JP2002110969A - 半導体装置およびその製造方法 - Google Patents

半導体装置およびその製造方法

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JP2002110969A
JP2002110969A JP2000296084A JP2000296084A JP2002110969A JP 2002110969 A JP2002110969 A JP 2002110969A JP 2000296084 A JP2000296084 A JP 2000296084A JP 2000296084 A JP2000296084 A JP 2000296084A JP 2002110969 A JP2002110969 A JP 2002110969A
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insulating film
crystal
film
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Masato Koyama
正人 小山
Akira Nishiyama
彰 西山
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Toshiba Corp
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シリコン基板との界面にSiO2層を形成するこ
となくチタン酸化物を形成して、SiO2換算1.5nmの絶縁
膜容量を有するゲート絶縁膜を形成し得るMIS電界効果
トランジスタを製造することのできる半導体装置の製造
方法を提供する。 【解決手段】 MIS電界効果トランジスタを製造する
に当たり、シリコン基板(20)上に、直接あるいはS
iO2換算2nm以下の界面遷移層を介して、非晶質あ
るいは一部にルチル結晶を含む形態のチタン酸化物(2
3)を10nm以下の膜厚で堆積する工程、および、前
記チタン酸化物が形成された前記シリコン基板を15℃
/sec以上の昇温速度で熱処理することによって、膜
厚10nm以下、比誘電率40以上でルチル結晶を含む
チタン酸化物(24)を形成して、ゲート絶縁膜を得る
工程を具備することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体装置および
その製造方法に係り、特にチタン酸化物をゲート絶縁膜
として使用するMIS電界効果トランジスタを備える半
導体装置およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】サブ0.1μm世代のCMOS(Com
plementaly Metal−Oxide−Se
miconductor)デバイスにおけるゲート絶縁
膜は、SiO2換算で1.5nmという高いスペックが
要求されている。厚さ1.5nmのSiO2は、絶縁性
が悪いためゲート絶縁膜として実用できない。そこで、
SiO2よりも比誘電率の大きな材料を利用してゲート
絶縁膜の物理的な膜厚を大きくすることによって絶縁性
を確保しつつ、SiO2換算1.5nmの絶縁膜容量を
得るという、いわゆるHigh−K絶縁膜技術の研究開
発が盛んに行なわれている。
【0003】High−K材料の性能でもっとも重要な
のはその比誘電率である。なんとなれば、同じSiO2
換算膜厚を得るために必要とされるHigh−K絶縁膜
の物理膜厚は、その比誘電率が高いほど厚くすることが
できるので、リーク電流をより低減することができるた
めである。
【0004】実用が検討されているTa25、Ti
2、ZrO2、HfO2、およびLa2 3などのHig
h−K材料のうちで最も比誘電率が高いのはTiO2
あり、LSIのゲート絶縁膜の有力候補とされている。
しかしながら、チタン酸化物の最も好ましい性質である
比誘電率の高さが、現実にゲート絶縁膜として使用され
る水準の薄膜では必ずしも維持できないという現象が複
数の研究で確認されている。
【0005】ここで、図1を参照して、チタン酸化物の
物理膜厚の変化に伴う比誘電率の変化について説明す
る。図1のグラフには、チタン酸化物の物理膜厚と比誘
電率との関係を示した。チタン酸化物は、TiO2ター
ゲットを用いてRFスパッタリングによりSi基板上に
堆積した後、酸素雰囲気で加熱処理(800℃)を施す
ことにより形成したものである。チタン酸化物の膜厚が
減少するにしたがって、その比誘電率が低下することが
図1のグラフに表わされており、特に膜厚20nmと5
0nmとの間で、比誘電率は臨界的な変化を示してい
る。20nm以下の膜厚で形成されたチタン酸化物では
比誘電率<40であり、チタン酸化物以外のHigh−
K材料と同程度の値になってしまう。
【0006】チタン酸化物の薄膜化に伴なう比誘電率劣
化の原因は、その結晶構造の違いにある。チタン酸化物
にはいくつかの結晶形態が存在するが、代表的なものは
比誘電率の高いルチル結晶(ε>90)と比誘電率の低
いアナターゼ結晶(ε〜30)との2つである。図1の
グラフに示された範囲の膜厚のチタン酸化物をX線回折
法により調べたところ、膜厚が50nm以上の場合には
ルチル結晶が支配的であるのに対して、20nm以下の
膜厚ではルチル結晶よりもアナターゼ結晶の方が支配的
であった。特に、膜厚10nmの薄膜では、アナターゼ
結晶単相の膜である。
【0007】10nm以下の薄いチタン酸化膜の結晶構
造がルチル結晶にならないという現象は、TiO2のR
Fスパッタリングという製造方法に特有なものではな
い。例えばCVD(Chemical Vapor D
eposition)法、反応性スパッタリング法など
により形成されたチタン酸化物についても、その結晶構
造がアナターゼ結晶であることが報告されている。
【0008】これらの実験結果に共通しているのは、8
00〜900℃という、チタン酸化物のバルク結晶では
アナターゼ結晶からルチル結晶への相転移に十分な高温
で加熱処理しているにもかかわらず、アナターゼ結晶が
安定に存在しているという点である。ちなみに、TiO
2のRFスパッタリングにより形成された膜厚10nm
のチタン酸化物の場合、1000℃で加熱したところで
ルチル結晶への相転移は認められなかった。チタン酸化
物の膜厚が10nm程度に薄くなった際に、アナターゼ
結晶からルチル結晶への相転移が阻害されているものと
考えられる。
【0009】薄膜のチタン酸化物でルチル結晶を得る方
法としては、チタン窒化物を酸素雰囲気中で熱処理する
方法が挙げられる。この方法によれば、10nm程度の
薄膜の場合であっても、チタン酸化物は最も安定なルチ
ル結晶となる。チタン窒化物を酸化するこの手法では、
準安定相であるアナターゼ結晶が形成されない。したが
って、薄膜化に伴なうアナターゼ結晶からルチル結晶へ
の相転移阻害の影響を回避できるためである。
【0010】しかしながら、上述したような手法でルチ
ル結晶を得るためには、少なくとも700℃以上の酸素
雰囲気中での加熱が必要である。このような環境では、
雰囲気から拡散した酸素によって、チタン酸化物の下に
存在するシリコン基板の酸化が進行してしまうという問
題がある。例えば700℃で加熱すると、少なくとも2
nm以上のシリコン酸化膜がチタン酸化膜とSi基板と
の間に形成される。ゲート絶縁膜の構造としてチタン酸
化物/シリコン酸化膜積層となることは、界面特性の点
から悪いことではないが、シリコン酸化膜が2nm以上
になってしまうことは、チタン酸化膜との積層で2nm
以上の性能しか得られないことを意味している。したが
って、SiO2換算1.5nmという性能を得るために
は、この手法は用いることができない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
のチタン酸化物の製造方法では、実際にゲート絶縁膜で
使用される10nm以下の膜厚では結晶構造がルチル結
晶にならず、他の材料に対する誘電率の高さという優位
性が得られなかった。チタン窒化物を酸化すれば、ルチ
ル結晶を含む膜厚10nm以下のチタン酸化物を得るこ
とが可能となるものの、この場合にはチタン窒化物の酸
化条件でシリコン基板が2nm以上酸化されてしまう。
このため、SiO2換算1.5nmという性能を得る上
でこの手法を採用することができなかった。
【0012】本発明は、上述の問題点を考慮してなされ
たものであり、その目的は、チタン酸化物からなるとと
もにSiO2換算1.5nmの絶縁膜容量を有するゲー
ト絶縁膜を具備したMIS電界効果トランジスタを有す
る半導体装置を提供することを目的とする。
【0013】また本発明は、シリコン基板との界面にS
iO2層を形成することなくチタン酸化物を形成して、
SiO2換算1.5nmの絶縁膜容量を有するゲート絶
縁膜を形成し得るMIS電界効果トランジスタを製造す
ることのできる半導体装置の製造方法を提供することを
目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、シリコン基板と、前記基板上に直接ある
いはSiO2換算2nm以下の界面遷移層を介して形成
されたゲート絶縁膜と、ゲート電極とを具備し、前記ゲ
ート絶縁膜は、膜厚10nm以下、比誘電率40以上の
チタン酸化物から構成され、このチタン酸化物中にルチ
ル結晶が存在するMIS(Metal−Insulat
or−Semiconductor)電界効果トランジ
スタを備えることを特徴とする半導体装置を提供する。
【0015】また、本発明は、MIS電界効果トランジ
スタを製造するに当たり、シリコン基板上に、直接ある
いはSiO2換算2nm以下の界面遷移層を介して、非
晶質あるいは一部にルチル結晶を含む形態のチタン酸化
物を10nm以下の膜厚で堆積する工程、および前記チ
タン酸化物が形成された前記シリコン基板を15℃/s
ec以上の昇温速度で熱処理することによって、膜厚1
0nm以下、比誘電率40以上でルチル結晶を含むチタ
ン酸化物を形成して、ゲート絶縁膜を得る工程を具備す
ることを特徴とする半導体装置の製造方法を提供する。
【0016】本発明においては、High−K材料とし
て最も有望なチタン酸化物の高い比誘電率を発揮させつ
つ、実際に使用される膜厚でゲート絶縁膜を形成するた
めに、その膜厚を10nm以下とするとともに比誘電率
を40以上に限定した。界面遷移層を介してシリコン基
板上にゲート絶縁膜が形成される場合には、SiO2
算1.5nmの絶縁膜容量を確保するために、その界面
遷移層の膜厚を2nm以下に規定している。
【0017】上述したような膜厚および比誘電率を備え
るとともにルチル結晶を含むチタン酸化物からなるゲー
ト絶縁膜を得るためには、本発明者らは急速に昇温して
熱処理を施す必要があることを見出して、その昇温速度
を15℃/sec以上に規定したものである。
【0018】以下、本発明を詳細に説明する。
【0019】従来の方法でルチル結晶を含むチタン酸化
物を形成できなかったのは、チタン酸化物の成膜/加熱
の製造工程において次の2つの現象が生じることによ
る。一つは、チタン酸化物の結晶形態として低温相であ
るアナターゼ結晶が形成されてしまうことであり、もう
一つは、10nm以下の膜厚ではアナターゼ結晶からル
チル結晶への相転移が阻害されて、アナターゼ結晶が安
定化してしまうことである。ルチル結晶を含むチタン酸
化物を薄膜で形成するためには、この2つの阻害要因を
同時にクリアする必要がある。
【0020】本発明の製造方法においては、まず、チタ
ン酸化物の初期状態としてアナターゼ結晶を含まず、完
全な非晶質あるいはその一部にルチル結晶を含む形態の
薄膜を準備する。こうした初期状態を準備することによ
って、原理的にアナターゼ結晶の成長とその安定化とを
避けることが可能となる。
【0021】さらに本発明の方法においては、こうした
アナターゼ結晶を含まないチタン酸化物を急速に熱処理
する。室温からルチル結晶が安定となる高温域まで昇温
する過程において、ルチル結晶よりもアナターゼ結晶が
安定となる低温域を通過することは避けられないので、
この段階でアナターゼ結晶が成長して安定化する可能性
がある。しかしながら、昇温速度を高くすることによっ
て、アナターゼ結晶が安定となる中間温度域をすばやく
通過させて、アナターゼ結晶が核発生したとしてもその
成長を抑制し、ルチル結晶の核発生と成長を優先的に進
めることが可能となる。
【0022】また本発明における急速熱処理は、チタン
酸化物の結晶化を行なう目的でなされるため、必ずしも
酸素雰囲気を必要とされない。したがって、従来法のチ
タン窒化物酸化の際に問題となっていたような、シリコ
ン基板の酸化を原理的に回避することができる。
【0023】ここで、従来法と比較しながら図2ないし
図5を参照して、本発明の原理を説明する。
【0024】図2は、従来の手法におけるチタン酸化物
結晶の成長を示した模式図であり、この場合には、アナ
ターゼ結晶を含むチタン酸化物が熱処理される。図2
(a)に示されるように、初期状態(成膜後)において
はSi基板20上のチタン酸化物21にアナターゼ結晶
が存在している。熱処理工程でアナターゼ結晶の核成長
が進行し、薄膜特有のルチル結晶への相転移阻害によっ
て、最終形態(加熱処理後)のチタン酸化物22は、図
2(b)に示すようにアナターゼ結晶から構成される。
【0025】図3は、非晶質あるいはその一部にルチル
結晶を含むチタン酸化物を、1℃/sec程度の低速で
昇温した場合の、チタン酸化物の結晶化を示した模式図
である。初期状態(成膜後)においては、図3(a)に
示すように、Si基板20上に非晶質チタン酸化物23
が形成されている。300℃〜700℃では、アナター
ゼ結晶の方が生成エネルギーが低いため、この温度範囲
ではアナターゼ結晶が優先的に核発生/成長する。しか
も昇温速度が1℃/secと遅いため、アナターゼ結晶
が十分成長してしまい、その後ルチル結晶が安定になる
高温域に達したときには、薄膜特有のルチル結晶への相
転移阻害によって、膜の最終形態(加熱処理後)のチタ
ン酸化物22は、図3(b)に示すようにアナターゼ結
晶から構成される。
【0026】図4は、本発明の方法におけるチタン酸化
物の結晶化を示した模式図であり、ここでは、非晶質あ
るいはその一部にルチル結晶を含むチタン酸化物が、1
5℃/sec以上の速い昇温速度で加熱処理される。初
期状態(成膜後)においては、図4(a)に示すよう
に、Si基板20上に非晶質チタン酸化物23が形成さ
れている。昇温速度が速いので、アナターゼ結晶の核発
生/成長に対しルチル結晶の核発生/成長を優先的に進
めることができ、最終形態(加熱処理後)には、図4
(b)に示すようにルチル結晶の占有度を高めたチタン
酸化物24が得られる。
【0027】図5は、従来法のチタン酸化物の形成過程
を示す模式図であり、ここでは、チタン窒化物が酸素雰
囲気で熱処理される。初期状態(成膜後)には、図5
(a)に示すように、Si基板20上にチタン窒化物2
5が形成されている。この手法では、酸素雰囲気で熱処
理が行なわれ、しかもその温度は少なくとも700℃以
上と高温である。このため、最終状態(加熱処理後)に
は、図5(b)に示すようにルチル結晶を含むチタン酸
化物26が形成されるものの、シリコン基板が2nm以
上酸化されることによってSiO2層27が形成され
る。その結果、絶縁膜容量が許容できないほどに低下し
てしまう。
【0028】図6は、図3(b)および図4(b)に示
した最終形態のチタン酸化物22および24に対応した
XRDの結晶スペクトルである。チタン酸化膜は、ヘリ
カルスパッタ方式によるTiO2ターゲットからのスパ
ッタリングによって準備したものであり、最終熱処理温
度はともに950℃である。昇温速度1℃/secの際
にはアナターゼ結晶しか得られないのに対し、15℃/
secで昇温した際には、ルチルが支配的で、わずかに
アナターゼのピークが観察される。この結晶の特徴を反
映して、膜の比誘電率はアナターゼ単相の場合よりも高
くなった。具体的には、1℃/secで昇温して得られ
たチタン酸化物の比誘電率は30であるのに対し、15
℃/secで昇温して得られたチタン酸化物の比誘電率
は60である。
【0029】以上のように、本発明の方法を用いること
によって、少なくともその一部にルチル結晶を含む膜厚
10nm以下のチタン酸化物を、シリコン基板表面の酸
化を抑制しながら形成することが可能となる。アナター
ゼ結晶の比誘電率が30程度であるのに対して、ルチル
結晶の比誘電率は90以上なので、本発明のMIS電界
効果トランジスタにおけるチタン酸化物の比誘電率は、
少なくとも40以上となる。比誘電率の最大値は170
であり、この値はルチル結晶の比誘電率でこの材料の最
大値である。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ、本発明
を用いたMISFET(Metal−Insulato
r−Semiconductor Field Eff
ect Transistor)およびその製造方法を
説明する。
【0031】(実施例1)図7は、本実施例のMISF
ETの断面構造である。
【0032】図示するように、素子分離領域2を有する
シリコン基板1上には、ゲート電極8/少なくとも一部
にルチル結晶を含むチタン酸化物7/界面遷移層6の積
層からなるMIS構造が形成されている。これらは、キ
ャップSiO2膜9とともにゲート側壁5に取り囲まれ
ており、シリコン基板1中には、高濃度に不純物を拡散
した深い拡散領域3および浅い拡散領域4が、MIS構
造に自己整合的に形成されている。
【0033】次に、図8を参照して本実施例にかかるM
ISFETの製造方法を説明する。
【0034】まず、通常の工程により素子分離2を施し
たシリコン基板1を準備し、この基板を希HF水溶液で
処理して、シリコン表面の自然酸化膜を除去する。この
後、基板上に非晶質あるいはその一部にルチル結晶を含
むチタン酸化物10を、10nm以下の膜厚で堆積す
る。本発明において膜厚を10nm以下としたのは、S
iO2換算1.5nmの性能を得るためにはこのような
薄膜が必要なためである。膜厚は少なくとも2nm以上
あることが望ましい。薄すぎるとリーク電流が増加す
る。より好ましくは、膜厚は2nm以上5nm以下であ
る。このような酸化物の堆積手法としては、スパッタリ
ング法、CVD法など任意のものを用いることができる
が、一例として、ヘリカルスパッタ方式による成膜の例
を説明する。
【0035】本実施例では、シリコン基板との界面酸化
膜を極力減少させるため、2stepスパッタによりチ
タン酸化物を堆積した。第一ステップにおいては、Ar
ガスのみを用いて、アルゴン流量14sccm、電力6
0Wの条件でTiO2をスパッタした。引き続いて、ア
ルゴン/酸素混合ガスを用いて第二ステップのTiO 2
スパッタを行なった。アルゴン/酸素の流量比は14/
0.3sccm、電力は80Wとした。第二ステップに
おいて酸素ガスを混合することによって、チタン酸化膜
自体に酸素が十分含まれるようになり、結果としてリー
ク電流が大きく減少する。
【0036】2stepの合計で膜厚10nmの平坦性
のよいチタン酸化物が堆積された。なお、堆積時の基板
温度は常温であった。このようにして成膜されたチタン
酸化物をX線回折法で分析したところ何の結晶ピークも
得られず、断面のTEM観察からも、この膜が全く結晶
を含まないアモルファスの形態であることが確認され
た。成膜の直後には、図8(a)に示すようにチタン酸
化膜10とシリコン基板1との間には、界面遷移層6が
形成されている。これは、第一ステップのTiO 2堆積
時に雰囲気の残留酸素あるいはTiO2ターゲットに含
まれる酸素がスパッタのためのプラズマで励起されて、
シリコン表面を酸化してしまったものと考えられる。そ
の界面遷移層6の膜厚は1nm以下であり、チタン酸化
物10と界面遷移層6との積層でSiO2換算1.5n
mという性能を得るうえでは問題ない厚みに抑えられて
いる。本発明において界面遷移層は、薄ければ薄いほど
望ましいが、不可避的に0.5nm以上2nm以下の界
面遷移層6が設けられていてもよい。
【0037】こうして形成されたチタン酸化物10の上
に、図8(b)に示すように、ゲート電極8およびキャ
ップSiO2膜9を堆積する。熱的安定性およびしきい
値制御における仕事関数の適性さの観点から、ゲート電
極8はシリコン、チタン窒化物などにより形成すること
が好ましい。キャップSiO2膜9は、例えばゲート電
極8としてチタン窒化物を用いる場合などに、このチタ
ン窒化物を酸化から保護する目的で使用される。
【0038】その後、ゲート電極8およびキャップSi
2膜9がチタン酸化物10上に形成された基板を急速
熱処理して、図8(c)に示すように少なくとも一部に
ルチル結晶を含むチタン酸化物7を形成する。本発明に
おいて熱処理の条件としては、室温からの昇温速度15
℃/sec以上とし、シリコン基板の酸化を極力予防す
るために、N2雰囲気、希ガス雰囲気等の酸素を含まな
い非酸化性雰囲気が望まれる。また最終熱処理温度は、
ルチル結晶が安定となる700〜1000℃の範囲が好
ましい。昇温速度が速ければ速いほど、アナターゼ結晶
粒の成長が抑えられるため望ましい。現行の製造装置で
の昇温速度の上限はほぼ150℃/secである。ここ
では一例として最終熱処理温度950℃、昇温速度15
℃/sec、900℃での保持時間30秒、窒素雰囲気
で熱処理を行なった。熱処理後の結晶構造は、図6のス
ペクトルに示したようにルチル結晶が支配的な形態とな
っている。
【0039】チタン酸化物の結晶化に急速熱酸化を用い
ることによって、チタン酸化物結晶の粒径を小さくする
という効果ももたらされる。急速熱酸化を用いない場
合、例えば60分間程度の長時間熱処理を行なう場合に
は、アナターゼ結晶粒の成長が起こって、その粒径は大
きい場合には200nm程度になり得る。しかも、その
粒界には成長しきれなかった微細粒子が生じて、粒径の
ばらつきが生じてしまう。このように粒径が大きくばら
ついた膜でゲート絶縁膜が構成されると、同一のシリコ
ンウェハ上におけるデバイス間で、一つのトランジスタ
のゲート絶縁膜中に含まれる粒子数が変化するおそれが
ある。あるいはゲート絶縁膜中に一つの粒子しか含まれ
ない場合でも、その配向の違いなどに起因して、結果と
してデバイス特性(しきい値電圧、リーク電流など)に
大きなばらつきが生じることが予想される。
【0040】これに対して、典型的には例えば昇温時間
+最終熱処理温度30秒程度の短時間熱処理が設定でき
る急速熱処理を用いた場合には、結晶の粒成長が十分起
きないままに熱処理が終了するために、核発生の段階で
の粒子形態により最終的な膜の粒子構造が決定される。
これによって結晶の粒径は非常に小さくなり、典型的に
はゲート長以下、すなわち10nm以下になる。配向性
の観点からは、粒成長が抑制されることによって、より
ランダムな配向となるものの、粒径が10nm以下であ
るため、一つのトランジスタのゲート絶縁膜に含まれる
粒子は数10以上の単位となり、平均化の効果でデバイ
ス間のばらつきはほとんど無視できるようになる。最終
熱処理温度での保持時間は、15秒〜1分とすることが
望ましい。
【0041】また、本実施例のようにチタン酸化物上に
ゲート電極を堆積し、その後に結晶化の熱処理を行なう
場合は、チタン酸化物の凝集を抑制し、膜を平坦なまま
に維持する効果をも有する。
【0042】この後、図8(c)の基板に対し公知の方
法によってゲート加工、浅い拡散層形成、ゲート側壁形
成、深い拡散層形成を施すことにより、図7に示すMI
SFETが得られる。なお、図7中には示されていない
が、少なくとも一部にルチル結晶を含むチタン酸化物か
らなるゲート絶縁膜7とゲート電極8との間には、Si
2換算2nm以下の界面遷移層がさらに形成されてい
てもよい。この場合には、ゲート絶縁膜7とゲート電極
8との密着性、およびその界面の電気的特性、さらにゲ
ートリーク電流の性能が向上する。
【0043】(実施例2)図9は、本実施例のMISF
ETの断面図である。
【0044】図示するように、素子分離領域2を有する
シリコン基板1上に、ゲート電極8/少なくとも一部に
ルチル結晶を含むチタン酸化物7/界面遷移層6の積層
からなるMIS構造が形成されており、これらはゲート
側壁5、SiN膜13、およびSiO2膜12により取
り囲まれている。また、シリコン基板1中には、高濃度
に不純物を拡散した深い拡散領域3、浅い拡散領域4、
およびサリサイド11が、MIS構造に自己整合的に形
成されている。
【0045】図10には、本実施例にかかるMISFE
Tの製造方法の工程の一例を表わす断面図を示す。
【0046】まず、公知の工程により、いわゆるリプレ
ースメントゲートの方式で、シリコン基板1内に拡散層
3,4、およびサリサイド11を形成した。さらに、ゲ
ート側壁5、SiN膜13およびSiO2膜12を形成
した後、ゲートMIS構造となるべき部分を開孔した。
こうしたシリコン基板に対し、非晶質あるいは少なくと
も一部にルチル結晶を含むチタン酸化物10を堆積す
る。チタン酸化物の堆積方法としては、スパッタリング
法、CVD法など任意のものを用いることができるが、
本実施例では、ゲート構造となるべき溝の部分に段差被
覆性よくチタン酸化物を堆積するという目的から、CV
D法による成膜が好ましい。CVDの原料ガスとして
は、有機系、塩素系など特に限定されない。その後、ゲ
ート電極8、例えばチタン窒化物をスパッタ法などによ
り堆積する。こうして、図10(a)に示すような構造
が得られる。
【0047】引き続き、図10(a)に示す構造のシリ
コン基板を、非酸化性雰囲気、例えば窒素雰囲気で急速
熱処理することにより、図10(b)に示す構造が得ら
れる。本実施例では、拡散層3,4、およびサリサイド
11などがシリコン基板11中にすでに作り込まれてい
るために、これらの構造を破壊しないよう、最終的に熱
処理温度としては700〜900℃の範囲で行なう必要
がある。昇温速度としては、実施例1と同様、15℃/
sec以上に設定する。最終熱処理温度での保持時間
は、15秒〜1分であることが望ましい。熱処理完了
後、CMPなどによる平坦化を行なって、図9のMIS
FETが得られる。
【0048】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、チ
タン酸化物からなるとともにSiO2換算1.5nmの
絶縁膜容量を有するゲート絶縁膜を具備したMIS電界
効果トランジスタを有する半導体装置が提供される。ま
た本発明によれば、シリコン基板との界面にSiO2
を形成することなくチタン酸化物を形成して、SiO2
換算1.5nmの絶縁膜容量を有するゲート絶縁膜を形
成し得るMIS電界効果トランジスタを製造することの
できる半導体装置の製造方法が提供される。
【0049】本発明により、絶縁膜容量が非常に高く、
リーク電流は少ないという、従来よりも高性能なHig
h−Kゲート絶縁膜を有する高速シリコンLSIを得る
ことが可能となり、その工業的価値は絶大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】チタン酸化物の膜厚と比誘電率との関係を表わ
すグラフ図。
【図2】従来法のチタン酸化物結晶の成長を表わす模式
図。
【図3】従来法のチタン酸化物結晶の成長を表わす模式
図。
【図4】本発明におけるチタン酸化物結晶の成長を表わ
す模式図。
【図5】従来法のチタン酸化物結晶の成長を表わす模式
図。
【図6】非晶質チタン酸化物の熱処理による結晶化にお
ける昇温速度の影響を表わすXRD結晶スペクトル。
【図7】本発明におけるMISFETの一例を表わす断
面図。
【図8】本発明におけるMISFETの製造工程の一例
を表わす断面図。
【図9】本発明におけるMISFETの他の例を表わす
断面図。
【図10】本発明におけるMISFETの製造工程の他
の例を表わす断面図。
【符号の説明】
1…Si基板 2…素子分離領域 3…深い拡散層 4…浅い拡散層 5…ゲート側壁 6…界面遷移層 7…少なくとも一部にルチル結晶を含むチタン酸化物 8…ゲート電極 9…キャップSiO2膜 10…非晶質あるいはその一部にルチル結晶を含むチタ
ン酸化物 11…サリサイド 12…SiO2膜 13…SiN膜 20…Si基板 21…アナターゼ結晶を含むチタン酸化物 22…アナターゼ結晶を含むチタン酸化物 23…非晶質チタン酸化物 24…ルチル結晶を含むチタン酸化物 25…チタン窒化物 26…ルチル結晶を含むチタン酸化物 27…SiO2
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5F040 DA00 DC01 EC04 ED01 ED07 EF13 EH07 FA03 FA11 FA16 FB04 5F058 BA01 BC03 BF14 BJ01 BJ04

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリコン基板と、前記基板上に直接ある
    いはSiO2換算2nm以下の界面遷移層を介して形成
    されたゲート絶縁膜と、ゲート電極とを具備し、 前記ゲート絶縁膜は、膜厚10nm以下、比誘電率40
    以上のチタン酸化物から構成され、このチタン酸化物中
    にルチル結晶が存在するMIS電界効果トランジスタを
    備えることを特徴とする半導体装置。
  2. 【請求項2】 前記ゲート絶縁膜とゲート電極との間に
    形成されたSiO2換算2nm以下の界面遷移層をさら
    に具備するMIS電界効果トランジスタを備えることを
    特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  3. 【請求項3】 前記ゲート絶縁膜を構成するチタン酸化
    物の粒径は、ゲート長以下であるMIS電界効果トラン
    ジスタを備えることを特徴とする請求項1または2に記
    載の半導体装置。
  4. 【請求項4】 MIS電界効果トランジスタを製造する
    に当たり、シリコン基板上に、直接あるいはSiO2
    算2nm以下の界面遷移層を介して、非晶質あるいは一
    部にルチル結晶を含む形態のチタン酸化物を10nm以
    下の膜厚で堆積する工程、および前記チタン酸化物が形
    成された前記シリコン基板を15℃/sec以上の昇温
    速度で熱処理することによって、膜厚10nm以下、比
    誘電率40以上でルチル結晶を含むチタン酸化物を形成
    して、ゲート絶縁膜を得る工程を具備することを特徴と
    する半導体装置の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記熱処理は、非酸化性雰囲気で行なわ
    れることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製
    造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007243003A (ja) * 2006-03-10 2007-09-20 Oki Electric Ind Co Ltd 半導体装置の製造方法
JP2011003620A (ja) * 2009-06-16 2011-01-06 Toyota Central R&D Labs Inc 電磁気素子用絶縁膜及び電界効果素子

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