JP2002121086A - セラミックス被覆多孔質焼結体及びその製造方法 - Google Patents

セラミックス被覆多孔質焼結体及びその製造方法

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JP2002121086A JP2000312935A JP2000312935A JP2002121086A JP 2002121086 A JP2002121086 A JP 2002121086A JP 2000312935 A JP2000312935 A JP 2000312935A JP 2000312935 A JP2000312935 A JP 2000312935A JP 2002121086 A JP2002121086 A JP 2002121086A
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sintered body
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Koichi Imura
浩一 井村
Takuji Umezawa
卓史 梅沢
Akihiko Ichikawa
明彦 市川
Katsuhiro Chagi
勝弘 茶木
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Toshiba Ceramics Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、多孔質焼結セラミックス基材の表
面に、基材と気孔径や気孔率等の異なる多孔質焼結セラ
ミックス層を、歪み、亀裂、割れ等を発生させることな
く、良好に被覆形成させ、かつ、高強度なセラミックス
被覆多孔質焼結体を提供すること及びセラミックス被覆
多孔質焼結体の製造方法を提供すること。 【解決手段】 気孔が連通した連球状開気孔を有する多
孔質焼結セラミックス基材の少なくとも一部表面が、粒
子結合した形態の多孔質焼結セラミックス層で被覆され
ていることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はセラミックス被覆多
孔質焼結体に関し、より詳細には、特定多孔質構造のセ
ラミックス多孔質焼結体で、多孔質焼結セラミックス基
材の表面の少なくとも一部を被覆したセラミックス被覆
多孔質焼結体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、セラミックス多孔質焼結体
は、その多孔質構造に基づく透過性、吸収性、吸着性、
吸着保持性等の諸特性に加えて、セラミックス自体に基
づく化学的耐久性、衛生的無害性、強度特性、耐熱性、
生体親和性等の諸特性を有するため、各種フィルタ、軽
量構造材、触媒担体、バイオリアクター、分離膜支持
材、人工骨、薬液徐放材等、多くの産業分野で、かつ種
々の用途に使用されている。
【0003】これらセラミックス多孔質焼結体からなる
部材の中には、多孔質セラミックスを緻密ガラス体に接
合させたものや、多孔質セラミックスを緻密質のセラミ
ックス基材に融着、接着等により積層したもの、逆に多
孔質焼結セラミックス基材に緻密質セラミックス層を被
覆したもの等がある。また、セラミックス多孔質焼結体
同士を、例えばエポキシ樹脂等の接着剤を用いて接合し
一体化させた部材がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、多孔質焼結
セラミックス基材の表面に、該基材とは気孔径や気孔率
等の多孔質構造が異なる多孔質セラミックスの層を焼結
により形成させたセラミックス被覆多孔質焼結体に関し
ては、従来ほとんど製作されなかった。これは、基材の
表面にセラミックスラリー等を塗布して通常の方法で焼
結処理した場合、基材自体の表面形状や状態が熱により
変形、変化し、該塗布スラリー層を収縮させる。その結
果、被覆層(多孔質セラミックス層)に亀裂や割れが生
じ、製作が困難であったことによる。
【0005】本発明は、上記従来技術課題を解決するた
めになされたものであり、多孔質焼結セラミックス基材
の表面に、基材と気孔径や気孔率等の異なる多孔質焼結
セラミックス層を、歪み、亀裂、割れ等を発生させるこ
となく、良好に被覆形成させ、かつ、高強度なセラミッ
クス被覆多孔質焼結体を提供することを目的とする。ま
た、本発明の他の目的は、上記セラミックス被覆多孔質
焼結体の製造方法を提供することを目的とするものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明にかかるセラミッ
クス被覆多孔質焼結体よれば、気孔が連通した連球状開
気孔を有する多孔質焼結セラミックス基材の表面の少な
くとも一部が、粒子結合した形態の多孔質焼結セラミッ
クス層で被覆されていることを特徴としている。
【0007】ここで、前記連球状開気孔を有する多孔質
焼結セラミックス基材の気孔率が、50〜95%の範囲
にあり、その平均気孔径が50〜1000μmの範囲に
あることが望ましく、前記粒子結合した形態のセラミッ
クス多孔質焼結体の気孔率が、5〜45%の範囲にあ
り、その平均細孔径が0.1〜10μmの範囲にあるこ
とが望ましい。
【0008】また、前記粒子結合した形態のセラミック
ス多孔質焼結体の厚さが50μm〜3mmの範囲にある
ことが望ましい。更に、気孔が連通した連球状開気孔を
有する多孔質焼結セラミックス基材を構成するセラミッ
クス、及び/または前記多孔質焼結セラミックス基材を
被覆する粒子結合した形態の多孔質焼結セラミックス層
を構成するセラミックスが、スピネル、コーディエライ
ト、アルミナ、ジルコニア、ムライト、シリカ、ハイド
ロキシアパタイト、リン酸三カルシウム、及びこれらの
複合物から選ばれた少なくとも一種からなることが望ま
しい。
【0009】また、気孔が連通した連球状開気孔を有す
る多孔質焼結セラミックス基材を構成するセラミックス
と、前記多孔質焼結セラミックス基材を被覆する粒子結
合した形態の多孔質焼結セラミックス層を構成するセラ
ミックスとが、同種のセラミックスであっても良く、あ
るいは異種のセラミックスであっても良い。
【0010】また、本発明にかかるセラミックス被覆多
孔質焼結体の製造方法よれば、攪拌起泡により形成され
た連球状開気孔を有する多孔質焼結セラミックス基材の
表面の少なくとも一部に、セラミックス原料スラリーを
塗布し、乾燥後、該セラミックス塗布層が粒子結合形態
の多孔質体となるように未熟焼結状態に焼成することを
特徴としている。
【0011】ここで、前記セラミックス原料スラリーを
構成するセラミックス粉末が、粒子径3μm以下の微粒
子粉末100重量部と粒子径5〜500μmの粗粒子粉
末30〜2000重量部の混合粉末からなることが望ま
しい。また、前記スラリーを構成するセラミックス粉末
が、スピネル、コーディエライト、アルミナ、ジルコニ
ア、ムライト、シリカ、ハイドロキシアパタイト、リン
酸三カルシウム、及びこれらの複合物から選ばれた少な
くとも一種からなることが望ましい。
【0012】本発明にかかるセラミックス被覆多孔質焼
結体は、連球状開気孔を有する特定多孔質焼結セラミッ
クス基材上に粒子結合した形態の多孔質セラミックス層
が焼結により積層されている点が構成上の特徴である。
即ち、本発明にかかる焼結体は、気孔形状、構造の異な
る2層の多孔質体が焼結されて一体化されたものである
ため、その組み合わせより、例えば、フィルタ、軽量構
造材、触媒単体、バイオリアクター、分離膜支持体、人
工骨、薬剤徐放材等、各種の部材を製作することができ
る。特に、多孔質焼結セラミックス基材上に多孔質セラ
ミックス層が、焼結接合されたものであるため、例えば
エポキシ樹脂等接着剤で接合された部材に比べて接合強
度が高いだけでなく耐熱性や耐薬品性、耐高温水性に優
れている。
【0013】一般に、気孔径や気孔率等の気孔構造が異
なる多孔質セラミックス体同士を焼結により接合するこ
とは、焼結時に両者が共に収縮、変形を起こすことから
困難であり、特に、基材上に多孔質の薄層を形成させる
場合には、薄層側に亀裂や、割れ、更には剥離が生じ易
い。また、基材の気孔とその上に形成された薄層の気孔
とが連通した状態のセラミックス被覆多孔質焼結体を製
作することも困難である。
【0014】本発明は、基材として、焼結温度近傍の加
熱時に比較的収縮、変形等が少なく形状安定性の良い、
しかも高強度の特定多孔質焼結セラミックスを用い、こ
の上に形成する焼結体層(薄層)を粒子結合した形態の
多孔焼結セラミックス層としたことによって、上記接合
部の亀裂、割れの発生、特に、被覆層側の亀裂、割れ、
剥離の発生を抑制したものである。
【0015】ここで、本発明において、粒子結合した形
態の多孔質焼結セラミックス層とは、焼結過程の比較的
初期の段階で焼成を終了した状態(未熟焼結状態)の焼
結体をいう。すなわち、固体粒子間の焼結過程では、初
めは粒子と粒子とが互いに主として点接触で融着する
が、次第にその接触領域が広がり、粒子同士が面接触で
融着するようになり、粒子間に存在する空隙も次第に埋
められて減少し、ついには気孔を含まない緻密な一体の
塊状体に変化する。したがって、本発明における粒子結
合した形態(未熟焼結状態)の焼結体を具体的に述べれ
ば、上記過程において粒子同士が点接触融着または面接
触融着した状態で、粒子間空隙が連通してなる開気孔を
いまだ組織内に残存させている状態で焼結を終了したも
のといえる。
【0016】このような状態の多孔質焼結セラミックス
層は、組織内に開気孔を有すると共に焼結時における収
縮が比較的少ないという特徴がある。特に、その製造工
程において原料粉末の粒度調整を行い、粗粒粉末と微粒
粉末とを適当な配合比で混合した多孔質焼結セラミック
ス層は、乾燥や焼結時おける収縮が非常に少なく、か
つ、粗粒子間部分が未熟焼結状態になり、その粗粒子間
の空隙が連通して形成された多くの開気孔を密に存在さ
せた粒子結合形態の多孔質焼結体となる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に、本発明にかかる実施形態
を図面を参照してより詳細に、かつ、具体的に説明す
る。なお、図1は、本発明にかかる実施形態であるセラ
ミックス被覆多孔質焼結体に用いられる多孔質焼結セラ
ミックス基材の多孔質構造を模式的に示した図である。
図2は、本発明にかかる実施形態であるセラミックス被
覆多孔質焼結体に用いられる多孔質焼結セラミックス層
の多孔質構造を模式的に示した図である。
【0018】図1に示されているように、この多孔質焼
結セラミックス基材は、多数の気孔が開口3で連通した
連球状の開気孔2が3次元的に張り巡らされた多孔質構
造を有している。そしてまた、前記気孔を区画する骨格
壁部1自体には、例えば、従来品の焼結体に典型的に見
られる微細開気孔がほとんど存在しないセラミックス質
よりなる。
【0019】このように、多孔質焼結セラミックス基材
の骨格壁部1が、微細開気孔がほとんど存在しないセラ
ミックス質からなるため、多数の微細細孔を有する骨格
壁部からなる同種の焼結体に比べて、焼結温度付近の高
温度に曝された場合も、収縮や変形が少ない。また、マ
クロ気孔径(平均)や気孔率がほぼ等しい場合には、骨
格壁部1に微細開気孔がほとんど存在しないセラミック
ス質からなる多孔質焼結セラミックス基材の方が、骨格
壁部に微細開気孔が形成されたセラミックス質からなる
多孔質焼結セラミックス基材よりも、強度特性にも優れ
ている。
【0020】本発明の多孔質焼結セラミックス基材は、
気孔率が50〜95%の範囲、特に好ましくは60〜9
0%の範囲にあり、その平均気孔径が50〜1000μ
mの範囲、特に好ましくは100〜600μmの範囲に
あることが好ましい。この気孔率が50未満であると、
緻密焼結体に近くなり、軽量構造材等の用途によっては
重量的に重くなり過ぎ、またフィルタ、触媒担体等の用
途によっては透過性が劣ったり、充分な吸着量を確保で
きない。一方、気孔率が95%を越えると充分な強度を
維持することができない。
【0021】また、気孔径が1000μmを越える場合
は、小さな寸法(数mm程度)の焼結体部材の場合、そ
れを精度良く所望形状に焼結することができず、また、
強度的にも不充分となる。一方、50μm未満の場合
は、人工骨材や薬剤徐放材等の用途の場合、細胞や血管
の進入が困難で骨組織形成が不充分となる。
【0022】本発明の多孔質焼結セラミックス基材の材
質の具体例としては、スピネル、コーディエライト、ア
ルミナ、ジルコニア、ムライト、シリカ、炭化珪素、リ
ン酸三カルシウム、ハドロキシアパタイト、オキシアパ
タイト、リン酸四カルシウム等、及びこれらからなる複
合材等を挙げることができる。
【0023】この多孔質焼結セラミックス基材を製造す
るには、例えば、下記のような方法による。即ち、溶媒
にセラミックス粉末及び架橋重合性物質(モノマー)等
を溶解または分散させてセラミックスラリーを調製す
る。このセラミックスラリーに、バインダー、分散剤、
整泡剤等を加え、得られたセラミックスラリーに架橋剤
を添加し機械的に攪拌して起泡させた状態で成形し、架
橋重合反応により前記架橋重合性物質をゲル化させて硬
化させる。この際、攪拌強度等を調整することにより、
泡状スラリーの気泡径等を制御する。そして、成形体を
乾燥して溶媒を除去し、脱脂後、焼結して多孔質焼結セ
ラミックス基材を得る。
【0024】次に、前記多孔質焼結セラミックス基材の
表面を被覆する、粒子結合した形態の多孔質焼結セラミ
ックス層について説明する。この多孔質焼結セラミック
ス層は、図2の模式図に示したように、比較的粒子径の
大きい原料セラミックス粒子同士がその球形を保った状
態になされている。即ち、粒子結合形態の骨格部10
は、粒子間の空隙部11を残したまま、粒子が部分的に
融着して面結合することによって形成される。また前記
空隙部11が連通した開気孔として形成される。
【0025】本発明の粒子結合した形態の多孔質焼結セ
ラミックス層は、その気孔率が、5〜45%、特に好ま
しくは10〜40%の範囲にあり、かつ、平均細孔径が
0.1〜10μmの範囲にあることが好ましい。気孔率
が5%未満の場合、緻密な焼結セラミックス層に近くな
り、開気孔が少ないため、フィルタ、触媒担体、薬剤徐
放材等の用途によっては透過性、濾過性や吸着量等が不
十分で用いることができない。一方、気孔率が45%を
越えると、充分な強度を維持することができず、剥離や
割れ、層破壊等が発生することがある。
【0026】また、多孔質焼結セラミックス層の平均細
孔径が10μmを越えるものは、均質な気孔の形成が困
難で、充分な濾別性能や篩別精度を得ることができず、
フィルタ等に用いるのは不適当である。一方、平均細孔
径が0.1μm未満のものは、フィルタ、薬剤徐放材等
に用いた場合、濾過速度や透過速度が極端に遅くなり、
また、強度的にも不十分となる。したがって、多孔質焼
結セラミックス層の平均細孔径は、0.1μm〜10μ
mであることが好ましい。
【0027】この粒子結合した形態のセラミックス多孔
質焼結体の厚さは特に限定されないが、通常50μm以
上、3mm以下であることが、均質で均等な厚さの膜層
を得易いことから好ましい。
【0028】本発明の粒子結合した形態の多孔質焼結セ
ラミックス層の材質の具体例としては、スピネル、コー
ディエライト、アルミナ、ジルコニア、ムライト、シリ
カ、炭化珪素、リン酸三カルシウム、ハドロキシアパタ
イト、オキシアパタイト、リン酸四カルシウム、及びこ
れらからなる複合材等を挙げることができる。また、基
材を構成するセラミックスの材質とその上に被覆形成さ
れる前記粒子結合した形態の層を構成するセラミックス
の材質とは、同一材質でも異なる材質でも良く、その用
途や所望機能により適宜選択される。
【0029】次に、上記本発明の粒子結合した形態の多
孔質焼結セラミックス層の被覆方法について述べる。本
発明にかかる製造方法では、基材表面にスラリーを塗布
して膜層形成を行うが、該スラリーは以下のように調製
する。即ち、例えば、ボールミル等を使用して粉砕した
原料粉末に分散媒を加え混合してスラリーとする。この
スラリー中の原料粒子径は特に規定しないが、平均粒子
径が3μm以下であることが望ましい。また、必要に応
じて分散剤、バインダー、増粘剤などを添加する。
【0030】更に、このスラリー中に平均粒子径が5〜
500μmの粗粒子を混合することが、後の乾燥時や焼
結時での多孔質焼結セラミックス層(被覆層)の収縮を
抑制する観点から特に好ましい。この粗粒子の平均粒子
径が5μm未満の場合には、粗粒子添加による乾燥や焼
結時の収縮を十分に抑制することができず、また、50
0μmを越えると、前記連球状開気孔を有する多孔質焼
結セラミックス基材表面への塗布が困難となる。
【0031】また、前記粗粒子の添加量は、該粗粒子添
加前のスラリーに含まれる原料粉末の30重量部〜20
00重量部とすることが好ましい。この粗粒子の添加量
が30重量部未満のより小さいと粗粒子添加による乾燥
や焼結時の収縮を抑制する効果が充分に得られない。ま
た粗粒子の添加量が2000重量部を越えるとスラリー
の流動性が損なわれ塗布作業が困難になる。
【0032】このように調製された、粗粒子を含むスラ
リーを前記基材表面へ塗布する。塗布方法としては、塗
り付け、スプレー、スラリー中への基材浸漬、引き延ば
したスラリー上に乗せる等の種々の方法を採ることがで
きる。このスラリーの塗布は基材全面でも、またその一
部面でも良い。前記塗布後乾燥し、乾燥後焼結する。焼
結温度は、前記基材の材質及び前記被覆層の材質を考慮
して適宜決定する。
【0033】図3(a)(b)、図4(a)〜(c)
に、このようにして作製された本発明のセラミックス被
覆多孔質焼結体(多孔質焼結アルミナ層被覆アルミナ多
孔質焼結体)の積層断面構造を示した電子顕微鏡写真を
示す。図3において、(a)は倍率が100倍であっ
て、多孔質焼結アルミナ層(被覆層)と多孔質焼結アル
ミナ焼結体(基材)との境界部分を撮影したものであ
る。また、図3(b)は倍率が100倍であって、多孔
質焼結アルミナ焼結体(基材)内部の多孔質構造を写し
たものである。
【0034】また、図4(a)は倍率が1000倍であ
って、表面近傍において多孔質焼結アルミナ層(被覆
層)のみを写したものである。また、図4(b)は倍率
が1000倍であって、多孔質焼結アルミナ層(被覆
層)と一部多孔質焼結アルミナ焼結体(基材)を写した
ものである。更に、図4(c)は倍率が5000倍であ
って、多孔質焼結アルミナ層の粒子結合した状態を写し
たものである。
【0035】以上のように、本発明にかかるセラミック
ス被覆多孔質焼結体は、透過性(篩別性)、吸収性、吸
着性、吸着保持性、化学的耐久性、衛生的無害性、強度
特性、耐熱性、生体親和性等、数多くの特性を有するた
め、夫々の用途に応じたセラミックス材料を用いて各種
フィルタ、軽量構造材、触媒担体、バイオリアクター、
分離膜支持材、人工骨、薬液徐放材等の用途に用いるこ
とができる。例えば、フィルタ材としては、アルミナ、
ジルコニア、ムライト、コージェライト、シリカ、炭化
珪素等多数のセラミックス材からなる焼結体が、また、
人工骨材や薬剤徐放材としては、アルミナ、ジルコニ
ア、バイオガラス、リン酸カルシウム系材等から成る焼
結体が、夫々用いられる。
【0036】特に、人工骨にはリン酸カルシウム系材の
内でもハイドロキシアパタイトまたはリン酸三カルシウ
ム基材表面をハイドロキシアパタイト、リン酸三カルシ
ウムまたはこれらの複合材料で被覆した態様のものが好
適に用いられる。また、軽量構造材、触媒担体、バイオ
リアクター、分離膜支持体等には上記に例示した種類の
セラミックス材料は勿論、それ以外のセラミックス材料
を用いることができる。
【0037】
【実施例】「実施例1;アルミナ多孔質焼結体」平均粒
子径0.4μmのアルミナ原料粉末を100重量部、分
散媒としてイオン交換水を10重量部、分散剤としてポ
リアクリル酸アンモニウムを0.8重量部、バインダと
してポリビニルアルコールを0.5重量部添加し、ボー
ルミルで一昼夜混合し、スラリーとした。このスラリー
に平均粒子径100μmのアルミナ粗粒子を200重量
部添加して混合し、基材表面塗布用のスラリーを作製し
た。
【0038】このスラリーを、連球状開気孔を有する多
孔質焼結アルミナ基材(平均気孔径400μm、気孔率
75%、基材寸法10mm×10mm×60mm)の全
表面に塗布し乾燥後1550℃、2時間焼結した。前記
基材表面に形成された多孔質焼結層の気孔率は30%
で、平均細孔径は4μmであり、厚さは概ね500μm
程度であり、粒子結合形態を有し、前記基材の連球状気
孔の表面開口から1層〜2層の気孔を埋めていた。
【0039】このように調製した本発明にかかるセラミ
ックス被覆多孔質焼結体の試料と、表面を被覆していな
い前記連球状開気孔を有する多孔質焼結セラミックス基
材の曲げ強さを比較したところ、上記本発明にかかる試
料では平均35MPaで、前記表面被覆なしの基材強度
の20MPaを大きく上回ることが認められた。
【0040】「実施例2;ハイドロキシアパタイト多孔
質焼結体」平均粒子径1μmのハイドロキシアパタイト
原料粉末を100重量部、分散媒としてイオン交換水を
60重量部、バインダとしてポリエチレンイミン9重量
部を添加し、ボールミルで二昼夜混合し、スラリーとし
た。このボールミル混合されたスラリー中の粒子の平均
粒子径は0.5μmであった。このスラリーに平均粒子
径30μmのハイドロキシアパタイト粗粒子を100重
量部添加し混合して基材表面塗布用のスラリーを作製し
た。
【0041】このスラリーを、連球状開気孔を有する多
孔質焼結ハイドロキシアパタイトの円柱状基材(平均気
孔径180μm、気孔率75%、基材寸法;直径10m
m×長さ50mm)の側表面に塗布し、乾燥後1200
℃、1時間焼結した。前記基材表面に形成された多孔質
焼結体層の気孔率は35%で、平均細孔径は0.5μm
であり、厚さは概ね200μm程度であり、粒子結合形
態を有し、前記基材の連球状気孔の表面開口から1層〜
2層の気孔を埋めていた。
【0042】このように調製した本発明にかかるセラミ
ックス被覆多孔質焼結体の試料と、表面を被覆していな
い連球状開気孔を有する多孔質焼結セラミックス基材と
を長さ10mmに加工し、両者の圧縮強度を比較したと
ころ、上記本発明にかかる試料では平均25MPaで、
前記表面被覆なしの基材強度15MPaを大きく上回る
ことが認められた。
【0043】
【発明の効果】本発明にかかるセラミックス被覆多孔質
焼結体は、気孔が連通した連球状開気孔を有する多孔質
焼結セラミックス基材とその表面を被覆する粒子結合し
た形態の多孔質焼結セラミックス層からなり、両者が焼
結により強固に接合一体化されているため、被覆層の亀
裂や、割れ、剥離等がなく、しかも焼結体自体も強度的
に優れている。このため、夫々の用途に応じたセラミッ
クス材料を用いて、各種フィルタ、軽量構造材、触媒担
体、バイオリアクター、分離膜支持材、人工骨、薬液徐
放材等に好適に用いることができる。また、本発明にか
かるセラミックス被覆多孔質焼結体の製造方法によれ
ば、上記セラミックス被覆多孔質焼結体を容易に得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施形態にかかるセラミック
ス被覆多孔質焼結体を構成する、連球状開気孔を有する
多孔質焼結セラミックス基材の多孔質構造を模式的に示
した図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態にかかるセラミック
ス被覆多孔質焼結体を構成する、粒子結合した形態の多
孔質焼結セラミックス層の多孔質構造を模式的に示した
図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態にかかる、多孔質焼
結アルミナ層が被覆されたアルミナ被覆多孔質焼結体の
積層断面構造を示した電子顕微鏡写真であって、(a)
は倍率:×100倍、(b)は倍率:×100倍で示さ
れている。
【図4】図4は、本発明の実施形態にかかる、多孔質焼
結アルミナ層が被覆されたアルミナ被覆多孔質焼結体の
積層断面構造を示した電子顕微鏡写真であって、(a)
は倍率:×1000倍、(b)は倍率:×1000倍、
(c)は倍率:×5000倍で示されている。
【符号の説明】
1 骨格壁部 2 連球状開気孔 3 開口 10 (粒子結合形態の)骨格部 11 空隙部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 市川 明彦 神奈川県秦野市曽屋30番地 東芝セラミッ クス株式会社開発研究所内 (72)発明者 茶木 勝弘 神奈川県秦野市曽屋30番地 東芝セラミッ クス株式会社開発研究所内 Fターム(参考) 4G019 GA02

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 気孔が連通した連球状開気孔を有する多
    孔質焼結セラミックス基材の表面の少なくとも一部が、
    粒子結合した形態の多孔質焼結セラミックス層で被覆さ
    れていることを特徴とするセラミックス被覆多孔質焼結
    体。
  2. 【請求項2】 前記連球状開気孔を有する多孔質焼結セ
    ラミックス基材の気孔率が、50〜95%の範囲にあ
    り、その平均気孔径が50〜1000μmの範囲にある
    ことを特徴とする請求項1に記載されたセラミックス被
    覆多孔質焼結体。
  3. 【請求項3】 前記粒子結合した形態のセラミックス多
    孔質焼結体の気孔率が、5〜45%の範囲にあり、その
    平均細孔径が0.1〜10μmの範囲にあることを特徴
    とする請求項1または請求項2に記載されたセラミック
    ス被覆多孔質焼結体。
  4. 【請求項4】 前記粒子結合した形態のセラミックス多
    孔質焼結体の厚さが50μm〜3mmの範囲にあること
    を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載さ
    れたセラミックス被覆多孔質焼結体。
  5. 【請求項5】 気孔が連通した連球状開気孔を有する多
    孔質焼結セラミックス基材を構成するセラミックス、及
    び/または前記多孔質焼結セラミックス基材を被覆する
    粒子結合した形態の多孔質焼結セラミックス層を構成す
    るセラミックスが、スピネル、コーディエライト、アル
    ミナ、ジルコニア、ムライト、シリカ、ハイドロキシア
    パタイト、リン酸三カルシウム、及びこれらの複合物か
    ら選ばれた少なくとも一種からなることを特徴とする請
    求項1乃至請求項4のいずれかに記載されたセラミック
    ス被覆多孔質焼結体。
  6. 【請求項6】 気孔が連通した連球状開気孔を有する多
    孔質焼結セラミックス基材を構成するセラミックスと、
    前記多孔質焼結セラミックス基材を被覆する粒子結合し
    た形態の多孔質焼結セラミックス層を構成するセラミッ
    クスとが、同種のセラミックスからなることを特徴とす
    る請求項1乃至請求項5のいずれかに記載されたセラミ
    ックス被覆多孔質焼結体。
  7. 【請求項7】 気孔が連通した連球状開気孔を有する多
    孔質焼結セラミックス基材を構成するセラミックスと、
    前記多孔質焼結セラミックス基材を被覆する粒子結合し
    た形態の多孔質焼結セラミックス層を構成するセラミッ
    クスとが、異種のセラミックスからなることを特徴とす
    る請求項1乃至請求項5のいずれかに記載されたセラミ
    ックス被覆多孔質焼結体。
  8. 【請求項8】 攪拌起泡により形成された連球状開気孔
    を有する多孔質焼結セラミックス基材の表面の少なくと
    も一部に、セラミックス原料スラリーを塗布し、乾燥
    後、該セラミックス塗布層が粒子結合形態の多孔質体と
    なるように未熟焼結状態に焼成することを特徴とするセ
    ラミックス被覆多孔質焼結体の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記セラミックス原料スラリーを構成す
    るセラミックス粉末が、粒子径3μm以下の微粒子粉末
    100重量部と粒子径5〜500μmの粗粒子粉末30
    〜2000重量部の混合粉末からなることを特徴とする
    請求項8に記載されたセラミックス被覆多孔質焼結体の
    製造方法。
  10. 【請求項10】 前記スラリーを構成するセラミックス
    粉末が、スピネル、コーディエライト、アルミナ、ジル
    コニア、ムライト、シリカ、ハイドロキシアパタイト、
    リン酸三カルシウム、及びこれらの複合物から選ばれた
    少なくとも一種からなることを特徴とする請求項8また
    は請求項9に記載されたセラミックス被覆多孔質焼結体
    の製造方法。
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