定したバッファー中で反応さ
せ、至適温度を求めた。その結果、本酵素の至適温度
は、約35℃であることが判明した。
【0064】(5) 温度安定性 本酵素を、10%グリセロールを含有する0.01Mリン酸カ
リウムバッファー(pH7.5)に溶解し、10〜55℃の各温度
に30分間保持した後の酵素活性を測定した。結果を図1
1に示した。本酵素は、常温以上の温度において徐々に
失活することが判明した。
【0065】(6) 各種化合物の阻害効果 酵素活性に及ぼす各種化合物の影響を調べた。結果を表
16に示した。本酵素の活性は、一部の金属塩(CdCl2,
HgCl2, CuSO4, AgNO3, CoCl2, NiSO4)、SH試薬(ヨー
ド酢酸、N-エチルマレイミド、p-クロロメルクリ安息香
酸)、酸化剤(過酸化水素、過硫酸アンモニウム)およ
びセリン修飾試薬(フェニルメタンスルホニルフルオリ
ド、ジイソプロピルフルオロリン酸)により阻害を受け
た。一方、カルボニル修飾試薬(ヒドロキシルアミン、
フェニルヒドラジン、セミカルバジド、アミノグアニジ
ン)、金属キレーター(α,α'-ジピリジル、o-フェナ
ントロリン、8-ヒドロキシキノリン、エチレンジアミン
四酢酸)および還元剤(ジチオトレイトール、2-メルカ
プトエタノール、ハイドロサルファイトナトリウム)
は、阻害効果を示さなかった。
【0066】
【表16】
【0067】〔実施例7〕 イソニトリルヒドラターゼ
遺伝子のクローニング (1) プローブの調製 以下のようにして、イソニトリルヒドラターゼ遺伝子ク
ローニング用のプローブを調製した。まず、実施例5に
おいて得られた精製酵素タンパク質を用い、常法に従っ
てイソニトリルヒドラターゼのN末端アミノ酸配列を決
定した。また、精製酵素タンパク質をリジルエンドペプ
チダーゼ処理後、生じたペプチド断片をHPLCで精製し、
アミノ酸シーケンスを行うことにより、内部アミノ酸配
列を決定した。得られたアミノ酸配列情報に基づいて、
部分アミノ酸配列Phe Pro Gln Val Gln Gln Leu Asp
(配列番号3)に対応するセンスプライマー5’-ttycci
cargtncarcarytnga-3’(配列番号4)及び部分アミノ
酸配列Asp Phe Pro Pro Ala Pro Ala Tyr Glu(配列番
号5)に対応するアンチセンスプライマー5’-tcraaigg
iggngcnggngcrtaytc-3’(配列番号6)を合成した。前
記プライマー中「i」はイノシン、「r」はアデニン又は
グアニン、「y」はシトシン又はチミン、「n」はアデニ
ン、シトシン、グアニン又はチミンを意味する。これら
のプライマーペアを用い、N19-2株から調製した染色体D
NAを鋳型としてPCRを行ったところ、約0.5kbの増幅DNA
断片が得られた。この増幅DNA断片の塩基配列をジデオ
キシ法によって決定したところ、該DNA断片中には、先
の部分アミノ酸配列決定の結果判明したN末端アミノ酸
配列及び内部アミノ酸配列を含むアミノ酸配列がコード
されていることが確認された。そして、このDNA断片を
イソニトリルヒドラターゼ遺伝子の全長をクローニング
するために使用した。
【0068】(2) イソニトリルヒドラターゼ遺伝子全長
のクローニング N19-2株から調製した染色体DNAを各種制限酵素で消化
し、上記(1)において作製したプローブを用いてサザン
ハイブリダイゼーションを行った。結果を図12に示し
た。図12から明らかなようにSalI処理物において約6.
4kbの位置に特に強いシグナルが検出された。そこで、
この6.4kbのDNAフラグメントを回収し、同じSalIで切断
したpUC18と連結して大腸菌DH10b株に形質転換した。得
られた形質転換体に対して、前記プローブを用いコロニ
ーハイブリダイゼーションを行うことによって2個の陽
性クローンを得た。これらの陽性クローンから、イソニ
トリルヒドラターゼ遺伝子を含むと考えられる組換えベ
クターpINH10を分離した。次いで、組換えベクターpINH
10を鋳型として、プライマーウォーキング法により前記
挿入DNA断片の塩基配列を決定したところ、イソニトリ
ルヒドラターゼをコードすると考えられる領域が見出さ
れた。当該領域を図13(配列番号7)に示した。図1
3に示したように、この領域には228個のアミノ酸配列
からなる推定分子量24,211kDaのイソニトリルヒドラタ
ーゼをコードすると考えられる684bpのイソニトリルヒ
ドラターゼ遺伝子のORFが見出された。前記アミノ酸配
列中には、上記(1)において決定されたN末端及び内部
アミノ酸配列と完全同一の配列が存在していた(図13
中の下線部)。なお、常法に従って、ホモロジー検索を
行ったところ、前記アミノ酸配列は、既知の酵素のいず
れともホモロジーはなかった。
【0069】〔実施例8〕 大腸菌中でのイソニトリル
ヒドラターゼの発現 (1) 発現ベクターの構築 組換えベクターpINH10を鋳型として、NdeI部位を導入し
たセンスプライマー5’-catatggcgttgcacggttttc-3’
(配列番号8)及びEcoRI部位を導入したアンチセンス
プライマー5’-gaattctcagcgcagattgagcttcgc-3’(配
列番号9)を用い、PCRによりイソニトリルヒドラター
ゼ遺伝子を増幅した。増幅断片を回収し、NdeI及びEcoR
Iで処理後、同じくNdeI及びEcoRIで処理した発現用ベク
ターpET-21a(+)に連結することにより、イソニトリルヒ
ドラターゼ発現用ベクターpET-inhAを構築した(図1
4)。
【0070】(2) 組換えタンパク質の発現 次いで、上記(1)において得られたイソニトリルヒドラ
ターゼ遺伝子を含むpET-inhA又はイソニトリルヒドラタ
ーゼ遺伝子を含まないpET-21a(+)で大腸菌BL-21-Codon
PlusTM(DE3)-RIL(ストラタジーン社製)を形質転換
した。得られた形質転換体を用いて発現実験を行ったと
ころ、無細胞抽出液のSDS-PAGEにおいて、イソニトリル
ヒドラターゼ遺伝子を含まない空のプラスミドpET-21a
(+)で形質転換された大腸菌では見られず、イソニトリ
ルヒドラターゼ遺伝子を含むpET-inhAで形質転換された
大腸菌においてのみ見られる、組換えタンパク質と考え
られるバンドが検出された(図15)。なお、図15か
ら明らかなように、このバンドは、推定分子量24,211kD
aとはぼ一致する位置に検出された。組換えタンパク質
の最適発現条件の検討を行ったところ、培養温度37℃、
培養開始後4時間の時点で1mMになるようにIPTGを添加
した場合に最大収量の組換えタンパク質が得られた。
【0071】(3) 組換えタンパク質のイソニトリルヒド
ラターゼ活性の測定 2L培養物から得られたpET-inhA形質転換細胞から無細
胞抽出液を調製し、硫安分画(飽和度45〜60%)、陰イ
オン交換クロマトグラフィー(DEAE-Sephacel)及び疎
水クロマトグラフィー(Butyl-Toyopearl)を行い、組
換えタンパク質を、電気泳動的に均一になるまで精製し
た。各精製段階の試料をSDS-PAGEに供試した結果を図1
6に示した。図16において、Mは分子量マーカー、レ
ーン1は無細胞抽出液、レーン2は硫安分画後の活性画
分、レーン3は陰イオン交換クロマトグラフィーに供試
後の活性画分、レーン4は疎水クロマトグラフィーに供
試後の活性画分である。得られた最終精製組換えタンパ
ク質のイソニトリルヒドラターゼ活性を測定したとこ
ろ、N19-2株由来の野生型酵素と同程度の活性が検出さ
れた(表17)。以上より、組換えタンパク質はイソニ
トリルヒドラターゼであることが判明した。
【0072】
【表17】
【0073】
【発明の効果】本発明によれば、微生物由来の新規酵素
イソニトリルヒドラターゼを提供することができ、該酵
素を触媒としてイソニトリル化合物からN置換ホルムア
ミドを製造することが可能である。
【0074】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> MITSUBISHI RAYON CO., LTD. <120> A novel enzyme isonitrile hydratase <130> P01-0139 <160> 9 <170> PatentIn Ver. 2.0 <210> 1 <211> 684 <212> DNA <213> Pseudomonas putida <220> <221> CDS <222> (1)..(684) <400> 1 atg gcg ttg cag atc ggt ttt ctg ttg ttt ccc cag gtg cag caa ctc 48 Met Ala Leu Gln Ile Gly Phe Leu Leu Phe Pro Gln Val Gln Gln Leu 1 5 10 15 gac ctg acc ggc ccg tat gac gtg ctg gcc tct ctg ccg gac gtg cag 96 Asp Leu Thr Gly Pro Tyr Asp Val Leu Ala Ser Leu Pro Asp Val Gln 20 25 30 gtg cat ctg gtc tgg aag gat ttg gtg ccg gta act tcc agc acc ggg 144 Val His Leu Val Trp Lys Asp Leu Val Pro Val Thr Ser Ser Thr Gly 35 40 45 ctg cag ctg aaa ccg acc act acg ttc gag gac tgc ccg gtt ttg gac 192 Leu Gln Leu Lys Pro Thr Thr Thr Phe Glu Asp Cys Pro Val Leu Asp 50 55 60 gtg atc tgc gta ccc ggc ggc gcc ggg gtc ggg ccg ttg atg gag gat 240 Val Ile Cys Val Pro Gly Gly Ala Gly Val Gly Pro Leu Met Glu Asp 65 70 75 80 gag cag acg ctg gac ttc atc agg tcg caa gcg gca cag gct cgg tac 288 Glu Gln Thr Leu Asp Phe Ile Arg Ser Gln Ala Ala Gln Ala Arg Tyr 85 90 95 gtt acg tcg gtt tgc acc ggt tcg ctt gtg ctt ggc gcg gcg ggt ctg 336 Val Thr Ser Val Cys Thr Gly Ser Leu Val Leu Gly Ala Ala Gly Leu 100 105 110 ttg caa ggt aaa cgg gcg act acg cac tgg gca tat cac gat ttg ctg 384 Leu Gln Gly Lys Arg Ala Thr Thr His Trp Ala Tyr His Asp Leu Leu 115 120 125 ccg aca ctg ggc gcg att ccg gtg aag gat cgg gtg gtg cgt gac ggc 432 Pro Thr Leu Gly Ala Ile Pro Val Lys Asp Arg Val Val Arg Asp Gly 130 135 140 aat ctg ttt acc ggg ggc ggc atc acc gcc ggg atc gat ttt gcc ctg 480 Asn Leu Phe Thr Gly Gly Gly Ile Thr Ala Gly Ile Asp Phe Ala Leu 145 150 155 160 aca ctg gcg cag gaa ctg gtc ggt gtc gat acg gcg caa ctg gtg cag 528 Thr Leu Ala Gln Glu Leu Val Gly Val Asp Thr Ala Gln Leu Val Gln 165 170 175 ttg cag ctg gaa tac gcg ccg gcg ccg cca ttt gat tcg ggc agc ccg 576 Leu Gln Leu Glu Tyr Ala Pro Ala Pro Pro Phe Asp Ser Gly Ser Pro 180 185 190 gac acg gcg ccg agt gct gtt gtc gat gag gcg cgc aag cgt gcg gcg 624 Asp Thr Ala Pro Ser Ala Val Val Asp Glu Ala Arg Lys Arg Ala Ala 195 200 205 cct tca ttg aag ttg cgc act gaa atc acc gag cgt gct gcg gcg aag 672 Pro Ser Leu Lys Leu Arg Thr Glu Ile Thr Glu Arg Ala Ala Ala Lys 210 215 220 ctc aat ctg cgc 684 Leu Asn Leu Arg 225 <210> 2 <211> 228 <212> PRT <213> Pseudomonas putida <400> 2 Met Ala Leu Gln Ile Gly Phe Leu Leu Phe Pro Gln Val Gln Gln Leu 1 5 10 15 Asp Leu Thr Gly Pro Tyr Asp Val Leu Ala Ser Leu Pro Asp Val Gln 20 25 30 Val His Leu Val Trp Lys Asp Leu Val Pro Val Thr Ser Ser Thr Gly 35 40 45 Leu Gln Leu Lys Pro Thr Thr Thr Phe Glu Asp Cys Pro Val Leu Asp 50 55 60 Val Ile Cys Val Pro Gly Gly Ala Gly Val Gly Pro Leu Met Glu Asp 65 70 75 80 Glu Gln Thr Leu Asp Phe Ile Arg Ser Gln Ala Ala Gln Ala Arg Tyr 85 90 95 Val Thr Ser Val Cys Thr Gly Ser Leu Val Leu Gly Ala Ala Gly Leu 100 105 110 Leu Gln Gly Lys Arg Ala Thr Thr His Trp Ala Tyr His Asp Leu Leu 115 120 125 Pro Thr Leu Gly Ala Ile Pro Val Lys Asp Arg Val Val Arg Asp Gly 130 135 140 Asn Leu Phe Thr Gly Gly Gly Ile Thr Ala Gly Ile Asp Phe Ala Leu 145 150 155 160 Thr Leu Ala Gln Glu Leu Val Gly Val Asp Thr Ala Gln Leu Val Gln 165 170 175 Leu Gln Leu Glu Tyr Ala Pro Ala Pro Pro Phe Asp Ser Gly Ser Pro 180 185 190 Asp Thr Ala Pro Ser Ala Val Val Asp Glu Ala Arg Lys Arg Ala Ala 195 200 205 Pro Ser Leu Lys Leu Arg Thr Glu Ile Thr Glu Arg Ala Ala Ala Lys 210 215 220 Leu Asn Leu Arg 225 <210> 3 <211> 8 <212> PRT <213> Pseudomonas putida <400> 3 Phe Pro Gln Val Gln Gln Leu Asp 1 5 <210> 4 <211> 23 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <220> <222> 6 <223> n is inosine. <220> <222> 12 <223> n is either a, c, g or t. <220> <222> 21 <223> n is either a, c, g or t. <400> 4 ttyccncarg tncarcaryt nga 23 <210> 5 <211> 9 <212> PRT <213> Pseudomonas putida <400> 5 Asp Phe Pro Pro Ala Pro Ala Tyr Glu 1 5 <210> 6 <211> 26 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <220> <222> 6 <223> n is inosine. <220> <222> 9 <223> n is inosine. <220> <222> 12 <223> n is either a, c, g or t. <220> <222> 15 <223> n is either a, c, g or t. <220> <222> 18 <223> n is either a, c, g or t. <400> 6 tcraanggng gngcnggngc rtaytc 26 <210> 7 <211> 800 <212> DNA <213> Pseudomonas putida <220> <221> CDS <222> (29)..(712) <400> 7 gtctaccccc ttttcacgga gaagaacc atg gcg ttg cag atc ggt ttt ctg 52 Met Ala Leu Gln Ile Gly Phe Leu 1 5 ttg ttt ccc cag gtg cag caa ctc gac ctg acc ggc ccg tat gac gtg 100 Leu Phe Pro Gln Val Gln Gln Leu Asp Leu Thr Gly Pro Tyr Asp Val 10 15 20 ctg gcc tct ctg ccg gac gtg cag gtg cat ctg gtc tgg aag gat ttg 148 Leu Ala Ser Leu Pro Asp Val Gln Val His Leu Val Trp Lys Asp Leu 25 30 35 40 gtg ccg gta act tcc agc acc ggg ctg cag ctg aaa ccg acc act acg 196 Val Pro Val Thr Ser Ser Thr Gly Leu Gln Leu Lys Pro Thr Thr Thr 45 50 55 ttc gag gac tgc ccg gtt ttg gac gtg atc tgc gta ccc ggc ggc gcc 244 Phe Glu Asp Cys Pro Val Leu Asp Val Ile Cys Val Pro Gly Gly Ala 60 65 70 ggg gtc ggg ccg ttg atg gag gat gag cag acg ctg gac ttc atc agg 292 Gly Val Gly Pro Leu Met Glu Asp Glu Gln Thr Leu Asp Phe Ile Arg 75 80 85 tcg caa gcg gca cag gct cgg tac gtt acg tcg gtt tgc acc ggt tcg 340 Ser Gln Ala Ala Gln Ala Arg Tyr Val Thr Ser Val Cys Thr Gly Ser 90 95 100 ctt gtg ctt ggc gcg gcg ggt ctg ttg caa ggt aaa cgg gcg act acg 388 Leu Val Leu Gly Ala Ala Gly Leu Leu Gln Gly Lys Arg Ala Thr Thr 105 110 115 120 cac tgg gca tat cac gat ttg ctg ccg aca ctg ggc gcg att ccg gtg 436 His Trp Ala Tyr His Asp Leu Leu Pro Thr Leu Gly Ala Ile Pro Val 125 130 135 aag gat cgg gtg gtg cgt gac ggc aat ctg ttt acc ggg ggc ggc atc 484 Lys Asp Arg Val Val Arg Asp Gly Asn Leu Phe Thr Gly Gly Gly Ile 140 145 150 acc gcc ggg atc gat ttt gcc ctg aca ctg gcg cag gaa ctg gtc ggt 532 Thr Ala Gly Ile Asp Phe Ala Leu Thr Leu Ala Gln Glu Leu Val Gly 155 160 165 gtc gat acg gcg caa ctg gtg cag ttg cag ctg gaa tac gcg ccg gcg 580 Val Asp Thr Ala Gln Leu Val Gln Leu Gln Leu Glu Tyr Ala Pro Ala 170 175 180 ccg cca ttt gat tcg ggc agc ccg gac acg gcg ccg agt gct gtt gtc 628 Pro Pro Phe Asp Ser Gly Ser Pro Asp Thr Ala Pro Ser Ala Val Val 185 190 195 200 gat gag gcg cgc aag cgt gcg gcg cct tca ttg aag ttg cgc act gaa 676 Asp Glu Ala Arg Lys Arg Ala Ala Pro Ser Leu Lys Leu Arg Thr Glu 205 210 215 atc acc gag cgt gct gcg gcg aag ctc aat ctg cgc tgattcgtgc 722 Ile Thr Glu Arg Ala Ala Ala Lys Leu Asn Leu Arg 220 225 gcaacatagg ccctgcgggg accaacccgc agggcctgcg aaccggttta gccctacacc 782 ttcacttgtc cccccgcc 800 <210> 8 <211> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 8 catatggcgt tgcacggttt tc 22 <210> 9 <211> 27 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 9 gaattctcag cgcagattga gcttcgc 27
【0075】
【配列表フリーテキスト】配列番号4:合成DNA 配列番号6:合成DNA 配列番号8:合成DNA 配列番号9:合成DNA
【図面の簡単な説明】
【図1】N19-2株(A)とN20-4株(B)の形態を示す顕
微鏡写真である。
【図2】イソニトリル化合物分解微生物をシクロヘキシ
ルイソシアニド存在下でインキュベート後の反応混液の
HPLCチャートを示す図である。
【図3】培地Iで培養したイソニトリル化合物分解微生
物のイソニトリル化合物分解活性の経時的変化を示した
図である。
【図4】培地IIで培養したイソニトリル化合物分解微
生物のイソニトリル化合物分解活性の経時的変化を示し
た図である。
【図5】培地IIIで培養したイソニトリル化合物分解
微生物のイソニトリル化合物分解活性の経時的変化を示
した図である。
【図6】N19-2株を様々な濃度のシクロヘキシルイソシ
アニドを添加した培地で培養したときの生育の経時的変
化を示した図である。
【図7】N19-2株を様々な濃度のシクロヘキシルイソシ
アニドを添加した培地で培養したときのイソニトリル化
合物分解活性の経時的変化を示した図である。
【図8】反応生成物のMSスペクトラムを示した図であ
る。
【図9】N-シクロヘキシルホルムアミドのMSスペクト
ラムを示した図である。
【図10】N19-2株から精製したイソニトリルヒドラタ
ーゼの電気泳動写真である。
【図11】本酵素の温度安定性を示した図である。
【図12】サザンハイブリダイゼーションの結果を示し
た写真である。
【図13】イソニトリルヒドラターゼをコードすると考
えられる領域の塩基配列及びアミノ酸配列を示した図で
ある。
【図14】イソニトリルヒドラターゼ発現用ベクターpE
T-inhAの構築を示した図である。
【図15】イソニトリルヒドラターゼ遺伝子を含む大腸
菌及び該遺伝子を含まない大腸菌の無細胞抽出液をSDS-
PAGEに供試した結果を示す写真である。
【図16】大腸菌からの組換え型イソニトリルヒドラタ
ーゼの精製において、各精製段階の試料をSDS-PAGEに供
試した結果を示す写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 5/10 C12P 13/02 9/88 (C12N 1/20 A C12P 13/02 C12R 1:38) //(C12N 1/20 (C12N 1/20 A C12R 1:38) C12R 1:39) (C12N 1/20 (C12N 9/88 C12R 1:39) C12R 1:39) (C12N 9/88 (C12N 9/88 C12R 1:39) C12R 1:38) (C12N 9/88 (C12P 13/02 C12R 1:38) C12R 1:39) (C12P 13/02 (C12P 13/02 C12R 1:39) C12R 1:38) (C12P 13/02 C12N 15/00 ZNAA C12R 1:38) 5/00 A Fターム(参考) 4B024 AA03 AA17 BA07 CA03 DA01 DA02 DA05 EA04 GA11 4B050 CC01 CC03 DD02 LL05 4B064 AE02 CA02 CB30 DA16 4B065 AA01X AA43Y AA44Y AA57X AA87X AB01 AC14 BA02 BB12 CA27 CA56

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イソニトリル化合物のN置換ホルムアミ
    ドへの水和反応を触媒する酵素イソニトリルヒドラター
    ゼ。
  2. 【請求項2】 以下の酵素学的性質を有する酵素イソニ
    トリルヒドラターゼ。 (1) 作用:イソニトリル化合物のN置換ホルムアミドへ
    の水和反応を触媒する、 (2) 基質特異性:シクロヘキシルイソシアニド、ベンジ
    ルイソシアニド、イソシアノ酢酸メチル、イソシアノ酢
    酸エチル及びイソシアノメチルリン酸ジエチルエステル
    に対する活性を有する、 (3) 至適pH:6.0〜6.5、 (4) 至適温度:35℃、 (5) 分子量:約58,000(ゲル濾過法による) (6) 金属イオンの影響:Cd2+、Hg2+、Cu2+、Ag+、Co2+
    及びNi2+で阻害される、 (7) SH基修飾試薬の影響:ヨード酢酸、N-エチルマレイ
    ミド及びp-クロロメルクリ安息香酸で阻害される、 (6) キレート剤の影響:EDTA、8-ヒドロキシキノリン、
    o-フェナントロリン、及びα,α’-ジピリジルで阻害さ
    れない、 (7) 還元剤の影響:ジチオトレイトール、2-メルカプト
    エタノール及び亜ジチオン酸ナトリウムで阻害されな
    い、
  3. 【請求項3】 シュードモナス(Pseudomonas)属に属
    し、酵素イソニトリルヒドラターゼ生産能を有する微生
    物をイソニトリル化合物を含有する培地に培養し、培養
    物から酵素イソニトリルヒドラターゼを採取することを
    特徴とする該酵素の製造方法。
  4. 【請求項4】 シュードモナス属に属する細菌が、シュ
    ードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)又はシュー
    ドモナス・フルオレッセンス(Pseudomonasfluorescen
    s)であることを特徴とする請求項3記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 イソニトリル化合物が、シクロヘキシル
    イソシアニド、イソシアノ酢酸メチル、イソシアノ酢酸
    エチル及びイソシアノメチルリン酸ジエチルエステルか
    らなる群から選択されるものであることを特徴とする請
    求項3又は4に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 酵素イソニトリルヒドラターゼ又は該酵
    素を含有するシュードモナス属に属する微生物をイソニ
    トリル化合物に接触させて、該イソニトリル化合物をN
    置換ホルムアミドに変換することを特徴とするイソニト
    リルからのN置換ホルムアミドの製造方法。
  7. 【請求項7】 シュードモナス属に属する細菌が、シュ
    ードモナス・プチダ又はシュードモナス・フルオレッセ
    ンスであることを特徴とする請求項6記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 イソニトリル化合物がシクロヘキシルイ
    ソシアニドであり、N置換ホルムアミドがN-シクロヘキ
    シルホルムアミドであることを特徴とする請求項6又は
    7に記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 酵素イソニトリルヒドラターゼ生産能を
    有するシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)
    FERM P-18010又はシュードモナス・フルオレッセンス
    (Pseudomonas fluorescens)FERM P-18011。
  10. 【請求項10】 以下の(a)又は(b)のタンパク質。 (a) 配列番号2で表されるアミノ酸配列を含むタンパク
    質 (b) 配列番号2で表されるアミノ酸配列において、1若
    しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加された
    アミノ酸配列からなり、かつイソニトリルヒドラターゼ
    活性を有するタンパク質
  11. 【請求項11】 以下の(a)又は(b)のタンパク質をコー
    ドする遺伝子。 (a) 配列番号2で表されるアミノ酸配列を含むタンパク
    質 (b) 配列番号2で表されるアミノ酸配列において1若し
    くは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたア
    ミノ酸配列からなり、かつイソニトリルヒドラターゼ活
    性を有するタンパク質
  12. 【請求項12】 以下の(c)又は(d)のDNAを含む遺伝
    子。 (c) 配列番号1で表される塩基配列を含むDNA (d) 配列番号1で表される塩基配列を含むDNAとストリ
    ンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつイソニト
    リルヒドラターゼ活性を有するタンパク質をコードする
    DNA
  13. 【請求項13】 請求項11又は12のいずれかに記載
    の遺伝子を含有する組換えベクター。
  14. 【請求項14】 請求項13記載の組換えベクターを含
    む形質転換体。
  15. 【請求項15】請求項14記載の形質転換体を培地に培
    養し、得られる培養物からイソニトリルヒドラターゼ活
    性を有するタンパク質を採取することを特徴とする、該
    タンパク質の製造方法。
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Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6010062423, 生化学, 2000.08, Vol.72, No.8, p.824 *

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