JP2000130654A - 耐焼付き性に優れた高クロム鋼ネジ継手 - Google Patents
耐焼付き性に優れた高クロム鋼ネジ継手Info
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- JP2000130654A JP2000130654A JP10306453A JP30645398A JP2000130654A JP 2000130654 A JP2000130654 A JP 2000130654A JP 10306453 A JP10306453 A JP 10306453A JP 30645398 A JP30645398 A JP 30645398A JP 2000130654 A JP2000130654 A JP 2000130654A
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- pin
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- resin
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-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F16—ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
- F16L—PIPES; JOINTS OR FITTINGS FOR PIPES; SUPPORTS FOR PIPES, CABLES OR PROTECTIVE TUBING; MEANS FOR THERMAL INSULATION IN GENERAL
- F16L15/00—Screw-threaded joints; Forms of screw-threads for such joints
- F16L15/001—Screw-threaded joints; Forms of screw-threads for such joints with conical threads
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- Engineering & Computer Science (AREA)
- General Engineering & Computer Science (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- Non-Disconnectible Joints And Screw-Threaded Joints (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 クロムを１０％以上含有する鋼管のネジ継手
においてグリスなどの液体潤滑剤を用いることなく、繰
り返しの締め、緩めに対して焼き付くことなく使用でき
るネジ継手に提供すること。 【解決手段】 雄ネジとネジなし金属接触部からなるピ
ンとボックスとネジなし接触部からなるボックスから構
成される高クロム鋼管のネジ継手において、ボックスま
たはピンの少なくとも接触表面に蓚酸処理による下地層
を設け、二硫化モリブデン、または二硫化タングステン
粉末の少なくとも一方を樹脂に分散混合した樹脂被膜層
を該表面に形成したことを特徴とする耐焼付き性に優れ
たネジ継手。
においてグリスなどの液体潤滑剤を用いることなく、繰
り返しの締め、緩めに対して焼き付くことなく使用でき
るネジ継手に提供すること。 【解決手段】 雄ネジとネジなし金属接触部からなるピ
ンとボックスとネジなし接触部からなるボックスから構
成される高クロム鋼管のネジ継手において、ボックスま
たはピンの少なくとも接触表面に蓚酸処理による下地層
を設け、二硫化モリブデン、または二硫化タングステン
粉末の少なくとも一方を樹脂に分散混合した樹脂被膜層
を該表面に形成したことを特徴とする耐焼付き性に優れ
たネジ継手。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、原油採掘に使用す
る高クロム油井管用ネジ継手や、採掘された原油を輸送
する高クロムラインパイプ用ネジ継手において、繰り返
しのメークアップ（締め付け）、ブレークアウト（緩
め）に対しても継手が焼き付くことなく、繰り返し使用
できるネジ継手に係わる。
る高クロム油井管用ネジ継手や、採掘された原油を輸送
する高クロムラインパイプ用ネジ継手において、繰り返
しのメークアップ（締め付け）、ブレークアウト（緩
め）に対しても継手が焼き付くことなく、繰り返し使用
できるネジ継手に係わる。
【０００２】
【従来の技術】油井掘削時に使用するチュービングやケ
ーシングには一般にネジ継手が用いられる。ネジ継手に
は使用環境下で内外圧、軸力、曲げ等を複合して被るた
め、これらの複合荷重下においても継手がリークしない
こと、継手が破損しないことが要求される。一方、ケー
シングやチュービングの降下作業時には一度、締め込ん
だ継手を緩めることもあり、一般にチュービングで１０
回、ケーシングで３回の締め緩めに対しても継手が焼き
付くことなく使用できることがＡＰＩ（米国石油協会）
でも望まれている。上記の要求性能を満たすためには
ＡＰＩ ＢＵＬ５Ａ２に述べられているコンパウンドグ
リスを塗布して継手を締め込むことが現在まで常識化し
ている。ここでコンパウンドグリスの役割は耐焼付き性
の確保とシール性の向上にある。
ーシングには一般にネジ継手が用いられる。ネジ継手に
は使用環境下で内外圧、軸力、曲げ等を複合して被るた
め、これらの複合荷重下においても継手がリークしない
こと、継手が破損しないことが要求される。一方、ケー
シングやチュービングの降下作業時には一度、締め込ん
だ継手を緩めることもあり、一般にチュービングで１０
回、ケーシングで３回の締め緩めに対しても継手が焼き
付くことなく使用できることがＡＰＩ（米国石油協会）
でも望まれている。上記の要求性能を満たすためには
ＡＰＩ ＢＵＬ５Ａ２に述べられているコンパウンドグ
リスを塗布して継手を締め込むことが現在まで常識化し
ている。ここでコンパウンドグリスの役割は耐焼付き性
の確保とシール性の向上にある。
【０００３】その後、シール性をより向上させる発明と
して金属対金属接触部を有する特殊ネジ継手、即ちプレ
ミアムジョイントの開発が盛んになされ、様々な形状の
シール部を有するプレミアムジョイント（特公昭５９−
０４４５５２号公報、特公平５−４１８７６号公報）が
発明された。このような発明により、継手のガスシール
性は管体降伏強度と同等以上にまで向上させるに至っ
た。しかしながら、より優れたシール性を得るには金属
接触部に母材の降伏点をも越えるようなより高い面圧を
付与しなければならないため、焼付きの中でも修復不可
能なゴーリングが発生しやすくなり、ゴーリングを防止
する研究が盛んに行われるようになってきた。
して金属対金属接触部を有する特殊ネジ継手、即ちプレ
ミアムジョイントの開発が盛んになされ、様々な形状の
シール部を有するプレミアムジョイント（特公昭５９−
０４４５５２号公報、特公平５−４１８７６号公報）が
発明された。このような発明により、継手のガスシール
性は管体降伏強度と同等以上にまで向上させるに至っ
た。しかしながら、より優れたシール性を得るには金属
接触部に母材の降伏点をも越えるようなより高い面圧を
付与しなければならないため、焼付きの中でも修復不可
能なゴーリングが発生しやすくなり、ゴーリングを防止
する研究が盛んに行われるようになってきた。
【０００４】ゴーリング防止対策としてコンパウンドグ
リスに亜鉛、鉛、銅等の重金属粉、あるいは雲母などの
無機物を適切に含有させるグリスの開発やシール部形状
に工夫を凝らすことで局部面圧を軽減する研究（特開昭
６２−２０９２９１号公報、特開平４−２７７３９２号
公報）や、シール面の性状を制御した研究（実公平６−
７１３号公報）や、表面処理によりゴーリング性を向上
させる研究（特公平３−７８５１７号公報、特開平５−
１１７８７０号公報、特開昭６２−２５８２８３号公
報、特開昭６０−２６６９５号公報、特公昭６０−５７
５１９号公報、特公平１−１２９９５号公報、特開昭６
１−１２４７９２号公報、特公平３−７８５１７号公
報）等がある。係る研究の成果もあり、特に適切な表面
処理とコンパウンドグリスを用いることで耐焼付き性も
実用十分な範囲にまで向上してきた。
リスに亜鉛、鉛、銅等の重金属粉、あるいは雲母などの
無機物を適切に含有させるグリスの開発やシール部形状
に工夫を凝らすことで局部面圧を軽減する研究（特開昭
６２−２０９２９１号公報、特開平４−２７７３９２号
公報）や、シール面の性状を制御した研究（実公平６−
７１３号公報）や、表面処理によりゴーリング性を向上
させる研究（特公平３−７８５１７号公報、特開平５−
１１７８７０号公報、特開昭６２−２５８２８３号公
報、特開昭６０−２６６９５号公報、特公昭６０−５７
５１９号公報、特公平１−１２９９５号公報、特開昭６
１−１２４７９２号公報、特公平３−７８５１７号公
報）等がある。係る研究の成果もあり、特に適切な表面
処理とコンパウンドグリスを用いることで耐焼付き性も
実用十分な範囲にまで向上してきた。
【０００５】これらを背景に、近年の研究として塗布し
たグリスがメークアップ中に高圧になり使用性能を劣化
させること（特公平６−３１６６１号公報、特開平６−
１１０７８号公報）や、コンパウンドグリスに含有され
ている重金属分に起因した環境汚染問題などが取り上げ
られ、重金属分を含まないコンパウンドグリスの商品化
など、コンパウンドグリスに関わる問題が生じ始めた。
たグリスがメークアップ中に高圧になり使用性能を劣化
させること（特公平６−３１６６１号公報、特開平６−
１１０７８号公報）や、コンパウンドグリスに含有され
ている重金属分に起因した環境汚染問題などが取り上げ
られ、重金属分を含まないコンパウンドグリスの商品化
など、コンパウンドグリスに関わる問題が生じ始めた。
【０００６】１９９１年に制定された、ＡＰＩ ＲＰ５
Ｃ５にも継手性能に及ぼすグリス量やグリス圧力の問題
を評価するプログラムとなっている。それにも増して、
コンパウンドグリスの塗布作業は作業環境を悪化させる
と同時に作業効率をも低下させている。したがって、こ
のようなコンパウンドグリスを一切用いることなく従来
の性能、特にゴーリング性を確保しようとするネジ継手
が出現した（特開平８−２３３１６３号公報、特開平８
−１０３７２４号公報）。また、高クロム鋼にこれらの
技術を適用する発明が、特開平８−１０５５８２号公報
に開示されている。
Ｃ５にも継手性能に及ぼすグリス量やグリス圧力の問題
を評価するプログラムとなっている。それにも増して、
コンパウンドグリスの塗布作業は作業環境を悪化させる
と同時に作業効率をも低下させている。したがって、こ
のようなコンパウンドグリスを一切用いることなく従来
の性能、特にゴーリング性を確保しようとするネジ継手
が出現した（特開平８−２３３１６３号公報、特開平８
−１０３７２４号公報）。また、高クロム鋼にこれらの
技術を適用する発明が、特開平８−１０５５８２号公報
に開示されている。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】コンパウンドグリスを
用いなくても耐焼付き性が確保できるネジ継手はいずれ
も二硫化モリブデンに代表される固体潤滑剤を樹脂で結
合し、コーティングするものであるが、コーティングを
行うための下地処理が耐焼付き性を大きく左右すること
が判っていた。本発明は、一般的に下地処理を施しにく
い高クロム鋼のネジ継手においても安価で適切な下地処
理により耐焼付き性が確保できる高クロム鋼ネジ継手を
供給するものである。
用いなくても耐焼付き性が確保できるネジ継手はいずれ
も二硫化モリブデンに代表される固体潤滑剤を樹脂で結
合し、コーティングするものであるが、コーティングを
行うための下地処理が耐焼付き性を大きく左右すること
が判っていた。本発明は、一般的に下地処理を施しにく
い高クロム鋼のネジ継手においても安価で適切な下地処
理により耐焼付き性が確保できる高クロム鋼ネジ継手を
供給するものである。
【０００８】
【課題を解決するための手段】高クロムの鋼管継手に対
しても、継手メークアップ前に塗布していたコンパウン
ドグリスなどの液体潤滑剤を一切用いることなく、繰り
返しの締め、緩めに対してゴーリングを起こすことな
く、尚且つシール性等の使用性能も満足するに至った。
その発明の要旨は （１）雄ネジとネジなし金属接触部からなるピンと、雌
ネジとネジなし接触部からなるボックスから構成される
高クロム鋼管のネジ継手において、ボックスとピンの接
触表面の少なくとも一方に蓚酸被膜からなる下地を設
け、二硫化モリブデンおよび／または二硫化タングステ
ンの粉末を樹脂に分散混合した樹脂被膜層を前記下地層
上にさらに形成したことを特徴とする耐焼付き性に優れ
た高クロム鋼ネジ継手。
しても、継手メークアップ前に塗布していたコンパウン
ドグリスなどの液体潤滑剤を一切用いることなく、繰り
返しの締め、緩めに対してゴーリングを起こすことな
く、尚且つシール性等の使用性能も満足するに至った。
その発明の要旨は （１）雄ネジとネジなし金属接触部からなるピンと、雌
ネジとネジなし接触部からなるボックスから構成される
高クロム鋼管のネジ継手において、ボックスとピンの接
触表面の少なくとも一方に蓚酸被膜からなる下地を設
け、二硫化モリブデンおよび／または二硫化タングステ
ンの粉末を樹脂に分散混合した樹脂被膜層を前記下地層
上にさらに形成したことを特徴とする耐焼付き性に優れ
た高クロム鋼ネジ継手。
【０００９】（２）雄ネジとネジなし金属接触部からな
るピンと、雌ネジとネジなし接触部からなるボックスか
ら構成される高クロム鋼管のネジ継手において、ボック
スまたはピンの接触面の一方に蓚酸処理による下地層を
設け、二硫化モリブデンおよび／または二硫化タングス
テンの粉末を樹脂に分散混合した樹脂被膜層を前記下地
層上にさらに形成するとともに、接触面の他方は蓚酸処
理のみを施したことを特徴とする耐焼付き性に優れた高
クロム鋼ネジ継手。 （３）（１）または（２）において、蓚酸被膜層の厚さ
を３μｍ以上とし、樹脂被膜層の厚さを５〜３０μｍと
したことを特徴とする耐焼付き性に優れた高クロム鋼ネ
ジ継手にある。
るピンと、雌ネジとネジなし接触部からなるボックスか
ら構成される高クロム鋼管のネジ継手において、ボック
スまたはピンの接触面の一方に蓚酸処理による下地層を
設け、二硫化モリブデンおよび／または二硫化タングス
テンの粉末を樹脂に分散混合した樹脂被膜層を前記下地
層上にさらに形成するとともに、接触面の他方は蓚酸処
理のみを施したことを特徴とする耐焼付き性に優れた高
クロム鋼ネジ継手。 （３）（１）または（２）において、蓚酸被膜層の厚さ
を３μｍ以上とし、樹脂被膜層の厚さを５〜３０μｍと
したことを特徴とする耐焼付き性に優れた高クロム鋼ネ
ジ継手にある。
【００１０】
【発明の実施の形態】以下、本発明について図面にした
がって詳細に説明する。図１に本発明を適用した継手構
成部材を示す。図１に示すように継手部材であるボック
ス（雌ネジ）１とピン（雄ネジ）２について、それぞれ
の継手部材を構成するネジ部３及びネジなし先端部４に
対して、ボックス１のみ、あるいはボックス１とピン２
の接触界面に蓚酸被膜層と樹脂被膜層を施し、継手螺合
中に係る表面処理層と相対する母材表面が摺動する。図
２は本発明の表面処理層の概略図で、図１においてボッ
クス側１のネジなし接触部４に対応するシール面であ
る。５はクロムを１０％以上含有した母材でその上に蓚
酸被膜６を施し、さらに二硫化モリブデンの粉末８を分
散させた樹脂被膜７を形成している。
がって詳細に説明する。図１に本発明を適用した継手構
成部材を示す。図１に示すように継手部材であるボック
ス（雌ネジ）１とピン（雄ネジ）２について、それぞれ
の継手部材を構成するネジ部３及びネジなし先端部４に
対して、ボックス１のみ、あるいはボックス１とピン２
の接触界面に蓚酸被膜層と樹脂被膜層を施し、継手螺合
中に係る表面処理層と相対する母材表面が摺動する。図
２は本発明の表面処理層の概略図で、図１においてボッ
クス側１のネジなし接触部４に対応するシール面であ
る。５はクロムを１０％以上含有した母材でその上に蓚
酸被膜６を施し、さらに二硫化モリブデンの粉末８を分
散させた樹脂被膜７を形成している。
【００１１】クロムを１０％以上含有するようなネジ継
手に特開平８−２３３１６３号公報に示す発明を適用し
た場合、継手は早期（３回の締め緩め）に焼付きを起こ
した。この原因は固体潤滑被膜自身に問題があるのでは
なく、固体潤滑皮膜と下地皮膜との密着強度によるもの
と発明者らは考えた。そこで高クロム鋼への密着性が良
好で、皮膜成長に優れた蓚酸被膜を形成し、その上に特
定の固体潤滑皮膜を形成することで耐焼付き性が向上で
きることを見い出した。
手に特開平８−２３３１６３号公報に示す発明を適用し
た場合、継手は早期（３回の締め緩め）に焼付きを起こ
した。この原因は固体潤滑被膜自身に問題があるのでは
なく、固体潤滑皮膜と下地皮膜との密着強度によるもの
と発明者らは考えた。そこで高クロム鋼への密着性が良
好で、皮膜成長に優れた蓚酸被膜を形成し、その上に特
定の固体潤滑皮膜を形成することで耐焼付き性が向上で
きることを見い出した。
【００１２】固体潤滑被膜をピン、ボックスのいずれか
一方に形成しても下地処理にリン酸塩被膜を用いた場合
よりも数段優れた耐焼付き性を呈するが、ピン、ボック
ス両方に特定の潤滑被膜を形成させた方が、さらに耐焼
付き性は改善される。しかし、両方に固体潤滑被膜を施
した場合、ネジ継手を締め込むときのトルクが必要以上
に高くなることがある。この場合、パワートングと呼ば
れるネジ締め込み機の能力が不足することもありうる。
一方に形成しても下地処理にリン酸塩被膜を用いた場合
よりも数段優れた耐焼付き性を呈するが、ピン、ボック
ス両方に特定の潤滑被膜を形成させた方が、さらに耐焼
付き性は改善される。しかし、両方に固体潤滑被膜を施
した場合、ネジ継手を締め込むときのトルクが必要以上
に高くなることがある。この場合、パワートングと呼ば
れるネジ締め込み機の能力が不足することもありうる。
【００１３】ボックス、ピンのいずれか一方に固体潤滑
被膜を形成し、さらに両方に固体潤滑被膜を形成した場
合よりも耐焼付き性を向上させ、尚かつトルク上昇を抑
えるためには本発明の請求項２に示すようにボックスか
ピンの一方に蓚酸被膜による下地処理のもとに固体潤滑
剤を塗布し、他方に蓚酸被膜のみを形成することが有効
である。ピン、ボックス両方に固体潤滑被膜を施したと
きにトルクが上昇するメカニズムとしてはネジ部に樹脂
を伴った固体潤滑被膜が必要以上に形成すると、過度な
干渉が生じ、これがトルクを上昇させていることがわか
った。一方を蓚酸被膜にした場合、トルク上昇は抑えら
れる。尚かつ、一方の固体潤滑剤は摺動中に他方の面、
この場合、蓚酸被膜面に移着し、この移着した固体潤滑
剤がさらに耐焼付き性を高めることを見い出した。
被膜を形成し、さらに両方に固体潤滑被膜を形成した場
合よりも耐焼付き性を向上させ、尚かつトルク上昇を抑
えるためには本発明の請求項２に示すようにボックスか
ピンの一方に蓚酸被膜による下地処理のもとに固体潤滑
剤を塗布し、他方に蓚酸被膜のみを形成することが有効
である。ピン、ボックス両方に固体潤滑被膜を施したと
きにトルクが上昇するメカニズムとしてはネジ部に樹脂
を伴った固体潤滑被膜が必要以上に形成すると、過度な
干渉が生じ、これがトルクを上昇させていることがわか
った。一方を蓚酸被膜にした場合、トルク上昇は抑えら
れる。尚かつ、一方の固体潤滑剤は摺動中に他方の面、
この場合、蓚酸被膜面に移着し、この移着した固体潤滑
剤がさらに耐焼付き性を高めることを見い出した。
【００１４】トルク上昇を抑制するもう一つの方法とし
て固体潤滑被膜の膜厚を３０μｍ以下に制御することで
可能なこともわかった。樹脂膜厚が３０μｍを超えると
トルクが急速に増加する。この理由は先に述べたような
過多な樹脂によりネジの干渉上昇したことによる。しか
し、固体潤滑被膜厚さが５μｍ以下になると耐焼付き性
が劣化するため、固体潤滑被膜の膜厚は５〜３０μｍの
範囲がもっとも好ましい。一方、蓚酸被膜の膜厚が３μ
ｍより小さいと固体潤滑被膜が３０μｍであっても固体
潤滑剤の保持機能が劣化し、焼付きを起こしやすくな
る。
て固体潤滑被膜の膜厚を３０μｍ以下に制御することで
可能なこともわかった。樹脂膜厚が３０μｍを超えると
トルクが急速に増加する。この理由は先に述べたような
過多な樹脂によりネジの干渉上昇したことによる。しか
し、固体潤滑被膜厚さが５μｍ以下になると耐焼付き性
が劣化するため、固体潤滑被膜の膜厚は５〜３０μｍの
範囲がもっとも好ましい。一方、蓚酸被膜の膜厚が３μ
ｍより小さいと固体潤滑被膜が３０μｍであっても固体
潤滑剤の保持機能が劣化し、焼付きを起こしやすくな
る。
【００１５】
【実施例】Ｎｏ１〜１２は本発明で、いずれもグリスを
用いない締め緩めに対して５回以上の耐焼付き性を呈す
る。このうち、Ｎｏ１，２，４，７，８，９，１０，１
１，１２で樹脂膜厚が３０μｍ以下であるとトルクが低
位安定化している。Ｎｏ１３〜１９は比較例であり、Ｎ
ｏ１３〜１５は下地処理がリン酸塩被膜の場合でＮｏ１
６〜１９は下地処理にショットブラストを用い、表面に
凹凸を設けた場合である。いずれの例でも耐焼付き性の
限界回数は５回に満たない。
用いない締め緩めに対して５回以上の耐焼付き性を呈す
る。このうち、Ｎｏ１，２，４，７，８，９，１０，１
１，１２で樹脂膜厚が３０μｍ以下であるとトルクが低
位安定化している。Ｎｏ１３〜１９は比較例であり、Ｎ
ｏ１３〜１５は下地処理がリン酸塩被膜の場合でＮｏ１
６〜１９は下地処理にショットブラストを用い、表面に
凹凸を設けた場合である。いずれの例でも耐焼付き性の
限界回数は５回に満たない。
【００１６】
【表１】
【００１７】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明によるネジ
継手は、ボックスまたはピンの少なくとも接触表面に蓚
酸処理による下地層を設け、二硫化モリブデン、または
二硫化タングステン粉末の少なくとも一方を樹脂に分散
混合した樹脂被膜層を該表面に形成したことにより高ク
ロム鋼管に対してでさえ、コンパウンドグリスなどの潤
滑剤を一切、用いることなく優れた管ネジ継手を得るこ
とができる。
継手は、ボックスまたはピンの少なくとも接触表面に蓚
酸処理による下地層を設け、二硫化モリブデン、または
二硫化タングステン粉末の少なくとも一方を樹脂に分散
混合した樹脂被膜層を該表面に形成したことにより高ク
ロム鋼管に対してでさえ、コンパウンドグリスなどの潤
滑剤を一切、用いることなく優れた管ネジ継手を得るこ
とができる。
【図１】本発明を適用した継手構成部材の概略図、
【図２】本発明に係る表面処理の概略図である。
１ ボックス ２ ピン ３ ネジ部 ４ ネジなし接触部 ５ 母材 ６ 蓚酸被膜層 ７ 樹脂 ８ 固体潤滑剤 ９ 摺動面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永吉 治之 福岡県北九州市戸畑区飛幡町１−１ 新日 本製鐵株式会社八幡製鐵所内 Ｆターム(参考） 3H013 GA01
Claims (3)
- 【請求項１】 雄ネジとネジなし金属接触部からなるピ
ンと、雌ネジとネジなし接触部からなるボックスから構
成される高クロム鋼管のネジ継手において、ボックスと
ピンの接触表面の少なくとも一方に蓚酸被膜からなる下
地を設け、二硫化モリブデンおよび／または二硫化タン
グステンの粉末を樹脂に分散混合した樹脂被膜層を前記
下地層上にさらに形成したことを特徴とする耐焼付き性
に優れた高クロム鋼ネジ継手。 - 【請求項２】 雄ネジとネジなし金属接触部からなるピ
ンと、雌ネジとネジなし接触部からなるボックスから構
成される高クロム鋼管のネジ継手において、ボックスま
たはピンの接触面の一方に蓚酸処理による下地層を設
け、二硫化モリブデンおよび／または二硫化タングステ
ンの粉末を樹脂に分散混合した樹脂被膜層を前記下地層
上にさらに形成するとともに、接触面の他方は蓚酸処理
のみを施したことを特徴とする耐焼付き性に優れた高ク
ロム鋼ネジ継手。 - 【請求項３】 請求項１または請求項２において、蓚酸
被膜層の厚さを３μｍ以上とし、樹脂被膜層の厚さを５
〜３０μｍとしたことを特徴とする耐焼付き性に優れた
高クロム鋼ネジ継手。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP10306453A JP2000130654A (ja) | 1998-10-28 | 1998-10-28 | 耐焼付き性に優れた高クロム鋼ネジ継手 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP10306453A JP2000130654A (ja) | 1998-10-28 | 1998-10-28 | 耐焼付き性に優れた高クロム鋼ネジ継手 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2000130654A true JP2000130654A (ja) | 2000-05-12 |
Family
ID=17957194
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP10306453A Withdrawn JP2000130654A (ja) | 1998-10-28 | 1998-10-28 | 耐焼付き性に優れた高クロム鋼ネジ継手 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2000130654A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2002059519A1 (fr) * | 2001-01-25 | 2002-08-01 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | Joint filete pour tuyau en acier, dote d'une prehension et de resistances excellentes |
| WO2014045973A1 (ja) | 2012-09-21 | 2014-03-27 | 新日鐵住金株式会社 | 鋼管用ねじ継手 |
-
1998
- 1998-10-28 JP JP10306453A patent/JP2000130654A/ja not_active Withdrawn
Cited By (6)
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