JP2002130552A - 環境保全性に優れた油井管用ネジ継手 - Google Patents

環境保全性に優れた油井管用ネジ継手

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JP2002130552A
JP2002130552A JP2000323913A JP2000323913A JP2002130552A JP 2002130552 A JP2002130552 A JP 2002130552A JP 2000323913 A JP2000323913 A JP 2000323913A JP 2000323913 A JP2000323913 A JP 2000323913A JP 2002130552 A JP2002130552 A JP 2002130552A
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threaded joint
metal sealing
pin
country tubular
joint
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JP2000323913A
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English (en)
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Takuya Tsujimura
琢也 辻村
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16LPIPES; JOINTS OR FITTINGS FOR PIPES; SUPPORTS FOR PIPES, CABLES OR PROTECTIVE TUBING; MEANS FOR THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16L15/00Screw-threaded joints; Forms of screw-threads for such joints
    • F16L15/001Screw-threaded joints; Forms of screw-threads for such joints with conical threads
    • F16L15/004Screw-threaded joints; Forms of screw-threads for such joints with conical threads with axial sealings having at least one plastically deformable sealing surface

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  • Mechanical Engineering (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐気密性または/および耐焼き付き性が確保で
き、環境保全性に優れる油井用ネジ継手が製造できる。 【解決手段】(1) ピン部とボックス部とが相互に接触し
て金属密封部を形成する油井管用ネジ継手であって、前
記金属密封部における内圧Pi(MPa)負荷状態での接触
面圧σr(MPa)が下記(a)式を満たす油井管用ネジ継手で
ある。 σr ≧ Pi ・・・ (a) (2) ピン部またはボックス部のいずれか一方の金属密封
部に施されたメッキ処理の膜厚を7〜50μとし、ビッカ
ース硬度で300以下とする油井管用ネジ継手である。 (3) 上記(1)の構成と、上記(2)のメッキ処理条件とを組
み合わせた油井用ネジ継手である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、環境保全性に優れ
た油井管用ネジ継手に関し、さらに詳しくは、内部流体
に対する耐気密性に優れ、炭酸ガス(CO2)や硫化水素
(H2S)等の有毒ガスを環境中に漏らすことなく、ま
たは/および締結の際に無潤滑で、若しくは環境汚染の
恐れがない、重金属を含まないスレッドコンパウンドの
使用が可能となり、環境保全を考慮した油井管用ネジ縦
手に関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近の油井や天然ガス井(以下、単に
「油井」という)は、その深さが数千メートルにも及ぶ
ようになるとともに、その使用環境は年々厳しくなって
いる。このような油井に埋設されて使用される管材、す
なわち油井管は、ネジ継手によって相互に螺合・締結さ
れているため、締結に用いられるネジ継手は、強大な軸
力に耐え、しかも高い気密性を有するものであることが
要求される。
【0003】上記の要求に応え得るネジ継手には、種々
多様なものがあり、例えば、図1および図2に示すよう
なネジ継手が従来から知られている。
【0004】図1は、従来のバットレスタイプのネジ継
手を示す模式的一部破断縦断面図である。図1に示すネ
ジ継手は、API(米国石油学会)規格のSTD5Bに
規定された台形ネジを有するバットレスタイプであり、
鋼管10の管端にテーパ雄ネジ12を有するピン部11と、カ
ップリング20の両管端内周部に設けられたテーパ雌ネジ
22を有するボックス部21とからなっている。
【0005】図2は、従来のトルクショルダー形成用ネ
ジ無し肩部を有するネジ継手の要部を示す模式的縦断図
である。図2に示すネジ継手は「特殊継手」と呼ばれ、
ピン部11の先端部にトルクショルダー用のネジ無し肩部
13を形成する一方、ボックス部21の内側底部に前記のネ
ジ無し肩部13が当接する受け部23が形成されている。こ
のように、ネジ無し肩部13と受け面23とを当接させるこ
とによって、過剰な締め付けを抑制するとともに、相互
に接触して金属対金属のシールによる金属密封部14を形
成させて、継手の気密性を高めるようにしたものであ
る。
【0006】従来のネジ継手では、金属密封部の設計に
関する明確な規定はないことから、充分な耐気密性が確
保できず、有毒な内部流体を漏洩するという事態の発生
もある。通常、ネジ継手の設計において、締結にともな
う焼き付きを防止するにはピン部の肉厚を薄くするのが
望ましいが、ピン部の薄肉化は耐気密性の低下要因とな
る。これに対し、ピン部の肉厚を厚くすると耐気密性は
改善されるが、耐焼き付き性が低下することになる。
【0007】ネジ継手の耐焼き付き性に関し、一旦、締
結されて油井に埋設、降下された油井管であっても、引
き上げて締結を解き、再度、締結使用することもあり、
締め戻しおよび締め付けの際に、焼き付きが発生しない
ことが要求される。
【0008】従来には、ネジ継手の耐焼き付き性を確保
するため、潤滑剤として使用されるコンパウンドグリス
に、潤滑性能に優れる重金属を含んだものを使用してい
た。しかし、重金属を含むグリスでは耐焼き付き性が改
善されるものの、重金属による環境汚染の問題があるこ
とから、これらの使用を回避することが求められるよう
になる。したがって、ネジ継手の開発に当たり、重金属
を含まない潤滑剤を使用した場合であっても、優れた耐
焼き付き性を発揮することができるネジ継手の要請が高
まっている。
【0009】一方、継手の表面処理としては、リン酸亜
鉛(Zn)やリン酸マンガン(Mn)等の化成皮膜処理が一
般的に使用されている。しかし、前述のように、油井環
境が厳しくなり、炭酸ガス(CO2)や硫化水素(H2S)
を含む油井が増加するにともなって、耐食性を確保する
ため、クロム(Cr)を9%以上含有する高クロムステン
レス鋼からなる油井管が採用されるようになっている。
ところが、高クロムステンレス鋼からなる油井管では、
上記の化成処理を施しても、管表面での化学反応が制限
され、被膜形成が充分に行われない。このため、これら
化成処理に代わって、ネジ継手の表面処理として、Cuメ
ッキ、ZnメッキおよびNi−Znメッキ等が実施されるよう
になっている。
【0010】したがって、過酷な油井環境に使用される
ネジ継手であっても、環境保全性を具備したネジ継手の
開発要請のもとで、望ましくは潤滑剤を使用せず、少な
くとも潤滑剤としてのコンパウンドグリスの種類に関わ
らず、優れた耐焼き付き性を発揮することができる表面
処理に関する提案が多くなされている。
【0011】例えば、特開昭58−17285号公報では、Cr
が10%以上の高クロム含有鋼の継手の金属密封部(メタ
ル−メタルシール部)に、ビッカース硬度で300以下、
融点が400℃以上である金属および合金メッキを施す表
面処理法が提案されている。提案の表面処理は、具体的
には銅や亜鉛等のメッキ処理であるから、金属密封部の
耐焼き付き性を著しく向上させることが可能である。
【0012】ところが、環境汚染を回避するために、重
金属を含まないコンパウンドグリスの使用が検討されて
いない。また、メッキ処理におけるメッキ膜厚に関する
配慮がないため、膜厚のバラツキによるピン部とボック
ス部との干渉量が変動する。干渉量が過大になった場合
には、異常な面圧上昇が発生し、締め付けトルクの上昇
や焼き付きが発生する可能性もある。
【0013】また、特開平8−233164号公報、特開平9
−72467号公報では、継手のピン部とボックス部の接触
表面に5〜40μmの凹凸を設けるか、若しくは化成皮膜
層を設けて、二硫化モリブデン粉末を樹脂に分散混合し
た樹脂皮膜層をこれらの上に形成することによって、無
潤滑下の条件であっても耐焼き付き性に優れた表面処理
法が提案されている。しかしながら、上記の二硫化モリ
ブデン粉末に含まれる硫黄は油井管用の鋼材を腐食させ
る、硫化水素腐食の問題が明らかになっている。このた
め、二硫化モリブデンの使用が必須である表面処理法
は、そのまま炭素鋼、ステンレス鋼製のネジ継手に適用
することが困難である。
【0014】さらに、特開昭61−136087号公報でも、金
属密封部の少なくとも一方の表面荒さを管理し、所定粒
径以下の二硫化モリブデン粉末を樹脂に混合した被膜を
施した油井管用継手が提案されているが、粉末中の硫黄
が継手を腐食させることから、上記と同様に、その適用
が制限されている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】前述の通り、油井の高
深度化と同時に、環境の過酷化が進展する中で、油井管
用ネジ継手として要求される、耐気密性または/および
耐焼き付き性を確保して、有毒ガスを環境に漏洩せず、
または環境汚染を発生することもなく、環境保全性に優
れるネジ継手が要求されている。
【0016】このため、コンパウンドグリスに含有され
る重金属による環境汚染を回避するために、ネジ継手を
潤滑剤を使用しない条件や、重金属を含まないスレッド
コンパウンドを用いて締結することが試みられ、各種の
ネジ継手、表面処理、さらに潤滑剤の組み合わせで検討
された。しかし、いずれも十分な耐焼き付き性能が得ら
れず、逆に耐焼き付き性を重視し過ぎたため、例えば、
金属密封部の干渉量が不適切となり、内部流体を漏洩さ
せてしまう事態も発生した。
【0017】さらに、油井用ネジ継手の表面処理とし
て、二硫化モリブデンを含有する樹脂皮膜が開発され、
実用化が試みられたが、前述の硫化水素腐食の問題か
ら、油井管用ネジ継手としては適用できないという問題
がある。
【0018】本発明は、従来の油井用ネジ継手が有する
問題点に鑑みてなされたものであり、金属密封部での接
触面圧を負荷内圧との関係で管理することによって、耐
気密性を向上させることができ、CO2やH2S等の有毒ガ
スを環境中に漏らすことなく、または/および、表面処
理としてピン部またはボックス部のいずれか一方に所定
のメッキ処理を施すことによって、耐焼き付き性が確保
でき、潤滑剤を使用しない場合でも、若しくは環境汚染
の恐れがない潤滑剤を使用する場合でも、焼き付きを発
生することなく締め付け、締め戻しが可能となり、環境
保全性に優れた油井管用ネジ継手を提供することを目的
としている。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記(1)〜(3)
の油井用ネジ継手を要旨としている。 (1) 先端にネジ無し肩部が形成されたテーパ雄ネジを管
端外周面に有するピン部と、前記のネジ無し肩部が当接
する受け部が形成されたテーパ雌ネジを内周面に有する
ボックス部とが相互に接触して金属密封部を形成する油
井管用ネジ継手であって、前記金属密封部における内圧
負荷状態での接触面圧σr(MPa)が下記(a)〜(c)式を満た
すことを特徴とする環境保全性に優れた油井管用ネジ継
手である。
【0020】
【数2】 ただし、Pi:内圧 (MPa) Pm:締め付け状態での金属密封部の接触面圧(MPa) δ :干渉量(mm) E :縦弾性係数 R1:ピン部の内半径(mm) R2:金属密封部の外半径(mm) R3:ボックス部の外半径(mm) (2) 先端にネジ無し肩部が形成されたテーパ雄ネジを管
端外周面に有するピン部と、前記のネジ無し肩部が当接
する受け部が形成されたテーパ雌ネジを内周面に有する
ボックス部とが相互に接触して金属密封部を形成する油
井管用ネジ継手であって、前記ピン部またはボックス部
のいずれか一方の金属密封部に施されたメッキ処理の膜
厚を7〜50μとし、ビッカース硬度で300以下とするこ
とを特徴とする環境保全性に優れた油井管用ネジ継手で
ある。 (3) 上記(1)の(a)〜(c)式を満たす条件と、上記(2)のメ
ッキ処理条件とを組み合わせた油井用ネジ継手である。
これにより、耐気密性と耐焼き付き性とを兼備し、さら
に環境保全性を向上させることができるので、望まし
い。ただし、金属密封部の外半径R2(mm)は、メッキ
処理前の外半径R2'(mm)、膜厚Wt(μ)とした場合
に、R2=R2'+0.001Wtの関係を満足する。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の油井管用ネジ継手は、金
属密封部における耐気密性を確保し、内部流体の漏洩を
防ぐことによって、環境保全を可能にし、または/およ
び、金属密封部に潤滑性に優れた表面処理を施すことに
よって、潤滑剤を使用しない場合であっても、また環境
汚染の要因となる重金属を含まないスレッドコンパウン
ドを使用する場合であっても、繰り返しの締め付け、締
め戻しに際し、優れた耐焼き付き性を発揮して環境保全
を可能にすることを特徴している。
【0022】以下、本発明の油井管用ネジ継手の特徴
を、耐気密性の確保と、耐焼き付き性の確保とに区分し
て説明する。 1.耐気密性の確保について 通常、油井管用ネジ継手の締結は、有効径が同一である
ピン部とボックス部とからなる継手が基準位置で螺合お
よび接触してのち、さらに所定の締め付けが行われる。
このときの継手半径方向の締め付け代(mm)が干渉量と
して管理される。そして、発明者らの検討によれば、ネ
ジ継手の金属密封部における耐気密性は、金属密封部に
発生する干渉量(mm)の影響を受けることが明らかにな
る。
【0023】図3は、本発明のトルクショルダー形成用
ネジ無し肩部を有するネジ継手の要部を示す模式的縦断
図である。以下に、図3に基づいて、本発明の油井管用
ネジ継手の耐気密性について詳細に説明する。なお、以
下の説明は、両端に2つのボックス部を設けたカップリ
ングを用いた場合に基づいているが、鋼管の1端にピン
部を、他端にボックス部を設けて管同士を接続する、い
わゆるインテグラル方式の場合であってもよい。さら
に、ボックス部またはピン部がアプセット加工された管
端部に形成される場合であってもよい。
【0024】図3に示すように、本発明の油井管用ネジ
継手は、前記の図2に示したのと同様に、一方の鋼管10
の管端部の先端外周面に形成されたテーパ雄ネジ12を有
するピン部11と、カップリング20の管端内周面に形成さ
れたテーパ雌ネジ22を有するボックス部21とからなって
いる。また、ピン部11の先端には、トルクショルダー用
のネジ無し肩部13が形成されており、またボックス部21
の内側底部には、前記のネジ無し肩部13が当接する受け
部23がそれぞれ形成され、相互に接触して金属密封部14
を形成するようになっている。このときのピン部11、ボ
ックス部21および金属密封部14の主要寸法を、ピン部の
内半径R1、金属密封部の外半径R2、およびボックス部
の外半径R3で示している。
【0025】上記のように構成されたネジ継手を締め付
けて、金属密封部14に干渉量δ(mm)を発生させた状態
では、焼ばめによる接触応力で結合される円筒同士の組
み合わせとみなすことができ、金属密封部14における平
均面圧Pmは、下記(c)式によって算出することができ
る。
【0026】
【数3】 ここで、油井管用のネジ継手では、通常、ピン部11が形
成される鋼管10とボックス部21が形成されるカップリン
グ20の材質は同一である。これは、ピン部11とボックス
部21の材質が異なることによる、電位差腐食等のトラブ
ルを回避するためである。したがって、上記の(c)式中
で縦弾性係数Eはピン部11およびボックス部21は同一と
して扱っている。
【0027】次に、ネジ継手が内圧負荷のみ状態での影
響を確認するには、干渉量δ=0の状態で組み合わせ
後、内側円筒に相当するピン部11に内圧Piが負荷され
た場合を想定する必要がある。このとき、金属密封部で
は内圧Piによって、下記(b’)式で求められる応力σp
が発生する。
【0028】
【数4】 油井での実作業と合致させるように、継手を締め付け状
態(干渉量δ発生)にしたのち、ピン部11に内圧Piを
負荷した状態を想定すると、金属密封部14における平均
面圧σrは、σr=Pm+σpで表すことができ、下記(b)
式として整理できる。
【0029】
【数5】 内部流体の漏洩を防止して継手の気密性を確保するに
は、金属密封部における平均面圧σrと内圧Piとは、下
記(a)式の関係を保持する必要がある。 σr ≧ Pi ・・・ (a) 上記(a)式の条件を満たすネジ継手であれば、油井用と
して要求される耐気密性が確保でき、内部流体がCO2
2S等の有毒ガス、またはこれらを含有する液体であ
っても、環境中に漏らすことがなく、優れた環境保全性
を発揮することができる。
【0030】上述の(a)〜(c)式から明らかなように、干
渉量δが過小であると、耐気密性が確保できず、内部流
体が漏洩する恐れがある。一方、干渉量δが過大になる
と、締め付けトルクが著しく増大することになるので、
焼き付き発生の恐れがある。したがって、ネジ継手の仕
様設計に当たっては、適切な干渉量δを金属密封部で確
保できるようにする必要がある。 2.耐焼き付き性の確保について ネジ継手のピン部11またはボックス部21のいずれか一方
の金属密封部14にCuメッキやZnメッキ等の表面処理を施
すことが有効である。表面処理をいずれか一方に施すこ
ととしているのは、メッキ膜厚の管理を容易にするため
である。
【0031】メッキ膜厚Wtを7〜50μで管理する必要が
ある。膜厚Wtが7μ以下では、継手のピン部11またはボ
ックス部21の加工面の表面粗さ以下となり、締め付け時
に焼き付きが発生する恐れがある。一方、膜厚Wtが過大
に増加すると、メッキ膜の密着性に問題が発生すること
から、50μ以下に規定した。
【0032】さらに、メッキ膜厚Wtが増大すると、ネジ
全体の干渉量が増加し、過大な締め付けトルクが発生す
ることになる。したがって、このような観点からも、メ
ッキ膜厚を管理して、適正な干渉量δが確保できるよう
する必要がある。したがって、前記(b)式に示す金属密
封部の外半径R2(mm)は、メッキ処理前の外半径R2'
(mm)とした場合に、R2=R2'+0.001Wtの関係を管理
する。
【0033】本発明のメッキ処理では、ビッカース硬度
(Hv)で300以下とする必要がある。Hv300以下と硬度
が低ければ、継手の締め付け時にメッキ膜が潤滑効果を
発揮して、焼き付きの発生を有効に防止するからであ
る。
【0034】本発明のネジ継手では、上記のメッキ処理
を施すことによって、無潤滑、すなわち、何らのグリス
を用いない場合であっても、または、潤滑剤として鉱物
油系潤滑油、若しくは重金属を含まないスレッドコンパ
ウンドを使用する場合であっても、繰り返しの締め付
け、締め戻し操作に耐えることができ、優れた耐焼き付
き性を発揮することができる。
【0035】これにより、重金属による環境汚染の問題
はなくなるとともに、当然に、表面処理として、二硫化
モリブデンを使用することもないので、硫化水素腐食の
問題もない。さらに、従来、継手表面にリン酸や蓚酸等
の化成処理を実施していたのであるが、これらの環境に
悪影響を及ぼす処理作業も不要となり、環境保全性をさ
らに向上させることができる。
【0036】本発明のネジ継手では、上述した耐気密性
に優れた継手の構成と、耐焼き付き性に優れた継手の構
成とを組み合わせることができる。この場合には、それ
ぞれの構成が有する特徴が発揮され、耐気密性と耐焼き
付き性とを兼備し、優れた環境保全性を発揮する油井用
ネジ継手を提供することができる。
【0037】
【実施例】本発明の油井管用ネジ継手が発揮する耐気密
性および耐焼き付き性の効果を確認するため、前記の図
3に示すカップリング方式の継手を用いて、実施例1、
2の試験を実施した。 (実施例1)継手の耐気密性を確認するため、鋼管寸法
が外径139.7mm×肉厚7.72mmで、引張強度が1035MPa(15
0ksi)の供試管を準備して内圧試験を行った。具体的な
継手寸法は、ピン部内半径R1が63.2mm、金属密封部外
半径R2が66.5mm、ボックス部外半径R3が77.2mmであ
り、縦弾性係数Eは21000kg/mm2である。
【0038】継手の締め付け状態での干渉量δは0.2mm
と0.5mmの2条件とし、内圧Piを0〜100MPaの範囲で変
動させて、金属密封部における接触面圧σr(MPa)との
関係から内面流体の漏洩有無を調査した。
【0039】図4は、実施例1による内圧試験での内面
流体の漏洩状況を示す図である。同図に示すように、σ
r(MPa)≧Pi(MPa)の条件を満足する場合には、耐気
密性を確保することができるが、その他の条件では、内
面流体の漏洩が発生している。 (実施例2)継手の耐焼き付き性を確認するため、鋼管
寸法が外径177.8mm×肉厚10.36mmで、材質が13%Cr鋼と
高合金鋼(25%Cr−35%Ni)の供試管を使用して、AP
I(米国石油協会)にて規定する締め戻し試験を実施し
た。締め戻し回数は、APIがチュービング評価方法と
して規定する10回を採用した。さらに、締め付け速度は
2rpmとした。
【0040】継手の表面処理は、ボックス部にCuメッ
キ、ZnメッキおよびNiメッキの各処理を施し、ピン部は
ネジ加工ままとした。このとき、ピン部の金属密封部外
径は、締め付け状態での干渉量δが適正になるように、
メッキ膜厚Wtに応じて、加工代Δdを増加している。す
なわち、目安となる加工代は、Δd=2Wtとしている。
この加工代Δdやメッキ処理の膜厚およびビッカース硬
度Hvは表1に示す。
【0041】継手の潤滑条件としては、潤滑剤を使用し
ない場合と、重金属を含まないスレッドコンパウンドを
潤滑剤として使用する場合の2条件とした。これらの条
件によって実施した締め戻し試験結果を表1に示す。
【0042】
【表1】 表1から、締め戻し試験によって良好な耐焼き付き性を
得るためには、メッキ処理が本発明で規定する膜厚およ
びビッカース硬度の条件を満足する必要があることが分
かる(No.2、3、7、8、9)。高合金鋼の供試管で
は、潤滑剤を使用しない場合に耐焼き付き性の低下がみ
られたが(No.6)、重金属を含まないスレッドコンパ
ウンドの適用によって十分な耐焼き付き性が得られるこ
とが明らかになった(No.7)。
【0043】さらに、メッキ処理で厚い膜厚を施す場合
には、金属密封部における締め付け状態での干渉量δが
適正になるように、加工代Δdを確保すべきであること
が分かる。
【0044】
【発明の効果】本発明の油井用ネジ継手によれば、締め
付け状態における金属密封部での接触面圧および干渉量
を、負荷内圧との関係で適正にすることによって、耐気
密性を向上させることができ、CO2やH2S等の有毒ガス
を環境中に漏らすことがないので、優れた環境保全性を
発揮することができる。
【0045】また、表面処理としてピン部またはボック
ス部のいずれか一方に所定のメッキ処理を施すことによ
って、耐焼き付き性が確保でき、潤滑剤を使用しない場
合でも、若しくは環境汚染の恐れがない潤滑剤を使用す
る場合でも、焼き付きを発生することなく締め付け、締
め戻しが可能となり、環境保全に優れるとともに、作業
性の改善が可能となる。
【0046】さらに、本発明の油井用ネジ継手では、こ
れらの構成を組み合わせることによって、優れた耐気密
性と耐焼き付き性とを兼備することができ、著しく環境
保全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のバットレスタイプのネジ継手を示す模式
的一部破断縦断面図である。
【図2】従来のトルクショルダー形成用ネジ無し肩部を
有するネジ継手の要部を示す模式的縦断図である。
【図3】本発明のトルクショルダー形成用ネジ無し肩部
を有するネジ継手の要部を示す模式的縦断図である。
【図4】実施例1による内圧試験での内面流体の漏洩状
況を示す図である。
【符号の説明】
11:ピン部、 12:テーパ雄ネジ 13:ネジ無し肩部、 14:金属密封部 21:ボックス部、 22:テーパ雌ネジ 23:受け部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】先端にネジ無し肩部が形成されたテーパ雄
    ネジを管端外周面に有するピン部と、前記のネジ無し肩
    部が当接する受け部が形成されたテーパ雌ネジを内周面
    に有するボックス部とが相互に接触して金属密封部を形
    成する油井管用ネジ継手であって、前記金属密封部にお
    ける内圧負荷状態での接触面圧σr(MPa)が下記(a)〜(c)
    式を満たすことを特徴とする環境保全性に優れた油井管
    用ネジ継手。 【数1】 ただし、Pi:内圧 (MPa) Pm:締め付け状態での金属密封部の接触面圧(MPa) δ :干渉量(mm) E :縦弾性係数 R1:ピン部の内半径(mm) R2:金属密封部の外半径(mm) R3:ボックス部の外半径(mm)
  2. 【請求項2】先端にネジ無し肩部が形成されたテーパ雄
    ネジを管端外周面に有するピン部と、前記のネジ無し肩
    部が当接する受け部が形成されたテーパ雌ネジを内周面
    に有するボックス部とが相互に接触して金属密封部を形
    成する油井管用ネジ継手であって、前記ピン部またはボ
    ックス部のいずれか一方の金属密封部に施されたメッキ
    処理の膜厚を7〜50μとし、ビッカース硬度で300以下
    とすることを特徴とする環境保全性に優れた油井管用ネ
    ジ継手。
  3. 【請求項3】上記請求項1に記載の油井管用ネジ継手で
    あって、さらにピン部またはボックス部のいずれか一方
    の金属密封部に施されたメッキ処理の膜厚Wtを7〜50μ
    とし、ビッカース硬度で300以下とすることを特徴とす
    る環境保全性に優れた油井管用ネジ継手。このとき、金
    属密封部の外半径R2(mm)は、メッキ処理前の外半径
    R2'(mm)とした場合に、R2=R2'+0.001Wtの関係を
    満足する
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