JP2002150514A - 磁気抵抗効果型磁気ヘッド及び磁気記録再生装置 - Google Patents

磁気抵抗効果型磁気ヘッド及び磁気記録再生装置

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JP2002150514A
JP2002150514A JP2000349310A JP2000349310A JP2002150514A JP 2002150514 A JP2002150514 A JP 2002150514A JP 2000349310 A JP2000349310 A JP 2000349310A JP 2000349310 A JP2000349310 A JP 2000349310A JP 2002150514 A JP2002150514 A JP 2002150514A
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film
ferromagnetic
ferromagnetic film
oxide film
magnetic
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JP2000349310A
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Kenichi Meguro
賢一 目黒
Katsuro Watanabe
克朗 渡辺
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】高い磁気抵抗変化率を得る為に、酸化物を適用
した磁気抵抗効果膜において、酸素拡散による特性劣化
を起こさない磁気抵抗効果型磁気ヘッドを提供する。 【解決手段】 固定層を強磁性膜12/酸化物膜13/
強磁性膜14で構成し、酸化物膜13に酸素との結合力
の強い元素(Mg、Al、Si、Ca、Ti、Zrなど)を含ませる
ことによって酸素拡散を抑止した磁気抵抗効果型ヘッド
とする。また、酸化物膜13の膜厚を5−30×10
-10mとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気的に記録され
た情報を再生する磁気抵抗効果型磁気ヘッドと、該磁気
抵抗効果型磁気ヘッドを搭載し、情報を磁気的に読み書
きする磁気記録再生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】磁気記録再生装置の記録密度の上昇に対
応して、再生ヘッドには更なる再生感度の向上が強く望
まれている。即ち、抵抗変化量(最大抵抗−最小抵抗)
/最小抵抗で定義される磁気抵抗変化率の大きな磁気抵
抗効果膜の開発が重要である。現在、磁気記録再生装置
用の再生ヘッドには、主に特開平4−358310に記
載されている自由層強磁性膜/非磁性膜/固定層強磁性膜
/反強磁性膜なる基本構成を有するスピンバルブ型磁気
抵抗効果膜が用いられている。スピンバルブ膜における
磁気抵抗変化率の増大については、これまでは主に材料
探索や反強磁性膜、自由層強磁性膜等の薄膜化による分
流比の向上という観点で開発が進められてきた。しか
し、自由層強磁性膜や固定層強磁性膜を過度に薄くする
と、膜界面及び表面での電子散乱の影響をより顕著に受
け、むしろ抵抗変化率は減少してしまう。最近、この課
題に対する一つの手段として、導電膜の挿入(特開平6
−236527)や酸化物膜の形成(Digests of INTER
MAG 99、DB-01)によって磁気抵抗変化率を向上させた
報告がなされている。特に、酸化物膜を形成して鏡面反
射効果を用いた場合は、15 %を超える磁気抵抗変化率が
観測されている。
【0003】しかし、スピンバルブ膜に酸化物膜を用い
た場合は、磁気ヘッドを製造する際の熱履歴や動作時の
環境温度を考慮すると、酸素の拡散による磁気的及び電
気的特性の劣化が懸念される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、酸化
物膜を磁気抵抗効果膜に適用した場合、抵抗変化率の増
大による再生感度の向上という利点があるものの、酸素
拡散による特性劣化が懸念される。即ち、酸素拡散によ
って、抵抗変化率が減少するばかりでなく、反強磁性膜
との交換結合によって固定層強磁性膜に付与される一方
向異方性磁界の減少や自由層強磁性膜または固定層強磁
性膜の正味の磁化量が変化することで再生波形の非対称
性にも影響が及び、良好な再生特性を示す再生ヘッドが
得られない。従って、酸化物膜から自由層強磁性膜また
は固定層強磁性膜への酸素拡散の抑止が重要な課題であ
る。
【0005】従って、本発明の目的は、酸化物膜を導入
して高出力化を実現すると共に、磁気ヘッド製造時及び
動作時の熱履歴を経ても酸素拡散が進行せず、再生特性
に劣化が生じない磁気抵抗効果型磁気ヘッド及び磁気記
録再生装置とを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】課題を解決するための手
段を以下順を追って説明する。
【0007】従来から用いられている反強磁性膜/固定
層強磁性膜/非磁性膜/自由層強磁性膜から構成される磁
気抵抗効果膜では、一般に反強磁性膜の電気抵抗率が高
く、かつ反強磁性膜と固定層強磁性膜の格子の整合性が
悪い為に積層欠陥を生じ易い等の理由により、反強磁性
膜/固定層強磁性膜の界面付近で伝導電子は散乱され易
い。この散乱は電子のスピンに依存しない為、GMR効
果を希釈し、磁気抵抗変化率の低下を招く。これは、固
定層強磁性膜の膜厚が薄い程顕著となる。そこで、固定
層強磁性膜を強磁性膜/酸化物膜/強磁性膜の構成とする
ことによって、強磁性膜/酸化物膜の界面で伝導電子の
一部が鏡面反射され、伝導電子の実効的な平均自由行程
を長くすることで磁気抵抗変化率を増大させることが出
来る。積層順は、基板/反強磁性膜/強磁性膜/酸化物膜/
強磁性膜/非磁性膜/自由層強磁性膜としても、基板/自
由層強磁性膜/非磁性膜/強磁性膜/酸化物膜/強磁性膜/
反強磁性膜としても良い。あるいは、デュアルスピンバ
ルブと称される、基板/反強磁性膜/強磁性膜/酸化物膜/
強磁性膜/非磁性膜/自由層強磁性膜/非磁性膜/強磁性膜
/酸化物膜/強磁性膜/反強磁性膜としても良い。更に、
固定層強磁性膜の実質的な磁化量を調整する為に、反強
磁性膜側の強磁性膜を強磁性膜/反強磁性結合膜/強磁性
膜といういわゆる積層フェリ構造としても良い。また、
適宜下地膜や保護膜を形成しても差し支えはない。
【0008】上述したように、磁気抵抗効果膜の固定層
強磁性膜中に酸化物膜を挿入することで磁気抵抗変化率
を増大することは可能であるが、酸化物膜中の酸素が固
定層を構成する強磁性膜へ拡散するのを抑制することが
重要である。一般に、自由層や固定層の強磁性膜には、
Fe、Co、Niを主成分とした材料が用いられる。従って、
強磁性膜/酸化物膜/強磁性膜の界面で酸素拡散を抑止す
る為には、酸化物膜中に、Fe、Co、Niよりも酸素との結
合力が強い、即ち、酸化物の標準生成自由エネルギーの
小さい元素を含ませることで解決される。具体的には、
酸化物膜にMg、Al、Si、Ca、Ti、Zrのうち少なくとも1
種類以上の元素を含ませることで解決される。
【0009】また、固定層強磁性膜を強磁性膜/酸化物
膜/強磁性膜とした場合に、酸化物膜を挟む強磁性膜同
士の磁気的相互作用が消失しないよう注意する必要があ
る。従って、酸化物膜の膜厚は、5×10-10m以上30×
10-10m以下程度の薄さにとどめておく必要がある。
【0010】ここで、磁気抵抗効果膜の固定層強磁性膜
中に形成する酸化物膜の膜厚を5×10-10m以上とす
ることで磁気抵抗変化率を増大することができる。但
し、強磁性膜/酸化物膜/強磁性膜から成る固定層強磁性
膜において、酸化物膜を厚くするに従って、酸化物膜を
挟む強磁性膜同士の磁気的相互作用が弱くなってしま
う。即ち、固定層強磁性膜に接して形成される反強磁性
膜から付与される一方向異方性が実効的に弱くなり、固
定層強磁性膜の磁化方向が比較的小さい外部磁界で変化
してしまうという問題が生じる。例えば、基板/MnPt(15
0)/CoFe(40)/Cu(21)/CoFe(5)/NiFe(30)/Ta(30):(膜厚
単位:1×10-10m)から成る磁気抵抗効果膜におけ
る一方向異方性磁界は40kA/mであるのに対して、固定
層強磁性膜をCoFe(20)/CoAl-O(35)/CoFe(20) (膜厚単
位:1×10-10m)とすると一方向異方性磁界は18k
A/mまで減少してしまう。従って、酸化物膜の膜厚は3
0×10-10m以下にとどめておく必要がある。
【0011】また、このような極薄膜領域では、島状に
結晶粒が成長している過程であることが多く、不連続膜
となり易い。酸化物膜が不連続膜であると、酸化物膜を
挟む強磁性膜同士が部分的に直接接する領域が生じ、磁
気的相互作用の損失は小さく抑えることができる。更
に、磁気的相互作用の損失を低減する為には、酸化物膜
として例えばCo-Al-Oのような強磁性材料を用いるとよ
り効果的である。
【0012】以上、磁気抵抗効果膜の固定層強磁性膜中
に酸化物膜を適用した場合について述べた。次に、自由
層強磁性膜表面に酸化物膜を適用した場合について説明
する。
【0013】一般に用いられている磁気抵抗効果膜構成
は、基板(/下地膜)/自由層強磁性膜/非磁性膜/強磁性膜
/酸化物膜/強磁性膜/反強磁性膜(/保護膜)、あるいは、
基板(/下地膜)/反強磁性膜/強磁性膜/酸化物膜/強磁性
膜/非磁性膜/自由層強磁性膜(/保護膜)である。一般
に、下地膜や保護膜には、分流比の観点から電気抵抗率
の高いβ-Ta等が用いられる。従って、基板、下地膜、
保護膜に自由層強磁性膜が接している、または自由層強
磁性膜の表面が直接大気に暴露されていると、伝導電子
は自由層強磁性膜と基板、下地膜、保護膜との界面、ま
たは自由層強磁性膜の表面で散乱され易い。この現象
は、磁気ヘッドの再生感度の向上を狙って自由層強磁性
膜の薄膜化する程顕著に現れる。従って、自由層強磁性
膜を薄膜化しても、伝導電子の平均自由行程が小さくな
らないような工夫が必要である。これの解決法の一つと
して、自由層強磁性膜に接し、非磁性膜と反対側に酸化
物膜を形成して、伝導電子を鏡面反射させて平均自由行
程の低減を防止する。この場合も、酸化物膜中の酸素が
自由層強磁性膜中に拡散すると、磁気抵抗変化率の減少
を招くだけでなく、軟磁気特性の劣化、実効的磁化量の
減少による再生波形の非対称性の悪化等の問題が生じ
る。従って、固定層強磁性膜の場合と同様に、自由層強
磁性膜に接し、非磁性膜と反対側に形成される酸化物膜
は、自由層強磁性膜の主な構成元素であるFe、Co、Niよ
りも酸素との結合力が強い、即ち、酸化物の標準生成自
由エネルギーの小さい元素を含ませることで解決され
る。具体的には、酸化物膜にMg、Al、Si、Ca、Ti、Zrの
うち少なくとも1種類以上の元素を含ませることで解決
される。
【0014】上述したような膜構成では、自由層強磁性
膜と固定層強磁性膜との間に作用する層間結合磁界が大
きくなることがある。このような場合には、抵抗変化率
の減少、再生波形における非対称性及び線形応答性の悪
化を引き起こし、望ましくない。この問題は、自由層強
磁性膜と酸化物膜との間に、Cu、Pd、Ag、Pt、Au単体あ
るいは、これらを主成分とする合金からなる導電膜を形
成することで解決される。この導電膜は、酸化物膜中の
酸素拡散の抑止をより強固にする作用もある。
【0015】以上、固定層強磁性膜と自由層強磁性膜に
関して、別々に説明をしたが、これらの技術を組み合わ
せて用いても何ら差し支えは無い。
【0016】上述したような手段を用いて磁気抵抗変化
率の向上及び酸素拡散による特性劣化の防止を達成した
スピンバルブ膜を適用した再生ヘッドと記録ヘッドから
なる磁気ヘッドと、情報を記録する磁気記録媒体と、磁
気ヘッドを磁気記録媒体上の所定位置に移動させるアク
チュエータ手段と、磁気ヘッドが書き込む又は読み取る
情報の送受信とアクチュエータ手段の移動を制御する制
御手段と、を有する磁気記録再生装置は、高い記録密度
を達成すると共に長期的な信頼性を確保することができ
る。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明による実施の形態に
ついて、図面を参照して説明する。
【0018】本発明におけるスピンバルブ膜は、DCマグ
ネトロンスパッタリング装置を用いてAr雰囲気中で作製
した。各膜の厚さは、あらかじめ成膜速度を測定してお
き、ターゲットと基板間に設置したシャッターの開閉タ
イミングで制御した。また、基板両端に設置した一対の
永久磁石によって、基板面内に基板中心で約8 kA/mの直
流磁界を印加することが可能であり、これによって、強
磁性膜に一軸異方性を誘導した。また、固定層強磁性膜
に反強磁性膜との交換結合に起因する一方向異方性を付
与する為に、真空中において270 ℃で80 kA/mの磁界を
印加のもと3時間の熱処理をした。
【0019】図1に、本発明の一実施形態のスピンバル
ブ膜の構成を示す。基板10上に、反強磁性膜11/第
一の強磁性膜12/酸化物膜13/第二の強磁性膜14/
非磁性膜15/自由層強磁性膜16を順次積層した構成
である。基板10と反強磁性膜11の間に下地膜を挿入
しても良い。また、自由層強磁性膜16は、一種類の材
料で構成しても、材料の異なる材料を複数積層した構成
でも構わない。また、自由層強磁性膜16の上に保護膜
を形成しても差し支えはない。上記スピンバルブ膜構成
の一例として、基板/Ta(1)/NiFe(2)/MnPt(15)/CoFe(1.
5)/CoAl(0.2)-酸化/CoFe(2)/Cu(2.1)/CoFe(0.5)/NiFe
(3)/Cu(0.4)/Ta(1)を挙げる。( )内数値は膜厚を示し、
単位はnmである。各合金膜の組成は、Ni81Fe19、Co90
Fe10、Mn53Pt47、Co70Al30である。Ta(1)/NiFe(2)は下
地膜に、CoFe(0.5)/NiFe(3)は自由層強磁性膜16に、C
u(0.4)/Ta(1)は保護膜に、それぞれ相当する。第一の強
磁性膜12:CoFe(1.5)と第二の強磁性膜14:CoFe(2)
の間の酸化物膜13:CoAlO膜は、CoAl(0.2)膜をスパッ
タリング法で作製した後、真空を破らずに同一チャンバ
内に酸素を導入し、酸素圧力:20 mTorr、保持時間:1
minとして自然酸化法によって形成した。
【0020】表1に、固定層強磁性膜を(A)CoFe(4)、
(B)CoFe(2)/自然酸化/CoFe(2)、(C)CoFe(2)/CoAl
(0.2)/自然酸化/CoFe(2)とした場合の、シート抵抗R、
抵抗変化率ΔR/R、固定層交換結合磁界Huaの値をそ
れぞれ示す。
【0021】
【表1】
【0022】スピンバルブ膜の基本膜構成は、glass/Mn
Pt(15)/固定層強磁性膜/Cu(2.1)/CoFe(0.5)/NiFe(3)/Cu
(0.4)/Ta(1)である。自然酸化法によって固定層強磁性
膜中に酸化物膜を形成した(B)、(C)は、酸化物膜の
無い(A)に比較して抵抗変化率ΔR/Rが増大してい
る。即ち、酸化物膜を固定層強磁性膜中に導入すること
によりGMR効果がエンハンスされていることを示唆し
ている。一方、(A)に比較して、(B)及び(C)は固
定層の交換結合磁界が減少している。しかし、その減少
分は(B)よりも(C)の方が小さく、酸化物膜に強磁性
を示す材料を適用したことによって、磁気的相互作用の
減少を小さく抑えることができていると言える。図2
に、上記3種類のスピンバルブ膜の抵抗変化率の熱処理
時間依存性を示す。熱処理は真空中において250 ℃で80
kA/mの磁界を印加のもと行った。固定層強磁性膜に反
強磁性膜との交換結合を付与する為に行った270 ℃での
熱処理後の数値を初期値とし、これに対する相対値とし
てグラフには示している。(B)については、熱処理時
間が増加するにつれて、抵抗変化率が徐々に減少してい
る。一方、本発明の(C)では熱処理時間に対する抵抗
変化率の減少分は非常に小さい。即ち、(B)では、CoF
e-O中の酸素が固定層強磁性膜中に拡散し、特性を劣化
させていると考えられる。一方、(C)では、酸化物膜
中のAlと酸素が強く結合しており、酸素の拡散が抑制さ
れていると考えられる。ここでは、酸化物膜にCoAlOを
用いた場合について説明したが、Mg、Si、Ca、Ti、Zrの
いずれかを含有していれば、同様な効果が得られる。
【0023】次に、自由層強磁性膜に関して、本発明を
実施した結果について述べる。表2に、保護膜を(A)
無し、(B)Cu(0.4)/Ta(1)、(C)Al(1)、(D)Cu(0.4)
/Al(1)とした場合の、スピンバルブ膜のシート抵抗R、
抵抗変化率ΔR/R、層間結合磁界Hintを示す。
【0024】
【表2】
【0025】スピンバルブ膜の構成とは、glass/Ta(1)/
NiFe(2)/MnPt(15)/CoFe(2)/ Cu(2.1)/CoFe(0.5)/NiFe
(3)/保護膜である。いずれの膜についても、最表面は大
気中放置による自然酸化膜が形成された状態である。
(A)保護膜なしの場合、シート抵抗R、層間結合磁界
Hintが大きく、抵抗変化率ΔR/Rが小さい。(C)自
然酸化されたAl(1)が直接自由層強磁性膜に接している
と、層間結合磁界Hintが異常に大きくなり、抵抗変化
率ΔR/Rを低減させている。(B)、(D)のように、
自然酸化されるTa(1)、Al(1)と自由層強磁性膜の間に導
電膜Cu(0.4)を挿入すると、層間結合磁界Hintは正常な
値となり、同時に抵抗変化率ΔR/Rが増大している。
特に、(D)Cu(0.4)/Al(1)保護膜の方が(B)Cu(0.4)/T
a(1)保護膜に比較して、シート抵抗Rが小さく、また抵
抗変化率ΔR/Rが大きくなっており、鏡面反射効果が
より顕著に現われている。詳細は省略するが、最表面保
護膜にMg、Si、Ca、Ti、Zrのいずれかを含有する材料、
これと自由層強磁性膜との間の導電膜にPd、Ag、Pt、Au
単体あるいは、これらを主成分とする合金を用いた場合
も同様な効果が得られる。
【0026】図3に、本発明の一実施形態として、本発
明を適用した磁気抵抗効果型磁気ヘッドの断面構造の概
略を示す。基板20上に、絶縁膜21、下部シールド膜
22、下部ギャップ膜23を形成した後、図1で示した
構成のスピンバルブ膜を形成する。このスピンバルブ膜
を所定の形状にパターニングした後、その両端にバルク
ハウゼンノイズを抑制する目的で、磁区制御膜27を形
成する。更に、このスピンバルブ膜の電気抵抗変化を検
出するための一対の電極28を形成し、上部ギャップ膜
24、上部シールド膜25を順次形成する。更に、絶縁
膜26を形成後、記録用の誘導型磁気ヘッドを作製する
が、詳細は省略する。
【0027】図4に、本発明の磁気抵抗効果型磁気ヘッ
ドを搭載した磁気ディスク装置の一実施形態の概略構造
を示す。磁気ディスク装置は、スピンドル40と、スピ
ンドル40を軸として設置された磁気記録媒体41と、
スピンドル40を駆動するモータ42と、移動可能なキ
ャリッジ43と、キャリッジ43に保持された磁気ヘッ
ド44と、このキャリッジ43を駆動するボイスコイル
モータ45と、これを支持するベース46から構成され
る。図4では、説明を簡略化するために、磁気記録媒体
41、磁気ヘッド44をそれぞれ一つずつ示したが、こ
れらは複数であっても差し支えはない。更には、磁気記
録媒体41に、両面記録可能なものを用いても良く、こ
の場合、磁気ヘッド44は、磁気記録媒体41の両面に
配置する。また、制御系として、磁気ディスク制御装置
等の上位装置47から送出される信号に従って、ボイス
コイルモータ45を制御するボイスコイルモータ制御回
路48を備えている。また、上位装置47から送られて
きたデータを、磁気記録媒体41の書き込み方式に対応
させ、磁気ヘッド44に流すべき電流に変換する機能
と、磁気ヘッド44から送られてきたデータを増幅し、
ディジタル信号に変換する機能とを持つライト/リード
回路49を備え、このライト/リード回路49は、イン
ターフェイス50を介して、上位装置47に接続されて
いる。
【0028】次に、この磁気ディスク装置において、磁
気記録媒体41のデータを読み出す場合の動作を説明す
る。上位装置47から、インターフェイス50を介し
て、ボイスコイルモータ制御回路48に、読み出すべき
データの指示を与える。ボイスコイルモータ制御回路4
8からの制御電流によって、ボイスコイルモータ45が
キャリッジ43を駆動させ、磁気記録媒体41上の指示
されたデータが記録されているトラックの位置に、磁気
ヘッド44を高速で移動させ、正確に位置付けする。こ
の位置付けは、磁気記録媒体41上にデータと共に書き
込まれているサーボ情報を磁気ヘッド44が読み取り、
位置に関する信号をボイスコイルモータ制御回路48に
提供することにより行われる。また、ベース46に支持
されたモータ42は、スピンドル40に取り付けた磁気
記録媒体41を回転させる。次に、ライト/リード回路
49からの信号に従って、指示された領域の先頭位置を
検出後、磁気記録媒体41のデータ信号を読み出す。こ
の読み出しは、ライト/リード回路49に接続されてい
る磁気ヘッド44と、磁気記録媒体41との間の信号の
授受によって行われる。読み出されたデータは、所定の
信号に変換され、上位装置47に送出される。
【0029】上述したような構成で、本発明の磁気抵抗
効果型磁気ヘッド及びこれを搭載した磁気記録再生装置
を試験した結果、十分な感度と分解能を示す再生特性が
得られ、動作の信頼性も良好であった。
【0030】ここでは、本発明の磁気抵抗効果型磁気ヘ
ッドを磁気ディスク装置に適用した実施形態について説
明したが、本発明の磁気抵抗効果型磁気ヘッドは、磁気
テープ装置等のような他の磁気記録再生装置にも応用可
能である。
【0031】
【発明の効果】上述の通り、本発明によれば、スピンバ
ルブ膜に酸化物膜を適用して高出力化を実現するだけで
なく、酸化物膜からの酸素拡散の影響を抑止することが
でき、磁気ヘッド作製時及び動作時の熱履歴を経ても高
い再生感度を維持することができる。従って、高い記録
密度と高い信頼性を有する磁気記録再生装置を得ること
が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のスピンバルブ膜の構成を
示す図である。
【図2】従来技術及び本発明のスピンバルブ膜における
抵抗変化率の熱処理時間依存性の比較を表す図である。
【図3】本発明の磁気抵抗効果型磁気ヘッドの一実施形
態の断面構造の概略を示す図である。
【図4】本発明の磁気抵抗効果型磁気ヘッドを用いた磁
気記録再生装置の一実施形態の概略構造を示す図であ
る。
【符号の説明】
10、20:基板、11:反強磁性膜、12:固定層第
一の強磁性膜非磁性膜、13:酸化物膜、14:固定層
第二の強磁性膜非磁性膜、15:非磁性膜、16:自由
層強磁性膜、21、26:絶縁膜、22:下部シールド
膜、23:下部ギャップ膜、24:上部ギャップ膜、2
5:上部シールド膜、27:磁区制御膜、28:一対の
電極、40:スピンドル、41:磁気記録媒体、42:
モータ、43:キャリッジ、44:磁気ヘッド、45:
ボイスコイルモータ、46:ベース、47:上位装置、
48:ボイスコイルモータ制御回路、49:ライト/リ
ード回路、50:インターフェイス。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01F 41/18 H01L 43/08 Z H01L 43/08 G01R 33/06 R Fターム(参考) 2G017 AA01 AD55 AD63 AD65 5D034 BA03 BA05 CA08 DA07 5E049 AA01 AA04 AA07 AB10 AC05 BA12 CB02 DB04 GC01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】反強磁性膜と、該反強磁性膜との交換結合
    によりその磁化方向が外部磁界に固定された強磁性膜を
    有する固定層と、非磁性膜と、外部磁界に応じてその磁
    化が回転する強磁性膜を有する自由層とが順に形成さ
    れ、前記固定層を構成する強磁性膜の磁化と前記自由層
    を構成する強磁性膜の磁化との相対角度が変化すること
    により磁気抵抗効果を生じ、前記固定層は、一対の強磁
    性膜の間に酸化物膜が形成され、該酸化物膜の膜厚が5
    ×10-10m以上30×10-10m以下であり、該酸化物
    膜がMg、Al、Si、Ca、Ti、Zrのうち少なくとも1種類以
    上の元素を含むものであることを特徴とする磁気抵抗効
    果型磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】前記酸化物膜が強磁性膜であることを特徴
    とする請求項1に記載の磁気抵抗効果型磁気ヘッド。
  3. 【請求項3】前記酸化物膜は不連続膜であり、前記酸化
    物膜を挟む前記第1の強磁性膜と前記第2の強磁性膜が
    部分的に直接接していることを特徴とする請求項1ある
    いは2に記載の磁気抵抗効果型磁気ヘッド。
  4. 【請求項4】反強磁性膜と、該反強磁性膜との交換結合
    によりその磁化方向が外部磁界に固定された強磁性膜を
    有する固定層と、非磁性膜と、外部磁界に応じてその磁
    化が回転する強磁性膜を有する自由層とが順に形成さ
    れ、前記固定層を構成する強磁性膜の磁化と前記自由層
    を構成する強磁性膜の磁化との相対角度が変化すること
    により磁気抵抗効果を生じ、前記自由層に接して前記非
    磁性膜とは反対側に酸化物膜が形成され、該酸化物膜が
    Mg、Al、Si、Ca、Ti、Zrのうち少なくとも1種類以上の
    元素を含むものであることを特徴とする磁気抵抗効果型
    磁気ヘッド。
  5. 【請求項5】前記自由層を構成する強磁性膜と前記酸化
    物膜との間に、Cu、Pd、Ag、Pt、Au単体あるいは、こ
    れらを主成分とする合金からなる導電膜を形成したこと
    を特徴とする請求項4に記載の磁気抵抗効果型磁気ヘッ
    ド。
  6. 【請求項6】情報を記録する磁気記録媒体と、該磁気記
    録媒体に情報を書き込む記録ヘッドと該磁気記録媒体に
    記録された情報を読み取る再生ヘッドからなる磁気ヘッ
    ドと、該磁気ヘッドを該磁気記録媒体上の所定位置に移
    動させるアクチュエータ手段と、該磁気ヘッドが書き込
    む又は読み取る情報の送受信とアクチュエータ手段の移
    動を制御する制御手段と、を有する磁気記録再生装置に
    おいて、該再生ヘッドが、請求項1から5のうちいずれ
    かに記載の磁気抵抗効果型磁気ヘッドから構成されるこ
    とを特徴とする磁気記録再生装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008146606A1 (ja) * 2007-05-23 2008-12-04 Alps Electric Co., Ltd. トンネル型磁気検出素子
US7855860B2 (en) 2004-07-12 2010-12-21 Nec Corporation Magnetoresistance element magnetic random access memory, magnetic head and magnetic storage device
JP2013021369A (ja) * 2012-10-17 2013-01-31 Toshiba Corp 磁気抵抗効果素子、およびその製造方法
JP2015212996A (ja) * 2015-06-30 2015-11-26 株式会社東芝 磁気抵抗効果素子、磁気抵抗効果素子の製造方法、磁気ヘッド、磁気記録再生装置、磁気メモリ

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