JP2002124244A - アルカリ二次電池用セパレータおよびそれを用いたアルカリ二次電池 - Google Patents

アルカリ二次電池用セパレータおよびそれを用いたアルカリ二次電池

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JP2002124244A
JP2002124244A JP2001098032A JP2001098032A JP2002124244A JP 2002124244 A JP2002124244 A JP 2002124244A JP 2001098032 A JP2001098032 A JP 2001098032A JP 2001098032 A JP2001098032 A JP 2001098032A JP 2002124244 A JP2002124244 A JP 2002124244A
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oxide
separator
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alkaline secondary
inorganic oxide
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Shuhei Nagakubo
周平 長久保
Juichi Ino
寿一 猪野
Yoshiyuki Okui
良幸 奥井
Tetsuo Sakai
哲男 境
Nobuhiro Kuriyama
信宏 栗山
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Nippon Sheet Glass Co Ltd
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
Nippon Sheet Glass Co Ltd
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 セパレータに一定の無機酸化物を含有させる
ことにより、その電解液保液性を高め、長期に渡るサイ
クル寿命特性および高温時の充放電特性を向上させたア
ルカリ二次電池を提供する。 【解決手段】 酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸
化マンガン、酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化ニッケ
ル、酸化コバルト、酸化イットリウム、酸化イッテルビ
ウム、酸化亜鉛、酸化バナジウムおよび二酸化ケイ素か
らなる無機酸化物の群より選ばれた少なくとも1種が存
在するアルカリ二次電池用セパレータ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、サイクル寿命特
性および高温での充電特性に優れたアルカリ二次電池用
セパレータ、ならびにそのセパレータを用いたアルカリ
二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の各機械工具の電化、通信機器の小
型携帯化および自動車をはじめとする輸送車両の電動化
に伴い、さらに小型で、かつ、大容量の電池が市場から
求められている。現在、利用形態に適合させた各種の電
池が存在するが、たとえば小型携帯機器には、漏液に対
する安全性や取り扱いの簡便さなどから、密閉型電池が
主に使用されている。また、自動車用蓄電地、電気自動
車用電池または電動工具などには、鉛蓄電地、ニッケル
カドミウム電池またはニッケル水素電池が使用されてい
る。最近では環境問題に対する配慮から、これら電池の
中でもとくに地球に優しいニッケル水素電池が各用途で
採用され始めており、その採用率も日増しに高くなって
きている。ニッケル水素電池は、最近話題のハイブリッ
ド電気自動車に搭載されており、その需要が大きく伸び
るものと予想される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような状況におい
て、電池に求められる性能は高まる一方であり、小型大
容量化、サイクル寿命長期化と共に、50℃以上の高温
環境など過酷な条件下でも十分な性能を発揮しうる性能
が求められている。また、電池の長寿命化および大容量
化の要求はますます大きくなっており、電解液保持性が
高く、かつ、薄い電池セパレータが切望されている。
【0004】一般に電池の使用環境が過酷になると、温
度や充放電の繰り返しによってセパレータの親水性が失
われ、電池特性が低下する。また、充放電サイクル時に
電極板が膨張収縮を繰り返すニッケル水素二次電池にお
いては、セパレータは電極間に位置するため、電極膨張
時には圧縮され、収縮時には引き離される。つまり充放
電によりセパレータは外力を受け、その度に保持する電
解液を正極に徐々に吸い取られる。そして、これが繰り
返され、セパレータが十分な電解液量を保持できなくな
ったときに、その電池は寿命を迎える。電解液保持性能
が低いセパレータは、この電解液の枯渇が容易に起こる
ので、これを使用した電池の寿命は短くなる。
【0005】この問題を解決するため、特開平11−3
15472号公報では、ポリオレフィン系繊維表面に酸
化チタンあるいは酸化ジルコニウムの微粒子を担持させ
ている。この方法によれば、確かにセパレータの保液性
は向上し、サイクル寿命特性も向上するが、それだけで
は近年の非常に厳しい要求性能に応えることはできな
い。
【0006】この発明は、上記のような従来技術に存在
する問題点に着目してなされたものである。その目的と
するところは、セパレータに各種の無機酸化物を存在さ
せることにより、電解液保液性が高く、長期に渡り高い
サイクル寿命特性を維持し続けるアルカリ二次電池用セ
パレータ、ならびにそれを用いたアルカリ二次電池を提
供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の問題を解決するた
めに、請求項1に記載の発明のアルカリ二次電池用セパ
レータは、酸化カルシウム(CaO)、酸化アルミニウム(Al
2O3)、酸化マンガン(MnO,Mn2O3,Mn3O4,MnO2,Mn2O7)、酸
化マグネシウム(MgO)、酸化スズ(SnO,SnO2)、酸化ニッ
ケル(NiO)、酸化コバルト(CoO,Co3O4)、酸化イットリウ
ム(Y2O3)、酸化イッテルビウム(Yb2O3,YbO)、酸化亜鉛
(ZnO)、酸化バナジウムおよび二酸化ケイ素(SiO2)か
らなる群より選ばれた少なくとも1種の無機酸化物が存
在するものである。
【0008】請求項2に記載の発明のアルカリ二次電池
用セパレータは、請求項1に記載の発明において、無機
酸化物の含有率が0.1〜50重量%のものである。
【0009】請求項3に記載の発明のアルカリ二次電池
用セパレータは、請求項1または2に記載の発明におい
て、無機酸化物が平均粒径1nm〜200μmの微粒子で
あるものである。
【0010】請求項4に記載の発明のアルカリ二次電池
セパレータは、請求項1または2に記載の発明におい
て、無機酸化物が二酸化ケイ素(SiO2)であり、かつ、平
均粒径1nm〜20μmの微粒子であるものである。
【0011】請求項5に記載の発明のアルカリ二次電池
用セパレータは、請求項1〜4のいずれか1項に記載の
発明において、無機酸化物が粒子状であり、その粒子が
多孔質を形成するものである。
【0012】請求項6に記載の発明のアルカリ二次電池
は、請求項1〜5のいずれか1項に記載のセパレータを
用いたものである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態につい
て詳細に説明する。
【0014】このアルカリ二次電池は、無機酸化物が存
在するセパレータを用いることにより、その電解液保液
性と長期間に渡るサイクル寿命特性とが向上したもので
ある。ここで「無機酸化物が存在する」とは、セパレー
タ構成材料の表面に無機酸化物の粒子が付着した場合、
その表面に無機酸化物が析出して付着した場合、あるい
は構成材料中に予め無機酸化物が配合された場合をい
う。無機酸化物は、電解液を引き付ける作用が強く、セ
パレータ構成材料の表面に存在することにより、電解液
と接してその付近に電解液を滞在させることができる。
したがって、無機酸化物の存在により、セパレータの表
面付近および内部に電解液が保持され、その電解液保液
性が高くなる。
【0015】また、無機酸化物は、充電時における正極
での酸素ガスの発生を抑制する働きがある。充電時にお
いては、電解液は電気分解される状況におかれるため、
正極では酸素ガスが発生し易い環境になる。しかし、セ
パレータに無機酸化物が存在する場合は、正極での酸素
発生電位が高くなるため、酸素ガスが発生し難い。した
がって、この場合は、充電ロスが生じ難くなり、電池容
量すなわち正極利用利率が高く維持される。また、電解
液が電気分解され難くすなわち枯渇し難くなり、電池寿
命が長くなる。このような無機酸化物の効果について、
その作用機構は明らかではないが、本発明者らは、無機
酸化物が電解液に微量溶出し電極表面に析出して膜を形
成することにより、酸素発生電圧が影響を受けるためで
あると考えている。そして、このような効果は、従来使
用されていた二酸化チタンや酸化ジルコニウムのよりも
この発明の無機酸化物の方が高い。これは、本発明者ら
の数多くの実験により、初めて見出された知見である。
【0016】さらに、これらの無機酸化物の中でも二酸
化ケイ素(SiO2)を用いた場合に、セパレータの電解液保
液性が著しく向上する。その理由は必ずしも明らかでは
ないが、本発明者らは、二酸化ケイ素は電解液中に溶出
すると、電解液の粘性を向上させて、セパレータ中に滞
留し易くさせるからではないかと推測している。
【0017】さらに、無機酸化物は、セパレータの構成
材料が親水性処理たとえばスルホン化処理などされてい
る場合に、その電極と接する部分の親水性の劣化を防止
する。セパレータの電極と接する部分では、電極反応に
伴う熱により親水基(水酸基やスルホ基など)が熱振動で
外れたり、電極と接しない側に反転することが知られて
いる。無機酸化物がセパレータに存在する場合は、前記
部分に無機酸化物の保護膜が形成されるため、上述の熱
による親水性の劣化が効果的に抑制される。また、この
保護膜は、セパレータの構成材料自身が酸化還元作用に
より経時性能劣化することをも抑制する。したがって、
無機酸化物は、セパレータの全体に均一に存在すること
が好ましいが、少なくとも電極と接する部分に存在すれ
ば、上記効果が発揮される。
【0018】無機酸化物は、酸化カルシウム、酸化アル
ミニウム、酸化マンガン、酸化マグネシウム、酸化ス
ズ、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化イットリウム、
酸化イッテルビウム、酸化亜鉛、酸化バナジウムおよび
二酸化ケイ素からなる群より選ばれた少なくとも1種で
あり、これらは親水性や耐酸化性が二酸化チタンや酸化
ジルコニウムよりも高い。なお、酸化バナジウムは、現
在確認されている15種すべてが利用可能である。これ
ら無機酸化物は、単独で使用されても十分に上述の効果
を発揮しうるが、2種類以上が併用されてもよい。これ
らの中でも、酸化カルシウムと酸化アルミニウムが製造
コストおよび取り扱い性の点で優れている。
【0019】セパレータの構成材料は、とくに限定され
るものではなく、従来から使用されている各種有機繊維
の不織布または織布、あるいはシリカ粉体などが利用可
能である。とくに、ポリアミドやポリオレフィンなどを
含有する不織布は、加熱処理などにより構成繊維同士が
接着されるため圧縮強度が高く、電極との密着性に優れ
る点で好ましい。また、比較的容易に表面処理ができる
ことから、親水性を容易に高めることができる点で好ま
しい。たとえば、ポリオレフィン系繊維の不織布は、乾
式や湿式抄紙法など公知の方法により成形され、また成
形の際に分割繊維を混合されてもよい。自己放電特性な
どを考慮する場合は、セパレータにはスルホン化処理や
アクリル酸をグラフト重合したものが好ましい。
【0020】セパレータにおける無機酸化物の含有率
は、0.1〜50重量%が好ましく、さらには1〜20
重量%が好適である。この含有率が0.1重量%未満の
場合は、無機酸化物の絶対量が不足し、上述の効果が発
揮され難くなる。一方、50重量%を越えると、セパレ
ータの骨格となるべき構成材料が不足し、その圧縮強度
が不足し易くなる。また、電解液の分布密度が不均一に
なり易く、電極での酸化還元反応が阻害され易くなる。
さらに無機酸化物がセパレータ内の隙間を埋めてしま
い、ガス通気性が低下するおそれもある。また、無機酸
化物が二酸化ケイ素の場合にその含有率が50重量%を
越えると、電解液の粘性が上がりすぎ、抵抗が高くなっ
て電池特性が低下するおそれがある。
【0021】セパレータに無機酸化物を存在させる方法
は、とくに限定されるものではないが、簡便な手段で低
廉に製造できる構成材料の表面に粒子を付着させる方法
が好ましい。この場合、無機酸化物は粒径の比較的大き
な粉体でもよいが、粒径の小さな微粒子を使用すると、
微粒子同士が凝集して構成材料の表面に多孔質層が形成
される。多孔質層は、その内部に電解液を保持できるこ
とから、正極が電解液を吸収することを抑制し、セパレ
ータの電解液保液性をさらに高めることができる。その
結果、アルカリ二次電池の内部抵抗が低くなり、サイク
ル寿命が長くなる。なお、多孔質層の剥離や破壊を防止
するため、接着剤を使用してもよい。
【0022】無機酸化物が粒子状の場合、その平均粒径
は1nm〜200μmであることが好ましい。その平均粒
径が1nm未満の場合は、微粒子の凝集力が強すぎて、溶
液中に微粒子が均一分散し難くなり、懸濁液の安定性が
低下する。そのため、浸漬法によりセパレータ構成材料
の表面に均一に無機酸化物の微粒子を付着させることが
困難になり、またスプレーコート法の場合にはノズル詰
まりが発生し易くなる。一方、その平均粒径が200μ
mより大きくなると、粒子が構成材料の表面から剥離し
易くなり、アルカリ二次電池のサイクル寿命が延長され
難くなる。ただし、微粒子が二酸化ケイ素(SiO2)である
場合は、その平均粒径は1nm〜20μmであることが好
ましい。前述したように二酸化ケイ素(SiO2)は若干溶解
することで電解液の粘性を向上させるため、20μmを
越えると不織布の空隙を塞ぎ易くなり、ガスの透過が困
難になる結果、電池特性、とくに過充電時の特性劣化を
招き易いからである。
【0023】無機酸化物の粒子をセパレータ構成材料の
表面に付着させる方法は、とくに限定されるものではな
く、無機酸化物の懸濁液に構成材料を浸し、乾燥、定着
させる浸漬法や、構成材料に懸濁液を吹き付け、乾燥、
定着させるスプレーコート法など公知の方法が利用でき
る。また、浸漬法では、無機酸化物を抄紙懸濁液に配合
することにより、セパレータの成形と無機酸化物の付着
とを同時に行うことができる。浸漬法によれば、簡便な
装置を用いて容易に無機酸化物の粒子をセパレータ全体
に均一に存在させることができる。さらに、懸濁液の濃
度と浸漬時間を調整することにより、無機酸化物の付着
量を容易に調整でき、また多孔質層を成形することもで
きる。一方、スプレーコート法では、懸濁液の濃度など
を適宜調整することにより、無機酸化物の粒子をセパレ
ータの表面に局所的に付着させることができる。したが
って、圧縮強度やガス透過率などの設計上の都合によ
り、無機酸化物の粒子をセパレータの表面すなわち電極
に接する部分にだけ存在させたい場合には、スプレーコ
ート法が有効である。
【0024】このセパレータを用いたアルカリ二次電池
は、サイクル寿命が長くなり、高温環境での充電効率が
大きく向上する。したがって、高温環境下で大電流を必
要とする用途、たとえば電動工具や電気自動車などに適
したものである。
【0025】
【実施例】以下、実施例および比較例により、この発明
をさらに具体的に説明する。ただし、以下の実施例に限
定されるものではない。
【0026】[実施例1]ポリプロピレンが芯部、ポリ
エチレンが鞘部で構成される12μm径の芯鞘複合繊維
を用いて、抄紙法により不織布を成形した。この不織布
を数枚重ねて表面温度120℃のカレンダーロールに通
して接着成形し、厚さ100〜200μmの積層不織布
を製造した。また、二酸化ケイ素の微粒子(平均粒径:
20nm)を2−プロパノール溶液に投入し、均一分散す
るよう激しく撹拌して、濃度30g/Lの懸濁液を得た。
この懸濁液を浸漬槽に入れ、その後30分以内に前記積
層不織布を浸漬し、二酸化ケイ素の微粒子をその繊維表
面に付着させた。そして、常温エアーを吹き付けて乾燥
させることにより、二酸化ケイ素の含有率が6重量%の
セパレータAを得た。このセパレータAの表面を走査型
電子顕微鏡で観察したところ、構成繊維の表面に二酸化
ケイ素の微粒子からなる多孔質層が形成されていること
が確認された。
【0027】[実施例2]無機酸化物として酸化カルシ
ウムの微粒子(平均粒径:20nm)を用いる以外は実施例
1と同様にして、セパレータBを製造した。セパレータ
Bの酸化カルシウムの含有率は6重量%であり、その構
成繊維の表面には、酸化カルシウムの微粒子からなる多
孔質層が形成されていた。
【0028】[実施例3]無機酸化物として酸化アルミ
ニウムの微粒子(平均粒径:20nm)を用いる以外は実施
例1と同様にして、セパレータCを製造した。セパレー
タCの酸化アルミニウムの含有率は6重量%であり、そ
の構成繊維の表面には酸化アルミニウムの微粒子からな
る多孔質層が形成されていた。
【0029】[比較例1]無機酸化物を用いない以外は
実施例1と全く同様の方法で、無機酸化物が存在しない
セパレータDを作製した。
【0030】[比較例2]無機酸化物として二酸化チタ
ン(平均粒径:20nm)を用いる以外は実施例1と同様に
して、セパレータEを製造した。セパレータEの二酸化
チタンの含有率は6重量%であり、その構成繊維の表面
には二酸化チタンの微粒子からなる多孔質層が形成され
ていた。
【0031】(評価用密閉型電池の作製)上記セパレー
タA〜Eを用いて、下記の方法により密閉型ニッケル水
素電池を作製した。導電材としてオキシ水酸化コバルト
をコーティングした水酸化ニッケル粉末に増粘剤を少量
添加して混合撹拌しペースト状とした。このペーストを
発泡ニッケルに充填し乾燥させた後プレス成形して作製
したニッケル極を正極とした。MmNi3.6Co0.7Mn0.3Al0.4
(Mm:ミッシュメタル)で示される組成の合金粉末に導電
補助剤としてNi粉末を加えた後、増粘剤を少量添加して
混合撹拌しペースト状とした。これを発泡ニッケルに充
填し、乾燥後プレス成形して作製した水素吸蔵合金電極
を負極とした。また、さらに上記で作製した正極および
負極を所定のサイズにカットし、これを試験用電極とし
た。上記正・負極およびセパレータを、正・負極間にセ
パレータが配置されるように同心円状に巻回した。その
後電池缶に投入し、電解液として30重量%水酸化カリ
ウム水溶液6gを注入することにより公称容量2000
mAhのサブCサイズの密閉型ニッケル水素電池を作製し
た。なお、缶に投入した負極容量は正極容量に対して
1.5倍としているので、この電池の充電および放電
は、共に正極の容量で規制される。
【0032】(電池評価)まず、20℃雰囲気下におい
て、上記各電池を最初に0.05CmAで60%充電した
後、0.05CmAで電池電圧が0.8Vになるまで放電
し、再び0.05CmAで110%まで充電した後、0.
05CmAで0.8Vまで放電を行う化成処理を行った。
ここでCmAとは、「1/n」で表される数値がn時間で
電池容量を完全に充電または放電する電流値であること
を示す。したがって、0.05CmAは、20時間で電池
容量を完全に充電または放電する電流値であることを示
す。つぎに、セパレータA〜Eを用いた化成処理済みの
電池について、以下の条件でサイクル寿命特性を調べ
た。20℃雰囲気下において、1CmAで110%充電し
た後、1CmAで電池電圧が0.8Vに低下するまで放電
する充放電を繰り返し、各サイクルごとに正極利用率を
求めた。その結果を「図1」に示す。正極利用率は、放
電時に電池電圧が0.8Vに低下するまでの時間から放
電容量を求め、この放電容量を公称容量で割ることで算
出した。
【0033】図1から明らかなように、セパレータA〜
CおよびEを用いた電池は、セパレータDを用いた電池
と比較してサイクル経過後の正極利用率が高かった。セ
パレータA〜Eは、いずれも同じ不織布を用いたもので
あるから、セパレータに上記微粒子が存在することで、
電解液の保液性が向上し、サイクル寿命が延びることが
判る。
【0034】また、セパレータA〜Cを用いた電池は、
セパレータEを用いた電池よりもサイクル寿命が延び
た。これらはいずれも同じ積層不織布を用いたセパレー
タであるから、セパレータにこの発明の無機酸化物が存
在することで、セパレータの電解液保液性が特異的に高
くなり、電池のサイクル寿命が効果的に改善されること
が判る。
【0035】つづいて、セパレータA〜Eを用いた電池
を上記同様の手段により別途製造し、上述の化成処理を
施した後、以下の条件でその高温充放電特性を調べた。
まず、20℃雰囲気下において、0.25CmAで110
%まで充電した後、0.25CmAで電池電圧が0.8V
に低下するまで放電する充放電を5サイクル繰り返し
た。つぎに、雰囲気温度を50℃に変更して、再度0.
25CmAで110%充電した後、0.25CmAで電池電圧
が0.8Vに低下するまで放電する充放電を5サイクル
繰り返した。20℃における充電時の電圧−時間曲線を
「図2」に、50℃における充電時の電圧−時間曲線を
「図3」にそれぞれ示す。これらの電圧−時間曲線は、
分かり易くするため、電圧範囲を拡大して示している。
また、各セパレータを用いた電池の、20℃および50
℃における平均の正極利用率を下記「表1」に示す。
【0036】
【表1】 ============================ 5サイクルの平均正極利用率(%) (セパレータ) (20℃) (50℃) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− セパレータA 100 74 (二酸化ケイ素) セパレータB 98 79 (酸化カルシウム) セパレータC 97 74 (酸化アルミニウム) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− セパレータD 97 59 (なし) セパレータE 97 70 (酸化チタン) ============================
【0037】図2に関して、矢印Aの領域が水酸化ニッ
ケルの充電領域であり、充電反応終了後もさらに通電し
続ける(過充電)と電解液の分解が始まる(矢印B領域)。
この時、正極では酸素が、負極では水素が発生する。無
機酸化物が存在しないセパレータDと比較して、セパレ
ータA〜CおよびEを使用した場合は、正極における酸
素発生電圧のピークが高くなっている。したがって、こ
の発明の無機酸化物または二酸化チタンの微粒子がセパ
レータに存在すると、過充電時を除く充電時には酸素ガ
スが発生せず、充電ロスが生じないことが判る。すなわ
ち、この場合は、正極利用率が高く維持され、かつ、充
放電を繰り返し行っても電解液の枯渇が生じ難く、電池
のサイクル寿命が長くなる。とくに、セパレータBを使
用した電池は、セパレータEを使用した電池より酸素発
生電圧が常に高く、より効果的に前記機能が発揮される
ことが判る。
【0038】また、図2と図3を対比することにより、
電池の使用環境温度が高くなると、過充電時における正
極での酸素発生電圧が低下することが判る。しかし、セ
パレータBおよびCを用いた電池では、高温環境下でも
酸素発生電圧が高く維持される。したがって、セパレー
タBおよびCを用いた電池は、高温環境下での使用に適
したものであるといえる。なお、50℃環境下において
は、セパレータDを用いた電池の酸素発生電圧が充電電
圧とほとんど同じになっている。この状態では、通常の
充電で酸素ガスが発生するため、正極での充電受け入れ
性が著しく低下してほとんど充電できない。
【0039】
【発明の効果】この発明は、以上のように構成されてい
るため、つぎのような効果を奏する。
【0040】請求項1に記載の発明によれば、セパレー
タ内部および/または表面に無機酸化物が存在するの
で、充放電を繰り返した後もその内部および表面に十分
な電解液を保持するアルカリ二次電池用セパレータを提
供することができる。
【0041】請求項2に記載の発明によれば、請求項1
の発明の効果に加えて、無機酸化物の含有率が0.1〜
50重量%であるので、セパレータとして要求される圧
縮強度などの性能を充たしつつ、その電解液保液性を確
実に高めることができる。
【0042】請求項3に記載の発明によれば、請求項1
または2の発明の効果に加えて、無機酸化物が平均粒径
1nm〜200μmの微粒子であるので、無機酸化物が均
一に存在するアルカリ二次電池用セパレータを提供する
ことができる。
【0043】請求項4に記載の発明によれば、請求項1
または2の発明の効果に加えて、無機酸化物が二酸化ケ
イ素であり、かつ、平均粒径1nm〜20μmの微粒子で
あるので、ガス通気性の高いアルカリ二次電池セパレー
タを提供することができる。
【0044】請求項5に記載の発明によれば、請求項1
〜4の発明の効果に加えて、無機酸化物が粒子状であ
り、その粒子が多孔質を形成するので、電解液保液性の
極めて高いアルカリ二次電池用セパレータを提供するこ
とができる。
【0045】請求項6に記載の発明によれば、請求項1
〜5に記載のセパレータを用いるので、サイクル寿命が
長く、かつ、高温充放電特性に優れたアルカリ二次電池
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例および比較例で製造した電池の正極利用
率と充放電サイクル数との関係を示した図である。
【図2】20℃環境下において実施例および比較例で製
造した電池を充放電させた場合の電池電圧と経過時間と
の関係を示した図である。
【図3】50℃環境下において実施例および比較例で製
造した電池を充放電させた場合の電池電圧と経過時間と
の関係を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 猪野 寿一 大阪府大阪市中央区北浜四丁目7番28号 日本板硝子株式会社内 (72)発明者 奥井 良幸 大阪府大阪市中央区北浜四丁目7番28号 日本板硝子株式会社内 (72)発明者 境 哲男 大阪府池田市緑丘1丁目8番31号 経済産 業省産業技術総合研究所大阪工業技術研究 所内 (72)発明者 栗山 信宏 大阪府池田市緑丘1丁目8番31号 経済産 業省産業技術総合研究所大阪工業技術研究 所内 Fターム(参考) 5H021 CC03 EE22 HH01 HH03 5H028 AA08 EE05 HH01 HH05

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化カルシウム(CaO)、酸化アルミニウ
    ム(Al2O3)、酸化マンガン(MnO,Mn2O3,Mn3O4,MnO2,Mn
    2O7)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化スズ(SnO,SnO2)、
    酸化ニッケル(NiO)、酸化コバルト(CoO,Co3O4)、酸化イ
    ットリウム(Y2O3)、酸化イッテルビウム(Yb2O3,YbO)、
    酸化亜鉛(ZnO)、酸化バナジウムおよび二酸化ケイ素(S
    iO2)からなる群より選ばれた少なくとも1種の無機酸
    化物が存在するアルカリ二次電池用セパレータ。
  2. 【請求項2】 上記無機酸化物の含有率が0.1〜50
    重量%である請求項1に記載のアルカリ二次電池用セパ
    レータ。
  3. 【請求項3】 上記無機酸化物が平均粒径1nm〜200
    μmの微粒子である請求項1または2に記載のアルカリ
    二次電池用セパレータ。
  4. 【請求項4】 上記無機酸化物は、二酸化ケイ素(SiO2)
    であり、かつ、平均粒径1nm〜20μmの微粒子である
    請求項1または2に記載のアルカリ二次電池セパレー
    タ。
  5. 【請求項5】 上記無機酸化物が粒子状であり、その粒
    子が多孔質を形成する請求項1〜4のいずれか1項に記
    載のアルカリ二次電池用セパレータ。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載のセ
    パレータを用いたアルカリ二次電池。
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