JP2002128946A - 発泡スチロール処理用溶剤及びこれを用いた発泡スチロールの処理方法 - Google Patents

発泡スチロール処理用溶剤及びこれを用いた発泡スチロールの処理方法

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JP2002128946A
JP2002128946A JP2000322459A JP2000322459A JP2002128946A JP 2002128946 A JP2002128946 A JP 2002128946A JP 2000322459 A JP2000322459 A JP 2000322459A JP 2000322459 A JP2000322459 A JP 2000322459A JP 2002128946 A JP2002128946 A JP 2002128946A
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Kiyoji Sawa
喜代治 澤
Yasukuni Ogawa
泰州 小川
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
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    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】吸引等による神経や肝臓の障害、発ガン性や催
奇形性等の障害がなく、引火点が高く、爆発等の火災事
故の発生を防ぎ、刺激臭や不快臭の発生を抑制し、作業
環境の改善及び安全性、取り扱い性を向上させ、発泡ス
チロールの付着水分や雨水等の混入によっても、低温条
件下においても良好な活性(脱泡減容性)と溶解速度を
維持する発泡スチロールの処理用溶剤及びこれを用いた
処理方法を提供する。 【解決手段】発泡スチロールをゼリー/ゲル状にして体
積を減少させる液状媒体であって、一般式 の二塩基酸ジエステル系化合物、一般式 のグリコールジエーテル系化合物、一般式 のグリコールジエステル系化合物、又は一般式 のグリコールエーテル脂肪酸アルキルエステル系化合物
の1種以上とゲル化凝集剤とを成分とし、前記各化合物
の一般式における両末端アルキル基の炭素数が異なる液
状媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、発泡スチロールと接触
させることにより、この発泡スチロールをゼリー状ない
しはゲル状にしてその体積を減少させるための発泡スチ
ロール処理用溶剤に関し、特に、従来の発泡スチロール
処理用溶剤は神経障害や肝臓障害、更には催奇形性や発
ガン性を有し、又、刺激臭や不快臭があり、その取り扱
いには防毒マスクや防臭マスクを用いたり、局所排気を
完全に行うなど、特殊施設が必要であり、更に、低温条
件下において発泡スチロールに対する活性が低く、実用
的に使用が制限されるものであったが、本発明は、有機
溶媒の蒸散や臭気の発生を抑制して、作業環境の改善及
び安全性、取り扱い性を至極向上させるだけでなく、引
火や爆発等の火災事故の発生を未然に防ぐことができる
ようにしたものであり、しかも、、低温条件下において
も非常に良好な活性を維持することができる発泡スチロ
ール処理用溶剤及びこれを用いた発泡スチロールの処理
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】発泡スチロールは、安定な素材であり、
しかも、単位体積当たりの重量が非常に軽く(容積1立
方メートルあたり約5〜20kg)、成形性、保温・断
熱性が良好である上、安価である等の諸特性を有するた
め、容器、食器、飲料容器、梱包材、緩衝材等の素材と
して多岐にわたって使用されている。
【0003】そして、発泡スチロールは、前記のように
安価で、且つ軽量で、成形性に優れるなどの理由から、
主に使い捨てを目的として成型・製品化されることが多
く、現在では、毎年約40万トンもの発泡スチロールが
発泡スチロール製品として生産・使用され、その後、そ
のほとんどが廃棄物として処理されている。
【0004】しかしながら、このように廃棄された発泡
スチロールを処理するためには様々な問題がある。
【0005】この発泡スチロールの安定・軽量性等の諸
特性は、発泡スチロール製品として用いる場合には大き
な利点であるが、一旦、発泡スチロール製品が廃棄物と
なると、逆に、この特性が最大の問題となる。
【0006】即ち、発泡スチロールは、その安定性のた
め生分解を受け難く、従って、廃棄処分の際に埋め立て
処分をした場合には、土壌中で分解されることなく、半
永久的に環境中に残存することとなり、環境への悪影響
が問題となる。
【0007】又、これらの廃材を焼却処理する場合に
は、発泡スチロール廃材の発熱量が高すぎて、焼却炉の
炉内温度が高くなりすぎる結果、焼却炉の炉材を傷め、
焼却炉の寿命を短くするばかりでなく、二酸化炭素の放
出に伴う地球温暖化等の環境悪化の原因となり、一方、
燃焼が不十分になると、一酸化炭素等の有害ガスの排出
が問題となる。
【0008】更に、発泡スチロールは、その発泡・軽量
性のため至極嵩張る上、発泡スチロールの構造は強固で
相当の外圧をかけてもその内部の気泡を圧縮・放出する
ことができず、廃棄された発泡スチロールを回収する際
の輸送効率が悪くなり、輸送コストや処理コストが著し
く高くなるといった問題がある。
【0009】これらの問題を解決するために、特開平5
−92428号公報及び特開平5−92429号公報で
は、発泡スチロール廃材を回収・再資源化する目的で、
廃材を細かく裁断し、これを加熱溶融して体積を減少さ
せ、ペレット状にして搬送する方法が提案されている。
【0010】又、特開平4−198516号公報及び特
開平6−238688号公報では、発泡スチロール廃材
を加熱して圧縮する方法が提案されている。
【0011】更に、特開平3−214号公報及び特開平
4−219186号公報では、加熱廃油或いは加熱オイ
ルを利用して、発泡スチロール廃材の体積を減少させる
方法が提案されている。
【0012】しかしながら、前述のいずれの方法を用い
ても、発泡スチロールの分解ガスの発生や、廃油発生に
伴う悪臭の発生等のため、環境に対する配慮が必要とな
るのであり、又、廃材を加熱して溶融、固化させる方法
では、多大のエネルギーが必要となり、これに費やすコ
ストが高くなるといった問題がある。
【0013】そこで、発泡スチロール廃材の体積を減少
させる方法として、発泡スチロールを溶解可能な液状媒
体に発泡スチロール廃材を接触させ、これにより、発泡
スチロール廃材を溶解してその体積を減少させる、発泡
スチロール処理用溶剤及びこれを用いた発泡スチロール
の処理方法が提案されている(特開平2−1748号公
報、特開平5−59212号公報、特開平7−1130
89号公報等)。
【0014】即ち、これらの方法は、発泡スチロールを
溶解可能な有機溶媒、例えば、芳香族化合物や、アセト
ンやメチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン等の有機
溶媒を単独で用いて、発泡スチロール廃材を溶解してそ
の体積を減少させるものである。
【0015】しかしながら、発泡スチロールを溶解可能
な有機溶媒を単独で用いて、これに発泡スチロールを接
触して、液状に溶解するこれらの方法では、処理後の溶
液から発泡スチロールを単離するためのコストが大き
く、又、使用する有機溶媒一単位当たりの発泡スチロー
ルの溶解量が少なく、実用化できるものではなかった。
【0016】そこで、最近では、芳香族化合物や、アセ
トンやメチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン等の発
泡スチロールを溶解可能な溶剤(発泡スチロール可溶性
溶剤)と、脂肪族炭化水素等の発泡スチロールを溶解で
きない溶剤(発泡スチロール難溶性用剤)とを混合した
液状媒体を使用し、発泡スチロールを半固形状の膨潤状
態、即ち、ゼリー状ないしゲル状の樹脂としてその体積
を減少する、発泡スチロール処理用溶剤及びこれを用い
た発泡スチロールの処理方法の研究・開発が主流となっ
ている(特開平9−40802号公報、特開平9−15
7435号の公報等)。
【0017】これらの発泡スチロール処理用溶剤は、発
泡スチロール処理用溶剤に脂肪族炭化水素等の発泡スチ
ロールを溶解できない溶剤(発泡スチロール難溶性溶
剤)を加えることによって、当該処理用溶剤に対して、
発泡スチロールに対する持続的で安定した溶解性を付与
したものであり、従来の発泡スチロールを処理するため
の溶剤と比較して、溶剤単位量当たり、著しく多量の発
泡スチロールを処理することができるものである。
【0018】しかも、このように構成することにより、
省エネルギーで短時間に発泡スチロール廃材を処理する
ことができる上、処理後のスチロール樹脂の回収、再生
が容易となり、又、場所をとらず、しかも比較的廉価な
溶剤を用いることができるのである。
【0019】現在のところ、この効果の詳細については
正確には把握されていないが、おそらく、これらの発泡
スチロール可溶性溶剤と発泡スチロール不溶性溶剤とを
混合した液状媒体に発泡スチロールを投入すると、ま
ず、発泡スチロール可溶性溶剤が、発泡スチロールを溶
解するであろうと予想される。
【0020】そして、その後、当該液状媒体中におい
て、溶解したスチロール(液状のスチロール)樹脂の直
鎖に対して、前記発泡スチロール不溶性溶剤が働きか
け、液状のスチロール樹脂を速やかにゼリー状ないしゲ
ル状に凝集することによって、固体相のスチロール樹脂
として液相(液状媒体)から抽出され、当該液状媒体が
スチロール樹脂によって飽和状態にならないため、当該
液状媒体に持続的な処理能力が発現し、発泡スチロール
処理量が向上しているものと解される。
【0021】つまり、この発泡スチロール処理用溶剤
は、発泡スチロール可溶性溶剤と脂肪族炭化水素等の発
泡スチロール不溶性溶剤とを混合することによって、溶
剤一単位量当たりの処理能力(発泡スチロール処理量)
を向上させているものであるが、発泡スチロール可溶性
溶剤として、引火点が低いものを選択した場合には、脂
肪族炭化水素をある程度添加しても、引火点の大幅な上
昇を期待することはできず、従って、作業上充分な安全
性を得ることができる引火点に到達させるためには、大
量に脂肪族炭化水素を添加するか、或いは引火点が相当
高い高級脂肪族炭化水素を用いなければならない。
【0022】しかしながら、大量に脂肪族炭化水素を添
加したものは、溶剤の単位量当たりの処理能力(発泡ス
チロール処理量)については、ある程度向上するが、発
泡スチロールを溶解する速度(溶解速度)については減
少し、迅速な発泡スチロールの処理が要求される場合に
は使用が制限されるといった問題がある。
【0023】又、引火点が相当高い高級脂肪族炭化水素
を用いた発泡スチロール処理用溶剤にあっては、低温に
おいて流動性が減少し、これによって、特に、低温条件
下(冬季、寒冷地等)における発泡スチロールの溶解性
が著しく悪くなり、迅速な発泡スチロールの処理が困難
となるため、冬場における使用が制限されるなどの問題
がある。
【0024】そこで、迅速な発泡スチロールの処理が要
求される場合には、脂肪族炭化水素の添加量を少なくす
るか、或いは発泡スチロール可溶性溶剤として、発泡ス
チロールを迅速に溶解するもの、例えば、トルエンやキ
シレン等の芳香族化合物を用いる方法が考えられる。
【0025】しかしながら、脂肪族炭化水素の添加量が
少量のものは、溶解速度は早いが、発泡スチロール処理
量が少なくなるといった問題がある上、当該溶剤の引火
点について、作業上充分な安全性を得ることができない
といった問題が再浮上してくる。
【0026】一方、発泡スチロール可溶性溶剤としてト
ルエンやキシレン等の芳香族化合物を用いたものは、良
好な発泡スチロール処理量及び迅速な溶解速度を発現す
ることができるが、引火点が低い上、人体や環境に悪影
響を与える恐れがあるため、安全性や取り扱い性に問題
があり、環境問題等と相俟って、実用上使用が制限され
るといった問題がある。
【0027】又、これらの処理用溶剤は、有害な刺激臭
の発生が有り、又、作業者によっては不快臭を感じると
いった、作業環境上の問題も生じている。
【0028】従って、現在に至るまで、発泡スチロール
処理用溶剤として、低温条件下においても充分な発泡ス
チロール処理量及び溶解速度を有し、しかも神経障害や
肝臓障害、更に、催奇形性並びに発ガン性を生じること
がない上、刺激臭・不快臭等の発生が殆どないもの、即
ち、地域差・気候差にもかかわらず、実用上要求される
発泡スチロール処理量及び溶解速度を発現でき、且つ安
全で、防毒マスク或いは防臭マスクの使用や局所排気の
必要がなく、作業環境の改善及び安全性を図ることがで
きる上、取り扱いが容易で、引火や爆発等の火災の発生
を未然に防止し得る発泡スチロール処理用溶剤の開発
は、完全なものとはいえない。
【0029】このような技術的背景から、本発明者等
は、引火点が高く、有害成分の蒸散が少なく、又、刺激
臭及び不快臭の発生がなく、しかも低温条件下において
も充分な発泡スチロール処理量及び溶解速度を発現し、
特に、作業環境の問題と相俟って、人体や環境に悪影響
を与えることのない、安全で、取り扱い性の簡便な発泡
スチロール処理用溶剤について鋭意検討を重ねてきた。
【0030】即ち、本発明者等は、前記の要件を具備す
る発泡スチロール処理用溶剤を開発することを目的とし
て、発泡スチロールを好適に溶解し得る溶媒について、
調査及び検討を繰り返した結果、アジピン酸やマロン酸
等の二塩基酸の両末端のカルボキシル基(−COOH)
をエステル化した分子構造を有する二塩基酸ジエステル
系化合物(一般式:R1−OOC−R2−COO−R
3)や、エチレングリコール、ジエチレングリコール、
トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプ
ロピレングリコール等の二価アルコール類の末端の水酸
基(−OH)をエーテル化及び/又はエステル化した分
子構造を有するグリコールジエーテル系化合物(一般
式:R4−(O−R5)n−O−R6)、グリコールジ
エステル系化合物(一般式:R7−CO−(O−R8)
n−O−CO−R9)、及びグリコールエーテル脂肪酸
アルキルエステル系化合物(一般式:R10−(O−R
11)n−O−CO−R12)等の化合物(以下、これ
らの化合物を総称して、ジエーテル・ジエステル等とい
う。)が、発泡スチロールを迅速に溶解し、人体に対す
る毒性がない上、ほとんど無臭ないしは臭気を発生して
も極微香性であるとの知見を得たのである。
【0031】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
のジエーテル・ジエステル等の化合物を用いて発泡スチ
ロール処理用溶剤を開発するに当たっては、種々の問題
を解決しなければならない。
【0032】即ち、これらのジエーテル・ジエステル等
の化合物は、水に対してかなりの親和性を示すものであ
るが、当該化合物を用いた発泡スチロール処理用溶剤中
に少しでも水が混入すると、当該化合物の有する発泡ス
チロールに対する溶解性が減少するといった欠点があ
る。
【0033】従って、実用的な使用状態を鑑みると、水
分の付着した発泡スチロールを処理用溶剤中に投入した
り、又、屋外に設置した場合には雨水等が混入すること
も考えられ、このような使用条件下においては、当該処
理用溶剤の発泡スチロールに対する溶解性が早急に喪失
することになり、取り扱いに注意を要し、使用が制限さ
れるという大きな問題がある。
【0034】この問題に対しては、これらのジエーテル
・ジエステル等の化合物に対して、高級脂肪酸や高級ア
ルコール、特に脂肪族炭化水素等の水に対してほとんど
親和性を示さない溶媒を混合し、いわゆる親油性の液状
媒体とすることによって、該液状媒体全体として水に対
する親和性をある程度低減する方法がある。
【0035】しかしながら、これらのジエーテル・ジエ
ステル等の化合物の内、当該化合物の両末端のアルキル
基の炭素数が小さいもの、即ち、この炭素数が1〜2程
度のもの、例えば、マロン酸ジメチルエステル、マロン
酸ジエチルエステル、アジピン酸ジメチルエステル、エ
チレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコ
ールジメチルエーテル又はジエチレングリコールジエチ
ルエーテルなどにあっては、特に水に対する溶解度が大
きく、これらの化合物を用いた場合にあっては、上記方
法を持ってしても、水に対する親和性を充分に低減する
ことはできない。
【0036】従って、実用上使用できるレベルに水に対
する親和性を低減するためには、これらのジエーテル・
ジエステル等の化合物のうち、当該化合物の両末端のア
ルキル基の炭素数が大きいもの、即ち、この炭素数が3
程度以上のもの、特に、この炭素数が4程度以上のも
の、例えば、マロン酸ジプロピルエステル、アジピン酸
ジプロピルエステル、エチレングリコールジプロピルエ
ーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等の、
本来的に水に対する親和性が小さいものを用いなければ
ならない。
【0037】しかしながら、これらのジエーテル・ジエ
ステル等の化合物においては、当該化合物の両末端のア
ルキル基の炭素数が大きければ大きいほど水に対する親
和性は小さくなるが、同時に当該化合物の発泡スチロー
ルに対する溶解性も低くなるため、このような化合物を
用いた発泡スチロール処理用溶剤では、迅速な発泡スチ
ロールの処理を期待することはできない。
【0038】即ち、ジエーテル・ジエステル等の化合物
を用いた発泡スチロール処理用溶剤においては、当該化
合物の両末端のアルキル基の炭素数が小さいものを用い
た場合にあっては、迅速な発泡スチロールの処理が可能
となるが、屋内に設置して水分の混入を極力防止して使
用しなければならず、一方、当該化合物の両末端のアル
キル基の炭素数が大きいものを用いた場合にあっては、
水分の混入による活性の低下の恐れはないが、迅速な発
泡スチロールの処理が期待できなくなるといった問題が
ある。
【0039】そこで、本発明者は、引火点が高く、有害
成分の蒸散が少なく、又、刺激臭及び不快臭の発生がな
く、特に、作業環境の問題と相俟って、人体や環境に悪
影響を与えることのない、安全で取り扱い性の簡便なこ
とは勿論のこと、その上、水分の混入によっても活性の
低下の恐れがなく、しかも、低温条件下においても迅速
な発泡スチロールの処理を可能とする発泡スチロール処
理用溶剤について鋭意検討を重ねてきた。
【0040】即ち、本発明者は、予備的な実験として、
前記ジエーテル・ジエステル等の化合物中から、エチレ
ングリコールの両末端の水酸基(−OH)の水素をそれ
ぞれ同じ炭素数のアルキル基で置換した分子構造を有す
る化合物として、ジエチレングリコールジメチルエーテ
ル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレ
ングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコー
ルジブチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピル
エーテル(以下、これらをグループAという。)を選択
し、それぞれの化合物の有する発泡スチロールに対する
溶解性及び親水性について調査し、更に、ジエチレング
リコールの片側末端の水酸基の水素をメチル基で置換
し、もう片側末端の水酸基の水素をエチル基、プロピル
基、ブチル基或いはペンチル基にそれぞれ置換した分子
構造を持つ化合物(順に、ジエチレングリコールエチル
メチルエーテル、ジエチレングリコールメチルプロピル
エーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル
及びジエチレングリコールメチルペンチルエーテルとな
る。以下、これらをグループBという。)を用いて、そ
れぞれの化合物の発現する発泡スチロールに対する溶解
性及び親水性について比較検討したのである。
【0041】その結果、両末端のアルキル基が同じ炭素
数のもの(グループA)においては、最も炭素数の小さ
いジエチレングリコールジメチルエーテルが発泡スチロ
ールに対する溶解性及び親水性が高く、両末端のアルキ
ル基の炭素数が大きくなるにつれ、順に発泡スチロール
に対する溶解性が減少していることが確認された。
【0042】そして、親水性に関しては、最も炭素数の
小さいジエチレングリコールジメチルエーテルが最も親
水性が高く、両末端のアルキル基の炭素数が大きくなる
につれ、順に水に対する親和性が減少していること、即
ち耐水性が向上していることが確認された。
【0043】一方、両末端基のアルキル基の炭素数が異
なるもの(グループB)においては、全ての化合物が、
グループAにおけるジエチレングリコールジメチルエー
テルとほとんど同じと言っていいほどの発泡スチロール
に対する溶解性を示しており、又、親水性については、
片側末端のアルキル基における置換基がエチル基、プロ
ピル基、ブチル基、ペンチル基と大きくなるにつれて減
少していること、即ち耐水性が向上していることが確認
された。
【0044】この結果は驚くべきもので、即ち、このよ
うなジエーテルにおいては、片側末端のアルキル基の大
きさが発泡スチロールに対する溶解性を決定し、もう片
側末端のアルキル基がいずれのものに置換されても、
(親水性については影響を与えるが)発泡スチロールに
対する溶解性にはほとんど影響を与えないという結果が
確認されたのである。
【0045】そして、同様の結果をその他のジエーテル
・ジエステル等の化合物においても確認することができ
たのである。
【0046】この結果より、本発明者は、ジエーテル・
ジエステル等の化合物について、これらの片側末端のア
ルキル基を炭素数の小さいもの、例えば、メチル基、エ
チル基、プロピル基(イソプロピル基も含む)などと
し、もう一方の片側末端のアルキル基をメチル基以外の
比較的大きいものに適宜選択して置換することにより、
発泡スチロールに対する良好な溶解性及び非親水性の両
方の性質を兼ね備えた発泡スチロール可溶性溶剤に成り
得るとの知見を得たのである。
【0047】しかも、これらのジエーテル・ジエステル
等の化合物は、分子内に酸素原子(O)が複数個存在す
るため引火点が比較的高いものになっているのである
が、分子構造的に立体障害が大きく、このため低温条件
下においても凝固しにくく、液状のままで、発泡スチロ
ールに対する活性を充分に維持するといった非常に特異
な性質を有しているとの知見も得た。
【0048】しかしながら、これらのジエーテル・ジエ
ステル等の化合物のみを用いた溶剤では、発泡スチロー
ルの処理量が少ない等の前述した種々の問題がある。
【0049】そこで、本発明者は、ジエーテル・ジエス
テル等の化合物からなる溶剤に高級脂肪酸や高級アルコ
ール、特に脂肪族炭化水素等(以下、これらの化合物等
を「ゲル化凝集剤」という。)を混合することによっ
て、発泡スチロールを当該溶剤、つまり混合溶剤(以
下、「液状媒体」という。)で減容化(溶解)すると同
時ないしほぼ同時にゲル化凝集剤でスチロール樹脂を沈
殿、沈降させ、つまり発泡スチロール−溶剤の溶解系か
らスチロール樹脂を除去して常に液状媒体がフレッシュ
ないしほぼフレッシュな状態で発泡スチロールと接触す
るように構成すると、発泡スチロールを前記液状媒体に
次々に溶解しても、その溶解速度が初期の段階とほとん
ど変化しない結果、発泡スチロールが前記液状媒体に速
やかに溶解して溶解時間が著しく短くなるとの知見を得
た。
【0050】又、本発明者は、発泡スチロールの溶剤へ
の溶解を著しく妨げるスチロール樹脂を、ゲル化凝集剤
で発泡スチロール−溶剤の溶解系から除くと、一定量の
溶剤(液状媒体)に溶解する発泡スチロールの溶解量も
至極向上するとの知見も得た。
【0051】更に、本発明者は、発泡スチロールの溶剤
であるジエーテル・ジエステル等の化合物にゲル化凝集
剤を配合することによって、液状媒体の物性、特に、有
機性と無機性のバランスを良好にしたり、発泡スチロー
ルと液状媒体との親和性を向上させたり、更に液状媒体
の比重を低下させて、発泡スチロールと液状媒体との接
触面積を向上させたり、沈殿したスチロール樹脂の沈降
速度を向上させて当該スチロール樹脂を発泡スチロール
−溶剤の溶解系から速やかに除くと、発泡スチロールの
溶解速度が著しく向上するだけでなく、一定量の液状媒
体に溶解する発泡スチロールの量も格段に向上するとの
知見も得た。
【0052】本発明は、前記知見に基づき完成されたも
のであって、即ち、発泡スチロールをゼリー状ないしは
ゲル状にして処理するための液状媒体として、特定の分
子構造を有するジエーテル・ジエステル等の化合物とゲ
ル化凝集剤とを構成成分とする発泡スチロール処理用溶
剤であり、このように構成することにより、低温条件下
においても発泡スチロールの良好な処理量及び溶解速度
を発現し、しかも、吸引等により神経障害や肝臓障害、
或いは発ガン性や催奇形性等の障害を引き起こすおそれ
がなく、又、キシレンやエチルベンゼン等の芳香族系炭
化水素を用いた溶剤と比較して、引火点が高く、溶剤へ
の引火性を低減したり、引火や爆発等の火災事故の発生
を未然に防いだり、取り扱い上の安全性の向上を図った
り、刺激臭や不快臭の発生を極力抑制し、作業環境の改
善及び安全性、取り扱い性を至極向上させたり、更に、
発泡スチロールに付着した水分や雨水等による当該溶剤
への水分混入によっても活性(脱泡減容性)を失うこと
がないのであり、加えて、低温条件下においても非常に
良好な活性(脱泡減容性)を維持することができる発泡
スチロール処理用溶剤及びこれを用いた発泡スチロール
の処理方法を提供することを目的とする。
【0053】
【課題を解決するための手段】本発明における発泡スチ
ロール処理用溶剤は、前記目的を達成するために、発泡
スチロールをゼリー状ないしゲル状にしてその体積を減
少させるための液状媒体であって、この液状媒体は、下
記一般式 R1−OOC−R2−COO−R3 で表される二塩基酸ジエステル系化合物、下記一般式 R4−(O−R5)n−O−R6 で表されるグリコールジエーテル系化合物、下記一般式 R7−CO−(O−R8)n−O−CO−R9 で表されるグリコールジエステル系化合物又は、下記一
般式 R10−(O−R11)n−O−CO−R12 で表されるグリコールエーテル脂肪酸アルキルエステル
系化合物から選ばれた少なくとも1種以上とゲル化凝集
剤とを構成成分とし、しかも、前記各化合物の一般式に
おける両末端のアルキル基の炭素数が異なることを特徴
とするものである。
【0054】即ち、本発明における発泡スチロール処理
用溶剤においては、発泡スチロールをゼリー状ないしは
ゲル状にしてその体積を減少させるための液状媒体であ
って、この液状媒体は、特定の分子構造を有する少なく
とも1種以上の化合物とゲル化凝集剤とを構成成分と
し、しかも、前記化合物の両末端のアルキル基の炭素数
が異なる点、に最も大きな特徴を有するものである。
【0055】ところで、従来の発泡スチロール処理用溶
剤は、トルエンやキシレン等の低級アルキルベンゼンを
発泡スチロールに対する溶解成分として多量に添加した
ものが一般的であり、これら従来の発泡スチロール処理
用溶剤の引火点は1気圧において概ね40℃以下で、特
に夏期において、引火や爆発等、火災が発生し易く、至
極危険であるだけでなく、吸引等により神経障害、肝臓
障害、発ガン性或いは催奇形性等の障害を引き起こす恐
れがある。
【0056】又、従来の発泡スチロール処理用溶剤に
は、他に、刺激臭や不快臭の発生も大きな問題となって
おり、本発明の発泡スチロール処理用溶剤は、これらの
問題が高く、更に刺激臭や不快臭を発する物質を使用し
ないことにより、無臭或いは弱微香性といった特性を有
し、これによって作業環境を改善した極めて有益な発泡
スチロール処理用溶剤を完成したのである。
【0057】加えて、現在、発泡スチロール可溶性溶剤
としては、環境問題と相俟って、安全で、引火点が高い
上、刺激臭や不快臭の発生がないものが要求されている
上、低温条件下における大量の発泡スチロール処理能力
及び迅速な溶解速度が強く要求されているのであるが、
本発明における発泡スチロール処理用溶剤は、発泡スチ
ロール処理用溶剤として、特定の分子構造を有する少な
くとも1種以上の化合物とゲル化凝集剤とを構成成分と
し、しかも、前記化合物の両末端のアルキル基の炭素数
が異なるものを用いることにより、実用上要求される処
理能力及び溶解速度をも発現する発泡スチロール処理用
溶剤を完成することに成功したのである。
【0058】又、本発明に係る発泡スチロール処理用溶
剤においては、特定の分子構造を有する少なくとも1種
以上の化合物を用いることによって、発泡スチロールに
対する活性を維持したまま、つまり発泡スチロールに対
する実用上要求される処理能力及び溶解速度を維持した
まま、耐水性を向上させたものである。以下、本発明に
ついて、更に詳細に説明する。
【0059】本発明において、「発泡スチロールをゼリ
ー状ないしはゲル状にしてその体積を減少させる」と
は、発泡スチロールを液状媒体(溶剤)に接触させるこ
とにより、発泡スチロールの内部に含まれる気泡を除去
し、ゼリー状(ペースト状)ないしはゲル状(半固形
状)に凝集して発泡スチロールの体積を減少させること
をいう。
【0060】本発明において用いられる、「特定の分子
構造を有する少なくとも1種以上の化合物」とは、R1
−OOC−R2−COO−R3の一般式で表される二塩
基酸ジエステル系化合物、R4−(O−R5)n−O−
R6の一般式で表されるグリコールジエーテル系化合
物、R7−CO−(O−R8)n−O−CO−R9の一
般式で表されるグリコールジエステル系化合物又は、R
10−(O−R11)n−O−CO−R12の一般式で
表されるグリコールエーテル脂肪酸アルキルエステル系
化合物から選ばれた少なくとも1種以上以上の化合物で
あって、しかも、前記各化合物の一般式における両末端
のアルキル基の炭素数が異なるものであれば特に限定さ
れるものではない。
【0061】即ち、本発明において、両末端のアルキル
基の炭素数が異なるジエーテル・ジエステル等の化合物
においては、片側末端のアルキル基(炭素数の小さい方
のアルキル基)の大きさが発泡スチロールに対する溶解
性を決定し、もう片側末端のアルキル基がいずれのもの
に置換されても、(耐水性については影響を与えるが)
発泡スチロールに対する溶解性にはほとんど影響を与え
ないという知見に基づいて、ジエーテル・ジエステル等
の化合物における両末端のアルキル基の炭素数が異なる
ものを用いているのであり、これによって、発泡スチロ
ールに対する良好な溶解性及び耐水性の両方の性質を兼
ね備えた発泡スチロール可溶性溶剤が得られるのであ
る。
【0062】前記一般式において、Oは酸素原子、Cは
炭素原子を表し、又、R1〜R12はいわゆるアルキル
基又はアルキレン基を意味し、nは1〜5等の数、特に
1〜3の数を示す。
【0063】この場合において、両末端のアルキル基の
炭素数の差が2未満では、耐水効果の発現が小さく、炭
素数を異ならせた意味が少ないので、本発明では、両末
端のアルキル基の炭素数の差を2以上とすることが好ま
しい。
【0064】更に、本発明においては、発泡スチロール
に対する活性を充分なものに維持するべく、前記両末端
のアルキル基における炭素数の小さい方が、メチル基、
エチル基、プロピル基(イソプロピル基も含む。)であ
ることが特に好ましい。
【0065】具体的な例としては、シュウ酸、マロン
酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、
スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、
フマル酸等の二塩基酸の両末端に存在する二つのカルボ
キシル基(−COOH)の水素原子を大小の炭素数の異
なるアルキル基で置換した分子構造を有する二塩基酸ジ
エステル系化合物や、(モノ)エチレングリコール、ジ
エチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラ
エチレングリコール、(モノ)プロピレングリコール、
ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、
更にネオペンチルグリコール等のグリコール系化合物の
両末端に存在する二つの水酸基(−OH)の水素原子を
大小の炭素数の異なるアルキル基で置換した分子構造を
有するグリコールジエーテル系化合物、又、前記のグリ
コール系化合物の両末端の水酸基の水素原子を大小の炭
素数の異なる脂肪酸によってエステル化した分子構造を
有するグリコールジエステル系化合物、更には、前記グ
リコール系化合物の両末端に存在する二つの水酸基の内
の一の水素原子をアルキル基で置換し、もう一方の水酸
基を炭素数の異なる脂肪酸によってエステル化した分子
構造を有するグリコールエーテル脂肪酸アルキルエステ
ル系化合物等を挙げることができる。
【0066】そして、本発明の最も大きな特徴は、発泡
スチロール処理用溶剤として、これら特定の分子構造を
有する少なくとも1種以上の化合物であって、この化合
物の両末端のアルキル基の炭素数が異なるものとゲル化
凝集剤とを構成成分とする液状媒体を用いた点にある。
【0067】即ち、本発明においては、発泡スチロール
処理用溶剤として、ジエーテル・ジエステル等の化合物
であって、この化合物の両末端のアルキル基の炭素数が
異なるものとゲル化凝集剤とを構成成分とする液状媒体
を用いることにより、該処理用溶剤の耐水性を一層向上
させ、同時に、発泡スチロール処理用溶剤の単位量に対
する発泡スチロールの溶解量を著しく向上させることが
できるのであり、しかも、当該発泡スチロール処理用溶
剤には、芳香族化合物等の人体や環境等に悪影響を与え
ることがなく、又、刺激臭や不快臭を発する化合物を用
いないため、有害物質の蒸散がなく、作業環境の改善、
取り扱い性及び安全性を至極向上することができる。
【0068】本発明においては、特に、このように構成
することにより、低温条件下での発泡スチロールに対す
る良好な溶解性を当該発泡スチロール処理用溶剤に付与
することができるのであり、これによって、従来までな
し得ることができなかった0℃近辺ないしは0℃以下に
おける良好な発泡スチロールの減容化処理能力を発現す
るのである。
【0069】ここで、本発明における「ゲル化凝集剤」
とは、それ自身は発泡スチロールを溶解する作用をほと
んど有さず、発泡スチロール処理用溶剤中において、ジ
エーテル・ジエステル等が溶解した発泡スチロールを速
やかにゼリー状ないしはゲル状に凝集する作用を発現す
るものをいい、本発明においては、液状の脂肪族炭化水
素、高級アルコール及び高級脂肪酸を好適に用いること
ができる。
【0070】具体的には、例えば、脂肪族炭化水素とし
ては、ヘキサン類、ヘプタン類、オクタン類、ノナン
類、デカン類、ウンデカン類、ドデカン類、トリデカン
類、テトラデカン類、ペンタデカン類、ヘキサデカン
類、ヘプタデカン類、オクタデカン類等の炭素数が6〜
18の脂肪族炭化水素や不飽和脂肪族炭化水素更にこれ
らの異性体を挙げることができるのであり、又、高級ア
ルコール類としては、炭素数が9〜15程度の直鎖アル
コール若しくはこれらの異性体を挙げることができるの
であり、更に、高級脂肪酸としては、ラウリン酸、オレ
イン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸等を挙
げることができる。
【0071】勿論、これらの同種或いは異種の化合物を
二種以上選択し、混合して用いても良く、更に、前記し
た具体例以外のものであっても、前記具体例の如き化合
物をジエーテル・ジエステル等の特定の化合物と混合す
ることによって、少なくとも1気圧、0℃程度の条件下
において、液状となるものであれば、使用することがで
きる。
【0072】本発明においては、特に、前記列記した脂
肪族炭化水素の具体例から選ばれた少なくとも一種以上
を、ゲル化凝集剤として使用することが最も好ましいの
である。
【0073】この理由としては、脂肪族炭化水素は、そ
の分子構造中に酸素原子を含まないため、全く、水と相
溶することがなく、従って、これらの脂肪族炭化水素を
特定のジエーテル・ジエステル等の化合物と混合するこ
とにより、一層、耐水性が向上する上、安全性や取扱性
更に安定性が良好であり、しかもコストが廉価であるか
らである。
【0074】又、脂肪族炭化水素は、高級アルコールや
高級脂肪酸と比較して、比重が小さく、このため、ゼリ
ー状ないしはゲル状に凝集されたスチロール樹脂は、速
やかに発泡スチロール処理用溶剤の底部に沈降し、当該
処理用溶剤の表面に堆積することがなくなるからであ
る。
【0075】本発明で用いられる脂肪族炭化水素の好適
な市販品の例としては、日本石油化学工業(株)社製の
ノルマルパラフィンSL、ノルマルパラフィンL、ノル
マルパラフィンM又はノルマルパラフィンHや同社製の
イソパラフィンであるアイソゾール300,アイソゾー
ル400等が挙げられる。
【0076】又、本発明で用いられる不飽和脂肪族炭化
水素の好適な市販品の例としては、同社製のオレフィン
であるドデセン、56Nポリマー、ハイマスポリマー等
が挙げられる。
【0077】本発明において、前記特定のジエーテル・
ジエステル等の化合物とゲル化凝集剤との配合割合とし
ては、当該特定のジエーテル・ジエステル等の化合物と
して選択されたものの種類や、ゲル化凝集剤として選択
されたものの種類によって、適宜決定されるものであ
り、一概に特定されるものではないが、一般的には、前
記液状媒体全体(100重量%)に対するゲル化凝集剤
の配合割合が20〜80重量%の範囲のものが好まし
く、更に30〜60重量%の範囲のものが一層好まし
い。
【0078】液状媒体全体に対するゲル化凝集剤の配合
割合が20重量%未満では、溶剤単位量当たりの発泡ス
チロールの溶解量が減少するため好ましくなく、一方、
この割合が80重量%を超えると、発泡スチロールの初
期溶解速度が遅くなるから好ましくない。
【0079】ところで、本発明における技術的手段を用
いてなる発泡スチロール処理用溶剤は、無臭ないしは弱
微香性であり、又、このままで十分な発泡スチロール処
理能力及び溶解速度を発現するものであるが、使用態様
によっては、無臭のものより何らかの臭いがするものの
方が、安全対策上好まれる場合もあり、又、更なる発泡
スチロール処理能力及び溶解速度を要求する場合も考え
られることから、このような使用態様や要求に応えるた
め、本発明においては、本発明の発泡スチロール処理用
溶剤に、品質向上剤を添加して、故意に何らかの臭いを
付与したり、品質向上剤との相乗作用によって発泡スチ
ロール処理能力及び溶解速度を向上することが好まし
い。
【0080】この品質向上剤としては、人体や環境に悪
影響を与えることがないものが好ましいため、ベンゼ
ン、キシレン及びエチルベンゼン等の低級アルキルベン
ゼンは好ましくなく、従って、本発明において好ましい
品質向上剤としては、トイレや家庭内更に事業所或いは
車内等で一般に用いられている香料、食品添加物、医薬
品或いは化粧品等に用いられているものが好ましく、更
に、発泡スチロールに対して親和性を示すものが特に好
ましい。
【0081】品質向上剤の具体的な例としては、トリシ
クレン、ピネン、フェンケン、カンフェン、ミルセン、
ピナン、メンタン、シネオール、リモネン、シメン等の
テルペン類、フェンコン、リナロール、フェンコール、
シトロネラール、ショウノウ、テルビネオール、メント
ン、ネオメントール、ボルネオール、イソボルネオー
ル、メントール、シトロネロール、ネロール、ゲラニオ
ール、カルボン、ヒドロキシシトロネラール、テルピ
ン、イオノン等のテルペノイド類、酢酸、プロピオン
酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル
酸、ペラゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン
酸、トリデシル酸等の脂肪酸をエステル化して得られる
脂肪酸アルキルエステル、又、ヤシ油やひまし油等の植
物から抽出した脂肪酸をエステル化して得た脂肪酸エス
テル類、ヘプタノン、オクタノン、ノナノン等の高級ケ
トン類を挙げることができるのであり、本発明において
は、これらのうちから選ばれた少なくとも1種以上を用
いることができる。
【0082】又、これらの品質向上剤の添加量として
は、品質向上剤の種類や組み合わせ、或いは使用条件や
態様によって適宜決定されるものであり、一概に限定す
ることはできないが、一般的には、発泡スチロール処理
用溶剤に対して、0.5〜20重量%の範囲で添加する
ことが好ましく、更に、1〜15重量%程度を添加する
ことが特に好ましい。
【0083】品質向上剤の添加量が0.5重量%未満で
は、少なすぎて添加する意味がなくなり、一方、その添
加量が20重量%を超えると、臭いが強くなりすぎて、
逆にこれを不快臭に感じるおそれがあるため好ましくな
い。
【0084】本発明の発泡スチロール処理用溶剤を用い
た発泡スチロールの処理方法においては、前記目的を達
成するために、前述の発泡スチロール処理用溶剤を用い
て、発泡スチロールをゼリー状ないしはゲル状にしてそ
の体積を減少させ処理するものであり、この結果、良好
な発泡スチロール処理能力及び溶解速度を発現すること
ができるのであり、又、人体や作業環境に悪影響を与え
ることなく、更に、刺激臭や不快臭の発生を抑制するた
め、安全で取り扱いが簡便となるのである。
【0085】特に、前述の発泡スチロール処理用溶剤を
用いることにより、従来までなし得ることができなかっ
た耐水性を実現し、又、0℃近辺ないしは0℃以下にお
いても、良好に発泡スチロールを減容化処理することが
できるのである。
【0086】
【作用】本発明の発泡スチロール処理用溶剤は、発泡ス
チロールをゼリー状ないしはゲル状にしてその体積を減
少させるための液状媒体であって、この液状媒体は、前
記特定の分子構造を有するジエーテル・ジエステル等の
化合物とゲル化凝集剤とを構成成分とすることを特徴と
するものであり、人体や作業環境に悪影響を与えること
なく、無臭ないしは弱微香性で、安全で取り扱いが簡便
な上、特に低温条件下においても良好な発泡スチロール
処理能力及び溶解速度を発現するなどの作用を有するの
である。
【0087】即ち、本発明における発泡スチロール処理
用溶剤は、特定の分子構造を有するジエーテル・ジエス
テル等の化合物とゲル化凝集剤とを構成成分とする液状
媒体であり、安全性が高く、更に刺激臭や不快臭を発す
ることがなく無臭或いは弱微香性といった特性を有し、
これによって作業環境を改善したり、取扱性が良好にな
るなどの作用を有するのである。
【0088】特に、本発明においては、発泡スチロール
処理用溶剤において使用されるジエーテル・ジエステル
等の化合物として、両末端のアルキル基の炭素数が異な
る特定の分子構造を有しているものを用いているため、
発泡スチロールに対する活性を維持したまま、耐水性を
至極向上させることができる作用を有するのである。
【0089】又、本発明においては、発泡スチロール処
理用溶剤として、特定の分子構造を有するジエーテル・
ジエステル等の化合物とゲル化凝集剤とを構成成分とす
る液状媒体を用いることにより、該処理用溶剤の耐水性
を一層向上させ、同時に、発泡スチロール処理用溶剤の
単位量に対する発泡スチロールの溶解量を著しく向上さ
せることができるの作用を有するのである。
【0090】更に、本発明においては、発泡スチロール
処理用溶剤として、特定の分子構造を有するジエーテル
・ジエステル等の化合物とゲル化凝集剤とを構成成分と
する液状媒体を用いることにより、低温条件下において
も良好な発泡スチロール処理能力及び溶解速度を発現す
ることができる作用を有するのである。
【0091】加えて、本発明の発泡スチロール処理用溶
剤に、品質向上剤を添加したものは、故意に何らかの臭
いを付与することにより、安全対策の向上を図る作用を
奏する上、品質向上剤との相乗作用によって発泡スチロ
ール処理能力及び溶解速度を向上する作用を有するので
ある。
【0092】本発明の発泡スチロールの処理方法におい
ては、本発明の発泡スチロール処理用溶剤を用いて、発
泡スチロールを処理するものであり、特に低温条件下に
おいても良好な発泡スチロール処理能力及び溶解速度を
発現し、又、人体や作業環境に悪影響を与えることな
く、安全で取り扱いが簡便となる優れた作用を有するの
である。
【0093】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明
するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0094】実施例1 両末端のアルキル基の炭素数が異なる特定の分子構造を
有するジエーテル・ジエステル等の化合物として、ジエ
チレングリコールブチルメチルエーテル(分子式:Me
−(OEt)2−O−Bu)50重量部を用い、これに
ゲル化凝集剤として日本石油化学(株)社製のノルマル
パラフィンLを50重量部を加え、均一になるまで攪
拌、混合して、本発明の発泡スチロール処理用溶剤を得
た。
【0095】実施例2 両末端のアルキル基の炭素数が異なる特定の分子構造を
有するジエーテル・ジエステル等の化合物として、アジ
ピン酸ブチルメチルエステル(分子式:Me−OOC−
(CH2)4−COO−Bu)55重量部を用い、これ
にゲル化凝集剤として日本石油化学(株)社製のノルマ
ルパラフィンLを45重量部を加え、均一になるまで攪
拌、混合して、本発明の発泡スチロール処理用溶剤を得
た。
【0096】実施例3 両末端のアルキル基の炭素数が異なる特定の分子構造を
有するジエーテル・ジエステル等の化合物として、トリ
エチレングリコールメチルプロピルエーテル(分子式:
Me−(OEt)3−O−Pr)55重量部を用い、こ
れにゲル化凝集剤として日本石油化学(株)社製のノル
マルパラフィンLを40重量部を加え、更に品質向上剤
としてリモネンを5重量部を添加し、均一になるまで攪
拌、混合して、本発明の発泡スチロール処理用溶剤を得
た。
【0097】比較例1 比較例1として、ジエチレングリコールジメチルエーテ
ル(分子式:Me−(OEt)2−O−Me)50重量
部を用い、これにゲル化凝集剤として日本石油化学
(株)社製のノルマルパラフィンSLを50重量部を加
え、均一になるまで攪拌、混合してなるものを用いた。
【0098】比較例2 比較例2として、ジエチレングリコールジブチルエーテ
ル(分子式:Bu−(OEt)2−O−Bu)50重量
部を用い、これにゲル化凝集剤として日本石油化学
(株)社製のノルマルパラフィンSLを50重量部を加
え、均一になるまで攪拌、混合してなるものを用いた。
【0099】比較例3 比較例3として、アジピン酸ジメチルエステル(分子
式:Me−OOC−(CH2)4−COO−Me)55
重量部を用い、これにゲル化凝集剤として日本石油化学
(株)社製のノルマルパラフィンLを45重量部を加
え、均一になるまで攪拌、混合してなるものを用いた。
【0100】比較例4 比較例4として、アジピン酸ジブチルエステル(分子
式:Bu−OOC−(CH2)4−COO−Bu)55
重量部を用い、これにゲル化凝集剤として日本石油化学
(株)社製のノルマルパラフィンLを45重量部を加
え、均一になるまで攪拌、混合してなるものを用いた。
【0101】比較例5 比較例5として、キシレン50重量部を用い、これに日
本石油化学(株)社製のノルマルパラフィンL50重量
部を加え、均一になるまで攪拌、混合してなるものを用
いた。
【0102】なお、この比較例5のものは、一般的に用
いられている発泡スチロール処理用溶剤の成分を参考に
して、本発明者が作成したものである。
【0103】前記実施例1〜3のものと比較例1〜5の
ものとをそれぞれ100g採取し、これを発泡スチロー
ルの処理に供し、25℃における溶解(ゲル化)速度及
び蒸留水20gを添加した後の溶解(ゲル化)速度、更
に、0℃における溶解(ゲル化)速度について比較した
結果を表1に示す。
【0104】なお、発泡スチロールの処理量について
は、各実施例及び各比較例で得られた溶剤100gに対
して、発泡スチロールを1回に5gを徐々に添加してい
き、最終的に、発泡スチロールに対して最大の処理量を
比較することにより評価した。
【0105】
【表1】
【0106】表1に示す結果より、前記実施例1〜3の
ものと比較例1〜5のものとをそれぞれ100g採取
し、これを発泡スチロールの処理に供し、室温(25
℃)における溶解(ゲル化)速度について調査したとこ
ろ、各実施例のものと比較例の1及び3のものについ
て、その溶解速度が、比較例5のものと比較して、何等
遜色がなく、早いことが確認された。
【0107】一方、比較例の2及び4のものは、発泡ス
チロールをゲル化していることは確認されたが、その溶
解速度については、各実施例や比較例5のものより若干
劣っていることが確認された。
【0108】又、前記実施例1〜3のものと比較例1〜
5のものとをそれぞれ100g採取し、これに蒸留水2
0gを添加した後に、発泡スチロールの処理に供し、2
5℃における溶解(ゲル化)速度について調査したとこ
ろ、各実施例のもの及び比較例の2と4と5のものにつ
いては、蒸留水を添加する前とその溶解速度の変化がほ
とんど認められず、又、蒸留水添加後においても発泡ス
チロールに対する減容処理化の活性を維持しているこ
と、即ち耐水性が確認されたが、比較例の1及び3のも
のは、蒸留水を添加する前と比較して、発泡スチロール
に対する活性(脱泡減容性)が減少していることが確認
された。
【0109】更に、前記実施例1〜3のものと比較例1
〜5のものとをそれぞれ100g採取し、これを発泡ス
チロールの処理に供し、0℃における溶解速度について
調査したところ、比較例5のものは全くといって良いほ
ど発泡スチロールを溶解することはできなかったが、各
実施例のもの及び比較例1〜4のものは良好な活性(脱
泡減容性)を維持しており、特に、各実施例のもの及び
比較例の1及び3のものは低温条件下においても、溶解
速度の低下が小さく、良好な発泡スチロール処理能力を
発現していることが確認された。
【0110】なお、実施例1〜3のものと比較例1〜5
のものについて、それぞれパネラー5人(年齢24〜3
6才の男性)に対し、各溶剤の臭いを嗅いでもらったと
ころ、パネラー5人の全てが、比較例5のものの臭いの
悪さ(刺激臭、不快臭)を強く訴えたが、実施例1〜3
及び比較例1〜4のものについては、臭いを指摘するも
のはなく、特に、実施例3のものについては、パネラー
5人中4人のものが快臭であると指摘した。
【0111】
【発明の効果】本発明の発泡スチロール処理用溶剤は、
発泡スチロールをゼリー状ないしはゲル状にしてその体
積を減少させるための液状媒体であって、この液状媒体
は、前記特定の分子構造を有するジエーテル・ジエステ
ル等の化合物とゲル化凝集剤とを構成成分とすることを
特徴とするものであり、人体や作業環境に悪影響を与え
ることなく、無臭ないしは弱微香性で、安全で取り扱い
が簡便な上、特に低温条件下においても良好な発泡スチ
ロール処理能力及び溶解速度を発現するなど、極めて優
れた効果を奏するのである。
【0112】即ち、本発明における発泡スチロール処理
用溶剤は、特定の分子構造を有するジエーテル・ジエス
テル等の化合物とゲル化凝集剤とを構成成分とする液状
媒体であり、芳香族化合物等の毒性が高く、更に刺激臭
や不快臭を発する物質を使用しないことにより、無臭或
いは弱微香性といった特性を有し、これによって作業環
境を改善し、作業中での防毒マスク等の安全用具の装着
や局所排気等を行う必要がなく、作業者の安全・衛生性
を至極向上させることができるなどの効果を有するので
ある。
【0113】特に、本発明においては、発泡スチロール
処理用溶剤において使用される特定の分子構造を有する
ジエーテル・ジエステル等の化合物として、両末端のア
ルキル基の炭素数が異なる特定の分子構造を有している
ものを用いているため、発泡スチロールに対する優れた
活性(脱泡減容性)を維持したまま、耐水性を著しく向
上することができる効果を有するのである。
【0114】又、本発明においては、発泡スチロール処
理用溶剤として、特定の分子構造を有するジエーテル・
ジエステル等の化合物とゲル化凝集剤とを構成成分とす
る液状媒体を用いることにより、該処理用溶剤の耐水性
を一層向上させ、同時に、発泡スチロール処理用溶剤の
単位量に対する発泡スチロールの溶解量を著しく向上さ
せることができるなどの効果を有するのである。
【0115】更に、本発明においては、発泡スチロール
処理用溶剤として、特定の分子構造を有するジエーテル
・ジエステル等の化合物とゲル化凝集剤とを構成成分と
する液状媒体を用いることにより、低温条件下において
も発泡スチロールの良好な処理能力及び溶解速度を発現
することができる効果を有するのである。
【0116】加えて、本発明の発泡スチロール処理用溶
剤に、品質向上剤を添加したものは、故意に何らかの香
りを付与することにより、作業者の注意を喚起して安全
対策の向上を図る効果を奏する上、品質向上剤との相乗
作用によって発泡スチロールの処理能力及び溶解速度を
著しく向上させる効果を有するのである。
【0117】本発明の発泡スチロールの処理方法におい
ては、本発明の発泡スチロール処理用溶剤を用いて、発
泡スチロールを処理するものであり、特に低温条件下に
おいても発泡スチロールの良好な処理能力及び溶解速度
を発現し、又、人体や作業環境に悪影響を与えることな
く、安全で取り扱いが簡便となる優れた効果を有するの
である。
【0118】従って、本発明においては、発泡スチロー
ルを溶解ないしゲル状にしてその体積を減少させるため
の液状媒体であって、この液状媒体が、特定の分子構造
を有するジエーテル・ジエステル等の化合物とゲル化凝
集剤とを構成成分とすることを特徴とする本発明の発泡
スチロール処理用溶剤は、人体や作業環境に悪影響を与
えることなく、しかも安全で取り扱い性が良好であるな
どの極めて優れた効果を発現するのであり、しかも、低
温条件下や、雨水等による水分の混入によってもその優
れた活性(脱泡減容性)を失うことがないなどの効果を
奏するのであり、その有用性は極めて大である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発泡スチロールをゼリー状ないしゲル状
    にしてその体積を減少させるための液状媒体であって、
    この液状媒体は、下記一般式 R1−OOC−R2−COO−R3 で表される二塩基酸ジエステル系化合物、下記一般式 R4−(O−R5)n−O−R6 で表されるグリコールジエーテル系化合物、下記一般式 R7−CO−(O−R8)n−O−CO−R9 で表されるグリコールジエステル系化合物又は、下記一
    般式 R10−(O−R11)n−O−CO−R12 で表されるグリコールエーテル脂肪酸アルキルエステル
    系化合物から選ばれた少なくとも1種以上とゲル化凝集
    剤とを構成成分とし、しかも、前記各化合物の一般式に
    おける両末端のアルキル基の炭素数が異なることを特徴
    とする発泡スチロール処理用溶剤。
  2. 【請求項2】 両末端のアルキル基の炭素数の差が少な
    くとも2以上である請求項1に記載の発泡スチロール処
    理用溶剤。
  3. 【請求項3】 両末端のアルキル基における炭素数の小
    さい方が、メチル基、エチル基又はプロピル基である請
    求項1又は2に記載の発泡スチロール処理用溶剤。
  4. 【請求項4】 ゲル化凝集剤が、脂肪族炭化水素である
    請求項1ないし3のいずれか1項に記載の発泡スチロー
    ル処理用溶剤。
  5. 【請求項5】 液状媒体におけるゲル化凝集剤の配合割
    合が、20〜80重量%である請求項1ないし4のいず
    れか1項に記載の発泡スチロール処理用溶剤。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれか1項に記載
    の発泡スチロール処理用溶剤において、更に品質向上剤
    を添加してなる発泡スチロール処理用溶剤。
  7. 【請求項7】 液状媒体における品質向上剤の添加量
    が、0.5〜20重量%である請求項6に記載の発泡ス
    チロール処理用溶剤。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし7のいずれか1項に記載
    の発泡スチロール処理用溶剤を用いて、発泡スチロール
    をゼリー状ないしはゲル状にしてその体積を減少させる
    ことを特徴とする発泡スチロールの処理方法。
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