JP2002105869A - 皮革様シートの製造方法 - Google Patents

皮革様シートの製造方法

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JP2002105869A
JP2002105869A JP2000301910A JP2000301910A JP2002105869A JP 2002105869 A JP2002105869 A JP 2002105869A JP 2000301910 A JP2000301910 A JP 2000301910A JP 2000301910 A JP2000301910 A JP 2000301910A JP 2002105869 A JP2002105869 A JP 2002105869A
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polymer
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leather
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Hideaki Adachi
秀昭 足立
Yoshihiro Tanba
善博 丹波
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】カード処理、ニードルパンチ処理後においても
繊維の長手方向に剥離、割繊することのない接合型複合
ステープル繊維と高分子弾性体からなる風合いの優れた
皮革様シートの製造方法を提供する。 【構成】繊維の断面において、重合体Aと重合体Bが合
わせて5層以上の多層貼り合わせ構造に配置し、かつ重
合体Aが重合体Bをその繊維の最大直径と被覆厚みの比
が特定の範囲内にあるように被覆している接合型複合ス
テープル繊維からなる不織布に高分子弾性体を付与する
前または付与した後に割繊処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、皮革様シートの製
造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、有機溶剤
や高濃度のアルカリ水溶液を使用することなく、極細繊
維化することが可能で、カード処理、ニードルパンチ処
理後においても繊維の長手方向に剥離、割繊することの
ない接合型複合ステープル繊維を分割により極細化した
繊維と高分子弾性体からなる皮革様シートの製造方法に
関する。
【0002】単繊維繊度が0.1デシテックス以下の極
細繊維を製造するには、直接紡糸では糸切れが起こりや
すくなるために細さに限界があり、複合紡糸方法が従来
から用いられている。複合紡糸方法で得られる複合繊維
には、繊維断面の状態で大別すると、2成分が高度に
分割相互配列した接合型(多層貼り合わせ型や花弁型な
ど)と、1成分が他成分中に高度に分散した海島型と
がある。の海島型繊維の場合、その海成分を除去する
ことにより0.001デシテックス以下の極細繊維を得
ることができるが、海成分を除去するためには、例えば
海成分がポリエチレンやポリスチレンなどの場合にはト
ルエンやパークレンなどの有機溶剤を使用する必要があ
り、アルカリ易溶性の変性ポリエチレンテレフタレート
などの場合には高濃度のアルカリ液を使用する必要があ
る。近年、環境面からこのような有機溶剤の使用や高濃
度アルカリ液およびその中和廃液などの削減が求められ
ている。また除去された海成分は再利用しにくいため、
廃棄物量の増加は避けられず、エコロジーの観点からは
1成分の除去が不要となる、の接合型繊維から極細繊
維を得る方法が好ましい。このような接合型の複合繊維
においては、その成分相互の剥離によって鋭い縁のある
繊維や、極細繊維が形成され、その剥離方法または分割
方法には、特開昭54−96181号公報に見られるよ
うに、ベンジルアルコールのような薬液の入った液で
1成分を収縮させて、その力で相互に分割させる方法
や、特公昭53−10170号公報や特開平2−169
722号公報、さらに特開平9−217233号公報に
見られるように、物理的な力、すなわち、擦過した
り、もんだり、バフィング等で表面を処理したり、ウォ
ータージェット流を噴射するなどして強制的に分割させ
る方法、低濃度のアルカリ液で、1成分を少し溶かし
て相互に分割する方法を挙げることができる。このよう
な接合型繊維からなる不織布と高分子弾性体からなる公
知の皮革様シートの製造方法における剥離方法または分
割方法としては、の方法は有機溶剤を膨潤剤として使
用していることから好ましい方法ではなく、または
の方法がより有効な方法である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような繊維から皮
革様シートを製造する場合、割繊処理は不織布を製造し
た後、または不織布を製造し高分子弾性体を付与した後
に行い、その結果、柔軟で優れた風合いを有する皮革様
シートを得ることができるが、それ以前の不織布化の工
程で割繊が生じると工程通過性、収率が著しく悪化し、
得られる不織布も不均一で風合いが著しく劣る。具体的
には不織布を製造する際に、カードを使用すると、接合
型複合繊維の成分の剥離が生じ、繊維が細化され、発生
したネップが詰まるため、紡出速度を著しく低下させな
ければならない必要が生じたり、カード装置中に蓄積し
安定な紡出ができなくなる。また、繊維を交絡するため
にニードルパンチを使用すると、損傷により剥離が生
じ、単繊維が交絡されにくく、不織布の剥離強度が上が
らないといった問題点が生ずる。
【0004】しかし、一方でこのような工程通過性の悪
化を引き起こさないために、繊維を構成する2成分の接
着性を高める方法もあるが、この方法の場合には、不織
布化においては問題を生じないものの、後工程として前
述の割繊処理を行っても、全く割繊しなかったり、ごく
一部しか割繊しなかったり、全てを割繊するために非常
に強い物理的な力を要したり、極めて長時間の処理を要
したり、高濃度のアルカリ液を使用したりする必要が生
じるので好ましい方法ではない。もうひとつの方法とし
て、2成分のうちの片方の成分によってもう片方の成分
を被覆する方法が最近提案されている。このような例と
して、特開2000−129538号公報には、1成分
によりもう一方の成分を被覆する8分割以上の花弁型の
断面構造を有する複合繊維が記載されているが、花弁型
の場合は中心部分へ向かうにつれて2成分間の間隔が狭
くなり、さらに中心部分では実質的に1成分が繋がって
いるなどから見かけの層の数まで完全に割繊することは
困難であり、このような繊維を用いて得られる不織布か
らなる皮革様シートの風合いは従来の極細繊維からなる
不織布からなる皮革様シートに比べて劣るものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、カード処
理、ニードルパンチ処理後においても繊維の長手方向に
実質的に剥離、割繊することがなく不織布化でき、か
つ、この後の割繊処理において、わずかな物理的な力や
ウォータージェット流、低濃度のアルカリ水溶液などの
処理で速やかに割繊できる接合型複合ステープル繊維を
使用することによって、環境への少ない負荷で製造可能
な極細繊維からなる風合いの優れた皮革様シートを得る
ことを課題とし、鋭意検討した結果、皮革様シートの製
造方法において、下記の工程(1)〜(3)を(1)→
(2)→(3)または(1)→(3)→(2)の順序に
より行うことにより上記課題が解決されることを見出し
た。 (1)A、Bの異なる2種の重合体成分からなる繊維に
おいて、成分Aと成分Bが合計層数で5層以上貼り合わ
せられており、かつ成分Aが成分Bを被覆した横断面構
造を有し、被覆部分の成分Aの最小厚み(t)と繊維直
径(d)との比(t/d)が0.005〜0.05の範
囲内である接合型複合ステープル繊維から不織布を製造
する工程、(2)不織布に高分子弾性体を付与する工
程、(3)不織布中の接合型複合ステープル繊維を割繊
する工程。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明に用いる接合型複合繊維
は、これを構成する成分A、成分Bの2種類の重合体成
分のうちの成分Aが成分Bを被覆する多層貼り合わせ型
の横断面構造を有し、かつ被覆部分の成分Aの最小厚み
(t)と繊維の最大直径(d)との比(t/d)が0.
005〜0.05の範囲内にあることが重要である。ま
た、好ましいt/dの範囲としては0.007〜0.0
4の範囲である。t/dが0.005未満の場合には、
重合体Bの被覆効果が不十分であり、繊維の延伸処理、
機械捲縮処理、カード開繊処理、ニードルパンチ絡合処
理の何れかの段階で多数のワレ部分を有する繊維が発生
するため、たとえばカード装置で多量のネップが発生し
て安定したウェブ製造が不可能になるなどの製造上の問
題を引き起こす。一方、t/dが0.05を越えるよう
な場合には、前述のようなワレを生じないので安定した
ウェブ製造が可能だが、それ以降の割繊処理工程でも容
易に割繊することができなくなる。
【0007】本発明における接合型複合繊維に用いるこ
とができるA、Bの両重合体の組み合わせとしては、S
P値、溶融粘度の相対的バランスを考慮して組み合わせ
れば、その用途や必要性能に応じて可紡性重合体の中か
ら適宜選ぶことができる。その例としては、ポリエチレ
ンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどの
ポリエステル系重合体、ポリエチレンやポリプロピレン
などのポリオレフィン系重合体、ナイロン−6やナイロ
ン−66、ナイロン−12などのポリアミド系重合体、
その他ポリスチレン系重合体、ポリビニルアルコール系
重合体、ビニルアルコール−エチレン共重合体などを挙
げることができ、各成分には1種、または2種以上のブ
レンド物が用いられる。このような組み合わせの中でも
得られる皮革様シートの風合いが優れることから成分A
がポリエステル系重合体、成分Bがポリアミド系重合体
を好適に使用することができる。
【0008】上記、ポリエチレンテレフタレートおよび
/またはポリブチレンテレフタレートは、必要に応じて
他のジカルボン酸成分、オキシカルボン酸成分、他のジ
オール成分の1種または2種以上を共重合単位として有
していてもよい。その場合、他のジカルボン酸成分とし
ては、ジフェニルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン
酸などの芳香族ジカルボン酸またはそれらのエステル形
成性誘導体;5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチ
ル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ビス(2−ヒド
ロキシエチル)などの金属スルホネート基含有芳香族カ
ルボン酸またはその誘導体;シュウ酸、アジピン酸、セ
バシン酸、ドデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸また
はそのエステル形成性誘導体を挙げることができる。ま
た、オキシカルボン酸成分の例としては、p−オキシ安
息香酸、p−β−オキシエトキシ安息香酸またはそれら
のエステル形成性誘導体などを挙げることができる。ま
た、ジオール成分としてはジエチレングリコール、1,
3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネ
オペンチルグリコールなどの脂肪族ジオール;1,4−
ビス(β−オキシエトキシ)ベンゼン、ポリエチレング
リコール、ポリブチレングリコールなどを挙げることが
できる。
【0009】上記、ポリアミド系重合体としては、公知
のナイロン−4、ナイロン−46、ナイロン−6、ナイ
ロン−66、ナイロン−7、ナイロン−610、ナイロ
ン−9T、ナイロン−11、ナイロン−12、ビス(p
−アミノシクロヘキシル)メタンと1,10−デカメチ
レンジカルボン酸からなるポリアミド、1,9−ノナメ
チレンジカルボン酸からのポリアミドなどを挙げること
ができ、さらに、これらのポリアミドと他の重合体など
を本発明の効果を損なわない範囲内で共重合したもの、
あるいは、これらポリアミドと他の重合体などを本発明
の効果を損なわない範囲内で混合したものなどを挙げる
ことができる。これらのポリアミド系重合体の中でも、
得られる皮革様シートの風合いが優れることから、ナイ
ロン−6、ナイロン−66がより好適に使用される。
【0010】また、繊維中の成分Aと成分Bの重量比
は、目的とする多層貼り合わせ型の断面構造の繊維が形
成されるような重量比であれば特に限定はされないが、
好ましくは90/10〜10/90の範囲であり、さら
に好ましくは80/20〜20/80の範囲である。た
だし、成分Aと成分Bとの重量比において、何れか一方
が10%未満の場合には、吐出孔より吐出する前の紡糸
口金内において重合体Aと重合体Bとが交互に配列され
る際に、一方の重合体の量が少ないため本発明で目的と
する断面を形成することが難しくなる傾向がある。
【0011】本発明において不織布製造に用いる繊維の
断面形状は、成分A、成分Bを合わせて5層以上の多層
貼り合わせ型であることが重要である。また、より好ま
しくは7層〜20層である。このような繊維は、本発明
の割繊処理において速やかに割繊することができるだけ
でなく、割繊処理により得られる繊維の断面形状が、分
割により生じる平らな分割面部分と、これよりも短い元
から存在する側面部分とからなる扁平な形状であり、皮
革様シートに変形等による応力がかかった場合に、相対
的に長い分割面方向に繊維が折れやすいので、例えば、
同じ繊度で形成された円断面あるいは楕円断面等の断面
構造を有する繊維を使用して製造された皮革様シートに
比べると、風合いがより柔軟になる効果がある。層の数
が4層以下では、割繊処理後も繊度があまり小さくはな
らず、また繊維の断面形状もあまり扁平にはならないの
で、得られる皮革様シートの風合いが劣るため好ましく
ない範囲である。断面形状が花弁型の場合は、中心部分
へ向かうにつれて各成分の形状が次第に細くなり、中心
部分では実質的に何れか1成分が繋がってしまっている
ため、見かけ上数えられる層の数まで完全に割繊するこ
とは困難であり、得られる皮革様シートの風合いは劣る
傾向にあるので好ましい断面形状ではない。また、中空
花弁型の場合は、前述のような中心部の繋がりがないの
で割繊は十分に可能だが、多層貼り合わせ型に比べると
中空部の存在により接合型複合繊維自体が外的な応力に
対して著しく弱く、カード開繊処理、ニードルパンチ絡
合処理などにおいて繊維の変形等によるワレを生じてし
まう場合がある。さらには、原因は明確ではないが、花
弁型、中空花弁型の複合繊維は、ニードルパンチ絡合処
理での絡合性が多層貼り合わせ型に比べて遅いので、得
られる皮革様シートの引っ張り強力、引裂き強力、剥離
強力といった各機械物性値が劣ってしまう傾向にある。
【0012】本発明における多層貼り合わせ型の断面の
接合型複合繊維を製造するには、重合体Aと重合体Bと
を溶融状態とし、これを常法により交互に配列させた状
態で口金ノズル孔に導き、該ノズル孔より吐出させるこ
とで製造することができる。すなわち、A、B両重合体
が交互に配列してから細孔より吐出するまでの間に、重
合体Bと口金内壁と接触する部分において、重合体Bの
表面張力によって端部が丸みをおび、これによって生じ
る口金内壁との隙間へ重合体Aが流れ込むことにより、
個々の繊維断面の状態としては重合体Aの被膜が重合体
Bの外周全体を被覆した接合型複合繊維を得ることがで
きる。被膜厚みは使用する重合体AおよびBのSP値
(溶解度パラメーター)や紡糸時の溶融粘度の絶対値お
よび相対値により制御することができる。例えば、双方
のSP値が高い場合には、重合体の極性基がお互いの距
離をできるだけ離して位置しようとするために表面張力
によって端部が丸くなりやすく、また、重合体BのSP
値が重合体AのSP値より高い場合に、重合体Bの端部
がより丸くなることによって、重合体Aが繊維断面の周
囲全体を覆うような厚い被膜を形成しやすくなる。しか
し、重合体BのSP値が重合体AのSP値より高いよう
な場合でも、紡糸時の重合体Aの溶融粘度が重合体Bの
溶融粘度よりも高い場合には、溶融粘度の相対的な差の
効果の方が勝り、重合体Aの端部が丸くなりやすく被膜
を形成しにくくなってしまう。また、紡糸時の重合体B
の溶融粘度が重合体Aの溶融粘度より高い方が、その端
部がより丸くなり、口金内壁との隙間に重合体Aが流れ
込みやすいので、繊維断面の周囲全体を覆う被膜を形成
しやすい。しかし、重合体Bの溶融粘度が重合体Aの溶
融粘度より高くても、紡糸時の重合体AのSP値が重合
体BのSP値より高いような場合には、SP値の相対的
な差の効果の方が勝り、重合体Aの端部が丸くなりやす
く被膜を形成しにくくなってしまう。また、重合体Aと
のSP値のバランス、または溶融粘度のバランスによっ
て、重合体Bの端部が丸くなり、その端部と口金内壁と
の隙間に重合体Aが流れ込むようにするためには、Aお
よびBの両重合体を溶融状態で交互に配列させた後に、
口金ノズル孔から吐出させるまでの時間を長くする必要
がある。すなわち、吐出までの時間が長いので、その間
に口金ノズル孔の内壁とのずり効果によって、重合体A
がまわり込みやすくなり、被膜が形成される。
【0013】接合型複合ステープル繊維の単繊維繊度
は、特に限定されず、用途によって任意に繊度を選ぶこ
とができるが、得られる皮革様シートの風合いが優れる
ことから、0.5デシテックス〜10デシテックス、よ
り好ましくは2デシテックス〜7デシテックスである。
また、カット長もその用途により、任意に選ぶことがで
きる。また割繊後の各層の繊度としては平均0.01〜
2.0デシテックスの範囲が皮革様シートの風合いが優
れることから好ましく、更に、割繊後の各層の繊維横断
面形状としては、層の幅に対する層の長さが平均で3.
0〜30.0倍の範囲が皮革様シートの柔軟性が優れる
ことから好ましい。
【0014】接合型複合ステープル繊維には、必要に応
じて各種添加剤を配合し使用することができる。例え
ば、触媒、着色防止剤、耐熱剤、難燃剤、蛍光増白剤、
艶消剤、着色剤、光沢改良剤、制電剤、芳香剤、消臭
剤、抗菌剤、防ダニ剤、無機微粒子などが含まれてもよ
い。また、添加剤の配合は重合体A、重合体Bのいずれ
か一方でも良いし、または両方であっても良い。
【0015】本発明方法に用いられる不織布は、上記の
接合型複合ステープル繊維からなる適度の厚みと充実感
を有し、かつ柔軟な風合いを有するものでよく、不織布
の厚みは得られる皮革様シートの用途などによって任意
に選択でき、特に制限されるものではないが、0.3〜
3.0mm程度であることが好ましく、0.5〜2.5
mm程度であることがより好ましい。不織布の見かけ密
度は、柔軟な風合いを有する皮革様シートを得るために
は0.1〜0.6g/cm3であることが好ましく、
0.15〜0.5g/cm3であることがより好まし
い。見かけ密度が0.6g/cm3より大きくなると、
得られるシートがゴムの様な風合いとなる傾向がある。
一方、見かけ密度が0.1g/cm3より小さくなる
と、反発性および腰感が劣り、風合いが損なわれる傾向
がある。本発明方法に用いる不織布には、シリコーン系
またはフッ素系の油剤、撥水剤、柔軟剤、帯電防止剤や
耐光安定剤、紫外線吸収剤などの公知の化合物を付着さ
せるなどの処理を行うことができる。また、不織布は、
前記した接合型複合ステープル繊維の他に他の繊維が加
えられていてもよい。不織布を製造する際に用いられる
繊維絡合方法としては、ニードルパンチ方法や水流絡合
方法などが挙げられるが、ニードルパンチ方法が、より
皮革様シートに類似した3次元絡合不織布が得られるこ
とから好ましい。
【0016】本発明方法に用いられる高分子弾性体は、
従来から皮革様シートを製造する際に使用されている高
分子弾性体であればよい。このような高分子弾性体とし
て、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド
エラストマーなどのポリアミド系樹脂、ポリエステルエ
ラストマーなどのポリエステル系樹脂、弾性を有するポ
リスチレン系樹脂、弾性を有するポリオレフィン系樹脂
などがあるが、この中でも得られる皮革様シートに優れ
た風合いを与えることから、ポリウレタン系樹脂やアク
リル系樹脂が好適に使用される。また、樹脂の付与方法
としてはポリウレタンなどのジメチルホルムアミド溶液
を不織布に含浸し、水中で湿式凝固、脱洗する、いわゆ
る湿式凝固法と、エマルジョンを含浸して熱風、スチー
ム、マイクロ波、熱水浴などのいずれかの方法により樹
脂の固化またはゲル化および乾燥を行うエマルジョン法
を好適例として挙げることができる。湿式凝固法を採用
すれば、より天然皮革調の風合いを得ることができる。
またポリウレタンエマルジョン、アクリル系エマルジョ
ンのようなエマルジョン、とりわけ水のみで分散された
水性エマルジョンを使用すれば、本発明方法で得られる
皮革様シートは有機溶剤を使用することなく製造するこ
とができ、さらに環境への負荷が少ない皮革様シートの
製造方法となるため好ましい。また、これらのエマルジ
ョンが感熱ゲル化性を有している場合、エマルジョン粒
子をマイグレーションを引き起こすことなく感熱ゲル化
させ均一に付与することができる。エマルジョンは乳化
する界面活性剤としてHLBの低いノニオン性界面活性
剤で乳化したり、いわゆるマイグレーション防止剤と称
する物質を感熱ゲル化剤としてエマルジョン中に添加す
ることにより感熱ゲル化性が得られる。添加する感熱ゲ
ル化剤としては、例えば、塩化カルシウムなどの無機塩
類とポリエチレングリコール型ノニオン性界面活性剤、
ポリビニルメチルエーテル、ポリプロピレングリコー
ル、シリコーンポリエーテル共重合体、ポリシロキサン
等を挙げることができ、これらのうち1種または2種以
上を用いることができる。
【0017】繊維質基体と高分子弾性体からなる皮革様
シートは、下記の工程(1)→(2)→(3)または
(1)→(3)→(2)の順で実施することにより製造
することができる。特に(1)→(2)→(3)の順序
で実施すれば、不織布に高分子弾性体が付与された後に
割繊が行われるため、柔軟化され優れた風合いの皮革様
シートが得られるので好ましい。また、工程(1)また
は工程(2)の後に熱ロールなどを用いて、所望の比重
にしたり、平滑な表面を形成させることなどができる。 (1)A、Bの2種の重合体成分からなる接合型複合ス
テープル繊維において、成分Aが成分Bを被覆し、成分
Aと成分Bの合計層数が5層以上の多層貼り合わせ構造
の横断面構造を有し、かつ成分Aの最小厚み(t)と繊
維直径(d)との比(t/d)が0.005〜0.05
の範囲内である繊維から不織布を製造する工程、(2)
不織布に高分子弾性体を付与する工程、(3)重合体A
と重合体Bを割繊する工程。
【0018】得られる皮革様シートに付与される樹脂量
は用途によって適宜選択することができるが、一般に不
織布の重量に対して5〜150重量%であることが好ま
しく、15〜120重量%であることがより好ましく、
30〜100重量%であることがさらに好ましい。樹脂
付着量が5重量%未満では、樹脂のバインダー効果の不
足により、得られるシートから繊維の脱落が発生する傾
向があり、一方、150重量%を越えると、得られるシ
ートは硬くなり、皮革様シートの風合いが悪くなる傾向
がある。
【0019】本発明方法において、次に重合体Aと重合
体Bの割繊方法として、不織布化の後で、物理的な力、
すなわち、擦過したり、揉んだりする処理を行うか、エ
メリーペーパーなどを使用してのバフィング処理などで
主に表面を割繊するか、ウォータージェット流処理を行
うか、低濃度のアルカリ液でポリエチレンテレフタレー
トなどの一成分を少量溶解する割繊処理方法を挙げるこ
とができる。これらの処理の中でも不織布の内部から表
面まで割繊が進行し、得られる皮革様シートの風合いが
優れることから、低濃度のアルカリ液を使用する方法が
好適に使用できる。アルカリ液としては0.3モル/リ
ットル以下の濃度の水酸化ナトリウム水溶液または水酸
化カリウム水溶液を使用することができる。またこの場
合の割繊処理は、例えばサーキュラー染色機やジガーの
使用またはパッド・ロール法などを用いて行うことがで
きるが、得られる皮革様シートの柔軟性が優れることか
ら、処理による揉み効果の高い、サーキュラー染色機な
どを用いることが好ましい。処理温度は室温よりも高温
の、50〜95℃程度にすると、速やかに割繊が進むた
め好ましく、処理時間は10分〜1時間程度で十分に割
繊することができる。
【0020】本発明方法により得られる皮革様シート
は、適度な柔軟性と充実感を有し、マットレス、鞄内貼
り材料、衣料芯地、靴用芯材、クッション材、自動車内
装材、壁材、カーペットなどに好適に使用することがで
きる。さらに片面にポリウレタン等による表皮層を既知
の方法により付与することにより、スポーツシューズ、
紳士靴、鞄などに用いられる銀付き人工皮革としても好
適に使用することができる。その際、表皮層のポリウレ
タン等として水性エマルジョンを用いると、有機溶剤を
使用することなく銀付き人工皮革を得ることができる。
また、表面をエメリーペーパーなどでバフィングするこ
とにより、スエード調の人工皮革とすることもできる。
【0021】
【実施例】以下に実施例によって本発明方法を具体的に
説明するが、本発明はそれによって何ら限定されるもの
ではない。以下の例において、各種高分子重合体を組み
合わせた接合型複合ステープル繊維のカード通過、ニー
ドルパンチ通過、割繊処理後の割繊状態、その他の評価
方法は以下の方法により行った。
【0022】[繊維の最大直径(d)と被覆厚み
(t)];繊維のトウの断面の走査型電子顕微鏡(10
00−20000倍)の写真から繊維の最大直径とポリ
エステル成分の被覆厚み(被覆部分のもっとも薄い箇所
の厚み)を求め、t/dを求めた。繊維は無作為に選出
した5本分の観察を行いt/dの平均を求めた。
【0023】[カード処理通過性];50g/m2の目
付重量になるようにカードを通してウエッブを作製し、
このフリースから取り出した繊維から作製したトウにつ
いて、約400本の側面状態を走査型電子顕微鏡にて観
察し、割れているものを数えて以下の式で割繊割合を求
めた。 割繊割合(%)=(割れている繊維数/全繊維数)×1
00(%)
【0024】[ニードルパンチ処理通過性];カード、
クロスラッパーの工程を経て得られたフリースを適宜積
層し、800本/cm2のニードルパンチを行なった後
に、取り出した繊維から作製したトウについて、約40
0本の側面状態をウエッブの内部の状態を走査型電子顕
微鏡で観察し、割れているものを数えて以下の式で割繊
割合を求めた。 割繊割合(%)=(割れている繊維数/全繊維数)×1
00(%)
【0025】[割繊処理];割繊処理を行って得られた
皮革様シートの走査型電子顕微鏡写真の観察から以下の
式で割繊割合を求めた。 割繊割合(%)=(割れている繊維数/全繊維数)×1
00(%)
【0026】実施例1 重合体Aとしてポリエチレンテレフタレート、重合体B
としてナイロン6を用いて、重量比を75/25の割合
で、11層に交互に配列させた後に口金より吐出させて
紡糸した。紡糸時の溶融粘度はそれぞれ1000ポイズ
と1200ポイズであった。紡糸後、延伸し、機械捲縮
を付与し、その後51mmにカットし、図1のタイプの
断面形状の複合ステープル繊維を得た。得られた複合ス
テープル繊維の繊度は4.0デシテックス、繊維の最大
直径(d)と繊維の最小厚み(t)の比(t/d)は
0.01であった。繊維を構成する各層の、繊維横断面
における幅に対する長さの比は、平均で8.5であり、
また各層の平均繊度は0.36デシテックスであった。
この複合ステープル繊維を用い、カード処理を行なって
ウエッブを作製したところ、カード処理後では繊維の割
繊は0.4%であった。ウエッブ作製での工程トラブル
は発生せず、良好な通過性を示した。さらに、ニードル
パンチ処理を行ったが、工程通過性は良好であった。こ
の時点での繊維の割繊は0.8%であった。このように
して得られた不織布を70℃熱水浴中で収縮処理を行い
比重0.22の不織布とした後、水性ポリウレタンエマ
ルジョンボンディック1310NS(大日本インキ化学
工業製ポリウレタンエマルジョン)を乾燥後の固形分重
量で不織布の60重量%となるように含浸して、乾燥し
た後に150℃熱プレスで表面の平滑化と比重合わせを
実施した。さらにサーキュラー染色機を用いて、80℃
の0.15モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液中
で40分間で処理を行い、中和、乾燥を経てシートを得
た。得られたシートは風合いの優れた皮革様のシートで
あった。断面観察の結果、繊維の割繊は94%であっ
た。
【0027】比較例1 重合体Aとしてポリエチレンテレフタレート、重合体B
としてナイロン6を用いて、重量比を75/25の割合
で、11層に交互に配列させた後に口金より吐出させて
紡糸した。紡糸時の溶融粘度はそれぞれ400ポイズと
2200ポイズであった。紡糸後、延伸し、機械捲縮を
付与し、その後51mmにカットし、図1のタイプの断
面形状の複合ステープル繊維を得た。得られた複合ステ
ープル繊維の繊度は4.1デシテックス、繊維の最大直
径(d)と繊維の最小厚み(t)の比(t/d)は0.
06であった。この複合ステープル繊維を用い、カード
処理を行なってウエッブを作製したところ、カード処理
後では繊維の割繊は0.3%であった。ウエッブ作製で
の工程トラブルは発生せず、良好な通過性を示した。さ
らに、ニードルパンチ処理を行ったが、工程通過性は良
好であった。この時点での繊維の割繊は0.6%であっ
た。このようにして得られた不織布を70℃熱水浴中で
収縮処理を行い比重0.21の不織布とした後、水性ポ
リウレタンエマルジョンボンディック1310NS(大
日本インキ化学工業製ポリウレタンエマルジョン)を乾
燥後の固形分重量で不織布の60重量%となるように含
浸して、乾燥した後に150℃熱プレスで表面の平滑化
と比重合わせを実施した。さらにサーキュラー染色機を
用いて、80℃の0.15モル/リットルの水酸化ナト
リウム水溶液中で40分間で処理を行い、中和、乾燥を
へてシートを得た。得られたシートはペーパーライクな
風合いのシートであった。断面観察の結果、繊維の割繊
割合は22.5%であった。
【0028】比較例2 重合体Aとしてポリエチレンテレフタレート、重合体B
としてナイロン6を用いて、重量比を75/25の割合
で、11層に交互に配列させた後に口金より吐出させて
紡糸した。紡糸時の溶融粘度はそれぞれ1100ポイズ
と1200ポイズであった。紡糸後、延伸し、機械捲縮
を付与し、その後51mmにカットし、図1のタイプの
断面形状の複合ステープル繊維を得た。得られた複合ス
テープル繊維の繊度は4.0デシテックス、繊維の最大
直径(d)と繊維の最小厚み(t)の比(t/d)は
0.003であった。この複合ステープル繊維を用い、
カード処理を行なってウエッブを作製したところ、カー
ド処理直後では繊維の割繊は31.5%であり、ウエッ
ブ作製で2時間後にはカード装置がつまりを生じ、良好
なフリースを得ることができなくなった。さらに、カー
ド処理2時間以内で得られたフリースをニードルパンチ
処理を行ったが、ややパンチ処理で横方向へ広がる挙動
を示し、工程通過性は実施例1と比べ不良であった。こ
の時点での繊維の割繊は38.2%であった。このよう
にして得られた不織布を70℃熱水浴中で収縮処理を行
い比重0.22の不織布とした後、水性ポリウレタンエ
マルジョンボンディック1310NS(大日本インキ化
学工業製ポリウレタンエマルジョン)を乾燥後の固形分
重量で不織布の60重量%となるように含浸して、乾燥
した後に160℃熱プレスで表面の平滑化と比重合わせ
を実施した。さらにサーキュラー染色機を用いて、80
℃の0.15モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液
中で40分間で処理を行い、中和、乾燥をへてシートを
得た。得られたシートは皮革様の風合いを呈した。断面
観察の結果、繊維の割繊は97.5%であった。
【0029】実施例2 重合体Aとしてポリブチレンテレフタレート、重合体B
としてナイロン66を用いて、重量比を35/65の割
合で、9層に交互に配列させた後に口金より吐出させて
紡糸した。紡糸後、延伸し、機械捲縮を付与し、その後
51mmにカットし図2に示すタイプの断面構造を有す
る複合ステープル繊維を得た。得られた複合ステープル
繊維の繊度は3.0デシテックス、繊維の最大直径
(d)と繊維の最小厚み(t)の比(t/d)は0.0
4であった。繊維を構成する各層の、繊維横断面におけ
る幅に対する長さの比は、平均で6.8であり、また各
層の平均繊度は0.33デシテックスであった。この複
合ステープル繊維を用い、カード処理を行なってウエッ
ブを作製したところ、カード処理後では繊維の割繊は
0.3%であった。ウエッブ作製での工程トラブルは発
生せず、良好な通過性を示した。さらに、ニードルパン
チ処理を行ったが、工程通過性は良好であった。この時
点での繊維の割繊は1.2%であった。このようにして
得られた不織布を70℃熱水浴中で収縮処理を行い比重
0.28の不織布とした後、水性ポリウレタンエマルジ
ョンレザミンW−1800(大日精化工業製ポリウレタ
ンエマルジョン)を乾燥後の固形分重量で不織布の40
重量%となるように含浸して、乾燥した後に160℃熱
プレスで表面の平滑化と比重合わせを実施した。さらに
サーキュラー染色機を用いて、80℃の0.25モル/
リットルの水酸化ナトリウム水溶液中で40分間で処理
を行い、中和、乾燥をへてシートを得た。得られたシー
トは風合いの優れた皮革様のシートであった。断面観察
の結果、繊維の割繊は96%であった。
【0030】比較例3 口金ノズルを変更した以外は、重合体A、重合体Bとし
て実施例2と同じ高分子重合体を同じ重量比で使用し、
図3に示すような8層からなる花びら型に交互に配列さ
せた接合型複合紡ステープル繊維を作製した。得られた
複合ステープル繊維の繊度は3.0デシテックス、繊維
の最大直径(d)と成分Aの最小厚み(t)の比(t/
d)は0.04であった。この複合ステープル繊維を用
い、カード処理を行なってウエッブを作製したところ、
カード処理後では繊維の割繊は0.7%であった。ウエ
ッブ作製での工程トラブルは発生せず、良好な通過性を
示した。さらに、ニードルパンチ処理を行ったが、工程
通過性は良好であった。この時点での繊維の割繊は1.
6%であった。このようにして得られた不織布を70℃
熱水浴中で収縮処理を行い比重0.28の不織布とした
後、水性ポリウレタンエマルジョンレザミンW−180
0(大日精化工業製ポリウレタンエマルジョン)を乾燥
後の固形分重量で不織布の40重量%となるように含浸
して、乾燥した後に160℃熱プレスで表面の平滑化と
比重合わせを実施した。さらにサーキュラー染色機を用
いて、80℃の0.25モル/リットルの水酸化ナトリ
ウム水溶液中で40分間で処理を行い、中和、乾燥をへ
てシートを得た。得られたシートは実施例2に比べ硬い
シートであった。断面観察の結果、繊維の割繊は42%
であった。
【0031】実施例3 重合体Aとしてナイロン6、重合体Bとしてビニルアル
コール−エチレン共重合体[ポリエチレン/ポリビニル
アルコール重量比=60/40]を用いて、重量比を7
5/25の割合で、11層に交互に配列させた後に口金
より吐出させて紡糸した。紡糸後、延伸し、機械捲縮を
付与し、その後51mmにカットし図1に示すタイプの
断面構造を有する複合ステープル繊維を得た。得られた
複合ステープル繊維の繊度は3.5デシテックス、繊維
の最大直径(d)と繊維の最小厚み(t)の比(t/
d)は0.02であった。繊維を構成する各層の、繊維
横断面における幅に対する長さの比は、平均で8.0で
あり、また各層の平均繊度は0.32デシテックスであ
った。この複合ステープル繊維を用い、カード処理を行
なってウエッブを作製したところ、カード処理後では繊
維の割繊は0.7%であった。ウエッブ作製での工程ト
ラブルは発生せず、良好な通過性を示した。さらに、ニ
ードルパンチ処理を行ったが、工程通過性は良好であっ
た。この時点での繊維の割繊は3.5%であった。この
ようにして得られた不織布を70℃熱水浴中で収縮処理
を行い比重0.20の不織布とした後、水性ポリウレタ
ンエマルジョンレザミンW−1800(大日精化工業製
ポリウレタンエマルジョン)を乾燥後の固形分重量で不
織布の40重量%となるように含浸して、乾燥した後に
150℃熱プレスで表面の平滑化と比重合わせを実施し
た。さらに#600のエメリーペーパーを用いて表面を
バフィング処理した。得られたシートは風合いの優れた
皮革様のシートであった。断面観察の結果、表面から
0.1mmまでの繊維の割繊は85%であった。
【0032】比較例4 重合体Aとしてナイロン6、重合体Bとしてビニルアル
コール−エチレン共重合体[ポリエチレン/ポリビニル
アルコール重量比=50/50]を用いて、重量比を7
5/25の割合で、11層に交互に配列させた後に口金
より吐出させて紡糸した。紡糸後、延伸し、機械捲縮を
付与し、その後51mmにカットし図1に示すタイプの
断面構造を有する複合ステープル繊維を得た。得られた
複合ステープル繊維の繊度は3.5デシテックス、繊維
の最大直径(d)と繊維の最小厚み(t)の比(t/
d)は0.004であった。この複合ステープル繊維を
用い、カード処理を行なってウエッブを作製したとこ
ろ、カード処理直後では繊維の割繊は31.5%であ
り、ウエッブ作製でカード装置がつまりを生じて良好な
フリースを得ることができなかった。装置を出た不良な
フリースの繊維の割繊は58.5%であった。このフリ
ースからは不織布を製造することはできなかった。
【0033】比較例5 重合体Aとしてナイロン6、重合体Bとしてビニルアル
コール−エチレン共重合体[ポリエチレン/ポリビニル
アルコール重量比=25/75]を用いて、重量比を7
5/25の割合で、11層に交互に配列させた後に口金
より吐出させて紡糸した。紡糸後、延伸し、機械捲縮を
付与し、その後51mmにカットし図1に示すタイプの
断面構造を有する複合ステープル繊維を得た。得られた
複合ステープル繊維の繊度は3.5デシテックス、繊維
の最大直径(d)と繊維の最小厚み(t)の比(t/
d)は0.08であった。この複合ステープル繊維を用
い、カード処理を行なってウエッブを作製したところ、
カード処理後では繊維の割繊は0.2%であった。ウエ
ッブ作製での工程トラブルは発生せず、良好な通過性を
示した。さらに、ニードルパンチ処理を行ったが、工程
通過性は良好であった。この時点での繊維の割繊は0.
5%であった。このようにして得られた不織布を70℃
熱水浴中で収縮処理を行い比重0.20の不織布とした
後、水性ポリウレタンエマルジョンレザミンW−180
0(大日精化工業製ポリウレタンエマルジョン)を乾燥
後の固形分重量で不織布の40重量%となるように含浸
して、乾燥した後に150℃熱プレスで表面の平滑化と
比重合わせを実施した。さらに#600のエメリーペー
パーを用いて表面をバフィング処理した。得られたシー
トは表面の繊維が太いままで布帛ライクな実施例3に比
べて表面外観におとるシートであった。断面観察の結
果、表面から0.1mmまでの繊維の割繊は15%であ
った。
【0034】
【発明の効果】本発明方法により、工程通過性に優れ、
かつその後に容易に割繊して極細繊維化することができ
る接合型複合ステープル繊維からなる不織布と高分子弾
性体からなる風合いの優れた皮革様シートを得ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法に用いられる多層貼り合わせ型接合
型複合ステープル繊維の断面の一例を示す図である。
【図2】本発明方法に用いられる多層貼り合わせ型接合
型複合ステープル繊維の断面の他の一例を示す図であ
る。
【図3】本発明に属さない貼り合わせ型接合型複合ステ
ープル繊維の断面の他の一例を示す図である。
【符号の説明】
1:成分A 2:成分B d:繊維の最大直径 t:成分Aの最小厚み
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F055 AA01 AA13 AA15 AA21 BA12 EA04 EA05 EA13 EA14 EA24 EA34 FA15 GA03 4L041 BA04 BA05 BA14 BA15 BA34 BA49 BD15 CA06 CA08 CA21 CA25 CA44 DD01 DD06 DD14 EE01 EE06 EE15 EE20 4L047 AA16 AA21 AA23 AA27 AB02 AB08 BA03 CA06 CB10 CC02 CC09 CC10 CC16

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】皮革様シートを製造する方法において、下
    記の工程(1)〜(3)を(1)→(2)→(3)また
    は(1)→(3)→(2)の順序により行うことを特徴
    とする皮革様シートの製造方法。 (1)A、Bの異なる2種の重合体成分からなる繊維に
    おいて、成分Aと成分Bが合計層数で5層以上貼り合わ
    せられており、かつ成分Aが成分Bを被覆した横断面構
    造を有し、被覆部分の成分Aの最小厚み(t)と繊維直
    径(d)との比(t/d)が0.005〜0.05の範
    囲内である接合型複合ステープル繊維から不織布を製造
    する工程、(2)不織布に高分子弾性体を付与する工
    程、(3)不織布中の接合型複合ステープル繊維を割繊
    する工程。
  2. 【請求項2】接合型複合ステープル繊維を構成する成分
    Aと成分Bの重量比が90/10〜10/90の範囲で
    ある請求項1記載の皮革様シートの製造方法。
JP2000301910A 2000-10-02 2000-10-02 皮革様シートの製造方法 Pending JP2002105869A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010528194A (ja) * 2007-05-24 2010-08-19 Esファイバービジョンズ株式会社 分割型複合繊維、その集合体および該分割型複合繊維を用いた繊維成形体

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