JP2002105260A - ポリプロピレン樹脂組成物 - Google Patents
ポリプロピレン樹脂組成物Info
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- JP2002105260A JP2002105260A JP2000304481A JP2000304481A JP2002105260A JP 2002105260 A JP2002105260 A JP 2002105260A JP 2000304481 A JP2000304481 A JP 2000304481A JP 2000304481 A JP2000304481 A JP 2000304481A JP 2002105260 A JP2002105260 A JP 2002105260A
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- polypropylene resin
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 耐熱老化性、耐熱変色性、耐スチ
ーム老化性および耐蒸気変色性がバランスのとれた優れ
た成形体の製造に適したポリプロピレン樹脂組成物を提
供すること。 【解決手段】 ポリプロピレンにラクトン系安定
剤、フェノール系酸化防止剤およびイオウ系耐熱安定剤
を配合したン樹脂組成物である。ラクトン系安定剤とし
ては、5,7−ジ−t−ブチル−3−(3,4−ジ−メ
チルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オンが望ま
しい。また、さらにリン系耐熱安定剤および/またはハ
イドロタルサイトを配合すると、耐熱性および耐スチー
ム性が一層向上する。
ーム老化性および耐蒸気変色性がバランスのとれた優れ
た成形体の製造に適したポリプロピレン樹脂組成物を提
供すること。 【解決手段】 ポリプロピレンにラクトン系安定
剤、フェノール系酸化防止剤およびイオウ系耐熱安定剤
を配合したン樹脂組成物である。ラクトン系安定剤とし
ては、5,7−ジ−t−ブチル−3−(3,4−ジ−メ
チルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オンが望ま
しい。また、さらにリン系耐熱安定剤および/またはハ
イドロタルサイトを配合すると、耐熱性および耐スチー
ム性が一層向上する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱性、耐スチー
ム性に優れたポリプロピレン樹脂組成物に関し、より詳
細には、調理家電製品等の各種部品成形体の製造に適し
た樹脂組成物に関する。
ム性に優れたポリプロピレン樹脂組成物に関し、より詳
細には、調理家電製品等の各種部品成形体の製造に適し
た樹脂組成物に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】ポリプロピレン樹脂は、それ自身
耐熱性を有していることから、高温で使用される各種器
機の部品成形用原料として広く利用されている。それら
の中でも、炊飯器やジャーポット等のいわゆる調理家電
製品では、消費者の目につきやすい外表面部に使用され
ることが多いことから、熱やスチームに曝されても成形
体が変色、特に黄変したり、劣化しないことが要求され
ている。
耐熱性を有していることから、高温で使用される各種器
機の部品成形用原料として広く利用されている。それら
の中でも、炊飯器やジャーポット等のいわゆる調理家電
製品では、消費者の目につきやすい外表面部に使用され
ることが多いことから、熱やスチームに曝されても成形
体が変色、特に黄変したり、劣化しないことが要求され
ている。
【0003】ポリプロピレン樹脂が熱やスチームに曝さ
れて変色劣化する一つの原因は、高温、高湿度の雰囲気
下で、ポリプロピレン樹脂自体の劣化やポリプロピレン
樹脂に配合されている各種安定剤や添加剤が変質するこ
とにあると考えられている。そこで、安定剤を含む各種
添加剤の検討が行われてきた。
れて変色劣化する一つの原因は、高温、高湿度の雰囲気
下で、ポリプロピレン樹脂自体の劣化やポリプロピレン
樹脂に配合されている各種安定剤や添加剤が変質するこ
とにあると考えられている。そこで、安定剤を含む各種
添加剤の検討が行われてきた。
【0004】特開平10−36585号公報には、特定
のフェノール系酸化防止剤とイオウ系耐熱安定剤および
リン系安定剤とを組み合わせることによって、ポリプロ
ピレン樹脂の変色劣化を防止する技術が記載されてい
る。しかし、フェノール系酸化防止剤の配合量を増加さ
せると、耐熱性は向上するものの耐熱変色性は低下する
傾向を示し、また射出成形時に安定剤が金型表面に付着
して成形品の外観を損なう、すなわち金型転写性を低下
させることがある。一方、フェノール系酸化防止剤の配
合量を減少させ、その代わりにイオウ系安定剤の配合量
を増加させていくと、変色は防止できるが耐熱性と耐金
型腐食性が低下し、さらに成形時および製品使用時に臭
気を発生することがある。
のフェノール系酸化防止剤とイオウ系耐熱安定剤および
リン系安定剤とを組み合わせることによって、ポリプロ
ピレン樹脂の変色劣化を防止する技術が記載されてい
る。しかし、フェノール系酸化防止剤の配合量を増加さ
せると、耐熱性は向上するものの耐熱変色性は低下する
傾向を示し、また射出成形時に安定剤が金型表面に付着
して成形品の外観を損なう、すなわち金型転写性を低下
させることがある。一方、フェノール系酸化防止剤の配
合量を減少させ、その代わりにイオウ系安定剤の配合量
を増加させていくと、変色は防止できるが耐熱性と耐金
型腐食性が低下し、さらに成形時および製品使用時に臭
気を発生することがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、耐熱
老化性および耐熱変色性にバランスがとれた射出成形体
の製造に適したポリプロピレン樹脂組成物の提供を目的
にする。本発明の第2の目的は、耐熱老化性および耐熱
変色性のみならず、耐スチーム老化性および耐スチーム
変色性にもバランスがとれた射出成形体の製造に適した
ポリプロピレン樹脂組成物を提供することである。本発
明の第3の目的は、成形時および製品使用時に臭気の発
生が少ないポリプロピレン樹脂組成物を提供することで
ある。
老化性および耐熱変色性にバランスがとれた射出成形体
の製造に適したポリプロピレン樹脂組成物の提供を目的
にする。本発明の第2の目的は、耐熱老化性および耐熱
変色性のみならず、耐スチーム老化性および耐スチーム
変色性にもバランスがとれた射出成形体の製造に適した
ポリプロピレン樹脂組成物を提供することである。本発
明の第3の目的は、成形時および製品使用時に臭気の発
生が少ないポリプロピレン樹脂組成物を提供することで
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、ポ
リプロピレン100重量部に対して、ラクトン系安定剤
(A)0.01〜1重量部、フェノール系酸化防止剤
(B)0.005〜1重量部、およびイオウ系耐熱安定
剤(C)0.005〜1重量部を含有してなるポリプロ
ピレン樹脂組成物に関する。
リプロピレン100重量部に対して、ラクトン系安定剤
(A)0.01〜1重量部、フェノール系酸化防止剤
(B)0.005〜1重量部、およびイオウ系耐熱安定
剤(C)0.005〜1重量部を含有してなるポリプロ
ピレン樹脂組成物に関する。
【0007】ここで、前記のラクトン系安定剤(A)
は、次に示す一般式(1)で表される少なくとも1種の
化合物が好ましい。
は、次に示す一般式(1)で表される少なくとも1種の
化合物が好ましい。
【化8】 (式中、R1およびR2は、メチル基またはt−ブチル基
であって、少なくとも一方はt−ブチル基であり、R3
およびR4は、炭素原子数が1〜10のアルキル基であ
る) このラクトン系安定剤(A)としては、5,7−ジ−t
−ブチル−3−(3,4−ジ−メチルフェニル)−3H
−ベンゾフラン−2−オンが望ましい。
であって、少なくとも一方はt−ブチル基であり、R3
およびR4は、炭素原子数が1〜10のアルキル基であ
る) このラクトン系安定剤(A)としては、5,7−ジ−t
−ブチル−3−(3,4−ジ−メチルフェニル)−3H
−ベンゾフラン−2−オンが望ましい。
【0008】また、前記のフェノール系酸化防止剤
(B)として、次に示す一般式(2)または(3)で表
される少なくとも1種の化合物、あるいは一般式(2)
または(3)で表される少なくとも1種の化合物と、次
に示す一般式(4)で表される少なくとも1種の化合物
とからなる組み合わせが好ましい。
(B)として、次に示す一般式(2)または(3)で表
される少なくとも1種の化合物、あるいは一般式(2)
または(3)で表される少なくとも1種の化合物と、次
に示す一般式(4)で表される少なくとも1種の化合物
とからなる組み合わせが好ましい。
【0009】
【化9】
【0010】
【化10】
【0011】
【化11】 (式(2)、(3)および(4)において、R5および
R6は、メチル基またはt−ブチル基であって、その内
の少なくとも一方はt−ブチル基であり、R7およびR8
は、それぞれ独立して炭素原子数1〜3のアルキレン基
である)
R6は、メチル基またはt−ブチル基であって、その内
の少なくとも一方はt−ブチル基であり、R7およびR8
は、それぞれ独立して炭素原子数1〜3のアルキレン基
である)
【0012】前記の一般式(2)で表される化合物が、
テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、
前記の一般式(3)で表される化合物が、3,9−ビス
[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−
メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメ
チルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ
[5.5]ウンデカン、前記の一般式(4)で表される
化合物が、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリ
ス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジ
ル)ベンゼンであることが望ましい。
テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、
前記の一般式(3)で表される化合物が、3,9−ビス
[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−
メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメ
チルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ
[5.5]ウンデカン、前記の一般式(4)で表される
化合物が、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリ
ス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジ
ル)ベンゼンであることが望ましい。
【0013】さらに、前記のイオウ系耐熱安定剤(C)
としては、次に示す一般式(5)で表される少なくとも
1種の化合物が好ましい。
としては、次に示す一般式(5)で表される少なくとも
1種の化合物が好ましい。
【化12】 (式中、R9は、炭素原子数12〜18のアルキル基で
あり、R10は、炭素原子数1〜3のアルキレン基であ
る) 式(5)で表される化合物の中でも、ジラウリル−3,
3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’
−チオジプロピオネート、ジパルミチル−3,3’−チ
オジプロピオネート、またはジステアリル−3,3’−
チオジプロピオネートが好ましい。
あり、R10は、炭素原子数1〜3のアルキレン基であ
る) 式(5)で表される化合物の中でも、ジラウリル−3,
3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’
−チオジプロピオネート、ジパルミチル−3,3’−チ
オジプロピオネート、またはジステアリル−3,3’−
チオジプロピオネートが好ましい。
【0014】また、本発明は、前記の樹脂組成物に、さ
らにリン系耐熱安定剤(D)をポリプロピレン100重
量部に対して0.005〜1重量部、および/またはハ
イドロタルサイト(E)をポリプロピレン100重量部
に対して0.01〜0.20重量部含有してなるポリプ
ロピレン樹脂組成物に関する。
らにリン系耐熱安定剤(D)をポリプロピレン100重
量部に対して0.005〜1重量部、および/またはハ
イドロタルサイト(E)をポリプロピレン100重量部
に対して0.01〜0.20重量部含有してなるポリプ
ロピレン樹脂組成物に関する。
【0015】
【発明の具体的説明】次に、本発明を構成する各成分お
よびそれらから形成される樹脂組成物について、具体的
に説明する。ポリプロピレン樹脂 本発明に使用されるポリプロピレン樹脂は、プロピレン
の単独重合体であっても、あるいはプロピレン以外の炭
素数2〜10のα−オレフィンをコモノマーとするプロ
ピレンとα−オレフィンとのランダム共重合体であって
も、ブロック共重合体であってもよい。コモノマーとし
てはエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル
−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等が好まし
く、特にエチレンが好ましい。共重合体中のコモノマー
含量は、10モル%以下、好ましくは5モル%以下であ
ることが望ましい。
よびそれらから形成される樹脂組成物について、具体的
に説明する。ポリプロピレン樹脂 本発明に使用されるポリプロピレン樹脂は、プロピレン
の単独重合体であっても、あるいはプロピレン以外の炭
素数2〜10のα−オレフィンをコモノマーとするプロ
ピレンとα−オレフィンとのランダム共重合体であって
も、ブロック共重合体であってもよい。コモノマーとし
てはエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル
−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等が好まし
く、特にエチレンが好ましい。共重合体中のコモノマー
含量は、10モル%以下、好ましくは5モル%以下であ
ることが望ましい。
【0016】ポリプロピレン樹脂は、その密度が0.8
90〜0.920、好ましくは0.900〜0.910
(g/cm3)であって、かつASTM D−1238
に準拠し、230℃、2.16kg荷重下で測定される
メルトフローレート(MFR)が0.5〜200、好ま
しくは2〜120(g/10分)であることが望まし
い。
90〜0.920、好ましくは0.900〜0.910
(g/cm3)であって、かつASTM D−1238
に準拠し、230℃、2.16kg荷重下で測定される
メルトフローレート(MFR)が0.5〜200、好ま
しくは2〜120(g/10分)であることが望まし
い。
【0017】ポリプロピレン樹脂の分子量分布は、特に
制限されないが、分子量分布の指標になるGPC法で測
定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)
との比(Mw/Mn)が、3以上、好ましくは4以上、
さらに好ましくは8〜25であることが望ましい。ま
た、Z平均分子量(Mz)とMwとの比(Mz/Mw)
が3以上、好ましくは3〜10であることが望ましい。
制限されないが、分子量分布の指標になるGPC法で測
定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)
との比(Mw/Mn)が、3以上、好ましくは4以上、
さらに好ましくは8〜25であることが望ましい。ま
た、Z平均分子量(Mz)とMwとの比(Mz/Mw)
が3以上、好ましくは3〜10であることが望ましい。
【0018】Mw/MnおよびMz/Mwの値が前記の
範囲内にあるポリプロピレン樹脂は、その分子量分布が
比較的に広く、かつ樹脂のメルトテンションが高いこと
を示している。このようなポリプロピレン樹脂を、例え
ば発泡剤と共に射出成形すると、発泡性ガスを吸収ない
し溶解したポリプロピレン樹脂が、そのガスを保持した
状態で良好に金型に射出充填され、キャビティを満たす
ことができる。その結果、径の揃った気泡がほぼ均一に
分散した発泡体が得られるので、成形品の機械的強度が
高く、しかも水平方向および垂直方向での強度の偏りが
少ない。
範囲内にあるポリプロピレン樹脂は、その分子量分布が
比較的に広く、かつ樹脂のメルトテンションが高いこと
を示している。このようなポリプロピレン樹脂を、例え
ば発泡剤と共に射出成形すると、発泡性ガスを吸収ない
し溶解したポリプロピレン樹脂が、そのガスを保持した
状態で良好に金型に射出充填され、キャビティを満たす
ことができる。その結果、径の揃った気泡がほぼ均一に
分散した発泡体が得られるので、成形品の機械的強度が
高く、しかも水平方向および垂直方向での強度の偏りが
少ない。
【0019】ここで、Mw、MnおよびMzは、GPC
(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を使用し
て測定される値である。測定方法の一例を示すと、Wa
ters社製の150C型機を用い、ポリマーラボラト
リーズ社製のカラムPlmixedBを取り付け、測定
温度を135℃とし、溶媒としてo−ジクロロベンゼン
を使用し、ポリマー濃度0.15重量%のサンプル量を
400μl供給して測定を行う。この際、標準ポリスチ
レンを用いて作成した検量線を使用することによって、
Mw、MnおよびMzを求めることができる。
(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を使用し
て測定される値である。測定方法の一例を示すと、Wa
ters社製の150C型機を用い、ポリマーラボラト
リーズ社製のカラムPlmixedBを取り付け、測定
温度を135℃とし、溶媒としてo−ジクロロベンゼン
を使用し、ポリマー濃度0.15重量%のサンプル量を
400μl供給して測定を行う。この際、標準ポリスチ
レンを用いて作成した検量線を使用することによって、
Mw、MnおよびMzを求めることができる。
【0020】また、ポリプロピレン樹脂は、13C−NM
R法で測定したアイソタクチックペンタッド分率(mm
mm分率)が、95.0%以上、好ましくは97.5〜
99.8%であることが望ましい。このように高いアイ
ソタクチックペンタッド分率を有していると、樹脂の結
晶性が高く、発泡成形すると剛性の高い成形体を得るこ
とができる。
R法で測定したアイソタクチックペンタッド分率(mm
mm分率)が、95.0%以上、好ましくは97.5〜
99.8%であることが望ましい。このように高いアイ
ソタクチックペンタッド分率を有していると、樹脂の結
晶性が高く、発泡成形すると剛性の高い成形体を得るこ
とができる。
【0021】ここで、アイソタクチックペンタッド分率
(mmmm分率)は、13C−NMRを使用して測定され
るポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソ
タクチック連鎖の存在割合を示しており、プロピレンモ
ノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあ
るプロピレンモノマー単位の分率である。具体的には、
13C−NMRスペクトルで観測されるメチル炭素領域の
全吸収ピーク中に占めるmmmmピークの分率として算
出される値である。
(mmmm分率)は、13C−NMRを使用して測定され
るポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソ
タクチック連鎖の存在割合を示しており、プロピレンモ
ノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあ
るプロピレンモノマー単位の分率である。具体的には、
13C−NMRスペクトルで観測されるメチル炭素領域の
全吸収ピーク中に占めるmmmmピークの分率として算
出される値である。
【0022】なお、このポリプロピレン樹脂には、分岐
状オレフィン重合体が0.1重量%以下、好ましくは
0.05重量%以下含有されていてもよい。その分岐状
オレフィン重合体は、ポリプロピレン樹脂の核剤として
作用するので、ポリプロピレン樹脂のアイソタクチック
ペンタッド分率を高め、成形性を向上させることができ
る。
状オレフィン重合体が0.1重量%以下、好ましくは
0.05重量%以下含有されていてもよい。その分岐状
オレフィン重合体は、ポリプロピレン樹脂の核剤として
作用するので、ポリプロピレン樹脂のアイソタクチック
ペンタッド分率を高め、成形性を向上させることができ
る。
【0023】分岐状オレフィン重合体としては、3−メ
チル−1−ブテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、3
−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、
3−メチル−1−ペンテン等の単独重合体または共重合
体が使用できる。これらの中では、3−メチル−1−ブ
テン重合体が好ましい。
チル−1−ブテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、3
−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、
3−メチル−1−ペンテン等の単独重合体または共重合
体が使用できる。これらの中では、3−メチル−1−ブ
テン重合体が好ましい。
【0024】このようなポリプロピレン樹脂は、チーグ
ラー・ナッタ系触媒やメタロセン系触媒のような高立体
規則性オレフィン重合触媒を使用し、プロピレンを、必
要に応じてコモノマーを共存させて重合することによっ
て製造することができる。その重合触媒としては、次の
(a)〜(c)成分からなる触媒系を例示することがで
きる。 (a)マグネシウム、チタン、および電子供与体を含有
する固体状チタン触媒成分 (b)有機アルミニウム化合物 (c)電子供与体
ラー・ナッタ系触媒やメタロセン系触媒のような高立体
規則性オレフィン重合触媒を使用し、プロピレンを、必
要に応じてコモノマーを共存させて重合することによっ
て製造することができる。その重合触媒としては、次の
(a)〜(c)成分からなる触媒系を例示することがで
きる。 (a)マグネシウム、チタン、および電子供与体を含有
する固体状チタン触媒成分 (b)有機アルミニウム化合物 (c)電子供与体
【0025】固体状チタン触媒成分(a)は、テトラハ
ロゲン化チタンやハロゲン化アルコキシチタンのような
4価のチタン化合物、電子供与体、およびハロゲン含有
マグネシウム化合物を接触させることによって調製する
ことができる。前記の電子供与体は、アルコール、フェ
ノール、ケトン、アルデヒド、エステル、エーテル、ア
ミン、ニトリル酸等の含酸素および含窒素化合物の中か
ら選ばれる化合物が好ましい。
ロゲン化チタンやハロゲン化アルコキシチタンのような
4価のチタン化合物、電子供与体、およびハロゲン含有
マグネシウム化合物を接触させることによって調製する
ことができる。前記の電子供与体は、アルコール、フェ
ノール、ケトン、アルデヒド、エステル、エーテル、ア
ミン、ニトリル酸等の含酸素および含窒素化合物の中か
ら選ばれる化合物が好ましい。
【0026】また、有機アルミニウム化合物(b)は、
トリアルキルアルミニウム、ハロゲン化アルキルアルミ
ニウム、アルキルアルコキシアルミニウム、ハロゲン化
アルコキシアルミニウム等の中から適宜選択して使用す
ることができる。電子供与体(c)としては、アルコキ
シシラン化合物、ポリエーテル化合物等を使用すること
ができる。
トリアルキルアルミニウム、ハロゲン化アルキルアルミ
ニウム、アルキルアルコキシアルミニウム、ハロゲン化
アルコキシアルミニウム等の中から適宜選択して使用す
ることができる。電子供与体(c)としては、アルコキ
シシラン化合物、ポリエーテル化合物等を使用すること
ができる。
【0027】ポリプロピレン樹脂の製造は、前記のオレ
フィン重合触媒の存在下に、プロピレンを、必要に応じ
てコモノマーを共存させて重合することで行われる。プ
ロピレンの本重合に先立って、先に説明した分岐状オレ
フィンをまず予備重合し、その後プロピレンの本重合に
移行するプロセスを採用してもよい。重合形態は、気相
重合、溶液重合、スラリー重合などいずれの方法で行っ
てもよい。
フィン重合触媒の存在下に、プロピレンを、必要に応じ
てコモノマーを共存させて重合することで行われる。プ
ロピレンの本重合に先立って、先に説明した分岐状オレ
フィンをまず予備重合し、その後プロピレンの本重合に
移行するプロセスを採用してもよい。重合形態は、気相
重合、溶液重合、スラリー重合などいずれの方法で行っ
てもよい。
【0028】またプロピレンの重合は、1段階で行って
もよいし、あるいは多段階を経て行ってもよく、それに
よって分子量分布やモノマー組成を変化させた重合体を
得ることができる。前記した広い分子量分布を有するポ
リプロピレン樹脂を製造するには、例えば1段目で高分
子量体を製造し、2段目で比較的に低分子量の重合体を
製造する手法をとることもできる。
もよいし、あるいは多段階を経て行ってもよく、それに
よって分子量分布やモノマー組成を変化させた重合体を
得ることができる。前記した広い分子量分布を有するポ
リプロピレン樹脂を製造するには、例えば1段目で高分
子量体を製造し、2段目で比較的に低分子量の重合体を
製造する手法をとることもできる。
【0029】本発明に使用するポリプロピレン樹脂は、
成形品の用途や形状、厚さ等の条件に応じて、単独重合
体、ランダム共重合体、ブロック共重合体の中から1種
類を選択してもよいし、2種以上を適宜に組み合せるこ
ともできる。それによって、成形体の機械的強度を調整
したり、成形時の結晶化速度を調節することもできる。
特に、高結晶性ポリプロピレン樹脂を用いた場合には、
ランダム共重合体を混合することによって結晶化速度を
調整することができる。
成形品の用途や形状、厚さ等の条件に応じて、単独重合
体、ランダム共重合体、ブロック共重合体の中から1種
類を選択してもよいし、2種以上を適宜に組み合せるこ
ともできる。それによって、成形体の機械的強度を調整
したり、成形時の結晶化速度を調節することもできる。
特に、高結晶性ポリプロピレン樹脂を用いた場合には、
ランダム共重合体を混合することによって結晶化速度を
調整することができる。
【0030】ラクトン系安定剤 本発明で使用可能なラクトン系安定剤(A)は、分子内
にあったヒドロキシ酸がカルボキシル基と水酸基との間
でエステル化反応を起こして環化し、その結果生成した
分子内エステル基を有する化合物である。ラクトンとし
ては、5員環のγ−ラクトンまたは6員環のδ−ラクト
ンが好ましく、またα位に水素を有するラクトンが特に
好ましい。
にあったヒドロキシ酸がカルボキシル基と水酸基との間
でエステル化反応を起こして環化し、その結果生成した
分子内エステル基を有する化合物である。ラクトンとし
ては、5員環のγ−ラクトンまたは6員環のδ−ラクト
ンが好ましく、またα位に水素を有するラクトンが特に
好ましい。
【0031】そのようなラクトン化合物の一例として、
次に示す一般式(1)で表される化合物が好ましい。
次に示す一般式(1)で表される化合物が好ましい。
【化13】 (式中、R1およびR2は、メチル基またはt−ブチル基
であって、その内少なくとも一方はt−ブチル基であ
り、R3およびR4は、炭素原子数が1〜10のアルキル
基である)
であって、その内少なくとも一方はt−ブチル基であ
り、R3およびR4は、炭素原子数が1〜10のアルキル
基である)
【0032】一般式(1)で表される化合物の例とし
て、3−ヒドロキシ−5,7−ジ−t−ブチル−ベンゾ
フラン−2−オンとo−キシレンとの反応生成物である
5,7−ジ−t−ブチル−3−(3,4−ジ−メチルフ
ェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オンが好ましい。
て、3−ヒドロキシ−5,7−ジ−t−ブチル−ベンゾ
フラン−2−オンとo−キシレンとの反応生成物である
5,7−ジ−t−ブチル−3−(3,4−ジ−メチルフ
ェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オンが好ましい。
【0033】フェノール系酸化防止剤 本発明で用いられるフェノール系酸化防止剤(B)とし
ては、ポリプロピレン樹脂に通常酸化防止剤として配合
されるフェノール系化合物のいずれをも使用することが
できる。その例として次の化合物を挙げることができ
る。
ては、ポリプロピレン樹脂に通常酸化防止剤として配合
されるフェノール系化合物のいずれをも使用することが
できる。その例として次の化合物を挙げることができ
る。
【0034】(1)2,6−ジ−t−ブチル−4−メチ
ルフェノール (2)2−t−ブチル−4−メトキシフェノール (3)n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−
ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート (4)2,2’−エチリデン−ビス(2,4−t−ブチ
ルフェノール) (5)4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチ
ルフェノール) (6)トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキ
シベンジル)イソシアヌレート (7)トリス(4−t−ブチル−2,6−ジ−メチル−
3−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート
ルフェノール (2)2−t−ブチル−4−メトキシフェノール (3)n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−
ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート (4)2,2’−エチリデン−ビス(2,4−t−ブチ
ルフェノール) (5)4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチ
ルフェノール) (6)トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキ
シベンジル)イソシアヌレート (7)トリス(4−t−ブチル−2,6−ジ−メチル−
3−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート
【0035】フェノール系酸化防止剤の中でも、次に示
す一般式(2)、(3)、または(4)で表される化合
物が好ましい。
す一般式(2)、(3)、または(4)で表される化合
物が好ましい。
【化14】
【0036】
【化15】
【0037】
【化16】
【0038】一般式(2)、(3)および(4)におい
て、R5およびR6は、メチル基またはt−ブチル基であ
って、その内の少なくとも一方はt−ブチル基である。
また、R7およびR8は、それぞれ独立に炭素原子数1〜
3のアルキレン基であって、特にメチレン基、エチレン
基が好ましい。
て、R5およびR6は、メチル基またはt−ブチル基であ
って、その内の少なくとも一方はt−ブチル基である。
また、R7およびR8は、それぞれ独立に炭素原子数1〜
3のアルキレン基であって、特にメチレン基、エチレン
基が好ましい。
【0039】一般式(2)で表される化合物の例とし
て、テトラキス〔メチレン−3− (3’,5’−ジ−
t−ブチル)−4’−ヒドロキシフェニル〕プロピオネ
ート〕メタンが好ましい。一般式(3)で表される化合
物の例として、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブ
チル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオ
ニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,
8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンが
好ましい。一般式(4)で表される化合物の例として、
1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン
が好ましい。
て、テトラキス〔メチレン−3− (3’,5’−ジ−
t−ブチル)−4’−ヒドロキシフェニル〕プロピオネ
ート〕メタンが好ましい。一般式(3)で表される化合
物の例として、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブ
チル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオ
ニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,
8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンが
好ましい。一般式(4)で表される化合物の例として、
1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン
が好ましい。
【0040】本発明においては、一般式(2)、(3)
または(4)で表される化合物の中から少なくとも1種
類を選んでポリプロピレン樹脂に配合することが好まし
い。特に一般式(2)で表される化合物または一般式
(3)で表される化合物の中から選ばれる少なくとも1
種の化合物、あるいはそのようにして選ばれた少なくと
も1種の化合物と一般式(4)で表される少なくとも1
種の化合物とを併用することが望ましい。一般式(3)
で表される化合物は、耐熱変色性および耐スチーム変色
性に優れているので、式(3)で表される化合物の使用
が望ましい。
または(4)で表される化合物の中から少なくとも1種
類を選んでポリプロピレン樹脂に配合することが好まし
い。特に一般式(2)で表される化合物または一般式
(3)で表される化合物の中から選ばれる少なくとも1
種の化合物、あるいはそのようにして選ばれた少なくと
も1種の化合物と一般式(4)で表される少なくとも1
種の化合物とを併用することが望ましい。一般式(3)
で表される化合物は、耐熱変色性および耐スチーム変色
性に優れているので、式(3)で表される化合物の使用
が望ましい。
【0041】イオウ系耐熱安定剤 本発明に使用されるイオウ系耐熱安定剤(C)は、一般
にポリプロピレン樹脂に配合されるイオウ系安定剤が使
用できるが、中でも次に示す一般式(5)で表される化
合物が好ましい。
にポリプロピレン樹脂に配合されるイオウ系安定剤が使
用できるが、中でも次に示す一般式(5)で表される化
合物が好ましい。
【0042】
【化17】
【0043】ここで、R9は、炭素原子数12〜18の
アルキル基であって、具体的には、ドデシル基、トリデ
シル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシ
ル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基などが挙げられ
る。R10は、炭素原子数1〜3のアルキレン基、例えば
メチレン基、エチレン基、プロピレン基である。
アルキル基であって、具体的には、ドデシル基、トリデ
シル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシ
ル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基などが挙げられ
る。R10は、炭素原子数1〜3のアルキレン基、例えば
メチレン基、エチレン基、プロピレン基である。
【0044】この一般式(5)で表わされる化合物とし
て、次の例を挙げることができる。 (1)(C12H25−OOC−CH2−)2S (2)(C12H25−OOC−C2H4−)2S (3)(C12H25−OOC−C3H6−)2S (4)(C13H27−OOC−CH2−)2S (5)(C13H27−OOC−C2H4−)2S (6)(C13H27−OOC−C3H6−)2S
て、次の例を挙げることができる。 (1)(C12H25−OOC−CH2−)2S (2)(C12H25−OOC−C2H4−)2S (3)(C12H25−OOC−C3H6−)2S (4)(C13H27−OOC−CH2−)2S (5)(C13H27−OOC−C2H4−)2S (6)(C13H27−OOC−C3H6−)2S
【0045】 (7) (C14H29−OOC−CH2−)2S (8) (C14H29−OOC−C2H4−)2S (9) (C14H29−OOC−C3H6−)2S (10)(C15H31−OOC−CH2−)2S (11)(C15H31−OOC−C2H4−)2S (12)(C15H31−OOC−C3H6−)2S
【0046】 (13)(C16H33−OOC−CH2−)2S (14)(C16H33−OOC−C2H4−)2S (15)(C16H33−OOC−C3H6−)2S (16)(C17H35−OOC−CH2−)2S (17)(C17H35−OOC−C2H4−)2S (18)(C17H35−OOC−C3H6−)2S
【0047】 (19)(C18H37−OOC−CH2−)2S (20)(C18H37−OOC−C2H4−)2S (21)(C18H37−OOC−C3H6−)2S
【0048】これらの中でも、(2)、(5)、
(8)、(11)、(14)、(17)、および(2
0)のイオウ化合物が好ましい。特に、(2)ジラウリ
ル−3,3’−チオジプロピオネート、(8)ジミリス
チル−3,3’−チオジプロピオネート、(14)ジパ
ルミチル−3,3’−チオジプロピオネート、(20)
ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネートが好ま
しく用いられる。
(8)、(11)、(14)、(17)、および(2
0)のイオウ化合物が好ましい。特に、(2)ジラウリ
ル−3,3’−チオジプロピオネート、(8)ジミリス
チル−3,3’−チオジプロピオネート、(14)ジパ
ルミチル−3,3’−チオジプロピオネート、(20)
ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネートが好ま
しく用いられる。
【0049】リン系耐熱安定剤 本発明において必要に応じて添加されるリン系耐熱安定
剤(D)は、ポリプロピレン樹脂に通常添加される脂肪
族系あるいは芳香族系のリン酸エステル化合物およびそ
の誘導体が使用できる。その中でも、次に示す一般式
(6)または(7)で表される化合物が好ましい。
剤(D)は、ポリプロピレン樹脂に通常添加される脂肪
族系あるいは芳香族系のリン酸エステル化合物およびそ
の誘導体が使用できる。その中でも、次に示す一般式
(6)または(7)で表される化合物が好ましい。
【0050】
【化18】
【0051】
【化19】
【0052】式(6)および(7)において、R11およ
びR12は、水素原子または炭素数1〜20のアルキル基
である。それらの一般式で表される化合物の例として、
トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホス
ファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)
ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフ
ェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−ホスフォナイ
トを挙げることができる。
びR12は、水素原子または炭素数1〜20のアルキル基
である。それらの一般式で表される化合物の例として、
トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホス
ファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)
ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフ
ェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−ホスフォナイ
トを挙げることができる。
【0053】その他に、トリオクチルホスファイト、ト
リラウリルホスファイト、ジラウリルホスファイト、ト
リステアリルホスファイト、トリラウリル−トリチオホ
スフェイト、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)ホスファイト、ビスフェニルペンタ
エリスリトールジホスファイト等を使用することもでき
る。
リラウリルホスファイト、ジラウリルホスファイト、ト
リステアリルホスファイト、トリラウリル−トリチオホ
スフェイト、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)ホスファイト、ビスフェニルペンタ
エリスリトールジホスファイト等を使用することもでき
る。
【0054】ハイドロタルサイト 本発明で必要に応じて用いられるハイドロタルサイ
(E)は、一般式(8)で示される複塩化合物であっ
て、それは天然品であってもよいし、また合成品であっ
てもよい。 (M2+)1-x(Al3+)x(OH-)2(An-)x/n・mH2O・・・(8) ここで、M2+は、Mg、CaまたはZnの2価金属イオ
ンを表し、An-は、CO 3 2-、SiO3 2-、Cl-のよう
なn価の陰イオンである。xは、0<x<0.5、mは
0≦m≦2を満たす数値である。
(E)は、一般式(8)で示される複塩化合物であっ
て、それは天然品であってもよいし、また合成品であっ
てもよい。 (M2+)1-x(Al3+)x(OH-)2(An-)x/n・mH2O・・・(8) ここで、M2+は、Mg、CaまたはZnの2価金属イオ
ンを表し、An-は、CO 3 2-、SiO3 2-、Cl-のよう
なn価の陰イオンである。xは、0<x<0.5、mは
0≦m≦2を満たす数値である。
【0055】前記の一般式で表されるハイドロタルサイ
トの例として、次の化学式で表される物質を挙げること
ができる。 (1)Mg6Al2(OH)16CO3・4H2O (2)Mg4Al2(OH)12CO3・3H2O (3)Mg3ZnAl2(OH)12CO3・mH2O これらのハイドロタルサイトの内、(2)は共和化学
(株)より商品名DHA−4Aで販売されており、
(3)は共和化学(株)より商品名ZHTで販売されて
おり、いずれも容易に入手することができる。
トの例として、次の化学式で表される物質を挙げること
ができる。 (1)Mg6Al2(OH)16CO3・4H2O (2)Mg4Al2(OH)12CO3・3H2O (3)Mg3ZnAl2(OH)12CO3・mH2O これらのハイドロタルサイトの内、(2)は共和化学
(株)より商品名DHA−4Aで販売されており、
(3)は共和化学(株)より商品名ZHTで販売されて
おり、いずれも容易に入手することができる。
【0056】ポリプロピレン樹脂組成物 本発明に係るポリプロピレン樹脂組成物は、これまでに
説明してきたポリプロピレン樹脂、ラクトン系安定剤
(A)、フェノール系酸化防止剤(B)、およびイオウ
系耐熱安定剤(C)を含有しており、さらに必要に応じ
てリン系耐熱安定剤(D)やハイドロタルサイト類
(E)を含有していてもよい。
説明してきたポリプロピレン樹脂、ラクトン系安定剤
(A)、フェノール系酸化防止剤(B)、およびイオウ
系耐熱安定剤(C)を含有しており、さらに必要に応じ
てリン系耐熱安定剤(D)やハイドロタルサイト類
(E)を含有していてもよい。
【0057】ラクトン系安定剤(A)の配合量は、ポリ
プロピレン樹脂100重量部に対して、0.01〜1、
好ましくは0.01〜0.03重量部である。フェノー
ル系酸化防止剤(B)の配合量は、ポリプロピレン樹脂
100重量部に対して、0.005〜1、好ましくは
0.01〜0.70、さらに好ましくは0.05〜0.
50重量部である。イオウ系安定剤(C)の配合量は、
ポリプロピレン樹脂100重量部に対して、0.005
〜1、好ましくは0.03〜0.50、さらに好ましく
は0.05〜0.30重量部である。
プロピレン樹脂100重量部に対して、0.01〜1、
好ましくは0.01〜0.03重量部である。フェノー
ル系酸化防止剤(B)の配合量は、ポリプロピレン樹脂
100重量部に対して、0.005〜1、好ましくは
0.01〜0.70、さらに好ましくは0.05〜0.
50重量部である。イオウ系安定剤(C)の配合量は、
ポリプロピレン樹脂100重量部に対して、0.005
〜1、好ましくは0.03〜0.50、さらに好ましく
は0.05〜0.30重量部である。
【0058】ポリプロピレン樹脂が少なくとも3種類の
安定剤を前記した範囲で含有していると、その樹脂組成
物からは、耐熱老化性および耐熱変色性のバランスに優
れた成形体が得られ、さらに安定剤の種類および含有量
を調整することによって耐熱老化性、耐スチーム老化
性、耐熱変色性および耐スチーム変色性のバランスに優
れた成形体が得られる。
安定剤を前記した範囲で含有していると、その樹脂組成
物からは、耐熱老化性および耐熱変色性のバランスに優
れた成形体が得られ、さらに安定剤の種類および含有量
を調整することによって耐熱老化性、耐スチーム老化
性、耐熱変色性および耐スチーム変色性のバランスに優
れた成形体が得られる。
【0059】リン系耐熱安定剤(D)の含有量は、ポリ
プロピレン100重量部に対して、0.005〜1、好
ましくは0.02〜0.70、さらに好ましくは0.0
5〜0.50重量部である。この範囲内にあると、樹脂
組成物は、耐熱老化性、耐熱変色性、さらには耐スチー
ム老化性、耐スチーム変色性を一層向上させることがで
きる。
プロピレン100重量部に対して、0.005〜1、好
ましくは0.02〜0.70、さらに好ましくは0.0
5〜0.50重量部である。この範囲内にあると、樹脂
組成物は、耐熱老化性、耐熱変色性、さらには耐スチー
ム老化性、耐スチーム変色性を一層向上させることがで
きる。
【0060】ハイドロタルサイト(E)の含有量は、、
ポリプロピレン100重量部に対して、0.01〜0.
20、好ましくは0.01〜0.15、さらに好ましく
は0.02〜0.10重量部である。この範囲内にある
と、樹脂組成物は、耐熱変色性、耐スチーム変色性に加
えて、耐金型腐食性を向上させることができる。
ポリプロピレン100重量部に対して、0.01〜0.
20、好ましくは0.01〜0.15、さらに好ましく
は0.02〜0.10重量部である。この範囲内にある
と、樹脂組成物は、耐熱変色性、耐スチーム変色性に加
えて、耐金型腐食性を向上させることができる。
【0061】本発明に係るポリプロピレン樹脂組成物に
は、本発明の目的から逸脱しない範囲内で、さらに、他
の重合体、タルクやガラス繊維等の充填剤、その他の各
種安定剤や添加剤等を含有させることができる。
は、本発明の目的から逸脱しない範囲内で、さらに、他
の重合体、タルクやガラス繊維等の充填剤、その他の各
種安定剤や添加剤等を含有させることができる。
【0062】配合可能な他の重合体の例として、オレフ
ィン系エラストマーを挙げることができる。そのオレフ
ィン系エラストマーは、炭素原子数2〜20、好ましく
は2〜10のα−オレフィンどうしの共重合によって形
成されたエラストマーが望ましい。α−オレフィンの具
体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3
−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、
1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−テトラ
デセン、1−オクタデセンが挙げられ、それら2種類の
共重合体、あるいはα−オレフィンを3種以上含む共重
合体であってもよい。また共重合体中には、少量のジエ
ン成分を含んでいてもよい。
ィン系エラストマーを挙げることができる。そのオレフ
ィン系エラストマーは、炭素原子数2〜20、好ましく
は2〜10のα−オレフィンどうしの共重合によって形
成されたエラストマーが望ましい。α−オレフィンの具
体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3
−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、
1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−テトラ
デセン、1−オクタデセンが挙げられ、それら2種類の
共重合体、あるいはα−オレフィンを3種以上含む共重
合体であってもよい。また共重合体中には、少量のジエ
ン成分を含んでいてもよい。
【0063】具体的なオレフィン系エラストマーの例と
しては、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1
−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、
エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・1−デセ
ン共重合体等のエチレン・α−オレフィン共重合体、プ
ロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・1−ブテ
ン・エチレン三元共重合体等のプロピレン・α−オレフ
ィン共重合体を挙げることができる。オレフィン系エラ
ストマーは1種単独で使用することもできるし、2種以
上を組み合せて使用することもできる。
しては、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1
−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、
エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・1−デセ
ン共重合体等のエチレン・α−オレフィン共重合体、プ
ロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・1−ブテ
ン・エチレン三元共重合体等のプロピレン・α−オレフ
ィン共重合体を挙げることができる。オレフィン系エラ
ストマーは1種単独で使用することもできるし、2種以
上を組み合せて使用することもできる。
【0064】そのようなオレフィン系エラストマーは、
例えば、チーグラー型触媒、フィリップス型触媒、メタ
ロセン型触媒を含む立体規則性重合触媒の存在下にα−
オレフィンを気相または液相下で共重合することによっ
て製造することができる。
例えば、チーグラー型触媒、フィリップス型触媒、メタ
ロセン型触媒を含む立体規則性重合触媒の存在下にα−
オレフィンを気相または液相下で共重合することによっ
て製造することができる。
【0065】また、配合可能な無機充填剤としては、タ
ルク、シリカ、マイカ、炭酸カルシウム、ガラス繊維、
ガラスビーズ、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、ワ
ラスナイト、ケイ酸カルシウム繊維、炭素繊維、マグネ
シウムオキシサルフェート繊維、チタン酸カリウム繊
維、酸化チタン、亜硫酸カルシウム、ホワイトカーボ
ン、クレー、硫酸カルシウムなどがあげられる。これら
の無機充填剤は1種単独で使用することもできるし、2
種以上を組み合せて使用することもできる。さらに、有
機の充填材を含有させることもできる。
ルク、シリカ、マイカ、炭酸カルシウム、ガラス繊維、
ガラスビーズ、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、ワ
ラスナイト、ケイ酸カルシウム繊維、炭素繊維、マグネ
シウムオキシサルフェート繊維、チタン酸カリウム繊
維、酸化チタン、亜硫酸カルシウム、ホワイトカーボ
ン、クレー、硫酸カルシウムなどがあげられる。これら
の無機充填剤は1種単独で使用することもできるし、2
種以上を組み合せて使用することもできる。さらに、有
機の充填材を含有させることもできる。
【0066】その他の安定剤、添加剤等としては、核
剤、塩酸吸収剤、耐候安定剤、光安定剤、紫外線吸収
剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑
剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料、染料、分散剤、銅害防
止剤、中和剤、発泡剤、可塑剤、気泡防止剤、架橋剤や
過酸化物などの流れ性改良剤、ウェルド強度改良剤、天
然油、合成油、ワックス等を挙げることができる。
剤、塩酸吸収剤、耐候安定剤、光安定剤、紫外線吸収
剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑
剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料、染料、分散剤、銅害防
止剤、中和剤、発泡剤、可塑剤、気泡防止剤、架橋剤や
過酸化物などの流れ性改良剤、ウェルド強度改良剤、天
然油、合成油、ワックス等を挙げることができる。
【0067】ポリプロピレン樹脂に前記の各種安定剤や
添加剤等を配合した後、ヘンシェルミキサー、V型ブレ
ンダー、タンブラーブレンダー、リボンブレンダー等を
用いてドライブレンドし、さらに一軸または二軸の押出
機、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機を用いて
メルトブレンドを行うと、各成分が均一混合した高品質
の樹脂組成物を得ることができる。
添加剤等を配合した後、ヘンシェルミキサー、V型ブレ
ンダー、タンブラーブレンダー、リボンブレンダー等を
用いてドライブレンドし、さらに一軸または二軸の押出
機、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機を用いて
メルトブレンドを行うと、各成分が均一混合した高品質
の樹脂組成物を得ることができる。
【0068】この樹脂組成物からは、射出成形や中空成
形等の成形方法によって、あるいは発泡成形によって、
耐熱性や耐スチーム性を要求する各種機器の部品や容器
等の成形体を製造することができる。
形等の成形方法によって、あるいは発泡成形によって、
耐熱性や耐スチーム性を要求する各種機器の部品や容器
等の成形体を製造することができる。
【0069】
【実施例】次に本発明を実施例を通して説明するが、本
発明はそれらの実施例によって何ら限定されるものでは
ない。
発明はそれらの実施例によって何ら限定されるものでは
ない。
【0070】まず、実施例および比較例で用いたポリプ
ロピレン樹脂および各種の安定剤、添加剤は、次の通り
であった。 (1)ポリプロピレン樹脂: プロピレン単独重合体 密度(ASTM D−1505):0.91(g/cm
3) MFR:10(g/10分)
ロピレン樹脂および各種の安定剤、添加剤は、次の通り
であった。 (1)ポリプロピレン樹脂: プロピレン単独重合体 密度(ASTM D−1505):0.91(g/cm
3) MFR:10(g/10分)
【0071】(2)ラクトン系安定剤: 5,7−ジ−t−ブチル−3−(3,4−ジ−メチルフ
ェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン
ェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン
【0072】(3)フェノール系酸化防止剤: (a)テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−
ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メ
タン チバスペシャルケミカルズ社製品、商品名Irgano
x 1010
ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メ
タン チバスペシャルケミカルズ社製品、商品名Irgano
x 1010
【0073】(b)3,9−ビス[2−{3−(3−t
−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロ
ピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,
4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン 旭電化工業(株)製品、商品名AO80
−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロ
ピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,
4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン 旭電化工業(株)製品、商品名AO80
【0074】(c)1,3,5−トリメチル−2,4,
6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ
ベンジル)ベンゼン チバスペシャルケミカルズ社製品、商品名Irgano
x 1330
6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ
ベンジル)ベンゼン チバスペシャルケミカルズ社製品、商品名Irgano
x 1330
【0075】(4)イオウ系耐熱安定剤: ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート 吉富製薬(株)製品、商品名DSTP
【0076】(5)リン系耐熱安定剤: (a)トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホス
ファイト チバスペシャルケミカルズ社製品、商品名Irgafo
s 168 (b)テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)
−4,4’−ビフェニレン−ジ−ホスフォナイト チバスペシャルケミカルズ社製品、商品名P−EPQ
ファイト チバスペシャルケミカルズ社製品、商品名Irgafo
s 168 (b)テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)
−4,4’−ビフェニレン−ジ−ホスフォナイト チバスペシャルケミカルズ社製品、商品名P−EPQ
【0077】(6)ハイドロタルサイト: Mg4Al2(OH)12CO3・3H2O 協和化学工業(株)製品、商品名DHA−4A
【0078】(実施例1〜2)(比較例1) ポリプロピレン樹脂、安定剤、その他の添加剤を表1に
記載した割合で混合し、次いで一軸押出機を用いて19
0℃で溶融混練し、ポリプロピレン樹脂組成物を調製し
た。次いで、射出成形機を用いて、各ポリプロピレン樹
脂組成物をそれぞれ射出成形し、JIS1号スペシメン
を得た。得られたJIS1号スペシメンについて、耐熱
老化性試験、耐スチーム老化性試験、および高温高湿試
験を行い、その結果を表1に併せて示した。
記載した割合で混合し、次いで一軸押出機を用いて19
0℃で溶融混練し、ポリプロピレン樹脂組成物を調製し
た。次いで、射出成形機を用いて、各ポリプロピレン樹
脂組成物をそれぞれ射出成形し、JIS1号スペシメン
を得た。得られたJIS1号スペシメンについて、耐熱
老化性試験、耐スチーム老化性試験、および高温高湿試
験を行い、その結果を表1に併せて示した。
【0079】試験方法は次の通りであった。 (1)耐熱老化性試験(熱風による表面劣化):炉内を
160℃に保持したギアオーブン内にJIS1号スペシ
メンを入れ、サンプル数は各3枚とし、ある一定の表面
クレージングが生じるまでの平均時間をもって熱による
表面劣化の耐性を評価した。
160℃に保持したギアオーブン内にJIS1号スペシ
メンを入れ、サンプル数は各3枚とし、ある一定の表面
クレージングが生じるまでの平均時間をもって熱による
表面劣化の耐性を評価した。
【0080】(2)耐スチーム老化性試験(スチームに
よる表面劣化):炉内を153℃に保持したスチーム加
熱器内にフィルム(サイズ:厚み60μm、縦60m
m、横3mm)を入れ、フィルム表面にスチームとエア
ーを吹き付け(供給エアー流量100(リットル/
分))、フィルムが切断するまでの時間を測定した。フ
ィルムが切断するまでの時間にバラツキがあるため、サ
ンプル数は各10枚とし、切断平均時間をもってスチー
ムによる表面劣化の耐性を評価した。
よる表面劣化):炉内を153℃に保持したスチーム加
熱器内にフィルム(サイズ:厚み60μm、縦60m
m、横3mm)を入れ、フィルム表面にスチームとエア
ーを吹き付け(供給エアー流量100(リットル/
分))、フィルムが切断するまでの時間を測定した。フ
ィルムが切断するまでの時間にバラツキがあるため、サ
ンプル数は各10枚とし、切断平均時間をもってスチー
ムによる表面劣化の耐性を評価した。
【0081】(3)高温高湿試験(スチームによる変
色):底から約50mmの位置まで水を入れた密閉容器
の内部にJIS1号スペシメンを水面より約1cm上に
セットし、容器を密閉した後、120℃で168時間放
置した。その後、そのスペシメンを密閉容器より取り出
して色差計によって色差(ΔE)を測定した。
色):底から約50mmの位置まで水を入れた密閉容器
の内部にJIS1号スペシメンを水面より約1cm上に
セットし、容器を密閉した後、120℃で168時間放
置した。その後、そのスペシメンを密閉容器より取り出
して色差計によって色差(ΔE)を測定した。
【0082】(4)臭気:ペレット10gを100ml
容量の三角フラスコに入れ、蓋栓をして密封する。その
フラスコを100℃の恒温室に1時間放置した後、発生
した臭気を5人のパネラーによる官能テストで確認し
た。テスト結果は、「臭わない」との判定を5点とし、
「臭う」との判定を1点とする、5段階評価で示した。
テスト結果を次の基準で○〜△〜×で示した。 ○:3.5〜5点、 △:1.5〜3.5、 ×:0〜
1.5
容量の三角フラスコに入れ、蓋栓をして密封する。その
フラスコを100℃の恒温室に1時間放置した後、発生
した臭気を5人のパネラーによる官能テストで確認し
た。テスト結果は、「臭わない」との判定を5点とし、
「臭う」との判定を1点とする、5段階評価で示した。
テスト結果を次の基準で○〜△〜×で示した。 ○:3.5〜5点、 △:1.5〜3.5、 ×:0〜
1.5
【0083】
【表1】
【0084】表1の結果から明らかなように、実施例1
および実施例2では、ラクトン系安定剤を配合したこと
によって、耐熱老化性、耐スチーム老化性、および耐ス
チーム変色性に優れた組成物になっており、しかもその
組成物からの臭気も感じず、さらに実施例2では金型汚
染を防ぐことができた。一方、比較例1では、イオウ系
耐熱安定剤の配合量を多くしないと、同程度の耐熱老化
性、耐スチーム老化性、および耐スチーム変色性が得ら
れず、従って臭気の発生を防止することができなかっ
た。
および実施例2では、ラクトン系安定剤を配合したこと
によって、耐熱老化性、耐スチーム老化性、および耐ス
チーム変色性に優れた組成物になっており、しかもその
組成物からの臭気も感じず、さらに実施例2では金型汚
染を防ぐことができた。一方、比較例1では、イオウ系
耐熱安定剤の配合量を多くしないと、同程度の耐熱老化
性、耐スチーム老化性、および耐スチーム変色性が得ら
れず、従って臭気の発生を防止することができなかっ
た。
【0085】
【発明の効果】本発明に係るポリプロピレン樹脂組成物
は、特定の安定剤処方をとることによってポリプロピレ
ン樹脂の耐熱性を改良することができ、耐熱老化性およ
び耐熱変色性にバランスがとれた優れた成形体を得るこ
とができる。
は、特定の安定剤処方をとることによってポリプロピレ
ン樹脂の耐熱性を改良することができ、耐熱老化性およ
び耐熱変色性にバランスがとれた優れた成形体を得るこ
とができる。
【0086】また、この樹脂組成物から耐熱性に加え、
耐スチーム老化性および耐スチーム変色性にバランスが
とれた優れた成形体を得ることができる。従って、この
樹脂組成物は、炊飯器やジャーポット等の調理家電製品
に使われる各種部品成形体の製造に適している。
耐スチーム老化性および耐スチーム変色性にバランスが
とれた優れた成形体を得ることができる。従って、この
樹脂組成物は、炊飯器やジャーポット等の調理家電製品
に使われる各種部品成形体の製造に適している。
【0087】さらに、この樹脂組成物を射出成形や中空
成形等の熱成形による成形体の製造に使用しても、その
成形時に臭気の発生をほとんど感じることがないので、
作業環境をクリーンに保つことができる。また、その成
形体を用いた製品の使用時においても、臭気をほとんど
感じないので、安心して使用することができる。
成形等の熱成形による成形体の製造に使用しても、その
成形時に臭気の発生をほとんど感じることがないので、
作業環境をクリーンに保つことができる。また、その成
形体を用いた製品の使用時においても、臭気をほとんど
感じないので、安心して使用することができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 5/51 C08K 5/51
Claims (12)
- 【請求項1】ポリプロピレン100重量部に対して、ラ
クトン系安定剤(A)0.01〜1重量部、フェノール
系酸化防止剤(B)0.005〜1重量部、およびイオ
ウ系耐熱安定剤(C)0.005〜1重量部を含有して
なることを特徴とするポリプロピレン樹脂組成物。 - 【請求項2】前記のラクトン系安定剤(A)が、次に示
す一般式(1) 【化1】 (式中、R1およびR2は、メチル基またはt−ブチル基
であって、その内の少なくとも一方はt−ブチル基であ
り、R3およびR4は、炭素原子数が1〜10のアルキル
基である)で表される少なくとも1種の化合物であるこ
とを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン樹脂組
成物。 - 【請求項3】前記のラクトン系安定剤(A)が、5,7
−ジ−t−ブチル−3−(3,4−ジ−メチルフェニ
ル)−3H−ベンゾフラン−2−オンであることを特徴
とする請求項1または2に記載のポリプロピレン樹脂組
成物。 - 【請求項4】前記のフェノール系酸化防止剤(B)が、
次に示す一般式(2)または(3)で表される少なくと
も1種の化合物であることを特徴とする請求項1〜3の
いずれかに記載のポリプロピレン樹脂組成物。 【化2】 【化3】 (式(2)および(3)において、R5およびR6は、メ
チル基またはt−ブチル基であって、その内の少なくと
も一方はt−ブチル基であり、R7およびR8は、それぞ
れ独立して炭素原子数1〜3のアルキレン基である) - 【請求項5】前記のフェノール系酸化防止剤が、次に示
す一般式(2)または(3)で表される少なくとも1種
の化合物と、次に示す一般式(4)で表される少なくと
も1種の化合物とからなることを特徴とする請求項1〜
3のいずれかに記載のポリプロピレン樹脂組成物。 【化4】 【化5】 【化6】 (式(2)、(3)および(4)において、R5および
R6は、メチル基またはt−ブチル基であって、その内
の少なくとも一方はt−ブチル基であり、R7およびR8
は、それぞれ独立して炭素原子数1〜3のアルキレン基
である) - 【請求項6】前記の一般式(2)で表される化合物が、
テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンで
あることを特徴とする請求項4または5に記載のポリプ
ロピレン樹脂組成物。 - 【請求項7】前記の一般式(3)で表される化合物が、
3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒド
ロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−
1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラ
オキサスピロ[5.5]ウンデカンであることを特徴と
する請求項4または5に記載のポリプロピレン樹脂組成
物。 - 【請求項8】前記の一般式(4)で表される化合物が、
1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン
であることを特徴とする請求項5に記載のポリプロピレ
ン樹脂組成物。 - 【請求項9】前記のイオウ系耐熱安定剤(C)が、次に
示す一般式(5) 【化7】 (式中、R9は、炭素原子数12〜18のアルキル基で
あり、R10は、炭素原子数1〜3のアルキレン基であ
る)で表される少なくとも1種の化合物であることを特
徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のポリプロピレ
ン樹脂組成物。 - 【請求項10】前記のイオウ系耐熱安定剤(C)が、ジ
ラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリス
チル−3,3’−チオジプロピオネート、ジパルミチル
−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−
3,3’−チオジプロピオネートからなる群から選ばれ
る少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求
項1〜9のいずれかに記載のポリプロピレン樹脂組成
物。 - 【請求項11】請求項1〜10のいずれかに記載の樹脂
組成物に、さらにリン系耐熱安定剤(D)をポリプロピ
レン100重量部に対して0.005〜1重量部含有し
ていることを特徴とするポリプロピレン樹脂組成物。 - 【請求項12】請求項1〜11のいずれかに記載の樹脂
組成物に、さらにハイドロタルサイト(E)をポリプロ
ピレン100重量部に対して0.01〜0.20重量部
含有していることを特徴とするポリプロピレン樹脂組成
物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000304481A JP2002105260A (ja) | 2000-10-04 | 2000-10-04 | ポリプロピレン樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000304481A JP2002105260A (ja) | 2000-10-04 | 2000-10-04 | ポリプロピレン樹脂組成物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002105260A true JP2002105260A (ja) | 2002-04-10 |
Family
ID=18785521
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000304481A Withdrawn JP2002105260A (ja) | 2000-10-04 | 2000-10-04 | ポリプロピレン樹脂組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002105260A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007297523A (ja) * | 2006-05-01 | 2007-11-15 | Jsp Corp | ポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法 |
JP2008248242A (ja) * | 2007-03-07 | 2008-10-16 | Sumitomo Chemical Co Ltd | ポリプロピレン組成物 |
KR102258938B1 (ko) * | 2019-12-24 | 2021-06-01 | 한화토탈 주식회사 | 강성과 장기 내열성이 우수한 난연성 폴리프로필렌 수지 조성물 |
CN116285098A (zh) * | 2022-12-26 | 2023-06-23 | 上海日之升科技有限公司 | 一种耐高温高湿老化聚丙烯复合材料及其制备方法 |
-
2000
- 2000-10-04 JP JP2000304481A patent/JP2002105260A/ja not_active Withdrawn
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007297523A (ja) * | 2006-05-01 | 2007-11-15 | Jsp Corp | ポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法 |
JP2008248242A (ja) * | 2007-03-07 | 2008-10-16 | Sumitomo Chemical Co Ltd | ポリプロピレン組成物 |
KR102258938B1 (ko) * | 2019-12-24 | 2021-06-01 | 한화토탈 주식회사 | 강성과 장기 내열성이 우수한 난연성 폴리프로필렌 수지 조성물 |
CN116285098A (zh) * | 2022-12-26 | 2023-06-23 | 上海日之升科技有限公司 | 一种耐高温高湿老化聚丙烯复合材料及其制备方法 |
CN116285098B (zh) * | 2022-12-26 | 2024-02-23 | 上海日之升科技有限公司 | 一种耐高温高湿老化聚丙烯复合材料及其制备方法 |
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