JP2002146362A - 床用艶出し剤組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】優れた光沢維持性を有しながら、耐汚れ性にも
優れる床用艶出し組成物を提供する。 【構成】（ａ）ＴｇがＦｏｘの式で５〜２０℃であるア
クリル系樹脂からなるエマルジョンと、（ｂ）ＴｇがＦ
ｏｘの式で４０〜８０℃であるアクリル系樹脂からなる
エマルジョン、及び（ｃ）ポリエチレンワックスエマル
ジョンを必須成分とし、成分（ａ）と成分（ｂ）との固
形分合計量に対して成分（ａ）が９５〜４０重量％であ
り、成分（ａ）と成分（ｂ）及び成分（ｃ）との固形分
合計量に対して成分（ｃ）が１０〜２重量％であること
を特徴とする床用艶出し剤組成物。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は床用水性艶出し剤組成物
に関し、更に詳しくは、優れた光沢維持性を有しながら
も、耐汚れ性にも優れる水性艶出し剤組成物に関する。

【０００２】

【従来の技術】艷出し剤のうち床用の艶出し剤の分類は
ＪＦＰＡ（日本フロアーポリッシュ工業会）規格−００
に規定されている。この規格にあるフロアーポリッシュ
のうち床用の艶出し剤として主流を占めているのは、水
性のポリマータイプのものである。この水性ポリマータ
イプは特公昭４４−２４４０７号、特公昭４９−１４５
８号、Ｃｏｓｍｅｔｉｃ Ｃｈｅｍｉｃａｌ Ｓｐｅｃ
ｉａｌｔｉｅｓ，６１（９），８６（１９８５）等に開
示されており、アクリル系共重合物のエマルジョン、ポ
リエチレンワックスエマルジョン、アルカリ可溶性樹
脂、可塑剤、その他からなるものである。

【０００３】この水性ポリマータイプの普及に伴い、性
能を向上させるために種々なものが研究、開発されてき
た。例えば、耐スリップ性を得るためにポリウレタン系
樹脂エマルジョンを含有した艶出し剤（特公昭５３−２
２５４８号）、この欠点である特性を改良する目的で、
脂肪族または脂環族イソシアネートと脂肪族ポリエステ
ルまたは脂肪族ポリエーテルから生成するウレタン樹脂
のエマルジョンを含有させた艶出し剤（特公平６−６６
９４号）、ウレタン−アクリル樹脂エマルジョンを含有
させた艶出し剤（特公平６−６６９５号）、また、光沢
維持性、耐ブラックヒールマーク性を改良する目的でア
イオノマー樹脂エマルジョンを含有させた艷出し剤（特
開平１１−６１０４７）などが考案されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする問題点】艷出し剤にアイオノ
マー樹脂エマルジョンを含有させることによって、光沢
維持性を向上させることができるが、アイオノマー樹脂
エマルジョンは、ガラス転移温度（Ｔｇ）が低いアクリ
ル系樹脂エマルジョンと組み合わせると、耐汚れ性が悪
くなるという欠点を有している。

【０００５】

【問題点を解決するための手段】本発明者は鋭意研究を
続けた結果、Ｔｇが５〜２０℃のアクリル系樹脂からな
るエマルジョンと、Ｔｇが４０〜８０℃であるアクリル
系樹脂からなるエマルジョン、及びポリエチレン（また
はポリプロピレン）ワックスエマルジョンを必須成分と
する床用艶出し剤組成物が特に優れた光沢維持性を有し
ながらも、耐汚れ性にも優れることを見出し、本発明を
完成するに至った。

【０００６】すなわち、本発明は光沢維持性に寄与する
低Ｔｇ側のアクリル系樹脂、耐汚れ性に寄与する高Ｔｇ
側のアクリル系樹脂、及びポリエチレン（またはポリプ
ロピレン）ワックスを組み合わせることで、優れた光沢
維持性を有しながら、耐汚れ性を向上させたものであ
る。

【０００７】本発明の床用艶出し剤組成物に用いられる
アクリル系樹脂エマルジョンとしては、スチレン、メチ
ルスチレン、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル
酸エチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタク
リル酸エチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシ
ル、アクリル酸２−エチル−ヘキシル、酢酸ビニルなら
びにこれらの型の共重合物の単独または混合物等が挙げ
られ、特公昭４４−２４４０９号等で公知である。

【０００８】さらに多価金属キレート剤を添加してなる
金属架橋型であっても良く、これは特公昭４９−１５４
８号、Ｍａｎｕｆａｃｔｕｒｉｎｇ Ｃｈｅｍｉｓｔ
ａｎｄ Ａｅｒｏｓｏｌ Ｎｅｗｓ．Ｊｕｎｅ．３１
（１９６９）等に開示されている。

【０００９】高Ｔｇ側のアクリル系樹脂、及びポリエチ
レン（またはポリプロピレン）ワックスを含有させる
と、その硬さ故に光沢維持性を悪化させる。これらを含
有しながら、光沢維持性を発現させるためには、低Ｔｇ
側のアクリル系樹脂のＴｇが２０℃以下である必要があ
るが、Ｔｇが低すぎるとタックが激しくなり、耐汚れ性
が悪化する。よって、Ｔｇは５〜２０℃である必要があ
る。また、耐汚れ性の向上のために用いる高Ｔｇ側のア
クリル系樹脂は、Ｔｇが４０℃以下であると、耐汚れ性
を発現させるために含有量が増えてしまい、光沢維持性
が悪化する。また、Ｔｇが８０℃以上であると造膜性が
低下する。よって、高Ｔｇ側のアクリル系樹脂のＴｇは
４０〜８０℃である必要がある。

【００１０】床用艶出し剤成分には通常ワックスエマル
ジョンが配合され、これらにはカルナバワックス、キャ
ンデリラワックス、モンタンワックス、モンタン誘導ワ
ックス、セレシンワックス、パラフィンワックス、マイ
クロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワ
ックス、アマイドワックス、ポリエチレンワックス、ま
たはそのカルボキシル変性ワックス、酸化ポリエチレン
ワックス、またはそのカルボキシル変性ワックス、ポリ
プロピレンワックス、またはそのカルボキシル変性ワッ
クス、酸化ポリプロピレンワックス、またはそのカルボ
キシル変性ワックス、グリコール変性酸化ポリエチレン
ワックス、グリコール変性酸化ポリプロピレンワック
ス、エチレン−アクリル酸共重合体ワックス、エチレン
−メタクリル酸共重合体ワックス等が挙げられる。これ
らのうち、最も耐汚れ性に優れるものは、ポリエチレン
ワックス（ポリエチレンワックス、そのカルボキシル変
性ワックス、酸化ポリエチレンワックス、そのカルボキ
シル変性ワックスの総称）またはポリプロピレンワック
ス（ポリプロピレンワックス、そのカルボキシル変性ワ
ックス、酸化ポリプロピレンワックス、そのカルボキシ
ル変性ワックスの総称）である。低Ｔｇのアクリル系樹
脂とポリエチレンワックス以外のワックス、及びポリプ
ロピレンワックス以外のワックスを組み合わせると、耐
汚れ性が悪化してしまう。

【００１１】本発明物には、可塑剤としてトリブトキシ
エチルフォスフェート等のリン酸エステル類やオレイン
酸エステル類、アジピン酸エステル類、アゼライン酸エ
ステル類、セバシン酸エステル類、フタル酸エステル
類、Ｎ−アルキルピロリドン等を、被膜形成剤としてア
ルコール類、グリコールエーテル類等を含むことができ
る。また、光沢維持性、耐汚れ性を悪化させない範囲で
ウレタン系樹脂、アイオノマー樹脂、Ｔｇが２０〜４０
℃のアクリル系樹脂等を、剥離性向上剤、レベリング助
剤としてアルカリ可溶性樹脂を、濡れ性向上剤としてフ
ッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等を、耐電
防止剤としてコロイダルシリカ、アルミナゾル等を用い
ることができる。この他に消泡剤、防腐剤、エマルジョ
ンモディファイヤー、香料、及び染料等を含むことがで
きる。

【００１２】ＴｇはＢｕｌｌ．Ａｍ．Ｐｈｙｓ．ｓｏ
ｃ．１（３），１２３（１９５６）のＴ．Ｇ．Ｆｏｘの
方法に従って算定された値による。本発明の艶出し剤組
成物は、上記各成分を混合した組成物として使用する。

【００１３】本発明における（ａ）ＴｇがＦｏｘの式で
５〜２０℃であるアクリル系樹脂からなるエマルジョン
と、（ｂ）ＴｇがＦｏｘの式で４０〜８０℃であるアク
リル系樹脂からなるエマルジョンとの配合割合は、両者
の固形分合計量に対して、成分（ａ）が９５〜４０重量
％、成分（ｂ）が６０〜５重量％である。成分（ａ）と
成分（ｂ）との固形分合計量に対して、成分（ａ）が４
０重量％未満で、成分（ｂ）が６０重量％を超えると光
沢維持性が低下し、一方成分（ａ）が９５重量％を超
え、成分（ｂ）が５重量％未満であると耐汚れ性が不充
分となる。また、（ｃ）ポリエチレンワックス、または
ポリプロピレンワックスエマルジョンの配合割合は、成
分（ａ）と成分（ｂ）及び成分（ｃ）の固形分合計量を
１００重量部としたとき、１０〜２重量％である。成分
（ｃ）が１０重量％以上になると光沢維持性が低下し、
成分（ｃ）が２重量％以下になると耐スカッフ性が低下
する。

【００１４】本発明の床用艶出し剤は、ビニル系、合成
樹脂塗り床などのプラスチック系床材、石材、セメント
系床材、木質系床材等に有効である。

【００１５】

【実施例】本発明の実施例及び比較例を挙げて、本発明
組成物の特徴について例証する。ただし本発明はこれら
の実施例及び比較例によってなんら制限されるものでは
ない。

【００１６】実施例１〜７及び比較例１〜１１ 表１（実施例）、表２（比較例）に示す組成の本発明物
を調製し、光沢維持性、耐汚れ性、及び耐スカッフ性を
評価した。表中の数字は重量％を示す。

【００１７】

【表１】

【表２】 試験項目とその評価方法について記す。光沢維持性、耐
汚れ性、及び耐スカッフ性は、試験タイルに塗り分けた
ものを床に設置し、適当な期間をおいて光沢感、汚れの
程度、及びスカッフの付き具合を目視評価した。これら
の試験結果を表３に示す。

【００１８】

【表３】 なお、表１中の（ｃ）がポリプロピレンワックスであっ
ても、前記試験結果と同様の結果を得た。

【００１９】

【発明の効果】以上のように、本発明の床用艶出し剤組
成物は特に光沢維持性において優れた性能を有し、ま
た、耐汚れ性においても優れた性能を有する。従って、
本艶出し剤組成物を歩行量の多い床面等に適用した場
合、高い美観の維持が可能となる。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】（ａ）ＴｇがＦｏｘの式で５〜２０℃であ
   るアクリル系樹脂からなるエマルジョンと、（ｂ）Ｔｇ
   がＦｏｘの式で４０〜８０℃であるアクリル系樹脂から
   なるエマルジョン、及び（ｃ）ポリエチレンワックスエ
   マルジョンを必須成分とし、成分（ａ）と成分（ｂ）と
   の固形分合計量に対して成分（ａ）が９５〜４０重量％
   であり、成分（ａ）と成分（ｂ）及び成分（ｃ）との固
   形分合計量に対して成分（ｃ）が１０〜２重量％である
   ことを特徴とする床用艷出し剤組成物。
2. 【請求項２】成分（ｃ）がポリプロピレンワックスエマ
   ルジョンである請求項１記載の床用艶出し剤組成物。