JP2002137059A - 耐磨耗性金属肉盛り方法及び両面耐磨耗性クラッド鋼板 - Google Patents
耐磨耗性金属肉盛り方法及び両面耐磨耗性クラッド鋼板Info
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Abstract
あるにもかかわらず、薄肉化が可能であり、しかも、小
Rの湾曲板の製造が可能な両面クラッド鋼板を提供す
る。 【解決手段】 母材鋼板10の片面又は両面に、多数の
貫通孔32を有する打ち抜き鋼板31を溶接接合する。
打ち抜き鋼板31の各貫通孔32に耐磨耗性金属を溶接
肉盛りして、母材鋼板10の表面に多数の肉盛り部34
を形成する。多数の肉盛り部34は、打ち抜き鋼板31
のリブ部33を溶融させることにより合体して、母材鋼
板10の表面に耐磨耗性の硬化金属層30を形成する。
Description
耐磨耗性硬化金属層を形成するための溶接肉盛り方法及
びこの方法を用いて製造される両面耐磨耗性クラッド鋼
板に関する。
送する場合、両面磨耗を受けることが多く、搬送気流の
当たり面が磨耗を受けるエロージョン磨耗が多い。そし
て、この種の用途では、薄板が要求される場合が大半
で、曲面をもつライナーが望まれる場合も少なくない。
このような用途としては、竪型ローラミルの分級機コー
ン、エアセパレータ、セメント工場のサイクロン内筒ラ
イナー、ドライヤのクロスリフタ等がある。
の両面クラッド鋼板は、これまでは、母材鋼板の片側の
表面に耐磨耗性金属を溶接肉盛りした2枚の片面クラッ
ド鋼板を背中合わせに重ね、それぞれの母材同士を溶接
接合することで製造されていた。これは次のような理由
による。
鋼板は、易溶接鋼からなる母材鋼板の両面を耐磨耗性金
属を溶接肉盛りすることにより、製作が可能である。し
かし、肉盛り金属には、耐磨耗性に優れた高クロム鋳鉄
系の耐磨耗硬化金属が使用される。このため、両面側の
硬化金属に多数の割れが発生し、割れ同士が母材を貫通
して伝搬し合い、クラッド鋼板自体を破断させる危険性
があった。
た割れを伝搬させないように配慮すれば、クラッド鋼板
自体の破断は回避されるが、肉厚が非常に大きくなり、
上記用途への適用が困難になる。
は、両面が硬化金属で肉盛りさているため、外曲げ加工
を受ける硬化金属面は、曲げ引っ張り応力を受け、割れ
の発生が顕著になり、伸びがないため、割れの開口幅が
大きくなる。このため、曲げ加工が非常に困難であり、
甚だしい場合には、両側の硬化金属の割れが曲げ応力に
より母材に伝搬して、クラッド鋼板自体を破断させる。
接肉盛りした片面クラッド鋼板を内曲げした後、外曲げ
側の母材表面に硬化金属を溶接肉盛りすることも考えら
れるが、母材が薄いために溶接歪みが顕著となり、所定
の曲げ半径が維持できないなどの問題がある。
鋼板は、これまでは、片面クラッド鋼板を背中合わせに
接合することで製造されており、湾曲板が要求される場
合は、内曲げした片面クラッド鋼板と外曲げした片面ク
ラッド鋼板の母材同士を接合するが、前述した硬化金属
の割れによって外曲げでの曲げRが著しく制限されるた
め、大Rのものしか製造することができなかった。
ラッド鋼板を背中合わせに接合して構成された薄厚の両
面クラッド鋼板は、母材鋼板が2枚重ねとなるため、肉
厚の増大が避けられず、重量も嵩む問題があった。ま
た、曲げ加工が要求される場合は、その曲げRが著しく
制限される問題があった。
て、また、湾曲した薄肉母材の外曲げ側に、溶接歪みを
抑えつつ耐磨耗性硬化金属層を形成できる耐磨耗性金属
肉盛り方法を提供することにある。
化金属層を有する構成であるにもかかわらず、薄肉化が
可能であり、しかも、小Rの湾曲板の製造が可能な両面
クラッド鋼板を提供することにある。
に、本発明の耐磨耗性金属肉盛り方法は、母材鋼板の表
面に、多数の貫通孔を有する打ち抜き鋼板を溶接接合
し、その打ち抜き鋼板の各貫通孔に耐磨耗性金属を溶接
肉盛りして、前記表面に耐磨耗性硬化金属層を形成する
ものである。
鋼板の両面に耐磨耗性硬化金属層を形成し、両面側の耐
磨耗性硬化金属層のうちの少なくとも一方を、前記母材
鋼板の表面に溶接接合された、多数の貫通孔を有する打
ち抜き鋼板の各貫通孔に、耐磨耗性金属を溶接肉盛りし
た構成としたものである。
常は丸孔)を規則的に設けたものであり、打ち抜き金
網、パンチングメタル等とも呼ばれている。貫通孔の並
び方によって並列型、角千鳥型、60°千鳥型に分類さ
れる。孔径は1〜20mm、ピッチは2〜30mm、板
厚は0.6〜9mmの各範囲内であり、これらの組み合
わせにより非常に多くの種類が市販されている。
接合し、打ち抜き鋼板の各貫通孔に耐磨耗性金属を溶接
肉盛りすることにより、母材鋼板の表面に耐磨耗性硬化
金属層が形成される。
りされた硬化金属は、母材鋼板の表面だけでなく、貫通
孔周囲の打ち抜き鋼板に溶け込む。隣接する硬化金属部
が連続するように、耐磨耗性金属を貫通孔周囲の打ち抜
き鋼板に溶け込ませるならば、母材鋼板の表面に殆ど切
れ目のない耐磨耗性硬化金属層が形成される。こうして
形成される硬化金属層は以下のような特徴を有する。
鋼板の強度補完材として機能する。
板は、母材鋼板の厚みが6mmで硬化金属層の厚みが3
mm程度であるが、溶接肉盛りで製作されるため、溶け
込みが発生し、母材鋼板の残厚は3〜4mmになる可能
性がある。このため、硬化金属に割れが発生している
と、溶け込み部分まで割れは進展しており、空気搬送装
置の使用環境で磨耗面に風圧による強い曲げ応力が作用
した場合、割れを起点にして母材鋼板が破断する危険性
が考えられる。
に寿命延長のために耐磨耗性クラッド鋼板が使用されて
きたが、羽根回転による風圧を受け、羽根中央部が破断
する事故がしばしば発生した。このため、曲げ応力に耐
えられるように、羽根の裏面にフラットバーを補強材と
して溶接して使用した。このような使用経験から判断し
て、大面積をもつ用途には、破断事故を未然に防止する
ために、耐磨耗性クラッド鋼板の裏面に補強材の溶接付
けが効果的である。
の表面上で網の目状に広がって強度補完材として機能
し、母材鋼板の破断を効果的に防ぐ。加えて、その貫通
孔内に形成された硬化金属部に対して、打ち抜き鋼板は
軟質のリブ材として機能し、凝固収縮割れを効果的に防
ぐ。このため、母材鋼板の裏面側に耐磨耗性金属の溶接
肉盛り層が形成されている場合にも、母材鋼板を貫通す
る割れが発生しにくく、1枚の母材鋼板の両面に硬化金
属層を形成した両面クラッド鋼板の製作が可能になる。
が可能である。
その貫通孔に耐磨耗性金属を肉盛りするが、硬化金属の
厚みが打ち抜き鋼板の厚みに吸収されるため、非常に薄
い両面クラッド鋼板の製作が可能になる。
属層の厚みが3mmの場合、これを2枚貼り合わせて両
面クラッド鋼板にすると、総厚は18mmになるが、片
面クラッド鋼板の裏面に3.2mmの打ち抜き鋼板を接
合し、その貫通孔に肉盛りを行って両面クラッド鋼板を
製作すると、その厚みは約12.2mmになり、約33
%の減厚及び重量減が達成できる。
サイクロン、ダンパー、分散板等、両面にエロージョン
磨耗を受ける用途では、できる限り重量軽減が要求され
るので、33%の重量減は非常に有効であり、従来、重
量の面から制約を受けていた装置への適用も可能とな
る。
側にした内曲げは可能である。外曲げ側の母材鋼板表面
に、同一Rで曲げ加工した打ち抜き鋼板を接合し、その
貫通孔に肉盛りを行う。この肉盛りは後述するように溶
接変形を抑制できる。また、硬化金属の割れを抑制でき
る。従って、母材鋼板の肉厚が小さい場合も、その変形
及び貫通割れが抑止され、小Rの湾曲板の製作が可能に
なる。
低入熱肉盛りが可能になり、溶接変形を抑制できる。
の貫通孔の孔径を8〜16mmとすると、貫通孔への肉
盛り溶接は、手溶接棒や溶接ワイヤを使用して行うこと
ができる。手溶接棒の場合は、4mm径のものを使用し
て、約180Aの溶接電流で1層で肉盛りすることがで
きる。溶接ワイヤの場合は、1.6mmのワイヤ径で、
160〜180Aの溶接電流により、1層の肉盛りが可
能である。これらの電流値は非常に低い。肉盛り自体が
栓溶接の如きスポット的な溶接になるので、アークを発
生してから溶接が完了するまでの時間が非常に短く、溶
接入熱も制限され、限定的な溶接となる。1ヵ所に極小
の溶接入熱で肉盛りが行われ、それが大きな表面積に多
数分散しており、局部的な熱集積がないので、従来の全
面的な溶接肉盛りに比べ、入熱が分散されて溶接変形を
生じにくい。1点ごとに肉盛りを進行させるので、変形
具合を観察しながら肉盛りを行い、もし変形を発生する
ようならば、その箇所の肉盛りを中断して離れた箇所の
肉盛りを進めればよい。
合もその変形が効果的に抑制される。
た硬化金属の割れが少ない。
し、肉盛りが連続しないため、割れが少ない。ビードが
連続する直線肉盛りの場合、凝固仮定で溶接ビードが収
縮し、ビード横割れが発生する。貫通孔を単独に溶接
し、更に離れた箇所を分散して溶接すれば、ビード同士
の引っ張りが少ない。円形ビードと言う形状からも応力
集中が少なく、形状的にも割れにくい。
き鋼板を溶接接合し、その打ち抜き鋼板の各貫通孔に耐
磨耗性金属を溶接肉盛りして形成される耐磨耗性硬化金
属層は、母材鋼板の片面に設けることができ、両面に設
けることもできる。片面に設ける場合、もう一方の面に
は通常の全面的な溶接肉盛りを行っておけばよい。
ましい。なぜなら、軽量薄肉化の点から厚い母材鋼板は
使用しない。4.5mm未満の場合は貫通孔を肉盛りし
た場合に母材鋼板への溶け込みが増し、鋼板強度が低下
する。9.0mm以上では重くなり過ぎる。
が好ましい。この鋼板も薄ければ軽量化になるが、2.
3mm未満では貫通孔に肉盛りされる硬化金属の厚みが
薄くなな、6.0mm超では厚くなり過ぎる。
い。なぜなら、10mm未満の孔径の場合、貫通孔が小
さくなり過ぎて孔を埋めるのが困難になり、20mm超
では、個々の肉盛り金属が大きくなるため、変形が生じ
やすくなる。
ましい。なぜなら、ピッチが大きくなると貫通孔の周囲
のリブ部が広がり、補強材としての機能は増すが、耐磨
耗性は低下する。逆にピッチが小さくなると、硬化金属
の量が増し、耐磨耗性が向上するが、変形抵抗が低下す
る。
なぜなら、開口率が小さいと、貫通孔の周囲のリブ部が
広がり、補強材としての機能は増すが、耐磨耗性は低下
する。逆に開口率が大きくなると、硬化金属の量が増
し、耐磨耗性が向上するが、変形抵抗が低下する。
れる硬化金属層の厚みは3〜6mmが好ましい。なぜな
ら、3mm未満では耐磨耗性が低下し、6mm超では厚
肉化・重量増加が問題になる。主な使用目的がエロージ
ョン磨耗に対する耐性であり、過共析炭化物系合金やタ
ングステンカーバイト系合金の肉盛りワイヤが使用され
る。これらの合金は高価であるが、3〜6mmの肉厚で
十分な耐磨耗性を与える。
問わないが、通常はSS400軟鋼、ステンレス鋼板が
使用される。
00軟鋼、ステンレス鋼板が好ましい。
磨耗に強い材質が好ましく、具体的には過共析炭化物系
合金や高炭素・高クロム鋳鉄系合金、タングステンカー
バイト系合金が好ましい。特に軟鋼希釈の影響を受けに
くい過共析炭化物系合金が適切である。
クラッド鋼板の製造だけでなく、被肉盛り部材が複雑な
形状の箇所や溶接姿勢が困難な箇所、変形、抜け落ち等
で肉盛りが困難な箇所等に対する硬化層の形成にも適用
することかできる。このような箇所の被肉盛り部材に適
当な肉厚をもつ打ち抜き鋼板を張り付け、その貫通孔に
耐磨耗性金属の肉盛りを行うことにより、その被肉盛り
部材の表面に耐磨耗性の硬化金属層を簡単かつ安定に形
成することかできる。
基づいて説明する。図1は本発明の両面クラッド鋼板の
1例につきその構成及び製作手順を示す斜視図である。
ッド鋼板の母材側の表面に打ち抜き鋼板31を溶接す
る。片面クラッド鋼板は、母材鋼板10の一方の表面
に、通常の全面的な溶接肉盛りにより耐磨耗性の硬化金
属層20が形成されている。打ち抜き鋼板31は、円形
の貫通孔32を千鳥状に配列した形状になっている。
接合されると、図1(b)に示すように、打ち抜き鋼板
31の各貫通孔32に耐磨耗性金属を溶接肉盛りして、
母材鋼板10の表面に多数の肉盛り部34を形成する。
多数の肉盛り部34は、打ち抜き鋼板31のリブ部33
を溶融させることにより合体して、母材鋼板10の表面
に耐磨耗性の硬化金属層30を形成する。
り部が残存するのを避けるように行うが、打ち抜き鋼板
31のリブ部33の一部は磨耗面に残存する可能性があ
る。リブ部33が残存した部分は耐磨耗性に劣るが、打
ち抜き鋼板31の貫通孔32が千鳥状に配列さている場
合は、この磨耗部が直線にならず、エロージョン磨耗の
影響が低減する。また、未肉盛り部分をできるだけ減少
させるために、リブ部33の幅を小さくするのが有効で
ある。
るので、溶接歪みに留意して作業を進めるのがよい。
ド鋼板に対し、その硬化金属層20が内側となる内曲げ
を予め実施しておき、同様のRに曲げ加工した打ち抜き
鋼板31を母材鋼板10の表面、即ち外曲げ側の表面に
張り付ける。これに続く溶接肉盛りでの変形を抑制する
ために、拘束板に固定することが推奨される。
につきその構成を示す斜視図である。
ち抜き鋼板31を用いた硬化金属層30が形成されてい
る。この両面クラッド鋼板は、母材鋼板10の両面に打
ち抜き鋼板31を張り付けたあと、それぞれの貫通孔3
2に耐磨耗性金属を溶接肉盛りして製作されるが、各側
の溶接歪みを打ち消すように各側で交互に肉盛りを行う
のがよい。
0を予め曲げ加工しておき、その両面に同様のRに曲げ
加工した打ち抜き鋼板31を張り付ける。これに続く溶
接肉盛りでの変形を抑制するために、拘束板に固定する
ことが推奨される。
の例につきその構成を示す斜視図である。
けられた打ち抜き鋼板31の貫通孔32に硬化金属を肉
盛りする前に、貫通孔32の孔底面(母材鋼板10の表
面)に軟鋼ワイヤ等を用いて予備肉盛りを行っている。
即ち、例えば3.2mmの打ち抜き鋼板31を使用する
代わりに4.5mmの打ち抜き鋼板31を使用し、貫通
孔31に孔底面から1.5〜2.0mm程度の高さに軟
鋼等を予備肉盛りする。
に耐磨耗性金属を溶接肉盛りして両面クラッド鋼板を完
成させると、予備肉盛り部11によって打ち抜き鋼板3
1及び母材鋼板10が強化されていることにより、過酷
な風圧等を受けても母材鋼板10の破断が防止される。
はなく、貫通孔32に選択的に行えばよい。予備肉盛り
用の材料は母材鋼板10に類似させればよく、母材鋼板
10がステンレス鋼の場合はステンレス鋼を選択すれば
よい。
常の溶接肉盛りにより厚さが3mmの耐磨耗性硬化金属
層を形成した幅1200mm×長さ2500mmの片面
クラッド鋼板からプラズマ切断により幅943mm×長
さ1000mmのテストピースを採取し、耐磨耗性硬化
金属層を内側にした半径600mm×90°の内曲げを
行った。母材鋼板の化学成分を表1に示す。
m、孔ピッチが21mm、開口率が52.4%で、片面
クラッド鋼板と同じ形状の軟鋼からなる千鳥抜きの打ち
抜き鋼板を、片面クラッド鋼板の母材表面に沿うように
曲げ加工し、その母材表面に溶接接合した。溶接は、軟
鋼溶接ワイヤを使用し、打ち抜き鋼板の貫通孔を使用し
た栓溶接とした。溶接金属の厚みは1〜1.5mmと
し、溶接箇所は全孔の10%程度で全面に分散させた。
性金属を溶接肉盛りした。溶接ワイヤの化学成分を表2
に示す。溶接電流は180A、溶接電圧は26〜30
V、ワイヤ突き出し長さは35mmとした。打ち抜き鋼
板の貫通孔間に存在する軟鋼リブ部の幅は5mmである
が、このリブ部ができるだけ溶融するように、溶接トー
チを円運動させて、少なくとも表面には軟鋼リブ部が現
れないように配慮した。肉盛りによる硬化金属部の高さ
は、打ち抜き鋼板の肉厚を超えるように約4mmとし
た。軟鋼リブ部の下部は未溶融のまま残っているので、
両面クラッド鋼板の強度補完材としても機能する。
防止するように溶接順序を考慮しつつ、打ち抜き鋼板に
対する肉盛り施工を行ったので、僅かの変形修正で完成
させることができた。打ち抜き鋼板側を溶接肉盛りする
ので、片面クラッド鋼板を予め小さめに曲げ加工してお
くと、打ち抜き鋼板側の肉盛り時の歪みによる引っ張り
で所定の曲率が得られ、歪みが残る場合も僅かの矯正で
済む。別に製作した厚肉の拘束板を使用する方法のある
ことも前述した通りである。
トブラスト磨耗試験を行った。結果を表3に示す。
15点の平均硬度である。ショットブラスト磨耗試験で
は、ブラスト材に銅スラグを使用し、流速40M/秒で
30°、60°、90°の角度で衝突させた。測定値
は、標準資料の軟鋼SS400の磨耗係数を100とす
る磨耗容積比により示した。内曲げ側の耐磨耗性肉盛り
層のエロージョン値は、30°で軟鋼の200倍であ
る。外曲げ側の打ち抜き鋼板を使用した耐磨耗性硬化金
属層では、軟鋼の500倍となり、内曲げ側の通常硬化
層の2.5倍の寿命を示す。
硬化金属層を形成した。母材鋼板の肉厚を4.5mm、
その両面に接合する打ち抜き鋼板の肉厚を2.4mmと
した。これにより、全厚が9.3mmの非常に薄い両面
クラッド鋼板が製造された。母材鋼板の肉厚を3.2m
mにすれば、全厚が8mmの両面クラッド鋼板の製造も
可能である。
けても破断を防止できるので、母材鋼板の肉厚を薄くす
る場合はステンレス鋼を使用することが望まれる。ま
た、打ち抜き鋼板にもステンレス鋼を使用すれば、より
高靱性のクラッド鋼板が製造可能となる。製作では、歪
みを打ち消すように表裏交互に肉盛りを行えば、歪みの
少ない板を製造できる。若しくは、片面の肉盛りを完了
してから、一旦歪み取りを行い、もう片面の肉盛りを行
えばよい。打ち抜き鋼板の孔ピッチが一定であるから、
溶接ロボットを使用した完全自動の肉盛り施工が可能で
ある。溶接ロボットの使用により、製作時間が短縮で
き、コスト低減が可能になる。
性金属肉盛り方法は、母材鋼板の表面に、多数の貫通孔
を有する打ち抜き鋼板を溶接接合し、その打ち抜き鋼板
の各貫通孔に耐磨耗性金属を溶接肉盛りして、前記表面
に耐磨耗性硬化金属層を形成することにより、薄肉の母
材鋼板に対して、また、湾曲した薄肉母材の外曲げ側
に、溶接歪みを抑えつつ耐磨耗性硬化金属層を形成でき
る。
鋼板の両面に耐磨耗性硬化金属層を形成し、両面側の耐
磨耗性硬化金属層のうちの少なくとも一方を、前記母材
鋼板の表面に溶接接合された、多数の貫通孔を有する打
ち抜き鋼板の各貫通孔に、耐磨耗性金属を溶接肉盛りす
ることにより、両面側に耐磨耗性硬化金属層を有する構
成であるにもかかわらず、薄肉化が可能であり、しか
も、小Rの湾曲板の製造が可能である。
構成及び製作手順を示す斜視図である。
の構成を示す斜視図である。
き、その構成を示す斜視図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 母材鋼板の表面に、多数の貫通孔を有す
る打ち抜き鋼板を溶接接合し、その打ち抜き鋼板の各貫
通孔に耐磨耗性金属を溶接肉盛りして、前記表面に耐磨
耗性硬化金属層を形成することを特徴とする耐磨耗性金
属肉盛り方法。 - 【請求項2】 隣接する硬化金属部が連続するように、
耐磨耗性金属を貫通孔周囲の打ち抜き鋼板に溶け込ませ
ることを特徴とする請求項1に記載の耐磨耗性金属肉盛
り方法。 - 【請求項3】 母材鋼板の両面に耐磨耗性硬化金属層が
形成されており、両面側の耐磨耗性硬化金属層のうちの
少なくとも一方が、前記母材鋼板の表面に溶接接合され
た、多数の貫通孔を有する打ち抜き鋼板の各貫通孔に、
耐磨耗性金属を溶接肉盛りした構成であることを特徴と
する両面耐磨耗性クラッド鋼板。 - 【請求項4】 一方の耐磨耗性金属層が、前記母材鋼板
の表面に接合された、多数の貫通孔を有する打ち抜き鋼
板の各貫通孔に、耐磨耗性金属を溶接肉盛りして形成さ
れ、他方の耐磨耗性金属層が、母材鋼板の表面に耐磨耗
性金属を溶接肉盛りして形成されていることを特徴とす
る請求項3に記載の両面耐磨耗性クラッド鋼板。 - 【請求項5】 両方の耐磨耗性金属層が、前記母材鋼板
の表面に接合された、多数の貫通孔を有する打ち抜き鋼
板の各貫通孔に、耐磨耗性金属を溶接肉盛りして形成さ
れていることを特徴とする請求項3に記載の両面耐磨耗
性クラッド鋼板。
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