JP2002107300A - 蛍光寿命測定装置及び測定方法 - Google Patents

蛍光寿命測定装置及び測定方法

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JP2002107300A
JP2002107300A JP2000294820A JP2000294820A JP2002107300A JP 2002107300 A JP2002107300 A JP 2002107300A JP 2000294820 A JP2000294820 A JP 2000294820A JP 2000294820 A JP2000294820 A JP 2000294820A JP 2002107300 A JP2002107300 A JP 2002107300A
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fluorescent
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excitation light
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JP2000294820A
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Shinji Osuga
慎二 大須賀
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Hamamatsu Photonics KK
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Hamamatsu Photonics KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 蛍光寿命を高精度に測定できるとともに、測
定効率を向上できる蛍光寿命測定装置及びその測定方法
を提供する。 【解決手段】 試料5からの蛍光光子を検出した検出器
8から出力されるパルス波形は、増幅された後、積分回
路11により積分される。この積分値に基づいて波形整
形増幅器12により得られた波高値に基づき、波高弁別
器13によって所定の個数の蛍光光子が検出されたこと
が検知される。所定個数の蛍光光子が検出されると、ピ
ークホールド回路10に保持されていたピーク電圧値が
AD変換器14へと出力され、デジタル値に変換された
る。このデジタル値がメモリ回路15へと出力され、メ
モリ回路15においてピーク電圧値の分布が取得され
る。このピーク電圧値の分布に基づいて演算回路16に
おいて蛍光寿命が求められる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被測定試料に励起
光を照射し、当該試料から放出される蛍光の寿命を測定
する蛍光寿命測定装置及びその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、蛍光性物質等を含む試料から放出
される蛍光の寿命を測定するに際しては、一般的に時間
相関単一光子計数法が用いられていた。この測定方法に
おいては、試料にパルス励起光を照射した時点から試料
より放出された蛍光光子が検出される時点までの時間間
隔が測定される。そして、パルス励起光照射を複数回行
ってこの時間間隔の分布を求め、その分布に基づいて蛍
光寿命を算出している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の
測定方法においては、パルス励起光照射1回当たりに検
出される蛍光光子の個数が平均0.02個程度でなけれ
ば、蛍光寿命を高精度に測定ができない。このような状
況では、蛍光寿命を算出するに足りるデータを取得する
ためには、パルス励起光照射を多数回繰り返し行なわな
ければならず、そのため測定に長い時間がかかり、測定
効率が低いという問題点があった。
【0004】本発明は、上記の問題点を解決するために
なされたもので、蛍光寿命を高精度に測定できるととも
に、測定効率を向上できる蛍光寿命測定装置及びその測
定方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明の蛍光寿
命測定装置は、パルス励起光を試料に照射し、試料から
放出される蛍光の寿命を測定する蛍光寿命測定装置であ
って、(1)試料に対してパルス励起光を照射する光源
と、(2)パルス励起光が照射された試料から放出される
蛍光光子を検出し、その検出に応じた出力パルス波形を
出力する検出器と、(3)パルス励起光の照射1回毎に、
検出器から出力される出力パルス波形を積分して、その
積分値を出力する積分手段と、(4)積分手段から出力さ
れる積分値に基づいて、パルス励起光の照射1回当たり
に放出される蛍光光子の個数が所定の個数であるか否か
を検知し、放出された蛍光光子の個数が所定の個数であ
ったときに検知信号を出力する個数検知手段と、(5)出
力パルス波形のピーク電圧値を取得して、個数検知手段
から出力された検知信号を受け取ったときの出力パルス
波形のピーク電圧値に基づいてピーク電圧値の分布を取
得する取得手段と、(6)ピーク電圧値の分布に基づいて
蛍光寿命を算出する演算手段とを備えることを特徴とす
る。
【0006】上記構成の蛍光寿命測定装置においては、
光源からのパルス励起光の照射により試料から蛍光光子
が放出され、この蛍光光子を検出した検出器から出力パ
ルス波形が出力される。この出力パルス波形が積分手段
により積分されて得られる積分値に基づいて、試料から
放出される蛍光光子の個数が所定の個数であるかどうか
が個数検知手段によって検知される。所定の個数の蛍光
光子が検知されると、個数検知手段から検知信号が出力
される。取得手段により、上記の出力パルス波形のピー
ク電圧値が取得されるとともに、検知信号が出力された
ときの上記出力パルス波形のピーク電圧値に基づいて、
ピーク電圧値の分布が取得される。このピーク電圧値の
分布に基づいて演算手段により蛍光寿命が算出される。
【0007】すなわち、所定の個数の蛍光光子が放出さ
れたときに得られる出力パルス波形のピーク電圧値の分
布が求められ、このピーク電圧値の分布に基づいて蛍光
寿命が算出される。そのため、従来の時間相関単一光子
計数法とは異なり、試料から放出される蛍光光子が複数
個の場合であっても蛍光寿命を算出することができる。
その結果、パルス励起光の照射を必要以上に繰り返す必
要がなく、蛍光寿命の測定時間を短縮することができ
る。
【0008】また、本発明の蛍光寿命測定装置は、検出
器がアバランシェフォトダイオードを含んで構成されて
いることが好適である。
【0009】これにより、検出器において電子増倍がな
される際に、電子増倍利得の揺らぎを小さくすることが
できる。そのため、上記の積分値に基づいて波高の分布
を求める場合に、試料から放出される蛍光光子の個数に
応じた明確に分離したピークを得ることができる。した
がって、波高弁別を容易に行なえるようになり、所定の
個数の蛍光光子が放出されたことを容易に知ることがで
きるようになる。
【0010】また、本発明の蛍光寿命測定方法は、パル
ス励起光を試料に照射し、試料から放出される蛍光の寿
命を測定する蛍光寿命測定方法であって、(1)パルス励
起光の照射によって試料から放出される蛍光光子を検出
器により検出し、(2)パルス励起光の照射1回毎に、検
出器から出力される出力パルス波形を積分して、その積
分値を出力し、(3)この積分値に基づいて、パルス励起
光の照射1回当たりに放出される蛍光光子の個数が所定
の個数であるか否かを検知するとともに、放出された蛍
光光子の個数が所定の個数であったときに検知信号を出
力し、(4)出力パルス波形のピーク値を取得して、検知
信号が出力されたときの出力パルス波形のピーク電圧値
に基づいてピーク電圧値の分布を取得し、(5)ピーク電
圧値の分布に基づいて蛍光寿命を算出することを特徴と
する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面と共に本発明による蛍
光寿命測定装置及びその測定方法の好適な実施形態につ
いて説明する。なお、同一の要素には同一の符号を用い
ることとし、重複する説明は省略する。
【0012】図1は、本発明に係る蛍光寿命測定装置の
好適な実施形態の一例を模式的に示す構成図である。
【0013】蛍光寿命測定装置1は、光観測部2と信号
処理部3とを備える。
【0014】光観測部2は、レンズ系4を介してパルス
励起光LPを試料5に照射するレーザ光源6と、レーザ
光源6からのパルス励起光の照射により試料5から放出
された蛍光光子をレンズ系7を介して検出する検出器8
とから構成される。
【0015】本実施の形態においては、検出器8とし
て、ハイブリッドフォトディテクタが採用される。この
検出器8は、円筒状を成し内部が真空に保たれた真空容
器8aを備えている。この真空容器8aの一方の面に
は、試料5から放出される蛍光に対して透明な材料から
成る入射窓8bが設けられている。真空容器8aの内部
において、この入射窓8bを透過する蛍光光子を受光す
るとともに、蛍光光子を受光する面と反対側の面より電
子を放出させる光電変換面8cが設けられている。ま
た、真空容器8aの内部において、光電変換面8cの入
射窓8bと反対側の位置には、アバランシェフォトダイ
オード8eが設けられている。光電変換面8cとアバラ
ンシェフォトダイオード8eとの間には高電圧が印加さ
れており、この高電圧により、光電変換面8cとアバラ
ンシェホトダイオード8eの間の空間には高電界場が形
成されている。この高電界場により、光電変換面8cか
ら放出された電子が加速されてアバランシェフォトダイ
オード8eに入射される。
【0016】信号処理部3は、検出器8から出力される
パルス波形を増幅する増幅器9と、増幅器9からの増幅
されたパルス波形のピーク電圧値を所定の時間保持する
ピークホールド回路10と、増幅器9から出力されたパ
ルス波形を積分する積分回路11(積分手段)と、積分
回路11の積分出力を整形して検出器8で生成された電
荷量に比例した波高値を有するパルスを出力する波形整
形増幅器12と、波形整形増幅器12からの出力パルス
の波高値が所定の範囲にある場合に限り論理パルス(検
知信号)を出力する波高弁別器13とを備えている。こ
こで、波形整形増幅器12と波高弁別器13とから個数
検知手段が構成される。
【0017】信号処理部3は、また、AD変換器14と
メモリ回路15とを有している。AD変換器14は、波
高弁別器13からの論理パルスによりトリガーされて、
ピークホールド回路10が保持していたピーク電圧値を
デジタル値に変換するとともに、デジタル値に変換され
たピーク電圧値をメモリ回路15へと出力する。メモリ
回路15は、デジタル値を読み込んでピーク電圧値の分
布を取得する。なお、本実施の形態においては、ピーク
ホールド回路10、AD変換器14、及びメモリ回路1
5により取得手段が構成される。
【0018】更に、信号処理部3は、メモリ回路15に
より取得されたピーク電圧値の分布に基づいて蛍光寿命
を算出する演算回路16(演算手段)を備えている。
【0019】また、蛍光寿命測定装置1には、レーザ光
源6、ピークホールド回路10、積分回路11、及びメ
モリ回路15を制御する制御回路17が設けられてい
る。
【0020】次に、上記の蛍光寿命測定装置1の動作に
ついて説明するとともに、蛍光寿命測定方法についても
説明する。
【0021】測定の開始に先立って、ピークホールド回
路10、積分回路11、及びメモリ回路15に対して制
御回路17からリセット信号が送られる。これにより、
ピークホールド回路10に保持されていたパルス波形の
ピーク電圧値、及び積分回路11の積分値がゼロにさ
れ、また、メモリ回路15がリセットされる。
【0022】制御回路17からレーザ光源6に対してト
リガー信号が送られ、これによりレーザ光源6からパル
ス励起光LPが放出される。このパルス励起光LPがレン
ズ系4により集光されて試料5に照射されると、試料5
から蛍光光子が放出される。この蛍光光子は、レンズ系
7により集光されて検出器8へと入射される。
【0023】検出器8へと入射された蛍光光子は、入射
窓8bを透過して検出器8の光電変換面8cに到達す
る。ここで、光電変換面8cの蛍光が照射した面と反対
側の面から、電子が放出される。この電子は、光電変換
面8cとアバランシェフォトダイオード8eとの間に形
成された高電界場により加速され、アバランシェフォト
ダイオード8eに到達する。アバランシェフォトダイオ
ード8eに電子が入射されると、電離作用により電子が
アバランシェフォトダイオード8e中で失ったエネルギ
ー3.6eV当たり1個の電子−正孔対が生成され、さ
らに電子の個数はアバランシェフォトダイオード8eの
電子なだれ効果により増倍される。この電子増倍された
電子がパルス波形として増幅器9へと出力される。
【0024】増幅器9に入力されたパルス波形は、増幅
器9において増幅された後、ピークホールド回路10及
び積分回路11に対して出力される。この増幅されたパ
ルス波形を入力したピークホールド回路10は、制御回
路17からリセット信号が再度入力されるまでパルス波
形のピーク電圧値を保持する。一方、積分回路11に入
力された出力パルス波形は、積分回路11にて積分され
た後、波形整形増幅器12へと出力される。波形整形増
幅器12では、積分回路11の出力が整形され、検出器
8で生成された電荷量に比例した波高値を有するパルス
が出力される。
【0025】その後、波形整形増幅器12のパルスの波
高が所定の範囲にあることが波高弁別器13により判定
された場合に限って、波高弁別器13から論理パルスが
出力される。そして、AD変換器14は、この論理パル
スにトリガーされてピークホールド回路10に保持され
ていたピーク電圧値をデジタル値に変換するとともに、
このデジタル値をメモリ回路15に対して出力する。こ
のデジタル値を受け取ったメモリ回路15内において、
そのデジタル値に対応したアドレスに格納されていた数
値に1が加算される。
【0026】以下に、上記構成の蛍光寿命測定装置1を
用いた本発明による蛍光寿命測定方法の好適な一実施形
態について、図1に加え、図2及び図3を参照しながら
詳細に説明する。
【0027】図2は、検出器8により2個の蛍光光子が
観測された場合に、増幅器9から出力されるパルス波形
の一例を模式的に示すグラフである。
【0028】まず、パルス励起光照射1回につき1個の
蛍光光子が検出器8により検出された場合を考えると、
増幅器9からのパルス波形は、極めて急峻に立ち上がり
徐々に減衰していくような単一のパルス状の波形を有す
ることとなる。ここで、このパルス波形の減衰は、検出
器8の静電容量及び増幅器9の入力インピーダンスで定
まる時定数τDに従う。
【0029】パルス励起光照射1回につき2個の蛍光光
子が検出器8によって検出された場合には、そのパルス
波形は、図2に示すように、1個目の蛍光光子が検出さ
れてから2個目の蛍光光子が検出されるまでの時間間隔
Tを隔てて、2個目の蛍光光子によるパルス波形が1個
目の蛍光光子によるパルス波形に加算されたような形状
となる。
【0030】同一の試料5を同一条件にて測定している
限りは、1個の蛍光光子を検出した場合に増幅器9から
出力されるパルス波形及びそのピーク電圧値は略一定で
あるので、図2におけるピーク電圧値hは、検出された
2個の蛍光光子が放出された時点の時間間隔Tと、上記
の時定数τDとによって定まる。
【0031】これら2個の蛍光光子の時間間隔Tの分布
は、蛍光減衰曲線によって定まり、蛍光減衰曲線が指数
関数で与えられる場合には蛍光寿命τFによって定ま
る。すなわち、試料5から放出される蛍光の寿命が短い
ほど、2つの蛍光光子が検出される時間間隔Tは短くな
り、蛍光の寿命が長いほど、この時間間隔Tは長くなる
傾向にある。また、時間間隔Tが短いほどピーク電圧値
hは大きくなり、時間間隔Tが長いほどピーク電圧値h
は小さくなる。したがって、2個の蛍光光子が検出され
た場合に、増幅器9から出力されたパルス波形のピーク
電圧値hの分布を求めることにより蛍光寿命τFを測定
することができる。
【0032】パルス励起光照射のたびに、試料5から放
出される蛍光光子の個数は異なり、1個の場合もあれ
ば、2個、3個の場合もある。あるいは、更に多くの蛍
光光子が放出される場合もあり、また0個の場合もあ
る。
【0033】1回のパルス励起光照射で2個の蛍光光子
が検出されたことは、以下のようにして知ることができ
る。すなわち、波形整形増幅器12から出力される出力
パルスの波高の分布を用いればよい。
【0034】図3に、波形整形増幅器12から出力され
る出力パルスの波高の分布の一例を示す。波形整形増幅
器12は、積分回路11から出力される出力パルス波形
の積分値を入力するとともに、この積分値を加工して出
力パルスの波高を出力する。なお、この出力パルスの波
高は、検出器8で生成され出力された電荷量に比例して
いる。波高分布には、図3に示すように、1個の蛍光光
子が検出されたことを示すピークP1、2個の蛍光光子
が検出されたこと示すピークP2、3個の蛍光光子が出
されたことを示すピークP3等が明確に分離して観測さ
れる。これは、検出器8における電子倍増の揺らぎが小
さいことに由来している。すなわち、検出器8において
は、光電変換面8cから放出された電子が高電圧加速さ
れてアバランシェフォトダイオード8eに入射され、ア
バランシェダイオード8eの内部にて多数の電子−正孔
対が生成されるため、電子増倍の揺らぎは小さい。
【0035】波形整形増幅器12の出力パルスの波高値
を波高弁別器13によって波高弁別することにより、2
個の蛍光光子を検出した事象を容易に選び出すことがで
きる。すなわち波高弁別器13において、図3に示すよ
うに、2個の蛍光光子が検出されたことを示すピークP
2がピーク値をとる波高値VPに対して低波高側の所定の
波高値に下側閾値V1を設定し、波高値VPに対して高波
高側の所定の波高値に上側閾値V2を設定しておく。そ
して、波形整形増幅器12からの出力パルスの波高値が
1からV2の間であることが波高弁別器13により判定
されれば、2個の蛍光光子が検出されたことが分かる。
【0036】このようにして、2個の蛍光光子が検出さ
れたことが分かると、波高弁別器13から論理パルスが
出力される。波高弁別器13から出力された論理パルス
がトリガーとなって、ピークホールド回路10に保持さ
れていた増幅器9から出力されたパルス波形のピーク電
圧値がAD変換器14によりデジタル値に変換される。
更に、このデジタル値はメモリ回路15に対して出力さ
れる。デジタル値を受け取ったメモリ回路15では、そ
のデジタル値に対応したアドレスに格納されていた数値
に対して1が加算される。
【0037】その後、試料5に対してパルス励起光LP
を照射する動作を所定回数繰り返すことにより、メモリ
回路15には、検出器8が2個の蛍光光子を検出したと
きの増幅器9からの出力パルス波形のピーク電圧値の分
布が取得される。なお、試料5に所定の回数繰り返して
照射されるパルス励起光LPの各回の直前には、制御回
路17からピークホールド回路10と積分回路11とに
対してリセット信号が出力されて、ピークホールド回路
10に保持されていたパルス波形のピーク電圧値、及び
積分回路11の積分値がゼロとされる。
【0038】以上のようにしてピーク電圧値の分布がメ
モリ回路15において取得されると、制御回路17から
指令信号がメモリ回路15に出力され、これにより、こ
のピーク電圧値の分布がメモリ回路15から演算回路1
6に対して出力される。その後、メモリ回路15からピ
ーク電圧値の分布を読み込んだ演算回路16において、
以下に説明する理論式に基づいて蛍光寿命が算出され
る。
【0039】1個の蛍光光子を検出した場合に増幅器9
から出力される出力パルス波形のピーク電圧値が正規分
布に従うとすると、以下に示す式(1)〜(5)によって表
される。
【0040】ピーク電圧値がhである確率密度をP
(h)、2個の蛍光光子の時間間隔がTである場合にピー
ク電圧値がhである条件付き確率密度をP(h|T)、2
個の光子の時間間隔がTである確率密度をQ(T)とすれ
ば、P(h)は、
【0041】
【数1】
【0042】
【数2】
【0043】
【数3】
【0044】
【数4】
【0045】
【数5】 で与えられる。なお、μ0は、検出器8が1個の蛍光光
子を検出した場合の出力パルス波形のピーク電圧値が正
規分布に従うと仮定した場合のピーク電圧値の平均値で
ある。また、σ0は、同様に仮定した場合のピーク電圧
値の標準偏差である。μ0及びσ0は、あらかじめ求めて
おくことができる。
【0046】所定回数のパルス励起光照射を繰り返した
後に得られるピーク電圧値の分布をniで表す。niは、
ピーク電圧値がhiである頻度である。niにP(h)をフ
ィッティングさせることにより蛍光寿命τFを算出する
ことができる。具体的には次式で与えられる対数尤度lo
gLを最大化するτFをもって算出値とする。
【0047】
【数6】
【0048】以上説明した蛍光寿命測定方法により求め
られる蛍光寿命の測定精度を評価するために、シミュレ
ーションにより生成したピーク電圧値の分布を用いて蛍
光寿命を算出した。シミュレーションによりピーク電圧
値の分布を生成する際しては、検出器8が1個の光子を
検出した場合の波高分布が、図3に示すP1のような正
規分布に従うピークと、ピークよりも低波高側に分布す
るテイル部分とから成るものと仮定した。また、検出器
8の静電容量及び増幅器9の入力インピーダンスで定ま
る時定数τDは、20.0nsとした。
【0049】図4から図6に、シミュレーションによっ
て生成したピーク電圧値の分布を白抜きの丸印により示
す。
【0050】図4は蛍光寿命τFを5.0nsと仮定し
た場合、図5は蛍光寿命τFを10.0nsと仮定した
場合、図6は蛍光寿命τFを20.0nsと仮定した場
合、それぞれのシミュレーション結果である。
【0051】図4から図6それぞれの場合について、上
記の式(1)〜(6)を適用して蛍光寿命を算出したとこ
ろ、仮定した蛍光寿命τF=5.0nsに対して算出さ
れた蛍光寿命は5.08ns、仮定した蛍光寿命τF
10.0nsに対して算出された蛍光寿命は10.26
ns、仮定した蛍光寿命τF=20.0nsに対して算
出された蛍光寿命は21.26nsという値が得られ
た。仮定した蛍光寿命に対する算出した蛍光寿命の誤差
は、それぞれ1.6%、2.6%、6.3%という良好
な結果を得た。
【0052】これらの結果より、本実施の形態の蛍光寿
命測定装置及びその測定方法により、蛍光寿命が精度良
く測定できることがわかった。なお、図4から図6中に
実線で示す曲線L1,L2,L3は、算出された蛍光寿命
に基づいて計算されたピーク電圧値の分布である。これ
らの曲線L1,L2,L3は、シミュレーションの結果を
良く反映しており、このことからも本実施の形態にかか
る蛍光寿命測定装置及びその測定方法の精度の良さが確
認された。
【0053】また、上記シミュレーションの結果、パル
ス励起光を照射した全回数のうち、2個の蛍光光子が検
出される回数の割合は16〜19%であることがわかっ
た。従来の時間相関単一光子計数法では、全励起回数の
うち計数に必要なデータを取得できる確率が約2%であ
ったことと比べると、本実施の形態により測定効率が8
倍以上に改善されることが分かる。これにより、本実施
形態の測定装置及び測定方法により、従来方法に比して
測定時間を短縮することができる。
【0054】本発明は、上記実施形態に限定されるもの
ではなく種々の変形が可能である。
【0055】上記実施の形態においては、試料から放出
される蛍光光子が2個の場合について説明したが、2個
の場合に限らず蛍光寿命を測定することができる。ただ
し、3個以上の場合については、上記の式を検出される
蛍光光子数に合わせて適宜変形する必要がある。
【0056】また、上記実施の形態では、1個の蛍光光
子を検出した場合に増幅器9から出力される出力パルス
のピーク電圧値が正規分布に従うとしたが、実際に測定
して得られた分布を与えて対数尤度を計算し蛍光寿命を
求めることもできる。その場合には上記の式を実際の分
布に合わせて適宜変更する必要がある。
【0057】更に、上記実施の形態では、ピークホール
ド回路10、AD変換器14、及びメモリ回路15から
ピーク電圧値の分布を取得する取得手段を構成した。し
かしながら、これらの替りに、新たに波高弁別器とこの
波高弁別器から出力される論理パルスを計数するカウン
タを複数組並列して設け、検出器8が2個の蛍光光子を
検出した場合に増幅器9により増幅された出力パルスの
ピーク電圧値が所定の電圧を超える頻度を求めることに
より、ピーク電圧値の分布を取得することもできる。こ
の結果に基づけば、上述の方法と同様にして蛍光寿命を
測定することが可能である。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
検出器からの出力パルス波形を積分することにより得ら
れる積分値に基づいて、試料から放出される蛍光光子の
個数が所定の個数であるかどうかが検知されるととも
に、所定の個数の蛍光光子が検知されたときに上記検出
器から出力された出力パルス波形のピーク電圧値の分布
が取得される。そして、この分布に基づいて蛍光寿命が
算出される。したがって、従来の時間相関単一光子計数
法とは異なり、1回のパルス励起光照射において複数個
の蛍光光子が検出される場合でも蛍光寿命を測定するこ
とができる。そのため、パルス励起光照射回数は少なく
てすみ、測定時間の短縮が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係る蛍光寿命測定装置の好適
な実施形態の一例を示す構成図である。
【図2】図2は、検出器8により2個の蛍光光子が観測
された場合に、増幅器9から出力されるパルス波形の一
例を模式的に示すグラフである。
【図3】図3は、波形整形増幅器12で出力される出力
パルスの波高の分布の一例を示すグラフである。
【図4】図4は、蛍光寿命τFを5.0nsとしてシミ
ュレーションにより生成したピーク電圧値の分布を示す
グラフである。
【図5】図5は、蛍光寿命τFを10.0nsとしてシ
ミュレーションにより生成したピーク電圧値の分布を示
すグラフである。
【図6】図6は、蛍光寿命τFを20.0nsとしてシ
ミュレーションにより生成したピーク電圧値の分布を示
すグラフである。
【符号の説明】
1…蛍光寿命測定装置、2…光観測部、3…信号処理
部、4…レンズ系、5…試料、6…レーザ光源、7…レ
ンズ系、8…検出器、9…増幅器、10…ピークホール
ド回路、11…積分回路、12…波形整形増幅器、13
…波高弁別器、14…AD変換器、15…メモリ回路、
16…演算回路、17…制御回路。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パルス励起光を試料に照射し、試料から
    放出される蛍光の寿命を測定する蛍光寿命測定装置であ
    って、 前記試料に対して前記パルス励起光を照射する光源と、 前記パルス励起光が照射された前記試料から放出される
    蛍光光子を検出し、その検出に応じた出力パルス波形を
    出力する検出器と、 前記パルス励起光の照射1回毎に、前記検出器から出力
    される出力パルス波形を積分して、その積分値を出力す
    る積分手段と、 前記積分手段から出力される積分値に基づいて、前記パ
    ルス励起光の照射1回当たりに放出される蛍光光子の個
    数が所定の個数であるか否かを検知し、放出された蛍光
    光子の個数が所定の個数であったときに検知信号を出力
    する個数検知手段と、 前記検出器から出力される出力パルス波形のピーク電圧
    値を取得して、前記個数検知手段から出力された前記検
    知信号を受け取ったときの前記出力パルス波形のピーク
    電圧値に基づいて前記ピーク電圧値の分布を取得する取
    得手段と、 前記取得手段により取得されたピーク電圧値の分布に基
    づいて蛍光寿命を算出する演算手段と、を備えることを
    特徴とする蛍光寿命測定装置。
  2. 【請求項2】 前記検出器がアバランシェフォトダイオ
    ードを含んで構成されていることを特徴とする請求項1
    記載の蛍光寿命測定装置。
  3. 【請求項3】 パルス励起光を試料に照射し、試料から
    放出される蛍光の寿命を測定する蛍光寿命測定方法であ
    って、 前記パルス励起光の照射によって試料から放出される蛍
    光光子を検出器により検出し、 前記パルス励起光の照射1回毎に、前記検出器から出力
    される出力パルス波形を積分して、その積分値を出力
    し、 前記積分値に基づいて、前記パルス励起光の照射1回当
    たりに放出される蛍光光子の個数が所定の個数であるか
    否かを検知して、放出された蛍光光子の個数が所定の個
    数であったときに検知信号を出力し、 前記出力パルス波形のピーク値を取得して、前記検知信
    号が出力されたときの前記出力パルス波形のピーク電圧
    値に基づいてピーク電圧値の分布を取得し、 前記ピーク電圧値の分布に基づいて蛍光寿命を算出す
    る、ことを特徴とする蛍光寿命測定方法。
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