JP2002105554A - テルルを回収する方法 - Google Patents
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Abstract
生するテルル化銅から低コストでテルルを回収する。 【解決手段】 テルル化銅に、重量比で0.26〜1.
20倍量の硫黄を添加し加熱処理することでテルル化銅
のテルルと硫黄が置換され、硫化銅とテルルの混合物が
生成する。混合物から過剰に添加した硫黄を蒸発分離す
るのと同時にCuSをCu9 S5 に解離させた後、減圧
下で200〜1000℃に加熱するとテルルのみが気化
し、冷却部に高純度のテルルが凝集するので、剥離回収
する。副生成物であるCu9 S5 は、銅の製錬原料とし
て再利用する。
Description
いて陽極泥の処理の際に副産物として発生するテルル化
銅からテルルを回収する方法に関するものである。
なく、一般に銅の電解精錬の副産物として製造される。
銅の電解精錬の際に陽極から陽極泥が発生するが、テル
ルは他の金属と化合物を形成して陽極泥中に沈積され
る。陽極泥は硫酸を添加した後、焙焼してセレンの大部
分を揮発させることにより焙焼物中に酸に可溶の亜テル
ル酸が濃縮される。焙焼物は硫酸を含む銅電解液で浸出
し、その浸出液に銅粉を加えると、テルルはCu2 Te
として沈殿する。ただし、浸出液にAg、Seが含まれ
ている場合には、Cu2 Teと共にAg2 Te、Seが
沈殿する。
の回収は、Cu2 Teの分離採取後、チリ硝石およびソ
ーダ灰と混合して分銀炉に投入し、Agを金属として分
離した後、TeおよびSeはソーダスラグとする。ソー
ダスラグを熱湯で浸出して、亜セレン酸ソーダおよび亜
テルル酸ソーダを得る。次に、これを希硫酸で中和する
とTeO2 の沈殿が得られる。
せ、電解採取でカソードにTeを析出させ回収する。ま
た、特開昭61−53103号には、TeO2 の水酸化
ナトリウム溶液に硫化ナトリウムを添加することで不純
物を沈殿除去した後、酸化剤を添加してテルル酸ナトリ
ウムを沈殿分離し、次にそのテルル酸ナトリウムを希塩
酸に溶解させた後、亜硫酸ナトリウムや亜硫酸ガスなど
の還元剤を添加して、液から析出するTeを回収する方
法が開示されている。
としては、ほう砂で覆って、小麦粉または微粉炭と共に
加熱する直接還元法などが報告されている。上述の通
り、従来のテルルの回収方法では、Cu2 Teに含まれ
る不純物元素を除去しながら中間物としてTeO2 を生
成させ、次にTeO2 を電気化学的あるいは化学的に還
元する手法が一般に用いられてきた。
らTeを回収するときに、中間物としてTeO2 の生成
を経由する従来のテルルの回収方法では、工程数が多い
だけでなく、湿式法を主体とした処理であるため大量の
廃水処理が必要となり、結果としてコストが高くなると
いう問題があった。
を解決するものであって、テルル化銅からテルルを回収
するときに、中間物として二酸化テルルを経由せず、少
ない工程数で高純度テルルを回収でき、廃水処理が不要
で、低コストのテルルを回収する方法を提供することを
目的とする。
法では、銅の電解精錬において陽極泥の処理工程で発生
するテルル化銅に、重量比で0.26〜1.20倍量の
硫黄を添加し一定時間加熱処理した後、過剰の硫黄を蒸
発分離するのと同時に加熱処理生成物であるCuSをC
u9 S5 へ解離させ、次に減圧下で200〜1000℃
に加熱することでテルルを蒸発分離する。
子の中心部のCu濃度が高いため実際にはCu2+x Te
で示される組成と考えられるが、一般的にはCu2 Te
と記述されるので、本明細書中でもCu2 Teと記述し
ている。Cu2 Teは、溶融状態のSと接触させると下
記の式(1)に従って容易にCuSを形成し、Teは金
属テルルとして遊離してくる。SとTeは化合物を形成
するという報告もあるが定かではない。また、CuSは
加熱条件によってはS解離が進み式(2)に示すように
Cu9 S5 となる。
熱するとSと酸化物が反応してSO2 を発生し、その結
果、混合物は気泡による体積膨張によって容器から溢出
するおそれがある。混合物の溢出を防ぐためには、硫黄
添加前にCu2Teを水素気流中200〜1000℃で
加熱処理するか、あるいは炭素粉末と混合後アルゴンも
しくは窒素気流中または減圧下500〜1000℃で加
熱処理するとよい。
あるいはロータリーキルンを用いるのが適当であるが、
反応効率が良いものであればどのような装置を用いても
よい。水素供給量は、Cu2 Teの酸化の程度および処
理量を考慮し任意に決定することができる。また、炭素
粉末と混合後加熱処理する場合には、ボールミル等を用
いて炭素粉末とCu2 Teとを混合分散し、アルゴンも
しくは窒素気流中または減圧下で加熱する。炭素粉末の
種類と混合量は、特に限定しないが分散性の優れたカー
ボンブラックなどを使用し、Cu2 Te中の酸素量と等
モル量以上とする。
て生成するCu9 S5 中に炭素粉末が含有されることに
なるが、Cuの乾式製錬原料として利用するとき少量の
炭素粉末は何ら支障を生じない。アルゴンもしくは窒素
の流量は、還元反応によって発生するCOもしくはCO
2 が速やかに系外に排出する量を供給すればよいが、コ
スト面からできる限り少なくすることが好ましい。
0℃未満、炭素粉末と処理する場合500℃未満である
と還元速度が極めて遅い。また何れの場合も加熱温度が
1000℃より高温であると熱エネルギーコストが嵩む
ばかりでなく、反応物の焼結が進み次工程の反応性が低
下する。このため作業性が悪くなるばかりでなく、装置
材質の耐久性も損なうので好ましくない。
混合物の溢出が防止できる大きな容器で行えばCu2 T
e表面の酸化物の還元処理を行わなくてもよいが、設備
が大きくなるので経済的ではない。還元処理を行ったC
u2 Teに重量比で0.26〜1.20倍量の硫黄を添
加した後、一定時間加熱処理する。
より小さい場合には、Teの生成によってCu2 Teと
Sの混合物に流動性が失われるのみならず、反応に関与
するSが不足し反応速度を著しく低下させる。逆に、C
u2 Teに対するSの重量比が1.20より大きい場合
は、過剰に仕込んだSの分離、回収に長時間を要し生産
性が低下する。Cu2 TeとSの反応速度を早くするた
めに、撹拌混合を行うことは効果的である。
して112〜445℃が最も適している。加熱処理を行
う雰囲気は、アルゴンもしくは窒素気流中または減圧下
で行うことでSの空気酸化で起こるSO2 の発生が抑制
できるが、250℃以下の場合は大気中でもSO2 の発
生量は少なく、大きな支障なく加熱処理を行うことが可
能である。また、オートクレーブ等の密閉容器を使用
し、高いS蒸気圧下で反応を進める手法もあるが、44
5℃より高温の場合はオートクレーブ等の容器材質の耐
圧強度、耐硫化性および耐テルル化性を維持しながら反
応を進めるのは難しい。
んだSを蒸発分離するのと同時にCuSからCu9 S5
への解離反応を進める。過剰に仕込んだSおよび式
(2)によって発生するSを分離するために生成物を加
熱保持し、Sを気化させる。式(2)の反応は常圧下、
500℃以上で進行する。常圧下、500℃より低温で
Sの分離を行う場合、式(2)の反応は進行しないの
で、次工程のTe分離時に式(2)の反応が進行し、そ
の結果Teに微量のSが混入し、Sを除去するため再度
減圧下で加熱を行う必要がある。
反応を進めてしまうことによってTeにSが混入しなく
なるため、Teを減圧下で再加熱処理する必要がなくな
り、工程が短縮できる。ただし600℃より高温の場
合、Teの蒸発損失が大きくなり収率の低下を引き起こ
すので、加熱温度は500〜600℃が最適である。
ことが可能であるが、Sの沸点が445℃と比較的低
く、Teの蒸発損失を極力防止するため、さらに不純物
として存在するBiなどの混入を防止するためには、ア
ルゴン気流中もしくは窒素気流中で行う方が好ましい。
なお、Teの蒸発損失が抑制でき、かつ式(2)の反応
が進行し得る加熱方式および加熱条件であれば、これら
条件にとらわれる必要はない。
分離するため、減圧下で200〜1000℃に加熱す
る。Teの沸点は989.8℃であるので、減圧下で2
00〜1000℃に加熱するとTeは速やかに気化し、
反応容器に接続したコンデンサーに凝集、固化するの
で、加熱終了後コンデンサーから剥離、回収する。一方
反応容器内にはCu9S5 が残留する。
あるが、通常はコンデンサーを必要以上に大きくしない
ために150Pa以下が好ましい。加熱温度が200℃
未満では、Teの蒸発速度が非常に遅く回収効率が低
い。一方1000℃より高温では、Teの蒸発速度が速
すぎるため蒸発損失が大きくなるだけでなく、沸点の比
較的低い不純物の混入が懸念される。Cu9 S5 中には
不純物としてMn(沸点2150℃)、Pb(沸点17
40℃)、Si(沸点2335℃)、Fe(沸点300
0℃)、Bi(沸点1447℃)、Mg(沸点1107
℃)もしくはこれらの硫化物が残留すると予想される
が、1000℃より高温で加熱した場合には特にBiお
よびMgがTeに混入する可能性が高まる。
%以上の収率で高純度Teの回収を行うことができる。
また副生成物のCu9 S5 は乾式銅製錬用の原料とし、
回収されたSは循環使用する。
泥を硫酸で浸出した液にCu粉を投入し、セメンテーシ
ョンによって生成したCu2 Teを純水で洗浄し、温風
乾燥機を用い70℃で6h乾燥する。Cu2 Te200
〜1000gを石英製の流動層に入れ、水素1〜10L
/min気流中300℃で加熱してCu2 Te表面に存
在する酸化物を還元除去し、Cu2 TeとSの反応時に
SO2 が発生することによる原料の容器からの溢出を回
避する。加熱時間は、還元の進行状態を測定し決定すれ
ばよいが、一般に1〜3hが適当であり、水素は脱水し
ながら循環使用することで利用率をあげることができ
る。
積2Lのアルミナ製ポットにCu2Te200g、カー
ボンブラック10g、φ10の部分安定化ジルコニアボ
ール1.5kg、および水200mLの割合で入れ、1
25rpmで1h混合する。混合後内容物を取出し、ジ
ルコニアボールを取り除いた混合粉末スラリーをバット
に入れ、温風循環乾燥機で50〜90℃で1〜6h乾燥
し、真空加熱炉で800℃、3h加熱する。
2 Teは、水冷式の冷却トラップが取付けられた上蓋を
有し、雰囲気制御が可能な石英製容器に入れ、Cu2 T
eに対し重量比で0.26〜1.20倍のSを添加後、
窒素100〜1000mL/minを容器内に流しなが
ら電気抵抗加熱ヒーターで加熱を開始する。加熱温度
は、硫黄の蒸気圧が低く、反応温度が速い200〜25
0℃が最適である。加熱時間は1〜10hの範囲で行う
のがよいが、仕込み量、加熱温度およびCu2 TeとS
の混合状態によって任意に変化させなければならない。
冷却トラップには、内側トラップ表面の温度が50℃以
下になるように冷却水を十分に流す必要がある。
気流中500〜600℃で1〜5h保持する。過剰なS
およびCuSの解離によって発生したSは、冷却トラッ
プに凝集し、石英製容器内には、Cu9 S5 とTeの混
合物が残留する。加熱温度および加熱時間は、Teの蒸
発損失が防げる範囲であれば任意に変更が可能である。
石英製容器を室温に冷却した後、冷却トラップが取付け
られた上蓋を石英製容器から取外し、同型の上蓋を新た
に取付ける。
英製容器を油回転ポンプで150Pa以下まで減圧した
後、石英製容器を電気抵抗加熱ヒータで加熱し、200
〜1000℃、1〜5h保持する。加熱温度は300〜
600℃がより好ましい。Cu9 S5 とTeの混合物か
らTeが蒸発し、冷却トラップに凝集する。石英製容器
を室温まで冷却後、冷却トラップに凝集したTeを剥離
回収する。
風乾燥機を用い70℃で6h乾燥する。Cu2Te20
0gを石英製の流動層に入れ、3L/minの水素気流
中300℃で3h加熱する。
の冷却トラップが取付けられた上蓋を有し、雰囲気制御
が可能な内容積2Lの石英製容器に入れ、Cu2 Teに
対し重量比で0.5倍のSを添加後、窒素100mL/
minを容器内に流しながら電気抵抗加熱ヒーターで加
熱を開始する。加熱は250℃で3h行い、冷却トラッ
プには、水を100mL/min流しておく。
る。過剰なSおよびCuSの解離によって発生したS
は、冷却トラップに凝集し、石英製容器内には、Cu9
S5 とTeの混合物が残留する。石英製容器を室温に冷
却した後、冷却トラップを取付けた上蓋を石英製容器か
ら取外し、同型の上蓋を新たに取付ける。冷却トラップ
に水を100mL/min流しながら、石英製容器を油
回転ポンプで150Pa以下まで減圧した後、石英製容
器を電気抵抗加熱ヒータで加熱し、400℃、3h保持
する。Cu9 S5 とTeの混合物からTeが蒸発し、冷
却トラップに凝集するので、室温まで冷却後、冷却トラ
ップに凝集したTeを剥離回収する。
%であり、純度は99%であった。 〔実施例2〕Cu2 Teに対し重量比で1.2倍のSを
添加した以外は実施例1と同様に操作した。
%であり、純度は99%であった。 〔実施例3〕Cu2 TeとSを加熱処理後、石英製容器
を600℃で2h保持し、過剰なSおよびCuSの解離
によって発生したSを分離した以外は実施例1と同様に
操作した。
%であり、純度は99%であった。 〔実施例4〕Cu2 TeとSを加熱処理し、S分離後
に、Cu9 S5 とTeが残留した石英製容器を電気抵抗
加熱ヒータで1000℃、2h保持する以外は実施例1
と同様に操作した。
%であり、純度は99%であった。 〔実施例5〕Cu2 Te200gを石英製の流動層に入
れ、3L/minの水素気流中300℃で3h加熱する
処理は行わず、内容積3Lの石英製容器を使用した。そ
れ以外実施例1と同様に操作した。
%であり、純度は99.99%であった。
ルル化銅からテルルを回収するときに、中間物として二
酸化テルルを経由せず、少ない工程数で高純度テルルを
回収できるだけでなく、乾式法であるため廃水処理が不
要であり、コスト低減が可能となる。また、副生成物で
あるCu9 S5 は、銅の製錬原料として、硫黄は反応原
料として再利用可能であり、資源の有効利用に貢献でき
る。
200〜1000℃で加熱処理するか、あるいは炭素粉
末と混合後アルゴンもしくは窒素気流中または減圧下5
00〜1000℃で加熱処理すると、粒子表面が酸化さ
れいるCu2 Teを加熱したときに、Sと酸化物が反応
してSO2 を発生し、混合物が気泡による体積膨張によ
って容器から溢出するのを防ぐことができる。
Claims (2)
- 【請求項1】 銅の電解精錬における陽極泥の処理工程
で発生するテルル化銅に、重量比で0.26〜1.20
倍量の硫黄を添加し一定時間加熱処理した後、過剰の硫
黄を蒸発分離するのと同時に加熱処理生成物であるCu
SをCu9 S 5 へ解離させ、次に減圧下で200〜10
00℃に加熱することでテルルを蒸発分離することを特
徴とするテルルを回収する方法。 - 【請求項2】 硫黄添加前に、テルル化銅を、水素気流
中200〜1000℃で加熱処理するか、あるいは炭素
粉末と混合後アルゴンもしくは窒素気流中または減圧下
500〜1000℃で加熱処理することを特徴とする請
求項1記載のテルルを回収する方法。
Priority Applications (1)
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JP2000297400A JP4574826B2 (ja) | 2000-09-28 | 2000-09-28 | テルルを回収する方法 |
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Family Applications (1)
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- 2000-09-28 JP JP2000297400A patent/JP4574826B2/ja not_active Expired - Lifetime
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