JP2009180280A - 変速機の同期装置における潤滑構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】撹拌による潤滑方法を採用した変速機の同期装置において、クラッチハブとその外周にスプライン係合されるスリーブとの間に潤滑油を充分に供給する。
【解決手段】クラッチハブ12と、その一側となる変速軸11に回転自在に支持した変速ギヤ13,14の間にシンクロナイザリング21,22を設け、クラッチハブの外周にスプライン係合したスリーブ17により、クラッチハブと変速ギヤを選択的に係合させる。シンクロナイザリングに形成されて変速ギヤの円錐面13c,14cと摩擦係合可能な円錐穴21b,22bの内面に設けた軸線方向オイル溝21c,22cの底面は、クラッチハブ側となる方がシンクロナイザリングの中心軸線から離れるように傾斜させ、変速ギヤの外向きフランジ部の外周には、シンクロナイザリングとの間の空間S1に変速機ケース内の潤滑油を導入する凹欠部13d,14dを形成する。
【選択図】図1
【解決手段】クラッチハブ12と、その一側となる変速軸11に回転自在に支持した変速ギヤ13,14の間にシンクロナイザリング21,22を設け、クラッチハブの外周にスプライン係合したスリーブ17により、クラッチハブと変速ギヤを選択的に係合させる。シンクロナイザリングに形成されて変速ギヤの円錐面13c,14cと摩擦係合可能な円錐穴21b,22bの内面に設けた軸線方向オイル溝21c,22cの底面は、クラッチハブ側となる方がシンクロナイザリングの中心軸線から離れるように傾斜させ、変速ギヤの外向きフランジ部の外周には、シンクロナイザリングとの間の空間S1に変速機ケース内の潤滑油を導入する凹欠部13d,14dを形成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、変速機の同期装置における潤滑構造、特にクラッチハブとその外周にスプライン係合されるスリーブとの間に潤滑油が充分に供給されるようにするための改良に関する。
この種の変速機の同期装置としては、特許文献1の図3に開示されたものがある。図4は特許文献1と実質的に同じ技術を示すものであり、変速軸11と一体的に回転されるクラッチハブ12の一側に変速ギヤ13(または14)を回転自在に支持し、この変速ギヤ13(14)とクラッチハブ12の間にシンクロナイザリング1(または2)を回転自在かつ多少距離軸線方向移動可能に支持し、この変速ギヤ13(14)とシンクロナイザリング1(2)には離脱可能に互いに摩擦係合可能な円錐面13c(または14c)と円錐穴1b(または2b)をそれぞれ形成し、クラッチハブ12の外周に軸線方向摺動可能にスプライン係合されたスリーブ17を中立位置から軸線方向に移動させて、変速ギヤ13(14)を選択的に変速軸11に連結させるようにしたものである。
特開2005−331069号公報(段落〔0003〕〜〔0005〕、図3)。
先ず図4に示す技術を、図5〜図7を加えてさらに具体的に説明する。主として図4に示すように、変速機ケース10に転がり軸受を介して支持された変速軸11の中間部には、クラッチハブ12がスプラインを介して一体的に固定され、クラッチハブ12の一側となる変速軸11に嵌合されてロックボール11cにより一体的に結合されたカラー11bには、ニードルローラ軸受19aを介して第1速被動ギヤ(第1速変速ギヤ)13が回転のみ自在に支持されている。クラッチハブ12の他側となる変速軸11には、フランジ11aとの間にニードルローラ軸受19bを介して第2速被動ギヤ(第2速変速ギヤ)14が回転のみ自在に支持されている。各変速ギヤ13,14は、変速軸11と平行に変速機ケース10に支持されてエンジンなどの原動機により回転駆動される入力軸(図示省略)に固定された第1速及び第2速駆動ギヤ15,16と常時噛合されている。
各変速ギヤ13,14のクラッチハブ12側となるボス部には、第1および第2ギヤピース13a,14aがセレーションを介して一体的に圧入固定されている。この各ギヤピース13a,14aのクラッチハブ12側には、そちら側に向かう先端側が小径となる円錐面13c,14cがそれぞれ一体的に形成されている。また各ギヤピース13a,14aの円錐面13c,14cの根本側となる位置に設けた外向きフランジ部の外周部には、後述するスリーブ17の内周に形成される内歯スプライン17aと係合可能な外歯スプライン13b,14bがそれぞれ形成されている。クラッチハブ12と各ギヤピース13a,14aの間には、円錐面13c,14cと摩擦係合可能な円錐穴1b,2bが内周に形成された第1及び第2シンクロナイザリング1,2が回転自在かつ多少距離軸線方向移動可能に設けられ、各円錐穴1b,2bは各円錐面13c,14cに対し接離可能となっている。各シンクロナイザリング1,2の外周の各ギヤピース13a,14a側となる端部にはスリーブ17の内歯スプライン17aと係合可能な外歯スプライン1a,2aが形成されている。
スリーブ17の内周に形成された内歯スプライン17aは、クラッチハブ12の外周に形成された外歯スプライン12aと軸線方向摺動可能に係合されている。スリーブ17はその外周に形成した環状溝17bに係合されたシフトフォーク18により、中立位置から軸線方向両側にシフトされる。
主として図5及び図6に示すように、第2シンクロナイザリング2の円錐穴2bの内面には、複数の軸線方向オイル溝2c及びこれと交差する複数の円周方向オイル溝2dが形成されている。軸線方向オイル溝2cの数は例えば9個程度で、円周方向に等分して配置されている。シンクロナイザリング2の全幅にわたり形成される軸線方向オイル溝2cの深さはほゞ一定であり、その底面はクラッチハブ12側に近づくにつれてシンクロナイザリング2の中心軸線に近づくように角度βで傾斜している。各円周方向オイル溝2dは軸線方向に等間隔で配置されている。図示は省略したがシンクロナイザリング1もシンクロナイザリング2と同一構造であり、同様な軸線方向オイル溝及び円周方向オイル溝が形成されている。
また図5及び図7に示すように、変速ギヤ14のギヤピース14aの外歯スプライン14bが形成される外向きフランジ部の外周部には、その軸線方向全幅にわたり外歯スプライン14bの歯元円よりも内側に延びる複数(強度が許す範囲において、なるべく多数)の凹欠部14dが形成されている。ギヤピース13aの外向きフランジ部の外周部にも同様な凹欠部13dが形成されている。
スリーブ17の軸線方向中心がクラッチハブ12の軸線方向中心と一致し、スリーブ17の内歯スプライン17aが各シンクロナイザリング1,2および各ギヤピース13a,14aの各外歯スプライン1a,2a,13b,14bの何れとも係合されない中立位置では、各変速ギヤ13,14は何れも変速軸11に対し回転自在である。この状態では、入力軸(図示省略)から第1速及び第2速駆動ギヤ15,16を介して各変速ギヤ13,14に伝達される駆動トルクは変速軸11に伝達されない。
この中立位置からシフトフォーク18によりスリーブ17を左向きにシフトすれば、スリーブ17に弾性的に係合された公知のシフティングキー(特許文献1の図3参照)によりシンクロナイザリング2は左向きに押され、これによりシンクロナイザリング2の円錐穴2bがギヤピース14aの円錐面14cに押圧されて摩擦係合され、シンクロナイザリング2は第2速変速ギヤ14の回転により引きずられ、スリーブ17の内歯スプライン17aとシンクロナイザリング2の外歯スプライン2aの円周方向の位相が合ったインデックスポジションになる。スリーブ17が更に移動されると、スリーブ17はシンクロナイザリング2の外歯スプライン2aを直接軸線方向に押し、これによりシンクロナイザリング2の円錐穴2bがギヤピース14aの円錐面14cにさらに強く摩擦係合されて、クラッチハブ12と第2速変速ギヤ14の間の同期が更に進む。そしてクラッチハブ12と第2速変速ギヤ14の回転が同期されると、スリーブ17の内歯スプライン17aはシンクロナイザリング2の外歯スプライン2aを押し分けて係合され、次いで図4及び図5に示すように、ギヤピース14aの外歯スプライン14bとも係合されて、入力軸の駆動トルクが第2速駆動ギヤ16及び第2速変速ギヤ14を介して変速軸11に伝達される第2速段が形成される。
中立位置からスリーブ17を右向きにシフトすれば、上述と同様にして、入力軸の駆動トルクが第1速駆動ギヤ15及び第1速変速ギヤ13を介して変速軸11に伝達される第1速段が形成される。
上述した変速機の同期装置では、同期作用を円滑で安定したものとするために、各シンクロナイザリング1,2の円錐穴1b,2bの内面に、複数の軸線方向オイル溝1c,2c及び複数の円周方向オイル溝1d,2dを形成している。このようなオイル溝1c,2c,1d,2dを形成することにより、各円錐面13c,14cと各円錐穴1b,2bが係合する際のそれらの間の潤滑油の切れが良くなり、また離脱する際の潤滑油の供給が良くなって、各円錐面13c,14cと各円錐穴1b,2bの間の摩擦係数の変動のばらつきが減少するので、変速機の同期装置の同期作用を円滑で安定したものとすることができる。
また変速機の同期装置においては、各変速段が形成されて動力を伝達している状態では、動力を伝達しているスリーブ17の内歯スプライン17aとクラッチハブ12の外歯スプライン12aとの間の係合部、及びスリーブ17の内歯スプライン17aと各変速ギヤ13,14のギヤピース13a,14aの外歯スプライン13b,14bとの間の各係合部の摩耗を減少させるために潤滑油を充分に供給する必要がある。変速機の同期装置に対する潤滑方法としては、変速軸11に形成した給油通路を通して必要箇所に給油する方法と、変速機ケースの下部に収容した潤滑油を変速ギヤにより撹拌し、はね上げられた潤滑油により潤滑する方法とがある。給油通路による前者の潤滑方法によれば、給油通路を適切に配置することにより各部材の内部となる箇所にも給油できる。しかしフロントエンジンリヤドライブ車用のマニュアル変速機のように、出力側となる変速軸上に同期装置を設けた構造では変速軸内部に給油通路を設けることが困難な場合が多く、撹拌による後者の潤滑方法に頼らざるを得ないことが多い。
図4及び図5に示すようにスリーブ17が変速ギヤ14側にシフトされた状態では、前述のように、スリーブ17の内歯スプライン17aとクラッチハブ12の外歯スプライン12aとの間の係合部、及びスリーブ17の内歯スプライン17aとギヤピース14aの外歯スプライン14bとの間の各係合部に潤滑油を充分に供給する必要がある。前述のように、上述した実施形態では、ギヤピース14aの外歯スプライン14bが形成される外向きフランジ部の外周部に複数の凹欠部14dを形成しているので、この凹欠部14dを通して外向きフランジ部とシンクロナイザリング2の間の空間S1に、変速ギヤ13,14により撹拌されて変速機ケース10内にはね上げられた潤滑油が導入される。この空間S1に導入された潤滑油は、内歯スプライン17aとギヤピース14aの外歯スプライン14bの間の係合部を潤滑するのには有効であるが、シンクロナイザリング2の外歯スプライン2aにより遮られてそれよりクラッチハブ12側には達しないので、スリーブ17の内歯スプライン17aとクラッチハブ12の外歯スプライン12aとの間の係合部の潤滑には有効でない。
この空間S1は、図5に示すように、シンクロナイザリング2の円錐穴2bの内面に形成された軸線方向オイル溝2c及びシンクロナイザリング2とクラッチハブ12の間の空間S2を介して、スリーブ17の内歯スプライン17aとクラッチハブ12の外歯スプライン12aとの間の係合部付近に連通されているが、軸線方向オイル溝2cの底面はクラッチハブ12側に近づくにつれてシンクロナイザリング2の中心軸線に近づくように角度βで傾斜しているので、軸線方向オイル溝2c内に入った潤滑油はシンクロナイザリング2の回転に伴う遠心力により空間S1側に押し戻され、空間S2には殆ど導入されない。
また、変速ギヤ13,14により撹拌されて変速機ケース10内にはね上げられた潤滑油は、図4の矢印a〜cに示すように、変速軸11のフランジ11aと変速ギヤ14の間の軸線方向隙間、ニードルローラ軸受19bの各ローラの間の空間及びクラッチハブ12と変速ギヤ14の各ボス部の間の軸線方向隙間を通って空間S2に導入されることも考えられる。しかし、変速ギヤ14の両側とフランジ11a及びクラッチハブ12の間の軸線方向隙間はきわめてわずかで流通抵抗がきわめて大きいので、ここから空間S2に導入される潤滑油は殆ど期待できない。
このため、前述した撹拌による潤滑方法では、スリーブ17の内歯スプライン17aとクラッチハブ12の外歯スプライン12aとの間の係合部の潤滑は不足しがちとなるので、この係合部が摩耗されやすいという問題がある。本発明は撹拌による潤滑方法を採用した場合でも、スリーブ17の内歯スプライン17aとクラッチハブ12の外歯スプライン12aとの間の係合部に充分な潤滑油が供給されるようにして、上述したような問題を解消することを目的とする。
請求項1の発明による変速機の同期装置における潤滑構造は、変速軸と一体的に回転されるクラッチハブと、このクラッチハブの一側となる変速軸に回転自在に支持されクラッチハブ側に円錐面が同軸的かつ一体的に形成された変速ギヤと、この変速ギヤとクラッチハブの間に回転自在かつ多少距離軸線方向移動可能に設けられて円錐面と摩擦係合可能に接離される円錐穴が同軸的に形成されたシンクロナイザリングと、クラッチハブの外周に形成された外歯スプラインと軸線方向摺動可能に係合される内歯スプラインが内周に形成されるとともにシフトフォークにより中立位置と作動位置の間で軸線方向にシフトされるスリーブを備えてなり、スリーブは中立位置から作動位置に向かう軸線方向移動により、その内歯スプラインの先端部が先ずシンクロナイザリングの外周の外歯スプラインの先端部に当接してシンクロナイザリングを軸線方向に移動させ、円錐穴を円錐面に摩擦係合させて変速ギヤの回転とクラッチハブの回転とを同期させ、次いでスリーブの内歯スプラインを変速ギヤの外周の外歯スプラインに係合させることによりスリーブを介してクラッチハブと変速ギヤの間で駆動トルクを伝達するようにした歯車変速機において、スリーブの内歯スプラインと係合する外歯スプラインが形成される変速ギヤの一部の外周部には複数の凹欠部を形成し、シンクロナイザリングの円錐穴の内面には複数の軸線方向オイル溝を形成し、この軸線方向オイル溝の底面はクラッチハブ側に近づくにつれてシンクロナイザリングの中心軸線から離れるように傾斜されていることを特徴とする
ものである。
ものである。
前項に記載の変速機の同期装置における潤滑構造において、シンクロナイザリングの円錐穴の内面には、軸線方向オイル溝と交差する複数の円周方向オイル溝をさらに形成することが好ましい。
上述のように、発明によれば、スリーブの内歯スプラインと係合する外歯スプラインが形成される変速ギヤの一部の外周部には複数の凹欠部を形成し、シンクロナイザリングの円錐穴の内面には複数の軸線方向オイル溝を形成したので、変速ギヤにより撹拌されてはね上げられた潤滑油は、複数の凹欠部から外歯スプラインが形成される変速ギヤの一部とシンクロナイザリングの間の空間に導入され、さらにシンクロナイザリングの円錐穴の内面に形成された複数の軸線方向オイル溝に導入される。そして、この軸線方向オイル溝の底面はクラッチハブ側に近づくにつれてシンクロナイザリングの中心軸線から離れるように傾斜されているので、軸線方向オイル溝に導入された潤滑油は、シンクロナイザリングの回転に伴う遠心力によりクラッチハブ側に積極的に送られる。これにより相当量の潤滑油がシンクロナイザリングとクラッチハブの間の空間通って、スリーブの内歯スプラインとクラッチハブの外歯スプラインとの間の係合部付近に送り込まれるので、撹拌による潤滑方法を採用した場合でも、この係合部に潤滑油不足による摩耗が生じることはなくなる。
シンクロナイザリングの円錐穴の内面に、軸線方向オイル溝と交差する複数の円周方向オイル溝をさらに形成した請求項2の発明によれば、このように形成された各円周方向オイル溝は、各軸線方向オイル溝と交差され連結されて潤滑油の供給及び排出が良くなるので、各円錐面と各円錐穴の間の摩擦係数の変動のばらつきが一層減少して、変速機の同期装置の同期作用も一層円滑で安定したものとなる。
以下に、主として図1〜図3により、本発明による変速機の同期装置における潤滑構造を実施するための最良の形態の説明をする。本発明による変速機の同期装置における潤滑構造の基本的構造は、先に図4〜図7で説明した従来技術とほゞ同じであり、クラッチハブ12と各ギヤピース13a,14aの間に設けられる第1及び第2シンクロナイザリング21,22が前述した実施形態の第1及び第2シンクロナイザリング1,2と異なるだけであるので、主としてこのシンクロナイザリング21,22につき説明する。なお、第1シンクロナイザリング21と第2シンクロナイザリング22は同一形状であるので、以下においては主として図2により、第2シンクロナイザリング22の説明をする。
第2シンクロナイザリング22は、第2シンクロナイザリング2と同様、クラッチハブ12と第2速変速ギヤ14のギヤピース14aの間に回転自在かつ多少距離軸線方向移動可能に支持され、その内周の円錐穴22bはギヤピース14aの円錐面14cに対し摩擦係合可能に接離されるようになっている。第2シンクロナイザリング22には、シンクロナイザリング2と同様、外周の端部にはスリーブ17の内歯スプライン17aと係合可能な外歯スプライン22aが形成され、円錐穴22bの内面には複数の軸線方向オイル溝22c及びこれと交差する複数の円周方向オイル溝22dが形成されている。このうち外歯スプライン22a及び円周方向オイル溝22dは、シンクロナイザリング2の外歯スプライン2a及び円周方向オイル溝2dと全く同一であり、軸線方向オイル溝22cだけがシンクロナイザリング2の軸線方向オイル溝2cと異なっている。
軸線方向オイル溝22cは、シンクロナイザリング22の軸線方向全幅にわたり形成されている点はシンクロナイザリング2と同じであるが、その底面がクラッチハブ12側に近づくにつれてシンクロナイザリング22の中心軸線から離れるように角度αで傾斜されている点が、クラッチハブ12側に近づくにつれてシンクロナイザリング2の中心軸線に近づくように角度βで傾斜されている底面を有する軸線方向オイル溝2cと異なっている。軸線方向オイル溝22cの数は軸線方向オイル溝2cと同じであり、その断面形状はクラッチハブ12側に近づくにつれて高さが増大する台形である。
前述した従来技術の場合と同様、スリーブ17がその中立位置から左向きにシフトされれば、シンクロナイザリング2は左向きに押され、クラッチハブ12と第2速変速ギヤ14の回転が同期されて、スリーブ17の内歯スプライン17aはギヤピース14aの外歯スプライン14bと係合され、入力軸の駆動トルクが第2速駆動ギヤ16及び第2速変速ギヤ(第2速被動ギヤ)14を介して変速軸11に伝達される第2速段が形成される。スリーブ17が中立位置から右向きにシフトされれば、同様にして、入力軸の駆動トルクが第1速駆動ギヤ15及び第1速変速ギヤ(第1速被動ギヤ)13を介して変速軸11に伝達される第1速段が形成される。
図1〜図3で述べた実施形態では、外歯スプライン13b,14bが形成される変速ギヤ13,14の一部であるギヤピース13a,14aの外向きフランジ部の外周部には、その軸線方向全幅にわたり複数の凹欠部13d,14dが形成され、シンクロナイザリング21,22の円錐穴21b,22bの内面には複数の軸線方向オイル溝21c,22cが形成されているので、変速ギヤ13,14により撹拌されてはね上げられた潤滑油は、複数の凹欠部13d,14dを通って外歯スプライン13b,14bが形成される外向きフランジ部とシンクロナイザリング21,22の間の空間S1に導入され、さらにシンクロナイザリング21,22の円錐穴21b,22bの内面に全幅にわたり形成された複数の軸線方向オイル溝21c,22cに導入される。そして各軸線方向オイル溝21c,22cの底面は、クラッチハブ12側に近づくにつれてシンクロナイザリング21,22の中心軸線から離れるように傾斜されているので、上述のようにして各軸線方向オイル溝21c,22cに導入された潤滑油は、シンクロナイザリング21,22の回転に伴う遠心力によりクラッチハブ12側に積極的に送られる。これにより相当量の潤滑油がシンクロナイザリング21,22とクラッチハブ12の間の空間S2を通って、スリーブ17の内歯スプライン17aとクラッチハブ12の外歯スプライン12aとの間の係合部付近に送り込まれるので、撹拌による潤滑方法を採用した場合でも、この係合部に潤滑油不足による摩耗が生じることはなくなる。
上述した実施形態では、シンクロナイザリング21,22の円錐穴21b,22bの内面には軸線方向オイル溝21c,22cと交差する複数の円周方向オイル溝21d,22dをさらに形成しており、このように形成された各円周方向オイル溝21d,22dは、各軸線方向オイル溝21c,22cと交差され連結されて潤滑油の供給及び排出が良くなるので、各円錐面13c,14cと各円錐穴21b,22bの間の摩擦係数の変動のばらつきが一層減少して、変速機の同期装置の同期作用も一層円滑で安定したものとなる。
上述した実施形態では、クラッチハブの両側に変速ギヤを回転自在に設けた例につき説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、クラッチハブの一側だけに変速ギヤを回転自在に設けるようにして実施することも可能である。また、被動側となる変速軸にクラッチハブを設けた例につき説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、駆動側となる変速軸にクラッチハブを設けるようにして実施することも可能である。
また上述した実施形態では、ギヤピースの外歯スプラインが形成される外向きフランジ部の外周部に形成される凹欠部は、外歯スプラインの1歯をまたぐ範囲にわたり形成しており、この場合には外歯スプラインには欠歯が生じる。しかし、本発明はこれに限られるものではなく、凹欠部を隣り合う2個の外歯スプライン歯の間の谷部に形成して欠歯が生じないようにしてもよく、そのようにすると1つの凹欠部の開口面積が減少するが、この減少は凹欠部の数を増加することにより補えばよい。
11…変速軸、12…クラッチハブ、12a…外歯スプライン、13,14…変速ギヤ、13b,14b…外歯スプライン、13c,14c…円錐面、13d,14d…凹欠部、17…スリーブ、17a…内歯スプライン、18…シフトフォーク、21,22…シンクロナイザリング、21a,22a…外歯スプライン、21b.22b…円錐穴、21c,22c…軸線方向オイル溝、21d,22d…円周方向オイル溝。
Claims (2)
- 変速軸と一体的に回転されるクラッチハブと、このクラッチハブの一側となる前記変速軸に回転自在に支持され前記クラッチハブ側に円錐面が同軸的かつ一体的に形成された変速ギヤと、この変速ギヤと前記クラッチハブの間に回転自在かつ多少距離軸線方向移動可能に設けられて前記円錐面と摩擦係合可能に接離される円錐穴が同軸的に形成されたシンクロナイザリングと、前記クラッチハブの外周に形成された外歯スプラインと軸線方向摺動可能に係合される内歯スプラインが内周に形成されるとともにシフトフォークにより中立位置と作動位置の間で軸線方向にシフトされるスリーブを備えてなり、前記スリーブは前記中立位置から作動位置に向かう軸線方向移動により、その内歯スプラインの先端部が先ず前記シンクロナイザリングの外周の外歯スプラインの先端部に当接するとともに前記シンクロナイザリングを軸線方向に移動させ、前記円錐穴を前記円錐面に摩擦係合させて前記変速ギヤの回転と前記クラッチハブの回転とを同期させ、次いで前記スリーブの内歯スプラインを前記変速ギヤの外周の外歯スプラインに係合させることにより前記スリーブを介して前記クラッチハブと前記変速ギヤの間で駆動トルクを伝達するようにした歯車変速機において、
前記スリーブの内歯スプラインと係合する外歯スプラインが形成される前記変速ギヤの一部の外周部には複数の凹欠部を形成し、前記シンクロナイザリングの円錐穴の内面には複数の軸線方向オイル溝を形成し、この軸線方向オイル溝の底面は前記クラッチハブ側に近づくにつれて前記シンクロナイザリングの中心軸線から離れるように傾斜されていることを特徴とする変速機の同期装置における潤滑構造。 - 請求項1に記載の変速機の同期装置における潤滑構造において、前記シンクロナイザリングの円錐穴の内面には、前記軸線方向オイル溝と交差する複数の円周方向オイル溝をさらに形成したことを特徴とする変速機の同期装置における潤滑構造。
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JP2008019372A Pending JP2009180280A (ja) | 2008-01-30 | 2008-01-30 | 変速機の同期装置における潤滑構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009180280A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113464583A (zh) * | 2021-06-22 | 2021-10-01 | 陕西法士特汽车传动集团有限责任公司 | 双中间轴变速器单体同步器试验的安装定位装置及方法 |
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2008
- 2008-01-30 JP JP2008019372A patent/JP2009180280A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113464583A (zh) * | 2021-06-22 | 2021-10-01 | 陕西法士特汽车传动集团有限责任公司 | 双中间轴变速器单体同步器试验的安装定位装置及方法 |
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