JP2002105364A - インキ組成物、転写シート、転写方法、及び化粧材 - Google Patents

インキ組成物、転写シート、転写方法、及び化粧材

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JP2002105364A
JP2002105364A JP2000294294A JP2000294294A JP2002105364A JP 2002105364 A JP2002105364 A JP 2002105364A JP 2000294294 A JP2000294294 A JP 2000294294A JP 2000294294 A JP2000294294 A JP 2000294294A JP 2002105364 A JP2002105364 A JP 2002105364A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インキ層上に表面保護層を設ける場合に、良
好な耐スクラッチ性及び耐熱水密着性が得られる様な、
インキ組成物、転写シート、転写方法、化粧材とする。 【解決手段】 インキ組成物は、そのバインダー樹脂に
アクリル樹脂と、分子中に(メタ)アクリロイル基とヒ
ドロキシル基とを有するウレタンアクリレートプレポリ
マーとを用いる。転写シートSは、このインキ組成物で
支持体シート1上の転写層2としてインキ層3を設け
る。この転写シートと被転写体間に未硬化状態のウレタ
ン樹脂層を介し、固体粒子衝突圧による転写圧で、被転
写体に転写層を転写後、アクリレート系電離放射線硬化
性樹脂の表面保護層を積層し、この後、ウレタン樹脂層
と表面保護層を完全硬化させる転写方法等により化粧材
を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インキ層上に電離
放射線硬化性樹脂の表面保護層を設けた化粧材等に於い
て、良好な耐スクラッチ性と耐熱水密着性が得られるイ
ンキ組成物に関する。また、該インキ組成物による転写
シート及び化粧材、該転写シートを用いた転写方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】化粧板等の各種化粧材が、基材を転写法
や塗装法等によって装飾する事で製造されている。そし
て、化粧材には、耐スクラッチ性(耐擦傷性)等の表面
強度、耐候性等の諸物性が用途に応じて要求される他、
更に形状的に凹凸面の化粧が要求される場合もある。こ
の様な場合、絵柄層は凹凸面への転写も可能となる転写
法で形成した後、更に表面保護層を塗装形成する等し
て、表面保護層を設けた化粧材としている。
【0003】そして、絵柄層のインキには、耐候性や密
着性等の点で、バインダー樹脂としてアクリル樹脂、ウ
レタン樹脂等が良く使用されていた(特公昭59−20
464号公報、特開昭60−101099号公報等参
照)。また、表面保護層には、熱硬化性樹脂等も使用さ
れるが、高性能の硬質塗膜が得られ且つ短時間硬化によ
り生産性も良い点では、紫外線や電子線で架橋硬化させ
る電離放射線硬化性樹脂が使用されていた(特公平5−
49479号公報等参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記方
法では、表面保護層に電離放射線硬化性樹脂を使用した
としても、耐スクラッチ性や密着性(例えば耐熱水密着
性)が不十分な事があった。例えば、絵柄層のインキの
バインダー樹脂がウレタン樹脂の場合は、耐候性試験後
の二次密着(耐候密着性)と、耐熱水試験(耐熱水密着
性)において、表面保護層と絵柄層間で剥離がみられ
た。一方、絵柄層のインキのバインダー樹脂がアクリル
樹脂の場合は耐熱水密着性にて絵柄層の層内剥離がみら
れる上、表面保護層の耐スクラッチ性も不十分であっ
た。
【0005】すなわち、本発明の課題は、絵柄層上に電
離放射線硬化性樹脂による表面保護層を形成する様な場
合に、表面保護層による耐スクラッチ性が良好で、しか
も、表面保護層と絵柄層との密着が良く耐熱水密着性が
良好となる、インキ組成物を提供することである。ま
た、この様な性能の絵柄層を形成できる転写シート及び
その転写方法を提供することである。また、この様な性
能の化粧材を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく、
本発明のインキ組成物は、熱可塑性アクリル樹脂と、分
子中に(メタ)アクリロイル基とヒドロキシル基とを有
するウレタンアクリレートプレポリマーをバインダー樹
脂とする構成とした。
【0007】この様な構成とすることで、ウレタンアク
リレートプレポリマーが有する(メタ)アクリロイル基
が、アクリレート系電離放射線硬化性樹脂が有する(メ
タ)アクリロイル基と反応して結合する一方、前記プレ
ポリマーが有するヒドロキシル基が、(下地層や接着剤
層等として用いる)硬化性ウレタン樹脂の硬化剤である
イソシアネートと反応して結合するので、良好なる密着
性が得られる。従って、このインキ組成物で絵柄層等の
インキ層を基材等に形成し、該インキ層上にアクリレー
ト系電離放射線硬化性樹脂で表面保護層を形成した場合
に、インキ層と表面保護層との密着性が良好となる。し
かも、ウレタンアクリレートプレポリマーによって、イ
ンキ層の柔軟性が増して、表面保護層の電離放射線硬化
性樹脂の硬化収縮時の内部応力を緩和できるので、この
点でも、インキ層と表面保護層との密着性が良好とな
る。また、インキ層を基材等の対象物にイソシアネート
を硬化剤とする硬化性ウレタン樹脂からなるウレタン樹
脂層(下地層や接着剤層として形成される)を介して形
成する場合に、インキ層と基材等の対象物との密着性も
良好となる。以上の結果、良好な耐熱水密着性が得られ
るインキ組成物となる。また、ウレタンアクリレートプ
レポリマーによって、インキ層の柔軟性が増す為に、イ
ンキ層上に表面保護層を形成した場合に、表面の耐スク
ラッチ性も良好となる。
【0008】また、本発明の転写シートは、支持体シー
ト上に上記インキ組成物からなる転写層を有する構成と
した。
【0009】この様な構成の転写シートにすることで、
上記インキ組成物によるインキ層を転写層として転写に
よって基材等の被転写体上に形成でき、該インキ層によ
る耐スクラッチ性及び耐熱水密着性の作用効果を得る事
が可能となる。なお、転写シートは、採用する転写圧加
圧方法次第で、グラビア印刷等では不可能な様な凹凸面
に対しても転写層としてインキ層を形成できる利点を有
する。
【0010】また、本発明の転写方法は、被転写体に、
未硬化状態の硬化性ウレタン樹脂からなるウレタン樹脂
層を介して、上記転写シートからその転写層を、転写圧
に固体粒子の衝突圧を用いて転写した後、更にアクリレ
ート系の電離放射線硬化性樹脂の表面保護層を積層し、
この後、前記ウレタン樹脂層及び表面保護層を硬化させ
る様にした。
【0011】この様にすることで、前記インキ組成物に
よる耐熱水密着性及び耐スクラッチ性及びの作用効果を
実現した転写物が得られる。また、転写圧が固体粒子の
衝突圧である為に、ゴムローラを利用する従来の転写方
法では不可能な様な凹凸面の被転写面までも転写が可能
となる。この為、従来では不可能な様な、高意匠の化粧
材等の転写物を容易に製造できる。
【0012】また、本発明の化粧材は、基材上に、硬化
性ウレタン樹脂の硬化物からなるウレタン樹脂層、前記
インキ組成物からなるインキ層、アクリレート系の電離
放射線硬化性樹脂の硬化物からなる表面保護層をこの順
に有する構成とした。
【0013】この様な構成の化粧材とすることで、前述
インキ組成物の効果である耐熱水密着性及び耐スクラッ
チ性が、良好な化粧材となる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
について、実施の形態を説明する。
【0015】インキ組成物:本発明のインキ組成物は、
そのバインダー樹脂に、熱可塑性アクリル樹脂と、分子
中に(メタ)アクリロイル基とヒドロキシル基とを有す
るウレタンアクリレートプレポリマーの両方の樹脂を使
用する。なお、アクリル樹脂とウレタンアクリレートプ
レポリマーとの配合比は、用途に応じて適宜調整する
が、通常、質量比で1/9〜9/1程度である。但し、
ウレタンアクリレートプレポリマーの割合が多くなると
ブロッキング(印刷物を巻取ったり、積み重ねたときに
インキ層が粘着して隣接する被印刷体と貼り付いてしま
うこと)し易くなる。従って、ブロッキングの防止に重
点を置く場合は、質量比は(アクリル樹脂/ウレタンア
クリレートプレポリマー)=6/4〜9/1程度とする
ことが好ましい。また、該プレポリマー中の(メタ)ア
クリロイル基及びヒドロキシル基の効果を享受する為に
は、通常、該プレポリマーは全体の1/9以上は必要で
ある。
【0016】〔アクリル樹脂〕アクリル樹脂は、インキ
組成物に、溶剤乾燥後の非粘着性、非流動性(指触乾燥
性)を付与すると共に、耐候性を付与するものである。
アクリル樹脂としては、ポリ(メタ)アクリル酸メチ
ル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アク
リル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メ
タ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重
合体、(メタ)アクリル酸エチル−(メタ)アクリル酸
ブチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル
共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合
体、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブ
チル−(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル−ス
チレン共重合体、(メタ)アクリル酸エチル−(メタ)
アクリル酸ブチル−(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキ
シエチル共重合体等の(メタ)アクリル酸エステルを含
む単独又は共重合体からなる樹脂であり、1種又は2種
以上使用する。なお、(メタ)アクリル酸とは、アクリ
ル酸又はメタクリル酸を意味する。
【0017】〔ウレタンアクリレートプレポリマー〕本
発明で使用するウレタンアクリレートプレポリマーは、
インキ組成物に、表面保護層(アクリレート系電離放射
線硬化性樹脂からなる)、及び基材上のウレタン樹脂層
(硬化性ウレタン樹脂からなる)との接着性を付与し、
化粧材の耐熱水密着性に寄与する。また、インキ層に可
撓性を付与し、特に凹凸形状への追従性、成形性を付与
するものである。本発明のウレタンアクリレートプレポ
リマーとしては、分子中に(メタ)アクリロイル基と共
に、ヒドロキシル基も有するプレポリマーを使用する。
この様なプレポリマーは、例えば、ポリカーボネートジ
オール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオー
ル、アクリルジオール等のジオールと、イソホロンジイ
ソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネー
ト等のジイソシアネートと共に、2−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)
アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピ
ル(メタ)アクリレート、(メタ)アクルル酸−1−ク
ロル−2−ヒドロキシエチル等のヒドロキシル基含有
(メタ)アクリレートとを、反応させる事で得られる。
この様なプレポリマーは1種又は2種以上使用する。な
お、ジオール成分としてポリカーボネートジオールは、
耐熱水密着性の点で優れた物性が得られる。
【0018】なお、(メタ)アクリロイル基はアクリロ
イル基又はメタクリロイル基を意味し、(メタ)アクリ
レートとはアクリレート又はメタクリレートを意味す
る。そして、分子中に(メタ)アクリロイル基を有する
とは、アクリロイル基、メタクリロイル基の何方か一方
又は両方を有するプレポリマーを意味する。すなわち、
ウレタンアクリレートプレポリマーに於けるアクリレー
ト系とは、アクリレート化合物の他にメタクリレート化
合物も含む。
【0019】また、上記ジイソシアネートとしては、上
記の他に、例えば、4,4′−ジフェニルメタンジイソ
シアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、1,
5−ナフタレンジイソシアネート、n−イソシアネート
フェニルスルホニルイソシアネート、o又はp−イソシ
アネートフェニルスルホニルイソシアネート等の芳香族
イソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネー
ト、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂
環式イソシアネート等がある。なお、イソシアネートは
単独又は2種以上を使用する。なかでも、良好な耐候密
着性を与える点では、例えばヘキサメチレンジイソシア
ネート等の脂肪族イソシアネート、或いはイソホロンジ
イソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシア
ネート等の脂環式イソシアネートが好ましい。
【0020】〔その他の成分〕なお、バインダー樹脂と
しては、上記2成分の他に、物性調整の為に、副成分の
範囲内で、その他の樹脂、例えば、ウレタン樹脂、塩化
ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、セル
ロース系樹脂等を一種又は二種以上併用しても良い。
【0021】そして、本インキ組成物のバインダー樹脂
以外の成分としては、従来公知のインキ組成物同様に、
用途に応じて適宜、顔料や染料等の着色剤、希釈溶剤、
体質顔料、各種添加剤を使用する。例えば、着色剤とし
ては、チタン白、カーボンブラック、弁柄、黄鉛、群青
等の無機顔料、アニリンブラック、キナクリドンレッ
ド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー
等の有機顔料、或いはその他染料等が用いられる。ま
た、希釈(或いは分散)溶剤としては、トルエン、メチ
ルエチルケトン等の有機溶剤、或いは水等が用いられ
る。また、体質顔料としては、炭酸カルシウム、硫酸バ
リウム、シリカ、アルミナ等の微粉末が用いられる。ま
た、各種添加剤として、分散剤、可塑剤、安定剤、接着
付与剤等が用いられる。
【0022】〔インキ組成物の用途〕上記の如きインキ
組成物は、各種インキ層、例えば、着色剤を含有し各種
絵柄を表現する為の絵柄層、或いは、透明樹脂層、剥離
層(転写シートの場合)、等の形成に使用される。これ
ら各層の形成法は、用途に応じて、グラビア印刷、オフ
セット印刷、活版印刷、シルクスクリーン印刷、転写印
刷等の従来公知の各種印刷法、或いは、全面に形成する
のであれば、グラビアコート、ロールコート、カーテン
コート、スプレーコート等の従来公知の各種塗工法等に
よれば良い。
【0023】そして、本発明のインキ組成物によって、
例えば、図2の断面図で示す如き化粧材が得られる。同
図に例示する化粧材Dは、後述する本発明の化粧材の一
形態であり、基材B上に、硬化性ウレタン樹脂の硬化物
からなるウレタン樹脂層4、インキ層3、アクリレート
系電離放射線硬化性樹脂の硬化物からなる表面保護層5
が積層された構成の転写物である。なお、インキ層3を
転写層として形成する場合は、基材Bは被転写体でもあ
る。
【0024】転写シート:次に、上記の如きインキ組成
物によるインキ層を、対象物として基材等の被転写体に
転写で形成する為の一手段である、本発明の転写シート
について説明する。
【0025】本発明の転写シートは、図1の断面図で示
す転写シートSの如く、支持体シート1上の転写層2と
して、熱可塑性アクリル樹脂と分子中に(メタ)アクリ
ロイル基とヒドロキシル基とを有するウレタンアクリレ
ートプレポリマーをバインダー樹脂とするインキ組成物
によるインキ層3が形成された構成の転写シートであ
る。転写層とするインキ層3は、用途に応じ、印刷法や
塗工法等の従来公知の形成法で形成する。転写層2とす
るインキ層3は、例えば上述の如く絵柄層等である。ま
た、該インキ層は多層でも良い。例えば、支持体シート
側から全面に形成される透明樹脂層と、絵柄層との2層
構成である。また、通常絵柄層は多色刷りの多層構成で
もある。
【0026】支持体シート1としては、基本的には転写
層と離型性が有れば、従来公知のもので良く特に限定は
ない。但し、凹凸面へ転写する場合には、支持体シート
はその延伸性(転写時に延びる性質)によって凹凸追従
性を有するものが好ましい。従って、凹凸追従性が要求
される用途では、支持体シートは延伸性を有するものが
良い。一方、被転写面が平面等で凹凸追従性が要求され
ない用途では、支持体シートは、延伸性が無い紙や金属
箔等でも良い。延伸性を有する支持体シートとしては、
例えば、従来多用されている2軸延伸ポリエチレンテレ
フタレートフィルムでも、表面凹凸形状次第で、加熱条
件、転写圧条件等の設定によって、必要充分な延伸性が
得られる事もある。ただ、より低温・低圧で延伸性が発
現し易い好ましい支持体シートとしては、例えば、エチ
レン・テレフタレート・イソフタレート共重合体ポリエ
ステル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル系
熱可塑性エラストマー等の熱可塑性ポリエステル樹脂、
ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、
エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン
−ブテン3元共重合体、オレフィン系熱可塑性エラスト
マー等のポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、或いは天然
ゴム、合成ゴム、ウレタン系熱可塑性エラストマー等を
単体又は混合物で、単層又は異種の複層とした樹脂フィ
ルム(シート)を用いることができる。これら樹脂フィ
ルムは低延伸又は無延伸の物が好ましい。例えば、具体
的にはポリプロピレン系熱可塑性エラストマーフィルム
は、延伸性に優れ且つ環境的にも好ましい支持体の一つ
である。支持体の厚さは、通常20〜200μmであ
る。
【0027】なお、支持体シートには必要に応じ、その
転写層側に転写層との離型性を向上させる為、支持体シ
ートの構成要素として離型層を設けても良い。この離型
層は支持体シートを剥離時に、被転写体側に移行する転
写層に対して、支持体シートの一部として転写層から剥
離除去される。離型層としては、例えば、シリコーン樹
脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポ
リオレフィン樹脂、ワックス等の単体又はこれらを含む
混合物が用いられる。また、離型性の調整の為に、支持
体シートの転写層側の面にコロナ放電処理、オゾン処理
等を行っても良い。
【0028】なお、インキ層3として絵柄層を形成する
場合、絵柄層の絵柄は任意だが、例えば木目模様、石目
模様、布目模様、タイル調模様、煉瓦調模様、皮絞模
様、文字、幾何学模様、全面ベタ等を、単独又は組み合
わせて使用する。
【0029】なお、インキ層の対象物への形成は、この
様な転写シートによる転写以外に、グラビアオフセット
印刷、シルクスクリーン印刷等の非転写形式の印刷法や
塗工法によって形成する事もできるが、転写シートを用
いた転写形式で形成する事によって、グラビア印刷等で
は不可能な様な凹凸面に対してもインキ層を形成できる
等の利点がある。
【0030】転写圧加圧方式:次に、本発明の転写方法
について説明する前に、上記本発明の転写シートの転写
で採用し得る転写圧加圧方式について説明する。本発明
の転写シートを転写する為の転写圧加圧方式(いわゆる
転写法)としては、例えば下記に列記する(1)〜(3) 、
或いはその他の加圧方式等と、任意である。用途に応じ
た転写圧加圧方式を採用すれば良い。但し、平面はもち
ろん、従来は不可能であった大きな表面凹凸にも転写で
きる点で、(3) の固体粒子の衝突圧を利用する転写圧加
圧方式は優れた方法である。また、この加圧方式は後述
本発明の転写方法でも採用する加圧方式でもある。ま
た、(1) の所謂ローラ転写法と呼ばれる加圧方式は、平
面、或いは、弾性体ローラを軟質とすることで被転写体
に多少の表面凹凸が有っても転写できる平易な転写法と
して、好ましい転写圧加圧方式である。
【0031】(1) ローラ転写法:特公昭60−5987
6号公報、特開平5−270199号公報、特開平5−
139097号公報に記載されるように、転写シート
を、転写層を被転写体側に向けて、支持体シート側から
弾性体ローラで加圧し、転写層が被転写体に接着後、支
持体シートを剥離する転写法。 (2) 真空成形転写法:特公昭56−45768号公報
(オーバーレイ法)、特公昭60−58014号公報
(真空プレス法)等に記載されるように、成形品等の立
体形状物品の被転写体の表面に転写シートを対向又は載
置し、被転写体側からの少なくとも真空吸引、更に適宜
転写シート側からの圧空押し付け、弾性体シートによる
押圧も併用する圧力により転写シートの転写層を被転写
体の表面に転写する、所謂真空成形積層法を利用した転
写法。 (3) 固体粒子衝突圧を利用した転写法:特許第2844
524号公報、特開平10−193893号公報等に開
示された新規な転写法である。この転写法では、図3で
概念的に示す如く、被転写体B上に配置した、支持体シ
ートと転写層とからなる転写シートSの支持体シート側
(図面上方)に、多数の固体粒子Pを衝突させ、その衝
突圧を転写圧に利用して、転写シートを被転写体の被転
写面の凹凸形状に追従させ成形させて転写する。なお、
固体粒子Pに付記した矢印は、固体粒子の速度ベクトル
を表す。
【0032】次に、固体粒子衝突圧を利用した転写圧加
圧方式を詳述しておく。
【0033】〔固体粒子衝突圧による転写圧加圧方式〕
前述の如く、この転写圧加圧方式(転写法)では、転写
圧の加圧に固体粒子を用いるが、固体粒子としては、セ
ラミックビーズ、ガラスビーズ等の非金属無機粒子、亜
鉛、鉄等の金属粒子、ナイロンビーズや架橋ゴムビーズ
等の樹脂ビーズ等の有機粒子、或いは金属等の無機粒子
と樹脂とからなる無機物・樹脂複合粒子等を使用する。
粒子形状は球形状が好ましいが、その他の形状でも用い
得る。粒径は通常10〜1000μm程度である。
【0034】固体粒子は噴出器から転写シートに向かっ
て噴出させ、転写シートに衝突したその衝突圧が転写圧
となる。噴出器には、代表的には羽根車や吹出ノズルを
用いる。羽根車はその回転により固体粒子を加速し、吹
出ノズルは高速の流体流で固体粒子を加速する。羽根車
や吹出ノズルには、サンドブラスト或いはショットブラ
スト、ショットピーニング等とブラスト分野にて使用さ
れているものを流用できる。例えば羽根車には遠心式ブ
ラスト装置、吹出ノズルには加圧式や吸引式ブラスト装
置、ウェットブラスト装置等である。遠心式ブラスト装
置は羽根車の回転力で固体粒子を加速し噴出する。加圧
式ブラスト装置は、圧縮空気に混合しておいて固体粒子
を、空気と共に噴出する。吸引式ブラスト装置は、圧縮
空気の高速流で生ずる負圧部に固体粒子を吸い込み、空
気と共に噴出する。ウェットブラスト装置は、固体粒子
を液体と混合して噴出する。
【0035】図4及び図5は、羽根車による噴出器の一
例を示す概念図である。羽根車812は、複数の羽根8
13がその両側を2枚の側面板814で固定され、且つ
回転中心部は羽根813が無い中空部815となってい
る。更に、この中空部815内に方向制御器816を内
在する(図5参照)。方向制御器816は、外周の一部
が円周方向に開口した開口部817を有し中空筒状で羽
根車812の回転軸芯と同一回転軸芯で、羽根車とは独
立して回動自在となっている。羽根車使用時は、方向制
御器の開口部を適宜の方向に向くように固定して、固体
粒子の噴出方向を調整する。更に、この方向制御器の内
部に、内部中空で羽根車812の回転軸芯と同一回転軸
芯のもう一つの羽根車が散布器818として内在する
(図5参照)。散布器818は外側の羽根車812と共
に回転する。そして、前記側面板814の回転中心には
回転軸819が固定され、回転軸819は、軸受820
で回転自在に軸支され電動機等の回転動力源(図示略)
によって駆動回転され、羽根車812が回転する。また
回転軸819は、羽根813を間に有する2枚の側面板
814間には貫通しておらず、軸無しの空間を形成して
いる。そして、散布器818の内部に固体粒子Pがホッ
パ等から輸送管を通って供給される。通常、固体粒子
は、羽根車の上方(直上又は斜上方)から供給する。散
布器内に供給された固体粒子は散布器の羽根車で外側に
飛び散る。飛び散った固体粒子は、方向制御器816の
開口部817によって許された方向にのみ放出され、外
側の羽根車812の羽根813と羽根813との間に供
給される。そして、羽根813に衝突し、羽根車812
の回転力で加速され、羽根車から噴出する。羽根車81
2の寸法は、通常直径5〜60cm程度、羽根の幅は5
〜20cm程度、羽根の長さは、ほぼ羽根車の直径程
度、羽根車の回転速度は500〜5000〔rpm〕程
度である。固体粒子の噴出速度は10〜50〔m/s〕
程度、投射密度(被転写体単位面積当たりに衝突させる
固体粒子の総質量)は10〜150〔kg/m2 〕程度
である。
【0036】次に、図6は吹出ノズルを用いた噴出器の
一例を示す概念図である。同図の噴出器840は固体粒
子加速流体として空気等の気体を用い、固体粒子噴出時
に該気体と固体粒子を混合して噴出する形態の噴出器の
一例である。噴出器840は、固体粒子Pと流体Fを混
合する誘導室841と、誘導室内に流体を噴出する内部
ノズル842と、ノズル開口部843から固体粒子及び
流体を噴出する吹出ノズル部844からなる。圧縮機等
からの加圧状態の流体Fを、内部ノズル842から噴出
し誘導室841を経てノズル844のノズル開口部84
3から噴出する際に、噴出器内の誘導室841にて、高
速で流れる流体流の作用で負圧を作り、この負圧により
固体粒子を流体流に導き混合し、流体流で固体粒子を加
速、搬送して、ノズル844のノズル開口部843から
流体流と共に噴出するものである。なお、固体粒子加速
流体に液体を用いる吹出ノズル等もある。流体圧は吹付
圧力で通常0.01〜1MPa程度である。流体流の流
速は、液流では通常1〜20m/秒程度、気流では通常
5〜80m/秒程度である。
【0037】噴出器は、1個のみでは加圧領域を所望の
形状、大きさに出来ない場合は、複数用いる。また、実
際に固体粒子を用いて転写する際は、固体粒子は周囲の
雰囲気中に飛散させずに且つ循環再利用するのが好まし
く、転写する空間を周囲空間と隔離するチャンバ内で、
固体粒子を転写シートに衝突させると良い。支持体シー
トの剥離は、チャンバ外でも良い。
【0038】また、好ましくは、予め熱可塑性樹脂の支
持体シートからなる転写シートは、赤外線輻射ヒータ等
で加熱軟化させて延伸性を付与し、被転写体が熱容量の
大きい場合は予め予熱し、熱融着型の接着剤層として作
用させる層(場合によるが、絵柄層等の転写層、未硬化
状態のウレタン樹脂層等)は、加熱活性化させた状態で
固体粒子を転写シートに衝突させる様にする。なお、熱
融着により転写する場合、熱融着する層を活性化して熱
融着させる為に加熱するタイミングは、衝突圧加圧前、
衝突圧加圧中、或いは衝突圧加圧前及び加圧中などのい
ずれでも良い。加熱は転写シートや被転写体を加熱して
行う。また、衝突圧加圧中の加熱には、加熱固体粒子
や、固体粒子加速用の流体を加熱流体として用いても良
い。そして上記の場合、転写シートが被転写体が凹凸表
面の場合はその表面形状に追従し、成形され、転写層が
被転写体に十分に接触すれば、冷風等の冷却手段で熱融
着した層の冷却を促進しても良い。冷風は、転写シート
側や被転写体側から吹き付ける。また、冷却手段とし
て、冷却固体粒子、冷却流体も用いることもできる。冷
却促進は、被転写体が凹凸表面の場合にその凹部内部に
まで追従成形された転写シートが衝突圧開放後に復元力
がある場合に戻るのも防止する。
【0039】〔ローラ転写法〕次に、平易で慣用的でも
あり、多少の凹凸形状までなら対応可能なローラ転写法
についても説明しておく。図7は、ローラ転写法を概念
的に説明する概念図である。使用する弾性体ローラRと
しては、通常、鉄等の剛体の回転軸芯R1の表面周囲を
軟質の弾性体R2で被覆したローラを用いる。弾性体R
2としては、シリコーンゴム、ネオプレン(登録商標)
ゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジ
エンゴム、天然ゴム等のゴムを用いる。特に、耐熱性、
耐久性、弾性等の点からシリコーンゴムが好ましい。ま
た特に、被転写体の表面(被転写面)が凹凸形状(三次
元形状)をなす場合は、弾性体として、JIS規格のゴ
ム硬度が60°以下のものを使用することが、転写シー
トを凹凸面に追従成形させる為に好ましい。弾性体ロー
ラの直径は、通常5〜20cm程度である。また、通
常、弾性体ローラは加熱ローラとしても用いる。弾性体
ローラの加熱は、ローラ内部の電熱ヒータや、ローラ外
部の赤外線輻射ヒータ等の加熱源によって加熱する。
【0040】転写方法:次に、本発明の転写方法につい
て説明する。本発明の転写方法では、前記本発明の転写
シートを用い、転写圧には固体粒子の衝突圧を用い、そ
して、被転写体との間に未硬化状態の硬化性ウレタン樹
脂からなるウレタン樹脂層を介して、該被転写体に前記
転写シートからその転写層を転写する。更にこの後、転
写された転写層上にアクリレート系の電離放射線硬化性
樹脂の表面保護層を積層し、次いで、前記ウレタン樹脂
層及び表面保護層を完全に硬化させて両層を硬化物から
なる層とする方法である。なお、表面保護層の積層法に
ついては特に制限は無く、転写でも良いし、塗工法で形
成しても良い。また、未硬化状態とは、硬化完了前の状
態であり、完全未硬化、或いは部分硬化でも良い。
【0041】この様な転写方法とする事で、転写層のバ
インダー樹脂であるウレタンアクリレート系のプレポリ
マー分子中の(メタ)アクリロイル基が、表面保護層と
するアクリレート系の電離放射線硬化性樹脂中の(メ
タ)アクリロイル基と反応する一方、前記プレポリマー
中のヒドロキシル基が、接着剤層等として形成されるウ
レタン樹脂層の硬化剤であるイソシアネートと反応す
る。その結果、転写層と表面保護層とはこれら両層が共
に有する(メタ)アクリロイル基の反応による強固な化
学結合が両層の密着に寄与し、ウレタン樹脂層と転写層
とは、前者のイソシアネート基と後者のヒドロキシル基
との反応による強固な化学結合が両層の密着に寄与す
る。この為、表面保護層、転写層及びウレタン樹脂層の
3層相互の密着性が良くなる。しかも、ウレタンアクリ
レートプレポリマーで転写層の柔軟性が増し、表面保護
層の電離放射線硬化性樹脂の硬化収縮時の内部応力が緩
和される点でも、転写層と表面保護層との密着性も良く
なる。以上の結果、良好な耐熱水密着性が得られる。更
に、ウレタンアクリレートプレポリマーで柔軟性が増し
た転写層によって擦傷外力による応力を緩和、分散し得
る為、転写層上の表面保護層の耐スクラッチ性も良好と
なるのである。
【0042】以上の結果、例えば、図2で例示した様な
構成の本発明の化粧材D等が転写物として得られる。そ
こで、次に、転写物として化粧材を得る場合を主体に、
本発明の転写方法に於ける、被転写体、ウレタン樹脂
層、表面保護層等について更に説明する。
【0043】〔被転写体〕被転写体としては特に制限は
無い。但し、その被転写面は平面でも良いが、本発明の
転写方法の特徴の一つである凹凸面への転写も可能とい
う点を活かすには、凹凸面が好適である。なお、後述本
発明の化粧材を、転写で得る場合には、この被転写体が
図2に例示の如き化粧材Dに於ける基材Bとなる。
【0044】被転写体の被転写面が凹凸面の場合、表面
凹凸形状は任意だが、例えば、転写物として化粧材を得
る場合では、複数のタイルや煉瓦を平面に配置した場合
の目地、花崗岩の劈開面、砂目等の石材表面の凹凸、木
材羽目板、浮造木目等の木材板表面凹凸、リシン調、ス
タッコ調等の吹付塗装面の凹凸等である。
【0045】また、被転写体の全体的な形状は、その被
転写面に転写できる形状でれば、平板や屈曲した板、柱
状物、成形品等の立体物等と任意である。例えば、被転
写体は全体として(包絡面形状が)平板状の板材の他、
断面が円弧状に凸又は凹に1方向に湾曲した二次元的凹
凸を有する被転写体等でも良い。
【0046】また、被転写体の材質は、無機非金属系、
金属系、木質系、プラスチック系等である。具体的に
は、無機非金属系では、例えば、押し出しセメント、ス
ラグセメント、ALC(軽量気泡コンクリート)、GR
C(硝子繊維強化コンクリート)、パルプセメント、木
片セメント、石綿セメント、ケイ酸カルシウム、石膏、
石膏スラグ等の非陶磁器窯業系材料、土器、陶器、磁
器、セッ器、硝子、琺瑯等のセラミックス等の無機質材
料等がある。また、金属系では、例えば、鉄、アルミニ
ウム、銅等の金属材料がある。また、木質系では、例え
ば、杉、檜、樫、ラワン、チーク等からなる単板、合
板、パーティクルボード、繊維板、集成材等がある。ま
た、プラスチック系では、例えば、ポリプロピレン、A
BS樹脂、フェノール樹脂等の樹脂材料がある。
【0047】なお、被転写体の被転写面には、予め必要
に応じて、下塗り層(べースコート層)を設けておいて
も良い。下塗り層はシーラー、目止め等の目的で設け
る。下塗り層は、被転写体の材質や表面状態及びその目
的に応じて、樹脂等からなる従来公知の塗液を塗工し形
成すれば良い。該塗液には、硬化性ウレタン樹脂、熱可
塑性ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の樹
脂が用いられ、チタン白等の着色顔料や、炭酸カルシウ
ム等の体質顔料等が適宜添加される。また、下塗り層
は、転写層を被転写体に接着させる接着剤層を兼用させ
る事もできる。また、下記するウレタン樹脂層をこの下
塗り層と兼用させる事もできる。なお、下塗り層の形成
は、被転写面凹凸形状等に応じて、スプレーコート、フ
ローコート等の塗工法、スクリーン印刷等の印刷法等の
従来公知の形成方法の中から適宜選択する。また、下塗
り層は用途により1層層又は多層で用いる。
【0048】〔ウレタン樹脂層〕ウレタン樹脂層に用い
る硬化性ウレタン樹脂としては、2液硬化型ウレタン樹
脂、或いは、1液硬化型ウレタン樹脂等のイソシアネー
トを硬化剤とするウレタン樹脂を使用する。
【0049】なお、2液硬化型ウレタン樹脂は、ポリオ
ールを主剤としイソシアネートを硬化剤(架橋剤)とす
るウレタン樹脂であるが、ポリオールとしては、例えば
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、
アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエ
ーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリ
ウレタンポリオール等が用いられる。また、イソシアネ
ートとしては、例えば、4,4′−ジフェニルメタンジ
イソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、
1,5−ナフタレンジイソシアネート、n−イソシアネ
ートフェニルスルホニルイソシアネート、o又はp−イ
ソシアネートフェニルスルホニルイソシアネート等の芳
香族イソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水
素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニ
ルメタンジイソシアネート等の脂環式イソシアネート、
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イ
ソシアネート等のポリイソシアネート、或いはこれらポ
リイソシアネートの付加体、又は多量体が用いられる。
なかでも、良好な耐候密着性を与える点では、例えばヘ
キサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネー
ト、或いはイソホロンジイソシアネート、水素添加ジフ
ェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族、或いは脂環
式イソシアネートが好ましい。
【0050】なお、イソシアネートには、フェノールや
アルコール等のブロック剤で、イソシアネートのイソシ
アネート基をブッロクして常温では不活性としたブッロ
クイソシアネートを用いても良い。ブッロクイソシアネ
ートは、加熱によりブロック剤を解離させてイソシアネ
ート基を活性化して、イソシアネートによる硬化反応を
開始させる。
【0051】また、1液硬化型ウレタン樹脂は、分子末
端にイソシアネート基を有するプレポリマーを必須成分
とする組成物である。前記プレポリマーは、通常は分子
両末端に各々イソシアネート基を1個以上有するポリイ
ソシアネートプレポリマーであり、常温で固体の熱可塑
性樹脂の状態にあるものである。(本発明によるインキ
層中のヒドロキシル基との反応が無い場合は)イソシア
ネート基同士が空気中の水分により反応して鎖延長反応
を起こして、その結果、分子鎖中に尿素結合を有する反
応物を生じて、この尿素結合に更に分子末端のイソシア
ネート基が反応して、ビウレット結合を起こして分岐
し、架橋反応を起こす。本発明では、これらの反応と共
にインキ層中のヒドロキシル基と前記イソシアネート基
との反応が起こる。
【0052】上記の如き硬化性ウレタン樹脂からなるウ
レタン樹脂層は、通常、被転写体上に形成した後、該ウ
レタン樹脂層の硬化性ウレタン樹脂が完全硬化する前の
未硬化状態に於いて、転写層として前述特定のインキ組
成物からなるインキ層を被転写体に転写する。なお、ウ
レタン樹脂層は、被転写体と転写シート間に介在させれ
ば良く、転写シート側、或いは被転写体と転写シートの
両方に形成しても良い。
【0053】また、本発明では転写時(転写シート圧接
時)にウレタン樹脂層は未硬化状態とするので、接着剤
層として利用する事ができる。また、ウレタン樹脂層を
被転写体側に形成する場合には、被転写体表面の目止
層、シーラー層、或いは下地色調整等の下塗り層として
使用する事もできる。また、これら複数の機能を兼用さ
せる事もできる。この様なウレタン樹脂層の機能は、本
発明の転写方法で得る転写物の用途、形状、要求物性等
に応じて使い分ける。
【0054】ウレタン樹脂層の形成方法は、従来公知の
形成方法で良い。例えば、被転写体上に形成する場合で
は、カーテンコート、スプレーコート、軟質ゴムロール
やスポンジロール等のロールを使用したロールコート等
の各種塗工方法から(被転写体の表面凹凸形状等によ
り)適宜選択し、また、転写シート側に形成する場合で
は、グラビアコート、ロールコート等の各種塗工方法、
或いはグラビア印刷等の各種印刷方法等から適宜選択す
れば良い。なお、ウレタン樹脂層の厚みは、ウレタン樹
脂組成、被転写体の種類及び表面状態で異なるが、通常
10〜100μm程度である。
【0055】〔表面保護層〕表面保護層は、最終的にア
クリレート系の電離放射線硬化性樹脂の硬化物として形
成する。前述特定のインキ組成物からなる転写層を被転
写体上に転写した後、この表面保護層を該転写された転
写層上に積層し、この後、硬化させて硬化物として形成
する。表面保護層の転写層上への積層方法は転写法でも
良いが、塗工法等によっても良い。転写法による場合
は、支持体シート上に転写層として一旦表面保護層(も
ちろん未硬化状態)を積層して転写シートとした後、こ
の転写シートから表面保護層を転写すれば良い。支持体
シートとしては、前述本発明の転写シートにて列記した
様なものを用いれば良い。また、支持体シート上への保
護層の積層は、ロールコート等の従来公知の塗工法等に
よれば良い。
【0056】アクリレート系の電離放射線硬化性樹脂と
しては、分子中に(メタ)アクリロイル基を有する、プ
レポリマー(所謂オリゴマーも包含する)及び/又はモ
ノマーを、適宜混合した電離放射線により硬化可能な組
成物が用いられる。これらプレポリマー又はモノマーは
単体又は複数種を混合して用いる。また、硬化は、表面
物性により優れる点で、通常、架橋硬化である。
【0057】上記プレポリマーの例としては、ポリエス
テル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレ
ート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メ
タ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、
シリコーン(メタ)アクリレート等が使用できる。分子
量としては、通常250〜100,000程度のものが
用いられる。
【0058】また、上記モノマーの例としては、単官能
モノマーとして、メチル(メタ)アクリレート、2−エ
チルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル
(メタ)アクリレート等がある。また、多官能モノマー
として、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ト
リメチールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメ
チロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アク
リレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アク
リレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アク
リレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アク
リレート等もある。
【0059】なお、紫外線又は可視光線にて硬化させる
場合には、上記電離放射線硬化性樹脂に、さらに光重合
開始剤を添加する。光重合開始剤としては、アセトフェ
ノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾ
イン、ベンゾインメチルエーテル類等を単独又は混合し
て用いる。なお、光重合開始剤の添加量は、電離放射線
硬化性樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部
程度である。
【0060】また、上記電離放射線硬化性樹脂には、更
に必要に応じ、各種添加剤を添加する。これらの添加剤
としては、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、
酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、セルロース系樹脂等の
熱可塑性樹脂、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリ
カ、アルミナ等の微粉末からなる体質顔料(充填剤乃至
は減摩剤として作用)、染料、顔料等の着色剤、ワック
ス、樹脂ビーズ等である。
【0061】なお、電離放射線としては、電離放射線硬
化性樹脂(組成物)中の分子を硬化反応させ得るエネル
ギーを有する電磁波又は荷電粒子が用いられる。通常用
いられるものは、紫外線又は電子線であるが、この他、
可視光線、X線、イオン線等を用いる事も可能である。
紫外線源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水
銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト、メタルハラ
イドランプ等の光源が使用される。紫外線の波長として
は通常190〜380nmの波長域が主として用いられ
る。電子線源としては、コッククロフトワルトン型、バ
ンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、或
いは、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電
子線加速器を用い、100〜1000keV、好ましく
は、100〜300keVのエネルギーをもつ電子を照
射するものが使用される。
【0062】そして、上記の様な組成からなる電離放射
線硬化性樹脂は、通常は常温(室温乃至は適宜加熱した
塗工温度において)にて液状の塗液として、ロールコー
ト、フローコート等の従来公知の塗工法で塗工する。な
お、表面保護層の厚みは、用途によるが通常1〜100
μm程度である。
【0063】なお、転写シートから転写層として表面保
護層を形成する場合、支持体シート上で未硬化状態の転
写層(表面保護層)が粘着性を有する場合には、公知の
セパレータ(離型シート)で転写層を使用時まで覆って
おけば良い。セパレータは、例えば、2軸延伸ポリエチ
レンテレフタレートフィルム等の樹脂フィルムや紙等を
基体として、この表面をシリコーン樹脂、ポリメチルペ
ンテン等の塗工で、離型処理したシートが使用できる。
また、表面保護層を転写形成する場合、未硬化状態の表
面保護層を、転写時の熱融着型接着剤として使用する事
もできる。
【0064】〔ウレタン樹脂層と表面保護層の硬化〕そ
して、表面保護層は特定インキ組成物からなる転写層上
に適宜方法によって積層した後、電離放射線を照射して
硬化させて硬化物とする。また、ウレタン樹脂層も表面
保護層積層後に養生する等して硬化させて硬化物とす
る。なお、通常は、硬化が速い表面保護層の硬化を先に
行い、硬化が遅いウレタン樹脂層の完全硬化はその後か
ら行う。
【0065】化粧材:本発明の化粧材は、上述した本発
明の転写方法等によって得られる。図2の断面図でその
一形態を示した如く、本発明の化粧材Dは、基材側から
順に、基材B、硬化性ウレタン樹脂の硬化物からなるウ
レタン樹脂層4、熱可塑性アクリル樹脂と、分子中に
(メタ)アクリロイル基とヒドロキシル基とを有するウ
レタンアクリレートプレポリマーとをバインダー樹脂と
するインキ組成物によるインキ層3、アクリレート系の
電離放射線硬化型樹脂の硬化物からなる表面保護層5か
らなる構成である。ここで、インキ層3を前述本発明の
転写方法によって転写層として形成すれば、基材Bは前
述本発明の転写方法に於ける被転写体である。なお、ウ
レタン樹脂層4、インキ層3、表面保護層5について
は、前記本発明の転写方法で述べた内容のものであるの
で、更なる説明は省略する。
【0066】ところで、本発明の化粧材に於いては、イ
ンキ層3(また、基材上のその他の層も含めて)は、転
写層2として形成しても良いが、転写以外の印刷法、或
いは手描き等の公知の形成法で形成しても良い。また、
基材のインキ層等を積層する化粧面は、必ずしも凹凸面
である必要は無く、平坦面でも良い。
【0067】化粧材の用途:化粧材の用途は各種用途に
用いられ得る。例えば、サイディング等の外壁、塀、屋
根、門扉、破風板等の外装材、壁面、天井、床等の建築
物の内装材、窓枠、扉、手摺、敷居、鴨居等の建具類の
表面材、箪笥等の家具やテレビ受像機等の弱電・OA機
器のキャビネット、或いは、自動車、電車、航空機、船
舶等の乗物内装材等の各種用途に用いられ得る。なかで
も、本発明で得られる化粧材は、耐スクラッチ性及び耐
熱水密着性に優れる為、浴室、洗面台、キッチンパネル
等の水回りの用途は好適である。なお、化粧材の形状
は、平板以外にも、曲面板、柱状体、立体物等でも良
い。また、基材が板材の場合、化粧材は化粧板となる。
【0068】
【実施例】次に実施例及び比較例により本発明を更に説
明する。
【0069】実施例1:被転写体となる基材として、化
粧面が平坦面のフレキシブルボード(ポルトランドセメ
ント対石綿の質量比が65対35で、厚み5mmの板
材)の表面を除塵後、目止め及び下地色調整用の下塗り
層として、チタン白顔料含有の2液硬化型アクリルウレ
タン樹脂塗料を80g/m2 (固形分基準)スプレー塗
布し、80℃のオーブンで10分間加熱乾燥して、硬化
させた。そして、上記基材を60℃に予熱した後、その
下塗り層の上に、絵柄の転写抜けを防ぎ確実に転写し良
く密着する様に、主剤のアクリルポリオールと硬化剤の
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートとを質量比1
2/1で配合した2液硬化型ウレタン樹脂系の接着剤
を、ロールコータにて5g/m2 (固形分基準)塗布
し、80℃のオーブンで90秒間加熱して乾燥させ、接
着剤層となる未硬化状態のウレタン樹脂層を形成した。
【0070】次に、インキ層として絵柄層を転写形成す
る為の転写シートの支持体シートとして、上質紙にポリ
プロピレンを溶融押出塗工して厚さ25μmの離型層を
積層した総厚60μmの積層体を用意した。そしてこの
支持体シートの離型層側に、転写層として絵柄層をグラ
ビア印刷で形成して転写シートを得た。転写層の形成に
用いたインキ組成物のバインダー樹脂は、アクリル樹脂
(A)としてメチルメタクリレートと2−ヒドロキシエ
チルメタクリレートとの共重合体のアクリルポリオール
(ゴム弾性を示さず、10Hzに於ける貯蔵弾性率E′
が、ガラス転移温度で109 Paオーダ、80℃で10
6 Paオーダの樹脂)を用い、特定のウレタンアクリレ
ートプレポリマー(B)として、ポリカーボネートジオ
ールとイソホロンジイソシアネートと、2−ビドロキシ
エチルアクリレートとを反応させて得た、分子中にアク
リロイル基とヒドロキシル基を有するプレポリマーを用
いた。アクリル樹脂(A)とウレタンアクリレートプレ
ポリマー(B)との比率は、質量比で9/1とした。ま
た、上記インキ組成物は、このバインダー樹脂を含むビ
ヒクル中に、着色剤としてチタン色、黄鉛、弁柄、フタ
ロシアニンブルーを含有する組成物を使用した。なお、
各実施例及び比較例で用いたインキ組成物のバインダー
樹脂内容は、表1にまとめて示す。
【0071】そして、上記転写シートを、185℃に加
熱した弾性体ローラ(鉄芯の周囲をJIS硬度60度の
シリコーンゴムで被覆したローラ)を用いたローラ転写
法によって、ウレタン樹脂層を形成した前記基材に押圧
し加熱し、転写層としてインキ層を転写形成した。転写
速度は3m/分とした。
【0072】次に、表面保護層は転写シートで形成し
た。この転写シートは、厚さ50μmの2軸延伸ポリエ
チレンテレフタレートフィルムからなる支持体シートの
片面に、転写層として、ウレタンアクリレートプレポリ
マー、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、及び
光重合開始剤〔チバガイギー社製、イルガキュア184
(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)〕を
含む電離放射線硬化性樹脂塗液を、ロールコート法で塗
布し乾燥して50μmの塗膜を形成して未硬化状態の表
面保護層とした上に、更に、ブロッキング防止の為にセ
パレータ(紙にポリエチレンフィルムを積層したシー
ト)を貼る合わせて得た。
【0073】そして、前記インキ層を転写後の基材に対
して、前記転写時と同様(但し、ローラ加熱温度は18
0℃)にして、上記転写シートから未硬化状態の表面保
護層を転写し積層した。支持体シート剥離後、80W/
cmの高圧水銀灯で紫外線を照射して、表面保護層を架
橋硬化させて、アクリレート系の電離放射線硬化性樹脂
の硬化物からなる表面保護層とした。この後、40℃の
オーブン中に3日間放置して先のウレタン樹脂層を養生
して完全硬化させて硬化物とし、板状の化粧材を得た。
性能評価結果は、表2に纏めて示す。
【0074】実施例2:実施例1にて、インキ組成物の
バインダー樹脂について、アクリル樹脂(A)とウレタ
ンアクリレートプレポリマー(B)との比率を、質量比
7/3に変更した他は、実施例1同様に化粧材を作製し
た。
【0075】実施例3:実施例1にて、インキ組成物の
バインダー樹脂について、アクリル樹脂(A)とウレタ
ンアクリレートプレポリマー(B)との比率を、質量比
5/5に変更した他は、実施例1同様に化粧材を作製し
た。
【0076】実施例4:被転写体となる基材Bとして図
8の如き形状のセメント板を用意した。この基材の被転
写面側の面は、縦目地11の溝は幅(底面)8mm、深
さ3mm、側面傾斜角は底面の法線から30°で、横目
地12の溝は幅(底面)6mm、深さ3mm、側面傾斜
角は底面の法線から30°で、板の総厚は最大15m
m、縦目地11と横目地12で区画された凸部(天面
部)上に高さが0.5〜2mmに分布する山状突起を多
数有する凹凸面となっている。そして、この基材面の全
面に、実施例1と同様に、下塗り層を形成した後、被転
写面とする基材の天面上のみに、山状突起の凹部及び凸
部にわたって、実施例1と同様の2液硬化型ウレタン樹
脂を45g/m2 塗工し、150℃の温風を吹付けて6
0秒間乾燥して、未硬化状態のウレタン樹脂層を形成し
た。
【0077】次いで、上記基材上に実施例1と同じ内容
のインキ層及び表面保護層を転写で形成した。但し、そ
れらの転写シートの支持体シートは変更し、転写圧の加
圧もも固体粒子衝突圧による加圧に変更した。すなわ
ち、実施例1と同様の転写シート(但し、支持体シート
は、凹凸追従性を考慮して、インキ層、表面保護層の形
成に用いた転写シートそれぞれ80μm厚みのポリプロ
ピレン系オレフィン系熱可塑性エラストマーに変更)を
用いて、固体粒子衝突圧を利用した転写法により、イン
キ層を先ず天面上にのみ転写し、次いで、同じ転写法に
より表面保護層を更に天面上のみに転写し積層し、この
後、実施例1と同様にして紫外線照射、引き続き養生を
行い、表面保護層及びウレタン樹脂層を硬化物の層とし
て、化粧材を得た。
【0078】なお、各転写は、具体的には、ウレタン樹
脂層(表面保護層形成時は更に転写層としてインキ層
も)が形成された基材を、熱風乾燥炉中で表面温度10
0℃に加熱後、転写シートをその転写層側が基材側を向
く様にして基材上に載置し、図4及び図5の如き羽根車
を用いた噴出器から、40℃に加熱した平均粒径0.4
mmの亜鉛の球形粒子を35m/sの速度で噴出させ
て、転写シートの支持体シート側に衝突させた。その
際、基材の搬送速度は30m/minであった。
【0079】比較例1:実施例1にて、インキ組成物の
バインダー樹脂を、ポリカーボネートジオールとイソホ
ロンジイソシアネートとによる熱可塑性ウレタン樹脂で
ユリア結合も有するウレタン樹脂と、塩化ビニル−酢酸
ビニル共重合体との8対2質量比の混合樹脂(C)に変
更した他は、実施例1同様に化粧材を作製した。
【0080】比較例2:実施例1にて、インキ組成物の
バインダー樹脂のうち、ウレタンアクリレートプレポリ
マー(B)を省略してアクリル樹脂(A)のみに変更し
た他は、実施例1同様に化粧材を作製した。
【0081】性能評価:(1) 耐スクラッチ性、(2) 耐熱
水密着性、及び、(3) 凹凸追従性を、次の様にして評価
した。評価結果は表2に示す。また、基本的性能とし
て、(4) インキ相溶性、(5) 印刷適性(耐ブロッキング
性)も評価した。
【0082】(1) 耐スクラッチ性:10円硬貨の角で、
化粧材の表面保護層表面を引っ掻いて、凹みが出来るも
のは良好「○」、引っ掻き部分と一緒に表面保護層が剥
離するものは不良「×」とした。
【0083】(2) 耐熱水密着性:化粧材の表面を90℃
の熱水に4時間接触させた後、60℃で2時間乾燥する
操作を1サイクルとして、10サイクル繰り返した後、
60℃で24時間乾燥させた後、次の様な碁盤目テープ
法で密着性を評価した。すなわち、化粧材の表面保護層
の上から4mm間隔で碁盤目状に縦横に基材にまで達す
る切り込みをカッタナイフで入れて、縦横4×4個の合
計16個の枡目を作った後、セロハン粘着テープ(ニチ
バン株式会社製、「セロテープ」(登録商標)、24m
m幅、産業用)を室温20℃にて貼付けた後、消しゴム
で擦り化粧材表面にテープを十分に付着させる。そし
て、付着させてから1〜2分後に、テープの一端を持っ
て試験体に直角に保ち、瞬間的に引き剥がし、剥がれた
枡目数で評価した。剥がれが皆無のものは良好「○」、
1枡でも剥がれたものは不良「×」とした。
【0084】(3) 凹凸追従性:基材の転写すべき面の凹
部内にまで、転写層として形成されたインキ層及び表面
保護層が、転写抜け無く転写移行したか否かを、目視観
察して評価した。転写抜けあるものは不良、無いものは
良好とした。
【0085】(4) インキ相溶性:ゲル化、白濁、相分離
の有無を目視で評価し、これら全てが発生しなければ良
好、一つでも発生すれば不良とした。
【0086】(5) 印刷適性(耐ブロッキング性):転写
シートを巻き取り保存時に、ブロッキング発生なければ
良好、発生すれば不良とした。
【0087】
【表1】
【0088】
【表2】
【0089】表2に示す如く、インキ相溶性は各実施例
及び比較例、全て良好であった。ま、印刷適性は実施例
3のみブロッキング発生し不良となったが、転写シート
を連続帯状では無く枚葉で生産すれば解消する程度なの
で、用途次第で実用上は使用可能と判断した。そして、
耐スクラッチ性は、バインダー樹脂がアクリル樹脂のみ
の比較例2だげが不良となり、この他の比較例1と全実
施例は良好となった。一方、耐熱水密着性は、実施例は
全て良好となったが、比較例は全て不良となった。比較
例1は表面保護層とインキ層(絵柄層)間で層間剥離
し、比較例2は、カッタナイフの切り傷部分で一部欠け
が発生した。また、凹凸追従性は、凹凸面転写となる実
施例4にて転写抜け無く良好な結果が得られた。以上の
結果、総合評価は、実施例(実施例1〜実施例)は全て
良好となったが、比較例(比較例1及び比較例2)は全
て不良であった。
【0090】
【発明の効果】(1) 本発明のインキ組成物によれば、耐
スクラッチ性及び耐熱水密着性が得られる。 (2) 本発明の転写シートによれば、上記インキ組成物の
効果である耐スクラッチ性及び耐熱水密着性を得る事が
可能となる。また、転写シートにより、グラビア印刷等
では不可能な様な凹凸面に対しても転写層として上記イ
ンキ組成物によるインキ層を形成できる。 (3) 本発明の転写方法によれば、前記インキ組成物の効
果である耐スクラッチ性及び耐熱水密着性を実現させた
転写物が得られる。例えば、下記本発明の化粧材等であ
る。また、ゴムローラを利用する従来の転写方法では不
可能な様な凹凸面の被転写面までも転写が可能となる。
この為、従来では不可能な様な、高意匠の化粧材等の転
写物を容易に製造できる。 (4) 本発明の化粧材によれば、前記インキ組成物の効果
である耐スクラッチ性及び耐熱水密着性が良好となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の転写シートを説明する断面図。
【図2】本発明の化粧材をその一形態で説明する断面
図。
【図3】固体粒子衝突圧を利用した転写法(転写圧加圧
方式)を概説する説明図。
【図4】固体粒子を噴出させる為の、羽根車を用いた噴
出器の一例を概念的に説明する斜視図。
【図5】図4の羽根車内部を説明する概念図。
【図6】吹出ノズルによる噴出器の一例を概念的に説明
する断面図。
【図7】ローラ転写法を説明する概念図。
【図8】被転写体とする基材の被転写面形状の一例を説
明する斜視図と断面図。
【符号の説明】
1 支持体シート 2 転写層 3 インキ層 4 ウレタン樹脂層 5 表面保護層 11 縦目地 12 横目地 812 羽根車 813 羽根 814 側面板 815 中空部 816 方向制御器 817 開口部 818 散布器 819 回転軸 820 軸受 840 吹出ノズルを用いた噴出器 841 誘導室 842 内部ノズル 843 ノズル開口部 844 ノズル B 基材(被転写体) D 化粧材 F 流体 P 固体粒子 R 弾性体ローラ R1 回転軸芯 R2 弾性体 S 転写シート
フロントページの続き Fターム(参考) 3B005 EA01 EB01 EB05 EC02 EC23 FA16 FA18 FB23 FC08Z FC09Z GA02 GB01 GC06 GD05 GD10 4F100 AC01 AE02 AK25C AK51B AT00 AT00A BA03 BA07 BA10C CA13 CC01 CC02C EJ54 GB08 GB81 HB31B JB12B JB14C JK12 JK16 JL09 4J039 AD09 AE04 BC73 EA37 EA38 EA43 EA48 GA05

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性アクリル樹脂と、分子中に(メ
    タ)アクリロイル基とヒドロキシル基とを有するウレタ
    ンアクリレートプレポリマーをバインダー樹脂とする、
    インキ組成物。
  2. 【請求項2】 支持体シート上に、請求項1記載のイン
    キ組成物からなる転写層を有する転写シート。
  3. 【請求項3】 被転写体に、未硬化状態の硬化性ウレタ
    ン樹脂からなるウレタン樹脂層を介して、請求項2記載
    の転写シートからその転写層を、転写圧に固体粒子の衝
    突圧を用いて転写した後、更にアクリレート系の電離放
    射線硬化性樹脂の表面保護層を積層し、この後、前記ウ
    レタン樹脂層及び表面保護層を硬化させる、転写方法。
  4. 【請求項4】 基材上に、硬化性ウレタン樹脂の硬化物
    からなるウレタン樹脂層、請求項1のインキ組成物から
    なるインキ層、アクリレート系の電離放射線硬化性樹脂
    の硬化物からなる表面保護層をこの順に有する、化粧
    材。
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