JP2002146049A - シート材、ならびにそれを有する感圧性接着シート - Google Patents

シート材、ならびにそれを有する感圧性接着シート

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シート材と感圧性接着剤層との間の剥離性に
すぐれる感圧性接着シート、および該シートに好適な剥
離機能を備えるシート材を提供する。 【解決手段】 感圧性接着シート用の剥離機能を有する
単層または積層のシート材であって、単層の場合にはシ
ート材自体が、また積層の場合にはその少なくとも一方
の最外層が、直鎖状エチレン系樹脂を主体成分とする樹
脂材料からなり、該樹脂材料は、温度上昇溶離分別法に
よって測定される30℃以下における溶出成分量が樹脂
材料全体の3重量%〜30重量%であるシート材、およ
びそれを用いた感圧性接着シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、感圧性接着シート
などの材料として好適なシート材、およびそのシート材
を有する感圧性接着シートに関する。本明細書におい
て、シート材、感圧性接着シートは、それぞれテープ
材、感圧性接着テープを包含するものである。
【0002】
【従来の技術】感圧性接着シートは、剥離剤を硬化させ
てなる層のみを有するシート材または当該層を最外層と
して有する剥離機能を有するシート材と、該シート材に
接する感圧性接着剤層とを備え、シート材と感圧性接着
剤層との間で剥離させることができる。前記シート材
は、剥離剤のみを硬化させるか、あるいは剥離シート基
材の少なくとも感圧性接着剤層に接することを意図する
側に剥離剤を塗布し硬化させることによって形成され
る。前記剥離剤としては、たとえばシリコーン系の剥離
剤が知られている。感圧性接着剤層は、たとえばアクリ
ル系の感圧性接着剤を用いて、シート材に接するように
形成される。
【0003】このような感圧性接着シートは、シート材
と感圧性接着剤層との間の剥離時に、シート材に含有さ
れるシリコーン化合物が感圧性接着剤層に付着してしま
う。シリコーン化合物が付着した感圧性接着剤層は、シ
リコーン化合物が付着しない感圧性接着剤層と比較し
て、接着強さが著しく低下してしまう。
【0004】また上述した感圧性接着シートを電子機器
の部品の固定などに用いると、一般に電子機器内部の腐
食または電子機器の誤動作が起こりやすくなる。このよ
うな腐食または誤動作は、前記シートがハードディスク
ドライブ(HDD)など電子機器の内部に用いられた場
合に特に起こりやすい。これは、シート材と感圧性接着
剤層との間の剥離時に感圧性接着剤層に付着したシリコ
ーン化合物がシロキサンガスを発生するためであると考
えられている。
【0005】また特公昭51−20205号公報には、
シリコーン系以外の剥離剤を用いて形成したシート材が
開示されている。このシート材では、剥離剤に低密度ポ
リエチレン樹脂を用いる。前記シート材は、剥離シート
基材の表面上に、その表面の酸化を抑制しながら低密度
ポリエチレン樹脂を積層することによって形成される。
【0006】さらにまた特開昭55−80479号公報
にも、シリコーン系以外の剥離剤を剥離シート基材に積
層して形成したシート材が開示されている。このシート
材では、低密度ポリエチレン樹脂とエチレン−プロピレ
ン共重合体とによる混合樹脂または低密度ポリエチレン
樹脂とエチレン−1−ブテンランダム共重合体とによる
混合樹脂が剥離剤に用いられる。
【0007】このようなシート材と感圧性接着剤層とを
有する感圧性接着シートは、感圧性接着剤層が比較的高
い接着強さを有する場合に、剥離性が低下する。剥離性
が低下した感圧性接着シートは、感圧性接着剤層とシー
ト材との間の剥離時に接着剤がシート材に付着したり、
剥離後の感圧性接着剤層の表面の形状がパルス状となる
スティックスリップなどと呼ばれる不所望な剥離を引き
起こしたりする。これによって感圧性接着剤層とシート
材との間の剥離で露出した感圧性接着剤層の表面粗さが
大きくなってしまう。このような感圧性接着シートで
は、感圧性接着剤層が本来備えている接着強さを充分に
発揮することができず、接着性がよくない。
【0008】また、低密度ポリエチレンとエチレン−プ
ロピレン共重合体またはエチレン−1−ブテンランダム
共重合体との混合樹脂を用いる場合、上述の問題点の
他、混合樹脂を得るまでに、樹脂を混合する工程が複数
必要であり、コスト高となる問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点を解決しようとするものであり、その目的は、シート
材と感圧性接着剤層との間の剥離性にすぐれる感圧性接
着シート、および該シートに好適な剥離機能を備えるシ
ート材を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意研究を行った結果、本発明を完成す
るに至った。本発明は、以下のとおりである。 (1)感圧性接着シート用の剥離機能を有する単層また
は積層のシート材であって、単層の場合にはシート材自
体が、また積層の場合にはその少なくとも一方の最外層
が、直鎖状エチレン系樹脂を主体成分とする樹脂材料か
らなり、該樹脂材料は、温度上昇溶離分別法によって測
定される30℃以下における溶出成分量が樹脂材料全体
の3重量%〜30重量%であることを特徴とするシート
材。 (2)上記直鎖状エチレン系樹脂が、炭素数3〜12の
α−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のコモノマ
ーとエチレンとの共重合体であることを特徴とする上記
(1)に記載のシート材。 (3)上記(1)または(2)に記載のシート材と、該
シート材が単層の場合にはシート材自体に、積層の場合
にはその少なくとも一方の最外層に接するように設けら
れる感圧性接着剤層とを有することを特徴とする感圧性
接着シート。 (4)感圧性接着剤層が、脂肪族系ポリカーボネートジ
オールを必須のポリオール成分としたポリエステル系接
着剤を主成分として形成されたものであることを特徴と
する上記(3)に記載の感圧性接着シート。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の感圧性接着シート用のシート材は、単層または
積層で実現され、単層の場合には当該シート材自体が、
また積層の場合には当該シート材の少なくとも一方に設
けられた最外層が、後述する直鎖状エチレン系樹脂を主
体成分とする特定の樹脂材料からなることを特徴とす
る。
【0012】本発明において、上記樹脂材料は、温度上
昇溶離分別法(TREF(Temperature R
ising Elution Fractionati
on)法)によって測定される30℃以下における溶出
成分量が、該樹脂材料全体の3重量%〜30重量%、好
ましくは4重量%〜15重量%である。上記溶出成分量
が樹脂材料全体の3重量%未満であると、シート材と感
圧性接着剤層との間が剥離しにくく、良好な結果が得ら
れにくくなる不具合がある。また上記溶出成分量が樹脂
材料全体の30重量%を超えると、シート材が柔らかく
なり過ぎて形状が維持できなくなってしまう、さらには
耐熱性に乏しくなってしまう不具合がある。
【0013】本発明で用いている温度上昇溶離分別法と
は、以下に示すとおりである。まず上記樹脂材料を、該
樹脂材料が完全に溶解する温度(たとえば140℃)の
o−ジクロロベンゼンに溶解し、次いで、一定速度(1
℃/min)で−10℃まで冷却し、不活性担体である
ガラスビーズの充填されたTREFカラム内に薄いポリ
マー層を形成させる。このとき、結晶化し易い高結晶性
成分のポリマー層から形成され、その後に結晶化しにく
い低結晶性若しくは非晶性成分のポリマー層が形成され
る。その後60分間−10℃にて保持し、流速1ml/
minにてカラム内にo−ジクロロベンゼンを移動相と
して流しながら、温度を段階的に昇温すると、上記と逆
に、低結晶性若しくは非晶性成分が先に溶出し、その後
に高結晶性成分が溶出する。このように各温度で順次溶
出した成分の溶出量と溶出温度によって描かれる溶出曲
線から該樹脂材料の組成分布を分析する。上記温度上昇
溶離分別法を行うための装置としては、たとえばクロス
分別クロマトグラフ装置(CFC T−150A型、三
菱化学(旧 三菱油化)社製)など、従来公知のものが
挙げられる。
【0014】上述のような、上記溶出成分量が特定の範
囲内の樹脂材料は、直鎖状エチレン系樹脂からなるもの
であってもよく、また直鎖状エチレン系樹脂を主体成分
とし、他の樹脂成分または添加物を含有する混合物であ
ってもよい。ただし樹脂材料が上記の混合物である場
合、前記樹脂成分または添加物は、直鎖状エチレン系樹
脂によってシート材に付加された剥離機能、成膜性、耐
溶剤性および耐熱性を損なわない範囲の量で含有され
る。
【0015】上述したような溶出成分量が特定の範囲内
の樹脂材料は、たとえば公知の方法によって共重合の条
件、精製の条件および分別の条件を適宜選択する方法に
よって得ることができる。また市販品を用いてもよい。
【0016】本発明のシート材は、シート材自体または
上記最外層が直鎖状エチレン系樹脂を主体成分とする特
定の樹脂材料からなることで、感圧性接着剤層との間の
剥離性に優れる感圧性接着シートに好適な剥離機能を備
える。また本発明のシート材では、感圧性接着剤層が比
較的高い接着強さを有する場合であっても、剥離性が低
下して、感圧性接着剤層とシート材との間の剥離時のシ
ート材への接着剤の付着やスティックスリップなどの不
所望な剥離を起こすことがない。したがって上記剥離で
露出した感圧性接着剤層の表面粗さを適度に保持でき、
感圧性接着剤層が充分な接着強さを発揮できる。
【0017】なお本明細書において「剥離性に優れる」
とは、たとえば、従来公知の万能引張試験機を用い、J
IS Z−0237に規定される測定方法に従って測定
された感圧性接着剤層のシート材への粘着力、言い換え
るとシート材からの剥離力が、0.05N/20mm幅
〜0.80N/20mm幅、好ましくは0.10N/2
0mm幅〜0.50N/20mm幅の範囲内にあること
を意味する。該剥離力が0.05N/20mm幅未満で
あると、使用前において不所望にシート材が感圧性接着
剤層から剥離してしまったり、部分的に感圧性接着剤層
からの浮きが生じてしまう不具合が起こる傾向がある。
また該剥離力が0.80N/20mm幅を超えると、使
用を意図する際にシート材を感圧性接着剤層から剥離す
ることが困難となる傾向があったり、不連続に剥離す
る、いわゆるスティックスリップが起こる傾向がある。
【0018】本発明において樹脂材料の主体成分である
直鎖状エチレン系樹脂は、特には限定されないが、たと
えばプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチ
ル−1−ペンテンならびに1−オクテンなどの炭素数3
〜12のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種の
コモノマーとエチレンとの共重合体であるのが好まし
く、中でもエチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−
4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ヘ
キセン共重合体、またはエチレン−1−オクテン共重合
体であるのが特に好ましい。
【0019】上記のような直鎖状エチレン系樹脂を主体
成分とする樹脂材料を用いることによって、従来のよう
に低密度ポリエチレンとエチレン−プロピレン共重合体
またはエチレン−1−ブテンランダム共重合体との混合
樹脂を用いる場合と比較して、少ない工程で該樹脂材料
を得ることができ、より簡易にかつ低いコストにて優れ
た剥離機能を備えるシート材を製造できる。
【0020】このようなシート材は、前記樹脂材料を押
出し成形法などの公知の成形法によってシート状に成形
した剥離シートとすることによって作製される。このよ
うな剥離シートの厚みは、その用途などに応じて適宜選
択することができ、たとえば30μm〜300μm程度
に選ばれる。シート材を単層で実現する場合は、かかる
剥離シートをそのままシート材として使用すればよい。
【0021】また本発明のシート材は、剥離シート基材
の少なくとも片側に上記樹脂材料からなる層が積層され
るシート材であってもよい。このような積層のシート材
は、上記樹脂材料を押出しラミネーション、ドライラミ
ネーション、ウェットラミネーションまたはホットメル
トラミネーションなどの公知の積層法によって剥離シー
ト基材の少なくとも片側に積層する。このような積層の
シート材の厚みは、その用途などに応じて適宜選択する
ことができ、たとえば30μm〜300μm程度に選ば
れる。
【0022】前記剥離シート基材としては、プラスティ
ックフィルム、金属箔または紙などが用いられる。プラ
スティックフィルムとしては、具体的には、高密度ポリ
エチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチ
レン、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリ
−4−メチル−1−ペンテン、ポリスチレンまたはポリ
塩化ビニルなどで形成されたものが挙げられる。また前
記金属箔としては、具体的には、アルミ箔またはステン
レス箔が挙げられる。前記紙としては、具体的には、和
紙、クラフト紙、上質紙またはクレープ紙が挙げられ
る。本発明における剥離シート基材においては、上記し
たものを単独で用いてもよいし、上記したものを組み合
わせて積層したものを用いてもよい。
【0023】上述した本発明のシート材を備える感圧性
接着シートは、該シート材が単層の場合にはシート材自
体に、積層の場合にはその少なくとも一方の最外層に接
するように設けられる感圧性接着剤層を有する。該感圧
性接着剤層は、シート材が単層の場合には上記剥離シー
トの一表面に、シート材が積層の場合には上記最外層の
最外の面に、溶剤系、エマルジョン系またはホットメル
ト系の感圧性接着剤を用いて形成する(たとえば、直接
塗布し、乾燥する)ことによって設けられる。該感圧性
接着剤層は、その厚みが1μm〜70μm、好ましくは
20μm〜50μmとなるように設けられる。
【0024】このような感圧性接着剤層を形成するため
の主成分となる感圧性接着剤としては特に限定はない
が、好ましい一例として、脂肪族系ポリカーボネートジ
オールを必須のポリオール成分とするポリエステル系重
合体が挙げられる。脂肪族系ポリカーボネートジオール
とは、下記式
【0025】
【化1】
【0026】〔式中、Rは炭素数2〜20の直鎖状また
は分枝鎖状の炭化水素基である。〕で示される繰返し単
位を有する脂肪族系ポリカーボネート構造を含むジオー
ルである。
【0027】このようなジオールは、たとえばブタンジ
オールなどのジオール成分とエチレンカーボネートなど
のカーボネート化合物との反応によって得られる。前記
ポリエステル系重合体は、重量平均分子量が好ましくは
1万以上、より好ましくは3万以上(通常30万以下)
のものが用いられる。このような脂肪族系ポリカーボネ
ートジオールを必須のポリオール成分とするポリエステ
ル系感圧性接着剤を主成分として感圧性接着剤層を形成
することによって、シート材と感圧性接着剤層との間の
剥離性を更に向上することができる。
【0028】前記脂肪族系ポリカーボネートジオールを
ポリオールの成分として有するポリエステル系感圧性接
着剤は、上述したような脂肪族系ポリカーボネート構造
を有するジオールに、必要に応じて各種の添加剤を加え
て調製される。
【0029】また本発明に用いられる感圧性接着剤にお
いて、ポリオール成分としては上記の脂肪族系ポリカー
ボネートジオールが好ましいが、これに限定されるもの
ではない。たとえばポリオール成分として、エチレング
リコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペ
ンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオー
ル、オクタンジオール、デカンジオールまたはオクタデ
カンジオールなどの直鎖状のジオール成分を有するもの
であってもよい。
【0030】このようなジオール成分と反応させる多塩
基性酸成分は、炭素数が2〜20の脂肪族または脂環族
の炭化水素基を分子骨格としたものが好ましい。前記脂
肪族炭化水素基は直鎖状であってもよく、また分枝鎖状
であってもよい。このような多塩基性酸成分として、具
体的には、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、アジ
ピン酸、セバシン酸、1,2−ドデカン二酸、1,14
−テトラデカン二酸、n−ヘキシルアジピン酸、テトラ
ヒドロフタル酸またはエンドメチレンテトラヒドロフタ
ル酸、あるいはそれらの酸無水物またはエステルなどの
誘導体が用いられる。
【0031】また本発明に好適に用いられる感圧性接着
剤としては、上述したポリオール成分を有するポリエス
テル系感圧性接着剤以外に、ポリアクリル酸エステルお
よび/またはポリメタクリル酸エステルを含有するポリ
アクリル酸エステル系感圧性接着剤が挙げられる。ポリ
アクリル酸エステル系感圧性接着剤は、溶液重合法また
はエマルジョン重合法などの当業者が通常用いる重合法
によって得られるアクリル系ポリマーを主剤とする。前
記アクリル系ポリマーは、ブチルアクリレート、2−エ
チルヘキシルアクリレートなどのアルキルアクリレー
ト、あるいはブチルメタクリレート、2−エチルヘキシ
ルメタクリレートなどのアルキルメタクリレートを主成
分とする。このようなアクリル系ポリマーを得るための
重合において、好ましくは、トルエン、酢酸エチルなど
の溶媒が用いられ、ベンゾイルパーオキサイド、アゾビ
スイソブチロニトリルなどの重合開始剤が用いられる。
このようなアクリル系ポリマーは、重量平均分子量が好
ましくは15万〜100万、より好ましくは25万〜8
0万のものが用いられる。
【0032】前記ポリアクリル酸エステル系接着剤は、
このようなアクリル系ポリマーに、必要に応じて各種の
添加剤を加えて調製してもよい。
【0033】また前記アクリル系ポリマーは、必要に応
じてアルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレー
トに、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロ
キシエチルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル
酸、スチレンおよび酢酸ビニルのうちの少なくともいず
れかのモノマーを共重合可能な改質用モノマーとして加
えたモノマー混合物の共重合体であってもよい。この共
重合において、好ましくは、トルエン、酢酸エチルなど
の溶媒が用いられ、ベンゾイルパーオキサイド、アゾビ
スイソブチロニトリルなどの重合開始剤が用いられる。
このような共重合体のアクリル系ポリマーから調整され
るポリアクリル酸エステル系感圧性接着剤を感圧性接着
剤層の形成に用いることによっても、シート材と感圧性
接着剤層との間の剥離性を更に向上することができる。
【0034】上述した感圧性接着剤層の形成に好適な感
圧性接着剤は、その調製過程でいかなる形態をも取り得
るけれども、溶剤系、エマルジョン系およびホットメル
ト系のうちのいずれかの形態で用いられるのが取り扱い
の上で好ましい。また上述した感圧性接着剤は、本発明
の範囲を逸脱しない限り、あるいは感圧性接着剤として
の接着性を損なわないならば単独で用いてもよく、また
従来からの公知の混合方法または撹拌方法によって混合
物として用いてもよい。
【0035】また本発明のシート材と感圧性接着剤層と
を有する感圧性接着シートは、好ましくは、前記感圧性
接着剤層のシート材に接する側とは反対側に接する支持
基材を備える。支持基材は、その厚みが30μm〜30
0μm、好ましくは50μm〜200μmに選ばれる。
支持基材としては、プラスティックフィルム、金属箔ま
たは紙などが用いられる。プラスティックフィルムとし
ては、具体的には、高密度ポリエチレン、低密度ポリエ
チレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリエステル、ポ
リプロピレン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、ポリ
スチレンまたはポリ塩化ビニルなどで形成されたものが
挙げられる。また前記金属箔としては、具体的には、ア
ルミ箔またはステンレス箔が挙げられる。前記紙として
は、具体的には、和紙、クラフト紙、上質紙またはクレ
ープ紙が挙げられる。本発明における支持基材において
は、上記したものを単独で用いてもよいし、上記したも
のを組み合わせて積層したものを用いてもよい。
【0036】このように支持基材を有する形態の感圧性
接着シートは、たとえば支持基材の一表面に感圧性接着
剤層を形成し、かつ剥離シート基材の一表面にシート材
を形成した後、これらを感圧性接着剤層がシート材に接
するように貼り合せることで形成できる。またシート材
に感圧性接着剤を直接塗布し乾燥することによって感圧
性接着剤層を形成し、感圧性接着剤層のシート材に接す
る側とは反対側に接するように支持基材を貼って形成し
てもよい。
【0037】また本発明のシート材を有する感圧性接着
シートは、支持基材の両面に感圧性接着剤層とシート材
との積層構造を備える両面の感圧性接着シートであって
もよい。換言すると、支持基材の両面にそれぞれ接する
各感圧性接着剤層と、各感圧性接着剤層にそれぞれ接す
る単層または積層のシート材とを備えてもよい。
【0038】また本発明の感圧性接着シートは、たとえ
ば支持基材の一方の表面に感圧性接着剤層が接し、かつ
支持基材の他方の表面(背面)に前記剥離シートの一表
面または前記積層のシート材の最外層が接するような構
造であってもよい。これによって自背面との剥離性にす
ぐれる感圧性接着シートを製造することができる。
【0039】上述した本発明のシート材を有する感圧性
接着シートの各形態は、感圧性接着テープにおいても好
適である。すなわち本発明のシート材を有する感圧性接
着テープは、両面の感圧性接着テープであってもよく、
また自背面との剥離性にすぐれる感圧性接着テープであ
ってもよい。
【0040】
【実施例】以下、本発明の実施例を記載して、より具体
的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定
されるものではない。 実施例1 直鎖状エチレン系樹脂であるエチレン−1−ヘキセン共
重合体(ジェイレクスLL AC41SA、日本ポリオ
レフィン社製)からなる樹脂材料を、40φ1軸混練り
押出機を用いて、200℃の押出し温度で押出成形を行
い、厚みが100μmの剥離シートを単層のシート材と
して作製した。クロス分別クロマトグラフ装置(CFC
T−150A型、三菱化学(旧 三菱油化)社製)を
用い、上述した手順にて温度上昇溶離分別法によって3
0℃以下における樹脂全体における溶出成分量を測定し
たところ、7.8重量%であった。またn−ブチルアク
リレート100重量部およびアクリル酸5重量部を、ト
ルエンを溶媒として、当業者が通常用いる方法によって
重合させた。重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキ
サイドを用いた。このような重合反応によって、重量平
均分子量が50万のアクリル系ポリマーの溶液(固形
分:30%)を得た。このようなアクリル系ポリマー
に、アクリル系ポリマー100重量部あたりメラミン系
架橋剤を1.5重量部、イソシアネート系架橋剤を3重
量部配合して、ポリアクリル酸エステル系感圧性接着剤
を調製した。このポリアクリル酸エステル系感圧性接着
剤を、乾燥後の厚みが30μmとなるように、厚み25
μmのポリエステルフィルム(支持基材)の一表面上に
塗布し、120℃で3分間乾燥して、感圧性接着剤層を
形成した。このように形成した感圧性接着剤層に、一表
面が接するようにシート材を貼り合せることによって、
感圧性接着シートを作製した。
【0041】実施例2 攪拌機、温度計及び水分離管を付した四つ口セパラブル
フラスコに、液状のポリカーボネートジオール(PLA
CCEL CD−220PL、ダイセル化学工業製、水
酸基価:56.1KOHmg/g)250重量部、セバ
シン酸26.6重量部、触媒としてチタニウムテトライ
ソプロポキシド(以下、TPTという)0.1重量部を
投入し、反応水排出溶剤として少量のトルエンとキシレ
ンの存在下、攪拌を開始しながら180℃まで昇温し、
この温度で保持した。しばらくすると水の流出分離が認
められ、反応が進行し始めた。約25時間反応を続け
て、重量平均分子量が3.8万のポリエステル系重合体
溶液を得た。これとは別に、アクリル酸2−エチルヘキ
シル50重量部、アクリル酸エチル50重量部、メチル
メタクリレート5重量部、アクリル酸2−ヒドロキシエ
チル4重量部で、トルエンを溶媒とし、ベンゾイルパー
オキサイド0.2重量部を開始剤として常法により溶液
重合させて、重量平均分子量が45万のアクリル系重合
体溶液を得た。次に、上記のポリエステル系重合体の溶
液と、アクリル系重合体の溶液とを、ポリエステル系重
合体75重量部に対しアクリル系重合体25重量部とな
るように混合し、これにさらに架橋剤としてトリメチロ
ールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物(コロ
ネート L、日本ポリウレタン製)2.2重量部を加え
て混合し、感圧性接着剤組成物の溶液とした。上記で得
た感圧性接着剤組成物の溶液を、ポリエチレンテレフタ
レート−アルミ箔(12μm−30μm)の積層基材
(支持基材)のアルミ箔面上に塗布し、120℃で3分
間乾燥して、厚さが30μmの感圧性接着剤層を形成し
た。実施例1と同じシート材を、その一表面が該感圧性
接着剤層に接するように貼り合せて、感圧性接着シート
を作製した。
【0042】実施例3 直鎖状エチレン系樹脂であるエチレン−1−オクテン共
重合体(モアテック0218CN、出光石油化学社製)
からなる樹脂材料で作製した剥離シートを単層のシート
材として用いた以外は、実施例1と同様にして感圧性接
着シートを作製した。温度上昇溶離分別法によって実施
例1と同様に30℃以下における樹脂材料全体における
溶出成分量を測定したところ、4.8重量%であった。
【0043】実施例4 実施例3で得たシート材を用いた以外は、実施例2と同
様にして感圧性接着シートを作製した。
【0044】実施例5 低密度ポリエチレンを20%含有するエチレン−1−オ
クテン共重合体である直鎖状エチレン系樹脂(モアテッ
ク 1018D、出光石油化学社製)で作製した剥離シ
ートを単層のシート材として用いた以外は、実施例1と
同様にして感圧性接着シートを作製した。温度上昇溶離
分別法によって実施例1と同様に30℃以下における樹
脂全体における溶出成分量を測定したところ、5.4重
量%であった。
【0045】実施例6 エステルウレタン系アンカーコート剤(AD−527、
東洋モートン社製)100重量部に硬化促進剤(CAT
HY−91、東洋モートン社製)7重量部を配合し、
その後固形分濃度が30重量%となるように酢酸エチル
を加え、アンカーコート剤溶液を調製した。この溶液を
マイヤーバー#6により厚みが50μmのポリエチレン
テレフタレートフィルム(ルミラー S−27−50、
東レ社製)上に塗布し、80℃で90秒間乾燥させてア
ンカーコート層を形成した。このアンカーコート層上
に、厚みが25μmであること以外は実施例1と同様の
剥離シートを貼り合わせ、積層のシート材を作製した。
このようなシート材に、実施例1と同様の感圧性接着剤
層を、剥離層シートに接するように貼り合わせることに
より、感圧性接着シートを作製した。
【0046】比較例1 直鎖状エチレン系樹脂であるエチレン−1−ヘキセン共
重合体(エボリューSP0540、三井化学社製)から
なる樹脂材料で作製した剥離シートを単層のシート材と
して用いた以外は、実施例1と同様にして感圧性接着シ
ートを作製した。温度上昇溶離分別法によって実施例1
と同様に30℃以下における樹脂全体における溶出成分
量を測定したところ、2.8重量%であった。
【0047】比較例2 直鎖状エチレン系樹脂であるエチレン−1−ヘキセン共
重合体(エボリューSP1540、三井化学社製)から
なる樹脂材料で作製した剥離シートを単層のシート材と
して用いた以外は、実施例1と同様にして感圧性接着シ
ートを作製した。温度上昇溶離分別法によって実施例1
と同様に30℃以下における樹脂全体における溶出成分
量を組測定したところ、1.0重量%であった。
【0048】比較例3 直鎖状エチレン系樹脂であるエチレン−1−オクテン共
重合体(ダウレックス2045AC、ダウケミカル社
製)からなる樹脂材料で作製した剥離シートを単層のシ
ート材として用いた以外は、実施例2と同様にして感圧
性接着シートを作製した。温度上昇溶離分別法によって
実施例1と同様に30℃以下における樹脂全体における
溶出成分量を測定したところ、1.8重量%であった。
【0049】比較例4 比較例3と同様の直鎖状エチレン系樹脂を用いた以外
は、実施例6と同様にして積層のシート材を備える感圧
性接着シートを作製した。
【0050】<剥離性試験>実施例1〜6および比較例
1〜4で作製した各感圧性接着シートそれぞれについ
て、20mm幅に切断した試料を3個ずつ用意し、各試
料の剥離力を測定した。これらの各試料についてシート
材側を剛性を備える板状体に貼るとともに、支持基材側
を万能引張試験機(RTM−100、オリエンテック社
製)で引っ張り、公知の試験法である180°角剥離試
験によって各試料の抵抗、言い換えると剥離力を測定し
た。前記試験は、温度23℃、60%RHの雰囲気中
で、万能引張試験機のクロスヘッドのスピードが300
mm/minの条件で行った。結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】上記の表1の結果から明らかなとおり、特
定の範囲内の物性値を有する樹脂材料を用いて単層また
は積層で実現される本発明シート材を備える実施例1〜
6の感圧性接着シートは、剥離力が0.25N/20m
m幅以下と低く、優れた剥離性を示した。このことから
本発明のシート材が、剥離性に優れる感圧性接着シート
用として有効に使用できるものであることが判る。これ
に対して、本発明とは異なる樹脂材料を用いて作製され
たシート材を備える比較例1〜4の感圧性接着シートで
は、剥離力がかなり大きく、問題を有している。
【0053】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
よれば、シート材と感圧性接着剤層との間の剥離性にす
ぐれる感圧性接着シート、および該シートに好適な剥離
機能を備えるシート材を提供できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野中 崇弘 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 Fターム(参考) 4F071 AA15X AA19 AA20X AA21X AA79 AF58 AH19 BC01 4F100 AK25B AK41C AK42B AK45B AK63A AK63K AR00B AT00C BA02 BA03 BA07 BA10A BA10B BA15 GB41 GB90 JA20A JL13B JL14 YY00A 4J004 AA15 AB01 CA02 CA04 CA05 CA06 CA08 CB02 CC02 CC03 DB03 EA05

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 感圧性接着シート用の剥離機能を有する
    単層または積層のシート材であって、単層の場合にはシ
    ート材自体が、また積層の場合にはその少なくとも一方
    の最外層が、直鎖状エチレン系樹脂を主体成分とする樹
    脂材料からなり、 該樹脂材料は、温度上昇溶離分別法によって測定される
    30℃以下における溶出成分量が樹脂材料全体の3重量
    %〜30重量%であることを特徴とするシート材。
  2. 【請求項2】 上記直鎖状エチレン系樹脂が、炭素数3
    〜12のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種の
    コモノマーとエチレンとの共重合体であることを特徴と
    する請求項1に記載のシート材。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載のシート材と、
    該シート材が単層の場合にはシート材自体に、積層の場
    合にはその少なくとも一方の最外層に接するように設け
    られる感圧性接着剤層とを有することを特徴とする感圧
    性接着シート。
  4. 【請求項4】 感圧性接着剤層が、脂肪族系ポリカーボ
    ネートジオールを必須のポリオール成分としたポリエス
    テル系接着剤を主成分として形成されたものであること
    を特徴とする請求項3に記載の感圧性接着シート。
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