JP2002129388A - 電着塗膜形成方法及び電着塗膜 - Google Patents
電着塗膜形成方法及び電着塗膜Info
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Abstract
溶剤性及び耐食性を有するだけでなく、優れた耐衝撃性
(耐チッピング性)をも有する塗膜を形成することがで
きる新規な複層構造を形成することができる電着塗膜形
成方法を提供する。 【解決手段】 粒子A及び粒子Bを含む電着塗料組成物
を被塗装物上に電着塗装して電着皮膜を得る工程
(1)、得られた電着皮膜を加熱して層分離させて、複
層電着皮膜を得る工程(2)、並びに、得られた複層電
着皮膜を更に加熱して硬化させて、複層電着塗膜を得る
工程(3)からなる電着塗膜形成方法であって、上記複
層電着塗膜のうち、空気に直接接する層は、粒子Aから
形成されるものであって、動的ガラス転移温度が−11
0〜10℃であり、上記被塗装物に直接接する層は、粒
子Bから形成されるものであって、動的ガラス転移温度
が60〜150℃であることを特徴とする電着塗膜形成
方法。
Description
も自動車塗装分野において有用かつ新規な電着塗膜形成
方法に関するものであり、更に詳細には、耐食性を有す
る層と衝撃吸収性を有する層とからなる複層構造を有す
る電着塗膜を形成することができる電着塗膜形成方法に
関するものである。
おいて、省資源、省コスト及び環境負荷(VOC及びH
APs等)削減の課題を解決するため、塗装工程の短縮
化が強く求められている。即ち、従来の自動車塗装仕上
げ手順においては、電着塗膜、中塗り塗膜及び上塗り塗
膜がそれぞれの塗装後に焼付けされる3コート3ベーク
塗装方法によって行われていたが、近年、電着塗装後に
電着塗膜を焼付けた後、その上に、中塗り塗装、ベース
塗装及びクリヤー塗装の3つの塗装工程をウエットオン
ウエットで施し、これらウエット塗膜の一括した焼付け
を行う3ウエット塗装システムにより焼付け工程数を削
減し、しかも、従来の3コート3ベーク塗装方法により
得られる3コート膜と同等の外観、耐食性及び耐衝撃性
(耐チッピング性)を保持することが求められている。
の小石等の障害物の衝突によるいわゆる耐チッピング性
に関しては、従来の3コート3ベーク塗装方法では、耐
チッピング性を有する特有の中塗り塗膜を設けること等
により、耐チッピング性を確保することができたが、上
記の3ウエット塗装システムにおいて従来の中塗り塗料
を使用すると、得られる塗膜になじみ、反転等の不具合
が発生して外観が劣ることとなるため使用することがで
きず、3ウエット塗装システムにより得られる塗膜は、
耐衝撃性及び耐チッピング性が低いという欠点があっ
た。
に対する衝撃吸収能を有する樹脂層(いわゆる耐チッピ
ングプライマー層)を多層膜形成の途中、とりわけ電着
塗膜と中塗り塗膜の中間において施すことが開示されて
いる。しかしながら、そのような工程を自動車車体の塗
装工程中に更に組み入れることは、上記の省工程及び省
コストを求める市場ニーズにはそぐわない。
成された積層塗膜のうち、中塗り塗膜が主として上記耐
チッピング性を発揮する役割を担うものであるが、電着
塗膜に耐チッピング性を付与する技術も存在する。
504396号公報及び特開平7−82340号公報に
は、バインダー全体の衝撃吸収性を向上させることを目
的として、予めアミン変性エポキシ系カチオン樹脂と耐
衝撃吸収能を有するエラストマー成分とを反応させて樹
脂組成物として一体化させた電着塗料組成物が開示され
ている。これらの電着塗料用樹脂組成物は、本来相溶性
に乏しいアミン変性エポキシ樹脂とエラストマー(ゴ
ム)成分とを反応させて分子レベルにおいて一体化して
いるために、塗料の貯蔵安定性は高いが、充分な耐衝撃
性(耐チッピング性)を付与する程度にエラストマー成
分の反応量を増量すると、相反事象として耐食性が低下
するために、上記3ウエット塗装に対して充分な機能発
現が困難であった。
−207196号公報及び特開平9−208865号公
報においては、エラストマー(ゴム)成分に対して親水
性(極性)又は反応性官能基を導入し、アミン変性エポ
キシ系カチオン樹脂との相溶性を向上させることによっ
て、塗料貯蔵安定性を確保することを特徴とする電着塗
料組成物が開示されている。これらの電着塗料用樹脂組
成物では、エラストマー(ゴム)成分は電着塗料のメイ
ンバインダーであるアミン変性エポキシ系カチオン樹脂
とは別個に樹脂設計しているが、上記と同様に、充分な
耐衝撃性(耐チッピング性)を付与する程度にエラスト
マー成分の配合を増量すると、相反事象として耐食性が
低下するために、前記3ウェット塗装に対して充分な機
能発現が困難であった。また、エラストマー(ゴム)成
分への極性官能基の導入は、樹脂のガラス転移温度を不
必要に上昇させる為に、弾性率が低下し、耐衝撃性(耐
チッピング性)の低下を招く等の問題点もあった。
対して耐衝撃性を付与するためのエラストマー(ゴム)
成分と耐食性を付与するためのアミン変性エポキシ系カ
チオン樹脂との相溶性を確保した上で、単層構造からな
る電着塗膜を形成しようとするものである。その場合、
塗料貯蔵安定性は高いものの、耐衝撃性(耐チッピング
性)と耐食性の両立化レベルが充分でなかった。
の3コート膜に匹敵する優れた外観、耐溶剤性及び耐食
性を有するだけでなく、優れた耐衝撃性(耐チッピング
性)をも有する塗膜を形成することができ、かつ、塗装
工程短縮、コスト削減及び環境負荷低減を目指す3ウエ
ット1ベーク塗装方法において有用である新規な複層構
造を有する電着塗膜を形成することができる電着塗膜形
成方法を提供することにある。
子Bを含む電着塗料組成物を被塗装物上に電着塗装して
電着皮膜を得る工程(1)、得られた電着皮膜を加熱し
て層分離させて、複層電着皮膜を得る工程(2)、並び
に、得られた複層電着皮膜を更に加熱して硬化させて、
複層電着塗膜を得る工程(3)からなる電着塗膜形成方
法であって、上記複層電着塗膜のうち、空気に直接接す
る層は、粒子Aから形成されるものであって、動的ガラ
ス転移温度が−110〜10℃であり、上記粒子Aのみ
で造膜して得られる塗膜の伸び率は、200%以上であ
り、上記複層電着塗膜のうち、上記被塗装物に直接接す
る層は、粒子Bから形成されるものであって、動的ガラ
ス転移温度が60〜150℃であることを特徴とする電
着塗膜形成方法である。以下、本発明について更に詳細
に説明する。
成物を被塗装物上に電着塗装して電着皮膜を得る工程
(1)、得られた電着皮膜を加熱して層分離させて、複
層電着皮膜を得る工程(2)、並びに、得られた複層電
着皮膜を更に加熱して硬化させて、複層電着塗膜を得る
工程(3)からなるものである。
料組成物は、粒子A及び粒子Bを含むものである。本明
細書において、粒子A及び粒子Bとは、それぞれ別個の
エマルションとして調製されるものであり、電着塗料組
成物の調製において両方のエマルションは混合される
が、塗料中において互いに融着することなく別個の粒子
として存在するものを意味する。
物によって、複層電着塗膜を形成させ、このうち、空気
に直接接する層は、粒子Aから形成されるものであり、
被塗装物に直接接する層は、粒子Bから形成されるもの
である。本発明においては、空気に直接接する層を耐衝
撃性(耐チッピング性)を有するものとし、被塗装物に
直接接する層を防食性を有するものとして、防食性及び
耐衝撃性を高度に両立することができるものである。
ち、粒子Aから形成される空気に直接接する層は、動的
ガラス転移温度が−110〜10℃である。10℃を超
えると、粒子Aから得られる塗膜の柔軟性や耐衝撃性に
劣ることとなり、−110℃未満のものは実際には調製
が困難である。好ましくは、−100〜−30℃であ
る。上記動的ガラス転移温度の測定は、上記電着塗料組
成物を用いて基材上に電着塗装後、硬化させて形成した
電着塗膜を水銀を用いて剥離し、レオバイブロン(オリ
エンテック社製)やレオメトリックスダイナミックアナ
ライザー(レオメトリックス社製)等の動的粘弾性測定
装置による測定にて行うことができる。
れる塗膜の伸び率が200%以上である。200%未満
では、得られる塗膜の弾性に劣ることとなる。好ましく
は、500%以上である。上記伸び率は、JIS K
6301に従って、測定することができる。
ち、粒子Bから形成される被塗装物に直接接する層の動
的ガラス転移温度は、60〜150℃である。60℃未
満では、得られる電着塗膜が複層構造とならず、また、
防食性にも劣る。150℃を超えると、得られる塗膜が
硬くなりすぎて、クラック等が起こる場合がある。好ま
しくは、80〜140℃である。上記動的ガラス転移温
度の測定は、上述の方法に従って行うことができる。
である樹脂aを含むものであり、上記粒子Bが、溶解性
パラメーターがδbである樹脂bを含むものである場合
に、(δb−δa)の値が、1.0以上であることが好
ましい。上記(δb−δa)の値が1.0以上である互
いに不相溶又は難相溶の2種類の樹脂成分を選択するこ
とによって、複層構造を持つ電着塗膜を形成することが
できる。
は、0.5以上であれば相溶性を失い、塗膜が分離構造
を呈すると考えられている。しかしながら、本発明にお
いては、明瞭に層分離した塗膜構造を形成することが必
要であるため、少なくとも1.0以上の溶解性パラメー
ター差が好ましい。1.0未満であると、電着塗装した
場合に、明瞭に層分離した塗膜構造が形成されず、耐衝
撃性、特に耐チッピング性と耐食性との両立化レベルが
充分ではなくなる。
P(ソルビリティ・パラメーター)とも呼ばれるもので
あって、樹脂の親水性又は疎水性の度合いを示す尺度で
あり、樹脂間の相溶性を判断する上でも重要な尺度とな
るものである。上記溶解性パラメーターは、当業者に公
知の濁度測定法をもとに数値定量化されるものである
(K.W.Suh,D.H.Clarke,J.Pol
ymer.Sci.,A−1,5,1671(196
7))。
解性パラメーターの大きいもの、即ち、樹脂bの方が、
金属等の表面極性の高い導電性基材表面に対する親和性
が高いため、樹脂bを含む粒子Bから形成される電着塗
膜は、加熱・硬化時に金属材料等からなる導電性基材に
接する側に形成される。一方、樹脂aを含む粒子Aは、
空気層側に移動して樹脂層を形成することになる。この
ように双方の樹脂の溶解性パラメーターの差異が樹脂層
の分離を引き起こす推進力になると考えられる。
は、電着塗膜の断面をビデオマイクロスコープによって
目視観察するか、走査型電子顕微鏡(SEM観察)によ
って観察する方法が挙げられる。また、各樹脂層を構成
する樹脂成分を同定するには、例えば、全反射型フーリ
エ変換赤外光度計(FTIR−ATR)を使用すること
ができる。
の特性を有する範囲の樹脂であれば特に種類は限定され
るものではないが、例えば、ブタジエン、イソプレン、
クロロプレン等の共役ジエン系単量体のホモポリマー、
又は、共役ジエン系単量体とエチレン、プロピレン、エ
チリデン、ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,
4−ヘキサジエン、酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレ
ン、アクリロニトリル、イソブチレン、(メタ)アクリ
ル酸(エステル)等の単量体とのランダム若しくはブロ
ックコポリマー;ジイソシアネートとジオールとの重付
加反応によって合成されるポリウレタン系熱可塑性エラ
ストマー;テレフタル酸ジメチル、1,4−ブタンジオ
ール、ポリ(テトラメチレン)グリコール等を原料とし
エステル交換反応及び重縮合反応によって合成されるポ
リエステル系熱可塑性エラストマー;ラクタム、ジカル
ボン酸、ポリエーテルジオールを原料とし、エステル交
換及び重縮合反応によって合成されるポリアミド系熱可
塑性エラストマー等を挙げることができる。
レベルの発現可能性、経済性(コスト)及び汎用性から
見て、50重量%以上の共役ジエン系単量体からなる単
量体成分を重合してなるエラストマー(ゴム)であるこ
とが好ましい。50重量%未満であると、塗膜形成時に
おいて上記のガラス転移温度及び伸び率を有する樹脂層
を構成することが困難になる結果、耐衝撃性及び耐チッ
ピング性が低下する。より好ましくは60重量%以上、
更に好ましくは65重量%以上の共役ジエン系単量体か
らなる単量体成分を重合してなるエラストマーである。
中及び/又は末端に、水酸基、アミノ基、ビニル基、カ
ルボキシル基、ウレタン基、ウレア基等の反応性基や極
性基を含んでいてもよい。上記反応性基や極性基は、樹
脂aを調製する際に反応性基や極性基を有する単量体を
含む単量体成分を共重合するか、又は、共重合して得ら
れた樹脂aに対して公知の方法により導入することがで
きる。
ゴマー(液状ゴム)である場合には、粘着性が高く、そ
のままでは耐衝撃性能が低いので、耐衝撃性等の塗膜性
能を発現させるために塗膜形成時に硬化反応を行わせし
める必要がある。この場合、ヒドロキシル価が20〜2
00の範囲となるように水酸基を含有することが好まし
い。ヒドロキシル価が20未満では塗膜の硬化不良を招
き、充分な伸び率等のゴム性能が発現しない。200を
超えると硬化後塗膜中に過剰の水酸基が残存する結果、
耐水性が低下することがある。更に、硬化塗膜の硬度が
上昇する結果、充分な伸び率が発現しない。
子量である場合、硬化させなくても粘着性が少なく、充
分に耐衝撃性能を示すものであれば、塗膜形成において
特に硬化反応させる必要は無い。上記の場合は、予め樹
脂構造中に反応性基及び極性基を付与しておく必要は無
い。
れるものではないが、数平均分子量として1,000〜
200,000の範囲のものが好ましい。1,000未
満であると、塗膜形成時において効果的に架橋反応せし
めたとしても、伸び率が200%を超える塗膜を得るこ
とは困難である。200,000を超えると、樹脂溶液
の粘度が高いために得られた樹脂の乳化分散等の操作上
ハンドリングが困難なばかりか、得られた電着塗膜の膜
外観が著しく低下してしまうことがある。また、高粘度
のために、塗膜焼付け時における層分離性が困難となる
場合がある。
中に乳化分散することにより、粒子Aを構成する。上記
樹脂aが樹脂bとは別個に乳化分散されているので、樹
脂aと樹脂bとの相溶性を考慮しなくとも塗料安定性を
確保することができる。上記樹脂aは、上記反応性基及
び極性基のうちのアミノ基等のカチオン性基をウレタン
化反応等によって導入した上で、そのままか、又は、中
和剤によって水性媒体中に自己乳化分散可能な形態を成
してもよい。又は、別途カチオン性乳化剤を適用して水
性媒体中に乳化分散することも可能である。その際に、
必要に応じて、例えば硬化剤の適当量を樹脂に包含させ
て乳化分散しても良い。上記中和剤としては、塩酸、硝
酸、リン酸等の無機酸;蟻酸、酢酸、乳酸、スルファミ
ン酸、アセチルグリシン酸等の有機酸を挙げることがで
きる。本発明においては、樹脂aを含む粒子A全体の疎
水性が上がり、明瞭に層分離した複層構造を得ることが
できるため、カチオン性乳化剤を使用して樹脂aを水性
媒体中に乳化分散することが好ましい。
性基を含むものであれば特に限定されないが、数平均分
子量1,000〜200,000であるものが好まし
い。1,000未満であると、塗膜の耐水性等に悪影響
が出る場合がある。200,000を超えると、塗膜焼
き付けの際、系が高粘度となる為に層分離が阻害される
おそれがある。
に、上記カチオン性乳化剤中のカチオン基含有量、即
ち、乳化剤中のアミノ基、アンモニウム塩基及びスルホ
ニウム塩基含有量は、アミン価相当量として30〜15
0程度であることが好ましい。30未満であると、樹脂
aに対する乳化分散性に劣り、150を超えると、塗膜
の耐水性等に悪影響が出る場合がある。上記カチオン性
乳化剤の配合量は、樹脂aの固形分100重量部に対し
て、固形分換算で10〜50重量%の範囲が好ましい。
10重量%未満では、エマルションの分散安定性が乏し
くなり、50重量%を超えると、塗膜耐水性が悪くなる
ばかりか、樹脂aに基づく耐衝撃性等の特徴が充分発現
され難くなる。
て、公知の方法による適当な反応を施してカチオン性基
を付与することによって、調製することができる。上記
カチオン性乳化剤の樹脂骨格としては特に限定されず、
例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、液状ゴム(エラ
ストマー)、ポリウレタン、ポリエーテル及びこれらを
基にした変性樹脂等を挙げることができる。
は、例えば、分子内に複数のエポシキ基を含むアクリル
共重合体とアミンとの開環付加反応によって合成するこ
とができる。即ち、グリシジル(メタ)アクリレート等
のエポキシ基を有するアクリル系単量体を他の単量体と
共重合体することによって得られたエポキシ基含有アク
リル樹脂に対して、エポキシ基の全部をアミン類との反
応によって開環し、カチオン性アクリル樹脂を得ること
ができる。
えば、ブチルアミン、オクチルアミン、ジエチルアミ
ン、ジブチルアミン、メチルブチルアミン、モノエタノ
ールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノー
ルアミン、トリエチルアミン酸塩、N,N−ジメチルエ
タノールアミン酸塩等の1級、2級又は3級アミン酸塩
を挙げることができる。また、アミノエチルエタノール
アミンメチルイソブチルケチミン等のケチミンブロック
1級アミノ基含有2級アミンも使用することができる。
これらのアミン類は、全てのエポキシ環を開環させるた
めに、エポキシ環に対して少なくとも当量で反応させる
必要がある。
ノ基を有するアクリル系単量体を他の単量体と共重合す
ることによって、直接合成する方法によっても得ること
ができる。上記アミノ基を有するアクリル系単量体とし
ては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレ
ート、N,N−ジ−t−ブチルアミノエチル(メタ)ア
クリレート等が挙げられる。上記エポキシ基を含むアク
リル系単量体又はアミノ基を有するアクリル系単量体と
共重合体させる他の単量体としては特に限定されず、例
えば、ヒドロキシル基含有アクリル単量体、他のアクリ
ル系単量体、非アクリル系単量体等を挙げることができ
る。上記ヒドロキシル基含有アクリル単量体は、硬化反
応性を向上することができるため、用いることが好まし
い。
ついては、樹脂中のエポキシ基に対して、上記と同様の
変性を行うことにより、カチオン性基を導入することが
できる。上記液状ゴム(エラストマー)、ポリウレタン
及びポリエーテルを樹脂骨格とするものについては、分
子末端及び/又は分子構造の途中に存在する水酸基、カ
ルボキシル基、エポキシ基等に対して、アミンのウレタ
ン化反応又は付加反応によって、カチオン性基を導入す
ることができる。
与するための1級水酸基の導入や上記樹脂aに対する吸
着性を向上させるためのステアリル基、ドデシル基、オ
クチル基等の長鎖アルキル基の導入が行われていてもよ
い。これらは、主鎖中の官能基に対して、ヒドロキシ基
を有する2級アミンや長鎖アルキル基を有する2級アミ
ンを反応させることにより行うか、又は、そのような基
を有する単量体を用いて共重合することにより導入する
ことができる。
基が親水基としての役割を果たす。更に、カチオン性乳
化剤中に存在する可とう性を有する主鎖部分及びアルキ
ル基、ベンゼン構造等の疎水部分により、上記樹脂aと
の吸着相互作用を確保することができる。上記カチオン
性乳化剤は、そのままで水性媒体中に溶解又は分散させ
ることができる。
もよい。上記硬化剤としては、イソシアネート硬化剤、
メラミン硬化剤、アマイド系硬化剤等を挙げることがで
きる。好ましくは、ブロックドポリイソシアネートであ
る。上記ブロックドポリイソシアネートの原料であるポ
リイソシアネートの例としては、ヘキサメチレンジイソ
シアネート、テトラメチレンジイソシアネート、トリメ
チルヘキサメチレンジイシシアネート等の脂肪族ジイソ
シアネート;イソホロンジイソシアネート、4,4′−
メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)等の脂
環族ポリイソシアネート;4,4′−ジフェニルメタン
ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリ
レンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート及び
これらの多量体が挙げられる。これらを適当な封止剤で
ブロック化することにより、上記ブロックドポリイソシ
アネートを得ることができる。
ル、n−ヘキシルアルコール、2−エチルヘキサノー
ル、ラウリルアルコール、フェノールカルビノール、メ
チルフェニルカルビノール等の一価のアルキル(又は芳
香族)アルコール類;エチレングリコールモノヘキシル
エーテル、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシル
エーテル等のセロソルブ類;フェノール、パラーt−ブ
チルフェノール、クレゾール等のフェノール類;ジメチ
ルケトオキシム、メチルエチルケトオキシム、メチルイ
ソブチルケトオキシム、メチルアミルケトオキシム、シ
クロヘキサノンオキシム等のオキシム類;ε−カプロラ
クタム、γ−ブチロラクタム等のラクタム類が挙げられ
る。オキシム類及びラクタム類は、低温で解離するため
樹脂硬化性の観点から、好ましい。上記封止剤によるブ
ロック化率については、塗料の貯蔵安定性確保のため
に、100%にしておくことが好ましい。上記ポリイソ
シアネート及び上記封止剤は、単独で用いてもよく、2
種以上を併用してもよい。また、得られるブロックドポ
リイソシアネートは、塗膜物性や硬化度の調節等の都合
により、複数種を組み合わせて使用しても良い。
からなる樹脂層を硬化させる必要がある場合、上記硬化
剤のうち少なくとも1種類の溶解性パラメーター(δ
i)は、樹脂aの溶解性パラメーターδa及び樹脂bの
溶解性パラメーターδbの中間値、即ち、δa<δi<
δbに設定することが好ましい。これによって、二層分
離後のそれぞれの層へのブロックドポリイソシアネート
の分配溶解を可能とし、樹脂aを含む層の硬化性の確保
と樹脂bを含む層の同時硬化を両立化せしめることがで
きるため、複層膜中の層間密着性の向上と更に上塗り塗
装後の多層外観の向上をもたらすことができる。更に、
上記樹脂aを含む粒子Aからなる樹脂層へのブロックド
ポリイソシアネートの分配溶解を促進するための手段と
して、ブロック化されていないイソシアネート基を一部
有するブロックドポリイソシアネートと上記樹脂aの有
する水酸基とを予め反応させておいて、樹脂aを含む層
と樹脂bを含む層の同時硬化に伴う層分離の際に、樹脂
aと硬化剤とを一緒に移行させるような工夫をすること
も可能である。
aに対する配合比は、硬化塗膜の利用目的などで必要と
される架橋度に応じて異なるが、塗膜物性や上塗り塗装
適合性を考慮すると、樹脂aの固形分100重量部に対
して、固形分で10〜50重量%の範囲が好ましい。1
0重量%未満では塗膜硬化不良を招く結果、機械的強度
等の塗膜物性が低くなることがあり、また、上塗り塗装
時に塗料シンナーによって塗膜が侵される等外観不良を
招く場合がある。50重量%を超えると、逆に過剰に硬
化が進んでしまい、耐衝撃性等の塗膜物性不良等を招く
ことがある。
材に対して優れた防錆性を発現する点から、カチオン変
性エポキシ樹脂が好ましい。上記カチオン変性エポキシ
樹脂は、出発原料樹脂分子内のエポキシ環を1級アミ
ン、2級アミン又は3級アミン酸塩等のアミン類との反
応によって開環して製造することができる。上記出発原
料樹脂は、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビス
フェノールS、フェノールノボラック、クレゾールノボ
ラック等の多環式フェノール化合物とエピクロルヒドリ
ンとの反応生成物であるポリフェノールポリグリシジル
エーテル型エポキシ樹脂であることが好ましい。また他
の出発原料樹脂の例として、特開平5−306327号
公報に記載されたオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂を
挙げることができる。このエポキシ樹脂は、ジイソシア
ネート化合物又はジイソシアネート化合物のNCO基を
メタノール、エタノール等の低級アルコールでブロック
して得られたビスウレタン化合物と、エピクロルヒドリ
ンとの反応によって得られるものである。
キシ環の開環反応の前に、2官能のポリエステルポリオ
ール、ポリエーテルポリオール、ビスフェノール類、2
塩基性カルボン酸等により鎖延長して用いることができ
る。同様に、アミン類によるエポキシ環の開環反応の前
に、分子量又はアミン当量の調節、熱フロー性の改良等
を目的として、一部のエポキシ環に対して2−エチルヘ
キサノール、ノニルフェノール、エチレングリコールモ
ノ−2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコー
ルモノ−2−エチルヘキシルエーテルのようなモノヒド
ロキシ化合物を付加して用いることもできる。
化剤において例示したものを挙げることができる。上記
エポキシ樹脂へのカチオン性基の導入方法としては、特
開平11−209663号公報記載の製造方法に従っ
て、エポキシ環をスルホニウム塩に変性するのも好まし
い。
子量は、1,500〜5,000の範囲が好ましい。
1,500未満の場合は、硬化形成塗膜の耐溶剤性及び
耐食性等の物性が劣ることがある。5,000を超える
場合は、樹脂溶液の粘度制御が難しく合成が困難なばか
りか、得られた樹脂の粘度が高くなり、乳化分散等の操
作上ハンドリングが困難となることがある。更に、加熱
・硬化時のフロー性が悪く塗膜外観を著しく損ねる場合
がある。
50の範囲となるように分子設計することが好ましい。
ヒドロキシル価が50未満では塗膜の硬化不良を招き、
反対に250を超えると硬化後塗膜中に過剰の水酸基が
残存し、耐水性が低下することがある。
る。上記硬化剤としては、加熱時に樹脂成分を硬化させ
ることが可能であればその種類は特に限定されないが、
上記例示したものを挙げることができる。なかでも、電
着樹脂の硬化剤として好適なブロックドポリイソシアネ
ートが挙げられる。上記硬化剤の配合量としては、上述
したものを挙げることができる。
ままエマルションとして水中に乳化分散させるか、又
は、各樹脂中のアミノ基を中和できる量の中和剤で中和
処理し、カチオン化エマルションとして水中に乳化分散
させる。エマルションを調製する際に、上記例示したカ
チオン性乳化剤を使用することも可能である。上記乳化
分散の方法としては、上述のものを挙げることができ
る。
述のようにして得られた粒子Aと粒子Bとを混合するこ
とによって調製することができる。上記粒子Aを構成す
る樹脂aと上記粒子Bを構成する樹脂bとの配合比率
は、固形分に基づく重量比で、5/95〜70/30で
あることが好ましい。上記範囲を外れると、電着塗装、
焼き付け後の硬化塗膜が複層構造とならず、配合比率の
高い方の樹脂が連続相を形成し、低い方の樹脂が分散相
を形成する海島構造(又は、ミクロドメイン構造)にな
ってしまうことがある。また、層構造になった場合でも
複層構造のうちのいずれか一方の層厚が極端に薄くなる
ために、耐衝撃性(耐チッピング性)又は耐食性のいず
れかが著しく劣るために好ましくない。より好ましくは
10/90〜60/40の範囲である。
厚としては、1〜20μmが好ましい。1μm未満であ
ると、得られる塗膜の耐衝撃吸収性が期待できない。2
0μmを超えると、表面粗度が大きくなるために、塗膜
外観が低下する。より好ましくは3〜15μmである。
上記粒子Bから形成される樹脂層は、従来の電着塗膜に
要求される防錆性、塗膜外観、隠蔽性を確保するため
に、乾燥膜厚として5〜40μmであることが好まし
い。5μm未満では、塗膜耐食性が不足する。40μm
を超えると、表面粗度が大きくなるために、塗膜外観が
低下し、ワキ等の塗膜欠陥の発生が著しくなる。より好
ましくは10〜30μmである。
される樹脂層及び粒子Bから形成される樹脂層の合計の
乾燥膜厚は、10〜50μmであることが好ましい。1
0μm未満であると、耐衝撃吸収性や耐食性が低下す
る。50μmを超えると、表面粗度が大きくなるため
に、塗膜外観が低下する。好ましくは、20〜40μm
である。
常、顔料を含むものである。上記顔料としては、通常塗
料に使用されるものならば特に限定されず、例えば、カ
ーボンブラック、二酸化チタン、グラファイト等の着色
顔料;カオリン、珪酸アルミ(クレー)、タルク等の体
質顔料;リンモリブデン酸アルミ、珪酸鉛、硫酸鉛、ジ
ンククロメート、ストロンチウムクロメート等の防錆顔
料等が挙げられる。なかでも、電着塗装後の複層硬化膜
を担う顔料としてとくに重要なものは、カーボンブラッ
ク、二酸化チタン、珪酸アルミ(クレー)及びリンモリ
ブデン酸アルミである。上記二酸化チタンは着色顔料と
して隠蔽性が高く、しかも安価であることから、電着塗
膜用に最適である。なお、上記顔料は単独で使用するこ
ともできるが、目的に合わせて複数使用するのが一般的
である。上記顔料は、一般的に用いられているカチオン
性顔料分散樹脂で予め分散を行い、顔料分散ペーストを
調整した後、上記電着塗料組成物の調製に際して適当量
を配合することができる。
(P)に対する電着塗料組成物中の顔料以外の全ビヒク
ル成分の重量(V)の比率P/Vで、1/10〜1/3
の範囲であることが好ましい。上記顔料以外の全ビヒク
ル成分とは、塗料を構成する顔料以外の全固形成分を意
味する。1/10未満では、顔料不足により塗膜に対す
る水分等の腐食要因の遮断性が過度に低下し、実用レベ
ルでの耐食性を発現できないことがある。1/3を超え
ると、顔料過多により硬化時の粘性増大を招き、フロー
性が低下して塗膜外観が著しく悪くなることがある。
錆剤、界面活性剤(消泡剤)等の添加剤の適量を配合す
ることができる。上記防錆剤としては、近年鉛等の有害
な重金属を排する市場要求から、亜鉛、セリウム、ネオ
ジム、プラセオジム等の希土類金属の有機酸塩が、水溶
性であり使用が容易なものとして挙げられる。例えば、
酢酸亜鉛、酢酸セリウム及び酢酸ネオジム等を、上記粒
子Bを調製する際に配合し、樹脂エマルションによる包
含又は吸着の形態で適量を添加することができる。
〜25重量%の範囲となるように調整することが好まし
い。固形分濃度の調節には水性媒体、例えば、水単独又
は水と親水性有機溶剤との混合物を使用して行う。ま
た、電着塗料組成物中には少量の添加剤を導入しても良
い。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止
剤、界面活性剤、塗膜表面平滑剤、及び、有機スズ化合
物等の硬化促進剤等を挙げることができる。
料組成物を被塗装物上に電着塗装して電着皮膜を得る工
程(1)、得られた電着皮膜を加熱して層分離させて、
複層電着皮膜を得る工程(2)、並びに、得られた複層
電着皮膜を更に加熱して硬化させて、複層電着塗膜を得
る工程(3)からなるものである。上記工程(1)の電
着塗装は、一般的には、被塗装物である導電性基材に陰
極(カソード極)端子を接続し、上記電着塗料組成物の
浴温15〜35℃、負荷電圧100〜400Vの条件に
おいて行うことができる。
は、工程(2)における加熱によって、各樹脂固有の溶
解性パラメーターに応じて配向し、層分離が起こる。上
記工程(2)における加熱は、その後の工程(3)で行
われる加熱と同じ温度で行うことにより、工程(2)及
び工程(3)を段階的に区別することなく、連続して行
うことができる。しかし、本発明においては、工程
(2)の加熱温度を電着塗料組成物の硬化温度未満で行
うことが好ましい。これによって、塗膜外観を損なわず
に層分離性を向上することができる。この場合の加熱温
度としては、60〜130℃が挙げられ、加熱時間は、
加熱温度等により変わるが、1〜10分程度が挙げられ
る。
140〜200℃、好ましくは160〜180℃で10
〜30分間焼き付けが行われる。上記焼き付けが終了し
た硬化塗膜は、粒子Aから形成される層が空気に直接接
する側であり、粒子Bから形成される層が被塗装物に直
接接する側となる複層構造の電着硬化膜である。上記工
程(2)及び工程(3)における加熱方法は、当初から
目的温度に調節した加熱設備に塗装物を入れる方法と、
塗装物を入れた後に昇温する方法がある。
てなる電着塗膜は、複層塗膜を成すことで機能分担が施
されているので、塗膜性能として耐衝撃性(耐チッピン
グ性)と防食性とが高度に両立化したものである。従っ
て、上記電着塗膜上に、中塗り塗料及び上塗り塗料、メ
タリック塗装においては中塗り塗料並びにメタリックベ
ース塗料及びクリア塗料をウェットオンウェットにて塗
装し、中塗り塗膜及び上塗り塗膜、又は、中塗り塗膜、
メタリックベース塗膜及びクリア塗膜を同時焼付けする
いわゆる3ウェット塗装において、従来の3コート膜に
匹敵する優れた外観、耐食性及び耐衝撃性(耐チッピン
グ性)を有する塗膜を得ることができる。更に、この3
ウエット塗装により、工程短縮、コスト削減及び環境負
荷低減を目指す新規塗装システムを構築することができ
る。
に説明するが、本発明は以下の実施例により限定される
ものではない。なお、部及び%は、重量部及び重量%を
意味する。
硬化剤の製造) 攪拌機、窒素導入管、冷却管及び温度計を備え付けた反
応容器にイソホロンジイソシアネート222部を入れ、
メチルイソブチルケトン50部で希釈した後ブチル錫ラ
ウレート0.2部を加え、50℃まで昇温の後、メチル
エチルケトオキシム17部を内容物温度が70℃を超え
ないように加えた。そして、赤外吸収スペクトルにより
イソシアネート残基の吸収が実質上消滅するまで70℃
で1時間保温し、その後n−ブタノール10部で希釈す
ることによって固形分80%の目的のブロックドポリイ
ソシアネート(溶解性パラメーターδi=11.8)を
得た。
硬化剤の製造) 攪拌機、窒素導入管、冷却管及び温度計を備え付けた反
応容器にヘキサメチレンジイソシアネートの3量体19
9部を入れ、メチルイソブチルケトン39部で希釈した
後ブチル錫ラウレート0.2部を加え、50℃まで昇温
の後、メチルエチルケトオキシム44部、エチレングリ
コールモノ2−エチルへキシルエーテル87部を内容物
温度が70℃を超えないように加えた。そして赤外吸収
スペクトルによりイソシアネート残基の吸収が実質上消
滅するまで70℃で1時間保温し、その後n−ブタノー
ル43部で希釈することによって固形分80%の目的の
ブロックドポリイソシアネート(溶解性パラメーターδ
i=10.7)を得た。
ルション[粒子B]の製造) 攪拌機、デカンター、窒素導入管、温度計及び滴下ロー
トを備え付けた反応容器に、エポキシ当量188のビス
フェノールA型エポキシ樹脂(商品名DER−331
J、ダウケミカル社製)2,400部とメタノール14
1部、メチルイソブチルケトン168部、ジラウリン酸
ジブチル錫0.5部を仕込み、40℃で攪拌し均一に溶
解させた後、2,4−/2,6−トリレンジイソシアネ
ート(80/20重量比混合物)320部を30分間か
けて滴下したところ発熱し、70℃まで上昇した。これ
にN,N−ジメチルベンジルアミン5部を加え、系内の
温度を120℃まで昇温し、メタノールを留去しながら
エポキシ当量が500になるまで120℃で3時間反応
を続けた。更に、メチルイソブチルケトン644部、ビ
スフェノールA341部、2−エチルヘキサン酸413
部を加え、系内の温度を120℃に保持し、エポキシ当
量が1070になるまで反応させた後、系内の温度が1
10℃になるまで冷却した。次いでジエチレントリアミ
ンジケチミン(固形分73%のメチルイソブチルケトン
溶液)241部とN−メチルエタノールアミン192部
の混合物を添加し110℃で1時間反応させることによ
りカチオン変性エポキシ樹脂を得た。この樹脂の数平均
分子量は2100、水酸基価は160であった。赤外吸
収スペクトル等の測定から、樹脂中にオキサゾリドン環
(吸収波数;1750cm-1)を有していることが確認
された。また溶解性パラメーターδb=11.4であっ
た。
脂中へ、上記製造例1で製造したブロックドポリイソシ
アネート硬化剤1834部(カチオン変性エポキシ樹脂
100重量部に対するブロックドポリイソシアネートの
配合比38重量%)、酢酸90部、更に防錆剤として酢
酸亜鉛2部及び酢酸セリウム2部を加えた後、イオン交
換水で不揮発分32%まで希釈した後、減圧下で不揮発
分36%まで濃縮し、カチオン変性エポキシ樹脂を主体
とする水性エマルション(以下、E1と記す)を得た。
剤の製造) 攪拌機、冷却器、デカンター、窒素導入管及び温度計を
備え付けた反応容器に、メチルイソブチルケトン114
部を入れて50℃まで加熱後、4,4′−ジフェニルメ
タンジイソシアネート75部及び反応触媒としてジブラ
ウリン酸ジブチル錫0.1部を仕込み、窒素雰囲気下5
0℃に加熱保持した。更にR−15HT(出光石油化学
社製1,4−ポリブタジエン−α,ω―ジオール、数平
均分子量=1,200、水酸基価=103)110部を
滴下ロートから30分間かけて滴下し、更に30分間攪
拌を続行した。次に、N−メチルジエタノールアミン2
4部、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエー
テル20部及びジエチレントリアミンジケチミンのメチ
ルイソブチルケトン溶液(固形分73%)36部を仕込
み、80度で30分間反応させたところ、内容物のIR
チャートではイソシアネート基(波数;2220c
m-1)の吸収が実質的に消失したことで反応終了を確認
した。得られた樹脂溶液は、固形分70%、数平均分子
量3,000、アミン価=85であった。
剤の製造) 攪拌機、冷却器、窒素導入管、温度計及び滴下ロートを
備え付けた反応容器に、メチルイソブチルケトン50部
を仕込み、窒素雰囲気下115℃に加熱保持した。更に
2−ヒドロキシエチルメタクリレート20.2部、2−
エチルヘキシルメタクリレート39.8部、N,N−ジ
メチルアミノエチルメタクリレート20部、スチレン2
0部及びV−601(和光純薬社製重合開始剤;ジメチ
ル2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオネート)
4.5部の混合物を滴下ロートから3時間かけて滴下
し、その後更にV−601を0.5部滴下して115℃
で1.5時間保持した。得られたカチオン変性アクリル
樹脂は、固形分65%、数平均分子量5400、アミン
価=71、ヒドロキシル価=87であった。
製造) 樹脂aとしてR−45HT(出光石油化学社製1,4−
ポリブタジエン−α,ω―ジオール、数平均分子量=
2,800、水酸基価=47、ブタジエン含有量=99
%、溶解性パラメーターδa=9.5)70部、上記製
造例2で製造したブロックドポリイソシアネート硬化剤
溶液38部、製造例4で製造したカチオン性分散剤40
部及び酢酸2.5部を加えた後、イオン交換水で不揮発
分32%まで希釈した後、減圧下で不揮発分36%まで
濃縮し、カチオン変性エポキシ樹脂を主体とする水性エ
マルション(以下、E2と記す)を得た。
製造) 樹脂aとしてクレイトンD−1107(クレイトンポリ
マージャパン社製ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリ
スチレンブロックコポリマー、イソプレン含有量=84
%、推定数平均分子量=14万、溶解性パラメーターδ
a=9.2)のメチルイソブチルケトン溶液(固形分濃
度20%)350部、上記製造例2で製造したブロック
ドポリイソシアネート硬化剤溶液10部、製造例5で製
造したカチオン性分散剤溶液30部及び酢酸2.5部を
加えた後、イオン交換水で不揮発分32%まで希釈した
後、減圧下で不揮発分36%まで濃縮し、カチオン変性
エポキシ樹脂を主体とする水性エマルション(以下、E3
と記す)を得た。
製造) 樹脂aとしてTR−2600(JSR社製ポリスチレン
−ポリブタジエン−ポリスチレンブロックコポリマー、
ブタジエン含有量=68%、推定数平均分子量=15
万、溶解性パラメーターδa=9.2)のメチルイソブ
チルケトン溶液(固形分濃度20%)350部、製造例
4で製造したカチオン性分散剤溶液40部及び酢酸2.
5部を加えた後、イオン交換水で不揮発分32%まで希
釈した後、減圧下で不揮発分36%まで濃縮し、カチオ
ン変性エポキシ樹脂を主体とする水性エマルション(以
下、E4と記す)を得た。
にエポキシ当量198のビスフェノールA型エポキシ樹
脂(商品名エポン829、シェル化学社製)710部、
ビスフェノールA289.6部を仕込んで、窒素雰囲気
下150〜160℃で1時間反応させ、次いで120℃
まで冷却後、2−エチルヘキサノール化ハーフブロック
化トリレンジイソシアネートのメチルイソブチルケトン
溶液(固形分95%)406.4部を加えた。反応混合
物を110〜120℃で1時間保持した後、エチレング
リコールモノn−ブチルエーテル1584.1部を加え
た。そして85〜95℃に冷却して均一化させた。
器に2−エチルヘキサノール化ハーフブロック化トリレ
ンジイソシアネートのメチルイソブチルケトン溶液(固
形分95%)384部にジメチルエタノールアミン10
4.6部を加えたものを80℃で1時間攪拌し、次いで
75%乳酸水141.1部を仕込み、更にエチレングリ
コールモノn−ブチルエーテル47.0部を混合、30
分攪拌し、4級化剤(固形分85%)を製造しておい
た。そしてこの4級化剤620.46部を先の反応物に
加え酸価1になるまで混合物を85から95℃に保持
し、顔料分散樹脂ワニス(樹脂固形分56%、平均分子
量2,200)を得た。
を含む下記配合の顔料ペースト(以下、P1と記す)を調
製した。 製造例9の顔料分散樹脂ワニス 53.6部 二酸化チタン 88.0部 カーボンブラック 2.0部 リンモリブデン酸アルミ 10.0部
A]の製造) 攪拌機、冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応容器
にメチルイソブチルケトン701部を加え、50℃まで
加温後、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート
579部、ジラウリン酸ジブチル錫0.1部を溶解させ
た。温度を50〜60℃に保持したまま、PP−700
(旭電化社製ポリプロプレングリコール、数平均分子量
700)921部を20分間で滴下した。滴下終了後、
更に、50℃で30分間攪拌を続けた。内容物を攪拌し
ながら、エチレングリコールモノブチルエーテル59
部、N−メチルジエタノールアミン60部、ジエチレン
トリアミンジケチミンのメチルイソブチルケトン溶液
(固形分濃度73%)180部を加え、30分間反応さ
せたところ、内容物のIR分析ではイソシアネート基
(吸収波数;2220cm-1)の吸収が消失し、反応を
終了した。
均分子量=2,900、溶解性パラメーターδa=1
1.0)中へ、上記製造例1で製造したブロックドポリ
イソシアネート硬化剤547部を加えて30分間攪拌の
後、エチレングリコールモノブチルエーテル250部、
酢酸60部、更に防錆剤として酢酸亜鉛2部及び酢酸セ
リウム2部を加えた後、イオン交換水で不揮発分32%
まで希釈した後、減圧下で不揮発分36%まで濃縮し、
カチオン変性エラストマーを主体とする水性エマルショ
ン(以下、E5と記す)を得た。
A]の製造) 樹脂aとしてR−45HT(出光石油化学社製1,4−
ポリブタジエン−α,ω―ジオール、数平均分子量=
2,800、水酸基価=47、ブタジエン含有量=99
%、溶解性パラメーターδa=9.5)70部、上記製
造例1で製造したブロックドポリイソシアネート硬化剤
溶液38部、製造例4で製造したカチオン性分散剤40
部及び酢酸2.5部を加えた後、イオン交換水で不揮発
分32%まで希釈した後、減圧下で不揮発分36%まで
濃縮し、カチオン変性エポキシ樹脂を主体とする水性エ
マルション(以下、E6と記す)を得た。
ョン[粒子B](E1)、製造例6〜8で得られた樹脂エ
マルション[粒子A](E2〜E4)、製造例10で得られ
た顔料分散ペースト(P1)及び脱イオン水を使用して水
性塗料組成物(固形分濃度は全て20%)を調製した。
オキシドの乳化エマルションペーストを錫量にして塗料
固形分量の1.5%になるように配合した。各種材料の
組み合わせ、配合比(樹脂固形分比、ただし硬化剤重量
は含めずに計算した)及び顔料/樹脂ビヒクル(全ビヒ
クル重量。硬化剤重量も含む)の比率P/Vは下記表1
に示した。なお、各表中において、δaは上記樹脂aの
溶解性パラメーター、δbは上記樹脂bの溶解性パラメ
ーター、δiはブロッグドポリイソシアネートの溶解性
パラメーターを表わす。
ョン[粒子B](E1)、比較製造例1〜2で得られた樹
脂エマルション(E5〜E6)、製造例10で得られた顔料
分散ペースト(P1)及び脱イオン水を用いて水性塗料組
成物(固形分濃度は実施例と同じ)を調製した。
料組成物を用いて、リン酸亜鉛処理鋼板に対して焼き付
け後の電着塗膜厚が30μmになるような電圧で電着塗
装し、まず100℃で5分間プレヒートした後、更に1
60℃で15分間焼付けを行った。実施例4について
は、実施例1と同じ水性塗料組成物を用いて電着塗装を
行うが、焼き付けの際に、上記プレヒート工程を省略し
た。得られた電着塗膜に対する各々の性状及び性能評価
結果を表2に示す。ただし、表2においては便宜上、空
気に直接接する層を「上層」、導電性基材に直接接する
層を「下層」という。
した後、その1リットルを400メッシュの金網で濾過
し、金網上の残固形物量が5mg以下であれば、良好と
判断した。 (2)電着塗膜の層分離状態 ビデオマイクロスコープで断面の目視観察を行った。ま
た複層電着膜の場合、各層を構成する主樹脂はFTIR
−ATR分析により同定した。 (3)各層の層厚 上記ビデオマイクロスコープによる断面観察結果から測
定した。
K 6301に従って別途引張試験サンプルを作成し
て測定した。硬化条件については、上記塗膜硬化と同条
件において実施した。 (5)上下層のTg(ガラス転移温度) ブリキ板上に施した複層電着膜を水銀を用いて剥離、裁
断して測定用サンプルを調製、レオメトリックスダイナ
ミックアナライザーRDA−II試験機(米国レオメト
リックス社製)を用いて、液体窒素により試料をいった
ん凍結した後、1分間に2℃の昇温速度かつ周波数10
Hzにおいてサンプルに振動を与えてその粘弾性を測定
し、貯蔵弾性率(E′)に対する損失弾性率(E′′)
の比(tanδ)を算出して、その変曲点を求めること
によって、それぞれの動的Tgを求めた。 (6)電着膜表面粗度 得られた塗板について、ハンディサーフE−30A(東
京精密社製)を用いて、JIS B 0601に従っ
て、表面粗度Raを測定した(カットオフ0.8m
m)。
浸漬試験(5%食塩水、55℃)を240時間行い、粘
着テープによってカット部両側から剥離した剥離部の最
大幅で示した。 (8)SST 塗板にナイフで素地に達するクロスカットを入れ、塩水
噴霧試験(5%食塩水)を240時間行い、クロスカッ
ト部からの発生錆の最大幅で示した。 (9)耐チッピング性 −20℃に冷却した塗板に対して垂直方向から玄武岩7
号砕石(大きさ;2.4〜4.8mm)100gを射出
圧力0.3kgf/cm2 にて、衝突させて塗膜に対す
るダメージ程度を調べた。
た電着塗膜形成方法は、表面平滑性、耐食性及び耐チッ
ピング性に優れた複層電着塗膜を形成することができる
ことが明らかである。
性を主な機能とする電着層上に、衝撃吸収性を有する層
を形成させた複層電着膜を得ることができる。そのため
中塗り及び上塗りを施した3コート膜、とりわけ中塗り
及び上塗り(メタリック塗装においては、更にベース及
びクリア塗装)をウェットオンウェットにて塗装し、中
塗り及び上塗り層(ベース層及びクリア層)を同時焼付
けをするいわゆる3ウェット塗装においては、従来の3
コート膜に匹敵する優れた外観、耐食性及び耐衝撃性
(耐チッピング性)を有し、かつ、塗料産業上とりわけ
自動車塗装分野において、焼付け工程短縮、コスト削減
及び環境負荷(VOC及びHAPs)低減を目指す新規
3ウェット塗装システムを構築する上で重要な役割を果
たすものである。
Claims (7)
- 【請求項1】 粒子A及び粒子Bを含む電着塗料組成物
を被塗装物上に電着塗装して電着皮膜を得る工程
(1)、得られた電着皮膜を加熱して層分離させて、複
層電着皮膜を得る工程(2)、並びに、得られた複層電
着皮膜を更に加熱して硬化させて、複層電着塗膜を得る
工程(3)からなる電着塗膜形成方法であって、前記複
層電着塗膜のうち、空気に直接接する層は、粒子Aから
形成されるものであって、動的ガラス転移温度が−11
0〜10℃であり、前記粒子Aのみで造膜して得られる
塗膜の伸び率は、200%以上であり、前記複層電着塗
膜のうち、前記被塗装物に直接接する層は、粒子Bから
形成されるものであって、動的ガラス転移温度が60〜
150℃であることを特徴とする電着塗膜形成方法。 - 【請求項2】 工程(2)における加熱温度は、電着塗
料組成物の硬化温度未満である請求項1記載の電着塗膜
形成方法。 - 【請求項3】 複層電着塗膜のうち、空気に直接接する
層の膜厚は、1〜20μmである請求項1又は2記載の
電着塗膜形成方法。 - 【請求項4】 複層電着塗膜のうち、被塗装物に直接接
する層の膜厚は、5〜40μmである請求項1、2又は
3記載の電着塗膜形成方法。 - 【請求項5】 複層電着塗膜の膜厚は、10〜50μm
である請求項1、2、3又は4記載の電着塗膜形成方
法。 - 【請求項6】 粒子Aは、溶解性パラメーターがδaで
ある樹脂aを含むものであり、粒子Bは、溶解性パラメ
ーターがδbである樹脂b及び硬化剤を含むものであっ
て、(δb−δa)の値は、1.0以上である請求項
1、2、3、4又は5記載の電着塗膜形成方法。 - 【請求項7】 請求項1、2、3、4、5又は6記載の
電着塗膜形成方法により形成されてなる電着塗膜。
Priority Applications (1)
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