JP2002121627A - 酸化クロム含有ダストの加熱炉での処理方法 - Google Patents

酸化クロム含有ダストの加熱炉での処理方法

Info

Publication number
JP2002121627A
JP2002121627A JP2000312349A JP2000312349A JP2002121627A JP 2002121627 A JP2002121627 A JP 2002121627A JP 2000312349 A JP2000312349 A JP 2000312349A JP 2000312349 A JP2000312349 A JP 2000312349A JP 2002121627 A JP2002121627 A JP 2002121627A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
chromium oxide
mixture
containing dust
heating furnace
slag
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2000312349A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4636666B2 (ja
Inventor
Hiromichi Takei
博道 武居
Saburo Sato
三郎 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Astec Irie Co Ltd
Original Assignee
Astec Irie Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Astec Irie Co Ltd filed Critical Astec Irie Co Ltd
Priority to JP2000312349A priority Critical patent/JP4636666B2/ja
Publication of JP2002121627A publication Critical patent/JP2002121627A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4636666B2 publication Critical patent/JP4636666B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling

Landscapes

  • Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 製鉄プロセス中の各種精錬炉から排出される
酸化クロム含有ダストから、金属クロムをクロム含有溶
銑として回収すると共に発生する最終スラグ中のクロム
含有量を1重量%以下の環境に無害なレベルまで低減す
ることが可能な酸化クロム含有ダストの加熱炉での処理
方法を提供する。 【解決手段】 酸化クロム含有ダストと炭材と造滓剤と
を主体とする混合物を、雰囲気温度が1300℃以上で
かつ1700℃以下に制御された加熱炉11中に連続的
に投入し、混合物中の酸化クロム含有ダストを溶融さ
せ、混合物中の炭材により還元して、金属クロムを含有
する溶銑22を生成させ、更に生成する最終スラグ中の
酸化クロムの含有量を1重量%以下にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化クロム含有ダ
ストからクロム含有溶銑を回収すると共に、生成する最
終スラグ中の酸化クロム含有量を環境に無害なレベルま
で低減することが可能な酸化クロム含有ダストの加熱炉
での処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、酸化クロム含有ダストは加熱炉で
還元され、得られた金属クロムはフェロクロムとして回
収されていた。しかし、酸化クロム含有ダストの還元反
応を効率的に進行させるためには加熱炉内を1600℃
以上の高温に保持する必要があり、加熱のための燃料費
の増大、生成したスラグによる加熱炉の内張り用耐火物
の溶損等のために、経済的に見合う処理方法とはなって
いなかった。そのため、例えば、ステンレス鋼精錬炉等
から排出される酸化クロム含有ダストは、その大半が埋
立て処分されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、酸化ク
ロム含有ダストをそのまま埋立て処分場に廃棄すると時
間の経過と共に酸化クロム含有ダストから6価クロムが
溶出するおそれがある。そのため、埋立て処分する場合
には、酸化クロム含有ダストから6価クロムが溶出する
のを防止するための酸化クロムの溶出防止処理を行う必
要があり、処理費の発生により埋立て処分に伴う経済的
負担が大きくなるという問題があった。また、資源の有
効活用の一環として、廃棄物のリサイクルによる資源化
を進める観点からも、現状の埋立て処分法を継続するこ
とには問題が生じる。本発明はかかる事情に鑑みてなさ
れたもので、製鉄プロセス中の各種精錬炉から排出され
る酸化クロム含有ダストから、金属クロムをクロム含有
溶銑として回収すると共に発生する最終スラグ中のクロ
ム含有量を1重量%以下の環境に無害なレベルまで低減
することが可能な酸化クロム含有ダストの加熱炉での処
理方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記目的に沿う本発明に
係る酸化クロム含有ダストの加熱炉での処理方法は、製
鉄プロセス中の各種精錬炉から発生する酸化クロム含有
ダストを加熱炉で処理する酸化クロム含有ダストの処理
方法において、前記酸化クロム含有ダストと炭材と造滓
剤とを主体とする混合物を、雰囲気温度が1300℃以
上でかつ1700℃以下に制御された前記加熱炉中に連
続的に投入し、前記混合物中の前記酸化クロム含有ダス
トを溶融させ、前記混合物中の炭材により還元して、金
属クロムを含有する溶銑を生成させ、更に生成する最終
スラグ中の酸化クロムの含有量を1重量%以下にする。
混合物中の酸化クロム含有ダストを溶融させて、酸化ク
ロム含有ダスト中の酸化クロムと酸化鉄を混合物中の炭
材によりそれぞれ直接還元するので、効率的に酸化クロ
ム含有ダストを金属クロムと金属鉄にそれぞれ転換しな
がらクロム含有溶銑を得ることができる。また、得られ
た金属クロムは溶融した金属鉄、すなわち溶銑中に溶け
込むため、クロム含有溶銑として金属クロムの融点より
低い温度で回収することができる。ここで、雰囲気温度
を1300℃以上でかつ1700℃以下と規定したの
は、1300℃未満では酸化クロム含有ダストを溶融さ
せて効率的に還元を行うことが不可能なためであり、1
700℃を超えると還元の際に発生するスラグによる加
熱炉の内張り用耐火物の溶損が激しくなり、加熱炉の耐
用寿命が極端に短くなるためである。
【0005】本発明に係る酸化クロム含有ダストの加熱
炉での処理方法において、前記混合物中の酸化クロム含
有ダストを前記混合物中の炭材で還元するとき、前記混
合物中の造滓剤の組成調整により、生成する前記最終ス
ラグの成分を下記(1)〜(3)として、該最終スラグ
が実質的に1300℃で排滓性を確保すると同時に、耐
火物に対して保護層を形成することが好ましい。 (1)MgO+Al23 <23重量% (2)CaO/SiO2 <1.7 (3)FeO<3重量% 最終スラグの成分が上記(1)〜(3)の条件を満たす
ように制御することにより、生成するスラグの液相割合
(液相率)を実質的に1300℃で60〜90%とする
ことができる。スラグの液相率が60〜90%の場合、
スラグは半溶融の状態となり、スラグの流動性を利用し
てスラグを加熱炉から容易に排出させることが可能とな
る。また、スラグが半溶融の状態であるため、スラグを
加熱炉の内張り用耐火物の表面に付着させることがで
き、付着層を耐火物の保護層として作用させることがで
きる。ここで、実質的に1300℃と規定したには、温
度が1300℃未満では、酸化クロム含有ダストを溶融
させて効率的に還元を行うことが不可能なためである。
【0006】本発明に係る酸化クロム含有ダストの加熱
炉での処理方法において、前記混合物中の炭材量の調整
により、生成する前記最終スラグ中の炭材含有量を少な
くとも15重量%確保して、前記混合物中の酸化クロム
含有ダストの還元を安定的に進行させることが好まし
い。酸化クロム含有ダストを還元する際の炭材の作用
は、炭材が燃焼して発生したCOによる還元作用と、酸
化クロム含有ダストの還元により生成した金属クロムを
含有する溶銑(フェロクロム)中に炭材が溶け込んで形
成されている溶銑中の炭素(Fe3 C状態としてのC)
による還元作用とに分類できる。COによる還元は主に
固相状態の酸化クロム含有ダストが対象となるのに対し
て、溶銑中の炭素による還元は主に液相状態の酸化クロ
ム含有ダストが対象となり還元反応速度も大きく、還元
反応の主体となっている。溶銑中の炭素による還元が進
行すると溶銑中の炭素は徐々に消費され、炭素量の減少
に伴い還元反応速度は徐々に低下する。従って、溶銑中
の炭素による還元反応速度を一定のレベルに維持するた
めには、還元反応により消費された溶銑中の炭素分を連
続的に供給して、溶銑中の炭素量を所定のレベルに維持
しておく必要がある。加熱炉内ではスラグは比重差のた
め常に溶銑の上に浮遊しており、この浮遊スラグ中には
炭材が懸濁している。酸化クロム含有ダストの還元反応
が完了して最終的に生成する最終スラグ中に少なくとも
炭材が15重量%含有されるように混合物を加熱炉に投
入する段階で炭材量を制御しておくと、加熱炉の雰囲気
が酸化雰囲気となるのを防止して、酸化クロムの還元に
より生成した金属クロムが、再度酸化クロムに変化する
のを抑止してスラグ中の酸化クロム含有率を1重量%以
下にできる。更に、最終スラグ中に少なくとも炭材が1
5重量%含有されるように混合物を加熱炉に投入する段
階で炭材量を制御しておくと、酸化クロム含有ダストが
還元されて溶銑中の炭素量が低下した場合、上部に浮遊
するスラグ中の懸濁状態の炭材を溶銑中に移動させるこ
とができる。このため、常に溶銑中の炭素含有量を所定
量、例えば、飽和状態量に保持することができる。更
に、スラグ中に炭材が少なくとも15重量%存在する
と、スロッピングの防止も可能になる。
【0007】本発明に係る酸化クロム含有ダストの加熱
炉での処理方法において、前記混合物中の炭材は粒度調
整された複数の炭材を組み合わせて粒度構成されている
ことが好ましい。酸化クロム含有ダストの還元反応を促
進させるためには、加熱炉内の混合物の流動性を確保し
て均一に加熱すると共に、加熱炉内壁への混合物の付着
を防止する必要がある。そのためには、混合物中に粒径
の大きな粒子を存在させる必要がある。酸化クロム含有
ダスト、炭材、造滓剤より混合物を調整する場合、酸化
クロム含有ダストは精錬炉から発生するダストであるた
め、粒径は小さい。また、造滓剤はスラグを生成するた
めの反応性を確保するため、粒径を小さくすることが好
ましい。このため、粒径が大きくても酸化クロム含有ダ
ストの還元反応に大きく影響しにくい炭材の粒径を調整
することにした。
【0008】本発明に係る酸化クロム含有ダストの加熱
炉での処理方法において、前記加熱炉中に投入された前
記混合物の温度が1300℃に達するまで、少なくとも
80℃/分の昇温速度で加熱するのが好ましい。混合物
を80℃/分未満の昇温速度で1300℃まで加熱する
と、混合物が溶融するまで還元雰囲気に晒される時間が
長くなり、酸化クロム含有ダスト中のFe 23 がFe
Oに変化し易く、混合物中に低融点のフェヤライト(2
FeO・SiO)を生成して、加熱炉内壁に混合物が付
着する現象が発生する。また、酸化クロム含有ダストへ
の浸炭に時間がかかり、しかも還元された固体鉄がスラ
グ中に存在してスラグの見掛けの融点を下げ、加熱炉内
壁に付着する現象が発生する。このため、混合物を少な
くとも80℃/分の昇温速度で加熱し、混合物を急速に
加熱溶融させて、未溶融状態の混合物が還元雰囲気中に
長く晒されないようにする必要がある。混合物が急速に
加熱溶融されると、酸化クロム含有ダスト中のFe2
3 からのFeOの生成を極力防止することができ、混合
物中に低融点のフェヤライト(2FeO・SiO)の生
成が減少して、加熱炉内壁に混合物が付着するのを防止
することができる。また、浸炭速度も速く低融点の炭素
飽和の溶鉄が得られる。
【0009】本発明に係る酸化クロム含有ダストの加熱
炉での処理方法において、前記加熱炉中に投入された前
記混合物の温度が1300℃に達すると、前記加熱炉内
の雰囲気中のCO/(CO+CO2 )が0.4以上とな
るように、前記加熱炉に設けられた加熱装置に供給する
酸素量を調整して加熱するのが好ましい。加熱装置に供
給する酸素量を理論酸素量未満にすることにより、燃料
が燃焼して生成する加熱炉内の雰囲気中のCOとCO2
との量比を、例えば、CO/(CO+CO2 )換算で
0.4以上とすることができる。加熱炉内の雰囲気中の
CO/(CO+CO2 )を0.4以上にすることによ
り、加熱炉内の雰囲気を還元性雰囲気に維持することが
できる。
【0010】
【発明の実施の形態】続いて、添付した図面を参照しつ
つ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発
明の理解に供する。ここに、図1は本発明の一実施の形
態に係る酸化クロム含有ダストの加熱炉での処理方法に
適用された酸化クロム含有ダストの処理設備の一例であ
るロータリーキルン式処理設備の概念構成図、図2は最
終スラグ中のコークス含有率と最終スラグ中の酸化クロ
ム含有率との関係を示すグラフである。図1に示すよう
に、本発明の一実施の形態に係る酸化クロム含有ダスト
の加熱炉での処理方法に適用されたロータリーキルン式
処理設備10は、酸化クロム含有ダスト、炭材、及び造
滓剤を主体とする混合物が連続的に投入され還元反応が
生じる加熱炉の一例であるロータリーキルン11と、製
鉄プロセス中の各種精錬炉から発生する酸化クロム含有
ダストの一例であるステンレス鋼精錬炉ダストを貯蔵す
る定量排出機能を備えたホッパー12と、炭材の一例で
あるコークスを貯蔵する定量排出機能を備えたホッパー
13と、造滓材を貯蔵する定量排出機能を備えたホッパ
ー14と、各ホッパー12、13、14から連絡管15
を経由して供給される所定量のステンレス鋼精錬炉ダス
ト、コークス、及び造滓材を混合して混合物を調整する
混合物調整装置16と、調整された混合物をロータリー
キルン11に輸送する輸送管17と、ロータリーキルン
11の出口18側に設けられた加熱装置の一例であるL
PG酸素バーナー19と、コークス燃焼用の酸素を供給
するためのロータリーキルン11の入口20側に設けら
れた酸素ガス供給ランス26とを有している。以下、こ
れらについて詳細に説明する。
【0011】混合物中のステンレス鋼精錬炉ダストが加
熱され溶融してコークスによる還元が進行するロータリ
ーキルン11は、混合物調整装置16から輸送管17を
経由して混合物が直接投入されるロータリーキルン11
の入口20側からロータリーキルン11の出口18側に
向けて下方に傾斜して、図示しない回転装置によりロー
タリーキルン11の中心軸に対して一定の回転速度で、
例えば毎分0.1〜0.5回転の回転速度で回転してい
る。ロータリーキルン11に直接投入された混合物は、
ロータリーキルン11の回転に伴い転動しながら入口2
0側から出口18側に徐々に進行し、その際、ロータリ
ーキルン11の出口18側に設けられたLPG酸素バー
ナー19によって加熱され、更にロータリーキルン11
の入口20側に設けられた酸素ガス供給ランス26から
供給された酸素により混合物中の一部のコークスが燃焼
してそのとき発生した燃焼熱、ロータリーキルン11の
内張り用耐火物21の輻射熱も加わり、混合物中のステ
ンレス鋼精錬炉ダストは急速加熱されて溶融する。溶融
したステンレス鋼精錬炉ダストは、混合物中の燃焼せず
に残留しているコークスにより還元されて、ステンレス
鋼精錬炉ダスト中の酸化クロムは金属クロムに、ステン
レス鋼精錬炉ダスト中の酸化鉄は金属鉄、すなわち溶銑
22にそれぞれ転換し、更に金属クロムは溶銑22中に
取り込まれる。また、ステンレス鋼精錬炉ダスト中の酸
化クロムと酸化鉄以外の残留物と造滓剤はスラグ23を
形成し、スラグ23は比重の差により溶銑22の上に存
在する。
【0012】ロータリーキルン11内では、入口20側
から出口18側に向けて雰囲気の温度が上昇する温度勾
配と雰囲気中の酸素濃度が低下する酸素濃度勾配が生じ
ているので、ステンレス鋼精錬炉ダストはロータリーキ
ルン11内を進むにつれて溶融還元反応が徐々に進行し
て行き、出口18側に向かうにつれて溶銑22中の金属
クロム含有量は増加し、生成したスラグ23組成は酸化
クロムの還元が終了した際に生成する最終スラグの組成
に近づいて行く。なお、ロータリーキルン11の出口1
8側には堰24が設けられているため、ロータリーキル
ン11内にはステンレス鋼精錬炉ダストから還元反応に
より生成した金属クロムを含有した溶銑22と溶銑22
の上に浮遊しているスラグ23を常に一定量存在させる
ことができる。
【0013】ステンレス鋼精錬炉ダストの還元反応が進
行してロータリーキルン11内の溶銑22の量が増加し
堰24による保有可能量を超えると、過剰の溶銑22は
堰24をオーバーフローしてロータリーキルン11の出
口18から排出される。この際、溶銑22の上に浮遊し
ているスラグ23も同時に排出される。排出されるスラ
グ23はロータリーキルン11の出口18側のスラグで
あるため、ステンレス鋼精錬炉ダスト中の酸化クロムの
還元が終了した際に生成する最終スラグの組成を有して
いる。また、ロータリーキルン11の入口20側には、
ステンレス鋼精錬炉ダストを含んだ混合物を溶融還元す
る際に発生する排ガスを排出するための排気管25が設
けられている。排ガスは、LPG酸素バーナー19によ
る燃焼ガス、ステンレス鋼精錬炉ダスト中の酸化鉄や酸
化クロムの還元により発生した二酸化炭素、一酸化炭素
等が含まれており、排気管25を出た排ガスは図示しな
い排ガス処理装置へ送られ、ここで一酸化炭素等の未燃
焼ガスは完全燃焼されて、大気中に放出される。
【0014】次に、本発明の一実施の形態に係る酸化ク
ロム含有ダストの加熱炉での処理方法について詳細に説
明する。始めに、LPG酸素バーナー19でロータリー
キルン11内の雰囲気を1300℃以上でかつ1700
℃以下の範囲で設定した所定温度に加熱しておき、ステ
ンレス鋼精錬炉ダスト、コークス、造滓剤の各所定量を
ホッパー12、13、14から連絡管15を経由して混
合物調整装置16に供給し、混合物の状態にしたものを
輸送管17を用いてロータリーキルン11の入口20か
ら連続的に投入する。ここで、ステンレス鋼精錬炉ダス
トの還元処理を行う前に、ステンレス鋼精錬炉ダストの
成分の定量分析を予め行っておく必要がある。得られた
定量分析結果に基づいて、必要な炭材量、必要な造滓剤
の種類と量が具体的に決定される。
【0015】先ず、必要なコークス量の算出について説
明する。ステンレス鋼精錬炉ダストが溶融還元されて金
属クロムを含有した溶銑22となり、その際に発生する
最終スラグ中の酸化クロムの含有量が1重量%以下とな
る場合、コークスの用途は、1)ステンレス鋼精錬炉ダ
ストを還元するための熱エネルギーを発生するためのコ
ークス、2)ステンレス鋼精錬炉ダスト中の酸化クロ
ム、酸化鉄の還元反応に消費される還元剤、3)スラグ
中の懸濁コークス、4)酸化鉄の還元により生成した溶
銑22中に溶解する浸炭材としてのコークス、5)ロー
タリーキルン11内で燃焼消失するコークス、の5項目
に分類される。この中で、2)の還元剤として使用され
るコークス量はステンレス鋼精錬炉ダスト中の酸化クロ
ム、酸化鉄の含有量から理論還元炭材量として正確に求
められる。4)の浸炭材として使用されるコークス量
は、種々の試験から溶銑22中に溶解する炭材量は約3
重量%となることが判明しているので、生成する溶銑2
2の量から定量的に見積もることができる。1)の熱エ
ネルギー発生用のコークス量は、還元に必要な理論炭材
量の2倍の量で十分であることが各種試験から経験的に
判明している。また、理論炭材量の2倍のコークスを使
用すると、4)の浸炭に使用されるコークス量、3)の
懸濁コークスを最終スラグ中に少なくとも15重量%存
在させることも可能であることが試験より判明してい
る。従って、5)のロータリーキルン11内で燃焼消失
するコークスの量を、ロータリーキルン11の特性を考
慮して見積もる必要がある。
【0016】ここで、使用するコークスは、粒度調整さ
れた複数のコークスを組み合わせて粒度構成されている
コークスを使用するのがよい。例えば、粒度調整したコ
ークスとして、粒径が1mm以下の細粒コークス、粒径
が1mmを超えて5mm以下の中粒コークス、粒径が6
mmを超えて8mm以下の粗粒コークスが使用できる。
これらの粒度調整されたコークスを、例えば、粗粒コー
クスが全コークス中に5%以上含有されるように粒度構
成するのが好ましい。粗粒コークスが5%以上含有され
ることにより、ステンレス鋼精錬炉ダスト、コークス、
造滓剤から構成される混合物のロータリーキルン11内
での転動性を向上させて、ロータリーキルン11の内張
り用耐火物21への混合物の付着が防止できる。このた
め、混合物全体は一様に加熱され、全体が一様に溶融す
ることになる。なお、混合物中に含有されるコークス
は、使用する全量を一度に混合物中に含有させてロータ
リーキルン11内に投入してもよいし、使用するコーク
スの一部が含有された混合物中に残りを混ぜながらロー
タリーキルン11内に投入するようにしてもよい。
【0017】続いて、必要な造滓剤の種類と量について
説明する。ステンレス鋼精錬炉ダストの定量分析によっ
て得られたAl23 、CaO、MgO、SiO2 の各
含有量から、ステンレス鋼精錬炉ダスト中の酸化クロム
と酸化鉄の還元が終了した場合における最終スラグの組
成を計算し、最終スラグ中のMgOとAl23 の和が
MgO+Al23 <23重量%の条件、CaOとSi
2 がCaO/SiO2 <1.7の条件を満足するか確
認する。これらの条件が満足されない場合は、条件が満
足されるようにAl23 、CaO、MgO、SiO2
の中から必要な成分を決定し必要量を算出する。Al2
3 、CaO、MgO、SiO2 の中から選定された成
分が使用するステンレス鋼精錬炉ダストに対する造滓剤
となる。なお、計算した最終スラグの組成が、MgO+
Al2 3 <23重量%、及びCaO/SiO2 <1.
7の条件を満足する場合では、造滓剤を使用する必要は
ない。
【0018】次に、混合物をロータリーキルン11内に
投入して還元する過程を詳細に説明する。雰囲気が13
00℃以上でかつ1700℃以下の範囲で設定した所定
温度に加熱されているロータリーキルン11内に、ステ
ンレス鋼精錬炉ダスト、コークス、及び造滓剤からなる
混合物が投入されると、投入された混合物に熱が奪われ
るためロータリーキルン11の入口20側の雰囲気温度
は低下する。このため、図示しない入口20側に設けら
れた熱電対等の温度計で混合物の温度と雰囲気温度を測
定し、雰囲気温度が当初設定した温度以下に低下した場
合、LPG酸素バーナー19に供給する酸素量を燃料が
燃焼するのに必要な理論酸素量以上の量としながらLP
Gを燃焼させる。LPG酸素バーナー19に理論酸素量
以上の酸素を供給したため、ロータリーキルン11内の
雰囲気中には酸素が過剰となる。このため混合物中のコ
ークスが燃焼して発熱し、混合物の温度が上昇すると共
にロータリーキルン11内の雰囲気温度も上昇する。
【0019】混合物は投入された当初は含有する水分
や、揮発成分のため温度上昇速度は小さいが、混合物の
温度が約400℃程度となる間に揮発成分は消失してし
まうので、その後の昇温速度は大きくなる。ロータリー
キルン11内に投入された混合物の温度が1300℃に
達するまで、LPG酸素バーナー19に理論酸素量以上
の酸素を供給して燃焼させ、少なくとも80℃/分の昇
温速度で混合物が加熱されるようにする。混合物を少な
くとも80℃/分の昇温速度で加熱することにより、混
合物を急速に加熱溶融させて、ステンレス鋼精錬炉ダス
トからのFeOの生成を極力防止する。FeOの生成を
防止して、最終スラグ中に含有されるFeOを3重量%
未満にすると、混合物中に低融点のフェヤライト(2F
eO・SiO)が生成するのを防止でき、ロータリーキ
ルン11の内壁にフェヤライトが結合剤となって混合物
の付着層を形成するのを防止する。
【0020】混合物の温度が1300℃以上となり混合
物が溶融状態になると、ロータリーキルン11内の雰囲
気中のLPGとコークスが燃焼して生成したCOとCO
2 の量比がCO/(CO+CO2 )換算で0.4以上と
なるように、ロータリーキルン11に設けられたLPG
酸素バーナー19に供給する酸素量を燃料が燃焼するの
に必要な理論酸素量未満とする。ロータリーキルン11
内の雰囲気を、CO/(CO+CO2 )換算で0.4以
上とすることにより、ロータリーキルン11内の雰囲気
を還元性雰囲気に維持して、還元反応の促進を図る。
【0021】次に、混合物中のステンレス鋼精錬炉ダス
トにおいて生じる還元反応について説明する。ロータリ
ーキルン11内に投入された混合物は、ロータリーキル
ン11が入口20側から出口18側に向かって下方向に
傾斜しているので、ロータリーキルン11の回転によ
り、入口20側から出口18側に徐々に移動する。混合
物は、入口20側から出口18側への移動中に、LPG
酸素バーナー19による加熱、コークスの燃焼による加
熱、ロータリーキルン11の内張り用耐火物21からの
熱輻射や熱伝導によって加熱される。混合物の温度が1
000℃を超えると、ステンレス鋼精錬炉ダスト中の酸
化鉄や酸化クロムは、 Fe23 +CO→2FeO+CO2 FeO+CO→Fe+CO2 CO2 +C→2CO (FeO)+[C]→[Fe]+CO Cr23 +3CO→2Cr+3CO2 (Cr23 )+3[C]→2[Cr]+3CO に示すように、ステンレス鋼精錬炉ダスト中の酸化鉄が
還元されて生成した溶銑22中にコークスが溶解して形
成しているFe3 C中の炭素、混合物中のコークス、L
PG及びコークスが燃焼して生成する一酸化炭素によっ
て、ステンレス鋼精錬炉ダスト中の酸化鉄と酸化クロム
は還元されてそれぞれ溶銑22と金属クロムに変化し、
金属クロムは溶銑22中に取り込まれてフェロクロムを
形成する。同時に、ステンレス鋼精錬炉ダスト中の酸化
鉄と酸化クロム以外の残留物と造滓剤からはスラグ23
が形成される。ここで、(FeO)と(Cr23 )は
それぞれ溶融スラグ中のFeOとCr23 を示し、
[C]、[Fe]、[Cr]は溶銑22中のC、Fe、
Crをそれぞれ示す。
【0022】このとき、1300℃以上の温度で、融点
の高いスラグ23が生成されると上記に示す還元反応の
進行は困難となり、酸化クロムの還元は進まなくなるの
で、高融点のマグネシアスピネル(MgO−Al23
−Cr23 )生成を防止して、生成するスラグ23の
融点をできるだけ低下させる必要がある。そのために
は、造滓剤により組成を制御し、更にCaOを含有する
スラグ23の粉化を防止するために塩基度(CaO/S
iO2 )の調整を行う必要がある。種々の試験から、混
合物中の酸化クロムを還元したときに生成する最終スラ
グの成分が、下記の(1)〜(3)の条件を満足すれ
ば、CaOを含有するスラグ23の粉化を防止し、13
00℃以上でスラグ23の液相率を60〜90%とし
て、スラグ23を半溶融状態に保持できることが判明し
ている。 (1)MgO+Al23 <23重量% (2)CaO/SiO2 <1.7 (3)FeO<3重量% このため、最終スラグの成分が上記(1)〜(3)の条
件を満足するように、混合物中の造滓材で組成の調整を
行っている。
【0023】スラグ23の液相率を60〜90%とし
て、スラグ23を半溶融状態に維持することは、スラグ
23の温度を1400℃以上に上昇させることによって
も可能である。しかし、このように高温にスラグ23の
温度を上昇させると、スラグ23の粘性は次第に低下
し、最終的には完全に溶融する状態となる。そのため、
ロータリーキルン11の内張り用耐火物21の損傷が顕
著となり始める。従って、スラグ23の温度は、内張り
用耐火物21の損傷が生じない範囲で、かつ還元反応が
効率的に進行するようになるべく高温に保持するのが好
ましい。具体的には、1300℃以上で、かつ1500
℃未満の温度、より好ましくは1300℃以上で、かつ
1400℃未満に設定するのがよい。
【0024】混合物の温度が、1300℃以上で140
0℃未満においては、溶銑22中の炭素によって酸化鉄
や酸化クロムの還元が主に行われるため、溶銑中の炭素
(Fe 3 Cを形成している炭素)による還元反応の進行
を維持するには、溶銑22中で還元により消費された炭
素を外部から常に補給する必要がある。生成するスラグ
23中に懸濁するコークス量を少なくとも15重量%と
なるように、ロータリーキルン11に投入する混合物中
のコークス量を事前に調整してやれば、溶銑22中で消
費された炭素を、スラグ23中から常に補給することが
可能となる。このように、生成するスラグ23中に懸濁
するコークス量を少なくとも15重量%含有されるよう
に調整し、溶銑22中の炭素が減少すると炭素が常に供
給される状態にして溶銑22の還元能力を高位に維持す
ると、図2に示すように、酸化クロムの還元が促進され
て最終スラグ中の酸化クロム含有量を1重量%以下に低
減することができる。更に、スラグ23中に懸濁するコ
ークス量を少なくとも15重量%確保してやれば、スロ
ッピング現象が防止できて還元反応を安定的に継続して
進行させることも可能となる。
【0025】以上のように、ロータリーキルン11内に
直接投入された混合物は、ロータリーキルン11の入口
20側から出口18側へ移動しながら、その間に加熱が
行われ、次に還元反応が生じて、ロータリーキルン11
の出口18側付近では金属クロムを含有した溶銑22と
溶銑22の上に浮遊している溶融状態のスラグ23とに
なる。ロータリーキルン11の出口18側には堰24が
設けてあるので、溶銑22と溶融したスラグ23とは堰
24をオーバーフローして、ロータリーキルン11から
連続的に排出される。このときロータリーキルン11は
回転しているため、溶銑22と溶融したスラグ23との
間の比重差、粘性差等により、溶銑22と溶融したスラ
グ23とは堰24をオーバーフローする位置が異なり、
溶銑22と溶融したスラグ23とは分離されて連続的に
ロータリーキルン11から排出されることになる。
【0026】また、1300℃以上で、かつ1400℃
未満で溶融したスラグ23の液相率が60〜90%とな
るようにスラグ組成の調整を行うと、ロータリーキルン
11の内張り用耐火物21の表面に半溶融状態のスラグ
23をコーティングすることができ、内張り用耐火物2
1の表面に半溶融状態のスラグ23層からなる保護層を
形成させることができる。これによって、内張り用耐火
物21の溶損が防止でき、内張り用耐火物21の寿命を
大幅に延長することが可能になる。
【0027】
【実施例】出口側にLPG酸素バーナーと堰を備えたロ
ータリーキルン式処理設備を使用して、表1に示すステ
ンレス鋼精錬炉から発生したステンレス鋼精錬炉ダスト
60kgを処理した。使用するステンレス鋼精錬炉ダス
ト中のSiO2 とCaOの含有量からは、CaO/Si
2 は約4.6となり、CaO/SiO2 <1.7の条
件が満たされないので、CaOとSiO2 を造滓剤とし
て使用し、CaO/SiO2 =1.2となるようにそれ
ぞれの使用量を調整した。ステンレス鋼精錬炉ダスト6
0kgに対して、使用する造滓剤量はCaO20kg、
SiO2 25kgとなった。また、ステンレス鋼精錬炉
ダスト60kgに対して必要な理論還元炭材量は10.
3kgとなった。使用するロータリーキルン式処理設備
の特性とLPG酸素バーナーの操作条件から、ステンレ
ス鋼精錬炉ダスト60kgに対して使用するコークス量
を、理論還元炭材量の5倍に設定した。使用するコーク
スは粒度調整した、1mm以下の細粒コークス、1mm
を超えて5mm以下の中粒コークス、6mmを超えて8
mm以下の粗粒コークスである。理論還元炭材量の2倍
量の細粒コークスをステンレス鋼精錬炉ダスト60k
g、CaO20kg、SiO2 25kgと共に混合して
事前に混合物とし、この事前混合物に更に理論還元炭材
量の2倍量の中粒コークスと理論還元炭材量に相当する
量の粗粒コークスとを加えて最終的な混合物を調整し
た。粗粒コークスの量は、全コークス量に対して20%
であるため、ロータリーキルン内での混合物の転動性を
十分に確保でき、ロータリーキルンの内壁への混合物の
付着を防止できる。
【0028】
【表1】
【0029】雰囲気温度を1350℃に調整し、0.2
2回転/分の回転速度で回転させているロータリーキル
ンの入口側から、ステンレス鋼精錬炉ダスト、CaO、
SiO 2 、及びコークスからなる混合物を徐々に投入し
加熱溶融させる。混合物をロータリーキルンに投入して
行くと、炉内の雰囲気温度は低下するので、LPG酸素
バーナーの燃焼条件をLPGが12Nm3 /H、酸素が
85Nm3 /H、空気が95Nm3 /Hとして、混合物
を昇温速度80℃/分で1300℃まで加熱した。この
加熱条件では、ロータリーキルン内の雰囲気中のCO/
(CO+CO2 )は0.1未満となる。
【0030】混合物の温度が1300℃に到達した時点
で、LPG酸素バーナーの燃焼条件をLPGが10〜1
4Nm3 /H、酸素が18〜25Nm3 /H、空気が8
3〜165Nm3 /Hとして、混合物の温度を1300
℃に保持するように加熱を続けた。この加熱条件では、
ロータリーキルン内の雰囲気中のCO/(CO+C
2)は0.4を超え、還元雰囲気となる。この条件を
40分間保持した後、ロータリーキルン内に生成してい
る溶銑と最終スラグを、出口側に設けられている堰から
オーバーフローさせて、ロータリーキルンから回収し
た。回収した溶銑中の金属クロムの含有量は、17.4
重量%であった。また、回収した最終スラグの炭素を除
いた組成を表2に示す。最終スラグ中の酸化クロム含有
率は0.9重量%であり、ステンレス鋼精錬炉ダストの
処理時に生成するスラグ中の酸化クロムの含有量を1重
量%以下に低減できることが確認できた。
【0031】
【表2】
【0032】以上、本発明の実施の形態を説明したが、
本発明は、この実施の形態に限定されるものではなく、
例えば、酸化クロム含有ダストの処理に連続方式のロー
タリーキルン式処理設備を使用したが、バッチ方式の鍋
式処理設備を使用することも可能である。また、炭材と
してコークスを使用したが、非酸化性雰囲気中の加熱に
より炭素を生成する廃棄プラスチック等の炭素含有物の
使用も可能である。更に、コークスは細粒コークスだけ
を、ステンレス鋼精錬炉ダスト、CaO、SiO 2 と共
に事前に混合したが、中粒コークス、粗粒コークスまで
含めた全コークスを一括してステンレス鋼精錬炉ダス
ト、CaO、SiO2 と混合することも可能である。
【0033】
【発明の効果】請求項1〜6記載の酸化クロム含有ダス
トの加熱炉での処理方法においては、酸化クロム含有ダ
ストと炭材と造滓剤とを主体とする混合物を高温状態の
加熱炉中に連続的に投入し、混合物中の酸化クロム含有
ダストを溶融させ、混合物中の炭材により還元して、金
属クロムを含有する溶銑を生成させ、更に生成するスラ
グ中の酸化クロムの含有量を1重量%以下にするので、
ステンレス鋼精錬時にクロム源として添加するフェロク
ロムを安価に製造することができ、更に、スラグを路盤
材等に使用することができ、資源の有効活用が可能とな
る。
【0034】特に、請求項2記載の酸化クロム含有ダス
トの加熱炉での処理方法においては、混合物中の酸化ク
ロム含有ダストを混合物中の炭材で還元するとき、混合
物中の造滓剤の組成調整により、生成する最終スラグの
成分を、(1)MgO+Al23 <23重量%、
(2)CaO/SiO2 <1.7、(3)FeO<3重
量%、として、最終スラグが実質的に1300℃で排滓
性を確保すると同時に、耐火物に対して保護層を形成す
るので、還元反応の促進と、回収される金属分とスラグ
分の分離が容易となり効率的な処理を行うことができ、
更に、加熱炉内の内張り用耐火物の寿命を数倍長くする
ことができる。
【0035】請求項3記載の酸化クロム含有ダストの加
熱炉での処理方法においては、混合物中の炭材量の調整
により、生成する最終スラグ中の炭材含有量を少なくと
も15重量%確保して、混合物中の酸化クロム含有ダス
トの還元を安定的に進行させるので、生成する最終スラ
グ中の酸化クロムの含有量を1重量%以下にすることが
可能となる。
【0036】請求項4記載の酸化クロム含有ダストの加
熱炉での処理方法においては、混合物中の炭材は粒度調
整された複数の炭材を組み合わせて粒度構成されている
ので、加熱炉内での混合物の流動性の向上と加熱炉内壁
への混合物の付着が防止でき、酸化クロム含有ダストの
安定した還元反応の進行を維持することができる。
【0037】請求項5記載の酸化クロム含有ダストの加
熱炉での処理方法においては、加熱炉中に投入された混
合物の温度が1300℃に達するまで、少なくとも80
℃/分の昇温速度で加熱するので、FeOの生成を抑制
して加熱炉内に投入した混合物を均一に急速加熱して溶
融させることができ、混合物の凝集が発生せず酸化クロ
ム含有ダストの還元反応が生じ易くなる。
【0038】請求項6記載の酸化クロム含有ダストの加
熱炉での処理方法においては、加熱炉中に投入された混
合物の温度が1300℃に達すると、加熱炉内の雰囲気
中のCO/(CO+CO2 )が0.4以上となるよう
に、加熱炉に設けられた加熱装置に供給する酸素量を調
整して加熱するので、加熱炉内の雰囲気を還元性雰囲気
にでき、酸化クロム含有ダストの還元を効率的に進める
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る酸化クロム含有ダ
ストの加熱炉での処理方法に適用された酸化クロム含有
ダストの処理設備の一例であるロータリーキルン式処理
設備の概念構成図である。
【図2】同酸化クロム含有ダストの加熱炉での処理方法
における最終スラグ中のコークス含有率と最終スラグ中
の酸化クロム含有率との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10:ロータリーキルン式処理設備(酸化クロム含有ダ
ストの処理設備)、11:ロータリーキルン(加熱
炉)、12、13、14:ホッパー、15:連絡管、1
6:混合物調整装置、17:輸送管、18:出口、1
9:LPG酸素バーナー(加熱装置)、20:入口、2
1:内張り用耐火物、22:溶銑、23:スラグ、2
4:堰、25:排気管、26:酸素ガス供給ランス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4K001 AA08 AA10 BA14 DA05 GA07 GB11 HA01 KA01 KA02 KA06 KA07

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 製鉄プロセス中の各種精錬炉から発生す
    る酸化クロム含有ダストを加熱炉で処理する酸化クロム
    含有ダストの処理方法において、前記酸化クロム含有ダ
    ストと炭材と造滓剤とを主体とする混合物を、雰囲気温
    度が1300℃以上でかつ1700℃以下に制御された
    前記加熱炉中に連続的に投入し、前記混合物中の前記酸
    化クロム含有ダストを溶融させ、前記混合物中の炭材に
    より還元して、金属クロムを含有する溶銑を生成させ、
    更に生成する最終スラグ中の酸化クロムの含有量を1重
    量%以下にすることを特徴とする酸化クロム含有ダスト
    の加熱炉での処理方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の酸化クロム含有ダストの
    加熱炉での処理方法において、前記混合物中の酸化クロ
    ム含有ダストを前記混合物中の炭材で還元するとき、前
    記混合物中の造滓剤の組成調整により、生成する前記最
    終スラグの成分を下記(1)〜(3)として、該最終ス
    ラグが実質的に1300℃で排滓性を確保すると同時
    に、耐火物に対して保護層を形成することを特徴とする
    酸化クロム含有ダストの加熱炉での処理方法。 (1)MgO+Al23 <23重量% (2)CaO/SiO2 <1.7 (3)FeO<3重量%
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の酸化クロム含有ダ
    ストの加熱炉での処理方法において、前記混合物中の炭
    材量の調整により、生成する前記最終スラグ中の炭材含
    有量を少なくとも15重量%確保して、前記混合物中の
    酸化クロム含有ダストの還元を安定的に進行させること
    を特徴とする酸化クロム含有ダストの加熱炉での処理方
    法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の酸
    化クロム含有ダストの加熱炉での処理方法において、前
    記混合物中の炭材は粒度調整された複数の炭材を組み合
    わせて粒度構成されていることを特徴とする酸化クロム
    含有ダストの加熱炉での処理方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の酸
    化クロム含有ダストの加熱炉での処理方法において、前
    記加熱炉中に投入された前記混合物の温度が1300℃
    に達するまで、少なくとも80℃/分の昇温速度で加熱
    することを特徴とする酸化クロム含有ダストの加熱炉で
    の処理方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載の酸
    化クロム含有ダストの加熱炉での処理方法において、前
    記加熱炉中に投入された前記混合物の温度が1300℃
    に達すると、前記加熱炉内の雰囲気中のCO/(CO+
    CO2 )が0.4以上となるように、前記加熱炉に設け
    られた加熱装置に供給する酸素量を調整して加熱するこ
    とを特徴とする酸化クロム含有ダストの加熱炉での処理
    方法。
JP2000312349A 2000-10-12 2000-10-12 酸化クロム含有ダストの加熱炉での処理方法 Expired - Lifetime JP4636666B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000312349A JP4636666B2 (ja) 2000-10-12 2000-10-12 酸化クロム含有ダストの加熱炉での処理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000312349A JP4636666B2 (ja) 2000-10-12 2000-10-12 酸化クロム含有ダストの加熱炉での処理方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002121627A true JP2002121627A (ja) 2002-04-26
JP4636666B2 JP4636666B2 (ja) 2011-02-23

Family

ID=18791960

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000312349A Expired - Lifetime JP4636666B2 (ja) 2000-10-12 2000-10-12 酸化クロム含有ダストの加熱炉での処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4636666B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013064179A (ja) * 2011-09-16 2013-04-11 Kobe Steel Ltd スラグにおける六価クロムの抑制方法及びスラグ
JP2017179559A (ja) * 2016-03-31 2017-10-05 Jfeスチール株式会社 クロム含有ダストのリサイクル方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5288520A (en) * 1976-01-21 1977-07-25 Nisshin Steel Co Ltd Treatment of waste generated in manufacturing alloy steel
JPS5597434A (en) * 1979-01-17 1980-07-24 Nisshin Steel Co Ltd Refining of by-product generated at stainless steel preparing process
JPS61194125A (ja) * 1985-02-23 1986-08-28 Nippon Jiryoku Senko Kk ダスト,スラッジ類と製鋼スラグとの同時処理方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5288520A (en) * 1976-01-21 1977-07-25 Nisshin Steel Co Ltd Treatment of waste generated in manufacturing alloy steel
JPS5597434A (en) * 1979-01-17 1980-07-24 Nisshin Steel Co Ltd Refining of by-product generated at stainless steel preparing process
JPS61194125A (ja) * 1985-02-23 1986-08-28 Nippon Jiryoku Senko Kk ダスト,スラッジ類と製鋼スラグとの同時処理方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013064179A (ja) * 2011-09-16 2013-04-11 Kobe Steel Ltd スラグにおける六価クロムの抑制方法及びスラグ
JP2017179559A (ja) * 2016-03-31 2017-10-05 Jfeスチール株式会社 クロム含有ダストのリサイクル方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4636666B2 (ja) 2011-02-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5522320B1 (ja) 製鋼スラグ還元処理方法
JPH09310126A (ja) 金属酸化物から金属を得る製造方法
JP5166805B2 (ja) アーク加熱による溶鉄製造方法
JP2009102697A (ja) 溶鋼の製造方法
RU2268308C2 (ru) Способ получения жидкого расплавленного чугуна в электрической печи
JP4499306B2 (ja) ロータリーキルンを用いた亜鉛含有酸化鉄の脱亜鉛方法
RU2372407C2 (ru) Получение железа и стали
EP2329054B1 (en) Production of ferro-alloys
JP2002121627A (ja) 酸化クロム含有ダストの加熱炉での処理方法
JP7364899B2 (ja) スラグ還元を伴った冷鉄源の溶解方法
JP4762420B2 (ja) ロータリーキルンを用いた酸化鉄の溶融還元方法
JPH09301750A (ja) 焼却灰溶融スラグからの人工砂利製造方法および装置
JP2002522642A (ja) 重金属及び鉄酸化物を含有する残滓物質の熱処理方法
JP2005126732A (ja) 金属酸化物含有物質の溶融還元方法および溶融還元装置
US2242219A (en) Process for melting and refining ferrous metals
JP5625238B2 (ja) 溶鉄の精錬方法
JPH07155728A (ja) 焼却灰溶融処理方法及び装置
JP4341139B2 (ja) 金属含有物からの還元金属の製造方法
RU2813429C1 (ru) Способ получения жидкого чугуна из продукта dri
JP4581136B2 (ja) 酸化鉄の溶融還元方法
RU2770657C1 (ru) Способ выплавки стали из металлолома в дуговой электропечи
JPH09156991A (ja) 焼却灰溶融スラグからの人工岩石合成処理法および装置
JP2002249811A (ja) マグネシウム及びクロム含有レンガ廃材の処理方法
JP2015110816A (ja) スラグ処理方法およびスラグ処理装置
SU572504A1 (ru) Способ получени железа и его сплавов из железорудных материалов

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071010

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100119

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100126

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100326

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20101102

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20101122

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131203

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4636666

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250