JP2002145649A - 硬化性無機質組成物の製造方法 - Google Patents

硬化性無機質組成物の製造方法

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JP2002145649A JP2000339128A JP2000339128A JP2002145649A JP 2002145649 A JP2002145649 A JP 2002145649A JP 2000339128 A JP2000339128 A JP 2000339128A JP 2000339128 A JP2000339128 A JP 2000339128A JP 2002145649 A JP2002145649 A JP 2002145649A
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phosphoric acid
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aluminum hydroxide
ions
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Akira Inoue
顕 井上
Seitaro Onoe
清太朗 尾上
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Asahi Fiber Glass Co Ltd
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    • C04B12/00Cements not provided for in groups C04B7/00 - C04B11/00
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 硬化までの作業性、硬化物の強度、耐水性に
優れたリン酸系の硬化性無機質組成物を得る方法を提供
する。 【解決手段】 P25を10〜80質量%含むリン酸水
溶液と、2価の金属よりなる塩基性の金属化合物より選
択される少なくとも1種とを、特定の量比で予め反応さ
せる工程と、引き続いて70〜100℃加熱下で特定の
量比の水酸化アルミニウムを加える工程からなり、各工
程のリン酸イオンの総価数と金属イオンの総価数との比
を特定の範囲に規定して硬化性無機質組成物を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する分野】本発明は、例えば、耐熱性無機質
接着剤、コーティング剤及び繊維強化無機質成形品のマ
トリックスなどに好適に用いられる硬化性無機質組成物
に関し、詳しくは、従来から知られているリン酸系結合
剤と比べて、硬化までの作業性、硬化物の強度、耐水性
に優れた硬化性無機質組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、接着剤、バインダー、コーティン
グ剤、成形用材料のマトリックス等として、リン酸系の
硬化性組成物が広く使用されている。上記リン酸系硬化
性組成物は、セメント材料と比較し、水硬化反応からな
るものではないため、耐熱性が高いこと、硬化までの時
間が短いこと、強度が高いことなどの利点を有してい
る。この特性を利用して各種のリン酸系硬化性組成物の
提案がなされている。
【0003】例えば、特開昭57−67070号公報で
は、結合材として、リン酸及び/又は強酸性リン酸塩の
1種又は2種以上を配合し、硬化剤として、CaO-Al
23をリン酸及び/又は強酸性リン酸塩のP25分に対
して、0.25〜5.0のモル比で配合してなる常温硬化
性高強度結合用組成物が開示されている。
【0004】又、特公平2−28547号公報では、A
23、MgO、CaO、又はZnO、又はそれらの水
和物からなる群から選んだ少なくとも1種の金属酸化物
11〜65重量部とリン酸溶液の重量に基づいて当量の
約5〜75重量%の五酸化リンからなるリン酸溶液約8
0〜約90重量部と珪酸カルシウム約100重量部から
構成されることを特徴とする硬質、耐水性のリン酸塩セ
ラミック材料が提案されている。
【0005】更に、特開平9−241583号公報で
は、水の存在下でリン酸と金属元素源化合物とを反応さ
せてリン酸塩水溶液を得、該リン酸塩水溶液の水分量を
調整することにより得られる無機系結合剤組成物であっ
て、該無機系結合剤組成物の組成を P25 + MxOy + H2O に換算して、該無機系結合剤組成物中のP、M、及びH
2Oの量の割合を表すとき、P25の1モルに対し金属
元素が2.8〜3.6当量の範囲内に、H2Oが10〜4
0モルの範囲内にある無機系結合組成物が提案されてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、リン酸
及び酸性リン酸金属塩水溶液等のリン酸類と、金属酸化
物及び金属水酸化物等の金属化合物よりなる硬化性組成
物では、使用する金属化合物により、混合後すぐに硬化
反応を開始するものや、混合後全く反応せず、200℃
以上の高温をかける必要のあるものがあり、有機系の硬
化性組成物と比較して硬化反応の制御が難しいという問
題を有している。
【0007】例えば、従来技術に挙げた特開昭57−6
7070号公報及び特公平2−28547号公報の組成
物では、リン酸類と金属化合物を混合するや否や、硬化
反応を開始するため、硬化性組成物のポットライフが短
く、接着剤、コーティング剤、バインダーまたは成形品
としての使用に制限がある。
【0008】一方、特開平9−241583号公報の組
成物は、ポットライフが長く、接着剤、コーティング
剤、バインダーあるいは成形品として使用可能のもので
あるが、硬化性組成物中のリン酸類の含有比率が高く、
耐水性のある硬化物を得るには、200℃以上の加熱下
で1〜2時間の硬化過程を必要とし、エネルギーコスト
が高く、また生産性に劣るという問題を有している。
【0009】また、リン酸類と金属化合物との硬化反応
は、固体−液体反応であるため、金属化合物粒子の表面
層で起こり、粒子の内部では起こり難い。したがって、
得られる硬化物の耐水性を損なわずに、硬化性組成物中
におけるリン酸類の水酸基の大部分を反応させるために
は、リン酸類に含まれるリン酸イオンに対し、金属化合
物に含まれる金属イオンの当量比を、硬化反応に関与し
ない分を含め、高くする必要があるものの、これによ
り、硬化性組成物中に金属化合物の粒子が占める割合が
高くなり、結果として、硬化性組成物の粘度が高く、接
着剤、コーティング剤、バインダーあるいは成形品等と
して使用する際の作業性を損なうという問題があった。
【0010】更に、リン酸類は、対となる金属イオンに
もよるが、反応が進行して、第二リン酸塩に達すると、
急激に水への溶解性が低減する。固体−液体反応で固体
粒子の表面で形成される第二リン酸塩はすぐに固体化し
ていき、金属化合物の粒子が増粒、あるいは増加する形
で硬化反応が進行する。その結果、見かけ上、硬化物が
得られるが、リン酸類には水酸基が多く残存する場合が
あり、得られる硬化物の耐水性あるいは機械的強度が十
分に発現されないという問題を有している。
【0011】このため、上記従来技術においては200
℃以上の高温で長時間硬化反応させる必要があるが、エ
ネルギーコストがかかり、また生産性に劣り、不経済で
あるという問題点をも有することになる。
【0012】したがって、本発明の目的は、得られる硬
化物が強度、耐水性に優れ、なおかつ低粘度で流動性を
有して硬化までの作業性がよく、ポットライフの長い、
リン酸類を用いた硬化性無機組成物の製造方法を提供す
ることにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の硬化性無機組成物の製造方法は、P25
10〜80質量%含むリン酸水溶液と、2価の金属より
なる塩基性の金属化合物より選択される少なくとも1種
とを、それぞれに含まれるリン酸イオン(PO4 3-)の
総価数と、金属イオンの総価数の比(A1)が、 0.1≦A1≦0.6 となるように混合し反応させる工程と、該反応後に70
〜100℃の加熱下で水酸化アルミニウムを加え、添加
後のリン酸イオン(PO4 3-)の総価数と、金属イオン
の総価数の比(A2)が、 0.7≦A2≦1.2 となるように混合する工程とから成ることを特徴とす
る。(但し、総価数の比(A1)および(A2)は A1=(M1×n1+M2×n2+M3×n3…)/(P×3) A2=(M0×n0+M1×n1+M2×n2+M3×n3…)/
(P×3) で示され、Pはリン酸水溶液に含まれるリン酸イオンの
モル数、M0は加えた水酸化アルミニウムに含まれる金
属イオンのモル数、M1,M2、…は2価の金属化合物に
含まれる金属イオンのモル数を表し、n0、n1、n2
…は上記金属イオンに対応する各金属イオンの価数を示
す。)
【0014】また、本発明においては、前記の2価の金
属よりなる塩基性の金属化合物が、バリウム、マグネシ
ウム、カルシウム、ストロンチウム、亜鉛の金属酸化物
及び金属水酸化物より選択される少なくとも1種である
ことが好ましい。
【0015】本発明の硬化性無機質組成物の製造方法に
よれば、リン酸水溶液と、2価の金属よりなる塩基性の
金属化合物とを予め反応させる工程と、引き続いて70
〜100℃加熱下で水酸化アルミニウムを加えて反応さ
せる工程の2段階で進行させる。これににより第1工程
では、リン酸水溶液に対する2価の金属よりなる塩基性
の金属化合物の当量比を必要以上に高くする必要がな
く、また、直鎖状の酸性リン酸金属塩を形成しやすくな
るので酸性リン酸金属塩同士の絡み合いが少なくなるこ
とから、含有する水の量が少なくても粘度が低く抑えら
れ、得られる硬化性無機質組成物の粘度上昇を抑えるこ
とが可能となる。
【0016】また、第2工程で水酸化アルミニウムを加
えることにより、リン酸類との反応を緩慢に進行させ、
硬化反応のコントロールやポットライフの延長が可能と
なり、硬化性組成物においても、得られる硬化物の耐熱
性を向上させることができる。
【0017】更にまた、上記2段階の反応を特定の量比
で行うことにより、得られる硬化性無機質組成物の粘度
上昇による作業性の低下を防止できるとともに、強度、
耐熱性、耐水性に優れる硬化物を得ることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明について更に詳細に
説明する。本発明の硬化性無機質組成物は、リン酸、及
び2価の金属よりなる塩基性の金属化合物より選択され
る少なくとも1種とを特定の量比で反応させた後、更に
水酸化アルミニウムを特定の量比で反応させたものであ
る。
【0019】リン酸水溶液は、P25が10〜80質量
%を含有するものを用いることが好ましく、40〜60
質量%の水溶液を用いることが更に好ましく、これによ
り硬化性無機質組成物を塗料、接着剤、バインダー、成
形用材料として加工する際の流動性が良好となる。前記
リン酸水溶液は、通常市販されている75%リン酸(P
2554質量%含有)、89%リン酸(P2564質量
%含有)を用いるか、前記リン酸、ポリリン酸(P25
75.3質量%含有)、五酸化リンを水により希釈する
ことにより得ることができる。
【0020】P25の含有量が10質量%未満である
と、2価の金属よりなる金属化合物及び水酸化アルミニ
ウムとの反応後に得られる硬化性無機質組成物に含まれ
る水分量が多くなり、乾燥・硬化に要する時間が長くな
り、上記用途で使用する際の生産性を損ねるうえに、硬
化過程で製品に膨れやクラックが発生しやすくなり好ま
しくない。また前記含有量が80質量%を超えると、金
属化合物との反応の際に、反応が急速に進行し、部分的
に水不溶性の固形物が発生する場合があり、硬化性無機
質組成物の流動性を損なう場合があり好ましくない。
【0021】次に、本発明においては、リン酸水溶液
と、2価の金属よりなる塩基性の金属化合物とを予め反
応させることにより、直鎖状の酸性リン酸金属塩を形成
する。このため、3価の金属よりなる塩基性の金属化合
物とを予め反応させた場合と比較して、酸性リン酸金属
塩同士の絡み合いが少なくなり、含有する水の量が少な
くても粘度を低く抑えられ、その結果得られる硬化性無
機質組成物の粘度上昇を抑えることが可能となる。
【0022】本発明で使用する2価の金属よりなる塩基
性の金属化合物としては、バリウム、マグネシウム、カ
ルシウム、ストロンチウム、亜鉛の金属酸化物、金属水
酸化物、及び金属炭酸塩等が挙げられ、これらを単独あ
るいは複数併用することができる。このうち、金属酸化
物あるいは金属水酸化物を用いることが好ましく、なか
でも酸化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、
水酸化バリウムを用いることがより好ましい。
【0023】本発明においては使用する上記金属化合物
の量は、リン酸イオン(PO4 3-)の総価数と、金属イ
オンの総価数の比(A1)が、 0.1≦A1≦0.6 の範囲となるように混合することを特徴とするが、更に 0.25≦A1≦0.5 であることが好ましい。
【0024】ここで、A1はリン酸イオンの総価数に対
する総金属イオンの総価数の比であり以下で定義され
る。 A1=(M1×n1+M2×n2+M3×n3…)/P×3 (但し、Pはリン酸水溶液に含まれるリン酸イオンのモ
ル数、M1,M2、…は2価の金属化合物に含まれる金属
イオンのモル数を表し、n1、n2、…は上記金属イオン
に対応する各金属イオンの価数である。)
【0025】リン酸イオンの総価数に対する総金属イオ
ンの総価数の比(A1)が、0.1未満であると、リン酸
と2価の金属イオンが反応して形成される直鎖状のリン
酸金属塩の含有する比率が減少し、後から混合される水
酸化アルミニウムと反応する成分が増加して、得られる
硬化性無機質組成物の粘度が上昇し、流動性に欠けたも
のになる。更に、硬化性無機質組成物を硬化して得られ
る硬化物中におけるリン酸の水酸基の残存する割合が高
くなり、耐水性を損なう場合がある。一方、総価数の比
(A1)が、0.6を超えると、使用する金属化合物の種
類によっては、水不溶性の固形物が発生し、硬化性組成
物として作用しないものになる。
【0026】2価の金属よりなる塩基性の金属化合物
は、リン酸との反応性に富んでおり、リン酸中に混合撹
拌するだけで、直ちに反応を開始し、発熱する。したが
って、この反応物を合成する際は、金属化合物を少量ず
つ添加して、反応物が過剰に発熱して、リン酸水溶液に
含有される水が突沸しないように留意する必要がある。
また、反応液を十分に撹拌し、金属化合物の粒子の表面
でリン酸との反応をできるだけ抑制する必要がある。十
分に撹拌することで金属化合物は反応してリン酸水溶液
に溶解する。
【0027】本発明では、上記の工程に引き続き、酸性
リン酸金属塩の水溶液に、水酸化アルミニウムを70〜
100℃の加熱下で、特定の量比で混合する。
【0028】本発明で用いる水酸化アルミニウムは、リ
ン酸類との反応を緩慢に進行させ、硬化性組成物では、
硬化反応速度のコントロールやポットライフの延長を図
るために使用するものである。また、水酸化アルムニウ
ムの添加により最終的な硬化物の耐熱性を向上させるこ
とを可能にする。
【0029】本発明においては、水酸化アルミニウムを
前記酸性リン酸金属塩水溶液と70〜100℃の加熱下
で混合することが重要であり、85〜98℃にすること
が好ましい。これにより、水分の蒸発を抑制させる上に
硬化反応を抑制しつつ、水酸化アルミニウムと酸性リン
酸金属塩の混和性を良好にし水酸化アルミニウムを均一
に分散させることを可能にする。また、100℃を越え
ると水分が蒸発し硬化反応を促進させるため好ましくな
く、70℃より低い温度であれば、前記混和が不十分と
なり、水酸化アルミニウムの分散性が劣り好ましくな
い。水酸化アルミニウム添加後の撹拌は、前記70〜1
00℃の加温下で1〜6時間撹拌混合させることがより
好ましい。
【0030】本発明で使用する水酸化アルミニウムは、
粒度等の品質に特に制限はないが、平均粒子径が10μ
m以下のものを使用することが好ましい。
【0031】本発明で使用する水酸化アルミニウムの量
は、水酸化アルミニウム添加した後に、リン酸イオン
(PO4 3-)の総価数と、金属イオンの総価数の比
(A2)が 0.7≦A2≦1.2 の範囲となるように混合することを特徴とするが、更に 0.8≦A2≦1.1 であることがより好ましい。
【0032】ここで、A2はリン酸イオンの総価数に対
する総金属イオンの総価数の比であり以下で定義され
る。 A2=(M0×n0+M1×n1+M2×n2+M3×n3…)/
(P×3) (但し、Pはリン酸水溶液に含まれるリン酸イオンのモ
ル数、M0は第2の工程で加えた水酸化アルミニウムに
含まれる金属イオンのモル数、M1,M2、…は第1の工
程で加えた2価の金属化合物に含まれる金属イオンのモ
ル数を表し、n0、n1、n2、…は上記金属イオンに対
応する各金属イオンの価数を示す。)
【0033】前記総価数の比(A2)が、0.7未満であ
ると、硬化物中にリン酸類の水酸基が多く残存し、硬化
物の耐水性を損ね、また硬化物が水と接触すると酸性物
質となり、例えば、接着剤あるいはバインダー等として
使用する際、基材として用いる金属、窯業系材料の変質
を引き起こす可能性があり好ましくなく、前記総価数の
比(A2)が、1.2を超えると、水酸化アルミニウムが
塊状で存在しやすく、水酸化アルミニウムが十分に分散
しない上に、硬化性組成物のポットライフが短くなり、
経時保存で粘度が上昇し、硬化性組成物を接着剤、バイ
ンダーあるいは成形用材料等として使用する際の作業性
を低下させ好ましくない。
【0034】更に、本発明の硬化性無機質組成物は、反
応を抑制するためや低コスト化を図るために、各種添加
剤を添加することも可能である。硬化性組成物の反応を
抑制し、ポットライフを長くする反応抑制剤として、尿
素が挙げられる。硬化性組成物100質量部に対して尿
素0.1〜10質量部を使用することが好ましい。
【0035】更に、他の添加剤としては、軽量骨材、充
填材、顔料等を使用することができる。軽量骨材として
は、シラスバルーン、ガラスバルーン、パーライト等
を、充填材としては、酸性酸化物を主成分とする、珪
砂、シリカフューム、ガラス粉、クレイ等を、顔料とし
ては、酸化チタン、フタロシアニン、弁柄、群青等を例
示することができる。これらの材料は、それぞれの目的
に合わせて適宜選択し適当量使用することが可能であり
特に限定されない。
【0036】こうして得られた硬化性無機質組成物は、
加熱することによって硬化物が得られ、種々の用途に用
いることができる。加熱条件は、用途によって異なる
が、例えば、予備加熱等により予め水分を蒸発させて半
硬化物を作成した後、前記半硬化物を120〜150℃
で加熱することによって、所望の硬化物を得ることがで
きる。
【0037】
【実施例】以下に、本発明を実施例によって更に詳細に
説明する。 製造例1 89%リン酸(P2564質量%含有)1000gとイ
オン交換水450gを4Lの反応釜に投入し、撹拌しな
がら、酸化亜鉛294gを徐々に添加した。この時反応
液の温度は95℃まで上昇した。酸化亜鉛を添加した後
の総価数の比(A1)は、0.266であった。反応液を
95℃に保持したまま、水酸化アルミニウム588gを
添加し、2時間撹拌を行い、本発明の硬化性組成物
(1)を得た。この硬化性組成物中の総価数の比
(A2)は、1.1であった。
【0038】製造例2 89%リン酸(P2564質量%含有)1000gとイ
オン交換水550gを4Lの反応釜に投入し、撹拌しな
がら、水酸化マグネシウム397gを徐々に添加した。
この時反応液の温度は95℃まで上昇した。水酸化マグ
ネシウムを添加した後の総価数の比(A1)は、0.5で
あった。反応液を95℃に保持したまま、水酸化アルミ
ニウム283gを添加し、2時間撹拌を行い、本発明の
硬化性組成物(2)を得た。この硬化性組成物中の総価
数の比(A2)は、0.9であった。
【0039】製造例3 89%リン酸(P2564質量%含有)1000gとイ
オン交換水500gを4Lの反応釜に投入し、撹拌しな
がら、酸化亜鉛772gを徐々に添加した。この時反応
液の温度は95℃まで上昇し、反応途中で水不溶性の塊
状物が発生した。酸化亜鉛を添加した後の総価数の比
(A1)は、0.7であった。反応液を95℃に保持した
まま、水酸化アルミニウム354gを添加し、2時間撹
拌を行い、硬化性組成物(3)を得た。この硬化性組成
物中の総価数の比(A2)は、1.2であった。
【0040】実施例1 硬化性組成物(1)を100mm×100mm×10m
mの珪酸カルシウム板の表面に0.1g/cm2の割合で
塗布し、80℃×4時間にて硬化性組成物中の水分を除
去した。その後、同じサイズの珪酸カルシウム板を重ね
合わせ、接着させるように5kg/cm2の圧力をか
け、140℃の雰囲気下で1時間放置し硬化性組成物を
硬化させて硬化物を得た。
【0041】実施例2 硬化性組成物(2)を用い、実施例1と同様の条件で硬
化物を得た。
【0042】実施例3 硬化性組成物(1)100質量部にシリカフューム50
質量部を混合し、実施例1と同様の条件で硬化物を得
た。
【0043】比較例1 硬化性組成物(3)を用い、実施例1と同様の条件で硬
化物を得た。
【0044】比較例2 エポキシ当量170g/eqのビスフェノールA型エポ
キシ樹脂100質量部とアミン価500の脂肪族ポリア
ミン系硬化剤35質量部の有機材料系の硬化性組成物を
用い、実施例1と同様の条件で硬化物を得た。
【0045】試験例 実施例1〜3、および比較例1〜2で得られた試験片
を、常温下(25℃)、加熱下(80℃)、300℃×
24時間加熱後、25℃×24時間のイオン交換水浸漬
後、4試験区のサンプルについて、剥離方向の引張強度
を測定した。その結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】表1から分かるように、本発明の製造方法
によって得られた実施例1〜3の硬化性無機質組成物
は、引張強度がすべて4kgf/cm2以上だったのに
対し、リン酸イオン(PO4 3-)の総価数と2価金属イ
オンの総価数の比(A1)が本発明で規定された範囲外
の0.7であった比較例1では、すべての試験区で引張
強度が2kgf/cm2以下であり大きく強度が低下
し、強度、耐水性、耐熱性のいずれも劣ることが分か
る。
【0048】また、比較例2のエポキシ系有機硬化性組
成物を用いた場合では、常温および水浸漬下では引張強
度は良好であったものの、加熱下(80℃)、および3
00℃×24時間加熱後ではそれぞれ、3.5kgf/
cm2、測定不可であり、実施例に比べて耐熱性に劣る
ことが分かる。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明において
は、まず、リン酸、及び2価の金属よりなる塩基性の金
属化合物より選択される少なくとも1種とを予め反応さ
せた後、更に水酸化アルミニウムを反応させたので、硬
化性無機質組成物は、流動性を有して硬化までの作業性
がよく、また低温で硬化可能である。
【0050】また、それぞれの反応の量比を特定の範囲
に規定したので、得られた硬化物は優れた強度を有する
とともに耐熱性または耐水性が低下することがないの
で、本発明の製造方法によって得られた硬化性組成物
は、接着剤、バインダー、コーティング材、または繊維
強化無機質成形品のマトリックス材料等に好適に使用可
能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J038 AA011 HA181 HA191 HA201 HA211 HA381 HA391 LA02 NA04 NA11 NA23 4J040 AA011 HA131 HA151 HA271 QA01

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 P25を10〜80質量%含むリン酸水
    溶液と、2価の金属よりなる塩基性の金属化合物より選
    択される少なくとも1種とを、それぞれに含まれるリン
    酸イオン(PO4 3-)の総価数と、金属イオンの総価数
    の比(A1)が、 0.1≦A1≦0.6 となるように混合し反応させる工程と、該反応後に70
    〜100℃の加熱下で水酸化アルミニウムを加え、添加
    後のリン酸イオン(PO4 3-)の総価数と、金属イオン
    の総価数の比(A2)が、 0.7≦A2≦1.2 となるように混合する工程とから成ることを特徴とする
    硬化性無機質組成物の製造方法。(但し、総価数の比
    (A1)および(A2)は A1=(M1×n1+M2×n2+M3×n3…)/(P×3) A2=(M0×n0+M1×n1+M2×n2+M3×n3…)/
    (P×3) で示され、Pはリン酸水溶液に含まれるリン酸イオンの
    モル数、M0は加えた水酸化アルミニウムに含まれる金
    属イオンのモル数、M1,M2、…は2価の金属化合物に
    含まれる金属イオンのモル数を表し、n0、n1、n2
    …は上記金属イオンに対応する各金属イオンの価数を示
    す。)
  2. 【請求項2】 前記2価の金属よりなる塩基性の金属化
    合物が、バリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロ
    ンチウム、亜鉛の金属酸化物及び金属水酸化物より選択
    される少なくとも1種である請求項1記載の硬化性無機
    質組成物の製造方法。
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