JP2002137321A - 複合体薄膜とその製造方法 - Google Patents

複合体薄膜とその製造方法

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JP2002137321A
JP2002137321A JP2000334544A JP2000334544A JP2002137321A JP 2002137321 A JP2002137321 A JP 2002137321A JP 2000334544 A JP2000334544 A JP 2000334544A JP 2000334544 A JP2000334544 A JP 2000334544A JP 2002137321 A JP2002137321 A JP 2002137321A
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fine particles
inorganic
copolymer
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Kenji Fukunaga
謙二 福永
Shigeru Yao
滋 八尾
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Ube Corp
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Ube Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】サイズ及び配置がナノメートルスケールで制御
された無機化合物微粒子からなる薄膜を提供すること。 【解決手段】特定の配向を持ったミクロドメイン構造を
有するブロック共重合体と複数の無機化合物の前駆体か
らなる薄膜を形成し、上記前駆体を各々特定のミクロド
メインに偏在させた後、各々の微粒子を順次形成させ上
記共重合体を分解除去することによって、2種類以上の
無機微粒子がそのサイズ及び相対的な配置を制御しなが
ら複合化した薄膜が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はナノメートルスケー
ルで制御された構造を均一に有する無機化合物複合体薄
膜とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より無機化合物微粒子を含む薄膜は
光線遮蔽膜(例えば特開平11−276992号公報)
や帯電防止膜(例えば特開平10−120419号公
報)として知られている。これらの文献では、予め別途
合成された酸化物微粒子を用いて、前記微粒子の分散液
を基板上にキャストすることにより日射遮蔽膜を製造す
る方法が開示されている。
【0003】また特開平9−302284号公報には、
粒径100nm以下のルテニウム酸化物微粒子、イリジ
ウム酸化物微粒子、ロジウム酸化物微粒子などの貴金属
酸化物微粒子を基材に塗布することによって、効率のよ
い日射遮蔽膜を提供する方法が開示されている。
【0004】しかしながら上記のような超微粒子は著し
く凝集が起こりやすくなるため、例えば特開平8−26
9433号公報で指摘されているように、ハンドリング
が難しい。また可視領域における透明性を保ちながら有
害紫外線のみを遮蔽する目的では、可視光線の波長に対
して曇りを生じない程度小さなサイズの上記酸化物微粒
子を、目的とする透明基板上へ均一に被覆することが重
要となる。
【0005】酸化チタンなどは排気ガス中の窒素酸化物
還元、メタノール分解などの触媒や光触媒としての機能
が注目されている。このような触媒としての用途に用い
られる場合にも、大きな比表面積を有する微粒子の利用
は有効と考えられる。また触媒としての利用を考える
と、ハンドリングや回収及び再生処理を行うという観点
から、操作性のよい適当な基材表面へ触媒微粒子を高密
度かつ均一に担持することが課題となる。
【0006】基材表面へ無機化合物を均一に担持する方
法としては、スパッタリング法、ゾルゲル法や含浸法な
どがある。しかしながらスパッタリング法では、高価な
設備が必要であり、高真空の雰囲気を必要とするため、
高コストでかつ大きなサイズの基板を用いることができ
ない。一方、ゾルゲル法ではゲル乾燥時のひび割れなど
の問題があり、やはり大きな面積で均一な膜を得ること
が困難である。またこれらの手法で得られるのは、均一
な被膜状の無機化合物であり、比表面積の大きい被膜、
例えば高密度で微粒子が基材状に担持されたものではな
い。含浸法では担持する無機化合物の前駆体溶液を多孔
性の基材に含浸させた後、焼成することによって担持す
る方法である。この方法では基材の孔組織のサイズによ
り、担持した無機粒子のサイズをある程度は制御し得る
が、その位置や配置を制御することはできない。
【0007】また光線遮蔽膜や触媒などの用途で、酸化
チタンなど無機化合物が単体で用いられることは少な
く、多くの場合他の無機化合物、特に貴金属や貴金属酸
化物などと複合化して用いられる。例えば特願平11−
190669号公報には無機酸化物に平均粒径5〜30
nmのイリジウムを含有させることによって、有効に窒
素酸化物を還元する触媒を提供する方法が開示されてい
る。
【0008】しかしながら、上記のような貴金属が使用
される多くの用途においては、可能な限り金属を有効に
活用することが望ましい。この有効活用の点で、担持す
る貴金属の配置を精密に制御することが重要である。例
えば特開平8−2928号公報にも指摘されているよう
に、触媒表面に担持する金属の位置を制御することは、
高性能触媒製造における長年の問題であった。
【0009】先にも述べたスパッタリング法やゾルゲル
法などでは、上記の無機微粒子の位置を制御することが
できない。これに対し先に挙げた文献特開平8−292
8号公報では、可溶性の金属化合物を、粒子径が10〜
15000nmの範囲にあるポリマーに配合した後担体
と接触させ、前記ポリマーを除去して複合材料を形成す
る手法が開示されており、この手法では化学量論的に同
一組成を有する化合物からなるドメインの大きさを制御
できるとされている。しかしこの手法では、前記ドメイ
ンの大きさが製造に用いた条件に敏感に左右され、例え
ば加熱処理によってドメインの大きさは粗大化する。ま
たこの方法ではナノメートルスケールで、基板上でドメ
インの位置を制御することや、異種ドメイン間の相対的
な配置を制御することまで検討してはいない。
【0010】他に無機微粒子の空間配置を制御する方法
として、特開2000−72952号公報ではブロック
共重合体のミクロドメイン内で前駆体から微粒子を形成
することにより、無機微粒子を包含した樹脂組成物を得
る方法が開示されている。しかしながら、この方法では
樹脂マトリックス中に列状に分散した微粒子を得るのみ
であり基材に対して配置が制御された無機微粒子薄膜を
形成することまで検討されてはいない。また文献D. Zha
o, J. Feng, Q. Huo, N. Melosh, G. H. Fredrickson,
B. F. Chmelka, G. D. Stucky, Science 282, 5397 (19
98)では樹脂組成物の構造を雛型に無機多孔質体を形成
する手法が開示されているが、この方法では多孔質体の
構造を制御するのみで、基材に対する位置の制御や本願
発明でいうサイズや配置が制御された無機微粒子複合体
薄膜を形成させることまで検討してはいない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の無機化
合物微粒子と、異なる無機化合物からなる微粒子を、そ
のそれぞれの微粒子サイズ及び相対的な配置をナノメー
トルスケールで制御しながら複合化した薄膜を提供する
ものである。
【0012】
【発明を解決するための手段】上記課題を解決するため
に鋭意研究を重ねた結果、ブロック共重合体と複数の無
機化合物の前駆体からなる薄膜を形成し、上記前駆体を
各々特定のミクロドメインに偏在させた後、各々の微粒
子を順次形成させ上記共重合体を分解除去することによ
って、2種類以上の無機微粒子がそのサイズ及び相対的
な配置を制御しながら複合化した薄膜が得られることを
見出し本発明をなすに至った。
【0013】本発明は、無機化合物微粒子Aからなる薄
膜中及び/または表面に、金属あるいは金属酸化物から
構成される無機微粒子Bが共に均一に分散しており、上
記微粒子AおよびBの大きさが100nm以下であり、
及び薄膜表面の粗さが50nm以下であることを特徴と
する無機微粒子複合体薄膜に関する。
【0014】また、本発明は、(1)互いに非相溶な高
分子鎖が各々の末端で結合したブロック共重合体Pと無
機化合物の前駆体PAからなる均一溶液Sを調整する工
程、(2)溶液Sを基板上に展開する工程、(3)前記
薄膜中で上記共重合体Pにミクロ相分離を起こさせ特定
の配向を持つミクロドメイン構造を形成させると同時
に、上記前駆体PAを全部ではない特定のミクロドメイ
ン構造上に偏在させる工程、(4)上記薄膜を気相にあ
る金属あるいは金属酸化物微粒子前駆体PBに接触さ
せ、前駆体PBを特定のミクロドメイン構造へ取り込ま
せた後、無機微粒子Bを析出させる工程、(5)上記前
駆体PAから無機化合物微粒子Aを析出させる工程、
(6)上記薄膜中から樹脂組成物を除去させる工程から
なることを特徴とする上記の無機微粒子複合体薄膜の製
造法に関する。
【0015】また、本発明は、(1)互いに非相溶な高
分子鎖が各々の末端で結合したブロック共重合体Pと無
機化合物の前駆体PA及び金属あるいは金属酸化物微粒
子の前駆体PBからなる均一溶液S’を調製する工程、
(2)溶液S’を基板上に展開する工程、(3)前記薄
膜中で上記共重合体Pにミクロ相分離を起こさせ特定の
配向を持つミクロドメイン構造を形成させると同時に、
上記前駆体PA及びPBをおのおの特定のミクロドメイ
ン構造上に偏在させる工程、(4)薄膜中で前駆体PB
から無機微粒子Bを析出させる工程、(5)上記前駆体
PAから無機化合物微粒子Aを析出させる工程、(6)
上記薄膜中から樹脂組成物を除去させる工程からなるこ
とを特徴とする上記の無機微粒子複合体薄膜の製造法に
関する。
【0016】また、本発明は、無機微粒子前駆体PBか
ら無機微粒子Bを析出させる工程の後で、共重合体Pの
熱分解温度以上かつ前駆体PAから無機化合物微粒子A
が形成される温度で薄膜を熱処理することにより、前駆
体PAから微粒子Aを形成させると同時に、上記薄膜中
から樹脂組成物を除去させることを特徴とする上記の無
機微粒子複合体薄膜の製造法に関する。
【0017】また、本発明は、無機微粒子前駆体Bとし
て金属微粒子前駆体を用い、前駆体PA,PAPBがそ
れぞれ全部ではない特定のミクロドメイン構造上に偏在
した薄膜を形成した後で、共重合体Pの熱分解温度と前
駆体PAから無機化合物微粒子Aが形成される温度のう
ち高い側の温度をTとしたとき、液相あるいは気相にあ
る前駆体Bの還元剤に薄膜を接触させながら温度Tまで
昇温させることによってより、無機微粒子Bを析出させ
るのに連続して、前駆体PAから酸化物微粒子Aを形成
させると、これと同時に、平行してあるいは引き続いて
上記薄膜中から樹脂組成物を除去させることを特徴とす
る上記の無機微粒子複合体薄膜の製造法に関する。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明における、無機化合物微粒
子Aとしては、無機化合物結晶子から構成されるのが好
ましい。上記無機化合物微粒子の具体例としては、シリ
コン酸化物、ルテニウム酸化物、イリジウム酸化物、ロ
ジウム酸化物、インジウム錫酸化物、酸化タングステ
ン、アルミニウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、酸化チタン、
酸化ジルコニウム、酸化セリウム等の酸化物微粒子や、
硫化銀、硫化カドミウム、カドミウムセレナイド等の金
属化合物微粒子、シリコン、パラジウム、金、白金等の
金属微粒子アルミニウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、酸化チ
タン微粒子、酸化セリウム等の金属酸化物などが挙げら
れる。
【0019】上記の微粒子と複合化される金属微粒子あ
るいは金属酸化物微粒子としては、パラジウム、金、
銀、白金、ルテニウム、ロジウム、タングステン、オス
ミウムなどの微粒子が挙げられる。あるいはルテニウム
酸化物、イリジウム酸化物、ロジウム酸化物、インジウ
ム錫酸化物、アルミニウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、酸化
チタン微粒子、酸化セリウム等の金属酸化物微粒子など
が挙げられる。
【0020】膜面内方向にとった各微粒子の大きさは、
共に50nm100nm以下であり、好ましくは1〜5
0nmである。
【0021】微粒子が形成している薄膜表面の粗さは5
0nm以下であり、好ましくは〜20nm以下である。
ここで、薄膜表面の粗さとは、表面の凹凸があったとき
その凸部と凹部の高さの差をいう。
【0022】本発明に関わる薄膜の製造の態様は、ミク
ロ相分離状態にあるブロック共重合体Pの薄膜を形成す
る工程、前記薄膜の形成と同時か薄膜を形成させた後
で、1種類あるいは2種類以上の無機化合物前駆体を導
入し該前駆体を共重合体Pを構成する高分子鎖成分のう
ち全部ではない特定の高分子鎖成分からなるミクロドメ
インに偏在させる工程、前記前駆体から無機化合物微粒
子を形成する工程、前記の工程と平行してあるいは前記
の工程に引き続いて共重合体Pを分解し無機薄膜を得る
工程から概略構成される。
【0023】本発明に用いられるブロック共重合体と
は、互いに非相溶な2種類あるいは2種類以上の高分子
鎖が各々の末端で結合したものであり、上記ブロック共
重合体を構成する各高分子鎖は、それぞれ単一の高分子
鎖成分のみから構成されるミクロドメインを形成する。
このミクロドメインの形成により、例えば文献F. S. Ba
tes, G.H. Fredrickson, Annu. Rev. Phys. Chem. 41,
525 (1990)などで示される通り、該共重合体を形成する
高分子鎖成分の組成や温度などの条件により、ブロック
共重合体はその内部にナノメートルスケールで規制され
たラメラ状ドメイン構造、シリンダー状ドメイン構造、
球状ドメイン構造更にはギロイド構造を始めとする共連
続構造など各種の秩序構造を呈する。
【0024】後述する無機微粒子形成工程において熱な
どによりミクロドメイン構造が崩れることを防ぐ観点か
ら、上記共重合体Pとしては2本の相異なる高分子鎖か
らなるジブロック共重合体より3本以上の高分子鎖から
なるブロック共重合体、例えばトリブロック共重合体な
どが好適に用いられる。
【0025】上記のブロック共重合体Pはアニオン重
合、リビング重合、ラジカル重合などによって合成され
るもので、溶液、粉末、ペレットなどの形態で提供され
る。
【0026】ブロック共重合体の具体例としては、ポリ
(スチレン−b−イソプレン)、ポリ(スチレン−b−
イソプレン−b−スチレン)、ポリ(スチレン−b−エ
チレンプロピレン)、ポリ(スチレン−b−エチレンプ
ロピレン−b−スチレン)、ポリ(エチレンオキシド−
b−プロピレンオキシド−b−エチレンオキシド)、ポ
リ(スチレン−b−ビニルピリジン−b−エチレンオキ
シド)、ポリ(スチレン−b−ビニルピリジン)、ポリ
(スチレン−b−ビニルピリジン−b−スチレン)、ポ
リ(スチレン−b−メタアクリル酸)、ポリ(スチレン
−b−ブチルメタアクリル酸)、ポリ(スチレン−b−
ビニルピリジン−b−ブチルメタアクリル酸)、ポリ
(スチレン−b−アクリル酸)、ポリ(スチレン−b−
アクリル酸−b−メタアクリル酸) ( poly(styrene-b
-acrylic acid-b-methacrylate))共重合体、あるいは
ポリアミドとビニルポリマーとのブロック共重合体、ポ
リイミドとオレフィンポリマーとのブロック共重合体
などが挙げられる。
【0027】ブロック共重合体を構成する高分子鎖の数
平均分子量は、1000以上が好ましく、更に好適には
1万〜100万10000〜40000が好ましい用い
られる。分子量分布は、2以下のものが好ましい。
【0028】ブロック共重合体Pの薄膜は、共重合体Pの
溶液を調整しこの溶液を適当な基板の上に展開すること
によって得られる。基板材料としては、具体的には、シ
リコンや自然酸化シリコン(SiOx)、シリカ、石英
ガラスや硼酸ガラスなど各種ガラス、グラファイト、ア
ルミナやゼオライト、窒化珪素など各種セラミックス、
金属、ポリイミドやポリカーボネート、ポリメチルメタ
クリレート、ポリアミドなど各種樹脂材料などが挙げら
れ、目的に応じて、ブロック状、板状やシート状、繊維
状、球状、レンズ状、多孔質体などの形態で基板として
供される。基板としては、具体的には、シリコンウェア
ー(SiO)、珪酸ガラス、ポリイミドシート、など
が挙げられる。
【0029】共重合体溶液の溶媒としては、水、テトラ
ヒドロフラン(THF)、メチルエチルケトン、シクロ
ヘキサノンなどケトン類、メタノール、エタノール、ブ
タノール、プロピルアルコール、ペンチルアルコール、
ヘキシルアルコール、フェノール、ベンジルアルコール
などのアルコール類、テトラフルオロエタノール、ヘキ
サフルオロイソプロパノールなどの弗化アルコール類や
ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン、トルエ
ン、ジオキサン、シクロヘキサンメタノール、ベンジル
アルコールなどのアルコール類
などが挙げられる。共重合体Pの溶液は、溶
液の均一性を損なわない範囲内で、2種類以上の溶媒を
含んでいてもよい。この溶液は難燃剤などの添加剤や無
機微粒子前駆体や金属微粒子前駆体の還元剤などを適宜
含むことができる。
【0030】ここでいうブロック共重合体Pの薄膜と
は、膜の厚みが概略1nm以上1μm以下のものを指し、分
子量にも依存するが好ましくは概略10nm以上200nm以下
のものを指す。該共重合体のミクロドメイン構造の恒等
周期に依存するが、膜厚が1μm程度より大きくなると、
後述する表面によって引き起こされるミクロドメイン構
造の配向が膜の内部で乱れ易くなり、膜厚が1nm以下に
なると脱濡れ(dewetting)により部分的に基板が露出
した部分が生じるなど膜の欠陥が多くなるため、上記の
範囲が好適である。但し最終的に製造される無機化合物
薄膜の厚みは、樹脂組成物の薄膜からの除去によって上
記の範囲からは膜厚の薄い側へずれたものとなる。この
最終的な膜厚は前駆体の導入量により調節可能な範囲で
目的に応じ任意に決められる。
【0031】上記の溶液の基板上への展開は、例えばス
ピンキャスト法、ディッピング法やドクターナイフ法な
どによって好適に行うことができる。
【0032】溶液の基板上への展開の後、適当な条件で
乾燥することによって薄膜内部にミクロ相分離構造が形
成される。ここで前記ミクロ相分離構造は、共重合体P
を構成する各高分子鎖成分の表面張力の大きさ及び基板
に用いた材料との界面張力の大きさに依存して薄膜表面
に対し配向する。この効果は、例えば文献T. P. Russel
l, G. Coulon, V. R. Deline, D. C. Miller, Macromol
ecules 22,4600 (1989)などで示される如くである。本
願発明でいうナノメートルスケールで制御された無機微
粒子の配置は、後に示される如くこの配向組織によって
実現される。但し、文献Y. Liu, W. Zhao, X. Zheng,
A. King, A. Singh, M. H. Rafailovich, J. Sokolov,
K. H. Dai, E. J. Kramer, S. A. Schwarz, O. Gebizli
oglu, S. K. Sinha, Macromolecules 27, 4000 (1994)
で指摘されるように、上記の効果は膜厚が大きくなると
薄れるため、先に述べたとおり膜厚を適切な範囲に調整
することが必要である。
【0033】また乾燥後の薄膜に、熱処理や溶媒処理な
どを行うことにより、上記ミクロ相分離構造中の欠陥や
歪みを減少させることができる。例えば溶媒処理とし
て、薄膜を共重合体Pを構成する高分子鎖成分の共通溶
媒の蒸気に接触させるなどの方法を好適に用いることが
できる。例えば文献R. J. Albalak, M. S. Capel, E.
L. Thomas, Polymer 39, 1647 (1998)などで示される如
くである。
【0034】あるいは乾燥後の薄膜に、適当な溶媒処理
を実施することによって上記ミクロ相分離構造の配向の
向きを薄膜の面内方向へ揃えることができる。例えば、
面内方向で厚みに変化をつけた薄膜を作製し、上記薄膜
を該薄膜を形成するブロック共重合体の溶媒蒸気に接触
させた後で急激に乾燥させることによって、膜厚の勾配
方向に対して配向したミクロドメイン構造が得られるこ
とは文献Kenji Fukunaga, Hubert Elbs, Robert Magerl
e, and Georg Krausch, Macromolecules 33, 947 (200
0)に示される如くである。
【0035】上記の配向構造は、望ましくはミクロドメ
イン界面が基板表面に対して垂直に配向した構造から選
択される。ここでミクロドメイン界面が基板表面に対し
て垂直に配向するとは、上記界面の法線方向が平均する
と概略基板表面と平行な面内にあることを意味する。例
として基板表面に対して垂直に配向したラメラ状ミクロ
ドメインが挙げられる。このような構造では、後で形成
される無機微粒子の配置を基材に対して効果的に制御で
きる。
【0036】上記のように特定の配向を持つミクロドメ
イン構造をその内部に有する共重合体Pの薄膜は、無機
微粒子複合体薄膜を製造する場合は、適当な手法により
前駆体PAとは別の種類の金属や金属酸化物の前駆体PBが
共重合体Pを構成する高分子鎖のうち全部ではない特定
の高分子鎖からなるミクロドメイン部分へ更に導入され
る。
【0037】本発明に用いられる無機化合物前駆体PAに
特に制限はないが、塩化ジルコニウム、塩化チタン、塩
化ハフニウム、塩化スズ、塩化インジウム、塩化鉄、硫
酸ジルコニウムなどの金属塩や、シリケート、チタンア
ルコキシド、ジルコニウムアルコキシドなどの有機塩が
好適に用いられる。また上記前駆体から得られる無機化
合物微粒子と複合化される金属微粒子あるいは金属酸化
物微粒子の前駆体PBとして、パラジウムアセチルアセト
ナート、ルテニウムアセチルアセトナート、ロジウムア
セチルアセトナートなどの金属錯体、リンタングステン
酸などが好適に用いられ、ルテニウムやオスミウムの四
酸化物なども用いられる。また上記前駆体PBとして、先
に前駆体PAの例として挙げた物質も用いることができ
る。
【0038】無機化合物前駆体PAを共重合体Pを構成す
る高分子鎖のうち全部ではない特定の高分子鎖からなる
ミクロドメイン部分へ導入する方法としては、ガス状ま
たは液状にした前駆体PAあるいは該前駆体PAの溶液に薄
膜を接触させることで行うことが出来る。後述するよう
に前駆体PAが特定のミクロドメイン部分へ取り込まれる
ために、共重合体Pを構成する高分子鎖成分は該前駆体P
Aに対して親和性を有する高分子と親和性を有さない高
分子の組み合わせから選択される。例えば、リンタング
ステン酸の水溶液にpoly(styrene-b-acrylic acid-b-me
thacrylate)共重合体からなる薄膜を接触させると、前
記前駆体はポリアクリル酸部分へ選択的に取り込まれ
る。
【0039】あるいは、上記前駆体PAを特定のミクロド
メイン部分への導入するために、共重合体Pと該前駆体P
Aを共通の溶媒に共に溶解した均一溶液Sを薄膜の展開溶
液に用いる方法を取ることができる。共通の溶媒として
は、1種類の溶媒あるいは2種類以上の溶媒からなる混
合溶媒を適宜用いることが出来る。上記の溶媒は共重合
体Pを構成する各高分子鎖成分に対する共通の良溶媒で
あってもよいし、全部ではない一部の高分子鎖成分にと
って貧溶媒であり他の高分子鎖成分に対しては良溶媒で
あるところの選択溶媒であってもよい。
【0040】共重合体Pを構成する高分子鎖成分は上記
溶液S中で、無機化合物前駆体PAに対して選択性を示す
2種類あるいは2種類以上の高分子成分から選択され
る。ここでいう選択性とは、溶液Sを基板表面に展開し
乾燥する際に、該前駆体が共重合体Pを構成する高分子
鎖成分のうち全部ではない1種類あるいは1種類以上の
特定の高分子鎖成分からなるミクロドメイン部分へ偏在
することを意味する。
【0041】前駆体が特定の高分子鎖成分からなるミク
ロドメイン部分へ偏在するとは、薄膜内部における該前
駆体の濃度が該ミクロドメイン内で高くなり、他の部分
ではこれに比較して濃度が低いことを意味する。
【0042】前記の偏在は薄膜の乾燥工程で該前駆体
が、共重合体Pを構成する高分子鎖成分のうち全部では
ない1種類あるいは1種類以上の特定の高分子鎖成分に
対して親和性を示すことによって引き起こすことができ
る。
【0043】例えば塩化鉄や、文献H. Kaczmarek, I.
A. Linden, J. F. Rabek,J. Appl. Polym. Sci., 60, 2
321 (1996)に開示されているように、チタン、ジルコニ
ウムやハフニウムの塩はポリアクリル酸に配位するた
め、例えばポリアクリル酸と他の高分子のブロック共重
合体、例えばpoly(styrene-b-acrylic acid-b-styrene)
と上記前駆体の溶液を用いることによって該前駆体をポ
リアクリル酸のミクロドメイン部分に偏在させることが
できる。あるいは特開2000-072952で指摘されているよ
うな、ポリビニルピリジンなど特定の高分子鎖が示す金
属との親和性や、文献Bruce M. Novak, David Auerbac
h, Celine Verrier, Chem. Mater., 6, 282 (1994)で指
摘されているような、ポリビニルピリジンやポリジメチ
ルアリルアミドなどの高分子鎖が示すガラス前駆体やガ
ラスとの親和性などを利用することもできる。あるいは
ブロック共重合体Pを構成する高分子鎖の一方の末端を
チオールなどで修飾することにより、前駆体との親和性
を生じせしめ該前駆体の偏在を引き起こすことが出来
る。
【0044】また例えば、ジルコニウムアルコキシドな
どを水とテトラヒドロフラン(THF)の混合溶媒に溶解
し、更にpoly(styrene-b-acrylic acid-b-styrene)共重
合体を溶解して均一溶液とし該溶液を基板上に展開の後
乾燥させると、揮発性のTHFが先に薄膜から蒸発し、最
終的に上記前駆体の分布は一様にならず水溶性のポリア
クリル酸部分へ偏在する。またパラジウムアセチルアセ
トナートをベンジルアルコールとTHFの混合溶媒に溶解
し、更にpoly(styrene-b-acrylic acid-b-methacrylat
e)共重合体を溶解して均一溶液とし該溶液を基板上に展
開の後乾燥させると、揮発性のTHFが先に薄膜から蒸発
し、該前駆体の分布はポリアクリル酸部分への偏在を示
した。
【0045】2種類以上の無機微粒子からなる複合体薄
膜を製造する場合、上記のように無機化合物前駆体Aを
全部ではない特定のミクロドメインに偏在した形で含む
ブロック共重合体Pの薄膜は、更に前駆体PAとは別の金
属あるいは金属酸化物微粒子の前駆体PBが該薄膜中へ導
入され複合化される。
【0046】金属あるいは金属酸化物微粒子の前駆体PB
を薄膜に導入する方法としては、ガス状または液状にし
た前駆体PBあるいは該前駆体PBの溶液に薄膜を接触させ
ることで行うことが出来る。前駆体PAの場合と同様に上
記前駆体PBが特定のミクロドメイン部分へ取り込まれる
ために、共重合体Pを構成する高分子鎖成分は該前駆体P
Bに対して親和性を有する高分子と親和性を有さない高
分子の組み合わせから選択される。ここで前駆体PBに対
して親和性を示す高分子鎖は、先に述べた前駆体PAに対
して選択性を示す高分子鎖と同じであっても構わない。
【0047】あるいは前駆体PBを薄膜に導入する方法と
しては、共重合体Pと前駆体PA及びPBを共通溶媒に共に
溶解した均一溶液S'を薄膜の展開溶液に用い、溶液S'を
基板上に展開し乾燥させる方法を取ることができる。こ
の場合でも共通の溶媒としては、1種類の溶媒あるいは
2種類以上の溶媒からなる混合溶媒を適宜用いることが
出来る。
【0048】共重合体Pを構成する高分子鎖成分は上記
溶液S中で、無機化合物前駆体PA及びPBに対して選択性
を示す2種類あるいは2種類以上の高分子成分から選択
される。ここでも、前駆体PBに対して親和性を示す高分
子鎖は、前駆体PAに対して選択性を示す高分子鎖と同じ
であっても構わない。
【0049】金属あるいは金属酸化物微粒子の前駆体PB
を導入された薄膜は、該前駆体PBから金属あるいは金属
酸化物の微粒子Bを形成する処理が行われる。この工程
は共重合体Pを構成する各々の高分子鎖の熱分解が顕著
には起こらない条件において、更に詳しくは薄膜中に形
成されているミクロ相分離構造が損なわれない範囲にお
いて、熱処理あるいは還元剤など反応助剤への接触など
によって行われる。
【0050】例えば上記前駆体PBとして、パラジウムア
セチルアセトナートなどの金属錯体を用いる場合、無機
微粒子Bを形成するために、該薄膜を昇温雰囲気でアル
コール蒸気に接触させてアルコール還元を行うなどの処
理が好適に用いられる。あるいは前駆体PBとして金属ア
ルコキシドなど加水分解性の前駆体が用いられた場合、
該薄膜を酸性雰囲気で水あるいは水蒸気に接触させるな
どの方法を用いて無機微粒子Bを形成させることができ
る。
【0051】ここで無機微粒子Bの形成は、前駆体PBが
偏在している特定のミクロドメイン内で進行するため、
生成する無機微粒子の大きさ及び薄膜内部における配置
は、該薄膜内に形成されているミクロドメイン構造によ
って制御される。この方法で形成される無機微粒子Bの
サイズ分布は狭く、その大きさは薄膜中に導入した前駆
体PBの量や前記前駆体PBが偏在しているミクロドメイン
の大きさに依存するが、好ましくは50nm以下である。
【0052】無機化合物微粒子の前駆体PAを導入された
薄膜あるいは金属あるいは金属酸化物微粒子の前駆体PB
を導入された薄膜については無機微粒子Bを形成した後
の薄膜は、薄膜内に導入されている前駆体PAから無機化
合物微粒子Aを形成する処理が行われる。この工程は熱
処理や還元剤などの反応助剤への接触などによって行わ
れるが、好ましくは熱処理によって行われる。この工程
においては、共重合体Pを構成する高分子鎖の熱分解な
どにより薄膜中のミクロ相分離構造が部分的に損なわれ
ても構わない。
【0053】ここで無機化合物薄膜の母材である無機微
粒子Aの形成は、前駆体PAが偏在している特定のミクロ
ドメイン内で進行するため、先に述べた無機微粒子Bの
形成の場合と同様に、該微粒子の大きさ及び薄膜内部に
おける配置が、該薄膜内に形成されているミクロドメイ
ン構造によって制御される。この方法で形成される無機
微粒子Aのサイズ分布は狭く、その大きさは薄膜中に導
入した前駆体PAの量や前記前駆体PAが偏在しているミク
ロドメインの大きさに依存するが、好ましくは50nm以下
である。
【0054】上記の無機微粒子Aの形成工程に引き続い
て、薄膜から樹脂組成物が除去される。上記樹脂組成物
の除去は、好ましくは樹脂組成物の熱分解温度TD以上
(例えば、200〜500℃、好ましくは300℃以
上)での熱処理による該組成物の分解によって行われ
る。好ましくは、先に述べた熱処理で無機化合物前駆体
PAから無機微粒子Aを形成する場合について、上記TD
無機微粒子Aが形成される温度TAのうち高い方の温度TF
まで薄膜を昇温することにより、前駆体PAから微粒子A
を形成させると同時に、上記薄膜中から樹脂組成物を除
去させることができる。
【0055】無機微粒子Aと金属微粒子Bからなる無機微
粒子複合体薄膜を製造する場合で、金属微粒子前駆体PB
から微粒子Bを形成する場合に昇温雰囲気を用いる場
合、更に好ましくは、前駆体PAと前駆体PBがそれぞれ全
部ではない特定のミクロドメインへ偏在した薄膜を、液
相あるいは気相にある前駆体PBの還元剤に接触させなが
ら上記の温度TFまで昇温し、微粒子Bを形成させるのと
平行してあるいは引き続いて無機微粒子Aの形成及び樹
脂組成物の除去を行うことが出来る。このとき先に述べ
た温度TD及びTAより低い温度で、金属微粒子Bが形成さ
れることが必要である。
【0056】
【実施例】以下実施例及び比較例により本発明を具体的
に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0057】実施例1 無機化合物前駆体Aとして四塩化チタン(和光純薬製)
を用いた。以下このチタニア前駆体をA1とする。
【0058】ブロック共重合体Pとして、アニオン重合
により合成したpoly(styrene-b-acrylic acid-b-methyl
-methacrylate)ブロック共重合体で、polystyrene鎖、p
oly(acrylic acid)鎖、poly methacrylate鎖の数平均分
子量Mnがそれぞれ18600、36200、22100のもので、分子
量分布が1.02のものを用いた。以下これをP1とする。
【0059】A1をTHFに溶解し、更にP1をこのTHF溶液に
概ね7g/lの濃度となるように溶解した。更に、無機微粒
子前駆体Bとしてpalladium acetylacetonate(アルドリ
ッチ製、以下B1)を溶解し均一溶液S1を調整した。この
とき、A1とP1の重量比が39/61、及びA1とB1の重量比が5
7/33となるように用いた。
【0060】調整した溶液S1を、表面に自然酸化膜を形
成したシリコンウェハー(以下、SiOx基板)上にスピン
キャストし、薄膜を形成した。上記薄膜はSiOx基板に対
して脱濡れ(dewetting)を生じておらず、濃青色を呈
する均一な薄膜が得られた。
【0061】薄膜の表面構造の観察には、走査型電子顕
微鏡(日本電子製)と原子間力顕微鏡(Digital Instru
ments製NanoscopeIII、以下AFM)を用いた。AFMによる
観察は、単結晶シリコンカンチレバーを用い上記顕微鏡
のtapping modeで行った。
【0062】薄膜の厚みは、AFMを用いてJIS R1636に準
じて測定した。
【0063】キャスト直後の薄膜の膜厚は100nmであ
り、その表面には該共重合体の基板に対する配向を示唆
する一定周期の規則的な列状の凹凸が観察され、表面の
凹凸の粗さは2nm以下であった。
【0064】薄膜の内部構造観察には、透過型電子顕微
鏡(日立製作所製H-7100FA、以下TEM)を用いた。
【0065】キャスト直後の薄膜を基板から剥離し、そ
の内部構造を無染色にてTEMで観察すると、ブロック共
重合体P1のラメラ状構造に由来する列状構造が観察され
た。
【0066】上記薄膜を、ベンジルアルコールを入れた
開放容器と共に140℃の温度に保った恒温槽中へ入れ、
ベンジルアルコールの140℃における飽和蒸気雰囲気中
で1時間ほど熱処理を行った。引き続いてベンジルアル
コールの容器を取り除き、上記薄膜に対し温度140℃で2
時間の熱処理を大気中において行った。上記処理を行っ
た薄膜の色は少し薄く黒味がかり黒変し、前駆体B1の還
元が進行していることを示した。
【0067】上記の薄膜を基板から剥離し、その内部構
造を無染色にてTEMで観察すると、チタニア前駆体の偏
在によって周囲より暗いコントラストで観察されるpoly
(acrylic acid)のミクロドメインと、他のブロック鎖で
形成される周囲のドメインとの界面近傍に、暗いコント
ラストを示す微粒子が多数形成されていた。上記の微粒
子のサイズ分布は単分散であり、その大きさは概略10nm
であった。
【0068】ガラス基板に支持された薄膜に対し引き続
いて、温度400℃で3時間の熱処理を大気中で行った。こ
の処理により薄膜の色は、薄黒色から薄茶色へと変化し
た。
【0069】熱処理後における薄膜の光透過率の測定
は、日本分光(株)製分光光度計を用い、積分球を使用
しJIS R1635に準じて行った。上記の薄膜の波長550nmに
おける可視光透過率は??61%であるのに対し、UV-A
(波長320〜400nm)、UV-B(波長280〜320nm)に対する
紫外線透過率はそれぞれ18%、1%であった。
【0070】実施例2 基板をポリイミドシートに変更した以外は実施例1と同
様にして、ポリイミドシートに支持された無機微粒子複
合体薄膜を得た。薄膜は薄茶色を呈しこの薄膜の断面を
TEMで観察すると????、10〜数nmのサイズの明るいコン
トラストで見える微粒子の集合体中に、暗いコントラス
トで見える概略10nmのサイズの微粒子が均一に分散した
構造が観察された。元素分析の結果、明るいコントラス
トの部分からTiが、暗いコントラストの部分からPdが検
出され、それぞれ酸化チタン微粒子および金属パラジウ
ム微粒子からなると推察された。
【0071】実施例3 無機微粒子前駆体Bとしてruthenium acetylacetonate
(アルドリッチ製、以下B2)を用いた以外は実施例5と
同様にして、ポリイミドシートに支持された無機微粒子
複合体薄膜を得た。薄膜は均一な薄黒色を呈し、その内
部構造をTEM観察すると????、概略10nmのサイズの明る
いコントラストで見える微粒子の集合体中に、暗いコン
トラストで見える数nmのサイズの微粒子が均一に分散し
た構造が観察された。元素分析からは、酸化チタン微粒
子からなる母材中に酸化ルテニウム微粒子が分散した構
造の薄膜であると推察された。。
【0072】比較例1 ブロック共重合体の代わりにpoly(acrylic acid)(和光
純薬製)で分子量25000のもの(以下H1)を用いた以外
は実施例1と同様にして無機化合物薄膜を形成した。熱
処理後の試料表面には不均一に分布した概略200nm以上
の凝集体が多数観察された。上記凝集物部分を走査型電
子顕微鏡付属のEPMAで分析したところチタンが検出され
たが、凝集物間には広く基板が露出した部分が観察さ
れ、基板露出部分ではチタンは検出されなかった。ここ
では本願発明でいう均一に分散した無機微粒子からなる
薄膜は得られなかった。またこの薄膜の波長550nmにお
ける可視光透過率は74%であったが、UV-A(波長320
〜400nm)、UV-B(波長280〜320nm)に対する紫外線透
過率はそれぞれ51%、17%であった。
【0073】比較例2 ブロック共重合体の代わりにホモポリマーH1を用いた以
外は実施例2と同様にして無機化合物薄膜を形成した。
熱処理後の試料表面には不均一に分布した長さが1μm以
上に及ぶ針状の粗大な凝集体が多数観察され、均一に分
散した無機微粒子からなる薄膜は得られなかった。
【0074】
【発明の効果】サイズ及び配置がナノメートルスケール
で制御された無機化合物微粒子からなる薄膜が溶液の塗
布及び熱処理といった従来にない簡便なプロセスで製造
でき、超微粒子含有組成物に期待される光線遮蔽や触媒
????などの機能が実現できた。
フロントページの続き Fターム(参考) 4D075 AE03 BB20Z BB24Y BB28Z BB57Y BB69Y BB79Y CB06 CB07 DA06 DA23 DA25 DB01 DB13 DB14 DB20 DB43 DB48 DB53 DC24 EA07 EB01 EB13 EB14 EB20 EB22 EB37 EB39 EB43 EB47 EB57 EC01 EC02 EC10 EC53 4F100 AA01A AA09 AA17B AA19 AA20 AA21 AA25 AA33 AB01B AB11 AB25 AG00 BA02 BA03 DD07A DD07B DE01A DE01B EA061 EH461 EH662 EJ012 EJ422 JM02A JM02B JN02 YY00A YY00B

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】無機化合物微粒子Aからなる薄膜中及び/
    または表面に、金属あるいは金属酸化物から構成される
    無機微粒子Bが共に均一に分散しており、上記微粒子A
    およびBの大きさが100nm以下であり、及び薄膜表
    面の粗さが50nm以下であることを特徴とする無機微
    粒子複合体薄膜。
  2. 【請求項2】(1)互いに非相溶な高分子鎖が各々の末
    端で結合したブロック共重合体Pと無機化合物の前駆体
    PAからなる均一溶液Sを調整する工程、(2)溶液S
    を基板上に展開する工程、(3)前記薄膜中で上記共重
    合体Pにミクロ相分離を起こさせ特定の配向を持つミク
    ロドメイン構造を形成させると同時に、上記前駆体PA
    を全部ではない特定のミクロドメイン構造上に偏在させ
    る工程、(4)上記薄膜を気相にある金属あるいは金属
    酸化物微粒子前駆体PBに接触させ、前駆体PBを特定
    のミクロドメイン構造へ取り込ませた後、無機微粒子B
    を析出させる工程、(5)上記前駆体PAから無機化合
    物微粒子Aを析出させる工程、(6)上記薄膜中から樹
    脂組成物を除去させる工程からなることを特徴とする請
    求項1記載の無機微粒子複合体薄膜の製造法。
  3. 【請求項3】(1)互いに非相溶な高分子鎖が各々の末
    端で結合したブロック共重合体Pと無機化合物の前駆体
    PA及び金属あるいは金属酸化物微粒子の前駆体PBから
    なる均一溶液S’を調製する工程、(2)溶液S’を基
    板上に展開する工程、(3)前記薄膜中で上記共重合体
    Pにミクロ相分離を起こさせ特定の配向を持つミクロド
    メイン構造を形成させると同時に、上記前駆体PA及び
    PBをおのおの特定のミクロドメイン構造上に偏在させ
    る工程、(4)薄膜中で前駆体PBから無機微粒子Bを
    析出させる工程、(5)上記前駆体PAから無機化合物
    微粒子Aを析出させる工程、(6)上記薄膜中から樹脂
    組成物を除去させる工程からなることを特徴とする請求
    項1記載の無機微粒子複合体薄膜の製造法。
  4. 【請求項4】無機微粒子前駆体PBから無機微粒子Bを
    析出させる工程の後で、共重合体Pの熱分解温度以上か
    つ前駆体PAから無機化合物微粒子Aが形成される温度
    で薄膜を熱処理することにより、前駆体PAから微粒子
    Aを形成させると同時に、上記薄膜中から樹脂組成物を
    除去させることを特徴とする請求項2および3記載の無
    機微粒子複合体薄膜の製造法。
  5. 【請求項5】無機微粒子前駆体Bとして金属微粒子前駆
    体を用い、前駆体PA,PAがそれぞれ全部ではない特
    定のミクロドメイン構造上に偏在した薄膜を形成した後
    で、共重合体Pの熱分解温度と前駆体PAから無機化合
    物微粒子Aが形成される温度のうち高い側の温度をTと
    したとき、液相あるいは気相にある前駆体Bの還元剤に
    薄膜を接触させながら昇温させることによって無機微粒
    子Bを析出させるのに連続して、前駆体PAから酸化物
    微粒子Aを形成させると同時に、上記薄膜中から樹脂組
    成物を除去させることを特徴とする請求項2〜4記載の
    無機微粒子複合体薄膜の製造法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013129836A (ja) * 2013-01-07 2013-07-04 Hitachi Ltd 微細構造を有する高分子薄膜およびパターン基板の製造方法
JP2014087781A (ja) * 2012-10-02 2014-05-15 Tokyo Electron Ltd 基板処理方法、プログラム、コンピュータ記憶媒体及び基板処理システム
JP2015044981A (ja) * 2013-07-25 2015-03-12 アルケマ フランス ブロックコポリマーとブロックの一つの(コ)ポリマーのブレンドから得られる形態を特徴付ける周期の制御方法

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