JP2002135910A - ハイブリッド車両およびその制御方法 - Google Patents
ハイブリッド車両およびその制御方法Info
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Abstract
電動機とを備えた動力出力装置の小型化を図り、また、
その応答性を向上する技術を提供する。 【解決手段】 出力軸を有する原動機と、動力を出力す
るための駆動軸と、出力軸および駆動軸とに結合され電
力のやり取りによって原動機から出力された動力を増減
して駆動軸に伝達可能な動力調整装置と、回転軸を有す
る電動機と、回転軸と出力軸および駆動軸との接続状態
を切換える切換機構と、切換機構を制御する切換制御部
と、を備える動力出力装置を搭載したハイブリッド車両
において、切換制御部は、ハイブリッド車両の加減速時
に所定条件下で、回転軸と出力軸および駆動軸との接続
をともに切り離すように記切換機構を制御する。なお、
切換機構は、電動機と動力調整装置との間において、出
力軸や駆動軸とは異なる軸上に配置する。
Description
を備える動力出力装置、この動力出力装置を搭載したハ
イブリッド車両およびその制御方法に関する。
を備える動力出力装置を搭載したハイブリッド車両が提
案されている。ハイブリッド車両には、例えば、エンジ
ンに動力調整装置が結合されており、エンジンから出力
された動力の一部が動力調整装置によって駆動軸に伝達
され、残余が電力として回生されるタイプがある。回生
された電力は、バッテリに蓄電されたり、エンジン以外
の動力源としての電動機を駆動するのに用いられる。こ
のタイプのハイブリッド車両は、上述の動力の伝達過程
において、動力調整装置および電動機を制御することに
よって、エンジンから出力された動力を任意の回転数お
よびトルクで駆動軸に出力することができる。駆動軸の
回転数およびトルクに関わらず、運転効率の高い運転ポ
イントを選択してエンジンを運転することができるた
め、ハイブリッド車両は省資源性および排気浄化性に優
れている。
は、駆動軸とエンジンの出力軸の2通りが可能である。
電動機を駆動軸に結合した場合は、エンジン側からエン
ジン、動力調整装置、電動機の順に結合された構成とな
る。図18は、電動機を駆動軸に結合したハイブリッド
車両の概略構成を示す説明図である。ここでは、動力調
整装置として、相対的に回転可能なインナロータIRと
アウタロータORとを備える対ロータ電動機CMを適用
した場合を示した。図示する通り、エンジンEGの出力
軸CSに、動力調整装置としての対ロータ電動機CMが
結合され、駆動軸DSに電動機AMが結合される。かか
る構成では、エンジンの回転数よりも駆動軸の回転数が
低いアンダードライブ走行時に運転効率が高くなる特性
があることが知られている。本明細書中において、この
結合状態をアンダードライブ結合と呼ぶものとする。
て、「エンジンの回転数>駆動軸の回転数」の状態での
動力の伝達の様子を示す説明図である。エンジンEGか
ら出力される動力は、回転を低減するとともにトルクを
増大して駆動軸DSから出力される。エンジンEGから
出力された動力PU1は、対ロータ電動機CMによって
回転数のみが低減された動力PU2として伝達される。
この際、対ロータ電動機CMでは、2つのロータ間に相
対的な滑りが生じるから、両ロータ間の回転数差に基づ
いて発電が行われる。この結果、エンジンEGから出力
された動力の一部は電力EU1として回生される。この
電力によってアシストモータAMを力行し、不足分のト
ルクを補償することによって、要求された回転数および
トルクからなる動力PU3が駆動軸DSに出力される。
て、「エンジンの回転数<駆動軸の回転数」の状態での
動力の伝達の様子を示す説明図である。エンジンEGか
ら出力された動力PU1は、対ロータ電動機CMを力行
することによって回転数のみが増速された動力PU4と
して伝達される。次に、アシストモータAMで負荷を与
えて、余剰のトルクを低減することによって、要求され
た回転数およびトルクからなる動力PU3が駆動軸DS
に出力される。アシストモータAMでは動力PU4の一
部を電力EU2として回生することによって負荷を与え
る。この電力は対ロータ電動機CMの力行に用いられ
る。
が駆動軸の回転数よりも高い場合(図19)では、エン
ジンから出力された動力が駆動軸に伝達される経路にお
いて、上流側に位置する対ロータ電動機CMで回生され
た電力が下流側に位置するアシストモータAMに供給さ
れる。エンジンEGの回転数が駆動軸の回転数よりも低
い場合(図20)では、逆に、下流側に位置するアシス
トモータAMで回生された電力が上流側に位置する対ロ
ータ電動機CMに供給される。対ロータ電動機CMに供
給された電力は、再び機械的な動力として下流側に位置
するアシストモータAMに供給される。この結果、図2
0中に示す動力の循環γ1が生じる。動力の循環γ1が
生じると、エンジンEGから出力された動力のうち、有
効に駆動軸DSに伝達される動力が低減するため、ハイ
ブリッド車両の運転効率が低下する。
エンジン、電動機、動力調整装置の順に結合した構成と
なる。図21は、電動機を出力軸に結合したハイブリッ
ド車両の概略構成を示す説明図である。図示する通り、
エンジンEGの出力軸CSに電動機AMが結合され、駆
動軸DSに動力調整装置としての対ロータ電動機CMが
結合される。かかる構成では、逆に、エンジンの回転数
よりも駆動軸の回転数が高いオーバードライブ走行時に
運転効率が高くなる特性がある。本明細書中において、
この結合状態をオーバードライブ結合と呼ぶものとす
る。
て、「エンジンの回転数>駆動軸の回転数」の状態での
動力の伝達の様子を示す説明図である。図23は、オー
バードライブ結合において、「エンジンの回転数<駆動
軸の回転数」の状態での動力の伝達の様子を示す説明図
である。伝達される動力について、回転数の調整は対ロ
ータ電動機CMでのみ可能であるため、オーバードライ
ブ結合では、アンダードライブ結合の場合と逆の現象が
起きる。エンジンEGの回転数が駆動軸の回転数よりも
低い場合(図22)では、下流側に位置する対ロータ電
動機CMで回生された電力EO1が上流側に位置するア
シストモータAMに供給される。逆に、エンジンEGの
回転数が駆動軸の回転数よりも高い場合(図23)で
は、上流側に位置するアシストモータAMにより回生さ
れたEO2が下流側に位置する対ロータ電動機CMに供
給される。従って、電動機をエンジンの出力軸に結合し
た状態では、前者の場合に図13に示す動力の循環γ2
が生じ、ハイブリッド車両の運転効率が低下する。
よび出力トルクで表される車両の運転領域において、ア
シストモータAMの結合先によって効率が高くなる領域
が変動する。ハイブリッド車両の運転効率を広範囲な領
域で向上するために、アシストモータAMの結合先をエ
ンジン側と駆動軸側で速やかに切り換える構成も提案さ
れている。
切り換え可能なハイブリッド車両の構成を示す説明図で
ある。アシストモータAMは、3組のギヤSG1,SG
2,SG3からなるシンクロナイズドギヤにより結合先
を切り換えることができる。つまり、アシストモータA
Mのロータは、図中の矢印の方向にスライド可能なギヤ
SG3に結合されている。ギヤSG1,SG2には、そ
れぞれクラッチモータCM,エンジンEGの回転軸が結
合されている。ギヤSG3を図示する通りスライドさせ
ることにより、アシストモータAMの結合先を切り換え
ることができる。
力軸の回転数を変速して駆動軸に動力を伝達するための
変速機構等を設けることも提案されている。
ストモータAMを駆動軸に結合した場合には、アシスト
モータAMのみを動力源として用いて走行する、いわゆ
るEV走行も可能である。一般にエンジンは、低速走行
中には、運転効率が悪いため、かかる領域でのEV走行
は、ハイブリッド車両の燃費および環境性の向上に大き
く寄与する。
能な出力が得られるアシストモータAMは大きいので、
動力出力装置は必然的に大きくならざるを得ない。更
に、上述した運転効率を向上するための種々の機構を備
えるようにすれば、益々動力出力装置の大型化を招く。
また、大型のアシストモータAMを搭載することによ
り、エンジンだけの場合と比較して、アシストモータA
Mの慣性のためにハイブリッド車両の加減速の応答性が
悪くなる場合が生じ得た。
されたものであり、ハイブリッド車両に搭載するための
原動機と電動機とを備えた動力出力装置の小型化を図る
ことを目的とする。また、その応答性を向上する技術を
提供することを目的とする。
述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明で
は、以下の構成を採用した。本発明のハイブリッド車両
は、出力軸を有する原動機と、動力を出力するための駆
動軸と、前記出力軸および前記駆動軸とに結合され電力
のやり取りによって前記原動機から出力された動力を増
減して前記駆動軸に伝達可能な動力調整装置と、回転軸
を有する電動機と、前記回転軸と前記出力軸および前記
駆動軸との接続状態を切換える切換機構と、前記切換機
構を制御する切換制御部と、を備える動力出力装置を搭
載したハイブリッド車両であって、前記切換制御部は、
前記ハイブリッド車両の加減速時に所定条件下で、前記
回転軸と前記出力軸および前記駆動軸との接続をともに
切り離すように前記切換機構を制御することを要旨とす
る。
に搭載する電動機は大きい。このため、電動機の慣性も
大きい。通常、ハイブリッド車両では、電動機での回生
負荷を利用することが多い。しかし、急制動時には、回
生で得られた電力の消費または蓄電が追随できず、十分
な回生負荷を加えることができない場合がある。かかる
場合には、電動機はその慣性により、制動の妨げとな
る。また、電動機の慣性は、逆に加速の妨げとなること
もある。本発明では、回転軸と出力軸および駆動軸との
接続状態を切り離すことにより、電動機の慣性の影響を
なくすことができる。この結果、ハイブリッド車両の加
減速の応答性を向上することができる。本発明は、回転
軸と出力軸および駆動軸との接続状態を積極的に切り離
す制御を行うことに意義がある。
所定条件は、該車両の加減速に関与する操作部の操作状
態に基づく条件であるものとすることができる。
操作状態によって判断可能である。従って、操作状態に
基づいて上記制御を実行することによって、運転者の意
図に沿った応答性を実現することができる。なお、車速
など車両の走行状態を考慮して上記制御を実行するよう
にしてもよい。
条件は、アクセル開度、またはそのの増加率が所定値以
上の条件であるものとすることができる。
運転手の加速要求を判定することができる。従って、こ
の値が所定値以上のときに電動機の接続状態を切り離し
て電動機の慣性の影響をなくし、ハイブリッド車両の加
速の応答性を向上することができる。
に、前記動力調整装置および前記電動機との間で充放電
するための蓄電部と、該蓄電部の残容量を検出する残容
量検出手段を備え、前記所定条件は、更に、前記残容量
が所定値以下の条件であるものとしてもよい。
であるときには、運転手の加速要求があっても電動機に
放電することができない場合がある。このような場合
に、本発明によって電動機を駆動軸から切り離す。こう
することによって、蓄電部からの放電を抑制することが
できる。
記所定条件は、ブレーキペダルの踏み込み量、またはそ
の変化率が所定値以上の条件であるものとすることもで
きる。
変化率によって運転手の制動要求を判定することができ
る。従って、この値が所定値以上のときに電動機の接続
状態を切り離して電動機の慣性の影響をなくし、ハイブ
リッド車両の減速の応答性を向上することができる。
に、前記動力調整装置および前記電動機との間で充放電
するための蓄電部と、該蓄電部の残容量を検出する残容
量検出手段を備え、前記所定条件は、更に、前記残容量
が所定値以上の条件であるものとしてもよい。
時)に電動機を発電機として用いることによって電力を
回生する。しかし、蓄電部の残容量が所定値以上である
ときには回生不能である。このような場合に、本発明に
よって電動機を駆動軸から切り離して回生制動を行わな
いようにする。こうすることによって、電動機の慣性の
影響をなくし、ハイブリッド車両の制動距離を短縮する
ことができる。
動力出力装置は、種々の構成を適用可能である。例え
ば、前記動力調整装置は、前記出力軸に結合された第1
のロータと、前記駆動軸に結合された第2のロータとを
有する対ロータ電動機であるものとすることができる。
よって、第1のロータと第2のロータとの電磁的な結合
により一方のロータから他方のロータに動力を伝達する
ことが可能である。また、両者間の相対的な滑りによっ
て動力の一部を電力として回生することも可能である。
上述の対ロータ電動機は、これらの2つの作用によって
動力調整装置として機能することができる。
する発電機と、3つの回転軸を有し、該回転軸が前記出
力軸、駆動軸、およびロータ軸にそれぞれ結合されたプ
ラネタリギヤとを備える装置であるものとしてもよい。
ネタリギヤの一般的な動作に基づいて、出力軸の回転に
よる動力を駆動軸とロータ軸に分配して伝達することが
できる。従って、出力軸に入力された動力の一部を駆動
軸に伝達するとともに、ロータ軸に分配された動力を発
電機によって電力として回生することができる。上述の
装置は、これらの2つの作用によって動力調整装置とし
て機能することができる。
を出力する動力出力装置であって、出力軸を有する原動
機と、前記出力軸および前記駆動軸とに結合され電力の
やり取りによって前記原動機から出力された動力を増減
して前記駆動軸に伝達可能な動力調整装置と、ロータ軸
を有する電動機と、第1回転軸〜第3回転軸を有し、第
3回転軸の結合先を第1回転軸および第2回転軸に切換
可能な切換機構と、前記第1回転軸と前記出力軸との間
で動力を伝達する第1の動力伝達機構と、前記第2回転
軸と前記駆動軸との間で動力を伝達する第2の動力伝達
機構と、前記第3回転軸と前記ロータ軸との間で動力を
伝達する第3の動力伝達機構と、を備え、前記第1〜第
3回転軸は、前記電動機と前記動力調整装置との間隙に
おいて、前記出力軸および前記駆動軸と異なる軸上に配
置されていることを要旨とする。
動機、動力調整装置、電動機および切換機構を備える動
力出力装置は、これらを同軸上に配置して構成してい
た。そのため、軸方向の長さが長くなっていた。そし
て、車両への搭載性の観点から動力出力装置の小型化、
特に軸方向の短縮化の要請があった。
整装置、電動機、切換機構のうち、いずれか一つを他の
2つと異なる軸上に配置することによって、それぞれ可
能である。本発明者は、実現可能な3通りの構成のう
ち、切換機構を異なる軸上に配置することが短縮化に最
も効果的であることを見いだした。本発明の構成によっ
て、動力調整装置と切換機構と電動機とを同軸上に配置
するよりも動力出力装置の軸方向の長さを短縮化するこ
とができ、動力出力装置の小型化を図ることができる。
特に、対ロータ電動機を動力調整機構として利用した場
合、ロータに電力を供給するための機構を軸方向に突出
して設ける必要があり、ここに切換機構を配置すること
によって大きな短縮効果が得られた。この結果、動力出
力装置のハイブリッド車両への搭載性を向上することが
できる。軸方向の短縮は、特に、フロントエンジン・リ
アドライブ方式の車両の場合に有効性が高い。かかる車
両では、動力をプロペラシャフトで後輪に伝達する機構
上、軸方向の長さに対する制約が大きいからである。
記動力調整装置と前記電動機とは異なる軸上に配置され
ていてもよいが、前記動力調整装置と前記電動機とが同
軸上に配置されているものとすることが好ましい。
力装置の径方向の大きさを小さくすることができ、動力
出力装置の小型化を図ることができる。この結果、動力
出力装置のハイブリッド車両への搭載性を向上すること
ができる。
に、前記原動機から前記駆動軸に伝達される動力の回転
方向を正逆切換可能な回転方向切換機構を、前記原動機
と前記動力調整装置との間、または前記動力調整装置と
前記駆動軸との間に備えるようにしてもよい。
または動力調整装置と駆動軸との間に備える」とは、動
力伝達の順番がこのようになることを意味している。こ
うすることによって、ハイブリッド車両は、原動機の出
力によって前進および後退を切換えて走行することがで
きる。もとより、電動機を駆動軸に結合させた状態で
は、電動機の動力を利用して後退することが可能であ
る。上記機構を設けることにより、電動機の動力のみで
は不足する場合に原動機の動力も利用可能となる。
転方向切換機構は、前記切換機構と同軸に配置された回
転軸を備えるようにすることが好ましい。更に、前記回
転方向切換機構は、前記切換機構の回転軸と前記出力軸
とから定まる平面と異なる平面上に配置された逆転用回
転軸を備えるようにすることが好ましい。
向切換機構とを一体的に形成することが可能となる。ま
た、動力出力装置をコンパクトなまとまりのある構造に
することができる。
トルクに制限がある。ハイブリッド車両において高トル
ク域、高回転数域をそれぞれ拡張しようとすれば、電動
機の運転可能範囲を拡張する必要が生じ、電動機の大型
化ひいては動力出力装置の大型化という別の課題を招
く。かかる課題を解決するため、例えば、本発明の動力
出力装置において、更に、前記電動機から前記駆動軸に
伝達される動力の変速比を変更可能な変速機構を、前記
動力調整装置と前記駆動軸との間に備えるようにしても
よい。
備える」とは、動力伝達の順番がこのようになることを
意味している。こうすることによって、各軸の回転数を
調整し、動力出力装置をより効率よく運転することがで
き、ハイブリッド車両の運転効率を向上することができ
る。また、動力出力装置を効率よく運転することができ
るので、電動機の大型化を抑制し、動力出力装置の大型
化を抑制することができる。
速機構は、前記切換機構と同軸に配置された回転軸を備
えるようにすることが好ましい。
構とを一体的に形成することが可能となる。また、動力
出力装置をコンパクトなまとまりのある構造にすること
ができる。
記出力軸に直交する平面に対する前記切換機構の投影図
と、前記原動機の投影図との重なり部分の面積が極大と
なる位置に該切換機構が配置されているものとすること
ができる。
と比較して大きい。本発明のように配置することによっ
て動力調整装置と電動機との間のデットスペースを活用
することができ、切換機構の少なくとも一部がこれらに
隠れるようにすることができる。この結果、動力出力装
置を小型化することができ、動力出力装置のハイブリッ
ド車両への搭載性を向上することができる。
動力出力装置としての構成の他、ハイブリッド車両およ
び動力出力装置の制御方法の発明として構成することも
できる。この動力出力装置を船舶、航空機等の交通手段
や、その他各種産業機械等に搭載することも可能であ
る。
て、実施例に基づき以下の順で説明する。 A.装置構成: B.切換機構: C.一般動作: D.運転制御処理: E.結合状態切換制御: F.切換機構の第2実施例: G.切換機構の第3実施例: H.変形例:
の概略構成を示す説明図である。このハイブリッド車両
の動力系統は、エンジン150、クラッチモータ13
0、アシストモータ140を主として構成されており、
この順に配置されている。アシストモータ140は、そ
の結合先を切換機構200によってエンジン150側と
クラッチモータ130側に切換えることができる。な
お、切換機構200は、図示しない切換機構用アクチュ
エータを備えている。以下、各要素の構成について順に
説明する。
である。エンジン150の運転は、エンジンECU(E
/ECU)170により制御されている。エンジンEC
U170は、内部にCPU、ROM、RAM等を有する
ワンチップ・マイクロコンピュータであり、ROMに記
録されたプログラムに従いCPUがエンジン150の燃
料噴射など制御を行う。これらの制御を可能とするため
に、エンジンECU170にはエンジン150の運転状
態を示す種々のセンサが接続されている。例えば、クラ
ンクシャフトの回転数を検出するための回転数センサが
接続されている。その1つとしてクランクシャフト15
6の回転数を検出する回転数センサ152がある。その
他のセンサおよびスイッチの図示は省略した。エンジン
ECU170は、制御ユニット190とも電気的に接続
されており、制御ユニット190との間で種々の情報
を、通信によってやりとりしている。制御ユニット19
0もエンジンECU170と同様、内部にCPU、RO
M、RAM等を有するワンチップ・マイクロコンピュー
タであり、ROMに記録されたプログラムに従い、CP
Uが後述する種々の制御処理を行うよう構成されてい
る。制御ユニット190には、アクセルペダル92の操
作量を検出するアクセルペダルポジションセンサ92a
や、ブレーキペダル94の操作量を検出するブレーキペ
ダルポジションセンサ94aや、シフトレバー96の位
置を検出するシフトポジションセンサ96aや、車軸1
16の回転数を検出する回転数センサ117や、アシス
トモータ140の回転数を検出する回転数センサ等が接
続されている。アクセルペダル92とブレーキペダル9
4は、加減速用操作部として機能する。また、バッテリ
194の残容量を検出するための残容量検出器196も
接続されている。エンジンECU170は、制御ユニッ
ト190からエンジン150の運転状態に関する種々の
指令値を受けてエンジン150を制御している。
は、ダンパ157を介してクラッチモータ130のアウ
タロータ134に結合されている。クラッチモータ13
0は、インナロータ軸133に結合されたインナロータ
132とクランクシャフト156に結合されたアウタロ
ータ134を備え、両者が相対的に回転可能な対ロータ
電動機である。インナロータ132は、インナロータ軸
133、駆動軸135、ディファレンシャルギヤ114
を介して、駆動輪116R,116Lを備えた車軸11
6に結合されている。クラッチモータ130は、電力の
供給を受けてインナロータ132、アウタロータ134
の両者が相対的に回転駆動する電動機として動作し、両
者が外力によって回転させられる場合には発電機として
も動作する。なお、クラッチモータ130は、インナロ
ータ132とアウタロータ134との間の磁束密度が円
周方向に正弦分布する正弦波着磁モータを適用すること
も可能であるが、本実施例では、比較的大きなトルクを
出力可能な非正弦波着磁モータを採用した。
32とアウタロータ134の双方が回転可能であるた
め、インナロータ軸133およびクランクシャフト15
6の一方から入力された動力を他方に伝達することがで
きる。クラッチモータ130を力行運転すれば、他方の
軸には動力を増大して伝達することができるし、回生運
転すれば、動力の一部を電力の形で取り出しつつ残余の
動力を伝達することができる。力行運転も回生運転も行
わなければ、動力が伝達されない状態となる。この状態
は機械的なクラッチを解放にした状態に相当する。
よび駆動回路191を介してバッテリ194に電気的に
接続されている。給電装置138は、スリップリングと
ブラシとから構成されている。駆動回路191は、内部
にスイッチング素子としてのトランジスタを複数備えた
トランジスタインバータであり、制御ユニット190と
電気的に接続されている。制御ユニット190が駆動回
路191のトランジスタのオン・オフの時間をPWM制
御するとバッテリ194を電源とする三相交流が給電装
置138を介してアウタロータ134に流れ、クラッチ
モータ130は回転する。
130と同様に同期電動発電機として構成され、外周面
に複数個の永久磁石を有するロータ142と、回転磁界
を形成する三相コイルが巻回されたステータ144とを
備える。アシストモータ140は駆動回路192を介し
てバッテリ194に接続されている。駆動回路192も
トランジスタインバータで構成されている。制御ユニッ
ト190が駆動回路192のトランジスタをスイッチン
グすることによりステータ144に回転磁界を生じアシ
ストモータ140が回転する。本実施例では、アシスト
モータ140として非正弦波着磁モータを適用した。
30は、それぞれ動力伝達機構としてのギヤG1,G
2,G3を介して、これらとは異なる軸上に配置された
切換機構200に結合されている。ギヤG1は、クラッ
チモータ130のアウタロータ134の中空の回転軸と
一体的に回転するように設けられている。ギヤG2は、
駆動軸135と一体的に回転するように設けられてい
る。ギヤG3は、アシストモータ140のロータ142
の中空の回転軸と一体的に回転するように設けられてい
る。切換機構200の詳細については後述する。動力系
統について、エンジン側を上流、車軸116側を下流と
呼ぶものとすると、ギヤG3の結合先を制御ユニット1
90からの信号によってギヤG1またはギヤG2に切り
換えることにより、アシストモータ140の結合先をク
ラッチモータ130の上流側と下流側とに切り換えるこ
とができる。切換機構200の動作は、制御ユニット1
90によって制御される。
から見た概略外観図である。図2において、上がエンジ
ン150のシリンダ側であり、下がクランクケース側で
ある。図1および図2に示すように、切換機構200
は、クラッチモータ130とアシストモータ140との
間の空隙に配置されており、駆動軸135方向から見た
径方向の大きさがエンジン150の輪郭からはみ出さな
いように配置されている。そして、駆動軸135やクラ
ンクシャフト156よりも下側でクランクケースに陰が
重なるように設置されている。これは、一般にエンジン
150のクランクケース側の方が径方向の大きさが大き
いため、切換機構200をエンジン150の陰に隠しや
すいためである。これらの配置は、給電装置138や切
換機構用アクチュエータの配置も考慮してコンパクトに
設計されている。なお、図中の一点鎖線で示したリバー
スアイドルギヤは、本実施例では備えられておらず、第
2実施例で備えられる機構である。本実施例と第2実施
例の配置は、ほとんど共通するため、図2に併せて示し
た。
明図である。クランクシャフト156と、クラッチモー
タ130のインナロータ軸133と、駆動軸135は、
同軸上に配置されている。クラッチモータ130のアウ
タロータ134には、その中空の回転軸と一体的に回転
するギヤg1が設けられている。駆動軸135には、そ
の回転と一体的に回転するギヤg6が設けられている。
アシストモータ140のロータ142には、その中空の
回転軸と一体的に回転するギヤg8が設けられている。
更に、これらの軸と平行な位置に軸AXが設けられてお
り、この軸AXには、軸AXを回転軸の中心とするギヤ
g2、ギヤg3、ハブギヤgh1、ギヤg4、ギヤg
5、ギヤg7が上流からこの順で配置されている。ギヤ
g1とギヤg2、ギヤg5とギヤg6、ギヤg7とギヤ
g8は、常時かみ合っている。ギヤg2とギヤg3、ギ
ヤg4とギヤg5は、それぞれ同一の中空の回転軸を有
しており、一体的に回転する。また、ハブギヤgh1と
ギヤg7と軸AXも一体的に回転する。なお、これらの
ギヤ比は任意に設定可能である。ギヤg1、ギヤg6、
ギヤg8は、動力伝達機構として機能する。
シュ機構を備えている。シンクロメッシュ機構のシフト
フォークsf1を切換機構用アクチュエータによってス
ライドさせることにより、ギヤg3とハブギヤgh1、
ハブギヤgh1とギヤg4の結合状態を切り換えること
ができる。
合している状態を示している。このとき、アシストモー
タ140の動力は、ギヤg8、ギヤg7、軸AX、ハブ
ギヤgh1、ギヤg4、ギヤg5、ギヤg6、駆動軸1
35の順に伝達される。従って、アシストモータ140
が駆動軸135に結合されたのと同等の構成となり、ア
ンダードライブ結合となる。
合している状態を示している。このとき、アシストモー
タ140の動力は、ギヤg8、ギヤg7、軸AX、ハブ
ギヤgh1、ギヤg3、ギヤg2、ギヤg1、クランク
シャフト156の順に伝達される。従って、アシストモ
ータ140がクランクシャフト156に結合されたのと
同等の構成となり、オーバードライブ結合となる。
フト156および駆動軸135と異なる軸上に配置し、
クラッチモータ130とアシストモータ140との間の
空隙を有効活用することによって、動力出力装置の軸方
向のサイズを小型化することができる。この結果、ハイ
ブリッド車両への搭載性を向上することができる。な
お、本実施例では、切換機構200とクランクシャフト
156および駆動軸135との間の動力伝達をギヤによ
って行う場合を例示したが、ベルト、チェーン等を用い
て伝達してもよい。
の切り換えを含め、本実施例のハイブリッド車両の運転
状態は、制御ユニット190により制御されている。本
実施例のハイブリッド車両の一般的動作として、エンジ
ン150から出力された動力を要求された回転数および
トルクに変換して車軸116に出力する動作について説
明する。以下では、説明の容易のため、ディファレンシ
ャルギヤ114のギヤ比は値1であるものとして説明す
る。つまり、車軸116の回転数およびトルクと駆動軸
135の回転数およびトルクは等しいものとする。
ン150の回転数Neと車軸116の回転数Ndとの大
小関係、およびアシストモータ140の結合状態に応じ
て、上記変換の経路が異なる。以下、それぞれの場合に
ついて個別に説明する。
する。図5は、アンダードライブ結合について、「車軸
116の回転数Nd<エンジン150の回転数Ne」の
場合におけるトルク変換の様子を示す説明図である。横
軸に回転数N、縦軸にトルクTを採り、エンジン150
の運転ポイントPeと車軸116の回転ポイントPdを
示した。図5中の曲線Pは動力、つまり回転数とトルク
の積が一定の曲線である。回転数Ne、トルクTeでエ
ンジン150から出力された動力Peを、Neよりも低
い回転数Nd、Teよりも高いトルクTdの動力Pdに
変換して車軸116から出力する場合を考える。
の回転数Ndは、エンジン150の回転数Neよりも小
さいから、クラッチモータ130は、相対的に逆転する
ことになり、クラッチモータ130は、エンジン150
から出力された動力の一部を車軸116に伝達しつつ、
残りを電力として回生する状態で運転される。このと
き、回生される電力は、クラッチモータ130の動力、
即ち領域GU1の面積に等しい。一方、車軸116のト
ルクTdは、エンジン150のトルクTeよりも大き
い。従って、アシストモータ140は、正のトルク、正
の回転数で運転される。つまり、アシストモータ140
は、電力の供給を受け力行される。このとき供給される
電力は、アシストモータ140が出力する動力、即ち領
域AU1の面積に等しい。
れば、クラッチモータ130で回生される電力とアシス
トモータ140に供給される電力とは等しくなる。つま
り、クラッチモータ130で領域GU1に相当する分の
エネルギを電力の形で取り出し、領域AU1に相当する
分のエネルギとして供給することによりエンジン150
の運転ポイントPeで表される動力を、ポイントPdの
状態に変換する。実際には運転効率が100%になるこ
とはないため、バッテリ194からの電力の持ち出しを
伴ったり、損失に相当する動力をエンジン150から余
分に出力したりして、上記変換を実現する。説明の容易
のため、以下では、運転効率を100%として本実施例
の動作について説明する。
「車軸116の回転数Nd>エンジン150の回転数N
e」の場合におけるトルク変換の様子を示す説明図であ
る。図6に示した変換を行う場合、クラッチモータ13
0は、電力の供給を受けて力行される。供給される電力
は、領域「GU2+GU3」の面積に等しい。一方、車
軸116のトルクTdは、エンジン150のトルクTe
よりも小さい。従って、アシストモータ140は回生運
転される。このとき回生される電力は領域「AU2+G
U3」の面積に等しい。両モータでの運転効率を100
%と仮定すれば、クラッチモータ130で回生される電
力とアシストモータ140に供給される電力とが等しく
なる。かかる変換では、下流側に位置するアシストモー
タ140から上流側に位置するクラッチモータ130に
電力が供給されるため、動力の循環が生じる。図6中の
領域GU3が循環する動力に相当する。
換を実現するための、アシストモータ140およびクラ
ッチモータ130の運転ポイントは、それぞれ次式
(1)の通りとなる。 クラッチモータ130の回転数Nc=Nd−Ne; トルクTc=Te; アシストモータ140の回転数Na=Nd; トルクTa=Td−Te; ・・・(1)
「車軸116の回転数Nd<エンジン150の回転数N
e」の場合におけるトルク変換の様子を示す説明図であ
る。図7に示した変換を行う場合、車軸116のトルク
Tdは、エンジン150のトルクTeよりも大きい。従
って、アシストモータ140は、領域「AO1+AO
2」の面積に等しい電力の供給を受けて力行される。一
方、車軸116の回転数Ndは、エンジン150の回転
数Neよりも小さいため、クラッチモータ130は回生
運転となる。回生される電力は、領域「AO2+GO
1」の面積に等しい。クラッチモータ130で回生され
た電力は、アシストモータ140の力行に供給される。
回生された電力と供給される電力とは等しい。かかる変
換では、下流側に位置するクラッチモータ130から上
流側に位置するアシストモータ140に電力が供給され
るため、動力の循環が生じる。図7中の領域AO2が循
環する動力に相当する。
「車軸116の回転数Nd>エンジン150の回転数N
e」の場合におけるトルク変換の様子を示す説明図であ
る。図14に示した変換を行う場合、車軸116のトル
クTdはエンジン150のトルクTeよりも小さい。従
って、アシストモータ140は回生運転され、領域「A
O3」の面積に等しい電力を回収する。一方、車軸11
6の回転数Ndはエンジン150の回転数Neよりも大
きいため、クラッチモータ130は領域「GO2」の面
積に等しい電力の供給を受けて力行運転する。回生され
た電力と供給される電力とは等しい。かかる変換では、
上流側に位置するアシストモータ140から下流側に位
置するクラッチモータ130に電力が供給されるため、
動力の循環は生じない。
換を実現するための、アシストモータ140およびクラ
ッチモータ130の運転ポイントは、次式(2)の通り
となる。 クラッチモータ130の回転数Nc=Nd−Ne; トルクTc=Td; アシストモータ140の回転数Na=Ne; トルクTa=Td−Te; ・・・(2)
ッド車両は、アシストモータ140の結合状態、および
車軸116の回転数Ndとエンジン150の回転数Ne
との大小関係に応じて、エンジン150から出力された
動力を要求された回転数およびトルクからなる動力に変
換して、車軸116から出力することができる(以下、
この運転モードを通常走行と呼ぶ)。この他、エンジン
150を停止してアシストモータ140を動力源として
走行することも可能である(以下、この運転モードをE
V走行とよぶ)。EV走行はアンダードライブ結合で行
われる。また、停車中にエンジン150の動力でアシス
トモータ140を回生運転して発電することも可能であ
る。この発電はオーバードライブ結合で行われる。
回転数Nd>エンジン150の回転数Ne」の走行時に
オーバードライブ結合を採り、「回転数Nd<回転数N
e」の走行時にアンダードライブ結合を採れば、動力の
循環を回避でき運転効率を向上することができる。本実
施例のハイブリッド車両は、運転効率を向上するため、
回転数Nd,Neの大小関係に応じてアシストモータ1
40の結合状態を制御する。
ける各種走行モードの使い分けの様子を示す説明図であ
る。図中の曲線LIMはハイブリッド車両が走行可能な
領域を示している。図示する通り、車速およびトルクが
比較的低い領域では、EV走行を行う。車速およびトル
クが所定値以上の領域では、通常走行を行う。図中の曲
線Aはエンジン150の回転数Neと車軸116の回転
数Ndが等しくなる境界を示している。かかる曲線Aよ
りもトルクが低い側の領域では、原則としてオーバード
ライブ結合により走行し、高い側の領域では、アンダー
ドライブ結合または中立状態により走行する。例えば、
図9中の曲線DDに沿って車両の走行状態が変化してい
く場合には、当初EV走行を行った後、オーバードライ
ブ結合による走行に移行することになる。
ドライブ結合は、比較的高トルクが要求される領域で用
いられる。従って、本実施例のハイブリッド車両は、運
転効率に基づく上述の制御と併せて、アクセルが急激に
踏み込まれた場合などの加速時にアンダードライブ結合
に切り換え、高い応答性と滑らかな加速感の実現を図っ
ている。こうしたアシストモータ140の切り換えの制
御については、後に詳述する。
V走行、通常走行など種々の運転モードにより走行する
ことができる。制御ユニット190内のCPU(以下、
単に「CPU」という)は、車両の走行状態に応じて運
転モードを判定し、それぞれのモードについてエンジン
150、クラッチモータ130、アシストモータ140
等の制御を実行する。これらの制御は種々の制御処理ル
ーチンを周期的に実行することにより行われる。以下で
は、これらの運転モードのうち、通常走行モードについ
てトルク制御処理の内容を説明する。
ンのフローチャートである。この処理が開始されると、
CPUは駆動軸135から出力すべきエネルギPdを設
定する(ステップS10)。この動力は、アクセルペダ
ルポジションセンサ92aにより検出されたアクセルペ
ダル92の踏み込み量、即ち、アクセル開度および車速
に基づいて設定される。駆動軸から出力すべきエネルギ
Pdは、車軸116の回転数Nd*と目標トルクTd*
の積で表される。目標トルクTd*は、アクセル開度お
よび車速に応じたテーブルとして予め設定されている。
ルギPhを算出する(ステップS15,S20)。充放
電電力Pbとは、バッテリ194の充放電に要するエネ
ルギであり、バッテリ194を充電する必要がある場合
には正の値、放電する必要がある場合には負の値を採
る。補機駆動エネルギPhとは、エアコンなどの補機を
駆動するために必要となる電力である。こうして算出さ
れた電力の総和が要求動力Peとなる(ステップS2
5)。
当たりのエネルギ収支を考慮してエンジン150等の制
御を実行する。従って、本明細書でエネルギという場合
は、全て単位時間当たりのエネルギを意味するものとす
る。この意味で、本明細書においては、機械的なエネル
ギは動力と同義であり、電気的なエネルギは電力と同義
である。
動力Peに基づいてエンジン150の運転ポイントを設
定する(ステップS30)。運転ポイントとは、エンジ
ン150の目標回転数Neと目標トルクTeの組み合わ
せをいう。エンジン150の運転ポイントは、予め定め
たマップに従って、基本的にはエンジン150の運転効
率を優先して設定する。
効率との関係について示す説明図である。回転数Neを
横軸に、トルクTeを縦軸にとりエンジン150の運転
状態を示している。図中の曲線Bはエンジン150の運
転が可能な限界範囲を示している。曲線α1からα6ま
ではエンジン150の運転効率が一定となる運転ポイン
トを示している。α1からα6の順に運転効率は低くな
っていく。また、曲線C1からC3は、それぞれエンジ
ン150から出力される動力(回転数×トルク)が一定
となるラインを示している。
よびトルクに応じて、運転効率が大きく相違する。エン
ジン150から曲線C1に相当する動力を出力する場合
には、図中のA1点に相当する運転ポイント(回転数お
よびトルク)が最も高効率となる。同様に曲線C2およ
びC3に相当する動力を出力する場合には、図中のA2
点およびA3点で運転する場合が最も高効率となる。出
力すべき動力ごとに最も運転効率が高くなる運転ポイン
トを選択すると、図中の曲線Aが得られる。これを動作
曲線と呼ぶ。なお、この曲線Aは、先に図14に示した
曲線Aと同じである。
ントの設定では、予め実験的に求められた動作曲線Aを
制御ユニット190内のROMにマップとして記憶して
おき、かかるマップから要求動力Peに応じた運転ポイ
ントを読み込むことで、エンジン150の目標回転数N
eおよび目標トルクTeを設定する。こうすることによ
り、エンジン150について効率の高い運転ポイントを
設定することができる。
ポイントに応じて、CPUは結合状態切換制御処理を行
う(ステップS100)。この処理は、ハイブリッド車
両の走行状態に応じてアンダードライブ結合とオーバー
ドライブ結合とを切り換える処理である。処理内容の詳
細は後述する。この処理を実行することにより、アシス
トモータ140はアンダードライブ結合またはオーバー
ドライブ結合のいずれかの結合状態を採る。
アシストモータ140のトルクおよび回転数の指令値を
設定する(ステップS200)。アンダードライブ結合
時には、先に示した式(1)において、車軸の回転数N
d、トルクTdにそれぞれ目標回転数Nd*、Td*を
代入し、エンジンの回転数Ne、トルクTeにステップ
S30で設定した目標回転数Ne*、目標トルクTe*
を代入して設定される。オーバードライブ結合の場合に
は、先に示した式(2)において、それぞれ上記諸量を
代入することにより設定される。
転数指令値に基づいて、CPUはクラッチモータ13
0、アシストモータ140、エンジン150の運転を制
御する(ステップS205)。モータの運転制御処理
は、同期モータの制御として周知の処理を適用すること
ができる。本実施例では、いわゆる比例積分制御による
制御を実行している。つまり、各モータの現在のトルク
を検出し、目標トルクとの偏差および目標回転数に基づ
いて、各相に印加する電圧指令値を設定する。印加され
る電圧値は上記偏差の比例項、積分項、累積項によって
設定される。それぞれの項にかかる比例係数は実験など
により適切な値が設定される。こうして設定された電圧
は、駆動回路191,192を構成するトランジスタイ
ンバータのスイッチングのデューティに置換され、いわ
ゆるPWM制御により各モータに印加される。
チングを制御することによって、上述の通り、クラッチ
モータ130およびアシストモータ140の運転を直接
制御する。これに対し、エンジン150の運転は現実に
はエンジンECU170が実施する処理である。従っ
て、制御ユニット190のCPUはエンジンECU17
0に対してエンジン150の運転ポイントの情報を出力
することで、間接的にエンジン150の運転を制御す
る。以上の処理を周期的に実行することにより、本実施
例のハイブリッド車両は、エンジン150から出力され
た動力を所望の回転数およびトルクに変換して駆動軸か
ら出力し、走行することができる。
である。本ルーチンが開始されると、CPUは運転状態
を表すパラメータを入力する(ステップS102)。パ
ラメータとしては、車軸116の目標回転数Nd*、目
標トルクTd*、アクセル開度、ブレーキペダル94の
踏み込み量およびバッテリ194の残容量SOCなどが
挙げられる。次に、これらのパラメータに基づいて結合
状態の切換モードの判定を行う(ステップS104)。
る。「切換モード1」は、結合状態をオーバードライブ
結合またはアンダードライブ結合の状態からニュートラ
ルの状態にする(ニュートラル処理を行う)モードであ
る。ここでニュートラルの状態とは、アンダードライブ
結合にもオーバードライブ結合にもなっていない、即
ち、ハブギヤgh1がギヤg3にもギヤg4にも結合さ
れていない状態である(図3参照)。
急加速を要求した場合を考える。アクセルペダルポジシ
ョンセンサ92aが検出したアクセルペダルポジション
APが所定値Athを超えた場合である。本実施例のハ
イブリッド車両の場合、出力可能な最大トルクはアンダ
ードライブ結合の方が大きくなり、アンダードライブ結
合の方が急加速に適しているという特性がある。オーバ
ードライブ結合の場合は、エンジン150、アシストモ
ータ140、クラッチモータ130の順に動力が伝達さ
れる。かかる構成の最大トルクはクラッチモータ130
が伝達可能なトルクの最大値で制限される。これに対
し、アンダードライブ結合の場合は、エンジン150、
クラッチモータ130、アシストモータ140の順に動
力が伝達される。この場合は、クラッチモータ130が
伝達可能な最大トルクに対し、さらにアシストモータ1
40でトルクを付加することが可能となる。こうした種
々の理由により、急加速をする場合には、アンダードラ
イブ結合の方が適している。しかし、アシストモータ1
40の回転数を上昇させる過渡期においては、アシスト
モータ140の慣性が妨げとなる。この場合に、アシス
トモータ140の結合を切り離し、アシストモータ14
0の慣性の影響をなくし、アシストモータ140を単独
で運転することによって回転数を上昇させたのちアンダ
ードライブ結合にすることが有効である。このようにす
ることによって、加速時の応答性を向上することができ
る。なお、所定値Athは車速に応じて変更してもよ
い。車速とアクセル開度に応じて運転手の加速要求の程
度が異なるからである。
>0)、バッテリ194の残容量SOCが所定値SLよ
りも低い場合には放電することはできない。この場合に
もアシストモータ140の結合状態を切り離すことによ
ってバッテリ194の放電を抑制することができる。同
様に、急加速時(AP>Ath)にもバッテリ194の
残容量SOCを併せて考慮してもよい。
込んで急制動を要求した場合を考える。ブレーキペダル
ポジションセンサ94aが検出したブレーキペダルポジ
ションBPが所定値Bthを超えた場合である。急制動
時には、アシストモータ140の慣性が制動の妨げとな
る。この場合に、アシストモータ140の結合を切り離
すことによってアシストモータ140の慣性の影響をな
くし、制動距離を短縮する、換言すれば、減速時の応答
性を向上することができる。なお、所定値Bthは車速
に応じて変更される値である。車速とブレーキペダル9
4の踏み込み量に応じて運転手の制動要求の程度が異な
るからである。
>0)、バッテリ194の残容量SOCが所定値SHよ
りも高い場合には回生制動することができない。この場
合にもアシストモータ140の結合状態を切り離すこと
によってバッテリ194への過充電を抑制することがで
きる。同様に、急制動時(BP>Bth)にもバッテリ
194の残容量SOCを併せて考慮してもよい。
ラルまたはオーバードライブ結合からアンダードライブ
結合にする(アンダードライブ処理を行う)モードであ
る。例えば、オーバードライブ結合で通常走行中に運転
者がアクセルペダル92を踏み込むと、車両の出力トル
クは増加し、車両は加速する。このとき、図9に示した
境界線A付近を境に切り換えを行う。こうすることによ
って、運転効率を向上することができる。なお、切り換
えを行うポイントは、乗り心地の低下を考慮して任意に
設定可能である。
ラルまたはアンダードライブ結合からオーバードライブ
結合にする(オーバードライブ処理を行う)モードであ
る。例えば、アンダードライブ結合で車両を加速して運
転者が要求する車速が得られた時点でアクセルペダル9
2の踏み込みを緩めると、車両の出力トルクは減少す
る。このとき、図9に示した境界線A付近を境に切り換
えを行う。こうすることによって、運転効率を向上する
ことができる。なお、切り換えを行うポイントは、乗り
心地の低下を考慮して任意に設定可能である。
条件を満たさない場合に選択される切換不要のモードで
ある。
定は主としてアクセル開度とブレーキペダル94の踏み
込み量に応じて行っているが、アクセル開度の増加率や
ブレーキペダル94の踏み込み量の変化率に応じて行う
ことも可能である。
(ステップS106)。即ち、「切換モード1」のとき
は、ニュートラル処理を行う(ステップS110)。
「切換モード2」のときには、アンダードライブ(U
D)結合処理を行う(ステップS130)。「切換モー
ド3」のときには、オーバードライブ(OD)結合処理
を行う(ステップS150)。「切換モード4」のとき
には、何も行わない。これらの処理が終了すると結合状
態切換制御ルーチンを終了する。
いて説明する。ニュートラル処理は、上述したように、
結合状態をオーバードライブ結合またはアンダードライ
ブ結合の状態からどちらにもなっていないニュートラル
の状態にする、即ち、アシストモータ140の結合を切
り離す処理である。
る。図13は、アンダードライブ結合処理ルーチンのフ
ローチャートである。CPUは、切り換えが可能である
か否かの判断基準として「駆動軸135の回転数Nd−
アシストモータ140の回転数Ne」で与えられる回転
数差ΔNを算出する(ステップS132)。
に、アシストモータ140のトルクを制御する(ステッ
プS134)。本実施例では、ΔNに基づく比例積分制
御を適用した。オーバードライブ結合は、「エンジン1
50の回転数Ne<駆動軸135の回転数Nd」の状態
で走行しているから、回転数差ΔN>0である。切り換
え時にはエンジン150の回転数Neを駆動軸の回転数
Nd相当にまで上昇させる必要がある。アシストモータ
140はエンジン150に結合されているため、回転数
差ΔNに応じた正のトルクを出力し、エンジン150の
回転数を上昇させる。この正のトルクを回転数差ΔNの
比例項、積分項に所定のゲインを乗じて設定する。もち
ろん、アシストモータ140のトルクはこれに限らず種
々の方法によって設定することができる。
後、CPUは結合状態の切り換えを行ってもよいか否か
を判定する(ステップS136)。この判定は、回転数
差ΔNが所定値NT未満であるか否かによって行われ
る。所定値NTは、切り換え可能な許容回転数差であ
り、各ギヤの回転数に応じて設定される。回転数差ΔN
が所定値NT未満である場合には、回転数差が許容範囲
に入ったと判断される。回転数差ΔNが所定値NT以上
である場合には、切り換えが許容されないと判断し、回
転数差を縮めるための制御(ステップS132〜S13
4)を繰り返し実行する。
現在の結合状態がニュートラルの状態か否かを判断する
(ステップS138)ニュートラルの状態であれば、そ
のままアンダードライブ結合とし(ステップS14
2)、ニュートラルの状態でなければ、オーバードライ
ブ結合を解除してから(ステップS140)アンダード
ライブ結合にする(ステップS142)。
オーバードライブ結合処理もアンダードライブ結合処理
とほぼ同様に行うことができる。即ち、オーバードライ
ブ結合処理では、アンダードライブ結合処理ルーチンの
ステップS132において回転数差ΔNを「駆動軸13
5の回転数Nd−アシストモータ140の回転数Na」
とする代わりに、「エンジン150の回転数Ne−アシ
ストモータ140の回転数Na」とする。また、ステッ
プS140およびステップS142においてオーバード
ライブを解除した後にアンダードライブ結合にする代わ
りに、アンダードライブ結合を解除した後にオーバード
ライブ結合にする。この他はアンダードライブ結合処理
と同じである。
イブ結合とオーバードライイブ結合とを切り換えること
によって、運転効率を向上させることができる。そし
て、急制動時や急加速時には、積極的にニュートラルの
状態を利用することによってアシストモータ140の慣
性の影響をなくすことができるので、加減速の応答性を
向上することができる。また。バッテリ194の過充電
および過放電を抑制し、バッテリ194の劣化を防止す
ることもできる。
の構成を示す説明図である。クラッチモータ130のア
ウタロータ134には、その中空の回転軸と一体的に回
転するギヤg1aが設けられている。クラッチモータ1
30のインナロータ軸133には、その回転と一体的に
回転するギヤg6aとギヤg11aが設けられている。
駆動軸135には、その回転と一体的に回転するギヤg
13aが設けられている。アシストモータ140のロー
タ142には、その中空の回転軸と一体的に回転するギ
ヤg15aが設けられている。更に、これらの軸と平行
な位置に軸AXaが設けられており、この軸AXaに
は、軸AXaを回転軸の中心とするギヤg2a、ギヤg
3a、ハブギヤgh1a、ギヤg4a、ギヤg5a、ギ
ヤg7a、ハブギヤgh2a、ギヤg8a、ギヤg9
a、ギヤg12a、ギヤg14aが上流からこの順で配
置されている。また、ギヤg9aとギヤg11aとの間
には、駆動軸135の回転方向を反転させるためのリバ
ースアイドルギヤg10aが設けられている。リバース
アイドルギヤg10aは、図2に示すように、切換機構
の回転軸AXaおよびクランクシャフト156を含む平
面から外れた位置に支持されている。かかる配置によ
り、切換機構とクランクシャフト156との間隔を抑制
でき、動力出力装置の小型化を図ることができる。ギヤ
g1aとギヤg2a、ギヤg5aとギヤg6a、ギヤg
9aとリバースアイドルギヤg10a、リバースアイド
ルギヤg10aとギヤg11a、ギヤg12aとギヤg
13a、ギヤg14aとギヤg15aは、常時かみ合っ
ている。ギヤg2aとギヤg3a、ギヤg5aとギヤg
7a、ギヤg8aとギヤg9a、ギヤg4aとハブギヤ
gh2aとギヤg12aは、それぞれ同一の中空の回転
軸を有しており、一体的に回転する。また、ハブギヤg
h1aとギヤg14aと軸AXaも一体的に回転する。
なお、これらのギヤ比も任意に設定可能である。ギヤg
1a、ギヤg6a、ギヤg11a、ギヤg13a、ギヤ
g15aは、動力伝達機構として機能する。
を備えている。図2および図3で説明したの同様に、シ
フトフォークsf1aを切換機構用アクチュエータによ
ってスライドさせることにより、オーバードライブ結合
とアンダードライブ結合とを切り換えることができる。
また、シフトフォークsf2aをスライドさせることに
より、ギヤg7aとハブギヤgh2a、ハブギヤgh2
aとギヤg8aの結合状態を切り換えることができる。
結合になっており、ハブギヤgh2aとギヤg8aとが
結合しているとき、クラッチモータ130のインナロー
タ軸133の動力は、ギヤg11a、リバースアイドル
ギヤg10a、ギヤg9a、ギヤg8a、ハブギヤgh
2a、ギヤg12a、ギヤg13a、駆動軸135の順
に伝達される。また、この結合状態のときには、アシス
トモータ140の回転方向を電気的に前進時とは反転さ
せており、アシストモータ140の動力は、ギヤg15
a、ギヤg14a、軸AXa、ハブギヤgh1a、ギヤ
g4a、ギヤg12a、ギヤg13a、駆動軸135の
順に伝達される。こうしてハイブリッド車両はアシスト
モータ140の動力とエンジン150の動力を用いて後
退する。一方、ハブギヤgh2とギヤg7aとが結合し
ているときには、クラッチモータ130のインナロータ
軸133の動力は、ギヤg6a、ギヤg5a、ギヤg7
a、ハブギヤgh2a、ギヤg12a、ギヤg13a、
駆動軸135の順に伝達され、ハイブリッド車両は前進
する。
ータ140のみの動力で後退していた。本実施例のハイ
ブリッド車両は、切換機構を上記の構成にすることによ
って、アシストモータ140とエンジン150の動力を
用いて前進と後退をすることが可能となる。この結果、
後退時のアシストモータ140の消費電力を低減するこ
とができる。また、アシストモータ140の定格以上の
後退トルクが出力可能となる。
示す説明図である。クラッチモータ130のアウタロー
タ134には、その中空の回転軸と一体的に回転するギ
ヤg1bが設けられている。クラッチモータ130のイ
ンナロータ軸133には、その回転と一体的に回転する
ギヤg6bとギヤg10bが設けられている。なお、ギ
ヤg6bとギヤg10bは、大きさと歯数が異なる。駆
動軸135には、その回転と一体的に回転するギヤg1
2bが設けられている。アシストモータ140のロータ
142には、その中空の回転軸と一体的に回転するギヤ
g14bが設けられている。更に、これらの軸と平行な
位置に軸AXbが設けられており、この軸AXbには、
軸AXbを回転軸の中心とするギヤg2b、ギヤg3
b、ハブギヤgh1b、ギヤg4b、ギヤg5b、ギヤ
g7b、ハブギヤgh3b、ギヤg8b、ギヤg9b、
ギヤg11b、ギヤg13bが上流からこの順で配置さ
れている。ギヤg1bとギヤg2b、ギヤg5bとギヤ
g6b、ギヤg9bとギヤg10b、ギヤg11bとギ
ヤg12b、ギヤg13bとギヤg14bは、常時かみ
合っている。ギヤg2bとギヤg3b、ギヤg5bとギ
ヤg7b、ギヤg8bとギヤg9b、ギヤg4bとハブ
ギヤgh3bとギヤg11bは、それぞれ同一の中空の
回転軸を有しており、一体的に回転する。また、ハブギ
ヤgh1bとギヤg13bと軸AXbも一体的に回転す
る。なお、これらのギヤ比も任意に設定可能である。ギ
ヤg1b、ギヤg6b、ギヤg19b、ギヤg12b、
ギヤg14bは、動力伝達機構として機能する。
を備えている。上述したのと同様に、シフトフォークs
f1bを切換機構用アクチュエータによってスライドさ
せることにより、オーバードライブ結合とアンダードラ
イブ結合とを切り換えることができる。また、シフトフ
ォークsf3bをスライドさせることにより、ギヤg7
aとハブギヤgh3b、ハブギヤgh3bとギヤg8a
の結合状態を切り換えることができる。
合になっており、ハブギヤgh3bとギヤg7bとが結
合しているとき、クラッチモータ130のインナロータ
軸133の動力は、ギヤg6b、ギヤg5b、ギヤg7
b、ハブギヤgh3b、ギヤg11b、ギヤg12b、
駆動軸135の順に伝達される。一方、ハブギヤgh3
bとギヤg8bとが結合しているときには、クラッチモ
ータ130のインナロータ軸133の動力は、ギヤg1
0b、ギヤg9b、ギヤg8b、ハブギヤgh3b、ギ
ヤg11b、ギヤg12b、駆動軸135の順に伝達さ
れる。ギヤg6bとギヤg10bとは、大きさと歯数が
異なるので、これらへの結合を切り換えることによって
変速比を切り換えることができる。なお、本実施例で
は、変速比を2段階に切り換えられるようにしたが、更
に多段に切り換えられるようにしてもよい。変速比の切
り換えによって、出力可能な回転数、トルクの範囲を拡
張することができる。
よび第3実施例では、図示および説明の便宜上、切換機
構200,200a,200bについて、図3、図4、
図14、図15を用いて分けて説明したが、これらの機
構は同時に組合せて構成することができる。
が、本発明はこのような実施の形態になんら限定される
ものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種
々なる態様での実施が可能である。例えば、以下のよう
な変形例も可能である。
0とアシストモータ140とをこの順に配置したが、ク
ラッチモータ130とアシストモータ140との順番を
逆に配置してもよい。図16は、変形例としてのハイブ
リッド車両の概略構成を示す説明図である。このハイブ
リッド車両では、エンジン150とアシストモータ14
0と、クラッチモータ130がこの順に配置されてい
る。エンジン150のクランクシャフト156は、ダン
パ157を介してクラッチモータ130のインナロータ
軸133に結合されている。アウタロータ134は、駆
動軸135、ディファレンシャルギヤ114を介して車
軸116に結合されている。その他の構成は、図1に示
したハイブリッド車両と同じである。
30を適用した。一般に、動力調整装置としては、クラ
ッチモータ130のように、電力の供給を受けて回転数
を増速したり、電力を回生することで回転数を低減した
りして、エンジン150から出力された動力の大きさを
変更しつつ、車軸116側に伝達することができる種々
の装置を適用することができる。従って、例えば、ロー
タ軸を有する発電機とプラネタリギヤを適用してもよ
い。
両の概略構成を示す説明図である。ここでは、動力をや
りとりする要素についてのみ示し、制御ユニットや駆動
回路等の電気系統は図示を省略した。変形例では、クラ
ッチモータ130の代わりプラネタリギヤ230と電動
発電機240とを用いている。
ばれるギヤであり、中心で回転するサンギヤ231、そ
の周囲で自転するプラネタリピニオンギヤ232および
それをサンギヤ231周りに公転可能に軸支するプラネ
タリキャリア233、さらにその周囲で回転するリング
ギヤ234から構成されている。
0と同様の三相同期モータであり、ステータ244はケ
ースに固定されている。電動発電機240は電動機とし
て機能したり、発電機として機能したりする。電動発電
機240は、上記実施例のクラッチモータ130と同
様、駆動回路のトラジスタをオン・オフすることにより
運転が制御される。
り、サンギヤ231,プラネタリキャリア233,リン
グギヤ234のうち2つの回転状態が決定されると残余
の回転状態が一義的に決定するという特性を有してい
る。かかる特性に基づき、変形例のハイブリッド車両で
は、プラネタリギヤ230と電動発電機240の組み合
わせにより、上記実施例におけるクラッチモータ130
と同等の作用、即ち動力調整装置としての作用を奏する
ことができる。クラッチモータ130のインナロータに
相当するのがプラネタリキャリア233であり、アウタ
ロータ134に相当するのがリングギヤ234である。
は、電動発電機240のロータ242に結合されてい
る。プラネタリキャリア233は、エンジン150のク
ランクシャフト156と結合されている。また、クラン
クシャフト156には、その回転と一体的に回転するギ
ヤg1cが設けられている。リングギヤ234には、そ
の中空の回転軸と一体的に回転するギヤg6cが設けら
れている。駆動軸135には、その回転と一体的に回転
するギヤg8cが設けられている。アシストモータ14
0のロータ142には、その中空の回転軸と一体的に回
転するギヤg10cが設けられている。更に、これらの
軸と平行な位置に軸AXcが設けられており、この軸A
Xcには、軸AXcを回転軸の中心とするギヤg2c、
ギヤg3c、ハブギヤgh1c、ギヤg4c、ギヤg5
c、ギヤg7c、ギヤg9cが上流からこの順で配置さ
れている。ギヤg1cとギヤg2c、ギヤg5cとギヤ
g6c、ギヤg7cとギヤg8c、ギヤg9cとギヤg
10cは、常時かみ合っている。ギヤg2cとギヤg3
c、ギヤg4cとギヤg5cとギヤg7cはそれぞれ同
一の中空の回転軸を有しており、一体的に回転する。ま
た、ハブギヤgh1cとギヤg9cと軸AXcも一体的
に回転する。なお、これらのギヤ比は、任意に設定可能
である。ギヤg1c、ギヤg6c、ギヤg8c、ギヤg
10cは、動力伝達機構として機能する。また、軸AX
cを回転軸の中心とするギヤg2c、ギヤg3c、ハブ
ギヤgh1c、ギヤg4c、ギヤg5c、ギヤg7c、
ギヤg9c、およびシフトフォークsf1cは切換機構
200cとして機能する。
例と同様に、シンクロメッシュ機構を備えている。シフ
トフォークsf1cを切換機構用アクチュエータによっ
てスライドさせることにより、ギヤg3とcハブギヤg
h1c、ハブギヤgh1cとギヤg4cの結合状態を切
り換えることができる。
g4cとが結合しているとき、アシストモータ140の
動力は、ギヤg10c、ギヤg9c、軸AXc、ハブギ
ヤgh1c、ギヤg4c、ギヤg7c、ギヤg8c、駆
動軸135の順に伝達される。従って、アシストモータ
140が駆動軸135に結合されたのと同等の構成とな
り、アンダードライブ結合となる。
結合しているときには、アシストモータ140の動力
は、ギヤg10c、ギヤg9c、軸AXc、ハブギヤg
h1c、ギヤg3c、ギヤg2c、ギヤg1c、クラン
クシャフト156の順に伝達される。従って、アシスト
モータ140がクランクシャフト156に結合されたの
と同等の構成となり、アンダードライブ結合となる。
ド車両も、第1実施例と同様にシフトフォークsf1の
切り換えによってアンダードライブ結合、オーバードラ
イブ結合を実現することができる。従って、第1実施例
と同様の制御処理を適用することができる。
運転されるガソリンエンジンを用いたが、その他に、デ
ィーゼルエンジンや、タービンエンジンや、ジェットエ
ンジンなど各種の内燃あるいは外燃機関を用いることも
できる。
30及びアシストモータ140として三相同期電動機を
適用したが、回生動作及び力行動作を行なわせるのであ
れば、その他にも、VR形(可変リラクタンス形;Vari
able Reluctance type)同期電動機や、バーニアモータ
や、直流電動機や、誘導電動機や、超電導モータや、ス
テップモータなどを用いることもできる。
30に対する電力の伝達手段としてスリップリングとブ
ラシとからなる給電装置138を用いたが、回転リング
−水銀接触、磁気エネルギの半導体カップリング、回転
トランス等を用いることもできる。
192としてトランジスタインバータを用いたが、その
他に、IGBT(絶縁ゲートバイポーラモードトランジ
スタ;Insulated Gate Bipolar mode Transistor)イン
バータや、サイリスタインバータや、電圧PWM(パル
ス幅変調;Pulse Width Modulation)インバータや、方
形波インバータ(電圧形インバータ,電流形インバー
タ)や、共振インバータなどを用いることもできる。
テリ,NiMHバッテリ,Liバッテリなどを用いるこ
とができるが、バッテリ194に代えてキャパシタを用
いることもできる。
装置を搭載したハイブリッド車両について説明したが、
本発明はこれに限定されるものではない。上記実施例に
おいてハイブリッド車両に搭載した動力出力装置は、船
舶,航空機などの交通手段や、その他各種産業機械など
に搭載することも可能である。
の概略構成を示す説明図である。
概観図である。
る。
る。
の回転数Nd<エンジン150の回転数Ne」の場合に
おけるトルク変換の様子を示す説明図である。
の回転数Nd>エンジン150の回転数Ne」の場合に
おけるトルク変換の様子を示す説明図である。
の回転数Nd<エンジン150の回転数Ne」の場合に
おけるトルク変換の様子を示す説明図である。
の回転数Nd>エンジン150の回転数Ne」の場合に
おけるトルク変換の様子を示す説明図である。
モードの使い分けの様子を示す説明図である。
ャートである。
について示す説明図である。
である。
チャートである。
る。
る。
を示す説明図である。
を示す説明図である。
の概略構成を示す説明図である。
の回転数>駆動軸の回転数」の状態での動力の伝達の様
子を示す説明図である。
の回転数<駆動軸の回転数」の状態での動力の伝達の様
子を示す説明図である。
の概略構成を示す説明図である。
の回転数>駆動軸の回転数」の状態での動力の伝達の様
子を示す説明図である。
の回転数<駆動軸の回転数」の状態での動力の伝達の様
子を示す説明図である。
なハイブリッド車両の構成を示す説明図である。
Claims (17)
- 【請求項1】 出力軸を有する原動機と、動力を出力す
るための駆動軸と、前記出力軸および前記駆動軸とに結
合され電力のやり取りによって前記原動機から出力され
た動力を増減して前記駆動軸に伝達可能な動力調整装置
と、回転軸を有する電動機と、前記回転軸と前記出力軸
および前記駆動軸との接続状態を切換える切換機構と、
前記切換機構を制御する切換制御部と、を備える動力出
力装置を搭載したハイブリッド車両であって、 前記切換制御部は、前記ハイブリッド車両の加減速時に
所定条件下で、前記回転軸と前記出力軸および前記駆動
軸との接続をともに切り離すように前記切換機構を制御
する、 ハイブリッド車両。 - 【請求項2】 請求項1記載のハイブリッド車両であっ
て、 前記所定条件は、該車両の加減速に関与する操作部の操
作状態に基づく条件である、 ハイブリッド車両。 - 【請求項3】 請求項2記載のハイブリッド車両であっ
て、 前記所定条件は、アクセル開度、またはその増加率が所
定値以上の条件である、 ハイブリッド車両。 - 【請求項4】 請求項3記載のハイブリッド車両であっ
て、 更に、前記動力調整装置および前記電動機との間で充放
電するための蓄電部と、該蓄電部の残容量を検出する残
容量検出手段を備え、 前記所定条件は、更に、前記残容量が所定値以下の条件
である、 ハイブリッド車両。 - 【請求項5】 請求項2記載のハイブリッド車両であっ
て、 前記所定条件は、ブレーキペダルの踏み込み量、または
その変化率が所定値以上の条件である、 ハイブリッド車両。 - 【請求項6】請求項5記載のハイブリッド車両であっ
て、 更に、前記動力調整装置および前記電動機との間で充放
電するための蓄電部と、該蓄電部の残容量を検出する残
容量検出手段を備え、 前記所定条件は、更に、前記残容量が所定値以上の条件
である、 ハイブリッド車両。 - 【請求項7】 請求項1記載のハイブリッド車両であっ
て、 前記動力調整装置は、前記出力軸に結合された第1のロ
ータと、前記駆動軸に結合された第2のロータとを有す
る対ロータ電動機である、 ハイブリッド車両。 - 【請求項8】 請求項1記載のハイブリッド車両であっ
て、 前記動力調整装置は、ロータ軸を有する発電機と、3つ
の回転軸を有し、該回転軸が前記出力軸、駆動軸、およ
びロータ軸にそれぞれ結合されたプラネタリギヤとを備
える装置である、 ハイブリッド車両。 - 【請求項9】 出力軸を有する原動機と、動力を出力す
るための駆動軸と、前記出力軸および前記駆動軸とに結
合され電力のやり取りによって前記原動機から出力され
た動力を増減して前記駆動軸に伝達可能な動力調整装置
と、回転軸を有する電動機と、前記回転軸と前記出力軸
および前記駆動軸との接続状態を切換える切換機構と、
を備える動力出力装置を搭載したハイブリッド車両の制
御方法であって、(a)前記ハイブリッド車両の加減速
時に所定の条件を満たしているか否かの判定する工程
と、(b)前記条件を満たしていると判定されたとき
に、前記切換機構を制御して前記回転軸と前記出力軸お
よび前記駆動軸との接続をともに切り離す工程と、 を備える、ハイブリッド車両の制御方法。 - 【請求項10】 駆動軸から動力を出力する動力出力装
置であって、 出力軸を有する原動機と、 前記出力軸および前記駆動軸とに結合され電力のやり取
りによって前記原動機から出力された動力を増減して前
記駆動軸に伝達可能な動力調整装置と、 ロータ軸を有する電動機と、 第1回転軸〜第3回転軸を有し、第3回転軸の結合先を
第1回転軸および第2回転軸に切換可能な切換機構と、 前記第1回転軸と前記出力軸との間で動力を伝達する第
1の動力伝達機構と、 前記第2回転軸と前記駆動軸との間で動力を伝達する第
2の動力伝達機構と、 前記第3回転軸と前記ロータ軸との間で動力を伝達する
第3の動力伝達機構と、を備え、 前記第1〜第3回転軸は、前記電動機と前記動力調整装
置との間隙において、前記出力軸および前記駆動軸と異
なる軸上に配置されている、 動力出力装置。 - 【請求項11】 請求項10記載の動力出力装置であっ
て、 前記動力調整装置と前記電動機とが同軸上に配置されて
いる、 動力出力装置。 - 【請求項12】 請求項10記載の動力出力装置であっ
て、 更に、前記原動機から前記駆動軸に伝達される動力の回
転方向を正逆切換可能な回転方向切換機構を、前記原動
機と前記動力調整装置との間、または前記動力調整装置
と前記駆動軸との間に備える、 動力出力装置。 - 【請求項13】 請求項12記載の動力出力装置であっ
て、 前記回転方向切換機構は、前記切換機構と同軸に配置さ
れた回転軸を備える、 動力出力装置。 - 【請求項14】 請求項13記載の動力出力装置であっ
て、 前記回転方向切換機構は、前記切換機構の回転軸と前記
出力軸とから定まる平面と異なる平面上に配置された逆
転用回転軸を備える、 動力出力装置。 - 【請求項15】 請求項10記載の動力出力装置であっ
て、 更に、前記電動機から前記駆動軸に伝達される動力の変
速比を変更可能な変速機構を、前記動力調整装置と前記
駆動軸との間に備える、 動力出力装置。 - 【請求項16】 請求項15記載の動力出力装置であっ
て、 前記変速機構は、前記切換機構と同軸に配置された回転
軸を備える、 動力出力装置。 - 【請求項17】 請求項10記載の動力出力装置であっ
て、 前記出力軸に直交する平面に対する前記切換機構の投影
図と、前記原動機の投影図との重なり部分の面積が極大
となる位置に該切換機構が配置されている、 動力出力装置。
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