JP2002128660A - 無菌的なリポソームの製造方法 - Google Patents

無菌的なリポソームの製造方法

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JP2002128660A JP2000319088A JP2000319088A JP2002128660A JP 2002128660 A JP2002128660 A JP 2002128660A JP 2000319088 A JP2000319088 A JP 2000319088A JP 2000319088 A JP2000319088 A JP 2000319088A JP 2002128660 A JP2002128660 A JP 2002128660A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】菌の混入の問題がないリポソームの製造方法等
の提供。 【解決手段】リポソーム膜成分物質を水と混合しうる有
機溶媒に溶解する工程と、得られた溶液をろ過滅菌する
工程と、得られたろ過滅菌後の溶液と、滅菌水とを、滅
菌された密閉系において混合する工程と、得られた混合
溶液を滅菌された密閉系において攪拌しながら有機溶媒
を減圧留去し、リポソーム膜成分物質水和物を得る工程
と、得られたリポソーム膜成分物質水和物に、薬剤およ
び/または生理活性物質を含有する滅菌された水溶液
を、滅菌された密閉系において添加する工程と、得られ
た水溶液添加後のリポソーム膜成分物質水和物を、滅菌
された密閉系において乳化し、リポソームを得る工程と
を具備するリポソームの製造方法等。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医薬品やその担体
として利用されるリポソームの製造方法および製造装置
に関し、詳しくは、薬剤等を内包するリポソームを無菌
的に製造する方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】リポソームを水溶性の薬剤の担体として
利用する試みが広く行われている(Gregoriad
is et al.,Ann.N.Y.A cad.S
ci.,466, 319(1985))。また、リポソ
ームのない水相に酸素運搬体であるヘモグロビンを内包
させ、リポソームを人工の酸素運搬体として利用する試
みも行われている(特開昭62−178521号公
報)。これらのように、リポソームを薬剤の担体や人工
酸素運搬体として使用する場合には、リポソームが無菌
状態にあることは必須の要件である。
【0003】一般に、リポソーム製剤を製造するにあた
っては、リポソーム膜成分物質を均一に混合する工程
と、混合物を有機溶媒に溶解する工程と、乾燥して有機
溶媒を除去する工程と、得られた粉末に水を添加し混練
する工程と、得られた均一なリポソーム膜成分物質混合
物に薬物等の水溶液を加え、リポソーム膜成分物質を水
和させる工程とを必要とする。この場合、最終的に得ら
れたリポソーム製剤を滅菌することを目的として、孔径
0.2μm程度のフィルターでろ過滅菌するという方法
が用いられている。しかしながら、ろ過滅菌により滅菌
する方法は、リポソーム製剤を無菌的に製造するもので
はなく、あくまで製造されたリポソーム製剤から除菌す
るものであるから、リポソーム製造工程初期に菌が混入
した場合には、製造工程中に菌が増殖するため、菌の代
謝産物が原因となる発熱性物質の現出が避けられない。
そして、従来行われているリポソームの製造において
は、解放系で行う操作があるのが通常であるため、上述
したような菌の混入が常に問題となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、薬剤等を内
包するリポソームを無菌的に製造することができるた
め、菌の混入の問題がないリポソームの製造方法および
製造装置を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、リポソーム膜
成分物質を水と混合しうる有機溶媒に溶解する工程と、
得られた溶液をろ過滅菌する工程と、得られたろ過滅菌
後の溶液と、滅菌水とを、滅菌された密閉系において混
合する工程と、得られた混合溶液を滅菌された密閉系に
おいて攪拌しながら有機溶媒を減圧留去し、リポソーム
膜成分物質水和物を得る工程と、得られたリポソーム膜
成分物質水和物に、薬剤および/または生理活性物質を
含有する滅菌された水溶液を、滅菌された密閉系におい
て添加する工程と、得られた水溶液添加後のリポソーム
膜成分物質水和物を、滅菌された密閉系において乳化
し、リポソームを得る工程とを具備するリポソームの製
造方法を提供する。
【0006】前記有機溶媒がアルコールであるのが好ま
しい。
【0007】前記水と混合しうる有機溶媒にリポソーム
膜成分物質を溶解する工程において、有機溶媒1mLに
対してリポソーム膜成分物質を0.5gより多く5g以
下の割合で溶解するのが好ましい。
【0008】前記有機溶媒と前記滅菌水との量比が、有
機溶媒1mLに対して滅菌水0.5〜15mLであるの
が好ましい。
【0009】前記リポソーム膜成分物質水和物における
有機溶媒の残留量が、1000ppm以下であるのが好
ましい。
【0010】前記薬剤および/または生理活性物質が、
少なくともヘモグロビンを含むのは、好ましい態様の一
つである。
【0011】また、本発明は、上記のリポソームの製造
方法により得られるリポソームを提供する。
【0012】更に、本発明は、リポソーム膜成分物質を
水と混合しうる有機溶媒に溶解させて得た溶液を通過さ
せてろ過滅菌する手段と、得られた溶液と、滅菌水とを
混合する手段と、得られた混合溶液を攪拌しながら有機
溶媒を減圧留去し、リポソーム膜成分物質水和物を得る
手段と、得られたリポソーム膜成分物質水和物と、添加
された薬剤および/または生理活性物質を含有する滅菌
された水溶液とを混合する手段と、得られた混合液を乳
化し、リポソームを得る手段とを備えるリポソームの製
造装置であって、ろ過滅菌させて得られた溶液と、滅菌
水と、薬剤および/または生理活性物質を含有する滅菌
された水溶液とからリポソームを得るまでの各物質が存
在する系のすべてにおいて、滅菌状態が維持されている
ことを特徴とするリポソームの製造装置を提供する。
【0013】更に、本発明は、リポソーム膜成分物質を
水と混合しうる溶媒に溶解させて得た溶液を滅菌フィル
ターを介して導入する第一のポートと、水を滅菌フィル
ターを介して導入する第二のポートと、薬剤および/ま
たは生理活性物質を含有する水溶液を滅菌フィルターを
介して導入する第三のポートと、攪拌手段とを備える密
閉容器と;真空ポンプを備え、該密閉容器の内部に存在
する溶媒を減圧留去することができる減圧手段と;該密
閉容器の外周部に配置され、該密閉容器を加熱すること
ができる加熱ジャケットとを備えるリポソームの製造装
置を提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のリポソームの製造方法は、リポソーム膜成分物
質を水と混合しうる有機溶媒に溶解する工程と、得られ
た溶液をろ過滅菌する工程と、得られたろ過滅菌後の溶
液と、滅菌水とを、滅菌された密閉系において混合する
工程と、得られた混合溶液を滅菌された密閉系において
攪拌しながら有機溶媒を減圧留去し、リポソーム膜成分
物質水和物を得る工程と、得られたリポソーム膜成分物
質水和物に、薬剤および/または生理活性物質を含有す
る滅菌された水溶液を、滅菌された密閉系において添加
する工程と、得られた水溶液添加後のリポソーム膜成分
物質水和物を、滅菌された密閉系において乳化し、リポ
ソームを得る工程とを具備するリポソームの製造方法で
ある。
【0015】本発明のリポソームの製造方法の第一の工
程は、リポソーム膜成分物質(以下単に「膜成分物質」
ともいう。)を水と混合しうる有機溶媒に溶解する工程
である。本発明に用いられる膜成分物質は、特に限定さ
れず、リポソームを形成しうる天然または合成の脂質で
あればよい。中でも、リン脂質が好適に用いられる。例
えば、レシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジ
ルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファ
チジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホ
スファチジン酸、スフィンゴミエリン、およびこれらを
常法に従って水素添加したものが挙げられる。これら
は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0016】膜成分物質は、上記脂質に、添加剤として
ステロール類等の膜構造強化剤;ホスファチジン酸、シ
セチルホスフェート、各種高級脂肪酸(例えば、ラウリ
ン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノ
ール酸、リノレン酸)等の電荷付与物質等を添加して用
いることができる。
【0017】本発明に用いられる有機溶媒は、水と混合
しうる有機溶媒であれば特に限定されないが、沸点が水
より低いものであるのが好ましい。本発明に用いられる
有機溶媒としては、例えば、アルコールが挙げられる。
好適な具体例としては、メタノール、エタノール、プロ
パノール、2−プロパノール、ブタノール、2−ブタノ
ール、t−ブタノール等の揮発性のアルコールが挙げら
れる。中でも、比較的生体に毒性が低く、膜成分物質の
溶解性に優れるエタノール、2−プロパノールが好まし
い。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用し
てもよい。
【0018】以前から、リポソームの製造においては、
膜成分物質の溶解のための有機溶媒としては、クロロホ
ルム、ジクロロメタン等の塩素系有機溶媒が一般的に用
いられている。しかし、これらの溶媒は水を添加すると
相分離を起こすため、脂質の完全な水和物を得るために
は激しく攪拌する必要がある。また、医薬品原料として
の膜成分物質中にそのような生体に有毒な塩素系有機溶
媒が混入することは好ましくない。本発明においては、
膜成分物質を溶解する有機溶媒として、水と混合しうる
有機溶媒、好ましくはアルコールを用いるので、上記の
ような問題はない。
【0019】本発明においては、上記有機溶媒1mLに
対して膜成分物質を0.5gより多く5g以下の割合で
溶解するのが好ましい。上記範囲であると、後の工程で
有機溶媒を留去する際の効率がよく、また、リポソーム
が形成されてしまうということもない。また、水と混合
しうる有機溶媒に膜成分物質を溶解する際には、溶解温
度における有機溶媒に対する膜成分物質の溶解度をあら
かじめ測定し、完全に溶解する量比で用いるのが好まし
い。溶解温度は、高いほど溶解度が大きくなるので好ま
しいが、有機溶媒の沸点以下とするのが好ましく、ま
た、膜成分物質の分解温度以下とするのが好ましい。
【0020】本発明に用いられる有機溶媒には、薬剤お
よび/または生理活性物質を含有させることができる。
薬剤は、有機溶媒に溶解するものであれば、特に限定さ
れない。例えば、シメチジン、ファモチジン、プロプラ
ノール、ニフェジピン、ニカルジピン、テオフィリン、
ミコナゾール、インドメタシン、フルルビプロフェン、
ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、
グリセオフルビン、アンホテリシンB、アゼラスチン、
シスプラチンが挙げられる。薬剤として、体内で長時間
安定にとどまり徐々に放出されることが所望されている
ものや、特定の臓器に速やかに分布することが所望され
ているものを用いるのは、本発明の好適な態様の一つで
ある。生理活性物質は、有機溶媒に溶解するものであれ
ば、特に限定されない。例えば、ビタミンD3 、ビタミ
ンA、プロスタグランディンが挙げられる。
【0021】本発明のリポソームの製造方法の第二の工
程は、得られた溶液をろ過滅菌する工程である。ろ過滅
菌は、膜成分物質を溶解した有機溶媒を、ろ過滅菌フィ
ルターを通すことにより行う。ろ過滅菌フィルターは、
孔径0.45μm以下であるのが好ましい。例えば、孔
径0.2μmのろ過滅菌フィルターを用いる。ろ過滅菌
は、膜成分物質を有機溶媒に溶解した際の温度を維持し
ながら行うのが好ましい。ろ過滅菌後の溶液の温度が、
溶解時の温度より低くなると、膜成分物質が析出する場
合がある。
【0022】本発明のリポソームの製造方法の第三の工
程は、得られたろ過滅菌後の溶液と、滅菌水とを、滅菌
された密閉系において混合する工程である。本発明に用
いられる滅菌水は、滅菌されている水であれば特に限定
されないが、イオン、塩等を含まない水であるのが好ま
しく、そのような水を、例えば、孔径0.2μmのろ過
滅菌フィルターによりろ過滅菌して用いることができ
る。滅菌水の量は、有機溶媒留去後のリポソーム膜成分
物質水和物(以下単に「膜成分物質水和物」ともい
う。)における有機溶媒の残留量が、医薬品としての安
全性を確保できる量以下になる程度に多ければ問題ない
が、第一の工程で用いられる有機溶媒と本工程で用いら
れる滅菌水との量比が、有機溶媒1mLに対して滅菌水
0.5〜15mLであるのが好ましい。上記範囲である
と、膜成分物質水和物における有機溶媒の残留量を10
00ppm以下としやすく、かつ、後の工程で添加され
る薬剤および/または生理活性物質の濃度を十分に高く
することができる。また、滅菌水は、後述する薬剤およ
び/または生理活性物質を含有するものであってもよ
い。
【0023】本工程においては、上記ろ過滅菌後の溶液
と、上記滅菌水とが、滅菌された密閉系において混合さ
れる。滅菌された密閉系は、特に限定されないが、例え
ば、密閉系を維持しうる容器であって、滅菌されている
ものを用いることができる。滅菌の方法は、特に限定さ
れず、例えば、高圧蒸気滅菌法、乾式加熱滅菌法、エチ
レンオキシドガス滅菌法、放射線(例えば、電子線、X
線、γ線)滅菌法、オゾン水による滅菌法、過酸化水素
水による滅菌法を用いることができる。ろ過滅菌後の溶
液と滅菌水との混合は、そのような滅菌された密閉系に
おいて、例えば、ディスパー、パドル等を用いて攪拌す
ることにより行う。
【0024】本発明のリポソームの製造方法の第四の工
程は、得られた混合溶液を滅菌された密閉系において攪
拌しながら有機溶媒を減圧留去し、膜成分物質水和物を
得る工程である。本工程においては、混合溶液を攪拌し
ながら混合溶液中の有機溶媒を留去する。有機溶媒の留
去は、加熱により50〜80℃で行うのが好ましい。前
記温度に達したら、減圧して、得られる膜成分物質水和
物における有機溶媒の残留量が好ましくは1000pp
m以下、より好ましくは検出限界以下となるまで有機溶
媒を留去し、膜成分物質水和物を得る。本工程において
は、混合溶液中の有機溶媒が留去されると同時に、混合
溶液中の水も留去される。本発明に用いられるアルコー
ル等の水と混合しうる有機溶媒は、水よりも留去されや
すいので、上述したように有機溶媒と滅菌水との量比
が、有機溶媒1mLに対して滅菌水0.5〜15mLで
あると、膜成分物質を水和させつつ、有機溶媒の残留量
を1000ppm以下とすることができる。
【0025】得られる膜成分物質水和物は、膜成分物質
に対する水の質量比が0.5〜3.0であるのが好まし
く、0.8〜2.0であるのがより好ましい。上記範囲
であると、薬剤および/または生理活性物質を含有する
水溶液を後に添加したときに、リポソームが含有しうる
薬剤および/または生理活性物質の濃度が高くなる。
【0026】滅菌された密閉系は、特に限定されない
が、例えば、密閉系を維持しうる容器であって、滅菌さ
れているものを用いることができる。
【0027】本発明のリポソームの製造方法の第五の工
程は、得られた膜成分物質水和物に、薬剤および/また
は生理活性物質を含有する滅菌された水溶液を、滅菌さ
れた密閉系において添加する工程である。薬剤は、水溶
性であれば特に限定されず、例えば、ペニシリン、スト
レプトマイシン、5−FU、メソトレキセート、アセト
アミノフェン、アセトゾラミド、ヒドララジン、アミノ
フィリン、その他各種薬物の塩類が挙げられる。生理活
性物質は、水溶性であれば特に限定されず、例えば、ヘ
モグロビン、インシュリン、ヘパリン、ウロキナーゼ、
ネオマイシン、スーパーオキシドディスムターゼが挙げ
られる。薬剤および生理活性物質は、それぞれ単独で用
いてもよく、2種以上を併用してもよく、また、1種以
上の薬剤と1種以上の生理活性物質とを併用してもよ
い。中でも、薬剤および/または生理活性物質が、少な
くともヘモグロビンを含むのが本発明の好ましい態様の
一つである。
【0028】薬剤および/または生理活性物質は、滅菌
された水溶液とされる。滅菌された水溶液とする方法
は、例えば、これらを滅菌水に溶解する方法、これらを
滅菌されていない水に溶解した後、例えば、孔径0.2
μmのろ過滅菌フィルターを通過させる方法が挙げられ
る。滅菌された密閉系は、特に限定されないが、例え
ば、密閉系を維持しうる容器であって、滅菌されている
ものを用いることができる。膜成分物質水和物に薬剤お
よび/または生理活性物質を含有する水溶液を添加した
後は、ディスパー、パドル等を用いて膜成分物質水和物
と薬剤および/または生理活性物質を十分に攪拌、混合
するのが好ましい。
【0029】本発明のリポソームの製造方法の第六の工
程は、得られた水溶液添加後の膜成分物質水和物を、滅
菌された密閉系において乳化し、リポソームを得る工程
である。乳化は、超音波照射法、フレンチプレス、高速
攪拌法、エクストルージョン法、マイクロフルイダイザ
ー法、高圧ホモジナイザー法等の公知の方法を用いて行
うことができる。滅菌された密閉系は、特に限定されな
いが、例えば、密閉系を維持しうる容器であって、滅菌
されているものを用いることができる。本工程の滅菌さ
れた密閉系は、第五の工程の滅菌された密閉系と同一で
あってもよい。
【0030】上記製造方法により得られる本発明のリポ
ソームは、滅菌された原料を用い、滅菌された密閉系に
おいて製造されるため、無菌であり、かつ、発熱性物質
の現出もないので、薬剤の担体や人工酸素運搬体として
好適に使用することができる。
【0031】本発明のリポソームは、メンブランフィル
ターで粒径制御してもよいし、未保持の薬剤および/ま
たは生理活性物質を限外ろ過、遠心分離、ゲルろ過等の
手段で除いてもよい。これらの処理を滅菌状態を維持し
つつ行うと、上記目的に好適に使用することができる。
【0032】特許第2043837号明細書において
は、リポソーム膜成分物質を揮発性有機溶媒に溶解し、
得られた溶液に水和物の形成に必要な量の生理活性物質
を含まない水を加え、撹拌しながら有機溶媒を除去して
薄膜を形成することなく膜成分物質水和物を作り、これ
に生理活性物質を含有する水溶液を加えて分散すること
を特徴とするリポソームの製法が記載されているが、こ
の方法はリポソームを無菌的に得るものではない。これ
に対し、本発明のリポソームの製造方法は、滅菌された
原料を用い、滅菌された密閉系においてリポソームを製
造するものであるため、得られるリポソームは無菌であ
り、かつ、発熱性物質の現出もないので、薬剤の担体や
人工酸素運搬体として好適に使用することができる。特
に、以下のような場合に極めて有用である。第一に製造
後のリポソームの粒径が直径0.2μmより大きく、製
造後にろ過滅菌を適用することができない場合、第二に
その製造工程中に間欠的な60℃等の加熱処理により、
カビ等の常在菌を減らすことのできないホルモン製剤、
タンパク製剤を製造する場合、第三に製造時間が長時間
にわたり、菌の汚染が生じたときに増殖する時間が生じ
てしまう製造方法を採らなければならない場合に有用で
ある。
【0033】本発明のリポソームの製造方法を実施する
手段は、特に限定されないが、後述する本発明のリポソ
ームの製造装置により実施するのが好ましい。
【0034】本発明のリポソームの製造装置の一例は、
リポソーム膜成分物質を水と混合しうる有機溶媒に溶解
させて得た溶液を通過させてろ過滅菌する手段と、得ら
れた溶液と、滅菌水とを混合する手段と、得られた混合
溶液を攪拌しながら有機溶媒を減圧留去し、リポソーム
膜成分物質水和物を得る手段と、得られたリポソーム膜
成分物質水和物と、添加された薬剤および/または生理
活性物質を含有する滅菌された水溶液とを混合する手段
と、得られた混合液を乳化し、リポソームを得る手段と
を備えるリポソームの製造装置であって、ろ過滅菌させ
て得られた溶液と、滅菌水と、薬剤および/または生理
活性物質を含有する滅菌された水溶液とからリポソーム
を得るまでの各物質が存在する系のすべてにおいて、滅
菌状態が維持されていることを特徴とするリポソームの
製造装置(以下「本発明の第一の態様の装置」ともい
う。)である。以下、本発明の第一の態様の装置につい
て、図1に基づいて詳細に説明する。なお、本発明の第
一の態様の装置は、図1の態様に限定されるものではな
い。
【0035】図1に示す実施態様において、膜成分物質
を投入口1より投入し、あらかじめ投入口2より投入し
ておいた水と混合しうる有機溶媒に、容器3の中で溶解
させる。この際、攪拌機4により攪拌しつつ溶解させる
のが好ましい。また、加熱手段5により溶解温度を高く
すると、有機溶媒における膜成分物質の溶解度が大きく
なるので好ましい。膜成分物質を水と混合しうる有機溶
媒に溶解させる方法は、上記方法に限定されず、従来公
知の方法を用いることができる。膜成分物質を水と混合
しうる有機溶媒に溶解させて得た溶液を排出口6から容
器外に排出させ、ろ過滅菌手段7を通過させて、ろ過滅
菌する。ろ過滅菌する手段7としては、ろ過滅菌フィル
ターを用いる。ろ過滅菌フィルターは、孔径0.45μ
m以下であるのが好ましい。例えば、孔径0.2μmの
ろ過滅菌フィルターを用いる。
【0036】ろ過滅菌して得られた溶液を投入口8より
投入し、一方、蒸留水をろ過滅菌フィルター9を通過さ
せて滅菌水としてから投入口10より投入し、両者を容
器11中で混合手段12により混合する。容器11は、
特に限定されず、密閉系を維持しうる容器であって、滅
菌されているものであればよい。ろ過滅菌後の溶液と滅
菌水とを混合する手段12は、特に限定されないが、例
えば、ディスパー、パドル等を用いる。
【0037】得られた混合溶液を攪拌し(図1では混合
手段12により攪拌することができる。)、所望により
加熱手段13で加熱しながら、真空ポンプ14を用いて
容器11の内部を減圧とし、混合溶液中の有機溶媒を排
出口15から留去し、膜成分物質水和物を得る。
【0038】得られた膜成分物質水和物に、薬剤および
/または生理活性物質を含む水溶液をろ過フィルター9
を通過させて投入し、両者を容器11内で混合手段12
により混合する。また、得られた膜成分物質水和物を排
出口16から容器外に排出し、薬剤および/または生理
活性物質を含有する滅菌された水溶液と混合してもよ
い。この場合の混合手段(図示せず)は、特に限定され
ないが、例えば、ディスパー、パドル等を用いる。
【0039】得られた混合液を排出口16より容器11
に圧力を加えることで乳化装置(例えば、商品名:アジ
ホモミクサー、特殊機化工業社製)の投入口17より容
器21に投入し、乳化手段19により乳化し、リポソー
ムを得る。ここで、フィルター18は排気口をふさいで
おり、パドル20は全体流を起こすとともに、壁面にた
まる原料や生成物をかき取る。また、加熱手段22は乳
化時の温度を調節するために用いられる。得られたリポ
ソームは、排出口23から供給路を通じて外部に供給さ
れる。このとき、例えば、乳化手段の攪拌羽根を周速2
0m/sec以上の速度で1〜180分間回転させるこ
とによりリポソームを得ることができる。乳化手段とし
ては、上記のほかに、超音波乳化法、フレンチプレス、
高速攪拌法、エクストルージョン法、マイクロフルイダ
イザー法、高圧ホモジナイザー法等の公知の方法を用い
ることができる。
【0040】本発明の製造装置においては、ろ過滅菌さ
せて得られた溶液と、滅菌水と、薬剤および/または生
理活性物質を含有する滅菌された水溶液とからリポソー
ムを得るまでの各物質が存在する系のすべてにおいて、
滅菌状態が維持されている。即ち、本発明の第一の態様
の装置においては、菌が混入することがない。例えば、
図1の実施態様の場合、ろ過滅菌フィルター7および9
の内側、ろ過滅菌フィルター7および9から容器11へ
の供給路、容器11の内面と混合手段12の外面とから
なる空間、容器11から容器21への供給路、容器21
の内面と乳化手段19の外面とパドル20の外面とから
なる空間、排出口23から外部への供給路のすべて滅菌
されており、かつ、その状態を維持できるように密閉さ
れている。
【0041】本発明の製造装置を用いる際には、リポソ
ームの原料として、ろ過滅菌させて得られた溶液と、滅
菌水と、添加された薬剤および/または生理活性物質を
含有する滅菌された水溶液とを用いる。即ち、リポソー
ムの原料物質は、すべて滅菌状態とされて供給される。
したがって、本発明の製造装置により得られるリポソー
ムは、滅菌状態の原料から、常に滅菌状態を維持して製
造されるので、無菌であり、薬剤の担体や人工酸素運搬
体として好適に使用することができる。
【0042】本発明の第一の態様の装置の具体的態様と
しては、例えば、リポソーム膜成分物質を水と混合しう
る溶媒に溶解させて得た溶液を滅菌フィルターを介して
導入する第一のポートと、水を滅菌フィルターを介して
導入する第二のポートと、薬剤および/または生理活性
物質を含有する水溶液を滅菌フィルターを介して導入す
る第三のポートと、攪拌手段とを備える密閉容器と;真
空ポンプを備え、該密閉容器の内部に存在する溶媒を減
圧留去することができる減圧手段と;該密閉容器の外周
部に配置され、該密閉容器を加熱することができる加熱
ジャケットとを備えるリポソームの製造装置(以下「本
発明の第二の態様の装置」ともいう。)が挙げられる。
【0043】本発明の第二の態様の装置によってリポソ
ームを製造する方法について説明する。初めに、密閉容
器の内部を滅菌する。滅菌手段は特に限定されず、上述
した各方法によることができるが、例えば、膜成分物質
と、水と、薬剤および/または生理活性物質のそれぞれ
を投入する各ポートにろ過膜を装着した状態で各ポート
から20%過酸化水素水を流し入れて滅菌し、排出後、
ジャケットにより加熱して過酸化水素水を留去すること
により、密閉容器を滅菌することができる。つぎに、第
一のポートから膜成分物質を水と混合しうる溶媒に溶解
させて得た溶液を滅菌フィルターを介して導入し、第二
のポートから水を滅菌フィルターを介して導入する。こ
れを密閉容器の備える攪拌手段によって攪拌し、両者を
混合する。得られた混合溶液を攪拌手段で攪拌し、所望
により加熱ジャケットで加熱しながら、真空ポンプを備
える減圧手段を用いて密閉容器の内部を減圧とし、混合
溶液中の有機溶媒を留去し、膜成分物質水和物を得る。
ついで、第三のポートから薬剤および/または生理活性
物質を含有する水溶液を滅菌フィルターを介して導入
し、攪拌手段を用いて、密閉容器内の膜成分物質水和物
と混合する。更に、得られた混合液を攪拌手段により高
速攪拌して乳化し、リポソームを得ることができる。
【0044】前記攪拌手段は、混合手段および乳化手段
として機能するものであれば特に限定されない。例え
ば、攪拌羽根を有する攪拌機や超音波攪拌装置を用いる
ことができる。また、密閉容器自体が密閉状態を維持し
たまま高速回転しうるような構造としてもよい。前記攪
拌手段は、乳化手段として機能しないものでもよく、そ
の場合は密閉容器に密閉された経路で連結される乳化装
置で処理する。また、前記攪拌手段が乳化手段として機
能するものであっても、更に細かくするために、前記の
ような乳化装置で別途処理してもよい。
【0045】本発明の第二の態様の装置の材質は、特に
限定されないが、例えば、全体をステンレス製とし、パ
ッキングを耐熱性に優れるテフロン(登録商標)製等と
し、ジャケットで加熱して全体を滅菌することができる
ようにすることができる。
【0046】本発明の第二の態様の装置は、一つの密閉
容器内でリポソームを製造することができる。したがっ
て、密閉容器を初めに滅菌しておけば、滅菌状態を維持
しつつリポソームの製造を行うことができる。即ち、リ
ポソームの製造において従来行われているような解放系
で行う操作が、本発明の第二の態様の装置の場合はない
ので、菌の混入という問題が全くない。
【0047】
【実施例】以下、実施例および比較例によって本発明を
より具体的に説明するが、本発明はこれらに限られるも
のではない。 1.リポソーム膜成分物質水和物の残留溶媒量の測定お
よび無菌試験以下の操作は、本発明の第二の態様の装置
を用いて行った。ビーカー中の水素添加大豆レシチン6
3.49g、コレステロール31.22gおよびミリス
チン酸5.29gに、2−プロパノール150mLを添
加した後、70℃に加熱して、完全に溶解するまで攪拌
した。これをあらかじめ滅菌したアジホモミクサー(特
殊機化工業社製)に孔径0.2μmのろ過滅菌フィルタ
ーでろ過滅菌しながら第一のポートから投入した。その
後、逆浸透水(RO水)を100mL、150mLおよ
び200mLの3条件で、上記と同様にろ過滅菌して滅
菌水としながらアジホモミクサーに第二のポートから投
入した。温度を70℃に保ち、100Torr(1.3
3×104 Pa)、パドル回転数100rpm、20〜
80分間の減圧条件で2−プロパノールを減圧留去し、
膜成分物質水和物を得た。
【0048】得られた膜成分物質水和物を取り出し、残
留溶媒量の測定および無菌試験を行った。残留溶媒量の
測定は、ガスクロマト法によって行った。無菌試験は、
クリーンベンチの中で約1gの膜成分物質水和物を取
り、滅菌した下記組成の寒天培地に塗抹し、72時間、
35℃の条件で培養したときのコロニー数を確認するこ
とにより行った。コロニー数が0であるときを無菌試験
合格とした。 <SCDA培地(40.0g/1000mL)組成> ・トリプトン(カゼインペプトン) 15.0g ・ソイペプトン(ソーヤペプトン) 5.0g ・塩化ナトリウム 5.0g ・寒天抹 15.0g ・精製水 1000mL ・pH7.3±0.1
【0049】結果を第1表に示す。有機溶媒と滅菌水と
の量比が、有機溶媒1mLに対して滅菌水0.5〜15
mLであると、減圧処理時間を選択することにより、膜
成分物質水和物における有機溶媒の残留量を1000p
pm以下とすることができることが分かる。特に、滅菌
水の量を200mLとした場合(有機溶媒1mLに対し
て滅菌水1.33mL)は、減圧処理時間を60分以上
とすれば、有機溶媒の残留量を検出限界以下とすること
ができた。また、すべての膜成分物質水和物は、無菌試
験合格であった。
【0050】
【表1】
【0051】2.リポソームの製造等 (実施例1)以下の操作は、本発明の第二の態様の装置
を用いて行った。ビーカー中の水素添加大豆レシチン6
3.49g、コレステロール31.22gおよびミリス
チン酸5.29gに、2−プロパノール150mLを添
加した後、70℃に加熱して、完全に溶解するまで攪拌
した。これをあらかじめ滅菌したアジホモミクサーに孔
径0.2μmのろ過滅菌フィルターでろ過滅菌しながら
第一のポートから投入した。その後、RO水200mL
を上記と同様にろ過滅菌して滅菌水としながらアジホモ
ミクサーに第二のポートから投入した。温度を70℃に
保ち、100Torr(1.33×104 Pa)、パド
ル回転数100rpm、60分間の減圧条件で2−プロ
パノールを減圧留去した。その後、ヘモグロビン水溶液
1000mL(ヘモグロビン濃度45w/v%)を、上
記と同様にろ過滅菌しながら第三のポートから投入し、
温度を70℃に保ったままホモミクサー回転数1000
rpm(周速3m/sec)、パドル回転数100rp
mにて10分間混合攪拌した後、温度を70℃に保った
ままホモミクサー回転数10000rpm(周速30m
/sec)、パドル回転数100rpmにて100分間
混合攪拌し、リポソームを得た。同じ条件で10回リポ
ソームを製造し、リポソームの無菌試験を行った。
【0052】無菌試験は、リポソーム100mLを日本
薬局方無菌試験法メンブランフィルター法でろ過し、ろ
過に用いたフィルターを、滅菌した生理食塩水200m
Lで洗浄した後、滅菌した前記組成のSCDA培地に載
せ、72時間、35℃の条件で培養したときのコロニー
数を確認することにより行った。コロニー数が0である
ときを無菌試験合格とした。
【0053】(比較例1)ビーカー中の水素添加大豆レ
シチン63.49g、コレステロール31.22gおよ
びミリスチン酸5.29gに、t−ブタノール150m
Lを添加した後、70℃に加熱して、完全に溶解するま
で攪拌した。これをあらかじめ滅菌した凍結乾燥ビン
に、孔径0.2μmのろ過滅菌フィルターでろ過滅菌し
ながら入れ、凍結後2日間凍結乾燥した。この凍結乾燥
リポソーム膜成分物質混合物を、滅菌したサジを用い
て、あらかじめ滅菌したアジホモミクサーに投入した。
その後、RO水200mLを上記と同様にろ過滅菌して
滅菌水としながらアジホモミクサーに投入した。温度を
70℃に保ち、100Torr(1.33×104
a)、パドル回転数100rpm、60分間の減圧条件
でt−ブタノールを減圧留去した。その後、ヘモグロビ
ン水溶液1000mL(ヘモグロビン濃度45w/v
%)を、上記と同様にろ過滅菌しながら投入し、温度を
70℃に保ったままホモミクサー回転数1000rpm
(周速3m/sec)、パドル回転数100rpmにて
10分間混合攪拌した後、温度を70℃に保ったままホ
モミクサー回転数10000rpm(周速30m/se
c)、パドル回転数100rpmにて100分間混合攪
拌し、リポソームを得た。同じ条件で10回リポソーム
を製造し、実施例1と同様の方法により、リポソームの
無菌試験を行った。
【0054】(比較例2)用いたt−ブタノールの量を
500mLとしたこと、および、凍結乾燥リポソーム膜
成分物質混合物を、滅菌したサジを用いて、あらかじめ
滅菌したアジホモミクサーに投入した後、更に耐熱性菌
であるB.stearothermophilusを1
mL当り106 個懸濁させた溶液を1mL投入したこと
以外は、比較例1と同様の方法により、リポソームを製
造した。同じ条件で5回リポソームを製造し、実施例1
と同様の方法により、リポソームの無菌試験を行った。
【0055】実施例1および比較例1では製造されたリ
ポソームの粒径はほぼ同等のものが得られたが、本発明
の製造方法である実施例1で得られたリポソームが全例
無菌試験合格であったにもかかわらず、従来の製造方法
である比較例1においては合格率が90%に低下した。
また、脂質投入時に菌が混入したと仮定した場合の比較
例2においては、すべてのリポソームが無菌試験不合格
となった。即ち、本発明においては、菌の混入の問題が
ないのに対し、一度脂質を粉体として攪拌容器に再投入
する際には、無菌的な取扱いをした場合でも無菌試験不
合格の場合がある程度の確率で存在し、更に無菌的な取
扱いをしない場合にはリポソームを無菌的に製造できな
いことが分かる。
【0056】
【表2】
【0057】
【発明の効果】本発明のリポソームの製造方法は、リポ
ソームを無菌的に製造する方法であり、これにより得ら
れる本発明のリポソームは、無菌であり、かつ、発熱性
物質の現出もないので、薬剤の担体や人工酸素運搬体と
して好適に使用することができる。また、本発明のリポ
ソームの製造装置は、本発明のリポソームの製造方法を
実施するのに好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のリポソームの製造装置の一例を示す
模式図である。
【符号の説明】
1、2 投入口 3 容器 4 攪拌機 5 加熱手段 6 排出口 7 ろ過滅菌手段 8、10 投入口 9 ろ過滅菌フィルター 11 容器 12 混合手段 13 加熱手段 14 真空ポンプ 15、16 排出口 17 投入口 18 フィルター 19 乳化手段 20 パドル 21 容器 22 加熱手段 23 排出口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 後藤 博 神奈川県足柄上郡中井町井ノ口1500番地 テルモ株式会社内 Fターム(参考) 4C076 AA19 BB12 CC29 DD37 DD41 DD63 DD70 FF43 FF70 GG43 4C084 AA03 BA44 CA18 DC50 MA24 NA20 ZC021 ZC022

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】リポソーム膜成分物質を水と混合しうる有
    機溶媒に溶解する工程と、 得られた溶液をろ過滅菌する工程と、 得られたろ過滅菌後の溶液と、滅菌水とを、滅菌された
    密閉系において混合する工程と、 得られた混合溶液を滅菌された密閉系において攪拌しな
    がら有機溶媒を減圧留去し、リポソーム膜成分物質水和
    物を得る工程と、 得られたリポソーム膜成分物質水和物に、薬剤および/
    または生理活性物質を含有する滅菌された水溶液を、滅
    菌された密閉系において添加する工程と、 得られた水溶液添加後のリポソーム膜成分物質水和物
    を、滅菌された密閉系において乳化し、リポソームを得
    る工程とを具備するリポソームの製造方法。
  2. 【請求項2】前記有機溶媒がアルコールであることを特
    徴とする請求項1に記載のリポソームの製造方法。
  3. 【請求項3】前記リポソーム膜成分物質を水と混合しう
    る有機溶媒に溶解する工程において、有機溶媒1mLに
    対してリポソーム膜成分物質を0.5gより多く5g以
    下の割合で溶解することを特徴とする請求項1または2
    に記載のリポソームの製造方法。
  4. 【請求項4】前記有機溶媒と前記滅菌水との量比が、有
    機溶媒1mLに対して滅菌水0.5〜15mLであるこ
    とを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のリポソ
    ームの製造方法。
  5. 【請求項5】前記リポソーム膜成分物質水和物における
    有機溶媒の残留量が、1000ppm以下であることを
    特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のリポソーム
    の製造方法。
  6. 【請求項6】前記薬剤および/または生理活性物質が、
    少なくともヘモグロビンを含む請求項1〜5のいずれか
    に記載のリポソームの製造方法。
  7. 【請求項7】請求項1〜6のいずれかに記載のリポソー
    ムの製造方法により得られるリポソーム。
  8. 【請求項8】リポソーム膜成分物質を水と混合しうる有
    機溶媒に溶解させて得た溶液を通過させてろ過滅菌する
    手段と、 得られた溶液と、滅菌水とを混合する手段と、 得られた混合溶液を攪拌しながら有機溶媒を減圧留去
    し、リポソーム膜成分物質水和物を得る手段と、 得られたリポソーム膜成分物質水和物と、添加された薬
    剤および/または生理活性物質を含有する滅菌された水
    溶液とを混合する手段と、 得られた混合液を乳化し、リポソームを得る手段とを備
    えるリポソームの製造装置であって、 ろ過滅菌させて得られた溶液と、滅菌水と、薬剤および
    /または生理活性物質を含有する滅菌された水溶液とか
    らリポソームを得るまでの各物質が存在する系のすべて
    において、滅菌状態が維持されていることを特徴とする
    リポソームの製造装置。
  9. 【請求項9】リポソーム膜成分物質を水と混合しうる溶
    媒に溶解させて得た溶液を滅菌フィルターを介して導入
    する第一のポートと、水を滅菌フィルターを介して導入
    する第二のポートと、薬剤および/または生理活性物質
    を含有する水溶液を滅菌フィルターを介して導入する第
    三のポートと、攪拌手段とを備える密閉容器と;真空ポ
    ンプを備え、該密閉容器の内部に存在する溶媒を減圧留
    去することができる減圧手段と;該密閉容器の外周部に
    配置され、該密閉容器を加熱することができる加熱ジャ
    ケットとを備えるリポソームの製造装置。
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