JP2005319507A - 多電極片面サブマージアーク溶接方法 - Google Patents

多電極片面サブマージアーク溶接方法 Download PDF

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良介 杉田
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Abstract

【課題】3電極または4電極の電極を用いて行う片面サブマージアーク溶接において、高能率に健全な溶接金属を得る。
【解決手段】フラックスを裏当に使用し、3電極または4電極の電極を使用して行う片面サブマージアーク溶接方法において、被溶接材の開先角度を35〜60°のV形状の開先とし、該開先内に鋼粒または鉄粉を被溶接材板厚の1/3から被溶接材表面の高さまで充填して溶接する。また各電極のワイヤ径は4.8mm以上で、第1電極の電流(I1)を1200〜2000Aとして、第2電極の電流(I2)および第3電極の電流(I3)はI1>I2≧I3で、かつ第1電極と第2電極の電極間距離を20〜70mm、第2電極と第3電極の電極間距離を3電極溶接の場合100〜150mm、4電極溶接の場合150〜300mmで溶接する。
【選択図】図6

Description

本発明は、3電極または4電極の電極を用いて行う高能率な片面サブマージアーク溶接方法に関する。
従来より、厚鋼板の高能率溶接方法として、片面サブマージアーク溶接方法が造船を中心に盛んに適用されている。近年さらに効率化の要求は高くなり、フラックスを裏当に使用した3電極以上の電極を用いて、溶接速度が100cm/min以上の高速度で溶接可能な技術が開発されている。例えば特開平6−254683号公報においては、第1電極に直流電流を流し低電圧としてアークを集中させ、第2電極の電圧を高くして安定且つ健全な裏ビードを形成する。また特開平8−99178号公報においては、各電極のワイヤ径、第1電極と第2電極の溶接電流、電極間距離および裏当てフラックスの散布厚と嵩密度を限定して高速溶接で裏ビードの幅および高さが安定した滑らかな裏ビードを得ている。さらに特開平5−337651号公報には、4電極で、各電極のワイヤ径、各電極の溶接電流、電極間距離、裏フラックス成分、表フラックス成分およびワイヤのC量を限定して健全な欠陥のない溶接金属を得る技術の開示がある。
しかしながら、最近の造船における国際競争力の激化からさらに高能率化が要望されており、前述の技術でさらに溶接速度を早くして高能率化を図るには問題がある。すなわち、溶接電流を高くすると裏ビードが出過ぎてビードが不均一になり、かつ裏当銅板からの冷却により溶接金属の凝固が早く、図3の溶接部のマクロ組織の概念図に示すように溶接金属21がビード幅中央部でデンドライト(樹枝状晶)が会合した組織となって、この個所で非常に割れやすくなる。したがって、これ以上の高速化は不可能であり、他の手段からの能率向上が望まれる。
図1(a)、(b)はそれぞれ、ここでいう片面サブマージアーク溶接方法の例を示す断面図である。図1(a)においては、突き合わされた被溶接材1の裏面から、銅当金2上に層状に散布した裏フラックス4をエアーホース5等の押し上げ機構により被溶接材1の裏面に押圧して、表面よりワイヤ3、表フラックス6を用いてサブマージアーク溶接を行なう。また図1(b)においては銅当金を使用せず、耐火性キャンバス7内に収納された裏フラックス4をエアーホース5等の押し上げ機構により被溶接材1の裏面に押圧している。これらの方法により被溶接材1の表側と裏側に同時に溶接ビードが形成される。
特開平6−254683号公報 特開平8−99178号公報 特開平5−337651号公報
本発明は、3電極または4電極の電極を用いて鋼板の板厚全体を1ランで溶接する片面サブマージアーク溶接において、高能率に健全な溶接金属を得る溶接方法を提供することを目的とする。
本発明の要旨は、フラックスを裏当に使用し、3電極または4電極の電極を使用して行う片面サブマージアーク溶接方法において、被溶接材の開先角度を25〜60°のV形状の開先とし、該開先内に鋼粒または鉄粉を被溶接材板厚の1/5から被溶接材表面の高さまで充填して溶接することを特徴とする多電極片面サブマージアーク溶接方法にある。
また、各電極のワイヤ径は4.8mm以上で、第1電極の電流(I1)を1200〜2000Aとして、第2電極の電流(I2)および第3電極の電流(I3)はI1>I2≧I3で、かつ第1電極と第2電極の電極間距離を20〜70mm、第2電極と第3電極の電極間距離を3電極溶接の場合100〜150mm、4電極溶接の場合150〜300mmで溶接することも特徴とする。さらに、第4電極の電流(I4)は、第3電極の電流(I3)以下(I3≧I4)であることも特徴とする。
さらに裏当は、フラックスが銅当金上に層状に散布されているものであることも特徴とする。
本発明の多電極片面サブマージアーク溶接方法によれば、被溶接材の開先形状をV形状の開先とすることにより、溶接前処理の開先加工工程を1工程省略でき、開先内に鋼粒または鉄粉を充填して各電極のワイヤ径、溶接電流および電極間距離を適正にすることによって高能率に健全な溶接金属を得ることができる。
本発明者等は、多電極片面サブマージアーク溶接方法において、さらなる高能率化について、溶接工程前後の工程および溶接施工条件等種々検討した結果、以下の知見を得た。
本発明のサブマージアーク溶接は3電極または4電極で行なうが、第1、第2電極と第3電極以降の電極とは、後に詳細に説明するように別のプールを形成する条件で溶接する。これにより図2の本発明の方法による溶接部のマクロ組織の概念図に示すように、第1、第2電極による溶接金属22が凝固した後に第3電極以降の電極による溶接金属23が凝固した組織になる。このためデンドライトは図2に示すように上方に成長した形になり、図3のようなビード幅中央部でデンドライトが会合した組織と異なり割れが発生し難い。なおサブマージアーク溶接においては凝固した溶接金属はスラグで覆われるが、スラグが溶融状態であるか凝固しても未だ高温の状態であればスラグは導電性があり、後の電極によるアーク発生に対して障害にはならない。
また本発明の溶接方法は鋼板の板厚全体を1ランで溶接するものであるが、板厚10mm程度から40mm程度まで適用できる。また3電極で溶接するか4電極で溶接するかは板厚20mm程度まではどちらでも良く、4電極にすれば溶接速度をより高速にできる。また板厚が20mm程度より大きい場合には4電極にして溶着すべき金属量の増大に対処し、表ビードの余盛り不足の発生を確実を防止することが好ましい。
本発明は被溶接材の開先形状としてV形開先を採用することを特徴とする。すなわち従来からの多電極片面サブマージアーク溶接方法における被溶接材の開先形状は、仮組の容易性および溶接施工条件範囲の広さから、Y形開先が採用されていた。図4(a)、(b)は仮組工程の前工程に位置する開先加工工程を説明する図であって、(a)図はY開先、(b)図はV開先の場合であり、図中符号A、B、Cはそれぞれ切断トーチの方向を示している。図4(a)に示すように、Y形開先の場合は被溶接材端部を目標の板幅になるようにA方向に垂直切断した後、所定の開先角度になるようにB方向に切断するという、一つの端面に対して2度の切断工程が必要である。これに対してV形開先を採用することによって図4(b)に示すようにC方向の切断を1回するだけで板幅の決定と開先切断ができることになる。
しかしV形開先を採用した場合Y形開先と異なり開先にルート面24(図4(a))が無いので、図5の開先断面図に示すように仮組溶接時に開先の突き合わせ部が上下にずれるという問題が生じた。そこで本発明者等が先に提案した特許第3215312号公報および特許第3215313号公報に記載の2枚の板体の相対位置決め装置を用いることによって、被溶接材の開先面にずれがないように固定でき、仮組溶接が容易となった。
上記のようにV形開先を採用した場合ルート面が無いので、従来からのサブマージアーク溶接方法では裏ビードが出過ぎてビードが不均一になり、低電流、低速度での溶接施工条件を余儀なくされる。本発明においては開先内に鋼粒または鉄粉を被溶接材板厚の1/5から被溶接材表面の高さまで充填することにしたので、溶接施工条件の許容範囲を広くできる。このさい開先内への鋼粒または鉄粉の充填厚さが板厚の1/5未満であると、裏ビードが出過ぎてビードが不均一となる。このため裏ビードの幅および高さを均一にしようとすると、低電流で低速度の溶接施工条件を採用することになり能率が悪くなる。逆に開先内への鋼粒または鉄粉の充填厚さが被溶接材の表面を超えると、裏ビードが出難くなる。このため高電流で高速度の溶接施工条件を採用した場合に裏ビードが不均一で溶接金属の凝固が早く、溶接金属がビード幅中央でデンドライトが会合した組織になるので割れやすくなる。なお開先内への鋼粒または鉄粉の充填厚さの下限については、造船所における溶接電源一次側の電圧変動に起因して溶接条件が変動すること、溶接長が20m以上にも及ぶことから安定した裏波ビードを得るために板厚の1/3以上であることが好ましい。
また鋼粒または鉄粉の粒度分布は、粒径1.5mm以下であることがアークの安定性および裏ビードの形状を良好にすることから好ましい。また、成分は主にFeからなるが、耐割れ性からCは0.10質量%以下、SおよびPは0.020質量%以下が好ましく、他の成分は、溶接金属の強度および靭性を考慮してSi、Mn、Mo、その他脱酸剤や合金剤を含有させることもできる。以上の粒度と成分を満足すれば、各種サイズの鋼ワイヤをカットした粒状体でも良い。
V形開先の開先角度は、裏ビードおよび表ビードの形成、溶け込み形状および溶着量に影響するので25〜60°とする。開先角度が25°未満であると、アークが発生する点が高くなるので裏ビードが安定して形成できない。また溶接金属がビード幅中央でデンドライトが会合した組織になるので割れやすくなる。一方、開先角度が60°を超えると開先断面積が大きく、溶着金属量を確保するために溶接速度を遅くする必要が生じて溶接能率が悪くなる。なお開先角度の下限については、造船所における溶接電源一次側の電圧変動に起因して溶接条件が変動すること、溶接長が20m以上にも及ぶことから割れが無く安定した裏波ビードを得るために30°以上であることが好ましい。またV開先のルート間隔は原則的にはゼロ、すなわち斜めに切断された板の端部同士を接触させた状態にするが、3mm程度までは許容できる。
次に、溶接施工条件についての好ましい範囲について説明する。まず、各電極のワイヤ径は4.8mm以上とする。本発明は溶接速度を遅くすることなく高能率に被溶接材を片面溶接するために高電流の溶接条件で第1電極および第2電極によって健全な裏ビードを形成するが、ワイヤ径が4.8mm未満であるとアークが集中して裏ビードが凸状になりアンダーカットが発生する。したがってアークをソフトにして裏ビードを広げるために、ワイヤ径を4.8mm以上とする。第3電極および必要に応じて使用する第4電極は、割れ、融合不良およびスラグ巻き込み欠陥等の内部欠陥の発生を防止し、適度な余盛りの表ビードを形成するために必要な溶着量を確保する。第3電極および第4電極のワイヤ径が4.8mm未満であると、アークが集中して広がらず、溶接金属がビード幅中央でデンドライトが会合した組織になるので割れやすくなる。さらには融合不良が生じたり、溶着量が不足して表ビードの余盛り不足を生じる場合がある。
第1電極の電流(I1)は、健全な裏ビードを形成するために1200〜2000Aとする。第1電極の電流(I1)が1200A未満であると、裏ビードが安定して形成できない。逆に、2000Aを超えると、裏ビードが出過ぎてビードが不均一になる。また第2電極の電流(I2)および第3電極の電流(I3)は、第1電極の電流(I1)を基準として、I1>I2≧I3とする。第2電極の電流(I2)は裏ビードの形成をコントロールするために第1電極の電流(I1)未満とする。第2電極の電流(I2)が第1電極の電流(I1)以上(I1≦I2)になると、裏ビードが出過ぎてビードが不均一になる。
また図6は溶接線方向における電極の配置を示す図であるが、第1電極8と第2電極9の電極間距離12は裏ビード形状をコントロールするために20〜70mmとする。第1電極8と第2電極9の電極間距離12が20mm未満であると、裏ビードが出過ぎとなる。逆に70mmを超えると裏ビードに広がりがなく、アンダーカットが発生する。
第3電極以降は融合不良やスラグ巻き込み等内部欠陥の発生を防止し、必要な溶着量を確保し、同時に第1電極および第2電極で形成された溶接金属を溶融し、図2に示すように溶接金属のデンドライトを上方に成長した形に制御して高温割れを防止する。先に述べた条件に反して第3電極の電流(I3)が第2電極の電流(I2)を超える(I2<I3)と、溶着量は多くなるが溶け込みが深くなり、溶接金属がビード幅中央でデンドライトが会合した組織になるので割れやすくなる。
また、第1電極および第2電極で形成される溶融池(プール)内に第3電極が配置されると、いわゆるワンプールとなり第3電極によるアークが裏ビードまで達し、裏ビードが出過ぎるとともに溶接金属がビード幅中央でデンドライトが会合した組織になり、割れやすくなる。したがって、図6に示すように第2電極9と第3電極10の電極間距離13は3電極溶接の場合100〜150mm、4電極溶接の場合150〜300mmとする。第2電極9と第3電極10の電極間距離が3電極溶接の場合100mm未満、4電極溶接の場合150mm未満であると、溶融池はワンプールとなり、裏ビードが出過ぎるとともにビード幅中央でデンドライトが会合した組織になり割れやすくなる。逆に、第2電極9と第3電極10の電極間距離13が3電極溶接の場合150mm超、4電極溶接の場合300mm超であると、第1電極8および第2電極9で生成した溶融スラグが完全に凝固してしまい、アークが不安定となり表ビード形状が不良になるとともに融合不良やスラグ巻き込み欠陥が生じる。なお本発明における各電極間距離12、13、14とは、開先底面15におけるワイヤの中心間距離をいう。
また第4電極を使用する場合、第4電極の電流(I4)は第3電極の電流(I3)以下(I3≧I4)とする。第4電極は第3電極での溶着量の不足分を補うとともに、表ビードを広げてアンダーカットの発生を抑制する。第4電極の電流(I4)が第3電極の電流(I3)を超える(I3<I4)と、表ビードが凸状になりアンダーカットが生じる。なお、第3電極10と第4電極11の電極間距離14は、表ビードの幅を広げるために20〜70mmであることが好ましい。
また本発明の多電極片面サブマージアーク溶接方法は被溶接材の長さ、すなわち溶接長が10m以上での適用において顕著な効果が得られる。したがって長手方向に均一な裏ビードを得るために、裏当ては図1(a)に示したように銅当金にフラックスを層状に、すなわち銅当金の面と平行な層が形成されるように散布し、エアホース等の押上げ機構で被溶接材の裏面に押圧する方法が好ましい。
表1に示す鋼材(材質JIS SM400)をV形状の開先に切断し、表2に示すワイヤ、表3に示す裏フラックスおよび表4に示す表フラックスを用いて、表5および表6に示す溶接条件で、溶接長10mの片面サブマージアーク溶接を図1(a)に示す装置で実施した。なお開先内に充填した鋼粒は、成分がC:0.05質量%、Si:0.01質量%、Mn:1.51質量%、P:0.008質量%、S:0.006質量%の1mm径の鋼ワイヤを長さ1mmに切断したものを用いた。
Figure 2005319507
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表5に示した試験No.1〜4が本発明例で、表6に示した試験No.5〜8が比較例である。それぞれの試験例について、溶接後の裏ビードおよび表ビードの外観を調査した後、X線透過試験で溶接金属の内部欠陥の有無を調査した。それらの結果もそれぞれ表5および表6にまとめて示す。
本発明例である試験No.1〜4は、いずれもV形状の開先角度および開先内への鋼粒充填厚さが適正であるので、裏ビードおよび表ビードともビード形状が良好で均一であり溶接金属内部にも欠陥がなく、高能率に溶接でき、極めて満足な結果であった。
比較例中試験No.5は、開先内への鋼粒充填高さが板厚に対して低いので、裏ビードが出過ぎてビードが不均一であった。
試験No.6は、開先内への鋼粒充填高さが板厚に対して高いので、裏ビードが出なかった。
試験No.7は、開先角度が広いので、開先断面積が大きく溶接金属の溶着量が不足した。
試験No.8は、開先角度が狭いので、裏ビードが出ない所があり、また一部高温割れも生じた。
実施例1に用いたものとそれぞれ同じの、表1に示す鋼材をV形状の開先に切断し、表2に示すワイヤ、表3に示す裏フラックスおよび表4に示す表フラックスを用いて、溶接長10mの片面サブマージアーク溶接を図1(a)に示す装置で実施した。開先内に充填した鋼粒は実施例1で用いたものと同一である。溶接条件を表7ないし表9に示すように、この溶接試験においてはワイヤ径、各電極の溶接電流および電極間距離を変えた溶接条件で行なった。
Figure 2005319507
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表7に示した試験No.9〜12が本発明例で、表8および表9に示した試験No.13〜20が比較例である。それぞれの試験例についての調査は実施例1と同様に行った。それらの結果もそれぞれ表7ないし表9にまとめて示す。
本発明例である試験No.9〜12は、いずれもV形状の開先角度、開先内への鋼粒充填厚さ、各電極のワイヤ径、第1電極の電流、各電極の電流バランス、第1電極と第2電極の電極間距離および第2電極と第3電極の電極間距離が適正であるので、裏ビードおよび表ビードともビード形状が良好で均一であり溶接金属内部にも欠陥がなく、高能率に溶接でき、極めて満足な結果であった。
比較例中試験No.13は、第1電極のワイヤ径が細いので、裏ビードが凸状となりアンダーカットが生じた。
試験No.14は、第3電極のワイヤ径が細いので、溶接金属内部に融合不良および高温割れが生じた。
試験No.15は、第1電極の溶接電流が高いので、裏ビードが出過ぎて不均一であった。
試験No.16は、第1電極の電流が低いので、裏ビードが出ない所があり不均一であった。また、第2電極と第3電極との電極間距離が長いので、表ビードの形状が不良でスラグ巻き込み欠陥も生じた。
試験No.17は、第2電極の電流が第1電極の電流以上であるので、裏ビードが出過ぎて不均一であった。また、第2電極と第3電極との電極間距離が長いので、表ビードの形状が不良でスラグ巻き込み欠陥も生じた。
試験No.18は、第3電極の電流が第2電極の電流を超えているので、高温割れが発生した。また、第1電極と第2電極の電極間距離が長いので、裏ビードに広がりがなくアンダーカットが生じた。
試験No.19は、第1電極と第2電極の電極間距離が短いので、裏ビードが出過ぎて不均一であった。
試験No.20は、第4電極の電流が第3電極の電流を超えているので、表ビードが凸状になりアンダーカットが生じた。また、第2電極と第3電極との電極間距離が短いので、裏ビードが出過ぎ、さらに高温割れも生じた。
(a)、(b)はそれぞれ片面サブマージアーク溶接方法の例を示す断面図 本発明の方法による溶接部のマクロ組織の概念図 従来の方法による溶接部のマクロ組織の概念図 開先加工工程を説明する図であって、(a)図はY開先、(b)図はV開先の場合 鋼板位置のずれを説明する開先断面図 溶接線方向における電極の配置を示す図
符号の説明
1 被溶接材
2 銅当金
3 ワイヤ
4 裏フラックス
5 エアーホース
6 表フラックス
7 耐火性キャンバス
8 第1電極
9 第2電極
10 第3電極
11 第4電極
12 第1電極と第2電極の電極間距離
13 第2電極と第3電極の電極間距離
14 第3電極と第4電極の電極間距離
15 開先底部
21 溶接金属
22 第1、第2電極による溶接金属
23 第3電極以降の電極による溶接金属
24 ルート面

Claims (4)

  1. フラックスを裏当に使用し、3電極または4電極の電極を使用して行う片面サブマージアーク溶接方法において、被溶接材の開先角度を25〜60°のV形状の開先とし、該開先内に鋼粒または鉄粉を被溶接材板厚の1/5から被溶接材表面の高さまで充填して溶接することを特徴とする多電極片面サブマージアーク溶接方法。
  2. 各電極のワイヤ径は4.8mm以上で、第1電極の電流(I1)を1200〜2000Aとして、第2電極の電流(I2)および第3電極の電流(I3)はI1>I2≧I3で、かつ第1電極と第2電極の電極間距離を20〜70mm、第2電極と第3電極の電極間距離を3電極溶接の場合100〜150mm、4電極溶接の場合150〜300mmで溶接することを特徴とする請求項1記載の多電極片面サブマージアーク溶接方法。
  3. 第4電極の電流(I4)は、第3電極の電流(I3)以下(I3≧I4)であることを特徴とする請求項2記載の多電極片面サブマージアーク溶接方法。
  4. 裏当は、フラックスが銅当金上に層状に散布されているものであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の多電極片面サブマージアーク溶接方法。
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