JP2002126926A - ツイストドリル - Google Patents

ツイストドリル

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JP2002126926A
JP2002126926A JP2000324884A JP2000324884A JP2002126926A JP 2002126926 A JP2002126926 A JP 2002126926A JP 2000324884 A JP2000324884 A JP 2000324884A JP 2000324884 A JP2000324884 A JP 2000324884A JP 2002126926 A JP2002126926 A JP 2002126926A
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drill
cutting
cutting edge
twist drill
twist
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JP2000324884A
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Takashi Uejima
隆司 上島
Minoru Doi
稔 土肥
Shigeyoshi Fujiwara
繁栄 藤原
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Moldino Tool Engineering Ltd
Original Assignee
Hitachi Tool Engineering Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高硬度材、プリハードン鋼等の穴明け加工に
おいて、切削性を有しつつ、耐チッピング、耐折損性に
優れ、切削寿命の長いツイストドリルを提供することを
目的とする。 【構成】 基体にWC基超硬合金を用い、該基体表面に
硬質皮膜及び/又は潤滑皮膜を被覆してなるツイストド
リルにおいて、該ツイストドリルの心厚を0.25D〜
0.45Dとし、該ドリルの軸端視で先端切刃を切刃外
周端からドリル中心に向けてドリル回転方向側へ向かい
2つの頂点をもつ波状切刃を1対、且つ、マージンを2
対設けたことを特徴とするツイストドリルである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明はツイストドリルに関
し、特に穴明けの際に精度が要求される高硬度材、プリ
ハードン鋼等の穴明け加工に用いるツイストドリルに関
する。
【0002】
【従来技術】調質後の硬さがHRC50〜60程度の穴
明け加工用のツイストドリルとしては、主切刃が直線切
刃で先端切刃に大きなホーニング面を設け、心厚を大き
くねじれ角を小さくして、ドリル本体の剛性を切刃先端
部の強化を図ることが知られている。例えば、特開平7
−112311号公報には、円弧状の中心切刃と直線状
の主切刃で切れ味が確保され、ねじれ角5°〜30°、
心厚0.25D〜0.60Dで、先端切刃に−15°〜
+15°のすくい角とによって、切刃先端部の強化を図
った高硬度鋼用ドリルがある。更に、穴明け時に高精度
が要求される場合には、一般的にバニッシングドリルと
称される超硬合金製のツイストドリルが用いられる。こ
れらは鋳鉄やアルミ合金等に用いられ、2枚刃のドリル
に4〜6箇所のマージンを設けてガイドさせることによ
り、高精度を計っている。また、鋼用においても同様に
2枚刃のツイストドリルに、3〜6箇所にマージンを設
けた例がある。例えば、特表2000−507163号
公報には、2枚刃で4箇所にマージンを設け、且つ、マ
ージンを非対称に配置したドリルが記載され、更に、特
開平8−155713号公報には、2枚刃、対称位置に
4箇所のマージンを設け、且つ、バックテーパを2段と
して、ガイドの役をなすマージンの接触する長さを調整
した例がある。又、特開昭61−58246号公報に
は、切刃端面直視形状の半径方向すくい角はドリル直径
の少なくとも2/3より外側にあっては、−5°〜正に
形成する。1対あるいは2対のマージンを設け、穴精度
の向上並びに外周2番部への切屑の流入を防止し、切削
をスムーズにした例がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】調質後の高硬度材の穴
明け加工するに際しては、前記の様なドリルを用いて
も、加工される孔の真円度や被切削面に生ずる傷等、様
々な課題がある。これらの課題は硬さが増すにしたがい
顕著となり、孔の寸法精度が必要である場合は、その後
のリーマ加工作業が必要となる。先ず、前記従来例で
は、高硬度材の穴明け加工における切削性能とドリル剛
性については、何も述べられていない。高硬度材の穴明
けを行う場合、ドリル心厚を厚くしドリルの捩れ角を緩
くしてドリル本体の剛性をアップするが、ドリル本来の
切削性は損なわれる。これを補うために、切刃形状を波
状にする事により、切屑を中心へ巻き込んで切削する作
用が働き、切削性を付加することでスムーズに切削が行
なえる特徴がある。次に、高硬度材の際の切削抵抗及び
衝撃から誘発される切刃のチッピングや折損を防止する
ために、ドリル中心部における1対の波状切刃間の距離
や波状切刃外周端の面取り部の大きさや波状切刃外周端
と波状切刃先端外周マージンとのなす角度を適切な値に
設定する事により、切削性を低下させることなく、耐チ
ッピング、耐折損性に優れる特徴がある。また、ガイド
の役をなすマージンは、工具軸直角断面においてランド
部のほぼ中央に設けており、分割という観点からはマー
ジンの位置が45度、135度、45度、135度であ
り、高硬度材切削の様に負荷のかかる切削では好ましく
なく、更に、マージンの幅等、具体的な記載は一切無い
ので、これらのマージンの配置では、十分な精度をだす
ことができない。
【0004】上述のように、本願発明では、高硬度材、
プリハードン鋼等の穴明け加工において、切削性を有し
つつ、耐チッピング、耐折損性に優れ、切削寿命の長い
ツイストドリルを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記のように、本発明で
は、基体にWC基超硬合金を用い、該基体表面に硬質皮
膜及び/又は潤滑皮膜を被覆してなるツイストドリルに
おいて、該ツイストドリルの心厚を0.25D〜0.4
5Dとし、該ドリルの軸端視で先端切刃を切刃外周端か
らドリル中心に向けてドリル回転方向側へ向かい2つの
頂点をもつ波状切刃を1対、且つ、マージンを2対設け
たことを特徴とするツイストドリルである。
【0006】
【作用】先ず、高硬度材の穴明け加工では、加工材料の
引張強度が高く切削の際に、大きな切削トルクがドリル
に加わるので、構造用鋼等を加工する通常の超硬ドリル
とは異なり、充分な剛性が求められる。そのため、心厚
を大きくして剛性を付与するが、高硬度材の穴明加工で
は切削条件が通常の超硬ドリルに比して低く、切屑排出
量が少ないので心厚をドリル径の0.45D迄、大きく
しても切屑排出不良は起こらない。又、心厚がドリル径
の0.25D未満では剛性不足により、折損が多発する
のでドリル心厚を0.25D〜0.45Dの範囲とし
た。更に、ドリルのねじれ角を小さくして、ドリルの剛
性を高めるが、ねじれ角=掬い角に相当しねじれ角を小
さくして剛性を向上させる事とは逆に、切削性の方は低
下するので切削性を有する角度として、15°以上とし
た。又、ねじれ角を大きくすると切削性は向上するが、
ねじれ角25°を越えるとでは、剛性が低下し切削中に
おけるドリルの振動や折損が発生し、更に、切屑排出に
際し経路が長くなる等の弊害もあり、ねじれ角は15°
〜25°の範囲とした。
【0007】第2に、心厚を大きく、かつ、ねじれ角を
小さくすると、剛性は向上する反面、切削性は低下する
ので切刃を切削回転方向に向い湾曲させることで、切屑
を中心へ巻き込もうとする作用が働き切削性の低下を補
う事が可能となる。しかし、湾曲させた状態ではドリル
外周端が鋭利になり、チッピングの発生や摩耗の進行が
速まるので、これらを改善すべく切刃外周コーナ近傍に
なだらかな頂部を設け、湾曲した切刃とドリル外周部を
滑らかに継ぎ、切刃外周部の強化を図っている。より詳
細には、切刃外周端からドリル中心に向う波状切刃の最
初の頂点までの切刃は、切削回転方向へ後退し切屑を外
周側へ押し流す作用が働き、切削性を阻害し切削トルク
を増加させ、遷移切断型切屑をリボン状切屑へと変化さ
せる。この間の距離がドリル直径の0.12Dを越える
と、これらの弊害が著しくなるので0.12D未満とし
た。又、0.03D未満では、チッピングの多発と摩耗
の進行が速くなるので、切刃外周端からドリル中心に向
う、波状切刃の最初の頂点間の距離をドリル直径の0.
03D〜0.12Dの範囲とした。また、波状切刃の2
つの頂点間の波状の曲率半径は、切屑を中心へ巻き込も
うとする作用に起因し、該曲率半径がドリル直径の0.
25D未満では切屑が急激にカールし、該曲率底部に強
く擦られ、切削応力が集中し切刃の摩耗を早めるので
0.25D以上とした。又、該曲率半径がドリル直径の
0.35Dを越えると切屑を中心へ巻き込もうとする作
用に乏しく、切削抵抗の増大や切屑の形状が遷移切断型
からリボン状に変わり、切屑処理の点より0.35D未
満とした。
【0008】第3に、切刃外周端からドリル中心に向う
波状切刃の2つの頂点間の距離は、主に切削を行う切刃
部であり、頂点間の距離がドリル直径の0.25D未満
ではシンニング部分での切削負担が増大し、不均一な押
し潰し切削の切屑傾向が強くなり、切屑の排出に支障を
きたすので、この間の距離をドリル直径の0.25D以
上とした。頂点間の距離がドリル直径の0.35Dを越
えると、溝部が広くなるので充分な心厚が確保できず、
剛性不足となるので、波状切刃の2つの頂点間の距離は
ドリル直径の0.25D〜0.35Dとした。
【0009】第4に、ドリル中心部に施されたシンニン
グと湾曲した切刃を円弧状で継ぎ、なだらかな頂部とす
ることで、切削速度が低く、押し潰し切削により生成さ
れ加工硬化したシンニング部分の切屑の擦過によるチッ
ピングを防止し、スムーズに溝中に導く事が可能となっ
た。これらのことにより、切刃形状を切刃外周端により
ドリル中心に向って、2つの頂点を持つ波状切刃形状と
した。
【0010】第5に、高硬度材切削の際、強大な切削抵
抗により穴明け時の刃先のフラツキが増大し、穴精度な
らびにドリル刃先のチッピング、ドリル刃先の摩耗促進
等の影響を及ぼす。先端切刃波状でマージンが1対の場
合には、穴明け初期の切削でマージン部の損傷が回転方
向前方側ではなく、回転方向後方側が接触し、擦過した
跡が観察される。この現象は、高硬度材故に穴明け時の
抵抗が大きいため、フラツクものと考えられる。このフ
ラツキを防止するため、マージンを更に1対設けること
により、ガイド性を向上させる。更に、前述のように2
対のマージンを設けたドリルで穴明け加工を行なうと、
全く切刃として接触しないヒール部のマージンの回転方
向後方側に欠けが観察される。また、マージンの回転方
向後方側の欠けは、穴加工を継続して行くと数が増え、
被切削面に擦過痕を残すようになり、更に試験を継続す
ると折損を起こすようになる。従って、回転方向後方側
の欠けを防止するため、C及び/又はR状の面取りを設
ける事により対処した。C及び/又はR状の面取りは、
刃先処理として一般的に行なわれている方法を用いて行
い、実際に切刃として作用する部分ではないので、やや
大きめの処理量0.1mm以上で十分な欠け防止の効果
がある。
【0011】第6に、溝幅比は(断面図における、切屑
排出溝の溝幅を工具外周長さで除し、百分率で表す。)
40〜55%とした。溝幅比は他の1対のマージンの位
置を決める事となり、等分割の位置を取ることによりガ
イド性を高めている。溝幅比40%未満では、溝幅が狭
くなり切屑詰まりを引き起こすことになり、55%を超
えると溝幅が広い分、ランド部が狭くなり、強度が低下
するため、溝幅比は40〜55%の範囲とした。更に、
溝幅比は、溝のヒール部の形状により調整することもで
きる。ヒール部の先端を円弧状に形成することにより、
溝幅比を大きくとり、前述のような切屑の内壁との接触
を少なめることができる。また、更にガイド性を良くす
るためには、マージン幅をドリル直径の0.05D〜
0.20D、バックテーパを0.1/100〜0.4/
100とする。両者は先の皮膜とも関係するが、接触面
積が小さすぎる、すなわちマージン幅が狭く、バックテ
ーパが大きいとガイドとしての役を果たさず、接触面積
が大きすぎる、すなわちマージン幅が広く、バックテー
パが小さいと摩擦等が大きくなるため、先の範囲とし
た。
【0012】第7に、耐チッピング性を良くするため
に、先ず、ドリル軸端視においてドリル中心部における
1対の波状切刃間の距離をドリル心厚の0.05D〜
0.30Dの範囲とした。0.05D未満では、中心部
がクロスポイントになり、切削時のスラスト抵抗により
縦割れを誘発したり、中心切刃にかかる切削トルクに耐
えられず、チッピングが発生する。また、0.30Dを
超えると切刃の存在しない距離が長くなり、スラスト抵
抗が増大するので、先の範囲とした。
【0013】第8に、切刃外周端の切刃側マージン部円
筒面にドリル直径の0.01D〜0.05Dの幅でドリ
ル外周に対し20°〜40°の範囲でドリル逃げ面に、
該平行に面取りを施した。該面取りの幅は、0.01D
未満では面取り強化部分が小さすぎて、チッピングの発
生を十分に抑制することが出来ない。又、0.05Dを
越えるとでは切刃長さが長くなる事で、切削トルクが増
大するので、先の範囲とした。更に、面取り角度は20
°未満では、面取り強化の効果に乏しく、切刃長さが長
くなり切削トルクが増大する。又、40°を越えると、
切刃と面取り部のなす角度よりも面取り部と外周とのな
す角度が小さくなり、面取り部と外周との交線部分にチ
ッピングや摩耗の促進が発生するので、先の範囲とし
た。また、より好ましくは、面取り幅0.02D〜0.
04D、面取り角25°〜35°である。
【0014】第9に、ツイストドリルの断面視におい
て、波状切刃外周端と先端切刃外周マージンとのなす角
度を100°〜130°とした。100°未満では、切
刃外周端が鋭利になり、切刃外周端における切屑の剪断
性にすぐれ、遷移切断型切屑もスムーズに生成される
が、切削抵抗によるチッピングや摩耗の進行が早い。
又、130°を越えると、切屑を外周側へ押し流す傾向
が強まり、切削トルクの増大とリボン状切屑の生成を発
生させるので、先の範囲とした。
【0015】最後に、基体には超硬合金を用いたが、特
に、強度に優れる超微粒子超硬合金のなかでも、Co含
有量が6〜10重量%程度の比較的少ない量のものがベ
ストである。Co含有量は穴明け加工時の先端切刃の耐
塑性変形量が小さいため、長寿命な工具とすることがで
きる。基体表面に硬質皮膜及び/又は潤滑性皮膜を被覆
する。例えば、TiAlの窒化物または炭窒化物等の耐
摩耗性に富む皮膜、更には、マージン部をガイドと共に
摩擦係数の小さい潤滑性皮膜であるCrを含有する窒化
物等の皮膜、または、それらの組み合わせたものが好ま
しい。これらの皮膜は、切刃となる先端刃で厚く、ガイ
ドとなるマージン部では薄くしても良い。更に、これら
の皮膜はマージン部の凝着を防止し、ガイド性を長期間
にわたり良好に保つことができる。以下、実施例に基づ
いて本発明を具体的に説明する。
【0016】
【実施例】(実施例1)図1は、本発明の実施例による
ドリルの正面図、図2は、図1の上面図、図3は、図1
の先端視、図4は、図1の切刃外周端切刃マージン部円
筒面の面取り部である。本発明例1として、超微粒子超
硬合金製、刃径6mm、2枚刃、ねじれ角20度、心厚
40%で、図3に示すように、ドリル回転方向側へ向か
い2つの頂点をもつ波状切刃を1対有し、ドリル中心を
通り両切刃外周端を結んだ直線と直交する垂線を波の頂
点にそれぞれ引き、その頂点間の距離をドリル直径の
0.30倍とし、TiAlNを被覆している。切削テス
トとして、被削材は硬さがHRC55の熱間ダイス鋼を
用い、切削速度は25m/minで、送り量は0.06
mm/rev、湿式にて行った。穴加工長さは、ドリル
径の3倍の18mmの止り穴で行った。尚、比較のた
め、従来技術に記載した切れ味と切刃先端部を強化した
例と、上記ドリルと同仕様で、第2マージン部に面取り
を設けないもの(比較例1)、更に、上記ドリルと同仕
様で切刃外周端切刃側マージン部円筒面に、面取りを設
けないもの(比較例2)も製作し、同じ切削諸元で試験
を実施し、250穴加工した。先ず、1穴目の切削抵抗
を測定し、その結果を表1に併記する。
【0017】
【表1】
【0018】表1より、本発明例1は、従来例2に比し
てスラスト、トルク共に小さく、又、本発明例1と比較
例3、4を比較すると三者とも近似値を示し、スラス
ト、トルク共に小さく、切削性に優れていることが分か
る。また、1穴目の切屑形状は、本発明例1、比較例
3、4ともねじれ角が大きいことで切屑がスムーズに溝
面に掬い上げられ、図5の如く遷移切断切屑に対して、
従来例はねじれ角が小さい為、切刃前面で切屑が折り曲
げられ、細く粉砕された図6の針状切屑である。更に、
穴加工を継続し、30穴加工した後、切刃の状況を確認
し、その結果を表2に記す。
【0019】
【表2】
【0020】表2より、本発明例1は、従来例2、比較
例3、4に比して、第1、第2マージン、切刃外周部い
ずれにおいてもチッピングがなく、正常な摩耗を示し
た。更に、穴加工を継続すると、本発明例1は250穴
まで行ったが、第1、第2マージン、切刃にチッピング
もなく、正常摩耗を呈しており、切屑も遷移切断型が生
成され、また、被切削面等の傷もなく正常な状態で切削
できた。従来例2は50穴加工で切刃外周部のチッピン
グで切削抵抗が過重となり、寿命と判断した。比較例3
は、使用初期は本発明例同様な切屑が得られていたが、
穴加工数が増えるに従い、ヒール部側のマージンの刃溝
側に多数の欠けが観察されるようになった。この原因
は、強大な切削抵抗により、ドリルがフラれるのを、第
2マージンの刃溝側で、加工穴円壁にガイトパットとし
て働き、その後、端縁が強い力を受けるにもかかわら
ず、鋭利である為に支持しきれずにチッピングが生じ、
欠けると切屑が滞留したり、皮膜そのものも脱落してい
るため、凝着等の原因となり、被切削面に傷がついた
り、凝着物が残る等のため、200穴で試験を止めた。
比較例4は、使用初期は本発明例同様な切屑が得られて
いたが、穴加工数が増えるに従い、切刃外周部の摩耗が
進行し切屑の中心部へカールする傾向が弱まり、図7の
リボン状切屑が生成され、刃先を確認すると片側切刃に
チッピングが観察された為、180穴で試験を止めた。
【0021】(実施例2)次に、マージンの数、幅を変
化させ、先の実施例と同じ諸元で評価した。本発明例
1、5〜8として、第1マージンの幅は一定として、第
2マージンの幅を0.6mm、0.2mm、0.4m
m、0.8mm、1.0mmの5試料、比較例9とし
て、第2マージンを設けないもの、比較例10として、
1.5mmの2試料を製作し、同様に切削試験を行っ
た。尚、バックテーパは0.2/100で一定とした。
その結果、100穴加工後では、本発明例5の0.2m
mの様なマージン幅を小さくした例では、擦過痕がドリ
ル軸方向に長く観察されるが、擦過痕自体は短く、良好
な状態であった。その反対に、本発明例8の1.0mm
の様なマージン幅を大きくした例では、擦過痕がドリル
軸方向に短いものの、マージン部では0.4mm程度ま
で擦過しており、良好な状態であった。比較例9(第2
マージンを設けない例)では、第1マージン部の回転方
向後方部に擦過した跡があり、比較例10(第2マージ
ンを1.5mmとした例)では、200穴程度までは良
いが、加工数が増加するに従い第2マージンの擦過の跡
がマージン幅全体にひろがるようになり、徐々に抵抗が
増えた。
【0022】(実施例3)更に、波状切刃の最初の頂点
と、切刃外周端の距離と波状切刃外周端と先端切刃外周
マージンとのなす角度を変化させ、先の実施例を同じ諸
元で評価した。本発明例12〜15として、波状切刃の
最初の頂点と切刃外周端の距離を0、0.03D〜0.
12D、比較例11として設けない例、比較例16とし
て0.15Dの6試料を製作し、同様に切削試験を行
い、250穴加工し、切刃の状態と切屑形状を観察し、
その結果を表3に併記する。
【0023】
【表3】
【0024】表3より、本発明例12〜15ではチッピ
ングもなく、250穴迄正常に加工出来たが、比較例1
6Dでは切屑が図7のリボン状となり切屑処理が煩雑で
あった。
【0025】(実施例4)次に、図8、符号16に示す
ように波状切刃外周端と先端切刃外周マージンとのなす
角度を本発明例17〜20として、100度、110
度、120度、130度の4例、比較例21、22とし
て95度、135度の2例を製作し、同様に切削試験を
行った。本発明例17〜20では、正常な摩耗を示し、
摩耗と切削トルクとのバランスに優れ、遷移切断型切屑
が生成され、著しい摩耗やチッピングもなく250穴ま
で正常に加工出来た。比較例21では、切れ味は良好で
あるものの切削トルクも小さく図5の遷移切断型切屑を
生成するが、切刃外周端の摩耗の進行が早く、120穴
加工時点で摩耗の進行によるチッピングが発生し、試験
を中止した。又、比較例22では、1穴目より図7のリ
ボン状切屑を生成し切削トルクが上昇したので、10穴
で試験を中止した。
【0026】(実施例5)比較例23として波状切刃の
2つの頂点間の距離を0.20Dの例、本発明例24〜
26として、波状切刃の2つの頂点間の距離を0.25
D、0.30D、0.35D、比較例27として波状切
刃の2つの頂点間の距離を0.40Dの5試料を製作
し、同様に切削試験を行い、10穴加工時点で切屑形状
と刃先の状態を観察した。本発明例24〜26(0.2
5〜0.35D)では、均一な遷移切断型切屑が生成さ
れ、加工中の振動やビビリもなく、継続して250穴迄
加工したが、刃先にチッピングもなく正常な摩耗状態で
あった。また、比較例23(0.2D)では、中心切刃
の押し潰し切屑が切削のカールを阻害して、不均一な遷
移切断型切屑が発生し、切刃の一部に溶着が観られ、比
較例27では、図5の遷移切断切屑を生成するが、加工
中に工具に振動が発生し、切刃の一部にマクロチッピン
グが観察された。
【0027】(実施例6)比較例28として波状切刃の
2つの頂点間の波状の曲率半径を0.20Dの例、本発
明例29〜31として、波状切刃の2つの頂点間の波状
の曲率半径を0.25D、0.30D、0.35D、比
較例32として波状切刃の2つの頂点間の波状の曲率半
径を0.4Dの5試料を製作し、同様に切削試験を行
い、10穴加工時点で切屑形状と刃先の状態を観察し
た。本発明例29〜本発明例31の0.35D迄の3例
では、遷移切断型切屑を生成したが、本発明例32
(0.40D)では、遷移切断型とリボン状切屑の混合
したものであった。又、全試料共、刃先にチッピングや
異常摩耗は観られなかった。更に継続して、150穴迄
加工した時点で、比較例32の0.40D試料の切屑
が、リボン状のみとなり、切屑処理が煩雑になり、この
時点で比較例32の試験を中止した。更に継続して25
0穴迄加工した。比較例28、本発明例29〜31で
は、切屑が遷移切断型であったが、比較例28の切屑に
青黒く、切削熱による変色したものが多く観られ、刃先
を観察すると、波状底部の摩耗が著しく進行していた。
本発明例29〜31では、切屑の変色もなく、刃先も均
等に摩耗が進み、正常摩耗であった。
【0028】
【発明の効果】上記のように、本発明に係る穴明け工具
を用いることにより、高硬度材においても十分な穴明け
加工が波状切刃を設けることにより、切削性と耐チッピ
ング性を兼ねそなえ、切屑処理にすぐれた加工ができ、
第2マージンを設けることにより、穴精度の良い加工が
でき、優れた工具性能を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明例のドリルの正面図を示す。
【図2】図2は、図1の上面図を示す。
【図3】図3は、図1の先端視を示す。
【図4】図4は、図1の切刃外周、切刃マージン部円筒
面の面取り部を示す。
【図5】図5は、本発明例の切屑形態(遷移型)を示
す。
【図6】図6は、従来例の切屑形態(針状)を示す。
【図7】図7は、リボン状切屑形態を示す。
【図8】図8は、図1の軸直角断面図を示す。
【符号の説明】
1 ツイストドリル本体 2 波状切刃 3 波状切刃の頂点(中心側) 4 波状切刃の頂点間の距離 5 波状切刃の曲率半径 6 頂点と外周との距離 7 波状切刃間の距離 8 第1マージン 9 第2マージン 10 マージン巾 11 マージン回転方向後方の面取り部 12 マージン外周円筒部面取り部 13 心厚 14 ねじれ角 15 溝巾比 16 波状切刃外周端と先端切刃外周マージンとのなす
角度

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体にWC基超硬合金を用い、該基体表
    面に硬質皮膜及び/又は潤滑皮膜を被覆してなるツイス
    トドリルにおいて、該ツイストドリルの心厚を0.25
    D〜0.45Dとし、該ドリルの軸端視で先端切刃を切
    刃外周端からドリル中心に向けてドリル回転方向側へ向
    かい2つの頂点をもつ波状切刃を1対、且つ、マージン
    を2対設けたことを特徴とするツイストドリル。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のツイストドリルにおい
    て、該ツイストドリルの回転中心を通り両切刃外周端を
    結んだ直線と直交する垂線を波の頂点にそれぞれ引き、
    その頂点間の距離をドリル直径の0.25〜0.35倍
    とした事を特徴とするツイストドリル。
  3. 【請求項3】 請求項1乃至2記載のツイストドリルに
    おいて、該ツイストドリルの切刃外周端からドリル中心
    に向う波状切刃の最初の頂点までの距離をドリル直径の
    0.03D〜0.12Dとしたことを特徴とするツイス
    トドリル。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3記載のツイストドリルに
    おいて、該波状切刃の2つの頂点間の曲率半径をドリル
    直径の0.25〜0.35倍としたことを特徴とするツ
    イストドリル。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4記載のツイストドリルに
    おいて、該ツイストドリルのねじれ角を15°〜25°
    としたことを特徴とするツイストドリル。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5記載のツイストドリルに
    おいて、該ツイストドリルの溝巾比を40〜55%とし
    たことを特徴とするツイストドリル。
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