JP2002139950A - 定着装置及びこれを有する画像形成装置 - Google Patents

定着装置及びこれを有する画像形成装置

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JP2002139950A
JP2002139950A JP2000332832A JP2000332832A JP2002139950A JP 2002139950 A JP2002139950 A JP 2002139950A JP 2000332832 A JP2000332832 A JP 2000332832A JP 2000332832 A JP2000332832 A JP 2000332832A JP 2002139950 A JP2002139950 A JP 2002139950A
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temperature
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sheet
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JP2000332832A
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English (en)
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Yoshiaki Haniyu
嘉昭 羽生
Genichi Yasui
元一 安井
Masanao Ebara
正尚 江原
Hideo Furukawa
英男 古川
Hiroshi Yoshinaga
洋 吉永
Hiroshi Ogawa
博史 小川
Hisashi Shimizu
久 清水
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Ricoh Co Ltd
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】定着モード切り換え時等の温度調節時における
待ち時間を短縮化するベルト定着装置及びこの定着装置
を有する画像形成装置の提供。 【解決手段】第1の温度で定着を行う第1のモードと、
第1の温度より低い第2の温度で定着を行う第2のモー
ドとを有し、第1のモードに続いて第2のモードで定着
を行うときに、第1のモードにおける最終シートの定着
前に、ヒータ6による熱供給の状態を第1のモードにお
ける熱供給の状態より低下し、また第2のモードのリロ
ード温度を、第1のモードのリロード温度より低くした
定着装置1及びこの定着装置1を備えた画像形成装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、定着装置、特にい
わゆるベルト定着装置であって複数の定着モードを備え
た定着装置及びこの定着装置を有する複写機、ファクシ
ミリ、プリンタ等の画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】複写機、ファクシミリ、プリンタ、印刷
機等の画像形成装置は一般に、被定着画像としてのトナ
ー像を形成されたシート状媒体に、トナー像を定着する
ための定着装置を有している。シート状媒体には、一般
にコピー等に用いられる普通紙としての用紙と、OHP
シート、厚紙、封筒等の、用紙よりも熱容量が大きない
わゆる特殊シートとがある。
【0003】定着装置としては、内部に熱源を有し回転
駆動される加熱ローラと、この加熱ローラに圧接され加
熱ローラに従動回転する加圧ローラとを有し、両ローラ
によって形成されるニップ部に、両ローラの回転によっ
てシート状媒体を通過させ、加熱加圧してトナー像を定
着する熱ローラ対タイプの定着装置や、トナーを定着さ
れるシート状媒体を搬送するための無端の定着ベルト、
定着ベルトを巻き掛けられた加熱ローラ及び定着ロー
ラ、定着ベルトを介して定着ローラに対向して配置され
る加圧ローラ等を構成要素とするタイプのいわゆるベル
ト定着装置が知られている。
【0004】これらの定着装置において、シート状媒体
の種類やカラー画像、モノクロ画像の何れの画像を定着
するか等に応じて設定温度の異なる複数の定着モードを
備えた定着装置が知られている。このような定着装置に
おいては、設定温度が互いに異なるモードに切り換わる
際には、ホットオフセットや光沢ムラを防止すべく、切
り替わった後のモードの定着に適した温度となってから
定着を開始しているため、次のモードで定着を開始する
には待ち時間が生じる。低温のモードから高温のモード
に切り替わるときには、昇温はヒータにより行えばよい
から比較的速やかに行うことができ、待ち時間は短くて
済むため、さほど問題にならないが、高温のモードから
低温のモードに切り替わるときには、放熱により温度低
下を図るしかないから、温度を低下させるには時間がか
かり、待ち時間が長くなるため、問題となっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで従来は、高温の
モードから低温のモードに切り替わるときには、上記各
ローラや定着ベルトをプレ回転することにより、放熱を
促進することで待ち時間の短縮化を図っていたが、プレ
回転を行うのみではかかる短縮化には限界があり、さら
なる短縮化が求められている。
【0006】また特にベルト定着装置では、定着ベルト
の熱容量が小さいため、通常、設定温度がオーバーシュ
ート気味に設定されているから、十分に放熱を行ってか
ら定着を開始しないと、ホットオフセットや光沢ムラが
生じやすい。一方、モノクロ画像等においては一般に、
高い光沢度を要求されることは少なく、したがって比較
的低温で定着を開始することが可能であって、十分な昇
温を行ってから定着を開始することは、画像品質にさほ
ど影響しないにも関わらず待ち時間を長くすることとな
る。
【0007】本発明は、定着モード切り換え時等の温度
調節時における待ち時間を短縮化することができるベル
ト定着装置及びこの定着装置を有する画像形成装置を提
供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の発明は、ヒータの発熱によりシート
状媒体に定着を行う定着装置であって、第1の温度で定
着を行う第1のモードと、第1の温度より低い第2の温
度で定着を行う第2のモードとを有する定着装置におい
て、第1のモードに続いて第2のモードで定着を行うと
きに、第1のモードにおける最終シートの定着前に、上
記ヒータによる熱供給の状態を第1のモードにおける熱
供給の状態より低下することを特徴とする。
【0009】請求項2記載の発明は、請求項1記載の定
着装置において、第1のモードに続いて第2のモードで
定着を行うときに、第1のモードにおける最終シートの
定着前に、上記ヒータの設定温度を第1の温度から第2
の温度に切り換えることにより、上記ヒータによる熱供
給の状態を第1のモードにおける熱供給の状態より低下
することを特徴とする。
【0010】請求項3記載の発明は、請求項1記載の定
着装置において、第1のモードに続いて第2のモードで
定着を行うときに、第1のモードにおける最終シートの
定着前に、上記ヒータによる熱供給を停止することによ
り、上記ヒータによる熱供給の状態を第1のモードにお
ける熱供給の状態より低下することを特徴とする。
【0011】請求項4記載の発明は、請求項1ないし3
の何れか1つに記載の定着装置において、第1の温度と
第2の温度との温度差に応じて、上記ヒータによる熱供
給の状態を第1のモードにおける熱供給の状態より低下
するタイミングを異ならせることを特徴とする。
【0012】請求項5記載の発明は、請求項1ないし3
の何れか1つに記載の定着装置において、第1のモード
における最終シートの定着時にのみ、上記ヒータによる
熱供給の状態を第1のモードにおける熱供給の状態より
低下することを特徴とする。
【0013】請求項6記載の発明は、請求項1ないし5
の何れか1つに記載の定着装置において、第2のモード
におけるリロード温度を、第1のモードにおけるリロー
ド温度より低くしたことを特徴とする。
【0014】請求項7記載の発明は、ヒータの発熱によ
りシート状媒体に定着を行う定着装置であって、第1の
温度で定着を行う第1のモードと、第1の温度より低い
第2の温度で定着を行う第2のモードとを有する定着装
置において、第2のモードにおけるリロード温度を、第
1のモードにおけるリロード温度より低くしたことを特
徴とする。
【0015】請求項8記載の発明は、請求項1ないし7
の何れか1つに記載の定着装置において、待機時の設定
温度を第1の温度及び第2の温度より低くしたことを特
徴とする。
【0016】請求項9記載の発明は、請求項1ないし8
の何れか1つに記載の定着装置において、第1のモード
におけるシート状媒体は特殊シートであり、第2のモー
ドにおけるシート状媒体は普通紙であることを特徴とす
る。
【0017】請求項10記載の発明は、請求項1ないし
8の何れか1つに記載の定着装置において、第1のモー
ドはカラー画像の定着モードであり、第2のモードはモ
ノクロ画像の定着モードであることを特徴とする。
【0018】請求項11記載の発明は、請求項1ないし
10の何れか1つに記載の定着装置において、シート状
媒体を搬送するための無端の定着ベルトと、上記定着ベ
ルトを巻き掛けられた加熱ローラ及び定着ローラと、上
記定着ベルトを介して上記定着ローラに対向して配置さ
れる加圧ローラとを有することを特徴とする。
【0019】請求項12記載の発明は、請求項1ないし
11の何れか1つに記載の定着装置を有する画像形成装
置にある。
【0020】
【実施例】図1に本発明を適用した定着装置及びこの定
着装置を有する画像形成装置の概略を示す。画像形成装
置は複写機、ファクシミリ、プリンタ等周知のものであ
り、本発明を適用した定着装置を用いることができるタ
イプの画像形成装置であればどのようなものでも良い。
本実施例の画像形成装置はカラー画像の形成が可能であ
る。
【0021】画像形成装置20は、原稿画像に応じて各
色ごとの画像を形成する作像装置21Y、21M、21
C、21BKと、作像装置21Y、21M、21C、2
1BKに対向して配置された転写装置22と、各作像装
置21Y、21M、21C、21BKと転写装置22と
が対向する転写領域に各種シート状媒体を供給するシー
ト状媒体供給手段としての給紙カセット23、24と、
給紙カセット23、24から搬送されてきたシート状媒
体を作像装置21Y、21M、21C、21BKによる
作像のタイミングにあわせて供給するレジストローラ3
0と、転写領域において転写後のシート状媒体の定着を
行う定着装置1とを有している。
【0022】画像形成装置20は、一般にコピー等に用
いられる普通紙(以下単に普通紙という)と、OHPシ
ートや、カード、ハガキといった90K紙、坪量約10
0g/m2相当以上の厚紙や、封筒等の、用紙よりも熱
容量が大きないわゆる特殊シート(以下単に特殊シート
という)との何れをもシート状媒体として用いることが
可能である。
【0023】各作像装置21C、21Y、21M、21
BKはそれぞれシアン、イエロー、マゼンタ、ブラック
の各色の現像を行うものであり、用いるトナーの色が異
なるが、その構成はほぼ同様であるから、作像装置21
Cの構成を各作像装置21C、21Y、21M、21B
Kの代表として説明する。作像装置21Cは、静電潜像
担持体としての感光体ドラム25C、感光体ドラム25
Cの回転方向Aにおいて順に配置されている図示しない
周知の帯電装置、現像装置、クリーニング装置等を有
し、帯電装置と現像装置との間で図示しない周知のポリ
ゴンミラーを備えた走査手段による露光光29Cを受け
る周知の構成である。静電潜像担持体はドラム状でな
く、ベルト状としても良い。但し、ブラックの作像装置
21BKにおける露光光29BKは2ビームとすること
ができ、作像装置21BKは他の各作像装置21Y、2
1M、21Cに比して速く作像を行うことが可能となっ
ている。
【0024】給紙カセット23にはA4サイズの用紙
が、給紙カセット24にはA3サイズの用紙が、それぞ
れ図の左右方向が長手方向となるように載置されてい
る。転写装置22は、画像形成装置20が図の左右方向
において小型になるよう、斜め方向に配設され、矢印B
で示す用紙搬送方向が斜め方向となっている。これによ
り、画像形成装置20は、図の左右方向における筐体2
6の幅が、A3サイズの用紙の長手方向の長さよりも僅
かに長い大きさとなっている。すなわち、画像形成装置
20は、内部に用紙を収容するために最低限必要な大き
さとされることで大幅に小型化されている。筐体26の
上部は、定着装置1を通過しトナー像が定着した用紙を
積載するための排紙トレイ27となっている。
【0025】図2に示すように、定着装置1は、トナー
を定着されるシート状媒体を搬送するための無端の定着
ベルト2と、定着ベルト2を巻き掛けられた加熱ローラ
3及び定着ローラ4と、定着ベルト2を介して定着ロー
ラ4に対向して配置された加圧ローラ5と、加熱ローラ
3、加圧ローラ5の内部に備えられたヒータ6、7と、
加熱ローラ3に対向し当接するよう配置され加熱ローラ
3の温度を検知する温度検知手段としてのサーミスタ8
と、定着ベルト2を介して定着ローラ4に対向して配置
されたクリーニングローラ31、離型剤供給手段として
の塗布ローラ32と、ケーシング33と、ケーシング3
3に固設された入口ガイド12、出口ガイド36、取っ
手37と、加熱ローラ3、定着ローラ4、定着ベルト2
を一体的に支持する支持体38と、ケーシング33に対
し支持体38、加圧ローラ5を支持する支持体39等を
有している。
【0026】定着ベルト2に適当な所定の張力を与える
ため、加熱ローラ3と定着ローラ4とは、バネなどの図
示しない弾性体により、互いに離間する向きに付勢され
ている。定着ローラ4は、芯金9と、この芯金9を被覆
し定着ローラの表面をなす耐熱性の弾性体層10とを有
し、芯金9が、その軸11により、図示しない駆動手段
により回転駆動されることで、定着ローラ4が回転駆動
され、加熱ローラ3の従動回転により定着ベルト2が駆
動される。
【0027】加圧ローラ5と定着ローラ4とは、支持体
38と支持体39とがバネなどの図示しない弾性体によ
り、互いに近接する向きに付勢されていることにより、
互いに圧接する向きに、10kgf以上の圧接力で付勢
される。加圧ローラ5は、定着ローラ4の軸心を頂点と
し定着ローラ4の軸心と加熱ローラ3の軸心、加熱ロー
ラ3の軸心と加圧ローラ5の軸心をそれぞれ結ぶ2本の
直線によって挟まれる角が鋭角をなすように定着ローラ
4に当接されており、これにより、シート状媒体にトナ
ーを定着する定着領域としての、加圧ローラ5が定着ロ
ーラ4に対向しない部位で定着ベルト2のみに当接する
第1の定着部15と、加圧ローラ5が定着ベルト2を介
して定着ローラに当接する第2の定着部16とが形成さ
れる。
【0028】ケーシング33は転写装置22に対向する
位置に設けられ転写装置22によって搬送されてくるシ
ート状媒体を受け入れるための開口34と、第1の定着
部15及び第2の定着部16を挟んで開口34の反対側
に設けられ定着済みのシート状媒体を排出する開口35
とを有している。入口ガイド12は、その基部が開口3
4の下方においてケーシング33の外面に固着され、先
端が開口34からケーシング33の内部に入り込み第1
の定着部15に向かって伸びている。
【0029】定着ベルト2は、ニッケル製の厚さ100
μmの基体上に200μmのシリコンゴム製の離型層が
形成されたものであり、熱容量が小さく、熱応答性を良
好にされている。定着ベルト2の長さは、同ベルト2が
円状をなすときに径が60mmとなる長さとされてい
る。基体はSUS製、ポリイミド製でもよく、可撓性を
考慮すると厚さは30〜150μm程度であればよい。
離型層は、シリコンゴムを用いる場合は厚さ50〜30
0程度が望ましく、フッ素樹脂系を用いる場合は厚さ1
0〜50μm程度が望ましい。また離型層はシリコンゴ
ムの上にフッ素樹脂系を重ねた構成でもよい。定着ベル
ト2は瞬時に加熱され、かつ、ホットオフセットを生じ
ない程度に、定着領域でベルト表面が自己冷却される特
性が望まれるが、他方では、定着領域において、トナー
を十分に溶かして定着させるのに必要な熱容量を有して
いなければならない。定着ベルト2の上記材質及びその
厚さはこの条件を満たすものである。自己冷却とは、定
着領域の、シート状媒体の未定着画像側に、加熱源がな
いことにより、定着工程においてベルトが冷える現象を
いう。
【0030】定着ベルト2は、加熱ローラ3と定着ロー
ラ4とが互いに離間する向きに付勢されていることによ
り、3kgf/片側の張力を与えられている。この張力
は、図示しない上記弾性体の付勢力を調整することによ
り設定でき、1kgf(9.8N)〜3kgf(29.
4N)の範囲で設定することが、良好な定着を行う上で
好ましい。
【0031】加熱ローラ3と加圧ローラ5とは、それぞ
れ薄肉円筒状の芯金からなり低熱容量化が図られてい
る。加熱ローラ3の芯金の径は20mm以上30mm以
下、かつ同芯金の肉厚は0.3mm以上2.0mm以下
であり、加圧ローラ5の芯金の径は30mm以上50m
m以下、かつ同芯金の肉厚は0.3mm以上1.5mm
以下である。これにより、加熱ローラ3の熱容量は26
cal/°C以下、加圧ローラ5の熱容量は36cal
/°C以下とされている。
【0032】本実施例において、加熱ローラ3の芯金
は、アルミニウム製であり、径を30mm、肉厚を0.
7mmとされている。材質は、比熱が小さく、熱伝導率
が大きいものが好ましく、他にも鉄、銅、ステンレス等
の金属を使用することができる。他にも、アルミニウム
製でローラ径が30mmのときは肉厚を0.6mm〜
1.4mmの範囲、鉄製でローラ径が20mmのときは
肉厚を0.7mm〜1.4mmの範囲、鉄製でローラ径
が30mmのときは肉厚を0.3mm〜0.9mmの範
囲で設定することができる。径が大きいほど肉厚を薄く
するのは、ローラの軸方向の曲がりを考慮したものであ
る。
【0033】これら肉厚の下限の値は、上述した定着ベ
ルト2の張力による加熱ローラ3の変形を考慮したとき
の許容値、上限の値は所望の立上り時間を得るための許
容値を示している。ローラ径を20mm以上とするのは
ベルトの張力を確保してローラの軸方向の曲がりが発生
しない範囲とするためである。またローラ径を20mm
〜30mmとするのは、シート状媒体搬送速度を200
mm/s以下とした場合に、連続通紙中も定着ベルト2
の温度が定着に必要な一定温度を保つための、26ca
l/°C程度の熱容量を得るためである。
【0034】このように加熱ローラ3を低熱容量とする
ことにより、定着ベルト2が回転してもその熱を奪うこ
とが少なく、定着に悪影響を与えることや立上り時間が
長引くことが防止されている。さらに連続定着等により
温度が低下してもその回復までの時間が短縮される。ヒ
ータ6は通電により発熱し、加熱ローラ3及び加熱ロー
ラ3を介して定着ベルト2を加熱するものである。サー
ミスタ8による検知信号は図示しない制御手段に入力さ
れ、目標の定着温度と比較され、原則として、検知温度
が設定温度より低い場合にはヒータ6への通電が行わ
れ、検知温度が設定温度より高い場合にはヒータ6への
通電が停止される。このようにサーミスタ8の検知信号
がフィードバックされることで定着温度が制御され、定
着ベルト2の表面温度が設定温度に保たれる。なおサー
ミスタ8は、加熱ローラ3の回転による互いの摩耗を減
じるように、加熱ローラ3の回転方向に対して鈍角をな
すように加熱ローラ3に当接している。
【0035】加熱ローラ3は外表面に硬質保護膜である
アルマイト層を有している。このアルマイト層は陽極電
界処理により形成されたものであり、ビッカース硬度H
V200以上とされている。アルマイト層を有していな
い場合、加熱ローラ3は定着ベルト2との摩擦により摩
耗を生じるが、アルマイト層を形成したことによりかか
る摩耗が防止されている。実験では6万枚の通紙を行っ
ても摩耗によりアルミ粉が発生しないことが確認され
た。また加熱ローラ3の内表面にアルマイト処理を行っ
て黒色のアルマイト層を形成することができ、これによ
り加熱ローラ3内面でのヒータ6による熱の反射を防止
し、加熱ローラ3の吸熱率を高めて熱効率を上昇すると
ともに、ヒータ6の過昇温による破損を防止することが
できる。加熱ローラ3の内側の黒色のアルマイト処理は
外表面と同時に行うことができる。
【0036】定着ローラ4の弾性体層10は、ゴム製の
ゴム層である。その材質は、具体的にはシリコーンスポ
ンジゴム製である。すなわち、発泡体である。気泡の径
は500μmとされ、特に表面近傍すなわち定着ローラ
4周面近傍における径は300μm以下である。弾性体
層10の表面硬度はアスカCで20HSとされている。
定着ローラ4は外径が30mmである。弾性体層10の
材質は、熱伝導率が小さく断熱作用のある耐熱多孔質の
弾性体であるから、ベルトの熱を奪うことを低減し、立
上り後の温度落ち込みを小さくするとともに温度回復の
ためのプレ回転時間を短縮している。また、弾性体層1
0が比較的低硬度であるため、加圧ローラ5の圧接力が
小さくても十分なニップ幅を得ることができ、比較的低
温かつ低圧の条件下でも良好な定着性能を得ることがで
きる。
【0037】加圧ローラ5の芯金は、鉄製であり、径を
40mm、肉厚を1.0mmとされている。材質は、比
熱が小さく、熱伝導率が大きいものが好ましく、他にも
アルミニウム、銅、ステンレス等の金属を使用すること
ができる。他にも、鉄製でローラ径が30mmのときは
肉厚を0.4mm〜1.0mmの範囲、鉄製でローラ径
が50mmのときは肉厚を0.3mm〜0.8mmの範
囲、アルミニウム製でローラ径が30mmのときは肉厚
を1.3mm〜1.5mmの範囲、アルミニウム製でロ
ーラ径が50mmのときは肉厚を0.6mm〜1.2m
mの範囲で設定することができる。径が大きいほど肉厚
を薄くするのは、ローラの軸方向の曲がりを考慮したも
のである。
【0038】これら肉厚の下限の値は、定着圧の下限値
に相当する0.6kg/cm2の面圧による加圧ローラ
5の変形を考慮したときの許容値、上限の値は所望の立
上り時間を得るための許容値を示している。ローラ径を
30mm以上とするのは定着圧を確保してローラの軸方
向の曲がりが発生しない範囲とするためである。またロ
ーラ径を30mm〜50mmとするのは、シート状媒体
搬送速度を200mm/s以下とした場合に、連続通紙
中も定着ベルト2の温度が定着に必要な一定温度を保つ
ための、36cal/°C程度の熱容量を得るためであ
る。
【0039】このように加圧ローラ5を低熱容量とする
ことにより、定着ベルト2が回転してもその熱を奪うこ
とが少なく、特に本実施例においては加圧ローラ5はヒ
ータ7を有するので定着ベルト2の温度を低下させて定
着に悪影響を与えることや立上り時間が長引くことが防
止されている。さらに連続定着等により温度が低下して
もその回復までの時間が短縮される。ヒータ7は、加圧
ローラ5の温度を上げ、立ち上げ時間を短縮するととも
に、定着の際にはシート状媒体の背面からも熱を供給し
てより安定した定着性能を得るものである。また、加圧
ローラ5は芯金上に10μm〜300μmの離型層を形
成することができる。ヒータ7は通電により発熱し、加
圧ローラ5を加熱するものであり、ヒータ6と同期して
通電が制御されるようになっている。
【0040】このように加熱ローラ3、加圧ローラ5を
薄肉として低熱容量化できるのは、定着装置1が定着ベ
ルト2を用いるいわゆるベルト定着装置だからである。
すなわち、定着は、定着部15、16という、距離的に
比較的長い部位によって行われるため、定着圧を減じる
ことができ、加圧ローラ5の強度を下げることができ、
また加熱ローラ3は加圧ローラを圧接されないため、薄
肉化できる。定着を距離的に比較的長い部位によって行
うことは、比較的低温での定着を可能とし、これは立上
り時間を短縮することにも寄与している。また、定着ベ
ルト2を用いると、ヒータにより加熱された定着ベルト
2が搬送される過程で定着に適当な温度に冷却され、オ
フセットを防止できるという利点もある。ヒータ6、7
の出力は電源スイッチ投入時の突入電流、ヒータのオ
ン、オフ時の蛍光灯のちらつき現象を考慮して700W
以下とされている。
【0041】クリーニングローラ31と塗布ローラ32
とは互いに隣り合う位置に配設されており、クリーニン
グローラ31は塗布ローラ32に対し、定着ベルト2の
移動方向における上流側に位置している。クリーニング
ローラ31、塗布ローラ32はともに常に定着ベルト2
に当接している。クリーニングローラ31は径を20m
mとされ、図示しない駆動手段により定着ベルト2との
対向部において定着ベルト2の移動方向と反対側に移動
するように駆動されている。これにより、シート状媒体
から定着ベルト2に転移したトナーを掻き取るようにな
っている。定着ベルト2からクリーニングローラ31に
掻き取られたトナーは図示しないクリーニング手段によ
りクリーニングローラ31からぬぐい取られ、クリーニ
ングローラ31は常に良好なクリーニングを行うことが
できるようにされている。塗布ローラ32は定着ベルト
2にシリコンオイルを主成分とする離型剤を塗布するも
のであり、径を16mmとされ、定着ベルト2に従動回
転するようになっている。塗布ローラ32には図示しな
い離型剤供給部材とブレードとが当接しており、離型剤
共有手段によって塗布ローラ32に供給された離型剤の
層厚がブレードにより均一になされる。これにより、定
着ベルト2には常に適量の離型剤が塗布されるようにな
っている。
【0042】図3に示すように、定着装置1は、画像形
成装置20本体においてシート状媒体上に形成される画
像の種類と、トナー像が形成されるシート状媒体の種類
と、シート状媒体の搬送速度すなわち定着ベルト2によ
るシート状媒体の搬送速度言い換えると定着ベルト2の
移動速度とに応じて定められる、NO.1〜6で表され
る定着モードを有している。本実施例において、画像の
種類とは、画像形成装置20本体において用いられる作
像装置が、作像装置21BKであるか、各作像装置21
Y、21M、21C、21BKであるかの、何れかであ
るかを意味する。
【0043】シート状媒体の種類は、上述した普通紙、
特殊シートであるOHP、厚紙の何れかであり、シート
状媒体の搬送速度は、185mm/s、125mm/
s、62.5mm/sの何れかである。なお、搬送速度
185/mmは普通紙にモノクロ画像を形成する場合に
のみ適用され、搬送速度が62.5/mmであるときは
カラー画像、モノクロ画像の別を問わず定着温度は各シ
ート状媒体において不変である。定着装置1はこれらの
条件の組合せにより、NO.1〜6で表される定着モー
ドを有しているものである。なお、搬送速度が185m
m/sのときに1分間に定着可能なシート枚数は38枚
すなわち38ppmであり、同じく125mm/sのと
き、62.5mm/sのときはそれぞれ28ppm、1
4ppmである。
【0044】同図に示すように、各定着モードに応じ
て、定着を行うための設定温度、すなわち上述の制御手
段における目標の定着温度が定められている。定着温度
は、180℃、175℃、170℃、145℃の何れか
である。搬送速度は、定着ローラ4の回転速度を調節す
ることにより可変とされている。
【0045】作像装置21BKにおける2ビームによる
露光すなわち書き込みは定着モード1の場合にのみ行う
ようになっている。搬送速度が185mm/sであるの
は定着モード1のみであるが、これは2ビームによる書
き込みを行うことで達成できるものである。また185
mm/sという搬送速度は、作像装置21BKに備えら
れたポリゴンミラーの最高回転数により定まる限界の速
度である。2ビームによる書き込みを行う作像装置は高
価となるため、最も使用頻度の高い黒色の作像装置21
BKのみが2ビームによる書き込みを行うことができる
ようになっている。
【0046】フルカラーのトナー像を形成する場合に
は、作像装置BKにおいても他の作像装置21Y、21
M、21Cと同様に1ビームの書き込みを行うため、定
着モード2、3においては、搬送速度は定着モード1の
185mm/sより低い125mm/s、およびその半
分の62.5mm/sとされている。設定温度、言い換
えると定着温度は、各搬送速度においてホットオフセッ
トを生じない範囲で最も高い温度となるように設定され
ているものである。このことは、フルカラー画像を形成
する場合においては画像の光沢度が高いことが望まし
く、光沢度を高めるには多くの熱量を与えることが効果
的であることにも適っている。なお、特殊シートは普通
紙よりも熱容量が大きいことから、搬送速度を遅くした
り定着温度を高くしたりすることで供給する熱量を大き
くしている。
【0047】トナー像を形成するトナーの種類に関する
各定着モードの切り換えは、本実施例においては、形成
すべきトナー像の原稿情報に応じて制御手段が自動的に
切り換えるようになっているが、画像形成装置20の本
体側に設けられている図示しない操作パネル上で、操作
者が、黒色の画像を形成するかフルカラーの画像を形成
するかの何れかを、キーの押下により選択することによ
り行うようにしても良い。
【0048】シート状媒体の種類に関する各定着モード
の切り換えは、本実施例においては、シート状媒体が定
着装置1に到達するまでの間に周知の手段によってその
シート状媒体が普通紙であるか、特殊シートのうちのO
HPであるか厚紙であるかを自動的に判断して行うよう
になっているが、その他にも、特定の給紙トレイを使用
するときに各特殊シートであることを判断するようにし
てもよいし、画像形成装置20の本体側に設けられてい
る図示しない操作パネル上で、操作者が、所望のモード
をキーの押下により選択することにより行うこともでき
るし、操作者が同様の操作でどの給紙カセットを使用す
るかを指定することによりその給紙カセットに収容され
ているシート状媒体が普通紙であるか各種特殊シートで
あるかが図示しない制御手段が自動的に判断しそれに応
じてモードが切り換えられるようにすることもできる。
【0049】設定温度の異なる定着モードによる定着が
続けて行われる場合、すなわち、ある定着モードによる
定着動作中に、画像の種類やシート状媒体の種類の異な
る次の画像形成開始が操作者によって指示された場合で
あって、それらの定着モードの設定温度が異なる場合に
は、ヒータ6に対する通電は次のようになされる。
【0050】すなわち、かかる場合おいて、進行中の定
着モード(以下「第1の定着モード」という)の定着温
度より、次の定着モード(以下「第2の定着モード」)
の定着温度Tが高い場合には、第2の定着モードへの移
行時にヒータ6への通電を行い、サーミスタ8がTより
も低く設定されているリロード温度T’を検知した後
に、定着ベルト2によるシート状媒体の搬送を開始可能
とするようになっている。なお、リロード温度とは、給
紙カセット23、24からシート状媒体を送り出すタイ
ミングを計るための温度であり、具体的には、リロード
温度T’に達すると、ピックアップローラ41、42が
回転するようになっている。
【0051】ヒータ6への通電による昇温の過程におい
て、リロード温度T’となると給紙が開始され、給紙が
行われている間にも昇温が続けられるので、シート状媒
体が定着装置1において定着されるときにはその定着モ
ードにおける設定温度Tにほぼ達しており、良好な定着
が行われる。この制御が行われるのは、具体的に、定着
モードNO.4から他の定着モードへ、定着モードN
O.3又は5から定着モードNO.1,2又は6へ、定
着モードNO.2又は6から定着モードNO.1へ移行
する場合が該当する。なおプレ回転時における定着ベル
ト2の移動速度は、125mm/sとされ、定着時にお
けるそれと共通化されている。
【0052】一方、第1の定着モードの定着温度
(T1)より、第2の定着モードの定着温度(T2)が低
い場合には、第1の定着モードにおける最終シートの定
着前に、ヒータ6による熱供給の状態を第1の定着モー
ドにおける熱供給の状態より低下する。具体的に、本実
施例においては、第1の定着モードにおける最終シート
の定着前に、ヒータ6の設定温度をT1からT2に切り換
えることで、ヒータ6による熱供給の状態を第1の定着
モードにおける通常の熱供給の状態より低下するが、第
1のモードにおける最終シートの定着前に、ヒータ6へ
の通電を停止し、ヒータによる熱供給を停止することに
よってヒータ6による熱供給の状態を第1のモードにお
ける通常の熱供給の状態より低下しても良い。
【0053】さらに具体的には、本実施例において、ヒ
ータ6の設定温度をT1からT2に切り換えるのは、第1
の定着モードにおける最終シートの定着時のみである
が、T 1とT2との差の大きさに応じて、例えば最終シー
ト及びその1枚前までのシート、あるいは最終シート及
びその2枚前までのシートといったように、ヒータ6に
よる熱供給の状態を低下するタイミングを異ならせても
良い。
【0054】第1の定着モードにおける最終シートの定
着前に、ヒータ6による熱供給の状態を第1の定着モー
ドにおける熱供給の状態より低下するためのこれらの制
御の組合せは自由であるが、肝要なのは、第1の定着モ
ードにおいて定着を行っている間に、定着に用いる熱量
及びシートによる吸熱により、第1の定着モード終了時
に温度をほぼT2とすることである。第1の定着モード
終了時に温度をほぼT2とすることで、第2の定着モー
ドにおける定着を早期に、すなわち第1のモードに連続
して、開始することができる。
【0055】具体的に、本実施例において第1の定着モ
ードに相当するのは、定着モードNO.1ないし3,
5,6であり、第2の定着に相当するのは、定着モード
NO.4である。定着モードNO.1ないし3,5,6
の相互間においては、温度差が小さいため、定着モード
の移行により設定温度が低下する場合であっても、上述
の制御は行わず、単純に各定着モードを連続して行う。
しかし、定着モードNO.1ないし3,5,6の相互間
においても、定着モードの移行により設定温度が低下す
る場合には、上述の制御を行うようにしても良い。
【0056】なお、T1とT2との差の大きさに応じてヒ
ータ6による熱供給の状態を低下するタイミングを異な
らせる場合の具体例としては、定着モードNO.3又は
5から定着モードNO.4に移行する場合には温度差が
25℃であるから最終シートのみ定着モードNO.4の
設定温度で定着し、定着モードNO.2又は6から定着
モードNO.4に移行する場合には温度差が30℃ある
から最終シート及びその1枚前までのシートを定着モー
ドNO.4の設定温度で定着し、定着モードNO.1か
ら定着モードNO.4に移行する場合には温度差が35
℃と大きいから最終シート及びその2枚前までのシート
を定着モードNO.4の設定温度で定着するというもの
が挙げられる。シート状媒体の種類によって熱容量が異
なり、例えばOHPシートは普通紙より熱容量が大きい
から、第1の定着モードがOHPシートへの定着モード
である場合には、普通紙より少ない枚数で温度低下を図
ることができるから、シート状媒体の種類によって、最
終シートから何枚前から熱供給の状態を低下するかのタ
イミング切り換えを異ならせるようにしても良い。
【0057】また本実施例においては、第2のモードに
おけるリロード温度T4を、第1のモードにおけるリロ
ード温度T3より低くし、T4−T2>T3−T1なる関係
が成立するようにしている。リロード温度の関係をこの
ように設定したのは、一般にベルト定着装置において
は、定着ベルトの熱容量が小さいため、通常、設定温度
がオーバーシュート気味に設定されているから、十分に
放熱を行ってから定着を開始しないと、ホットオフセッ
トや光沢ムラが生じやすいが、モノクロ画像等において
は一般に、高い光沢度を要求されることは少ないため、
比較的低温で定着を開始することが可能だからである。
【0058】さらに、本実施例においては、待機時、例
えば画像形成が行われていないときの定着装置1の設定
温度T5を第1の温度T1及び第2の温度T2より低くし
ている。これにより、定着開始時には、第1の定着モー
ドの定着温度より、第2の定着モードの定着温度Tが高
い、上述の場合と同様の、ヒータ6への通電制御が行わ
れ、昇温が速やかに行われる。このことは、昇温を温度
低下よりも容易に行えることに適っている。
【0059】また、モノクロ画像はカラー画像に比し
て、普通紙は特殊シートに比して、定着温度が低く設定
されているが、モノクロ画像はカラー画像に比して、普
通紙は特殊シートに比して、低温で定着を行っても、画
像品質にさほど影響しない。よってT4−T2>T3−T1
なる関係が成立しておりリロード温度が低いことで、モ
ノクロ画像に定着を行う場合はカラー画像に比して、普
通紙に定着を行う場合は特殊シートに比して、定着時の
実際の温度が十分にあがっていないとしても、画像品質
は担保され、なおかつ、定着開始が早期に行われること
となる。
【0060】定着温度を4つの温度の何れかで制御する
こと、搬送速度を3つの速度の何れかで制御すること
は、制御を簡易化するためであり、各定着モードに応じ
てそれぞれ異なる定着温度、搬送速度によって制御を行
うようにしても良い。また定着モードは、画像の種類、
シート状媒体の種類、シート状媒体の搬送速度の全てに
応じて定める必要はなく、これらパラメータの内の一部
の組合せにより定めるようにしても良く、またパラメー
タにトナー像の解像度等を適宜組み合わせても良い。
【0061】本実施例は以上の構成により、画像形成装
置20の電源が投入されると、サーミスタ8の温度検知
に基づきヒータ6への通電を行われる。操作者が画像形
成を開始する周知の操作を行うと、リロード温度T’に
達したことが検知されたときに、給紙が開始される。ま
た感光体25Cの方向Aへの回転にともない、感光体ド
ラム25Cは帯電装置27Cより帯電され、露光光29
Cにより原稿画像に応じた静電潜像が形成され、この静
電潜像が現像装置26Cにより現像され、感光体25C
上に形成されたトナー像が、周知の転写装置22上を作
像のタイミングに合わせて矢印B方向に搬送されるシー
ト状媒体上に転写され、転写後に感光体25C上に残留
しているトナーがクリーニング装置28Cによって掻き
取られて感光体25がクリーニングされ、次の帯電に供
される。
【0062】シアンのトナーが転写されたシート状媒体
は、転写装置22により矢印B方向に搬送されつつ、作
像装置21Cにおける上述の作像工程と同様の作像工程
を行う作像装置21Y、21M、21BKにより順次そ
れぞれイエロー、マゼンタ、ブラックのトナーを適宜転
写され、画像形成に必要なすべてのトナーを転写された
後、転写装置22からガイド12に受け渡され、ガイド
12によって定着領域に案内される。
【0063】このシート状媒体は定着モードによって移
動速度を制御された定着ベルト2の移動により搬送さ
れ、第1の定着部15及び第1の定着部15に連続する
第2の定着部16において、トナーを加熱加圧して溶融
定着される。具体的には、シート状媒体が第1の定着部
15を通過する際、定着ベルト2から熱を与えられたト
ナーが徐々に溶融し、シート状媒体の表面に仮定着さ
れ、第2の定着部16においては、定着ローラ3と加圧
ローラ5との圧接力によってトナーがシート状媒体上に
完全に定着される。リロード温度T’で給紙を行ってい
るため、シート状媒体が定着装置1において定着を行わ
れるときには設定温度Tに達しているから、その定着モ
ードによって制御された温度下で、早期に良好な定着が
開始されることとなる。
【0064】連続定着が行われる場合であっても、ヒー
タ7による加熱で、ホットオフセットが生じない程度に
熱が供給され良好な定着が行われるとともに、定着を中
断して再加熱を行う必要が生じることはない。定着の際
の設定温度及びシート状媒体の搬送速度が各モードに対
応して制御されているため良好な定着が行われ、定着後
のシート状媒体は画像形成装置外に排出される。
【0065】設定温度の異なる定着モードにて続けて定
着が行われる場合であって、次の定着モードの設定温度
の方が高い場合には、電源投入時と同様にリロード温度
で給紙が開始され早期に良好な定着が開始され、一方、
次の定着モードの設定温度の方が低い場合には、進行中
の定着モードにおける最終シートの定着時に、次の定着
モードの設定温度に切り換えられ、これにより通常ヒー
タ6への通電が停止されるとともに、最終シート自体及
びその定着による吸熱により定着ベルト2等が冷却さ
れ、最終シート定着後には略次の定着モードの設定温度
となり、次の定着モードによる定着が連続して行われ
る。
【0066】熱ローラ対タイプの定着装置ではローラ対
により形成されるニップ幅に限界があり、ニップ幅が小
さいため、定着を行うのに適した温度を有する領域すな
わち定着領域の幅が狭く定着に充分な熱量を与えようと
すると定着温度を高温にする必要があり、この場合には
普通紙または特殊シート及びトナーに急激に熱を与える
こととなり、ホットオフセットの可能性があるが、本実
施例のベルト定着装置によれば定着領域の長さが十分に
長いので、良好な定着が行われる。ベルト定着装置によ
れば、特にOHPシートの定着を行う場合、上述のよう
なホットオフセット等の定着品質の低下を招かない範囲
で充分に大きな定着熱量の供給が可能であるから、OH
Pシート表面が平滑となって乱反射が抑制されて光沢度
すなわちHEIZ度が向上する。またトナー内部におい
ても透過光の吸収、散乱が抑制されるので良好な画像形
成を行うことができる。
【0067】以上本発明を適用した定着装置及びこの定
着装置を備えた画像形成装置について説明したが、ヒー
タは加熱ローラ、加圧ローラのうち加熱ローラのみに備
えられていてもよい。定着ベルトの肉厚、材質、加熱ロ
ーラ、加圧ローラの径、肉厚、材質等は適宜組み合わせ
が可能である。加熱ローラ、加圧ローラが低熱容量であ
って、定着を良好に行うことができるのであれば、定着
部を、定着ローラと加圧ローラとが定着ベルトを介して
圧接された部分のみとする構成とすることもできる。本
実施例の画像形成装置はカラー画像の形成が可能である
あって単色の画像形成を行うこともできるが、単色の画
像のみを形成するものであっても良い。
【0068】本発明を適用した、定着モードを切り換え
るときに行う制御は、特にベルト定着装置に有効である
が、熱ローラ対タイプの定着装置に適用しても良い。ま
た、リロード温度に関する制御は、本実施例のようにヒ
ータによる熱供給を低下させる制御を行う定着装置に併
せて適用するのみならず、独立して適用することもでき
る。
【0069】
【発明の効果】本発明によれば、ヒータの発熱によりシ
ート状媒体に定着を行う定着装置であって、第1の温度
で定着を行う第1のモードと、第1の温度より低い第2
の温度で定着を行う第2のモードとを有する定着装置に
おいて、第1のモードに続いて第2のモードで定着を行
うときに、第1のモードにおける最終シートの定着前
に、上記ヒータによる熱供給の状態を第1のモードにお
ける熱供給の状態より低下するので、定着モード切り換
え時の温度調節時における待ち時間を短縮化し、早期か
つ良好に定着を開始することができる定着装置を提供す
ることができる。
【0070】第1のモードに続いて第2のモードで定着
を行うときに、第1のモードにおける最終シートの定着
前に、ヒータの設定温度を第1の温度から第2の温度に
切り換えることにより、ヒータによる熱供給の状態を第
1のモードにおける熱供給の状態より低下することとす
れば、第1のモード終了時に略第2の温度とすることで
待ち時間を短縮化し、早期かつ良好に定着を開始するこ
とができる定着装置を提供することができる。
【0071】第1のモードに続いて第2のモードで定着
を行うときに、第1のモードにおける最終シートの定着
前に、ヒータによる熱供給を停止することにより、ヒー
タによる熱供給の状態を第1のモードにおける熱供給の
状態より低下することとすれば、第1のモード終了時ま
での強制的に温度を低下させることで待ち時間を短縮化
し、早期かつ良好に定着を開始することができる定着装
置を提供することができる。
【0072】第1の温度と第2の温度との温度差に応じ
て、ヒータによる熱供給の状態を第1のモードにおける
熱供給の状態より低下するタイミングを異ならせること
とすれば、第1のモード終了時において高精度に第2の
温度とすることができ、より良好に定着を行うことがで
きる定着装置を提供することができる。
【0073】第1のモードにおける最終シートの定着時
にのみ、ヒータによる熱供給の状態を第1のモードにお
ける熱供給の状態より低下することとすれば、簡易な制
御で第1のモード終了時に第2の温度に近づけることが
できる定着装置を提供することができる。
【0074】第2のモードにおけるリロード温度を、第
1のモードにおけるリロード温度より低くすれば、立ち
上がり時や設定温度の低い第2のモードから設定温度の
高い第1のモードに移行するときなどの、温度上昇時に
おける待ち時間を短縮することができ早期に定着を開始
することができる定着装置を提供することができる。
【0075】本発明は、ヒータの発熱によりシート状媒
体に定着を行う定着装置であって、第1の温度で定着を
行う第1のモードと、第1の温度より低い第2の温度で
定着を行う第2のモードとを有する定着装置において、
第2のモードにおけるリロード温度を、第1のモードに
おけるリロード温度より低くしたので、立ち上がり時や
設定温度の低い第2のモードから設定温度の高い第1の
モードに移行するときなどの、温度上昇時における待ち
時間を短縮することができ早期に定着を開始することが
できる定着装置を提供することができる。
【0076】待機時の設定温度を第1の温度及び第2の
温度より低くすれば、冷却に比して昇温の応答性が高い
という定着装置の特性に適った待機温度を設定し、待機
時から早期に定着を開始することができる定着装置を提
供することができる。
【0077】第1のモードにおけるシート状媒体が特殊
シートであり、第2のモードにおけるシート状媒体が普
通紙であれば、通常普通紙に比して特殊シートの方が熱
容量が大きいという、シート状媒体の性質に適った、高
画質の定着を行うことができる定着装置を提供すること
ができる。
【0078】第1のモードがカラー画像の定着モードで
あり、第2のモードがモノクロ画像の定着モードであれ
ば、通常モノクロ画像に比してカラー画像の方が光沢度
を要求され、光沢度を高めるには高温にて定着を行う必
要があるという、定着する各画像の性質に適った、高画
質の定着を行うことができる定着装置を提供することが
できる。
【0079】シート状媒体を搬送するための無端の定着
ベルトと、上記定着ベルトを巻き掛けられた加熱ローラ
及び定着ローラと、上記定着ベルトを介して上記定着ロ
ーラに対向して配置される加圧ローラとを有すれば、熱
容量が小さく、シート状媒体等による吸熱により第1の
モード終了時に第2の温度とすることが容易な、定着ベ
ルトを用いて定着を行う定着装置を提供することができ
る。
【0080】本発明は、請求項1ないし11の何れか1
つに記載の定着装置を有する画像形成装置にあるので、
定着モード切り換え時等の温度調節時における待ち時間
を短縮化し、早期に画像形成を開始することができる、
使用価値の高い画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した定着装置及びこの定着装置を
備えた画像形成装置の概略を示す側面図である。
【図2】図1に示した定着装置の側断面図である。
【図3】シート状媒体の搬送速度、シート状媒体の種
類、画像の種類により定まる各定着モードにおける、定
着温度を示した図である。
【符号の説明】
1 定着装置 2 定着ベルト 3 加熱ローラ 4 定着ローラ 5 加圧ローラ 6、7 ヒータ 20 画像形成装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 江原 正尚 東京都大田区中馬込1丁目3番6号・株式 会社リコー内 (72)発明者 古川 英男 東京都大田区中馬込1丁目3番6号・株式 会社リコー内 (72)発明者 吉永 洋 東京都大田区中馬込1丁目3番6号・株式 会社リコー内 (72)発明者 小川 博史 東京都大田区中馬込1丁目3番6号・株式 会社リコー内 (72)発明者 清水 久 東京都大田区中馬込1丁目3番6号・株式 会社リコー内 Fターム(参考) 2H033 AA10 AA29 BA11 BB01 CA16 CA30

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヒータの発熱によりシート状媒体に定着を
    行う定着装置であって、第1の温度で定着を行う第1の
    モードと、第1の温度より低い第2の温度で定着を行う
    第2のモードとを有する定着装置において、 第1のモードに続いて第2のモードで定着を行うとき
    に、第1のモードにおける最終シートの定着前に、上記
    ヒータによる熱供給の状態を第1のモードにおける熱供
    給の状態より低下することを特徴とする定着装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の定着装置において、第1の
    モードに続いて第2のモードで定着を行うときに、第1
    のモードにおける最終シートの定着前に、上記ヒータの
    設定温度を第1の温度から第2の温度に切り換えること
    により、上記ヒータによる熱供給の状態を第1のモード
    における熱供給の状態より低下することを特徴とする定
    着装置。
  3. 【請求項3】請求項1記載の定着装置において、第1の
    モードに続いて第2のモードで定着を行うときに、第1
    のモードにおける最終シートの定着前に、上記ヒータに
    よる熱供給を停止することにより、上記ヒータによる熱
    供給の状態を第1のモードにおける熱供給の状態より低
    下することを特徴とする定着装置。
  4. 【請求項4】請求項1ないし3の何れか1つに記載の定
    着装置において、第1の温度と第2の温度との温度差に
    応じて、上記ヒータによる熱供給の状態を第1のモード
    における熱供給の状態より低下するタイミングを異なら
    せることを特徴とする定着装置。
  5. 【請求項5】請求項1ないし3の何れか1つに記載の定
    着装置において、第1のモードにおける最終シートの定
    着時にのみ、上記ヒータによる熱供給の状態を第1のモ
    ードにおける熱供給の状態より低下することを特徴とす
    る定着装置。
  6. 【請求項6】請求項1ないし5の何れか1つに記載の定
    着装置において、第2のモードにおけるリロード温度
    を、第1のモードにおけるリロード温度より低くしたこ
    とを特徴とする定着装置。
  7. 【請求項7】ヒータの発熱によりシート状媒体に定着を
    行う定着装置であって、第1の温度で定着を行う第1の
    モードと、第1の温度より低い第2の温度で定着を行う
    第2のモードとを有する定着装置において、 第2のモードにおけるリロード温度を、第1のモードに
    おけるリロード温度より低くしたことを特徴とする定着
    装置。
  8. 【請求項8】請求項1ないし7の何れか1つに記載の定
    着装置において、待機時の設定温度を第1の温度及び第
    2の温度より低くしたことを特徴とする定着装置。
  9. 【請求項9】請求項1ないし8の何れか1つに記載の定
    着装置において、第1のモードにおけるシート状媒体は
    特殊シートであり、第2のモードにおけるシート状媒体
    は普通紙であることを特徴とする定着装置。
  10. 【請求項10】請求項1ないし8の何れか1つに記載の
    定着装置において、第1のモードはカラー画像の定着モ
    ードであり、第2のモードはモノクロ画像の定着モード
    であることを特徴とする定着装置。
  11. 【請求項11】請求項1ないし10の何れか1つに記載
    の定着装置において、シート状媒体を搬送するための無
    端の定着ベルトと、上記定着ベルトを巻き掛けられた加
    熱ローラ及び定着ローラと、上記定着ベルトを介して上
    記定着ローラに対向して配置される加圧ローラとを有す
    ることを特徴とする定着装置。
  12. 【請求項12】請求項1ないし11の何れか1つに記載
    の定着装置を有する画像形成装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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