JP2002130321A - 変速機の摩耗防止構造 - Google Patents

変速機の摩耗防止構造

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    • F16HGEARING
    • F16H57/00General details of gearing
    • F16H57/04Features relating to lubrication or cooling or heating
    • F16H57/0467Elements of gearings to be lubricated, cooled or heated
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  • Mechanical Engineering (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クラッチハブとメインシャフト間のフレッテ
ィング摩耗を防ぐことのできる変速機の摩耗防止構造を
提供する。 【解決手段】 メインシャフト4の外周に外側スプライ
ン34を形成すると共にクラッチハブ21のボス部30
の内周に内側スプライン33を形成し、外側スプライン
34に内側スプライン33を噛み合わせてメインシャフ
ト4にクラッチハブ21を固定する変速機の摩耗防止構
造において、ボス部30の軸方向の端面36に径方向に
貫通する油溝35を形成し、内側スプライン33と外側
スプライン34の間に、油溝35内の油を案内するため
の間隙37を油溝35から連続するように形成したもの
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車用変速機の
摩耗防止構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図4に示すように、変速機50のクラッ
チハブ51は、メインシャフト4に固定されており、ド
グクラッチ28,29側の回転をカップリングスリーブ
22を介して切断自在にメインシャフト4に伝達するよ
うになっている。
【0003】クラッチハブ51のボス部52には、メイ
ンシャフト4の外周に形成された外側スプライン53に
係合して固定される内側スプライン54が形成されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、エンジン
(図示せず)のトルクや回転は頻繁に変動し、滑らかに
回転するものではないため、内側スプライン54と外側
スプライン53のスプライン係合面には面圧が繰り返し
かかり、フレッティング摩耗が発生しやすい。
【0005】フレッティング摩耗が一旦始まると茶色の
パウダーを出すため、そのパウダーが研磨剤となって加
速度的にスプライン係合面を摩耗させてしまう。
【0006】フレッティング摩耗を防ぐ方法としては、
面圧のかかるスプライン係合面を潤滑し、初期摩耗の進
行を防ぐ方法が考えられる。
【0007】しかしながら、クラッチハブ51のボス部
52は軸方向の両端をメインギヤ14,15のボス部5
5に挟まれているため、潤滑油をスプライン係合面まで
十分に供給することは困難であった。
【0008】そこで、本発明の目的は、上記課題を解決
し、クラッチハブとメインシャフト間のフレッティング
摩耗を防ぐことのできる変速機の摩耗防止構造を提供す
ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、メインシャフトの外周に外側スプラインを
形成すると共にクラッチハブのボス部の内周に内側スプ
ラインを形成し、上記外側スプラインに内側スプライン
を噛み合わせて上記メインシャフトに上記クラッチハブ
を固定する変速機の摩耗防止構造において、上記ボス部
の軸方向の端面に径方向に貫通する油溝を形成し、上記
内側スプラインと外側スプラインの間に、上記油溝内の
油を案内するための間隙を上記油溝から連続するように
形成したものである。
【0010】また、上記間隙は、軸方向に延びて形成さ
れるとよく、上記内側スプラインのスプライン歯を1歯
又は複数歯切り欠いて形成されるとよい。
【0011】あるいはまた、上記間隙は、軸方向に延び
て形成される軸方向穴と、該軸方向穴から周方向に延び
て形成される周方向穴とからなるものとしてもよい。
【0012】このとき、上記軸方向穴は、上記内側スプ
ラインのスプライン歯を1歯又は複数歯切り欠いて形成
され、上記周方向穴は、上記内側スプラインに周方向に
延びる溝を上記軸方向穴から連続するように形成して構
成されるとよい。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の好適実施の形態を添付図
面に基づいて詳述する。
【0014】図3に示すように、変速機1は、外殻を形
成するミッションケース2と、ディーゼルエンジンなど
の駆動装置(図示せず)にクラッチ(図示せず)などを
介して連結されミッションケース2内に一端を挿入して
枢支されるインプットシャフト3と、インプットシャフ
ト3と同軸に配置され一端をインプットシャフト3に突
き合わせると共に他端をミッションケース2から延出さ
せて枢支されるメインシャフト4と、これらシャフト
3,4の鉛直下方に平行に配置され両端をミッションケ
ース2に枢支されるカウンタシャフト5とを備えてい
る。
【0015】インプットシャフト3には、ミッションケ
ース2内に収容されるインプットギヤ6が一体に設けら
れている。
【0016】カウンタシャフト5には、インプットギヤ
6に歯合するインプットカウンタギヤ7と、4速カウン
タギヤ8と、3速カウンタギヤ9と、2速カウンタギヤ
10と、1速カウンタギヤ11と、リバースカウンタギ
ヤ12とがそれぞれ一体に設けられている。
【0017】メインシャフト4には、4速カウンタギヤ
8に歯合する4速メインギヤ13と、3速カウンタギヤ
9に歯合する3速メインギヤ14と、2速カウンタギヤ
10に歯合する2速メインギヤ15と、1速カウンタギ
ヤ11に歯合する1速メインギヤ16と、リバースカウ
ンタギヤ12にリバースアイドルギヤ17を介して歯合
するリバースメインギヤ18とが順に、それぞれ回転自
在に支持されている。そして、これらメインギヤ13,
14,15,16,18は、それぞれ歯合するカウンタ
ギヤ8,9,10,11,12と伴に回転するようにな
っている。
【0018】また、メインシャフト4には、複数の同期
装置19,20がそれぞれのメインギヤ13,14,1
5,16,18に対応するように設けられている。
【0019】図1に示すように、同期装置20は、トリ
プルコーンタイプのものであり、メインシャフト4に一
体に固定されたクラッチハブ21と、クラッチハブ21
の外周に軸方向スライド可能にスプライン係合されたカ
ップリングスリーブ22と、クラッチハブ21の両側に
それぞれ近接して設けられたブロックリング23,23
と、ブロックリング23の内周側に設けられるインター
ミディエイトリング24と、インターミディエイトリン
グ24の内周側に設けられるインサイドリング25と、
インサイドリング25の内周側にシンクロコーン面部2
6を突出させて被同期側のギヤ14,15に一体に設け
られ、外周にカップリングスリーブ22と係合されるス
プライン27を有するドグクラッチ28,29とからな
る。
【0020】また、潤滑油は、ミッションケース2内に
ほぼカウンタシャフト5の高さまで溜まっており、カウ
ンタギヤ8,9,10,11,12が回転されることで
掻き揚げられるようになっている。
【0021】図1及び図2に示すように、クラッチハブ
21は、メインシャフト4に固定されるボス部30と、
ボス部30から円盤状に延びるアーム部31と、アーム
部31の先端にほぼ環状に設けられたリム部32とから
なる。
【0022】ボス部30は、内周に内側スプライン33
が形成されており、メインシャフト4の外周に形成され
た外側スプライン34に係合されて固定されるようにな
っている。
【0023】また、ボス部30の軸方向の両端面36,
36にはそれぞれ径方向に貫通する油溝35が周方向に
ほぼ等間隔に複数形成されている。
【0024】油溝35は、外周側を軸方向に深く、周方
向に長く形成されて大きく開口されると共に、内周側を
軸方向に浅く、周方向に短く形成されて小さく開口され
ており、より多くの油を油溝35内に集めるようになっ
ている。
【0025】また、内側スプライン33と外側スプライ
ン34の間には、内側スプライン33と外側スプライン
34が接触されるスプライン係合面42に油溝35内の
潤滑油を案内するための間隙37が形成されている。
【0026】間隙37は、一方の端面36に形成された
油溝35の内周端から連続されて軸方向に延び、他方の
端面36に形成された油溝35の内周端に連続される軸
方向穴38と、軸方向穴38の中間位置から連続されて
周方向に延びる周方向穴39とからなる。
【0027】軸方向穴38は、内側スプライン33のス
プライン歯を1歯切り欠くことで隣接する外側スプライ
ン歯40,41の間に間隙を形成してなるものであり、
ボス部30を軸方向に貫通している。
【0028】周方向穴39は、内側スプライン33に周
方向に延びる溝を軸方向穴38から連続するように形成
することで外側スプライン34の外周側に周方向に延び
る環状の間隙を形成してなるものである。周方向穴39
は、内側スプライン33をほぼ中央で等分割するように
形成されており、軸方向穴38とほぼ同じ断面積に形成
され、かつ、軸方向穴38と直交するように形成されて
いる。
【0029】次に作用を述べる。
【0030】インプットシャフト3の回転駆動力は、イ
ンプットギヤ6を介してインプットカウンタギヤ7に伝
達され、カウンタシャフト5を回転させる。
【0031】カウンタギヤ8,9,10,11,12
は、カウンタシャフト5と伴に回転される。
【0032】カウンタギヤ8,9,10,11,12が
回転されると、潤滑油は、掻き揚げられ、飛沫となる。
【0033】潤滑油は、同期装置20内に入り、クラッ
チハブ21のボス部30にも至る。ボス部30に到達し
た潤滑油の一部は、油溝35内に入り、油溝35に沿っ
て径方向内側へ案内される。
【0034】油溝35内の径方向内側の端は、外側スプ
ライン34へ向けて開口されているため、潤滑油は外側
スプライン34上に案内され、外側スプライン34に沿
って軸方向穴38内に入る。
【0035】軸方向穴38は貫通されているため、潤滑
油は、軸方向穴38内の空気を押し出しながら軸方向に
流れ、周方向穴39内に分岐される。
【0036】そして、クラッチハブ21が回転される
と、潤滑油は速やかに周方向穴39内を流れ、周方向穴
39の全域に亘って供給される。このとき、周方向穴3
9内の空気は他の軸方向穴38を経由して外部に押し出
されるため、周方向穴39内の空気が潤滑油の流入を阻
害することはない。
【0037】また、内側スプライン33と外側スプライ
ン34の面圧は駆動装置のトルク変動などによって常に
変動している。このため、軸方向穴38及び周方向穴3
9内の潤滑油は、穴38,39内に止まっていることは
なく、内側スプライン33及び外側スプライン34を伝
ってスプライン係合面42に速やかに行き渡る。
【0038】潤滑油は、内側スプライン33と外側スプ
ライン34が摩擦されるのを防ぎ、フレッティング摩耗
による茶色のパウダーの発生を防ぐ。
【0039】そして、たとえ長期間の運転などによって
パウダーが発生してしまっても、パウダーが研磨剤のよ
うに内側スプライン33と外側スプライン34を削るの
を防ぐことができ、パウダーを軸方向穴38の両端開口
から外部に流し出すことができる。
【0040】このように、メインシャフト4の外周に外
側スプライン34を形成すると共にクラッチハブ21の
ボス部30の内周に内側スプライン33を形成し、外側
スプライン34に内側スプライン33を噛み合わせてメ
インシャフト4にクラッチハブ21を固定する変速機に
おいて、ボス部30の軸方向の端面36に径方向に貫通
する油溝35を形成し、内側スプライン33と外側スプ
ライン34の間に、油溝35内の油を案内するための間
隙37を油溝35から連続するように形成したため、ス
プライン係合面42に潤滑油を容易かつ十分に供給する
ことができ、クラッチハブ21とメインシャフト4間の
フレッティング摩耗を防ぐことができる。
【0041】また、間隙37を、軸方向に延びて形成さ
れる軸方向穴38と、軸方向穴38から周方向に延びて
形成される周方向穴39とで構成したため、油溝35内
の潤滑油をスプライン係合面42に速やかに、かつ、ま
んべんなく供給することができ、フレッティング摩耗の
発生を確実に防ぐことができる。
【0042】そして、軸方向穴38は、内側スプライン
33のスプライン歯を1歯切り欠いて形成し、周方向穴
39は、内側スプライン33に周方向に延びる溝を軸方
向穴38から連続するように形成してなるものとしたた
め、内側スプライン33と外側スプライン34の間に間
隙を容易かつ安価に形成することができる。
【0043】なお、上述の実施の形態では周方向穴39
を環状に形成するものとしたが、これに限るものではな
く、途中で途切れるものであってもよく、螺旋状のもの
であってもよい。
【0044】また、軸方向穴38と周方向穴39を内側
スプライン33側に形成するものとしたが、軸方向穴3
8と周方向穴39のいずれか一方又は双方を外側スプラ
イン34側(メインシャフト4側)に形成してもよい。
この場合、外側スプライン34のスプライン歯を1歯又
は複数歯切り欠いて軸方向穴を形成するとよく、外側ス
プライン34に周方向に延びる溝を軸方向穴から連続す
るように形成するとよい。
【0045】そして、軸方向穴38は、スプライン歯を
1歯切り欠いて形成するものとしたが、これに限るもの
ではなく、隣接する歯を複数切り欠いてもよく、間欠的
に複数歯切り欠いてもよい。
【0046】また、間隙37を軸方向穴38と周方向穴
39とで構成するものとしたが、これに限るものではな
く、軸方向穴38のみで構成してもよい。この場合、軸
方向穴38は、内側スプライン33のスプライン歯を1
歯又は複数歯切り欠いて軸方向に延びるように形成する
とよい。
【0047】そして、油溝35をボス部30の両端面3
6,36に形成するものとしたが、いずれか一方の端面
36に形成するようにしてもよい。
【0048】
【発明の効果】以上要するに本発明によれば、次のよう
な優れた効果を奏する。 (1)クラッチハブとメインシャフトの間のスプライン
係合面に潤滑油を容易に供給することができ、フレッテ
ィング摩耗を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適実施の形態を示す変速機の要部拡
大図である。
【図2】クラッチハブの側面図である。
【図3】変速機の概略説明図である。
【図4】従来の変速機の要部拡大図である。
【符号の説明】
4 メインシャフト 21 クラッチハブ 30 ボス部 33 内側スプライン 34 外側スプライン 35 油溝 36 端面 37 間隙 38 軸方向穴 39 周方向穴

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メインシャフトの外周に外側スプライン
    を形成すると共にクラッチハブのボス部の内周に内側ス
    プラインを形成し、上記外側スプラインに内側スプライ
    ンを噛み合わせて上記メインシャフトに上記クラッチハ
    ブを固定する変速機の摩耗防止構造において、上記ボス
    部の軸方向の端面に径方向に貫通する油溝を形成し、上
    記内側スプラインと外側スプラインの間に、上記油溝内
    の油を案内するための間隙を上記油溝から連続するよう
    に形成したことを特徴とする変速機の摩耗防止構造。
  2. 【請求項2】 上記間隙は、軸方向に延びて形成される
    請求項1記載の変速機の摩耗防止構造。
  3. 【請求項3】 上記間隙は、上記内側スプラインのスプ
    ライン歯を1歯又は複数歯切り欠いて形成される請求項
    2記載の変速機の摩耗防止構造。
  4. 【請求項4】 上記間隙は、軸方向に延びて形成される
    軸方向穴と、該軸方向穴から周方向に延びて形成される
    周方向穴とからなる請求項1記載の変速機の摩耗防止構
    造。
  5. 【請求項5】 上記軸方向穴は、上記内側スプラインの
    スプライン歯を1歯又は複数歯切り欠いて形成され、上
    記周方向穴は、上記内側スプラインに周方向に延びる溝
    を上記軸方向穴から連続するように形成して構成される
    請求項4記載の変速機の摩耗防止構造。
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