JP2002135114A - 位相同期回路およびこれを用いた発振装置 - Google Patents

位相同期回路およびこれを用いた発振装置

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JP2002135114A
JP2002135114A JP2000324173A JP2000324173A JP2002135114A JP 2002135114 A JP2002135114 A JP 2002135114A JP 2000324173 A JP2000324173 A JP 2000324173A JP 2000324173 A JP2000324173 A JP 2000324173A JP 2002135114 A JP2002135114 A JP 2002135114A
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oscillation
synchronization
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Hisaaki Tanaka
久陽 田中
Akio Hasegawa
晃朗 長谷川
Shinichiro Haruyama
真一郎 春山
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】論理回路のみによる簡易な構成を有した位相同
期回路およびこれを用いた発振装置を提供する。 【解決手段】少なくとも1つの合成部13とインバータ
部14とがリング状に接続された構成を有し、任意の接
続ノードから発振信号が出力可能なリング発振回路にお
いて、パルス発生部12により発生されたパルス信号と
前段のノードからの発振信号とが合成部13により合成
されて次段に出力される。また、前段のノードから合成
部13に入力される発振信号が同期信号に対して有する
位相進みまたは位相遅れが位相比較部11によって検出
され、この検出時点に同期したパルス信号がパルス発生
部12によって発生されて、合成部13に入力される。
このリング発振回路に印加されるパルス信号によって位
相の引き込みが生じ、リング発振回路による発振信号の
位相は同期信号の位相と同期する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、入力信号に同期し
た出力信号を生成する位相同期回路およびこれを用いた
発振装置に係り、例えば、FPGA(Field Programmab
le Gate Array )などにおいて論理ゲートにより構成さ
れる位相同期回路およびこれを用いた発振装置に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来の位相同期ループ(Phase Locked L
oop :PLL)回路は、大別してアナログ型とデジタル
型に分けられる。まず、これらのPLL回路について図
面を参照しながら説明する。
【0003】図20は、従来のアナログ型PLL回路の
構成例を示す概略的な図である。図20に示すPLL回
路は、位相比較器1、ループフィルタ2、およびVCO
(Voltage Controlled Oscillator )3を有している。
位相比較器1は、入力信号SinとVCO3からの帰還
信号Soutとの位相を比較し、比較結果に応じた信号
(例えばハイレベルまたはローレベルの2値信号)をル
ープフィルタ2に入力する。ループフイルタ2は、位相
比較器1からの信号に含まれる高周波成分を所定のフィ
ルタ特性で減衰させたアナログの電圧をVCO3に入力
する。VCO3は、ループフィルタ2からのアナログ電
圧に応じた発振周波数を有する帰還信号Soutを生成
し、これを位相比較器1に入力する。
【0004】入力信号Sinと帰還信号Soutの位相
の比較結果に応じて、ループフィルタ2からのアナログ
電圧が変化し、これに応じて帰還信号Soutの周波数
も変化する。入力信号Sinと帰還信号Soutとの位
相差が増大した場合、これを減少させる方向に帰還信号
Soutの周波数が変化することによって、入力信号S
inに位相が同期された帰還信号Soutが得られる。
【0005】図21は、従来のデジタル型PLL回路の
構成例を示す概略的な図である。図21に示すPLL回
路は、位相比較器4、量子化部5、シーケンシャル・ル
ープフィルタ6、固定発振器7、パルス挿入除去部8、
および分周器9を有している。位相比較器4は、入力信
号Sinと分周器9からの帰還信号Soutとの位相を
比較し、比較結果に応じた信号を量子化部5に入力す
る。量子化部5は、位相比較器4からの信号を所定の量
子化クロック信号で量子化し、位相の進みまたは遅れに
応じた2つの信号を発生してシーケンシャル・ループフ
ィルタ6に入力する。
【0006】シーケンシャル・ループフィルタ6は、量
子化部5において発生された2つの信号の発生確率を所
定の確率特性に変換するデジタル・フィルタであり、位
相の進みまたは遅れに応じた2つの信号を生成してパル
ス挿入除去部8に出力する。
【0007】入力信号Sinに雑音が含まれていない理
想状態の場合、入力信号Sinと帰還信号Soutとの
位相誤差がゼロの近傍において、位相の進みまたは遅れ
に応じた2つの信号の発生確率は0から1の間で急峻に
変化するが、入力信号Sinに雑音が含まれている場
合、2つの信号の発生確率は0.5の付近で緩やかに変
化する特性となる。シーケンシャル・ループフィルタ6
は、この発生確率の特性を理想状態に近づけるためのも
のである。例えば、初期値Nを有するカウンタの計数値
を、2つの信号の入力に応じてアップまたはダウンさ
せ、カウンタの計数値が0または2Nに達した時点で位
相の進みまたは遅れに応じた信号を出力し、カウンタの
計数値を初期化する動作を反復する。
【0008】パルス挿入除去部8は、シーケンシャル・
ループフィルタ6からの信号に応じて、固定発振器7の
クロック信号に対しパルスの挿入または除去を行い、こ
れにより生成した信号を分周器9に入力する。分周器9
は、パルス挿入除去部8からの信号を所定の分周比で分
周した帰還信号Soutを生成し、これを位相比較器4
に入力する。
【0009】入力信号Sinと帰還信号Soutの位相
の比較結果に応じて、固定発振器7からのクロック信号
に対してパルスの挿入または除去が行われ、これに応じ
て、分周器9から出力される帰還信号Soutの周波数
が変化する。入力信号Sinと帰還信号Soutとの位
相差が増大した場合、これを減少させる方向に帰還信号
Soutの周波数が変化することによって、入力信号S
inに位相が同期された帰還信号Soutが得られる。
【0010】また、上述したPLL回路やリング発振回
路などを半導体チップ上の集積回路に複数分散させ、こ
れらのPLL回路や発振回路の発振出力を同期させるこ
とにより、位相の同期したクロック信号を半導体チップ
上の集積回路に分配する方式が、例えば文献1”Procee
dings of the 1998 IEEE International Solid-StateCi
rcuits Conference 404(1998)”、文献2”公開特許公
報 特開2000-78004”、および文献3”Proceedings of
the 2000 IEEE International Solid-State Circuits
Conference 174(2000)”などにおいて記載されている。
次に、これらの方式について図面を参照しながら説明す
る。
【0011】図22は、半導体チップ上の集積回路に複
数分散されたリング発振回路によりクロック信号を分配
する従来の方式を説明するための図である。図22にお
いては、格子状に配線されたパターンの交点におけるノ
ードN20に、互いに等しい発振周波数を有するリング
発振回路20が接続されている様子が示されている。
【0012】リング発振回路20は、奇数個のインバー
タがリング状に接続された構成を有する回路であり、そ
の発振周波数は個々のインバータの遅延特性とインバー
タの段数に応じて決まる。
【0013】一般にリング発振回路に代表される発振回
路は、その自走周波数と十分に近い周波数を有する外部
からの参照信号に対して、自らの発振位相を追従させる
能力(引き込み能力)を内在していることが知られてい
る。例えば図22のように、リング発振回路20の出力
を直接配線によって接続することにより、複数のリング
発振回路20の発振信号の位相を同期させることができ
る。特に、発振周波数等の特性が揃ったリング発振回路
20を、出力ラインの配線長が互いに等しくなるように
対称に接続することによって、それぞれのリング発振回
路20の位相を一致させることが可能である。したがっ
て、これらのリング発振回路20の出力ラインから、位
相の揃ったクロック信号を集積回路の各部に供給するこ
とができる。
【0014】図23は、半導体チップ上の集積回路に複
数分散されたPLL回路によりクロック信号を分配する
従来の方式を説明するための図である。図23において
は、半導体チップ200の境界内に、上述したアナログ
型PLL回路を構成する位相比較器30と、ループフィ
ルタおよびVCOを含む回路40とが分散して配置され
ている様子が示されている。位相比較器30は、半導体
チップ200を複数の小回路ブロックに分割する境界2
0の上に対称に配置されている。なお、PLL回路を除
く他の集積回路については表示が省略されている。
【0015】各小回路ブロックに配置されたループフィ
ルタおよびVCOを含む回路40は、境界20の上に配
置された4つの位相比較器30から比較結果の信号を受
けており、これらの信号の合成信号をループフィルタで
平滑することによって、VCOの制御電圧を生成させて
いる。この制御電圧により周波数を調節されたVCOの
発振出力は、4つの位相比較器30に出力されて、隣り
合う他の小回路ブロックに配置された回路40からの発
振出力と位相を比較される。
【0016】このように、複数のPLL回路の発振出力
を他の複数のPLL回路の基準信号として入力すること
によっても、上述した位相の引き込みを起こして、複数
のPLL回路の発振出力の位相を同期させることができ
る。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】ところで、一般にアナ
ログ型のPLL回路はデジタル型のPLL回路に比べて
動作の信頼度と安定度が劣っている問題がある。これ
は、デジタル型のPLL回路の場合、回路の素子定数の
ばらつきや温度変動によって生じる信号レベルの変動が
論理回路のしきい値を越えない限り、出力結果に影響を
与えないのに対して、アナログ型のPLL回路の場合、
上述したばらつきや温度変動に応じて信号レベルが変化
し、出力結果に影響を与えることによる。
【0018】また、アナログ型のPLL回路はデジタル
型のPLL回路に比べて回路の集積化に不向きであり、
量産性に劣っているという問題もある。さらに、デジタ
ル化されていない回路は設計の自動化やソフトウェア化
が難しいため、一般に開発期間が長くなり、また設計デ
ータの変更や流用がデジタル化された回路に比べて難し
いという問題がある。
【0019】加えて、回路をデジタル化することによ
り、例えばFPGAなどのように回路をソフトウェアに
応じて自由に修正可能な市販のデバイスによって回路を
構成できる。これにより、例えばシステムの起動中に、
ソフトウェアに応じて回路の構成を動的に変化させるよ
うな動作も可能になる。一方、回路がデジタル化されて
いない場合、このような動作を実現させることは困難で
ある。
【0020】こうした問題は、アナログ回路がデジタル
回路との比較において有している一般的な問題である。
近年では、半導体集積回路の微細化と高速化にともなっ
て、従来であればアナログ回路によって構成されていた
回路がデジタル化される傾向にある。
【0021】一方、上述した文献1〜文献3ならびに図
22および図23において示したクロック信号の分配方
式では、いずれも回路中にアナログ回路を含んでいる。
例えば図22に示したクロック信号の分配方式において
は、リング発振回路20の出力どうしが直接接続されて
いるため、これを論理回路として論理式に記述すること
はできない。図23においても同様にアナログ回路を含
んでいるため、論理式により回路を記述することができ
ない。したがって、通常の論理回路のシミュレーション
を行うことができず、回路動作の検証が困難になるほ
か、FPGAなどのようなデバイス上で回路を構成する
ことができない。
【0022】そこで、例えば図23に示すPLL回路を
図21に示すようなデジタル型のPLL回路で構成する
ことも可能ではあるが、従来のデジタル型のPLL回路
は、量子化部5やシーケンシャル・ループフィルタ6、
パルス挿入除去部8、固定発振器7などの回路ブロック
を含んだ複雑な構成を有しているため、これらの回路が
半導体チップ上に多数構成されることによって集積回路
全体の回路規模を大きくなり、消費電力の増大やコスト
の上昇を招いてしまう問題がある。
【0023】本発明はかかる事情に鑑みてなされたもの
であり、その目的は、論理回路のみによる簡易な構成に
よって、入力の同期信号に位相が同期した発振信号を生
成できる位相同期回路およびこれを用いた発振装置を提
供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の位相同期回路は、少なくとも一つの同期信
号を受けて、当該同期信号に位相が同期した少なくとも
一つの発振信号を生成する位相同期回路であって、少な
くとも1つのインバータと少なくとも1つの合成回路と
がリング状に接続され、任意の接続ノードから上記発振
信号が出力可能で、かつ、上記合成回路は、入力したパ
ルス信号と前段のノードからの発振信号とを合成して次
段のノードに出力するリング発振回路と、上記合成回路
に入力される前段のノードからの発振信号が上記同期信
号に対して有する位相進みまたは位相遅れを検出し、当
該位相進みまたは位相遅れの検出時点に同期して発生し
たパルス信号を当該合成回路に入力する、少なくとも一
つのパルス入力回路とを有する。
【0025】本発明の位相同期回路によれば、上記リン
グ発振回路において、少なくとも1つの上記インバータ
と少なくとも1つの上記合成回路とがリング状に接続さ
れることにより、任意の接続ノードから上記発振信号が
出力可能となる。上記パルス入力回路においては、上記
合成回路に入力される前段のノードからの発振信号が上
記同期信号に対して有する位相進みまたは位相遅れが検
出され、当該位相進みまたは位相遅れの検出時点に同期
して発生したパルス信号が、当該合成回路に入力され
る。また上記合成回路においては、上記パルス入力回路
から入力したパルス信号と前段のノードからの発振信号
とが合成されて、次段のノードに出力される。これによ
りリング発振回路による位相の引き込みが生じて、上記
同期信号と上記発振信号との位相が同期される。
【0026】本発明の発振装置は、少なくとも一つの同
期信号を受けて、当該同期信号に位相が同期した少なく
とも一つの発振信号を生成する複数の位相同期回路を含
み、それぞれの上記位相同期回路により生成された上記
発振信号を、上記同期信号として他の位相同期回路に入
力する発振装置であって、上記位相検出回路は、少なく
とも1つのインバータと少なくとも1つの合成回路とが
リング状に接続され、任意の接続ノードから上記発振信
号が出力可能で、かつ、上記合成回路は、入力したパル
ス信号と前段のノードからの発振信号とを合成して次段
のノードに出力するリング発振回路と、上記合成回路に
入力される前段のノードからの発振信号が上記同期信号
に対して有する位相進みまたは位相遅れを検出し、当該
位相進みまたは位相遅れの検出時点に同期して発生した
パルス信号を当該合成回路に入力する、少なくとも一つ
のパルス入力回路とを有する。
【0027】本発明の発振装置によれば、上記位相同期
回路の上記リング発振回路において、少なくとも1つの
上記インバータと少なくとも1つの上記合成回路とがリ
ング状に接続されることにより、任意の接続ノードから
上記発振信号が出力可能となる。上記パルス入力回路に
おいては、上記合成回路に入力される前段のノードから
の発振信号が上記同期信号に対して有する位相進みまた
は位相遅れが検出され、当該位相進みまたは位相遅れの
検出時点に同期して発生したパルス信号が、当該合成回
路に入力される。また上記合成回路においては、上記パ
ルス入力回路から入力したパルス信号と前段のノードか
らの発振信号とが合成されて、次段のノードに出力され
る。これにより、上記リング発振回路による位相の引き
込みが生じて、上記同期信号と上記発振信号との位相が
同期される。さらに、それぞれの上記位相同期回路によ
り生成された上記発振信号が、上記同期信号として他の
位相同期回路に入力されることによって、複数の上記位
相同期回路による発振信号の位相が互いに同期される。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら、本発
明の実施形態について説明する。 <第1の実施形態>図1は、本発明に係る位相同期回路
の第1の実施形態を説明するための概略的な構成図であ
る。図1に示す位相同期回路は、位相比較部11、パル
ス発生部12、合成部13およびインバータ部14を有
する。なお、位相比較部11およびパルス発生部12か
らなるブロックは、本発明のパルス入力回路の一実施形
態である。位相比較部11は、本発明の位相検出回路の
一実施形態である。パルス発生部12は、本発明のパル
ス発生回路の一実施形態である。合成部13およびイン
バータ部14からなるブロックは、本発明のリング発振
回路の一実施形態である。合成部13は、本発明の合成
回路の一実施形態である。インバータ部14は、本発明
のインバータの一実施形態である。
【0029】位相比較部11は、入力の同期信号Sin
とインバータ部14からの発振信号Soutとの位相を
比較し、これらの位相が不一致である場合、位相の不一
致を知らせる信号S11を生成してパルス発生部12に
出力する。
【0030】パルス発生部12は、位相比較部11にお
いて生成された位相の不一致を知らせる信号S11の入
力時点に同期して、回路の発振周期に比べて十分短いパ
ルス幅のパルス信号S12を生成し、これを合成部13
に入力する。
【0031】合成部13は、パルス発生部12において
生成されるパルス信号S12、およびインバータ部14
から出力される発振信号Soutを入力し、これらの信
号を合成した合成信号S13を生成して、これをインバ
ータ部14に出力する。
【0032】インバータ部14は、合成部13から入力
した合成信号S13の論理レベルを反転させた信号に、
所定の遅延を与えて生成した発振信号Soutを、位相
比較部11および合成部13に出力する。
【0033】図2は、図1に示した位相同期回路の各部
を具体例を示す回路図である。図2に示す位相同期回路
は、EXOR回路110、パルス発生回路120、OR
回路130、インバータ141〜インバータ14m(m
は1より大きい整数を示す)を有する。なお、EXOR
回路110およびパルス発生部120からなるブロック
は、本発明のパルス入力回路の一実施形態である。EX
OR回路110は、本発明の位相検出回路の一実施形態
である。パルス発生回路120は、本発明のパルス発生
回路の一実施形態である。OR回路130およびインバ
ータ141〜インバータ14mからなるブロックは、本
発明のリング発振回路の一実施形態である。OR回路1
30は、本発明の合成回路の一実施形態である。インバ
ータ141〜インバータ14mは、本発明のインバータ
の一実施形態である。
【0034】EXOR回路110は、入力の同期信号S
inとインバータ14mからの発振信号Soutとの排
他的論理和を演算し、演算結果S11をパルス発生部1
20に出力する。すなわち、同期信号Sinと発振信号
Soutとの論理レベルが不一致である場合に論理値”
1”を出力し、一致する場合に論理値”0”を出力す
る。
【0035】パルス発生回路120は、EXOR回路1
10からの出力が論理値”0”から論理値”1”に立ち
上がる時点に同期してパルス幅の短いパルス信号S12
を生成し、これをOR回路130に出力する。図4は、
パルス発生回路120の構成を示す回路図である。図4
に示すパルス発生回路120においては、EXOR回路
110からの出力信号S11と、この信号S11がイン
バータ12aにおいて反転された信号との論理積がAN
D回路12bにおいて演算され、この演算結果がパルス
信号S12として出力される。
【0036】信号S11が論理値”0”から論理値”
1”に立ち上がった場合、この変化に応じてインバータ
12aの出力が論理値”1”から論理値”0”に変化す
るまでの遅延期間において、AND回路回路12bの2
つの入力には論理値”1”が入力され、パルス信号S1
2は論理値”1”となる。信号S11が論理値”1”か
ら論理値”0”に立ち下がる場合には、インバータ12
aの遅延期間にかかわらず、パルス信号S12は論理
値”0”のままである。すなわち図4のパルス発生回路
120によって、インバータ12aの遅延時間に応じた
短いパルス幅のパルス信号S12が、信号S11の立ち
上がり時に同期して生成される。
【0037】OR回路130は、パルス発生回路120
において生成されるパルス信号S12と、インバータ1
4mから出力される発振信号Soutとの論理和を演算
し、演算結果の合成信号S13をインバータ141に出
力する。
【0038】インバータ141〜インバータ14mは、
OR回路130から入力した合成信号S13の論理レベ
ルを反転させた信号に、所定の遅延を与えて生成した発
振信号Soutを、EXOR回路110およびOR回路
130に出力する。図3は、インバータ141〜インバ
ータ14mの例を示す図である。図3aは通常のインバ
ータを示しており、図3bは一方の端子に論理値”1”
を与えたEXOR回路110によるインバータを示して
いる。
【0039】次に、上述した構成を有する位相同期回路
の動作について説明する。本発明の位相同期回路は、リ
ング発振回路の上述した引き込み能力を利用するもので
ある。すなわち、OR回路130を介してリング状に接
続されたインバータ141〜インバータ14mにより形
成されるリング発振回路の自走発振周波数と十分近い周
波数を有する同期信号Sinを入力し、この同期信号S
inとリング発振回路の発振信号Soutとの位相を比
較して、比較結果に応じたタイミングでパルス信号S1
2を発生する。このパルス信号S12をOR回路130
によってリング発振回路に印加することにより、リング
発振回路の発振信号Soutの位相は同期信号Sinに
追従してシフトし、数サイクルの発振周期を経た後に、
同期信号Sinの位相と同期した状態で安定する。
【0040】図5は、同期信号Sinの位相が発振信号
Soutに対して遅れている場合の動作を説明する波形
図である。図5a〜図5cの縦軸は各波形の電圧振幅を
示し、横軸は時間を示す。また、図5a〜図5cによっ
て発振信号Soutの3周期における各波形の変化を示
しており、図5aは時刻0〜時刻T、図5bは時刻T〜
時刻2T、図5cは時刻2T〜時刻3Tにおける各波形
をそれぞれ示している。
【0041】発振信号Soutがローレベルからハイレ
ベルに立ち上がると(時刻t1)、EXOR回路110
によって発振信号Soutと同期信号Sinのレベルの
不一致が検出されて、出力信号S11がローレベルから
ハイレベルに立ち上がる。この立ち上がりエッジに同期
して、パルス発生回路120によりパルス信号S12が
生成される(時刻t2)。これに遅れて同期信号Sin
がローレベルからハイレベルに立ち上がると(時刻t
3)、発振信号Soutと同期信号Sinのレベルが一
致して、信号S11はローレベルになる。
【0042】次いで、発振信号Soutがハイレベルか
らローレベルに立ち下がると(時刻t4)、EXOR回
路110によって発振信号Soutと同期信号Sinの
レベルの不一致が検出されて、出力信号S11がローレ
ベルからハイレベルに立ち上がる。この立ち上がりエッ
ジに同期して、パルス発生回路120によりパルス信号
S12が生成される(時刻t5)。
【0043】次の2周期目(図5b)において発振信号
Soutがローレベルからハイレベルに立ち上がると
(時刻t6)、EXOR回路110によって発振信号S
outと同期信号Sinのレベルの不一致が検出され
て、出力信号S11がローレベルからハイレベルに立ち
上がる。この立ち上がりエッジに同期して、パルス発生
回路120によりパルス信号S12が生成される(時刻
t7)。これに遅れて同期信号Sinがローレベルから
ハイレベルに立ち上がると(時刻t8)、発振信号So
utと同期信号Sinのレベルが一致して、信号S11
はローレベルになる。
【0044】この後、前の周期の時刻t4から時刻Tに
相当する位相において発振信号Soutのパルス幅が延
長され、時刻2Tにローレベルへ立ち下がる。これは、
時刻t5に生成されたパルス信号S12によって発振信
号Soutが位相の後退を生じたためである。一方、時
刻t2に生成されたパルス信号S12は、発振信号So
utのハイレベル期間と重なっており、OR回路130
による合成信号S13の波形に影響しないため、位相の
変化に殆ど影響を与えない。次の3周期目(図5c)に
おいては、発振信号Soutと同期信号Sinの位相は
一致し、パルス信号S12は生成されない。
【0045】図6は、同期信号Sinの位相が発振信号
Soutに対して進んでいる場合の動作を説明する波形
図である。図6a〜図6cの縦軸は各波形の電圧振幅を
示し、横軸は時間を示す。また、図6a〜図6cによっ
て発振信号Soutの3周期における各波形の変化を示
しており、図6aは時刻0〜時刻T、図6bは時刻T〜
時刻2T、図6cは時刻2T〜時刻3Tにおける各波形
をそれぞれ示している。
【0046】発振信号Soutより進んで同期信号Si
nがローレベルからハイレベルに立ち上がると(時刻t
9)、EXOR回路110によって発振信号Soutと
同期信号Sinのレベルの不一致が検出されて、出力信
号S11がローレベルからハイレベルに立ち上がる。こ
の立ち上がりエッジに同期して、パルス発生回路120
によりパルス信号S12が生成される(時刻t10)。
これに遅れて発振信号Soutがローレベルからハイレ
ベルに立ち上がると(時刻t11)、発振信号Sout
と同期信号Sinのレベルが一致して、信号S11はロ
ーレベルになる。
【0047】次いで、同期信号Sinがハイレベルから
ローレベルに立ち下がると(時刻t12)、EXOR回
路110によって発振信号Soutと同期信号Sinの
レベルの不一致が検出されて、出力信号S11がローレ
ベルからハイレベルに立ち上がる。この立ち上がりエッ
ジに同期して、パルス発生回路120によりパルス信号
S12が生成される(時刻t13)。
【0048】次の周期(図6b)においては、前の周期
の時刻t9から時刻t11に相当する位相において発振
信号Soutのパルス幅が延長され、発振信号Sout
は同期信号Sinとともにローレベルからハイレベルに
立ち上がる(時刻t14)。これは、時刻t10に生成
されたパルス信号S12によって発振信号Soutが位
相の後退を生じたためである。一方、時刻t13に生成
されたパルス信号S12は、発振信号Soutのハイレ
ベル期間と重なっており、OR回路130による合成信
号S13の波形に影響しないため、位相の変化に殆ど影
響を与えない。同期信号Sinがハイレベルからローレ
ベルに立ち下がると(時刻t15)、EXOR回路11
0によって発振信号Soutと同期信号Sinのレベル
の不一致が検出されて、出力信号S11がローレベルか
らハイレベルに立ち上がる。この立ち上がりエッジに同
期して、パルス発生回路120によりパルス信号S12
が生成される(時刻t16)。次の周期(図5c)にお
いて、発振信号Soutと同期信号Sinの位相は一致
し、パルス信号S12は生成されない。
【0049】図7は、発振信号Soutがパルス信号S
12によって位相前進または位相後退を生じる位相シフ
トの量をシミュレーションした結果を示す図である。左
側の縦軸は位相シフトの量を時間で示しており、右側の
縦軸は発振信号Soutの電圧振幅を示している。また
横軸は発振信号Soutの1周期の時間を示している。
図の印×で示すプロットは発振信号Soutの1周期の
各タイミングに入力されるパルス信号S12によって発
振信号Soutに生じる位相シフトの量を示している。
位相シフトの符号がマイナスの場合に位相の前進を、プ
ラスの場合に位相の後退を示している。また、図の実線
で示す波形は、発振信号Soutの1周期の波形であ
る。
【0050】図7に示すように、発振信号Soutが立
ち上がる位相より進んだタイミングでパルス信号S12
が印加された場合、発振信号Soutは位相前進を生じ
ており、遅れたタイミングで印加された場合には位相後
退を生じている。そして、発振信号Soutの1周期内
において、発振信号Soutがハイレベルになっている
期間を除く期間にパルス信号S12が印加された場合、
発振信号Soutは位相前進または位相後退の何れかを
起こしていることが分かる。すなわち、同期信号Sin
に対する発振信号Soutの位相の進みまたは遅れが検
出されるタイミングに同期してリング発振回路にパルス
信号を印加することにより、発振信号Soutの位相を
シフトさせて、同期信号Sinの位相に同期させること
が可能であることが、このシミュレーション結果によっ
て確認できる。
【0051】次に、図2に示す位相同期回路において、
発振信号Soutの位相が同期信号Sinに同期した場
合における動作について説明する。図8は、発振信号S
outの位相が同期信号Sinに同期した場合における
動作を説明するための図であり、図8と図2の同一符号
は同一の構成要素を示している。
【0052】図8と図2の違いは、図8において、EX
OR回路110の2つの入力に発振信号Soutが入力
されていることにある。これは、発振信号Soutの位
相が同期信号Sinと一致している状態と等価である。
この場合、EXOR回路110の出力は常に論理値”
0”となり、その結果パルス発生回路120からの出力
も常に論理値”0”となって、OR回路130の一方の
入力は常に論理値”0”に固定される。したがって、O
R回路130は単純な遅延要素となり、位相同期回路
は、インバータ141〜インバータ14mとOR回路1
30がリング状に接続されたリング発振回路と等価にな
る。したがって、その発振周波数は、OR回路130に
よる遅延が無視できる場合、インバータ141〜インバ
ータ14mの段数に応じてほぼ決定される。
【0053】図9は、図8に示す回路において、発振信
号Soutの波形をインバータの段数に応じてシミュレ
ーションした結果を示す図である。図の縦軸は波形の電
圧振幅を示し、横軸は時間を示している。また、実線の
波形W15はインバータが15段の場合の波形を、点線
の波形W7はインバータが7段の場合の波形をそれぞれ
示している。なお、インバータとしては図3bに示すE
XOR回路を用いている。
【0054】図9に示すように、立ち上がりおよび立ち
下がりの波形は共にシャープな波形となり、発振の周期
はインバータの段数に比例して長くなっている。段数を
より少なくすることによって発振周波数を上げることが
可能であるが、周期に対する波形の鈍りが相対的に大き
くなるので、波形は正弦波に近づく。なお、図示はしな
いが、FPGAを用いた実際の回路においても同様の性
質を確認することが可能である。ただし、実際のFPG
Aにおいてはシャープな立ち上がりおよび立ち下がり波
形とともに、定常期間におけるリンギングが生ずる場合
がある。これは、FPGA内の配線がスイッチを含むた
めに生じる寄生的な効果と考えられる。
【0055】次に、図2に示す位相同期回路に複数の同
期信号を入力する場合について説明する。図10は、位
相同期回路に複数の同期信号を入力する第1の例を示す
回路図である。図10と図2の同一符号は同一の構成要
素を示している。その他、図10に示す位相同期回路
は、EXOR回路111、パルス発生回路121、およ
びOR回路131を有する。
【0056】図10と図2の違いは、図2の位相同期回
路において、インバータ141〜インバータ14mとと
もにリング発振回路を構成するOR回路130が1つで
あるのに対し、図10の位相同期回路においてはこれに
加えてOR回路131を有していることにある。そし
て、このOR回路131に入力される発振信号Sout
1と、同期信号Sin1の位相を比較するEXOR回路
111、およびこのEXOR回路111の出力信号の立
ち上がりに同期したパルス信号を生成してOR回路13
1に入力するパルス発生回路121が追加されている。
【0057】図10に示す2入力の位相同期回路の場合
においても、図5〜図7において説明した位相同期機構
がそれぞれの同期信号に対して存在する。また、パルス
発生回路から出力されるパルス信号のパルス幅は基本的
に短く、波形も十分シャープであるので、リング発振回
路に印加されるパルス信号間の干渉は無視できる。した
がって、2入力の位相同期回路も、図2に示した1入力
1出力の場合と同様に、それぞれ対応する同期信号と発
振信号との位相が同期するように発振信号の位相がシフ
トされる性質を有している。この性質は、2入力以上の
入力数においても成立する。ただし、図10に示す位相
同期回路に入力される同期信号間の相対的な位相差は、
対応する発振信号間の相対的な位相差とほぼ等しい必要
がある。
【0058】図11は、位相同期回路に複数の同期信号
を入力する第2の例を示す回路図である。図11と図2
の同一符号は同一の構成要素を示している。その他、図
11に示す位相同期回路は、EXOR回路111〜EX
OR回路11k(kは1より大きい整数を示す)、パル
ス発生回路121〜パルス発生回路12k、およびOR
回路13kを有する。
【0059】図11と図2の違いは、図2の位相同期回
路において発振信号Soutは1つの同期信号Sinと
位相を比較されるのに対して、図11の位相同期回路に
おいては、同期信号Sinに加えてk個の同期信号Si
n1〜同期信号Sinkと位相を比較され、比較結果に
応じて生成される(k+1)個のパルス信号と発振信号
SoutとがOR回路130において論理加算されるこ
とにある。
【0060】図11に示す多入力の位相同期回路の場合
においても、図5〜図7において説明した位相同期機構
がそれぞれの同期信号に対して存在する。また、パルス
発生回路から出力されるパルス信号のパルス幅は基本的
に短く、波形も十分シャープであるので、リング発振回
路に印加されるパルス信号間の干渉は無視できる。した
がって、それぞれの同期信号と発振信号Soutの位相
が同期するように発振信号Soutの位相がシフトされ
る性質を有している。
【0061】なお、図11に示す多入力の位相同期回路
においては、インバータ14mがドライブする回路数が
増えるため、EXOR回路の個数によってはインバータ
のドライブ能力を超えてしまい、リング発振回路の発振
が抑制されてしまうことがある。このような場合、多入
力の位相同期回路としては図10に示す構成が望まし
い。
【0062】次に、同期信号に対して所定の定常位相差
を有する発振信号を生成させる場合について説明する。
図12は、同期信号に対して所定の定常位相差を有する
発振信号を生成させる回路例を示す図であり、図2と図
12の同一符号は同一の構成要素を示している。図12
に示す位相同期回路は、図2に示す位相同期回路におけ
るインバータの段数mが5段になった回路であり、縦続
接続されたインバータ141〜インバータ145から、
それぞれ発振信号Sout1〜発振信号Sout5が出
力されている。
【0063】図13は、図12に示す位相同期回路によ
る発振信号Sout1〜発振信号Sout5のタイミン
グを示す図である。図13に示すように、インバータ1
41〜インバータ145がそれぞれ等しい遅延時間td
を有している場合、隣り合うインバータから出力される
発振信号はこの遅延時間tdの分だけの位相差を有して
いる。すなわち、発振信号Sout1(図13a)と発
振信号Sout2(図13b)、発振信号Sout2
(図13b)と発振信号Sout3(図13c)、発振
信号Sout3(図13c)と発振信号Sout4(図
13d)、ならびに発振信号Sout4(図13d)と
発振信号Sout5(図13e)の間に遅延時間tdが
生じている様子が示されている。さらに、OR回路13
0の遅延時間がインバータに比べて十分小さいとき、発
振信号Sout5(図13e)と発振信号Sout1
(図13a)の間に遅延時間tdが生じるため、発振信
号Sout1〜発振信号Sout5の間によって1周期
を5等分した位相のクロック信号が得られる。
【0064】例えばインバータの段数がm段の場合、イ
ンバータ間の位相差は1周期をm等分した位相となる。
すなわち、クロックの1周期をインバータの段数で割っ
た解像度で、位相の異なる複数のクロック信号を得るこ
とができるので、これにより、周波数が許す限りにおい
て任意の位相差を有するクロック信号を得ることができ
る。
【0065】以上説明したように、第1の実施形態に係
る位相同期回路によれば、少なくとも1つの合成部13
とインバータ部14とがリング状に接続され、任意の接
続ノードから発振信号が出力可能なリング発振回路にお
いて、パルス発生部12により発生されたパルス信号と
前段のノードからの発振信号とが合成部13により合成
されて次段に出力される。また、前段のノードから合成
部13に入力される発振信号が同期信号に対して有する
位相進みまたは位相遅れが位相比較部11によって検出
され、この検出時点に同期したパルス信号がパルス発生
部12によって発生されて、合成部13に入力される。
このリング発振回路に印加されるパルス信号によって位
相の引き込みが生じ、リング発振回路による発振信号の
位相は同期信号の位相と同期する。したがって、論理式
によって記述可能なデジタル型の位相同期回路を、従来
に比べて簡易な構成によって構成させることができる。
これにより集積回路全体の回路規模を小さくすることが
でき、消費電力の増大やコストの上昇を抑えることがで
きる。
【0066】また、インバータ部14が、所定の遅延特
性を有した複数のインバータ回路141〜14mによっ
て構成されることにより、各インバータ回路の出力か
ら、所定の位相差を有し、かつ同期信号に位相が同期し
た複数の発振信号を生成させることができる。
【0067】また、例えばFPGAなどのように、ソフ
トウェアに応じて回路構成を動的に修正できるデバイス
上に位相同期回路を構成させることによって、インバー
タの段数を任意に可変させることができる。これにより
発振信号の周波数を任意に可変させることができる。
【0068】<第2の実施形態>次に、上述した位相同
期回路を半導体チップ上の集積回路に複数配置し、それ
ぞれの位相同期回路が出力する発振信号を同期信号とし
て他の位相同期回路に入力することにより構成される発
振装置について説明する。図14は、本発明の第2の実
施形態に係る発振装置を説明するための概略的な第1の
構成図である。図14に示す発振装置は、本発明の第1
の実施形態において説明した位相同期回路301〜位相
同期回路306を有しており、それぞれの位相同期ルー
プが出力する発振信号を、同期信号として他の位相同期
回路に入力することにより、位相同期回路301〜位相
同期回路306がリング状に接続されている。
【0069】位相同期回路301〜位相同期回路306
は、隣の位相同期回路から受けた同期信号に同期させた
発振信号をもう一方の隣の位相同期回路に同期信号とし
て入力することにより、1方向へ同期信号を伝播させる
ループを形成している。そして、各位相同期回路は、リ
ング発振回路の位相引き込み能力によって入力の同期信
号と出力の発振信号との位相を同期させるので、位相同
期回路間を伝播する同期信号の遅延が許容範囲にあれ
ば、全ての位相同期回路の発振位相を同期させることが
できる。
【0070】なお、図14に示す位相同期回路305か
ら位相同期回路306への配線のように、1つのループ
内で他の配線より数倍程度長い配線が存在し、その配線
において位相同期回路の同期能力を越える遅延が生じる
と、これによって発振装置全体の相互同期が達成できな
くなる場合がある。したがって、好適には、以下に説明
する図15や図16のような均一の配線網によって位相
同期回路間が配線されることが好ましい。ただし、位相
同期回路の同期能力を越えない範囲においては、ある程
度配線の長さにばらつきが生じていても発振装置全体の
相互同期に影響を与えることはない。すなわち、上述し
た本発明の位相同期回路を相互に接続した発振装置によ
れば、リング発振回路の出力を直接接続する図22に示
した発振装置のように配線長のばらつきがリング発振回
路間の発振位相に直接影響を与えることはなく、同期能
力を越えない範囲においてばらつきの影響が吸収され
て、位相が均一に同期した発振信号を得ることができ
る。
【0071】図15は、本発明の第2の実施形態に係る
発振装置を説明するための概略的な第2の構成図であ
る。図15に示す発振装置は、格子状に配置された本発
明の位相同期回路307〜位相同期回路315を有して
おり、それぞれの位相同期ループが出力する1または2
の発振信号が、上下左右に隣接する1または2の位相同
期回路に同期信号として入力されている。すなわち、位
相同期回路307〜位相同期回路315が格子状に接続
されている。図15において、例えば位相同期回路31
1のように2つの同期信号を入力し、2つの発振信号を
出力する回路として、図10または図11に示す回路が
用いられる。
【0072】図16は、本発明の第2の実施形態に係る
発振装置を説明するための概略的な第3の構成図であ
る。図16に示す発振装置は、三角形格子状に配置され
た本発明の位相同期回路316〜位相同期回路323を
有しており、それぞれの位相同期ループが出力する1な
いし3の発振信号が、隣接する1ないし3の位相同期回
路に同期信号として入力さてている。これにより、位相
同期回路316〜位相同期回路315が三角形格子状に
接続されている。図16においては、例えば位相同期回
路320のように3つの同期信号を入力し、3つの発振
信号を出力する回路として、上述した多入力多出力の位
相同期回路が用いられる。
【0073】上述した図15または図16に示す発振装
置においても、各位相同期回路がリング発振回路の位相
引き込み能力によって入力の同期信号と出力の発振信号
との位相を同期させるので、位相同期回路間を伝播する
同期信号の遅延が許容範囲にあれば、全ての位相同期回
路の発振位相を同期させることができる。
【0074】ここで3つの位相同期回路をループ状に接
続させた場合における各発振信号の具体的な波形につい
て説明する。図17は、3つの位相同期回路をループ状
に接続させた場合における各発振信号の波形をシミュレ
ーションした結果を示す波形図である。図17の縦軸は
各発振信号の電圧振幅を示し、横軸は時間を示してい
る。また、実線で示す波形W1、短い点線で示す波形W
2、および長い点線で示す波形W3は、それぞれ異なる
位相同期回路の発振信号波形を示している。
【0075】図17に示すように、初期状態において互
いにずれている発振信号W1、発振信号W2および発振
信号W3の位相が、数周期のうちに安定状態となって一
致し、この位相が保持される様子が示されている。
【0076】図18は、3つの位相同期回路をループ状
に接続させた場合における各発振信号の波形を実際のF
PGAにおいて観測した波形図である。図18の縦軸は
各発振信号の電圧振幅を示し、横軸は時間を示してい
る。なお、各位相同期回路におけるインバータの段数は
31段とし、図3bに示したEXOR回路によるインバ
ータを用いている。
【0077】図17に示すように、3つの発振信号(図
18a、図18bおよび図18c)の位相はほぼ一致し
ている。波形には若干のリンギングが生じているもの
の、立ち上がり波形および立ち下がり波形はともに急峻
であり、相互の位相は同期した状態で安定に保持されて
いることが確認される。
【0078】ところで図12に示す発振装置は、各位相
同期ループが有するリング発振回路の位相引き込み能力
を利用して複数のリング発振回路の位相を同期させる点
において、上述した図22に示すクロック信号分配方式
と共通している。ただし図22と図12とで異なる点
は、図12に示す発振装置において、図22に含まれて
いたアナログ的回路構成が排除されている点にある。図
12においては、各位相同期回路が出力する発振信号が
隣の位相同期回路の位相比較部に入力されており、図2
2に示す方式のようにリング発振回路の出力どうしを直
接接続するような個所はなく、全ての回路を論理式にお
いて記述可能である。
【0079】したがって、例えばFPGAなどのように
回路をソフトウェアに応じて自由に修正可能な市販のデ
バイスによって回路を構成できる。これにより、例えば
システムの起動中に、ソフトウェアに応じて回路の構成
を動的に変化させるような動作が可能になる。図19
は、1つの半導体チップ上で、複数の異なるクロック信
号を持つ集積回路の領域を動的に変化させる場合の動作
を説明するための概念図である。本発明のように全ての
回路が論理式において記述可能なデジタル回路により構
成されていれば、例えばFPGAなどのデバイスを用い
ることによって、図19に示すように、半導体チップ4
00上に構成された異なるクロック信号を持つ集積回路
の領域501および領域502の配置構成を、状態Aと
状態Bとの間で動的に変化させることができる。また同
様に、位相同期回路におけるインバータの段数を動的に
変更させて、分配するクロック信号の周波数を動的に変
更させることも可能である。
【0080】以上説明したように、第2の実施形態に係
る発振装置は、第1の実施形態において説明した本発明
の位相同期回路により構成されており、それぞれの位相
同期回路により生成された発振信号を、同期信号として
他の位相同期回路に入力している。したがって、全ての
回路を論理式によって記述可能なデジタル回路によって
構成でき、これにより、例えばFPGAなどのように回
路構成をソフトウェアに応じて自由に修正可能な市販の
デバイスを用いて回路を実現できる。したがって、例え
ばシステムの起動中に、ソフトウェアに応じて回路の構
成を動的に変化させるような動作も可能になる。また、
通常の論理回路のシミュレーションを行うことができる
ので、回路動作の検証が容易になり、設計期間を短縮で
きる。さらに、従来のデジタル型位相同期回路に比べて
回路が簡易であるので、集積回路全体の回路規模を小さ
くすることができ、消費電力の増大やコストの上昇を抑
えることができる。
【0081】また、上記リング発振回路が、所定の遅延
特性を有した複数の上記インバータ回路を含むことによ
って、所定の位相差を有し、かつ互いに位相が同期した
複数の発振信号を、これらのインバータ回路の出力から
得ることができる。
【0082】また、リング発振回路におけるインバータ
の段数を、例えばソフトウェアに応じて動的に変更させ
ることにより、発振周波数を可変させることができる。
同様にして、回路網の接続を動的に変更させることもで
きるので、半導体チップ上におけるクロック周波数の異
なった複数の領域の配置構成を、ソフトウェアに応じて
動的に変更させることができる。
【0083】
【発明の効果】本発明によれば、位相同期回路を論理回
路のみによる簡易な構成によって実現できる。これによ
り、従来に比べて集積回路全体の回路規模を小さくする
ことができ、消費電力の増大やコストの上昇を抑えるこ
とができる。また、回路構成を動的に変化させること
で、発振信号の周波数を任意に可変させることができ
る。また本発明によれば、論理回路のみによる簡易な構
成の位相同期回路を複数接続させた発振装置を実現でき
る。これにより、従来に比べて集積回路全体の回路規模
を小さくすることができ、消費電力の増大やコストの上
昇を抑えることができる。また、回路構成を動的に変化
させることが可能となり、発振信号の周波数を任意に可
変させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る位相同期回路の第1の実施形態を
説明するための概略的な構成図である。
【図2】図1に示した位相同期回路の各部を具体例を示
す回路図である。
【図3】インバータ141〜インバータ14mの例を示
す図である。
【図4】パルス発生回路120の構成を示す回路図であ
る。
【図5】同期信号Sinの位相が発振信号Soutに対
して遅れている場合の動作を説明する波形図である。
【図6】同期信号Sinの位相が発振信号Soutに対
して進んでいる場合の動作を説明する波形図である。
【図7】発振信号Soutがパルス信号S12によって
位相前進または位相後退を生じる位相シフトの量をシミ
ュレーションした結果を示す図である。
【図8】発振信号Soutの位相が同期信号Sinに同
期した場合における動作を説明するための図である。
【図9】図8に示す回路において、発振信号Soutの
波形をインバータの段数に応じてシミュレーションした
結果を示す図である。
【図10】位相同期回路に複数の同期信号を入力する第
1の例を示す回路図である。
【図11】位相同期回路に複数の同期信号を入力する第
2の例を示す回路図である。
【図12】同期信号に対して所定の定常位相差を有する
発振信号を生成させる回路例を示す図である。
【図13】図12に示す位相同期回路による発振信号S
out1〜発振信号Sout5のタイミングを示す図で
ある。
【図14】本発明の第2の実施形態に係る発振装置を説
明するための概略的な第1の構成図である。
【図15】本発明の第2の実施形態に係る発振装置を説
明するための概略的な第2の構成図である。
【図16】本発明の第2の実施形態に係る発振装置を説
明するための概略的な第3の構成図である。
【図17】3つの位相同期回路をループ状に接続させた
場合における各発振信号の波形をシミュレーションした
結果を示す波形図である。
【図18】3つの位相同期回路をループ状に接続させた
場合における各発振信号の波形を実際のFPGAにおい
て観測した波形図である。
【図19】1つの半導体チップ上で、複数の異なるクロ
ック信号を持つ集積回路の領域を動的に変化させる場合
の動作を説明するための概念図である。
【図20】従来のアナログ型PLL回路の構成例を示す
概略的な図である。
【図21】従来のデジタル型PLL回路の構成例を示す
概略的な図である。
【図22】半導体チップ上の集積回路に複数分散された
リング発振回路によりクロック信号を分配する従来の方
式を説明するための図である。
【図23】半導体チップ上の集積回路に複数分散された
PLL回路によりクロック信号を分配する従来の方式を
説明するための図である。
【符号の説明】
11…位相比較部、12…パルス発生部、13…合成
部、14…インバータ部、110〜11k…EXOR回
路、120〜12k…パルス発生回路、130,13
1,13k…OR回路、インバータ141〜インバータ
14m、301〜323…位相同期回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 春山 真一郎 東京都品川区東五反田3丁目14番13号 株 式会社ソニーコンピュータサイエンス研究 所内 Fターム(参考) 5J106 AA04 CC06 CC27 DD43 DD46 JJ01 KK03 KK36 KK37 KK38 KK39 KK40

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一つの同期信号を受けて、当
    該同期信号に位相が同期した少なくとも一つの発振信号
    を生成する位相同期回路であって、 少なくとも1つのインバータと少なくとも1つの合成回
    路とがリング状に接続され、任意の接続ノードから上記
    発振信号が出力可能で、かつ、上記合成回路は、入力し
    たパルス信号と前段のノードからの発振信号とを合成し
    て次段のノードに出力するリング発振回路と、 上記合成回路に入力される前段のノードからの発振信号
    が上記同期信号に対して有する位相進みまたは位相遅れ
    を検出し、当該位相進みまたは位相遅れの検出時点に同
    期して発生したパルス信号を当該合成回路に入力する、
    少なくとも一つのパルス入力回路とを有する位相同期回
    路。
  2. 【請求項2】 上記パルス入力回路は、 少なくとも一つの上記同期信号に対する上記発振信号の
    位相進みまたは位相遅れを検出する位相検出回路と、 上記位相検出回路による上記位相進みまたは位相遅れの
    検出時点に同期して、少なくとも一つの上記パルス信号
    を発生するパルス発生回路とを含む、 請求項1に記載の位相同期回路。
  3. 【請求項3】 上記リング発振回路は、所定の遅延特性
    を有した複数の上記インバータ回路を含む、 請求項1に記載の位相同期回路。
  4. 【請求項4】 上記リング発振回路は、発振周波数の変
    更を指示する信号に応じて、上記インバータの段数を変
    更する、 請求項1に記載の位相同期回路。
  5. 【請求項5】 少なくとも一つの同期信号を受けて、当
    該同期信号に位相が同期した少なくとも一つの発振信号
    を生成する複数の位相同期回路を含み、それぞれの上記
    位相同期回路により生成された上記発振信号を、上記同
    期信号として他の位相同期回路に入力する発振装置であ
    って、 上記位相検出回路は、 少なくとも1つのインバータと少なくとも1つの合成回
    路とがリング状に接続され、任意の接続ノードから上記
    発振信号が出力可能で、かつ、上記合成回路は、入力し
    たパルス信号と前段のノードからの発振信号とを合成し
    て次段のノードに出力するリング発振回路と、 上記合成回路に入力される前段のノードからの発振信号
    が上記同期信号に対して有する位相進みまたは位相遅れ
    を検出し、当該位相進みまたは位相遅れの検出時点に同
    期して発生したパルス信号を当該合成回路に入力する、
    少なくとも一つのパルス入力回路とを有する発振装置。
  6. 【請求項6】 上記パルス入力回路は、 少なくとも一つの上記同期信号に対する上記発振信号の
    位相進みまたは位相遅れを検出する位相検出回路と、 上記位相検出回路による上記位相進みまたは位相遅れの
    検出時点に同期して、少なくとも一つの上記パルス信号
    を発生するパルス発生回路とを含む、 請求項5に記載の発振装置。
  7. 【請求項7】 上記リング発振回路は、所定の遅延特性
    を有した複数の上記インバータ回路を含む、 請求項5に記載の発振装置。
  8. 【請求項8】 上記リング発振回路は、発振周波数の変
    更を指示する信号に応じて、上記インバータの段数を変
    更する、 請求項5に記載の発振装置。
  9. 【請求項9】 上記複数の位相同期回路は、回路網の接
    続変更を指示する信号に応じて、上記発振信号の出力ラ
    インと上記同期信号の入力ラインとの接続を変更する、 請求項5に記載の発振装置。
  10. 【請求項10】 上記複数の位相同期回路は、上記発振
    信号の出力ラインと上記同期信号の入力ラインとの間に
    おける接続配線の長さが等しくなるように配置される、 請求項5に記載の発振装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7863987B2 (en) 2005-09-16 2011-01-04 Fujitsu Limited Clock signal generating and distributing apparatus

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