JP2002133715A - 光学的情報記録媒体および情報記録媒体の製造方法 - Google Patents
光学的情報記録媒体および情報記録媒体の製造方法Info
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Abstract
ィスクとその製造方法を提供する。 【構成】 光ディスク1は、基板4の厚さ方向に2面の
情報記録面を有している。第2の情報記録面は、ダブル
パス複屈折が±50nm以下で、かつ20μm〜100
μmの範囲で均一な膜厚の熱可塑性樹脂シート37を基
板4上に積層して構成した透明層6上に形成される。透
明層6のピット4Bは、基板4と第2の情報記録面3を
形成するためのスタンパ36とで熱可塑性樹脂シート3
7を加熱加圧して成形することで形成される。
Description
向に2面以上の情報記録面を有する多層構造の光学的情
報記録媒体及びその製造方法に関するものである。
記録され、レーザ光スポットを用いて記録された情報を
読み出させる光学的情報記録媒体があり、特に、近年に
おいては、コンパクトディスク(CD)や、CD−RO
Mをはじめとする光ディスクの普及がめざましいものと
なっている。上記CD−ROMは、コンピュータ用のみ
ならず、最近は多機能ゲーム用CD−ROMも登場し、
コンピュータ、ゲーム共磁気ディスク(フロッピディス
ク)やROMカートリッジからCDへの乗り換えが進ん
でいる。更にはCDを高密度にしたDVD(デジタルビ
デオディスク)が登場せんとし、映画以外にマルチメデ
ィアへの利用もささやかれている。
記録することが可能な多層構造の光ディスクが提案され
ている。従来のCDが基板上のある一面にのみ信号が記
録されている単層の情報記録面を有しているのに対し、
上記多層構造の光ディスクは、基板の厚さ方向に複数の
情報記録面を有する構造となっている。
スクについて説明する。図1は、本発明の第1の実施例
の光ディスク及び従来の多層構造の光ディスクの構造を
示す図である。なお、同図は、光ディスクのトラック方
向の断面図の一部を示している。また、説明を簡単にす
るため、以下に説明する多層構造の光ディスクについて
は、情報記録面を2面有するものについて説明する。
ィスク(以下、単に光ディスクと記載する)101は、
光透過性基板4上に、第1の反射層5、透明層106、
第2の反射層7、保護層8がこの順に積層されて構成さ
れている。上記基板4上には情報に応じた凹凸ピット4
Aが形成され、また上記透明層106上には情報に応じ
た凹凸ピット4Bが形成されている。即ち、上記光ディ
スク101は、基板4の厚さ方向に2面の情報記録層を
有しており、上記光透過性基板4のピット4A形成面が
第1の情報記録面2であり、上記透明層106のピット
4B形成面が第2の情報記録面3である。また、第1の
情報記録面2と第2の情報記録面3との間に形成される
第1の反射層5は、第2の情報記録面3への光の入射や
反射が行えるようある程度の光透過率を有する材料で構
成される。なお、3面以上の情報記録面を形成する場合
には、上記透明層106上の第2の反射層7上に第2の
透明層を形成し、この第2の透明層上にピットを形成し
て第3の情報記録面とし、更に第4の情報記録面以降も
同様に構成される。
出すための再生用レーザ光は、上記基板4の下側から入
射される。ここで、上記光ディスク101における各情
報記録面の間隔は数十ミクロンと狭いが、再生装置の光
ピックアップはその間隔を正しく認識して、所望の情報
記録面に焦点を結ぶことで、各情報記録面の情報が読み
出されるようになっている。以上のように光ディスクの
構造を基板4の厚さ方向に2面以上の情報記録面を設け
て多層構造とすることで、従来の単層構造の光ディスク
よりも大量の情報を記録することが可能になるのであ
る。
1の従来の製造方法を図6を用いて説明する。なお、説
明の簡略化のために2層ディスクとして説明する。ま
ず、同図(A)に示すように、第1の情報記録面のピッ
ト4Aの逆パターンを有するスタンパ(図示せず)によ
り、例えば射出成形によってピット4Aを表面に有する
光ディスク基板4を成形する。次に、同図(B)に示す
ように、基板4のピット4Aが形成された表面に第1の
反射層5をスパッタリング、真空蒸着法、スピンコート
などの成膜方法によって形成する。なお、この第1の反
射層5は前述のようにある程度の光透過率を有する反射
膜である。
報記録面を形成する。第2の情報記録面は従来より周知
の2P工法により形成する。即ち、同図(C)に示すよ
うに、第2の情報記録面のピット4Bの逆パターンの凹
凸形状41Aを有するスタンパ41を用意し、上記基板
4の第1の反射層5上に紫外線硬化樹脂42を滴下し、
続いてスタンパ41の信号面を紫外線硬化樹脂42が滴
下された基板4上に押圧して紫外線硬化樹脂42を均一
な厚みに延ばす。このスタンパ41の押圧時、基板4の
外周部からオーバーフローした樹脂はノズル(図示せ
ず)で吸い取る。そして、基板4側から紫外線を照射し
て上記紫外線硬化樹脂42を硬化させてスタンパ41を
剥離すると、同図(D)に示すように第2の情報記録面
3となるピット4Bが形成された光ディスク基板が得ら
れる。最後に第2の情報記録面3上に、アルミニウムや
金等をスパッタリングや真空蒸着等の真空成膜に成膜す
ることによって第2の反射層7を形成し、更にこの第2
の反射層7上に保護膜8を形成し、保護膜8上にレーベ
ル(図示せず)を印刷することにより、同図(E)に示
すような多層構造の光ディスクが完成する。
な多層構造の光ディスクは再生原理上の制約により、各
情報記録面の間隔を非常に厳密に管理する必要がある。
例えば40μmの情報記録面間膜厚に対し、±2μmく
らいの膜厚変動しか許容されない。しかし上述の2P工
法では装置の精度を向上させても±5μmくらいにする
のが限度である。更に、上記2P工法は、射出成形に比
べると生産性が悪く、第2面以降の情報記録面の成形に
1面当たり2分くらい要してしまう。2P工法による成
形速度を上げることは可能であるが、膜厚の精度が下が
ったり、気泡を巻き込んで欠陥を生じたり、オーバーフ
ローの吸い取りが不充分となる等の問題が生じる。即
ち、従来より知られている製造方法を用いて上述のよう
な多層構造の光ディスクを製造しようとすると、精度と
生産性の両方に問題が生じてしまうのである。
れたものであり、精度と生産性の両方に有効な多層構造
の光ディスクとその製造方法を提供することを目的とす
るものである。
成するために、厚さ方向に異なる情報が形成された複数
の情報記録面を有し、再生用レーザ光の焦点位置を変え
ることにより、前記各情報記録面に記録された情報を読
み出すようにした光学的情報記録媒体において、前記情
報記録面と等しい層数の反射層を有し、前記反射層上に
積層され、ダブルパス複屈折が±50nm以下で、かつ
20μm〜100μmの範囲で均一な膜厚の樹脂シート
に形成された情報記録面を少なくとも1面以上含むこと
を特徴とする光学的情報記録媒体を提供しようとするも
のである。
に、光透過性基板の厚さ方向に異なる情報が形成された
複数の情報記録面と、前記情報記録面と等しい層数の反
射層とを有し、前記情報記録面は前記反射層上に積層さ
れた略均一膜厚の熱可塑性樹脂シート上に形成された情
報記録面を少なくとも1面以上含む光学的情報記録媒体
の製造方法であって、前記光透過性基板上あるいは前記
光透過性基板上に積層された前記熱可塑性樹脂シート上
に第1のスタンパーにより第1の情報面を形成する工程
と、前記第1の情報面上に第1の反射膜を形成する工程
と、前記第1の反射膜上に平坦な略均一膜厚の熱可塑性
樹脂シートを介して、第2のスタンパーを配置する工程
と、前記第1の反射膜と、前記第2のスタンパーとの間
で前記熱可塑性樹脂シートを加熱・加圧することによ
り、第2の情報面を転写すると同時に前記第1の反射膜
に前記熱可塑性樹脂シートを接着する工程と、冷却によ
り前記熱可塑性樹脂シートを固化する工程と、前記第2
のスタンパーを剥離する工程と、前記第2の情報面上に
第2の反射膜を形成する工程とを含み、前記第1の情報
面上に第1の反射膜を形成する工程と、前記第1の反射
膜と、前記第2のスタンパーとの間で前記熱可塑性樹脂
シートを加熱・加圧することにより、第2の情報面を転
写すると同時に前記第1の反射膜に前記熱可塑性樹脂シ
ートを接着する工程とを共に真空中で連続して行うこと
を特徴とする情報記録媒体の製造方法を提供する。
めに、光透過性基板の厚さ方向に異なる情報が形成され
た複数の情報記録面と、前記情報記録面と等しい層数の
反射層とを有し、前記情報記録面は前記反射層上に積層
された略均一膜厚の熱可塑性樹脂シート上に形成された
情報記録面を少なくとも1面以上含む光学的情報記録媒
体の製造方法であって、前記光透過性基板上あるいは前
記光透過性基板上に積層された前記熱可塑性樹脂シート
上に第1のスタンパーにより第1の情報面を形成する工
程と、前記第1の情報面上に第1の反射膜を形成する工
程と、前記第1の反射膜上に光反射性物質が一方の面に
付着した平坦な略均一膜厚の熱可塑性樹脂シートを、光
反射性物質の付着面が第2のスタンパ側になるように配
置する工程と、前記第1の反射膜と、前記第2のスタン
パーとの間で前記光反射性物質が一方の面に付着した熱
可塑性樹脂シートを加熱・加圧することにより、第2の
反射膜と第2の情報面を同時転写し、さらに前記第1の
反射膜に前記熱可塑性樹脂シートを接着する工程と、冷
却により前記熱可塑性樹脂シートを固化する工程と、前
記第2のスタンパーを剥離する工程とを少なくとも含
み、前記第1の反射膜と、前記第2のスタンパーとの間
で前記熱可塑性樹脂シートを加熱・加圧することによ
り、第2の情報面を転写すると同時に前記第1の反射膜
に前記熱可塑性樹脂シートを接着する工程を、真空中で
行うことを特徴とする情報記録媒体の製造方法を提供す
る。
を説明する。最初に本発明の光ディスクの構造について
図1を用いて説明する。なお、上記従来例と同様な部分
は同じ符号を付している。本実施例の光ディスクは、図
1に示すように上述した従来の多層構造の光ディスク1
01とほぼ同様な構成となっている。即ち、基板4の厚
さ方向に第1の情報記録面2と第2の信号記録面3との
2面の情報記録面を有しており、第1の情報記録面2は
基板4のピット4Aが形成される表面であり、第2の情
報記録面3は透明層6のピット4Bが形成される表面で
ある。そして、上記光透過性基板4上には、上記第1の
反射層5、上記透明層6、上記第2の反射層7、保護膜
8がこの順に積層されて構成されている。
101とが異なる点は、透明層6に使用する材料であ
る。即ち、上記光ディスク1の透明層6は、熱可塑性樹
脂が使用される。これは、後述する光ディスク1の製造
時に、熱可塑性樹脂シートが使用されるためである。
脂シートは、再生原理上の理由からダブルパス複屈折が
±50nm以下、望ましくは±30nm以下であるもの
を使用する。これは、ダブルパス複屈折が±50nm以
上になると光学的な歪による再生信号の劣化が大きくな
ってエラーレートが増えるためである。従って、熱可塑
性樹脂シートの材料としてはアクリル樹脂(PMM
A)、ポリカーボネート樹脂(PC)、またはアモルフ
ァスポリオレフィンを使用することが望ましい。
0μm以下であると、ハンドリング性が下がり、成形時
にもシワが入りやすくなる。また、上記透明層6の膜厚
は使用する熱可塑性樹脂シートの膜厚にほぼ等しくなる
ので、熱可塑性樹脂シートの膜厚が100μm以上にな
ると再生装置の光ピックアップの追従が困難になる。こ
のため、光ピックアップの構成を複雑にしてしまう可能
性があり、100μm以上の膜厚のものを使用するのは
好ましくない。したがって、熱可塑性樹脂シートの膜厚
は20μm〜100μm、望ましくは25〜75μmの
ものを使用して、透明層6の膜厚が20μm〜100μ
mとなるようにする。
情報記録面に記録された情報を読み出すための再生用レ
ーザ光は、基板4の下側から入射される。光ディスク1
における各情報記録面の間隔は数十ミクロンと狭いが、
再生装置の光ピックアップはその間隔を正しく認識し
て、所望の情報記録面に焦点を結ぶことで、各情報記録
面の情報を読み出す。
る情報記録面(第2の情報記録面3)は、ダブルパス複
屈折が±50nm以下で、かつ20μm〜100μmの
範囲で均一な膜厚の熱可塑性樹脂シートを用いて構成し
た透明層7上に形成するようにしたので、光学的な歪に
よる再生信号の劣化が小さく、各情報記録面の間隔変動
が非常に小さい光ディスクとすることができる。即ち、
透明層6の膜厚変動は熱可塑性樹脂シートの膜厚変動と
ほぼ同様になるため、均一な膜厚の熱可塑性樹脂シート
を用いるようにすれば各情報記録面の間隔変動を許容範
囲内にすることが可能となる。したがって、各情報記録
面の間隔変動が原因で生じるエラーの発生を減少させる
ことができ、再生装置を構成する際の負担も軽減でき
る。
て説明する。図4は、図1における本発明の光ディスク
の製造方法の一例を説明するための図である。図4
(A)及び(B)で示すように、基板4上にピット4A
を形成して第1の反射層5を形成するまでは、上記従来
の光ディスク101と同様に作成する。
い、上記第1の反射層5の上に第2の情報記録面を形成
する。ここで、成形装置31を図3を用いて説明する。
図3は、図1における光ディスクの成形装置の要部の概
略構成図である。同図に示すように、上記光ディスクの
成形装置31の真空槽32内は、真空ポンプ35により
所定の真空度に調整できるように構成されている。ま
た、真空槽32内には金型33及び金型34が配置され
ている。金型33は、真空槽32内に固定されており、
第1の情報記録面2が形成された基板4が装着される。
また、金型34には、上記第2の情報記録面3を形成す
るためのスタンパ36が装着される。この金型34は、
真空槽32内で垂直方向に可動可能に設置されており、
装着されたスタンパ36を水平に保持したままスタンパ
36が上記金型33に装着された基板4に接するまで可
動できるようになっている。
は、透明層6を形成するための熱可塑性樹脂シート37
が広げられて配置される。この熱可塑性樹脂シート37
は、上述したようにダブルパス±50nm以下の熱可塑
性透明樹脂材料により構成され、20μm〜100μm
の範囲の均一な膜厚を有し、幅が上記基板4の直径より
も広い連続シート状のものが、同図に示すようにロール
状に巻回されて真空槽32内(又は真空槽32外部)に
収納されている。そして、このロール状に巻回された熱
可塑性樹脂シート37を適宜引き出してガイドローラ3
9A,39B上を経由させて上記装着された基板4とス
タンパ36との間に広げて配置する。
34に装着されたスタンパ36は図示されない加熱ヒー
タにより、また、熱可塑性樹脂シート37は図示されな
い赤外線間接加熱等の加熱手段によりそれぞれ所定の温
度に加熱できるようになっている。これは、後述するス
タンパ36の加圧時に熱可塑性樹脂シート37の表面を
溶融させるためである。なお、このように基板4、スタ
ンパ36、熱可塑性樹脂シート37のそれぞれが加熱さ
れているため、熱可塑性樹脂シート37が金型33,3
4、及び装着された基板4、スタンパ36の表面に接触
しないようにそれぞれを離間した状態で配置する。ま
た、金型33と金型34との間の熱可塑性樹脂シート3
7がガイドローラ39A,39Bとの間で弛まないよう
に、熱可塑性樹脂シート37の長手方向に多少のテンシ
ョンをかけて配置するのが望ましい。更に、上述の加熱
手段による加熱を止めることで熱可塑性樹脂シート37
が冷却されて固化するのであるが、この熱可塑性樹脂シ
ート37を冷却するための冷却手段を設けても良い。
反射層5が形成された基板4を金型33に装着し、第2
の情報記録面3のピット4Bの逆パターンによる凹凸形
状36Aが形成されたスタンパ36を金型34に装着す
る。なお、同図に示すように、基板4は、第1の反射層
5の形成面(第1の情報記録面2)を上にして装着し、
スタンパ36は、凹凸形状36Aの形成面を下にして装
着する。また、上述したように装着された基板4とスタ
ンパ36との間に熱可塑性樹脂シート37を配置する。
後、金型34を下方に可動させて上記基板4とスタンパ
36との間に熱可塑性樹脂シート37を挟み込み、更に
所定の圧力を加える。この時、基板4、スタンパ36、
及び熱可塑性樹脂シート37が加熱されているため熱可
塑性樹脂シート37の両表面が溶融する。この様に両表
面が溶融することで熱可塑性樹脂シート37のスタンパ
36に接する面ではピット4Bの転写が行われ、もう一
方の基板4に接する面では熱可塑性樹脂シート37の基
板4への接着が行われる。そして、この加熱加圧した状
態を所定時間保持した後、適度な冷却を施して熱可塑性
樹脂シート37を固化させ、スタンパ36を剥離して基
板4の外周端に沿って熱可塑性樹脂シート37をカット
すると、同図(D)に示すように第2の情報記録面3の
ピット4Bが表面に形成された基板が出来上がる。そし
て、ピット4Bが形成された透明層6上にアルミニウム
や金等をスパッタリングや真空蒸着等の真空成膜により
成膜して第2の反射層7を形成し、更にこの第2の反射
層7上に紫外線硬化樹脂をスピンコートにより成膜させ
て保護膜8を形成し、この保護膜8上にレーベル(図示
せず)を印刷することによって上記光ディスク1が完成
する(同図(E))。
により、各情報記録面の間隔は元の熱可塑性樹脂シート
37の厚みとほぼ同じものができる。熱可塑性樹脂シー
ト37の膜厚変動はおよそ±1μmくらいであるので、
情報記録面の間の間隔変動もほぼ同様な変動幅で形成す
ることができる。このため、光ディスクの製造時に各情
報記録面の間隔を厳密に管理する必要がなくなり、第2
の情報記録面3を形成するための成形工程に要する時間
を短縮化できると共に、情報記録面の間の間隔変動(透
明層6の膜厚変動)が非常に小さい多層構造の光ディス
クを製造することが可能になる。
ト37の成形を真空中で行うようにしているが、真空中
ではなくても成形可能であることは勿論である。但し、
真空中で熱可塑性樹脂シート37の成形を行うのはいく
つかの利点がある。それはシート37とスタンパ36、
基板4とシート37の間の界面が合わせられる瞬間に気
泡を巻き込む恐れがなく、シート37を均一に張り合わ
せることができる点である。張り合わせの不均一さはそ
のまま透明層6の膜厚ムラになり、フォーカスはずれの
原因となるが、真空中でシートの成形を行うことでこれ
らを避けられ、ディスクの径が大きくなっても均一な張
り合わせ面とすることができる。
面2及び第2の情報記録面3の両方を熱可塑性樹脂シー
ト37の成形により形成しても良い。この光ディスク1
1の第1の情報記録面2は、上記光ディスク1の第2の
情報記録面と同様に作成する。即ち、上記成形装置31
の金型33にピット等による凹凸が形成されていない鏡
面基板12を装着し、金型34には第1の情報記録面2
のピット12A形成用のスタンパを装着し、上述したよ
うに加熱加圧してピット12Aの転写を行い、冷却、熱
可塑性樹脂シート37のカットを施して第1の透明層1
3とする。そして、この第1の透明層13上に第1の反
射層5を形成した後、上記光ディスク1と同様にして第
2の透明層14、第2の反射層7、保護膜8を順次形成
して光ディスク11とする。
において、上記熱可塑性樹脂シートの一方の面に反射膜
を予め付着しておいても良い。即ち、図5(A)に示す
ように、熱可塑性樹脂シート37の一方の面に反射膜3
8を予め付着させておき、この反射膜38が形成された
方の面がスタンパ36側になるように配置する。なお、
熱可塑性樹脂シート37に付着させた反射膜38は、成
形後に第2の反射層7となる。そして、この反射層付き
熱可塑性樹脂シート37を上述のように加熱加圧、急速
冷却すると熱可塑性樹脂シート37の反射膜38が形成
された面にスタンパ36の凹凸形状36Aが転写され
る。成形後、熱可塑性樹脂シート37を基板4の外周に
沿ってカットすることで、同図(B)に示すように反射
層付きの透明層6が形成されて、第2の情報記録面3と
なる。そして、この透明層6上の第2の反射層7上に保
護膜8を形成すると光ディスク1,11となる。なお、
形成する情報記録面により反射層を異ならせる必要があ
る場合は、付着された反射膜が異なる熱可塑性樹脂シー
トを何種類か用意しておき、形成する情報記録面に応じ
て使い分けるようにする。また、この反射層の成膜は真
空中で行うものであるから、反射層の成膜装置を成形装
置31の真空槽内に一体化して設けることが可能であ
る。即ち、反射層の成膜後大気中に取り出さず、そのま
ま成形工程に移ることができ、成膜から成形まで一貫し
た設備運用により生産性を飛躍的に向上できる。
ディスクを更に詳しく説明する。
クピッチ0.84μm、ピット長0.45μm以上とし
て刻み込んだニッケルスタンパー2枚を用意した。この
うちの1枚を第1の情報記録面用として使い、ポリカー
ボネートの射出成形により直径120mm、厚み1.2
mmの第1の情報記録面のピット4Aが形成された基板
4を製造した。この基板4のピット形成面上に透過率の
大きい第1の反射層5を形成した。続いてこの基板を上
記真空槽32と真空ポンプ35とを備えていない上記成
形装置31の金型33にセットした。金型33は70℃
に加熱されている。またダブルパス複屈折が面内±15
nm以下であるアクリル樹脂(PMMA)シート(熱可
塑性樹脂シート)37を用意した。これは膜厚50μm
(膜厚変動幅±1μm)で、幅15cm、長さ500m
にカットされたロール品である。このシートを先の基板
4上に広げた。金型33の基板4と対向した位置には第
2の情報記録面3を形成するためのスタンパ36を装着
した金型34を配置した。なお、基板4のピット形成
面、シート37、スタンパ36の下面は互いに平行に離
れて配置した。
されており、空間上のシート37は赤外線間接加熱(図
示せず)により75℃に加熱されている。続いて金型3
4を移動させて金型33に押しつけ、シート37を間に
挟み込んて加圧した状態を5秒間維持した。続いて金型
33を50℃、金型34を60℃まで急速に冷却し、金
型33の外周に配置した円周状刃物(図示せず)によ
り、シート37を120mmの外径でカットし、成形さ
れた基板とオリジナルシート37を分離した。続いて両
金型を開き、金型33に付着した基板を取り出した。出
来上がった基板には第1の情報記録面2に平行に50μ
mの間隔で第2の情報記録面3のピット4Bが形成され
ていた。この第2の情報記録面形成のための透明層6の
成形時間は合計30秒であった。そして、上記透明層6
の上にスパッタリングにより第2の反射層(アルミニウ
ム)7を70nmの膜厚で付着させ、更に保護膜8とし
てSD−17(大日本インキ化学工業(株))をスピン
コートで8μmの厚みで形成し、紫外線で硬化させた。
最後にレーベルを印刷して、光ディスク1を完成させ
た。
m、対物レンズ開口数NA0.52を有するディスク評
価機にて再生評価した。ピックアップのフォーカス位置
を変えて2面の信号を別々に観察したが、両層ともアイ
パターンはきれいに開いており、安定して再生すること
ができた。再生ジッターは第1層が15%、第2層が1
2%で、イコライザーを通すことで充分実用になるレベ
ルであった。
脂シート)の片面に予め第2の反射層(アルミニウム)
7を70nm成膜したものをロール状に用意した(図5
(A)参照)。これを上記実施例1のアクリルシートの
代わりとし、アルミニウム面をスタンパ36に接するよ
うに配置して成形した。なお、この成形時、成形装置3
1の真空槽32内を1torrとして実施例1と同じ動
作でディスク基板を製作した。この例では、成形された
透明層6の上にすでにアルミニウムが成膜されているの
で、第2の反射層7の形成は省略して保護膜8をスピン
コートして光ディスク1を完成させた。同様にして再生
評価したところ、この例でも安定再生を確認できた。
真空中でシート成形を行っても良く、また、上記実施例
2の光ディスクにおいても真空にしないでシート成形を
行っても良い。
ィスクを例にとって説明してきたが、本発明はこれに限
定されるものではなく、追記型、記録再生型ディスクに
も応用でき、光カードなど他の光学的情報記録媒体への
応用も可能である。光学的情報記録媒体を追記型又は記
録再生型とする場合、上記スタンパ36では案内溝等の
プリフォーマット情報が形成される。さらに応用として
基板4の下面や保護膜8の上面に帯電防止層を設けた
り、最上部の保護膜8の上にレーベル印刷を施しても良
い。
記録媒体によれば、情報記録面は均一な膜厚の樹脂シー
トを用いて構成した透明層上に形成した情報記録面を含
むので、光学的な歪による再生信号の劣化が小さく、各
情報記録面の間隔変動が非常に小さい多層構造の光学的
情報記録媒体とすることができる。即ち、透明層の膜厚
変動は樹脂シートの膜厚変動とほぼ同様になるため、均
一な膜厚の樹脂シートを用いるようにすれば各情報記録
面の間隔変動を許容範囲内にすることが可能となる。し
たがって、各情報記録面の間隔変動が原因で生じるエラ
ーの発生を減少させることができ、再生装置を構成する
際の負担も軽減できる。
よれば、ピット又は案内溝に応じた凹凸形状が形成され
たスタンパを均一な膜厚の樹脂シートの上に配置し、前
記スタンパを加熱した後にスタンパで前記樹脂シートを
加圧することで前記スタンパに形成された凹凸形状を前
記樹脂シート表面に転写して前記光透過性基板の表面以
外に形成される情報記録面を形成するので、製造時に各
情報記録面の間隔を厳密に管理する必要がなくなり、情
報記録面を形成するための成形工程に要する時間を短縮
化できる。また、各情報記録面の間隔変動は元の樹脂シ
ートの膜厚変動とほぼ同じくなるため、均一な膜厚の樹
脂シートを用いれば情報記録面の間の間隔変動(透明層
の膜厚変動)が非常に小さい多層構造の情報記録媒体を
製造することが可能になる。即ち、精度と生産性の両方
を向上させることができる。
光ディスクの構造を示す図である。
す図である。
要部の概略構成図である。
一例を説明するための図である。
他の例を説明するための図である。
を示す図である。
Claims (9)
- 【請求項1】厚さ方向に異なる情報が形成された複数の
情報記録面を有し、再生用レーザ光の焦点位置を変える
ことにより、前記各情報記録面に記録された情報を読み
出すようにした光学的情報記録媒体において、 前記情報記録面と等しい層数の反射層を有し、 前記反射層上に積層され、ダブルパス複屈折が±50n
m以下で、かつ20μm〜100μmの範囲で均一な膜
厚の樹脂シートに形成された情報記録面を少なくとも1
面以上含むことを特徴とする光学的情報記録媒体。 - 【請求項2】請求項1に記載の光学的情報記録媒体にお
いて、 前記樹脂シートは、熱可塑性樹脂からなるシートである
ことを特徴とする光学的情報記録媒体。 - 【請求項3】請求項2に記載の光学的情報記録媒体にお
いて、 前記熱可塑性樹脂は、ポリカーボネートまたはアモルフ
ァスポリオレフィンまたはアクリルであることを特徴と
する光学的情報記録媒体。 - 【請求項4】前記ダブルパス複屈折が±30nm以下で
あることを特徴とする請求項1に記載の光学的情報記録
媒体 - 【請求項5】光透過性基板の厚さ方向に異なる情報が形
成された複数の情報記録面と、前記情報記録面と等しい
層数の反射層とを有し、前記情報記録面は前記反射層上
に積層された略均一膜厚の熱可塑性樹脂シート上に形成
された情報記録面を少なくとも1面以上含む光学的情報
記録媒体の製造方法であって、 前記光透過性基板上あるいは前記光透過性基板上に積層
された前記熱可塑性樹脂シート上に第1のスタンパーに
より第1の情報面を形成する工程と、 前記第1の情報面上に第1の反射膜を形成する工程と、 前記第1の反射膜上に平坦な略均一膜厚の熱可塑性樹脂
シートを介して、第2のスタンパーを配置する工程と、 前記第1の反射膜と、前記第2のスタンパーとの間で前
記熱可塑性樹脂シートを加熱・加圧することにより、第
2の情報面を転写すると同時に前記第1の反射膜に前記
熱可塑性樹脂シートを接着する工程と、 冷却により前記熱可塑性樹脂シートを固化する工程と、 前記第2のスタンパーを剥離する工程と、 前記第2の情報面上に第2の反射膜を形成する工程とを
含み、 前記第1の情報面上に第1の反射膜を形成する工程と、
前記第1の反射膜と、前記第2のスタンパーとの間で前
記熱可塑性樹脂シートを加熱・加圧することにより、第
2の情報面を転写すると同時に前記第1の反射膜に前記
熱可塑性樹脂シートを接着する工程とを共に真空中で連
続して行うことを特徴とする情報記録媒体の製造方法。 - 【請求項6】光透過性基板の厚さ方向に異なる情報が形
成された複数の情報記録面と、前記情報記録面と等しい
層数の反射層とを有し、前記情報記録面は前記反射層上
に積層された略均一膜厚の熱可塑性樹脂シート上に形成
された情報記録面を少なくとも1面以上含む光学的情報
記録媒体の製造方法であって、 前記光透過性基板上あるいは前記光透過性基板上に積層
された前記熱可塑性樹脂シート上に第1のスタンパーに
より第1の情報面を形成する工程と、 前記第1の情報面上に第1の反射膜を形成する工程と、 前記第1の反射膜上に光反射性物質が一方の面に付着し
た平坦な略均一膜厚の熱可塑性樹脂シートを、光反射性
物質の付着面が第2のスタンパ側になるように配置する
工程と、 前記第1の反射膜と、前記第2のスタンパーとの間で前
記光反射性物質が一方の面に付着した熱可塑性樹脂シー
トを加熱・加圧することにより、第2の反射膜と第2の
情報面を同時転写し、さらに前記第1の反射膜に前記熱
可塑性樹脂シートを接着する工程と、 冷却により前記熱可塑性樹脂シートを固化する工程と、 前記第2のスタンパーを剥離する工程とを少なくとも含
み、 前記第1の反射膜と、前記第2のスタンパーとの間で前
記熱可塑性樹脂シートを加熱・加圧することにより、第
2の情報面を転写すると同時に前記第1の反射膜に前記
熱可塑性樹脂シートを接着する工程を、真空中で行うこ
とを特徴とする情報記録媒体の製造方法。 - 【請求項7】前記第1の反射膜と、前記第2のスタンパ
ーとの間で前記光反射性物質が一方の面に付着した熱可
塑性樹脂シートを加熱・加圧することにより、第2の反
射膜と第2の情報面を同時転写し、さらに前記第1の反
射膜に前記熱可塑性樹脂シートを接着する工程を、真空
中で行うことを特徴とする請求項6記載の情報記録媒体
の製造方法。 - 【請求項8】請求項5または請求項7に記載の光学的情
報記録媒体の製造方法において、前記熱可塑性樹脂シー
トは、ダブルパス複屈折が±50nm以下で、かつ20
μm〜100μmの範囲で均一な膜厚の熱可塑性樹脂シ
ートであることを特徴とする情報記録媒体の製造方法。 - 【請求項9】請求項8に記載の光学的情報記録媒体の製
造方法において、前記熱可塑性樹脂シートはポリカーボ
ネートまたはアモルファスポリオレフィンまたはアクリ
ルであることを特徴とする情報記録媒体の製造方法。
Priority Applications (1)
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JP2001281132A JP3726254B2 (ja) | 2001-09-17 | 2001-09-17 | 情報記録媒体の製造方法 |
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JP09125095A Division JP3351164B2 (ja) | 1995-03-24 | 1995-03-24 | 光学的情報記録媒体の製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002133715A true JP2002133715A (ja) | 2002-05-10 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100687990B1 (ko) * | 2001-05-25 | 2007-02-27 | 파이오니아 코포레이션 | 다층정보기록매체 및 정보기록재생장치 |
-
2001
- 2001-09-17 JP JP2001281132A patent/JP3726254B2/ja not_active Expired - Fee Related
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