JP2002145236A - 紙製積層成型物およびその製造方法 - Google Patents

紙製積層成型物およびその製造方法

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JP2002145236A
JP2002145236A JP2000345047A JP2000345047A JP2002145236A JP 2002145236 A JP2002145236 A JP 2002145236A JP 2000345047 A JP2000345047 A JP 2000345047A JP 2000345047 A JP2000345047 A JP 2000345047A JP 2002145236 A JP2002145236 A JP 2002145236A
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resin
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thermoplastic resin
molded
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English (en)
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Nobuhiro Hado
信弘 羽藤
Tomoaki Nagai
共章 永井
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Nippon Paper Industries Co Ltd
Jujo Paper Co Ltd
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Nippon Paper Industries Co Ltd
Jujo Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成型時に紙中水分が蒸発して発生するブリス
ター現象を防止して積層間の接着不良、火膨れを起こす
ことのない美麗な紙製積層成型物およびかかる紙製積層
成型物の製造方法を提供する。 【解決手段】 紙基材2a、2b、2cを、その層間に
熱可塑性樹脂からなる開孔フィルム3a、3bを介在し
た状態で一体に積層して接着し、成型する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、少なくとも3層以
上の紙基材を、その各層間に熱可塑性樹脂からなるフィ
ルムを介在した状態で一体に積層して接着した紙製積層
成型物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱圧成型機によって成型される材料とし
ては、生産性、経済性等の理由から一般に熱可塑性樹脂
を主体としたプラスチックからなるシート材料が使用さ
れている。プラスチックシートは、成型時の予熱工程若
しくは金型温度で軟化状態になり、3次元曲面の型に追
随して容易に様々な形状に成型することが可能であるの
で、特に製造の容易性、生産性、経済性の点で優れた成
型用材料である。
【0003】しかしながら、プラスチックを使用した成
型物は、原料によっては焼却時に有毒ガスを発生する
他、その燃焼エネルギーの高さから焼却炉を痛めたり、
また自然環境中に廃棄された場合は土中に埋め立てても
分解されず、そのまま残留する等、地球環境レベルで廃
棄物としての取扱が社会問題になっている。
【0004】近年では、こうした環境問題や公害問題の
観点から天然物由来の材料を主体とした成型物への転換
が多く提案されている。中でも、鶏卵パックなどに使用
されているパルプモールド製の成型物は、パルプスラリ
ーを成型品形状に応じた網型で漉き上げ、脱水、乾燥の
工程を経て製造するため、3次元曲面を有するもの等、
あらゆる形状に成型することができる。しかし、この成
型物は、その製造方法に由来する生産性の観点から高価
格になる欠点を有している。
【0005】また、紙を基材とする一般の紙製成型物
は、生産性や経済性の点ではパルプモールド製の成型物
より優れているものの、紙は、その坪量の範囲が限定さ
れ、特に単体では高坪量化が困難なため、これを基材と
した成型物に十分な剛性を付与することが困難であると
いった欠点があった。
【0006】上記の欠点を解消するため、前記一般の紙
製成型物において、紙基材の坪量を上げることによって
剛性を高めたものとして、例えば板紙、ボール紙のよう
に多層抄紙して得られる高坪量の紙基材を用いたものが
ある。しかし、かかる紙基材は層間強度が劣るため、こ
れを用いて成型を行うと成型時の変形により層間ずれが
起こり、剥離による不具合を生じ美麗な成型物が得られ
ないといった欠点があった。
【0007】また、前記一般の紙製成型物において、紙
基材の坪量を上げることによって剛性を高め、且つ、層
間強度も確保したものとして、単層抄紙した紙基材同士
を接着剤を用いて接着積層し、或いは押出機によって押
し出された溶融した熱可塑性樹脂を介して接着積層して
得た材料を用いたものがある。しかし、これは層間強度
は得られるものの、成型の工程とは別に紙基材同士を接
着積層する工程が必要となり、経済的ではないといった
欠点があった。
【0008】そこで、単層抄紙した2層以上の紙基材の
間に、熱可塑性樹脂層を介在させて熱圧成型することに
より、これらの紙基材を接着積層して一体化すると共に
成型した紙製積層成型物が提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記の単層抄紙した2
層以上の紙基材の間に、熱可塑性樹脂層を介在させて熱
圧成型し、一体に接着積層すると共に成型した紙製積層
成型物によれば、これを製造する工程で、成型の工程と
は別に接着積層する工程の必要がないので、前記欠点は
解消されるものの、前記の紙基材を3層以上とした場
合、両面側に熱可塑性樹脂層が存在する紙基材の界面
は、熱成型時に紙中水分が蒸発して発生する水蒸気を透
過させないため、この界面にブリスター現象が生じ、層
間接着不良、火膨れなどの不具合を生じる場合があると
いった問題がある。
【0010】本発明の目的は、成型時に紙中水分の蒸発
によるブリスター現象を防止して積層の接着不良、火膨
れを起こすことのない美麗な紙製積層成型物及びかかる
紙製積層成型物を製造できる紙製積層成型物の製造方法
を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる紙製積層
成型物は、少なくとも3層以上の紙基材を、その各層間
に熱可塑性樹脂からなる開孔フィルムを介在した状態で
一体に積層して接着し、成型してなることを特徴とす
る。
【0012】このような紙製積層成型物は、紙基材を少
なくとも3層以上積層してあるので、高坪量で剛性があ
り、且つ、紙基材の各層間に熱可塑性樹脂からなる開孔
フィルムを介在させて接着積層したので強い層間強度が
あり、そして、その両面側に熱可塑性樹脂層が存在する
紙基材層においても、成型時に紙中水分が蒸発して発生
する水蒸気が開孔フィルムの孔から積層成型物外へ放出
されるので、水蒸気によるブリスター現象が防止され、
積層間の接着不良、火膨れ等の無い美麗な成型状態を得
ることができる。
【0013】この場合、前記熱可塑性樹脂からなる開孔
フィルムの開孔率は、0.2%〜15%の範囲であるこ
とが好ましい。開孔率が0.2%未満であると成型時に
紙中から発生する水蒸気の放出に難を生じるおそれがあ
り、また、開孔率が15%を超えると熱可塑性樹脂から
なる開孔フィルムの強度が弱くなり、成型物を製造する
際にこのフィルムにかかる走行時の張力で破断しやすく
なる上、成型物に開孔パターンの跡が見え、外観上好ま
しくないからである。なお、本発明でいう開孔率とは、
穴総面積(穴面積×穴数)÷一定面積(100mm
×100で表されるものである。
【0014】また、前記熱可塑性樹脂からなる開孔フィ
ルムにあっては、紙基材の接着に適した樹脂からなるも
のであれば、特に限定されるものではないが、価格、汎
用性等を考慮すると、ポリオレフィン系樹脂、ポリアク
リル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹
脂、アイオノマー樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂の
いずれか1種若しくは2種以上の混合物からなるものを
用いることが好ましい。
【0015】また、前記紙基材の繊維成分としては、廃
棄処理の観点より、天然パルプ100%からなるものが
好ましい。前記天然パルプとは、合成繊維または熱可塑
性樹脂から作られる合成パルプ以外のパルプを意味し、
例えば、機械パルプ、化学パルプ、脱墨パルプ(DI
P)等がこれに含まれる。
【0016】また、前記紙基材は、破断伸びが縦方向1
5%以上、横方向15%以上を有することが好ましい。
紙基材の破断伸びが、縦方向15%未満、横方向15%
未満では、成型絞り率を大きくすると成型物の破断等が
起こるため、成型絞り率を十分に大きくすることができ
ず、成型デザインが限定されてしまう。
【0017】次に、本発明に係る紙製積層成型物の製造
方法は、少なくとも3層以上の紙基材を、その各層間に
熱可塑性樹脂からなる開孔フィルムを介在した状態で積
層し、雄型と雌型を用いて前記開孔フィルムの融点温度
以上の温度で熱圧成型することにより接着積層して一体
化するとともに成型することを特徴とする。
【0018】このようにすると、成型された成型物は、
紙基材を少なくとも3層以上積層してあるので、高坪量
で剛性があり、且つ、紙基材の各層間に熱可塑性樹脂か
らなる開孔フィルムを介在させて接着積層したので強い
層間強度があり、そして、その両面側に熱可塑性樹脂層
が存在する紙基材層においても、成型時に紙中水分が蒸
発して発生する水蒸気を開孔フィルムの孔から積層成型
物外へ放出することができるので、水蒸気によるブリス
ター現象が防止され、積層間の接着不良、火膨れ等の無
い美麗な成型物とすることができる。
【0019】この場合、前記熱可塑性樹脂からなる開孔
フィルムの開孔率は、0.2%〜15%の範囲であるこ
とが好ましい。開孔率が0.2%未満であると成型時に
紙中から発生する水蒸気の放出に難を生じるおそれがあ
り、また、開孔率が15%を超えると熱可塑性樹脂から
なる開孔フィルムの強度が弱くなり、成型物を製造する
際にこのフィルムにかかる走行時の張力で破断しやすく
なる上、成型物に開孔パターンの跡が見え、外観上好ま
しくないからである。
【0020】また、前記熱可塑性樹脂からなる開孔フィ
ルムにあっては、紙基材の劣化温度以下の融点温度を有
し、紙基材の接着に適した樹脂からなるものであれば特
に限定するものではないが、価格、汎用性、作業性等を
考慮すると、ポリオレフィン系樹脂、ポリアクリル系樹
脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アイ
オノマー樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂のいずれか
1種若しくは2種以上の混合物からなるものが好適に使
用できる。また、開孔フィルムの厚さは、接着性が維持
できる範囲であれば特に限定するものではないが、熱圧
成型機での操作性、強度、価格等を考慮すると、5μm
〜30μmが好ましく、特に10μm〜20μmが好適
である。
【0021】また、前記紙基材の繊維成分としては、廃
棄処理の観点より、天然パルプ100%からなるものが
好ましい。前記天然パルプとは、合成繊維または熱可塑
性樹脂から作られる合成パルプ以外のパルプを意味し、
例えば、機械パルプ、化学パルプ、脱墨パルプ(DI
P)等がこれに含まれる。
【0022】また、前記紙基材は、破断伸びが縦方向1
5%以上、横方向15%以上を有することが好ましい。
破断伸びが、縦方向15%未満、横方向15%未満で
は、成型絞り率を大きくすると成型物の破断等が起こる
ため、成型絞り率を十分に大きくすることができず、成
型デザインが限定されてしまう。破断伸びが縦方向15
%以上、横方向15%以上を有すると、熱圧成型機でプ
ラスチック同様の易成型性が得られる。
【0023】繊維成分が天然パルプ100%からなる紙
で、破断伸びが縦方向15%以上、横方向15%以上の
紙としては、例えば特開平11−509276号に開示
された方法によって製造された伸縮可能な紙基材を使用
することができる。
【0024】かかる紙基材により成型する成型物の成型
絞り率は120%〜200%の範囲であることが好まし
い。成型絞り率が120%未満の場合は、成型物のデザ
インが限定されるので、かかる紙基材を用いた優位性が
なくなり、成型絞り率が200%超の場合は、熱圧成型
時に成型物の亀裂・破断等が生じるおそれがある。
【0025】本発明における成型絞り率は、成型物の形
状から次の方式で算出したものである。
【0026】成型絞り率=成型物の表面積÷成型物の開
口面積×100 ここで、成型物の開口面積とは、例えば一般的なトレー
容器を想定した場合、トレーの開口部の面積を指し、凹
状に成型された部分の全表面積を成型物の表面積とす
る。従って、同じ開口面積では、凹状の深さによって全
体の表面積が変わり、深くなるほど成型絞り率は増すこ
とになる。
【0027】本発明の紙基材としては、坪量50g/m
〜300g/mの範囲のものを使用するのが、得ら
れる効果とコストとのバランス上、望ましい。50g/
未満の紙基材を用いると、必要な剛性を確保するた
め積層する層の数が多くなり、コストが大きくなるから
であり、300g/mを超える紙基材は、単層でもあ
る程度の剛性を備えているため、これを多層化すること
は、必要な剛性付与という観点から見合わないからであ
る。
【0028】また、本発明の紙基材は、適宜、耐水性、
耐油性、隠蔽性等、用途上必要な特性を付与することが
できる。この特性付与は、本発明の積層成型物を構成す
る層のうち、当該特性を必要とされる層のみを対象とす
ればよく、他の層には特に必要ない。付与方法は、耐水
化剤、耐油剤、着色剤等、必要に応じた薬品を樹脂に練
り込んだり、紙基材に添加したり、またはロールコー
ト、バーコート、エアーナイフコート、グラビヤコー
ト、サイズプレス方式等の公知の塗工方式で樹脂層や紙
基材に塗布することにより行うことができる。
【0029】本発明の紙基材の紙中水分は、6%〜15
%の範囲が好ましい。紙中水分が6%未満では、破断伸
びが低減して成型時に成型物の亀裂や破断が起こり、成
型不良を生じる場合があるので好ましくない。紙中水分
が15%を超えると、破断伸びが上昇し、成型性には優
位であるが、熱圧成型時に積層一体化するときに、紙中
から発生する水蒸気によって熱エネルギーが消費される
ため、熱圧成型のためのエネルギーが効率よく供給され
ず、接着不良等を起こしたりする場合があるので好まし
くない。
【0030】本発明の成型方式は、熱可塑性プラスチッ
クシートの成型用に用いられている熱圧成型機が使用で
きるが、雄型と雌型とからなる金型を有し、更に金型温
度が、開孔フィルムの材料である熱可塑性樹脂の融点以
上の温度に調整できる熱圧成型機を使用することが必要
である。
【0031】熱可塑性プラスチックシートの成型用に用
いられているその他の成型機としては、例えば真空成型
方式、圧空成型方式、プラグアシスト方式等を採用する
成型機があり、ある程度の成型物が得られるが、本発明
の熱圧成型機として用いた場合には、雄型、雌型の金型
を用いない為きちんと型通りに成型することができず、
美麗な成型物を得ることができない上に、圧接着が不十
分となって目的の紙基材を3層以上、接着積層して一体
化できないので好ましくない。
【0032】また、3層以上の紙基材を接着積層して一
体化するために、必要層数に見合った基材繰出し装置を
使用すれば、効率的に本発明の紙製積層成型物を製造す
ることができる。例えば、紙基材が3層の場合、紙基材
用繰出し装置を3軸、更に接着用に介在させる開孔フィ
ルム用繰出し装置を2軸、合計5軸の繰出し装置を使用
すればよい。この場合、第1紙/第1開孔フィルム/第
2紙/第2開孔フィルム/第3紙の構成になるように順
次積層して成型機内に導入し、前記金型を有する熱圧成
型機で接着積層して一体化すると共に成型する。詳しく
は、各紙基材の層間に位置する熱可塑性樹脂からなる開
孔フィルムが金型温度によって軟化状態となり、その両
側に位置する紙基材同士が成型機の圧力が加えられるこ
とによってこの熱可塑性樹脂からなる開孔フィルムに接
着し、一体化されると共に成型されるのである。更に、
このとき、雄型と雌型とからなる金型の温度によって、
金型に接触した面が紙中水分との関係でアイロン効果を
発現し、表面が美麗な成型物を得ることができる。
【0033】
【発明の実施の形態】図1及び図2は本発明に係る紙製
積層成型物の実施の形態の第1例を示したもので、図1
は本例の紙製積層成型物の斜視図、図2は図1のA−A
線切断端面図である。
【0034】本例の紙製積層成型物1は、第1、第2、
第3の紙基材2a、2b、2cが、熱可塑性樹脂からな
る第1、第2の開孔フィルム3a,3bを介在した状態
で一体に接着積層され成型されている。前記熱可塑性樹
脂からなる第1、第2の開孔フィルム3a,3bにあっ
ては、図3に示すように孔4が一面に形成されている。
この孔4は、開孔率が0.2%〜15%の範囲で形成さ
れている。前記熱可塑性樹脂からなる第1、第2の開孔
フィルム3a,3bは、ポリオレフィン系樹脂、ポリア
クリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系
樹脂、アイオノマー樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂
のいずれか1種若しくは2種以上の混合物からなってい
る。
【0035】また、前記紙基材2a、2b、2cとして
は、繊維成分が天然パルプ100%で、破断伸びが縦方
向15%以上、横方向15%以上を有し、坪量50g/
〜300g/mのものが用いられている。かかる
紙基材2a、2b、2cにより成型する紙製積層成型物
1の成型絞り率は120%〜200%の範囲であること
が好ましい。成型絞り率が120%未満の場合は、紙製
積層成型物1のデザインが限定され、成型絞り率が20
0%超の場合は、熱圧成型時に成型物の亀裂・破断等が
生じるおそれがある。
【0036】このような紙製積層成型物1は、坪量50
g/m〜300g/mの紙基材2a、2b、2cを
積層してあるので、坪量が上がり高い剛性があり、且
つ、紙基材2a、2b、2cの各層間に熱可塑性樹脂か
らなる開孔フィルム3a,3bを介在させて接着積層し
たので強い層間強度があり、そして、その両面側に熱可
塑性樹脂層が存在する紙基材2bにおいても、成型時に
紙中から発生する水蒸気が開孔フィルム3a,3bの孔
4から紙製積層成型物1外へ放出されるので、水蒸気に
よるブリスター現象が防止され、積層間の接着不良、火
膨れ等の無い美麗な成型状態を得ることができる。
【0037】この場合、前記熱可塑性樹脂からなる開孔
フィルム3a,3bは、開孔率が0.2%〜15%の範
囲で形成されているので、成型時に紙中から発生する水
蒸気を確実に放出でき、また、開孔フィルム3a,3b
の強度も維持でき、紙製積層成型物1を製造する際に、
この開孔フィルム3a,3bにかかる走行時の張力によ
り破断するといったおそれがなくなる上、紙製積層成型
物1に開孔パターンの跡が見えず、外観を損ねることも
ない。
【0038】また、前記紙基材2a、2b、2cは、繊
維成分が天然パルプ100%からなり、破断伸びが縦方
向15%以上、横方向15%以上を有しているので、熱
圧成型機でプラスチック同様の易成型性が得られ、紙製
積層成型物のデザインの幅が広がる。そして、かかる紙
基材2a、2b、2cにより成型する紙製積層成型物1
の成型絞り率を120%〜200%の範囲とすれば、熱
圧成型時の亀裂・破断等による成型不良を防止しつつ紙
製積層成型物1のデザインの幅の広がりが確保される。
【0039】図4は、本発明にかかる紙製積層成型物の
製造方法の一例を示したものである。本例では、第1、
第2、第3の紙基材繰り出し装置5a、5b、5c、か
ら第1、第2、第3の紙基材2a、2b、2cを繰り出
し、また第1、第2の開孔フィルム繰り出し装置6a、
6bから熱可塑性樹脂からなる第1、第2の開孔フィル
ム3a、3bを、第1、第2の紙基材2a、2bの間に
第1の開孔フィルム3aが入り、第2、第3の紙基材2
b、2cの間に第2の開孔フィルム3bが入るように繰
り出し、ロール7a、7b間に供給し、上下に積層す
る。この合計5層からなるシート状物8をピン付き搬送
用チエーン装置9で搬送して、雄型10aと雌型10b
とからなる金型を有し、更に金型温度が熱可塑性樹脂か
らなる第1、第2の開孔フィルム3a、3bの融点以上
の温度に調整できる熱圧成型機11で成型する。そし
て、裁断装置12で裁断し、紙製積層成型物1を得る。
【0040】このようにして成型すると、第1,第2,
第3の紙基材2a,2b,2cの層間に位置する熱可塑
性樹脂からなる第1,第2の開孔フィルム3a,3bが
金型温度によって軟化状態となるので、第1,第2,第
3の紙基材2a,2b,2cを熱圧成型機11の圧力に
よって接着し、一体化すると共に成型することができ
る。また、成型時に発生する紙基材2b中の水蒸気は開
孔フィルム3a,3bの孔4から紙製積層成型物1外へ
放出されるので、水蒸気によるブリスター現象が防止さ
れ、積層間の接着不良、火膨れ等の無い美麗な成型状態
を得ることができる。また、雄型10aと雌型10bと
からなる金型の温度によって、金型に接触した面が紙中
水分との関係でアイロン効果を発現し、表面が美麗な紙
製積層成型物1を得ることができる。また、第1,第
2,第3の紙基材2a,2b,2cの破断伸びを縦方向
15%以上、横方向15%以上に特定することによっ
て、成型デザインの幅が広がり、絞り皺等のない外観良
好な種々の用途の紙製積層成型物1を安定した状態で且
つ安価に得ることができる。
【0041】
【実施例】以下、本発明を実施例によって詳しく説明す
るが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0042】実施例1 紙基材として、坪量100g/m、温度が20℃、湿
度が65%の環境下で破断伸びが縦方向26.5%、横
方向19.3%の天然パルプ100%からなる紙(イタ
リヤ国カリオラーロ社製)を用い、紙中水分を9%に調
整した。熱可塑性樹脂からなる開孔フィルムとして厚さ
が20μm、開孔率約4%(20mm×20mmの面積
中に直径1mmの丸穴が約21個)のポリエチレン樹脂
フィルム(新日本アルク工業社製)を用いた。前記紙基
材を3層分、開孔フィルムを2層分それぞれ準備して、
熱圧成型機の第1,第2,第3の紙基材繰出し装置に第
1,第2,第3の紙基材、第1,第2の開孔フィルム繰
出し装置に第1,第2の開孔フィルムを掛けて、第1、
第2、第3の紙基材繰り出し装置から第1、第2、第3
の紙基材を繰り出し、また第1、第2の開孔フィルム繰
り出し装置から第1、第2の開孔フィルムを、第1、第
2の紙基材の間に第1の開孔フィルムが入り、第2、第
3の紙基材の間に第2の開孔フィルムが入るように繰り
出して上下に積層し、この合計5層分のシート状物を、
雄型と雌型とからなる金型で構成された熱圧成型機の成
型ゾーンに導入し、6ショット/分の速度で縦辺11c
m、横辺21cm、テーパー角度45°、深さ2.5c
mのトレーを成型した。このときの金型温度は170
℃、圧力は78kg/cmとした。成型絞り率は以下
の如く算出した。
【0043】成型物の開口面積:縦辺11cm×横辺2
1cm=231cm2 成型物の表面積:底面積:縦辺6cm×横辺16cm
=96.0cm2 、縦辺側面積(台形面積):(長辺
11cm+短辺6cm)×高さ2.5√2cm÷2が2
面あるので=60.18cm2 、横辺側面積(台形面
積):(長辺21cm+短辺16cm)×高さ2.5√
2cm÷2が2面あるので=130.98cm2 、表面
積:++=287.16cm2 成型絞り率:287.16cm2 (表面積)÷231c
2 (開口面積)=124.3% 得られた5層構成の紙製積層成型物は、亀裂や破断によ
る成型不良が全くなく、絞り皺のない美麗なトレー状成
型物で表面平滑性が優れ、経時後の型戻りや変形がな
く、積層部分の各層間には剥離や浮きのない、接着状態
良好に一体化された剛性の高い成型物であった。
【0044】実施例2 下記の如く算出した成型絞り率のトレー状(縦辺11c
m、横辺21cm、テーパー角度60°、深さ4cm)
の金型を用いた以外は、総て実施例1と同様の構成、方
法及び条件で紙製積層成型物を得た。
【0045】成型物の開口面積:縦辺11cm×横辺2
1cm=231cm2 成型物の表面積:底面積:縦辺6.4cm×横辺1
6.4cm=105.0cm2 、縦辺側面積(台形面
積):(長辺11cm+短辺6.4cm)×高さ8/√
3cm÷2が2面あるので=80.39cm2 、横辺
側面積(台形面積):(長辺21cm+短辺16.4c
m)×高さ8/√3cm÷2が2面あるので=172.
8cm2 、表面積:++=358.19cm2 成型絞り率:358.19cm2 (表面積)÷231c
2 (開口面積)=155.1% 得られた5層構成の紙製積層成型物は、亀裂や破断によ
る成型不良が全くなく、絞り皺のない美麗なトレー状成
型物で表面平滑性が優れ、経時後の型戻りや変形がな
く、積層部分の各層間には剥離や浮きのない、接着状態
良好に一体化された剛性の高い成型物であった。
【0046】実施例3 熱可塑性樹脂からなる開孔フィルムとして、厚さが20
μm、開孔率約12%(20mm×20mmの面積中に
直径1mmの丸穴が約60個)のポリエチレン樹脂フィ
ルム(新日本アルク工業製)を用いた以外は、総て実施
例2と同様の構成、方法及び条件で紙製積層成型物を得
た。
【0047】得られた5層構成の紙製積層成型物は、亀
裂や破断による成型不良が全くなく、絞り皺のない美麗
なトレー状成型物で表面平滑性が優れ、経時後の型戻り
や変形がなく、積層部分の各層間には剥離や浮きのな
い、接着状態良好に一体化された剛性の高い成型物であ
った。
【0048】比較例1 熱可塑性樹脂からなるフィルムとして、厚さが25μm
の通常の孔無しポリエチレン樹脂フィルム(積菱包装製
ラミロン)を用いた以外は総て実施例2と同様の構成、
方法及び条件で紙製積層成型物を得た。
【0049】得られた5層構成の成型物は亀裂や破断に
よる成型不良や絞り皺等は全くなかったが、部分的に膨
れ状の欠点(火膨れ)が発生し、外観上劣っていた。ま
た、水蒸気の逃げ道と思われる成型物の端部は明らかに
剥離や浮きが見られ、積層不良個所の存在が確認され
た。
【0050】
【発明の効果】本発明に係る紙製積層成型物は、少なく
とも3層以上の紙基材を、その各層間に熱可塑性樹脂か
らなる開孔フィルムを介在した状態で一体に積層して接
着し、成型してなるので、高坪量となり、剛性があり、
且つ、紙基材の各層間に熱可塑性樹脂からなる開孔フィ
ルムを介在させて接着したので強い層間強度があり、そ
して、その両面側に熱可塑性樹脂層が存在する紙基材層
においても、成型時に紙中から発生する水蒸気が開孔フ
ィルムの孔から積層成型物外へ放出されるので、水蒸気
によるブリスター現象が防止され、積層間の接着不良、
火膨れ等の無い美麗な成型状態を得ることができる。
【0051】本発明に係る紙製積層成型物の製造方法
は、少なくとも3層以上の紙基材を、その各層間に熱可
塑性樹脂からなる開孔フィルムを介在した状態で積層
し、雄型と雌型を用いて前記開孔フィルムの融点温度以
上の温度で熱圧成型することにより接着して一体化する
とともに成型するので、高坪量で剛性があり、且つ、水
蒸気によるブリスター現象が防止され、積層間の接着不
良、火膨れ等の無い美麗な成型物を、1工程且つ低コス
トで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る紙製積層成型物の実施の形態の1
例を示した斜視図である。
【図2】図1のA−A線切断端面図である。
【図3】熱可塑性樹脂からなる開孔フィルムを示す拡大
平面図である。
【図4】本発明にかかる紙製積層成型物の製造方法の一
例を示した斜視図である。
【符号の説明】
1 紙製積層成型物 2a、2b、2c 第1、第2、第3の紙基材 3a、3b 第1、第2の開孔フィルム 4 孔 5a、5b、5c 第1、第2、第3の紙基材繰り出
し装置 6a、6b 第1、第2の開孔フィルム繰り出し装置 7a、7b ロール 8 シート状物 9 ピン付き搬送用チエーン装置 10a 雄型 10b 雌型 11 熱圧成型機 12 裁断機
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B65D 1/34 B29K 101:12 // B29K 101:12 105:04 105:04 105:08 105:08 B65D 1/00 B Fターム(参考) 3E033 AA10 BA10 BA14 BA19 BA22 BA23 BB01 BB08 CA06 FA01 GA03 4F100 AJ04 AK01B AK01D AK03B AK03D AK04 AK12B AK12D AK15B AK15D AK21B AK25B AK25D AK70B AK70D BA05 BA06 BA10A BA10E BA13 CB00 DA01 DC11B DC11D DG10A DG10C DG10E EC18 EC182 EH012 EJ172 EJ19 EJ422 EK172 GB16 JB16B JB16D JK01 JK06 JK08A JK08C JK08E JL04 JL11 YY00A YY00C YY00E 4F208 AA03 AA05 AA13 AA15 AA17 AA19 AA21 AA22 AD06 AG07 AH58 MA02 MB02 MB11 MB22 MC03 MG01 MG04 MH21 MJ08 MK08 MK15

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも3層以上の紙基材を、その各
    層間に熱可塑性樹脂からなる開孔フィルムを介在した状
    態で一体に積層して接着し、成型してなることを特徴と
    する紙製積層成型物。
  2. 【請求項2】 前記熱可塑性樹脂からなる開孔フィルム
    の開孔率が0.2%〜15%の範囲であることを特徴と
    する請求項1に記載の紙製積層成型物。
  3. 【請求項3】 前記熱可塑性樹脂からなる開孔フィルム
    が、ポリオレフィン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリ
    塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アイオノマー
    樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂のいずれか1種若し
    くは2種以上の混合物からなることを特徴とする請求項
    1又は2に記載の紙製積層成型物。
  4. 【請求項4】 前記紙基材は、破断伸びが縦方向15%
    以上、横方向15%以上を有することを特徴とする請求
    項1、2又は3に記載の紙製積層成型物。
  5. 【請求項5】 少なくとも3層以上の紙基材を、その各
    層間に熱可塑性樹脂からなる開孔フィルムを介在した状
    態で積層し、雄型と雌型を用いて前記開孔フィルムの融
    点温度以上の温度で熱圧成型することにより接着して一
    体化するとともに成型することを特徴とする紙製積層成
    型物の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記熱可塑性樹脂からなる開孔フィルム
    の開孔率が0.2%〜15%の範囲であることを特徴と
    する請求項5に記載の紙製積層成型物の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記熱可塑性樹脂からなる開孔フィルム
    が、ポリオレフィン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリ
    塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アイオノマー
    樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂のいずれか1種若し
    くは2種以上の混合物からなることを特徴とする請求項
    5又は6に記載の紙製積層成型物の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記紙基材は、破断伸びが縦方向15%
    以上、横方向15%以上を有することを特徴とする請求
    項5、6又は7に記載の紙製積層成型物の製造方法。
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