JP2002146721A - プレキャスト壁高欄設置工法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、鉄筋コンクリート壁および地覆部
をプレキャスト化し、既設桁への定着をＰＣ鋼線によっ
て行うことで工期の短縮および変形性能の向上を図った
設置工法を提供するものである。 【解決手段】 本発明は、一般道路又は高速道路などの
橋梁の既設桁１の床版２上に、プレキャスト化したプレ
キャスト地覆ブロック５およびプレキャスト高欄ブロッ
ク４を載置し、更に床版２に貫通孔３およびプレキャス
ト地覆ブロック５およびプレキャスト高欄ブロック４に
定着用ＰＣ鋼線挿通孔６を穿孔し、この貫通孔３および
定着用ＰＣ鋼線挿通孔６に定着用ＰＣ鋼線を挿通し互い
に連結する設置工法である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は一般道路、又は高速
道路などの橋梁に施工される鉄筋コンクリート壁高欄の
設置工法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より一般道路、又は高速道路などの
橋梁に施工される鉄筋コンクリート壁高欄は、図４に示
すように既設桁ａに鉄筋ｂが埋め込まれ、地覆ｃおよび
壁高欄ｄへの型枠内での配筋が行われ、現場におけるコ
ンクリート打ちによって既設桁ａと一体とした鉄筋コン
クリート壁高欄の設置が行われるものである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし年々増加する車
両の排気ガスに含まれる酸化物質によってコンクリート
および鉄筋の劣化が増長されて鉄筋コンクリート壁高欄
の崩壊や崩落が顕在化しているのが実情である。

【０００４】その対策として早急な鉄筋コンクリート壁
高欄の取り替えが求められるものであるが、その取り替
え作業は図５に示すように、現況の地覆ｃおよび壁高欄
ｄを取壊し、新たに既設桁ａに鉄筋ｂを埋め込み、新設
と同様に地覆ｃおよび壁高欄ｄへの型枠内での配筋が行
われ、現場におけるコンクリート打ちによって既設桁ａ
と一体とした鉄筋コンクリート壁高欄の設置を行わなけ
ればならない。

【０００５】従ってその取り替え工事は非常に煩雑な作
業となり、かつ施工日数もかなり要することから、協用
中の路線においては、交通規制も含めた対費用効果の面
から見送られることが多々あるのが現状である。

【０００６】又従来の現場打ちでの鉄筋コンクリート壁
高欄は既設桁ａと一体となっているために、水平力での
変形量が殆どなく、鋼製防護柵に比べて車両衝突時の衝
撃が殆ど吸収されない問題がある。

【０００７】そこで本発明では上記問題点を解消するた
めに、鉄筋コンクリート壁および地覆部をプレキャスト
化し、既設桁への定着をＰＣ鋼線によって行うことで工
期の短縮および変形性能の向上を図った設置工法を提供
するものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明の請求項１は、一
般道路又は高速道路などの橋梁の既設桁の床版上に、プ
レキャスト化したプレキャスト地覆ブロックおよびプレ
キャスト高欄ブロックを載置し、更に鋼材によって上記
床版およびプレキャスト地覆ブロック並びにプレキャス
ト高欄ブロックを連結することを特徴とする。

【０００９】請求項２は、請求項１の上記床版およびプ
レキャスト地覆ブロック並びにプレキャスト高欄ブロッ
クの縦方向へ鋼材が貫通する挿通孔を穿孔し、該挿通孔
に鋼材を挿通してその両端を締結部材によって締結する
ことによって床版およびプレキャスト地覆ブロック並び
にプレキャスト高欄ブロックを連結することを特徴す
る。

【００１０】請求項３は、請求項２の上記プレキャスト
地覆ブロックおよびプレキャスト高欄ブロックに予め挿
通孔が穿孔されていることを特徴とする。

【００１１】請求項４は、請求項１、請求項２又は請求
項３の上記鋼材がＰＣ鋼材であることを特徴とする。

【００１２】請求項５は、請求項１、請求項２、請求項
３又は請求項４の上記並置されるプレキャスト地覆ブロ
ックおよびプレキャスト高欄ブロックの少なくとも一つ
を適宜手段によって互いに連結することを特徴とする。

【００１３】本発明では連結部材としてＰＣ鋼材を用い
ることによって水平方向からの衝撃力に対して変形量が
１０ｍｍ程度に押さえた可動壁を特徴とする。

【００１４】又プレキャスト地覆ブロックおよびプレキ
ャスト高欄ブロックに穿孔される挿通孔は、予め製品化
する際に形成し、現場において上記プレキャスト地覆ブ
ロックおよびプレキャスト高欄ブロックの挿通孔位置に
合わせて橋梁の既設桁の床版に挿通孔を穿孔する構成す
る。

【００１５】並置されるプレキャスト地覆ブロックおよ
びプレキャスト高欄ブロックとの連結は、種々の手段が
あるが、例えば３〜４個を一単位として横方向に挿通孔
（予め製品化の際に形成する。）を穿孔し、この挿通孔
にＰＣ鋼材を挿通して、その両端をナットなどの締結部
材によって互いに連結し合う構成が望ましい。

【００１６】本発明工法では、プレキャスト化したプレ
キャスト地覆ブロックおよびプレキャスト高欄ブロック
を用いることによって新設や取り替え工事の場合に、従
来の現場打ちに対して大幅な工期の短縮が可能となるも
のである。又ＰＣ鋼材によって定着することにより、車
両などの衝突時に際してＰＣ鋼材が延びることで水平方
向への変形が生起し、車両衝突時の衝撃が軽減される。
なおＰＣ鋼材としては、ＰＣ鋼棒やＰＣ鋼線などがあ
り、状況に応じて最も適したものを採用するものであ
る。

【００１７】

【発明の実施の形態】以下本発明に係る実施の形態を、
その実施例を示す図面を参酌しながら詳述する。図１お
よび図２に示すように、一般道路、又は高速道路などの
橋梁の既設桁１の床版２に１ブロック（長さ２ｍ）当り
２箇所の貫通孔３の削孔を行うものである。

【００１８】そして上記既設桁１の床版２上に、プレキ
ャスト化した長さ２ｍのプレキャスト高欄ブロック４お
よびプレキャスト地覆ブロック５を載置する。

【００１９】これらのプレキャスト高欄ブロック４およ
びプレキャスト地覆ブロック５には、１ブロック当り２
箇所に上記貫通孔３と同位置上に縦方向の定着用ＰＣ鋼
線挿通孔６、６が穿孔されるものである。

【００２０】又上記プレキャスト高欄ブロック４および
プレキャスト地覆ブロック５の横方向には、複数個のプ
レキャスト高欄ブロック４およびプレキャスト地覆ブロ
ック５を連結するための連結用鋼線挿通孔７が穿孔され
るものである。

【００２１】そこで既設桁１の貫通孔３およびプレキャ
スト地覆ブロック５並びにプレキャスト高欄ブロック４
の定着用ＰＣ鋼線挿通孔６が連通状となるように載置し
た後に、定着用ＰＣ鋼線８を挿通し、この定着用ＰＣ鋼
線８の両端に形成されるネジ部９に座金１０およびナッ
ト１１を螺着し、締め付けることによって既設桁１上に
プレキャスト地覆ブロック５並びにプレキャスト高欄ブ
ロック４の定着を行うものである。

【００２２】次に３〜４個並置されるプレキャスト地覆
ブロック５並びにプレキャスト高欄ブロック４の連結用
鋼線挿通孔７に、連結用ＰＣ鋼線１１を挿通し、この連
結用ＰＣ鋼線１１の両端に形成されるネジ部９に座金１
０およびナット１２を螺着し、締め付ける（又はクサビ
定着）ことによってプレキャスト地覆ブロック５並びに
プレキャスト高欄ブロック４の連結を行うものである。

【００２３】更に３〜４個のプレキャスト地覆ブロック
５並びにプレキャスト高欄ブロック４を１単位として定
着固定を行い、その単位毎に設置されたプレキャスト地
覆ブロック５並びにプレキャスト高欄ブロック４との間
隔に、コンクリート１３の後打ちを行い、プレキャスト
壁高欄の設置が完了するものである。

【００２４】本発明工法では図３に示すように、水平力
Ｐがプレキャスト高欄ブロック４に作用すれれば定着用
ＰＣ鋼線８の延び歪みによりプレキャスト高欄ブロック
４の変形が生じる。この場合鋼製防護柵の水平力Ｐの作
用位置での変形量は７５〜１００ｍｍであるが、本発明
工法では変形量を１０ｍｍ程度に押さえた可動壁とな
る。これにより車両衝突時の作用エネルギーを吸収し、
車両への衝撃力が軽減される。

【００２５】

【発明の効果】以上述べて来た如く本発明によれば、予
めプレキャスト化したプレキャスト高欄ブロックおよび
プレキャスト地覆ブロックを現場においてＰＣ鋼線によ
って設置する工法とすることにより、大幅な施工期間の
短縮が可能となるものである。これにより既設の高欄壁
の取り替えにおいても、本発明工法を適応することがで
き、交通規制の短縮に大きく寄与することが可能とな
る。又ＰＣ鋼線による変形性能の向上によって車両の衝
突時の衝撃を緩和し、利用者の安全を確保することがで
きるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明工法の側面説明図である。

【図２】本発明工法の正面説明図である。

【図３】本発明工法における変形性能向上システムを示
す説明図である。

【図４】従来のコンクリート壁高欄の施工方法を示す説
明図である。

【図５】従来のコンクリート壁高欄の補修工法を示す説
明図である。

【符号の説明】

１ 既設桁 ２ 床版 ３ 貫通孔 ４ プレキャスト高欄ブロック ５ プレキャスト地覆ブロック ６ 定着用ＰＣ鋼線挿通孔 ７ 連結用ＰＣ鋼線挿通孔 ８ 定着用ＰＣ鋼線 １１ 連結用ＰＣ鋼線

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 一般道路又は高速道路などの橋梁の既設
   桁の床版上に、プレキャスト化したプレキャスト地覆ブ
   ロックおよびプレキャスト高欄ブロックを載置し、更に
   鋼材によって上記床版およびプレキャスト地覆ブロック
   並びにプレキャスト高欄ブロックを連結することを特徴
   とするプレキャスト壁高欄設置工法。
2. 【請求項２】 上記床版およびプレキャスト地覆ブロッ
   ク並びにプレキャスト高欄ブロックの縦方向へ鋼材が貫
   通する挿通孔を穿孔し、該挿通孔に鋼材を挿通してその
   両端を締結部材によって締結することによって床版およ
   びプレキャスト地覆ブロック並びにプレキャスト高欄ブ
   ロックを連結することを特徴する請求項１記載のプレキ
   ャスト壁高欄設置工法。
3. 【請求項３】 上記プレキャスト地覆ブロックおよびプ
   レキャスト高欄ブロックに予め挿通孔が穿孔されている
   ことを特徴とする請求項２記載のプレキャスト壁高欄設
   置工法。
4. 【請求項４】 上記鋼材がＰＣ鋼材であることを特徴と
   する請求項１、２又は３記載のプレキャスト壁高欄設置
   工法。
5. 【請求項５】 上記並置されるプレキャスト地覆ブロッ
   クおよびプレキャスト高欄ブロックの少なくとも一つを
   適宜手段によって互いに連結することを特徴とする請求
   項１、２、３又は４記載のプレキャスト壁高欄設置工
   法。