JP2002147018A - 超薄型金属製型枠パネル及びそれを用いた型枠並びに基礎の施工方法 - Google Patents

超薄型金属製型枠パネル及びそれを用いた型枠並びに基礎の施工方法

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JP2002147018A
JP2002147018A JP2000348940A JP2000348940A JP2002147018A JP 2002147018 A JP2002147018 A JP 2002147018A JP 2000348940 A JP2000348940 A JP 2000348940A JP 2000348940 A JP2000348940 A JP 2000348940A JP 2002147018 A JP2002147018 A JP 2002147018A
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Kouzo Itamochi
興蔵 板持
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JPS TOKYO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コンクリート構造物の施工作業を格段に省力
化し得る超薄型金属製型枠パネル及びそれを用いた型枠
並びに基礎の施工方法を提供する。 【解決手段】 基礎を施工するための型枠1として、金
属板を折曲して縦方向に延びる補強突条5を横方向に間
隔をあけて複数並列状に形成し、縦方向の途中部に少な
くとも各補強突条5の頂面と両側面を横方向に切断して
なる折曲案内部20を、残部を連結部21として残した
状態で形成した型枠パネル2を用いた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築物の基礎を施
工するのに好適な超薄型金属製型枠パネル及びそれを用
いた型枠並びに基礎の施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コンクリート構造物を施工すると
きに用いる型枠として、亜鉛メッキ等の防錆処理を施し
てなる金属パネルを用いた型粋が実用化されている。こ
の型枠を用いたコンクリート構造物の施工方法において
は、型枠をコンクリート構造物の施工位置に釘等により
固定することで、型枠背面を支持するためのポール等を
省略して、型枠の施工作業を省力化できること、型枠を
コンクリートに埋め込み施工することで、型枠の解体作
業を省力化できるとともにコンクリート構造物の強度を
向上できるなどの利点がある。
【0003】このような型枠として、例えば特開平5−
133028号には、金属板を折曲させて面内同一方向
に延びる複数の補強リブを形成した金属製型枠パネルを
有し、この金属製型枠パネルの補強リブ間にコンクリー
トが漏れ出す程度の流出孔を形成したものが提案されて
いる。この型枠では、打設したコンクリートの一部が流
出孔から染み出して固化し、この固化したコンクリート
により型枠パネルと打設したコンクリートとが結合され
ることで、打設したコンクリートが養生固化により収縮
しても、コンクリート構造物と型枠パネル間に隙間が形
成されないように構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一方、前記型枠を用い
てコンクリート構造物を施工する場合には、次のような
課題もある。 (1)基礎を施工する場合においては、型粋が地面から
上側に露出するので、建築物の外観低下を防止するた
め、この露出した部分に仕上用モルタルを施工する必要
があり、その作業が煩雑であった。 (2)フーチング部を有する基礎を施工する場合におい
て、合板製の型枠を用いた場合と同様に、フーチング部
と基礎梁部の少なくとも2回に分けて型枠を施工しコン
クリートを打設する必要があるので、施工作業を十分に
省力化できなかった。 (3)隣接する型枠同士をビス等で結合していたので、
結合作業が煩雑であった。 (4)型枠の施工時等において、型枠の側縁で手指を切
ることがあり、安全面での配慮が不十分であった。
【0005】本発明の目的は、コンクリート構造物の施
工作業を格段に省力化し得る超薄型金属製型枠パネル及
びそれを用いた型枠並びに基礎の施工方法を提供するこ
とである。
【0006】
【課題を解決するための手段及びその作用】請求項1に
係る超薄型金属製型枠パネルは、金属板を折曲して縦方
向に延びる補強突条を横方向に間隔をあけて複数並列状
に形成し、縦方向の途中部に少なくとも各補強突条の頂
面と両側面を横方向に切断してなる折曲案内部を、残部
を連結部として残した状態で形成したものである。
【0007】この型枠パネルでは、折曲案内部に沿って
型枠パネルを折曲できるので、厚さの異なる部分を有す
るようなコンクリート構造物においても、該構造物の外
面形状に応じた形状に型枠パネルを折曲させることで、
1回のコンクリートの打設により構築可能なコンクリー
ト構造物の施工範囲を拡大して、型枠の施工回数を少な
くできる。例えば、フーチング部を有するような基礎を
施工する場合、従来の施工方法では前述のように2回に
分けて型枠を施工していたが、本発明ではフーチング部
と基礎梁部とに沿うように型枠パネルを折曲させて型枠
を施工できるので、1回の型枠施工により基礎を構築す
ることが可能となる。
【0008】また、コンクリート構造物として基礎を施
工する場合には、型枠パネルのうちの地面から露出する
部分を折曲案内部に沿って下側へ折り返すことで、型枠
パネル全体を地中に埋設することが可能となる。つま
り、本発明では、基礎の埋戻し後に型枠パネルが外部に
露出しないように施工できるので、型枠パネルに対する
仕上用モルタルの施工作業を省略できる。
【0009】請求項2に係る超薄型金属製型枠パネル
は、金属板を折曲して縦方向に延びる補強突条を横方向
に間隔をあけて複数並列状に形成し、縦方向の途中部に
少なくとも各補強突条の頂面の一部を連結部として残し
た状態でその他の部分を横方向に切断してなる折曲案内
部を形成したものである。この型枠パネルにおいても、
折曲案内部に沿って型枠パネルを折曲させることによ
り、請求項1と同様に、1回のコンクリートの打設によ
り構築可能なコンクリート構造物の施工範囲を拡大し
て、型枠の施工回数を少なくできるとともに、基礎を施
工するときに、型枠パネルが外部に露出しないようにで
きるので、型枠パネルに対する仕上用モルタルの施工作
業を省略することが可能となる。
【0010】請求項3記載の超薄型金属製型枠パネル
は、前記折曲案内部を、施工する建築物の基礎側面の角
部に対応させて形成したものである。この場合には、型
枠パネルが基礎の側面形状に沿うように、該パネルを折
曲案内部に沿って折曲することで、フーチング部と基礎
梁部とを有するような基礎でも、1回の施工により施工
することが可能となる。
【0011】請求項4記載の超薄型金属製型枠パネル
は、前記折曲案内部を、建築物の基礎施工時に地面より
も下側に配置されるように形成したものである。この場
合には、基礎の施工後に、型枠パネルのうちの地面から
露出する部分を折曲案内部に沿って下側へ折り返すこと
で、型枠パネルのうちの地面よりも上側に露出する部分
に対して仕上用モルタルを施工する必要がないので、基
礎の施工作業を格段に省力化できる。
【0012】請求項5記載の超薄型金属製型枠パネル
は、前記金属板の横方向の両側縁に折返部を縦方向に連
続的に形成したものである。この場合には、型枠パネル
の側縁が鋭利になることを防止して、施工作業時等にお
いて手指を傷つけてしまうという不具合を防止できるの
で、型枠パネルの取扱いの安全性を向上できる。
【0013】請求項6記載の超薄型金属製型枠パネル
は、前記型枠パネルの横方向の一側部に係止孔を形成
し、横方向の他側部に係合突部を形成し、係合突部を係
止孔に係合させて、隣接する型枠パネル同士を結合可能
となしたものである。この型枠パネルでは、係合突部を
係止孔に係合させて隣接する型枠パネルを順次結合でき
るので、型枠の施工作業を効率的に行うことが可能とな
る。
【0014】請求項7記載の超薄型金属製型枠パネル
は、隣接する補強突条間において型枠パネルに、コンク
リートが染み出す程度の開口幅の流出孔を形成したもの
である。このように構成すると、型枠間に打設したコン
クリートが流出孔から染み出して固化することになる。
そして、流出孔から染み出して固化したコンクリートに
より型枠パネルと打設したコンクリートとが強固に結合
されるので、打設したコンクリートが固化することによ
り収縮しても、該コンクリートと型枠パネル間に隙間が
形成されることを防止でき、コンクリート構造物の外面
強度を向上できる。
【0015】請求項8に係る型枠は、請求項1〜7のい
ずれか1項記載の型枠パネルと、前記型枠パネルを平板
状に保形するために、型枠パネルの縦方向の両側緑に型
枠パネルの横方向に沿って外嵌固定した第1及び第2補
強レールとを備えたものである。
【0016】この型枠では、型枠パネルに形成した補強
突条と、型枠パネルの縦方向の両側縁に外嵌固定した第
1及び第2補強レールとで型枠が平板状に保形され、型
枠の強度を高めて、打設したコンクリートの圧力による
型枠パネルの変形を効果杓に防止できる。また、型枠パ
ネルを折曲案内部に沿って折曲させることにより、請求
項1又は2と同様に、1回のコンクリートの打設により
構築可能なコンクリート構造物の施工範囲を拡大して、
型枠の施工回数を少なくできるとともに、基礎を施工す
るときに、型枠パネルに対する仕上用モルタルの施工作
業を省略することが可能となる。
【0017】請求項9記載の型枠は、少なくとも前記第
1補強レールを断面略U字状に形成し、該補強レールの
相対面する側壁の一方に、釘打機の先端部を挿入するた
めの切欠部を一定間隔おきに形成したものである。この
場合には、補強レールの側壁間の間隔が狭い場合でも、
釘打機の先端部を切欠部に挿入して、補強レールを捨て
コンクリート等に容易に固定することが可能となる。
【0018】請求項10記載の型枠は、前記補強レール
を断面略U字状に形成し、補強レールの両側璧に連なる
中間壁の一端部に横方向に延びる切込部を形成し、この
切込部を介して補強レールの相対面する側壁間距離を調
整して隣接する補強レール同士を嵌合可能に構成したも
のである。このように構成すると、補強レールとして強
度的に有利な断面略U字状の部材を採用することが可能
となり、しかも隣接する補強レールを容易に結合できる
ので好ましい。
【0019】請求項11記載の型枠は、前記両補強レー
ルを同一形状に構成したものである。このように構成す
ることで、補強レールの製作コストを低減できるととも
に第1補強レールと第2補強レールとの組立ミスを確実
に防止できる。
【0020】請求項12記載の型枠は、前記補強突条の
内側或いは隣接する補強突条間に、型枠パネルを補強す
るための補強部材を固定したものである。このような補
強部材を設けることで、型枠の強度を高めて、打設した
コンクリートの圧力による型枠パネルの変形をより一層
効果的に防止できる。
【0021】請求項13に係る基礎の施工方法は、請求
項8〜12のいずれか1項記載の型枠を用いた基礎の施
工方法であって、1対の第1補強レールを施工現場に敷
設した捨てコンクリート上の所定位置に相互に間隔をあ
けて略平行に固定してから、両第1補強レールに型枠パ
ネルを嵌合固定するとともに、型枠パネルの上端部に第
2補強レールをそれぞれ嵌合固定して1対の型枠を施工
し、両型枠間に亙って間隔設定用のセパレータを組み付
けてから、両型枠間にコンクリートを打設するものであ
る。
【0022】この施工方法においては、前述した型枠パ
ネルを用いているので、折曲案内部に沿って型枠パネル
を折曲させることにより、基礎の外面に沿って型枠パネ
ルを配置でき、1回のコンクリートの打設により構築可
能な基礎の施工範囲を拡大して、型枠の施工回数を少な
くできる。また、基礎を施工するときに、型枠パネルが
外部に露出しないようにできるので、型枠パネルに対す
る仕上用モルタルの施工作業を省略することが可能とな
る。
【0023】請求項14記載の施工方法は、前記型枠の
施工時に、型枠パネルが基礎の側面に沿うように折曲案
内部において型枠パネルを折曲するものである。この場
合には、フーチング部と基礎梁部とを有する基礎におい
ても、該基礎の外面形状に応じた形状に型枠パネルを折
曲させることで、1回のコンクリートの打設により基礎
を構築することが可能となる。
【0024】請求項15記載の施工方法は、前記型枠間
にコンクリートを打設して養生固化したのち、地面より
も上側に露出する型枠を折曲案内部に沿って下側に折り
返してから基礎を埋め戻すものである。この場合には、
型枠パネルが地面から露出することが防止され、型枠パ
ネルに対する仕上用モルタルの施工作業を省略できるの
で好ましい。
【0025】請求項16記載の施工方法は、第2補強レ
ールの高さが設定値になるように、第1補強レールに対
する型枠パネルの固定位置と、型枠パネルに対する第2
補強レールの固定位置を調整して型枠を施工するもので
ある。捨てコンクリートは比較的ラフに施工されてお
り、その上面の高さのバラツキは30〜50mmである
が、型枠上端の高さのバラツキは±5mm程度の高精度
に設定する必要がある。本発明では、第1補強レールに
対する型枠パネルの固定位置と、型枠パネルに対する第
2補強レールの固定位置を高さ方向に調整することで、
第2補強レールの高さを設定値に精度よく調整できる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照しながら説明する。図1に示すように、型
枠1は、超薄型金属製型枠パネル(以下、単に型枠パネ
ルと称する)2と、型枠パネル2の下縁に外嵌固定され
る下部補強レール(第1補強レール)3と、型枠パネル
2の上縁に外嵌固定される上部補強レール(第2補強レ
ール)4とを備えている。
【0027】先ず、型枠パネル2について説明する。型
枠パネル2は、鋼板に防錆処理として亜鉛メッキを施し
た金属板をプレス成形して製作されている。防錆処理と
しては、亜鉛メッキ以外の金属メッキや、防錆塗料を塗
布するなどの方法を採用することも可能である。鋼板の
厚さは、施工するコンクリート構造物のサイズ等に応じ
て適宜に設定可能であるが、例えば厚さ0.2〜2.O
mmのものが好適に利用できる。
【0028】型枠パネル2には、図1、図2に示すよう
に、上下方向(縦方向)に延びる補強突条5が左右方向
(横方向)に間隔をあけて複数並列状に形成され、隣接
する補強突条5間には幅の広い平坦部6と幅の狭い平坦
部7が交互に形成されている。補強突条5の断面形状や
サイズ、隣接する補強突条5間の間隔は任意に設定可能
である。例えば、補強突条5として、図3(a)〜図3
(d)に示すような断面形状の補強突条5A〜5Dを用
いることも可能である。但し、補強突条5A〜5Dの内
側の空間(ハッチングで示す部分)8A〜8Dの容積が
大きくなりすぎると、その分打設するコンクリート量が
増えるので、十分な強度を確保しつつ、補強突条5A〜
5Dの内側の空間8A〜8Dが極力小さくなるように設
定することが好ましい。
【0029】隣接配置される型枠パネル2同士を結合す
るため、型枠パネル2の両側部にはワンタッチで結合可
能な凹凸嵌合などからなる結合構造が設けられている。
例えば、図4に示すように、型枠パネル2の両側部に補
強突条5と同じ側へ延びる嵌合縁部9,10を形成し、
第1嵌合縁部9とそれに対面する補強突条5の側壁5a
に係止孔11を上下に一定間隔おきに形成し、第2嵌合
縁部10とそれに対面する補強突条5の側壁5aに係止
孔11に嵌合する係合突部12を上下に一定間隔おきに
形成し、図4(a)に示すように、第1嵌合縁部9とそ
れに隣接する補強究条5間に、第2嵌合縁部10とそれ
に対面する補強突条5の側壁5aを嵌合させ、係止孔1
1に係合突部12を嵌合させて隣接する型枠パネル2が
結合されるように構成されている。但し、例示した以外
の結合構造を採用してもよいし、単に隣接する型枠パネ
ル2をその側縁同士を重ね合わせてビス止めしてもよ
い。更に、前述したような結合構造とビス止めとを併用
して隣接する型枠パネル2を結合してもよい。
【0030】図4に示すように、型枠パネル2の左右の
側縁には折返部13が上下方向の全長にわたって形成さ
れ、型枠パネル2の輸送時や施工時等において、作業者
が手指を切ったりしないように構成されている。尚、型
枠パネル2の上縁及び下縁にも折返部を形成することが
好ましい。また、型枠パネル2のコーナ部が鋭く尖らな
いように丸みをつけてもよい。
【0031】図1、図5に示すように、補強突条5間の
幅の広い平坦部6には上下方向に一定間隔おきに左右方
向に細長い突出部14が形成され、突出部14の上縁に
はコンクリートが染み出す程度の開口幅の流出孔15が
形成されている。但し、流出孔15は、突出部14の下
縁に形成してもよい。また、補強突条5間の幅の狭い平
坦部7には、一部を接続部16として残した状態で円形
に切断した切離片17が一定間隔おきに設けられ、型枠
の施工時にセパレータ52の固定位置に形成される切離
片17を除去して貫通孔を形成し、この貫通孔に対して
セパレータ52の端部を挿通させて、セパレータ52を
固定するように構成されている。尚、切離片17の外周
部に形成されるスリット18は前記流出孔15と同様に
コンクリートが染み出す程度の開口幅に形成されてい
る。
【0032】このように、型枠パネル2に流出孔15及
びスリット18を形成すると、後述のように平行配置し
た型枠1間にコンクリートを打設したときに、打設した
コンクリートの一部が流出孔15及びスリット18から
外部に染み出して固化し、この固化したコンクリートに
より型枠パネル2と打設したコンクリートとが結合さ
れ、コンクリートが養生固化により収縮しても、コンク
リート構造物と型枠パネル2間に隙間が形成されること
が防止される。但し、後述のように、基礎の施工後に型
枠パネル2を下側へ折り返す場合には、型枠パネル2の
うちの下側へ折り返す部分には流出孔15を形成しない
ようにして、型枠パネル2を基礎から容易に取り外せる
ように構成することが好ましい。
【0033】型枠パネル2の上下方向の途中部には、図
1、図6に示すように、少なくとも各補強突条5の両側
面5aと頂面5bを横方向に切断してなる折曲案内部2
0が残部を連結部21として残した状態で形成されてい
る。但し、図7に示す型枠パネル2’のように、少なく
とも各補強突条5の頂面5bの一部を連結部21’とし
て残した状態でその他の部分を横方向に切断してなる折
曲案内部20’を形成してもよい。
【0034】この折曲案内部20の高さ位置は、施工す
るコンクリート構造物によって設定することになる。具
体的には、コンクリート構造物として、例えば図11に
示すような構成の基礎30を施工する場合には、型枠パ
ネル2の地面Gよりもやや下側の部分に折曲案内部20
を設け、基礎30の施工後に型枠パネル2の上半部を折
曲案内部20に沿って下側に折り返して、型枠パネル2
全体を地中に埋め戻すことになる。また、コンクリート
構造物の厚さを高さ方向の部位によって変更する場合に
は、コンクリート構造物に外面に形成される角部に沿っ
て折曲案内部20を形成することになる。例えば、図1
2に示す基礎40のように、基礎梁部41とフーチング
部42とを有する場合には、基礎梁部41の下端部とフ
ーチング部42の上端部の2カ所の角部43,44に対
応させて折曲案内部20を設けることになる。
【0035】尚、型枠パネル2に対して更に補強が必要
な場合には、別部材を型枠パネル2に固定して補強する
ことになる。例えば、型枠パネル2の上下方向の途中部
が外側に膨出する方向へ変形する場合には、図8に示す
ように、別部材として、隣接する補強突条5間の平坦部
7に重ね合わされる平板部24と、この平板部24の上
下両端部に補強突条5の側壁5aに当接する立起部25
とを備えた補強部材26をビス等により固定することに
なる。
【0036】上下の補強レール3,4は、図1、図9に
示すように、型枠パネル2と同様に金属板をプレス成形
して製作したもので、断面略U字状に形成され、型枠パ
ネル2の上下に外嵌固定されて、型枠パネル2を平板状
に保形するためのものである。上下の補強レール3,4
は異形状の部材で構成してもよいが、部品の種類を減ら
して製作コストを低減するとともに補強レール3,4の
組付ミスを防止するため、同一形状の部材で構成するこ
とが好ましい。
【0037】補強レール3,4の相対向する側壁3a,
4aの間隔は、型枠パネル2の上縁及び下縁に外嵌固定
するため、型枠パネル2の補強突条5の高さよりもやや
広い間隔にそれぞれ設定されている。補強レール3,4
の側壁3a,4aの一方には左右方向に一定間隔置きに
切欠部23が形成され、下側の補強レール3,4におい
ては、この切欠部23に釘打機(図示外)の先端部を挿
入して捨てコンクリートに固定できるように構成されて
いる。但し、上側の補強レール4にはこの切欠部23を
形成する必要はないが、上下の補強レール3,4を同一
部材で構成するために設けている。また、切欠部23に
代えて、側壁3a,4aに1対の切込みを形成し、切込
み間の部分を切り起こして釘打機の先端部を挿入できる
ように構成してもよい。
【0038】補強レール3,4の一端部において両側壁
3a,4a間の中間壁3b,4bには左右方向に延びる
切込部27が形成され、この切込部27を介して補強レ
ール3,4の両側壁3a,4aの間隔を広げた状態で、
該補強レール3,4を隣接する補強レール3,4の端部
に嵌合固定できるように構成されている。
【0039】次に、前記型枠1を用いた基礎の施工方法
について説明する。先ず、図10(a)に示すように、
基礎の施工位置を設定探さまで掘削して溝を形成し、そ
の後溝底部に割栗石50を敷設してから捨てコンクリー
ト51を打設する。
【0040】次に、捨てコンクリート上に必要な鉄筋
(図示略)を施工した後、図10(b)に示すように、
捨てコンクリート51上において鉄筋を挟んで両側に下
部補強レール3を固定する。より具体的には、1対の下
部補強レール3を、その中間璧3bを下側にし且つ切欠
部23を外側にして、設定間隔あけて捨てコンクリート
51上に平行に配置し、切欠部23に釘打機の先端部を
挿入して下部補強レール3を捨てコンクリート51に釘
打ち固定する。
【0041】次に、図10(c)に示すように、型枠パ
ネル2を補強突条5が外側へ向くように縦向き姿勢にし
てその下端を下部補強レール3に対して挿入し、1対の
補強レール3に対して型枠パネル2を順次組み付ける。
このとき、隣接する型枠パネル2は、側縁を重ね合わせ
て、係止突部12を係止孔11に嵌合させて仮止めした
状態で下部補強レール3に装着する。
【0042】そして、型枠パネル2を下部補強レール3
にビスで固定し、隣接する型枠パネル2をビスで固定す
るとともに、平行配置される型枠パネル2の間隔が設定
値になるように、図10(d)に示すように、両型枠パ
ネル2にわたってセパレータ52をセットし、平行配置
された型枠パネル2の両側へ突出するセパレータ52の
両端部に座板53を介在させてフォームタイ54を締結
する。このとき、型枠パネル2の上縁が設定高さになる
ように、下部補強レール3に対する型枠パネル2の高さ
位置をある程度調整してから両者をビスで固定する。
【0043】次に、図10(d)に示すように、型枠パ
ネル2の上縁部に上部補強レール4を外嵌装着し、上部
補強レール4の高さが設定高さになるように、型枠パネ
ル2に対する上部補強レール4の高さ位置を精度よく調
整しながら両者をビスで固定する。
【0044】こうして型枠1を施工した後、型枠パネル
2の外側に左右方向にパイプ(図示略)を付設するとと
もに、必要に応じて上下方向にもパイプを付設し、これ
らのパイプにフォームタイ54を連結してから、型枠1
間にコンクリートを打設する。打設したコンクリート
は、その一部が流出孔15及びスリット18を介して型
枠パネル2の外面側へ染み出して固化するので、打設し
たコンクリートと型枠パネル2との結合強度が高めら
れ、コンクリートが養生固化により収縮しても、型枠パ
ネル2がコンクリートに密着した状態が維持される。
【0045】次に、打設したコンクリートが固化した
後、パイプ及びフォームタイ54を取り除き、図11
(a),(b)に示すように、折曲案内部20に沿って
型枠1の上側の部分を下側へ折り返してから、図11
(c)に示すように、型枠1全体が埋設されるように埋
め戻して、基礎30の施工を完了する。
【0046】尚、図12に示すように、基礎梁部41と
フーチング部42とを有する基礎40を施工する場合に
は、型枠パネル2として、基礎梁部40とフーチング部
42との境界部分に形成される上下の角部43,44に
対応するように折曲案内部20を形成した型枠パネル2
を用いて、前記と同様に基礎施工位置に型枠1を施工す
ることになる。但し、型枠パネル2は、下部補強レール
3への組付前或いは組付け後に、折曲案内部20を中心
に基礎40の側面形状に沿うように折曲させることにな
る。そして、打設したコンクリートが固化すると、図1
2(b)に示すように、上側の折曲案内部20を中心に
型枠1の上部を折返し、型枠1全体を基礎とともに埋め
戻すことになる。
【0047】尚、前記型枠1を用いて、基礎以外のコン
クリート構造物、例えば建築物の柱、璧、床などを施工
することも可能である。また、この型枠1と折曲案内部
20を有しない型枠とを併用して型枠を構成することも
可能である。
【0048】
【発明の効果】本発明による型枠パネルでは、折曲案内
部に沿って型枠パネルを折曲できるので、厚さの異なる
部分を有するようなコンクリート構造物においても、該
構造物の外面形状に応じた形状に型枠パネルを折曲させ
ることで、1回のコンクリートの打設により構築可能な
コンクリート構造物の施工範囲を拡大して、型枠の施工
回数を少なくできる。例えば、フーチング部を有するよ
うな基礎を施工する場合、従来の施工方法では前述のよ
うに2回に分けて型枠を施工していたが、本発明ではフ
ーチング部と基礎梁部とに沿うように型枠パネルを折曲
させて型枠を施工できるので、1回の型枠施工により基
礎を構築することが可能となる。
【0049】また、コンクリート構造物として基礎を施
工する場合には、型枠パネルのうちの地面から露出する
部分を折曲案内部に沿って下側へ折り返すことで、型枠
パネル全体を地中に埋設することが可能となる。つま
り、本発明では、基礎の埋戻し後に型枠パネルが外部に
露出しないように施工できるので、型枠パネルに対する
仕上用モルタルの施工作業を省略できる。
【0050】本発明による型枠では、型枠パネルに形成
した補強突条と、型枠パネルの縦方向の両側縁に外嵌固
定した第1及び第2補強レールとで型枠が平板状に保形
され、型枠の強度を高めて、打設したコンクリートの圧
力による型枠パネルの変形を効果杓に防止できる。ま
た、型枠パネルを折曲案内部に沿って折曲させることに
より、1回のコンクリートの打設により構築可能なコン
クリート構造物の施工範囲を拡大して、型枠の施工回数
を少なくできるとともに、基礎を施工するときに、型枠
パネルに対する仕上用モルタルの施工作業を省略するこ
とが可能となる。
【0051】本発明による施工方法においては、前述し
た型枠パネルを用いているので、折曲案内部に沿って型
枠パネルを折曲させることにより、基礎の外面に沿って
型枠パネルを配置でき、1回のコンクリートの打設によ
り構築可能な基礎の施工範囲を拡大して、型枠の施工回
数を少なくできる。また、基礎を施工するときに、型枠
パネルが外部に露出しないようにできるので、型枠パネ
ルに対する仕上用モルタルの施工作業を省略することが
可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】基礎施工時における型枠の分解斜視図。
【図2】型枠パネルの平面図。
【図3】他の構成の型枠パネルの要部平面図。
【図4】隣接する型枠パネルの結合構造の説明図。
【図5】流出孔及びスリットの形成部位の説明図。
【図6】折曲案内部の形成部位の説明図。
【図7】他の構成の折曲案内部の形成部位の説明図。
【図8】型枠パネルに取り付ける補強部材の説明図。
【図9】補強レールの要部斜視図。
【図10】基礎の施工方法の説明図。
【図11】同基礎の施工方法の説明図。
【図12】他の構成の基礎の施工方法の説明図。
【符号の説明】
1 型枠 2 型枠パネル 3 下部補強レール 3a 側壁 3b 中間壁 4 上部補強レール 4a 側壁 4b 中間壁 5 補強突条 5a 側壁 5b 頂面 6 折平坦部 7 平坦部 5A〜5D 補強突条 8A〜8D 空間 9 嵌合縁部 10 嵌合縁部 11 係止孔 12 係合突部 13 折返部 14 突出部 15 流出孔 16 接続部 17 切離片 18 スリット 20 折曲案内部 21 連結部 23 切欠部 24 平板部 25 立起部 26 補強部材 27 切込部 2’ 型枠パネル 20’ 折曲案内部 21’ 連結部 30 基礎 40 基礎 41 基礎梁部 42 フーチング部 43 角部 44 角部 50 割栗石 51 コンクリート

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属板を折曲して縦方向に延びる補強突
    条を横方向に間隔をあけて複数並列状に形成し、縦方向
    の途中部に少なくとも各補強突条の頂面と両側面を横方
    向に切断してなる折曲案内部を、残部を連結部として残
    した状態で形成した、 ことを特徴とする超薄型金属製型枠パネル。
  2. 【請求項2】 金属板を折曲して縦方向に延びる補強突
    条を横方向に間隔をあけて複数並列状に形成し、縦方向
    の途中部に少なくとも各補強突条の頂面の一部を連結部
    として残した状態でその他の部分を横方向に切断してな
    る折曲案内部を形成した、 ことを特徴とする超薄型金属製型枠パネル。
  3. 【請求項3】 前記折曲案内部を、施工する建築物の基
    礎側面の角部に対応させて形成した請求項1又は2記載
    の超薄型金属製型枠パネル。
  4. 【請求項4】 前記折曲案内部を、建築物の基礎施工時
    に地面よりも下側に配置されるように形成した請求項1
    〜3のいずれいか1項記載の超薄型金属製型枠パネル。
  5. 【請求項5】 前記金属板の横方向の両側縁に折返部を
    縦方向に連続的に形成した請求項1〜4のいずれか1項
    記載の超薄型金属製型枠パネル。
  6. 【請求項6】 前記型枠パネルの横方向の一側部に係止
    孔を形成し、横方向の他側部に係合突部を形成し、係合
    突部を係止孔に係合させて、隣接する型枠パネル同士を
    結合可能となした請求項1〜5のいずれか1項記載の超
    薄型金属製型枠パネル。
  7. 【請求項7】 隣接する補強突条間において型枠パネル
    に、コンクリートが染み出す程度の開口幅の流出孔を形
    成した請求項1〜6のいずれか1項記載の超薄型金属製
    型枠パネル。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項記載の超薄
    型金属製型枠パネルと、 前記型枠パネルを平板状に保形するために、型枠パネル
    の縦方向の両側縁に型枠パネルの横方向に沿って外嵌固
    定した第1及び第2補強レールと、 を備えた型枠。
  9. 【請求項9】 少なくとも前記第1補強レールを断面略
    U字状に形成し、該補強レールの相対面する側壁の一方
    に、釘打機の先端部を挿入するための切欠部を一定間隔
    おきに形成した請求項8記載の型枠。
  10. 【請求項10】 前記補強レールを断面略U字状に形成
    し、補強レールの両側璧に連なる中間壁の一端部に横方
    向に延びる切込部を形成し、この切込部を介して補強レ
    ールの相対面する側壁間距離を調整して隣接する補強レ
    ール同士を嵌合可能に構成した請求項8又は9記載の型
    枠。
  11. 【請求項11】 前記両補強レールを同一形状に構成し
    た請求項8〜10のいずれか1項記載の型枠。
  12. 【請求項12】前記補強突条の内側或いは隣接する補強
    突条間に、型枠パネルを補強するための補強部材を固定
    した請求項8〜11のいずれか1項記載の型枠。
  13. 【請求項13】 請求項8〜12のいずれか1項記載の
    型枠を用いた基礎の施工方法であって、 1対の第1補強レールを施工現場に敷設した捨てコンク
    リート上の所定位置に相互に間隔をあけて略平行に固定
    してから、両第1補強レールに型枠パネルを嵌合固定す
    るとともに、型枠パネルの上端部に第2補強レールをそ
    れぞれ嵌合固定して1対の型枠を施工し、 両型枠間に亙って間隔設定用のセパレータを組み付けて
    から、両型枠間にコンクリートを打設する、 ことを特徴とする基礎の施工方法。
  14. 【請求項14】 前記型枠の施工特に、型枠パネルが基
    礎の側面に沿うように折曲案内部において型枠パネルを
    折曲する請求項13記載の基礎の施工方法。
  15. 【請求項15】 前記型枠間にコンクリートを打設して
    養生固化したのち、地面よりも上側に露出する型枠を折
    曲案内部に沿って下側に折り返してから基礎を埋め戻す
    請求項13又は14記載の基礎の施工方法。
  16. 【請求項16】 第2補強レールの高さが設定値になる
    ように、第1補強レールに対する型枠パネルの固定位置
    と、型枠パネルに対する第2補強レールの固定位置を調
    整して型枠を施工する請求項13〜15のいずれか1項
    記載の基礎の施工方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009074260A (ja) * 2007-09-19 2009-04-09 Asahi Kasei Homes Kk 組立式型枠とこれを用いたアンカーボルトの増設方法
JP2018003333A (ja) * 2016-06-29 2018-01-11 東急建設株式会社 型枠装置及びコンクリート構造体の構築方法

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