JP2002103369A - 射出成形体の製造方法 - Google Patents

射出成形体の製造方法

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JP2002103369A
JP2002103369A JP2000294432A JP2000294432A JP2002103369A JP 2002103369 A JP2002103369 A JP 2002103369A JP 2000294432 A JP2000294432 A JP 2000294432A JP 2000294432 A JP2000294432 A JP 2000294432A JP 2002103369 A JP2002103369 A JP 2002103369A
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Fukuo Sugano
福男 菅野
Yuji Tanonaka
裕二 田野中
Atsushi Funaki
篤 船木
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Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】含フッ素樹脂組成物を射出成形することによ
る、ヒケ、ソリ等の問題がなく、寸法安定性に優れる成
形体の製造方法を提供する。 【解決手段】テトラフルオロエチレン/CF2=CFO
(CF23COOCH3共重合体の熱処理物(B)とテ
トラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニル
エーテル)共重合体(C)を含み、(B)と(C)の合
計100部に対して(B)を0.05〜20部の割合で
含有する含フッ素重合体組成物を射出成形する成形体の
製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は含フッ素共重合体組
成物を射出成形して得る成形体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】テトラフルオロエチレン/パーフルオロ
(アルキルビニルエーテル)共重合体(以下、PFAと
いう。)は、耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性等が優れた高
分子材料であり、その特徴を生かして種々の用途に使用
されている。特に、射出成形法で成形して得た成形体
は、複写機の排紙コロ、電池のパッキン、半導体薬液流
量制御用のバルブボディ等の用途に使用されている。
【0003】射出成形法は単位時間当たりの生産数が多
く、また、成形原料の自動供給機や成形体の取出し機の
機能の向上により無人運転ができる等設備改善が進み、
低コストで成形ができ、大量生産する工業用部品等に適
している。しかし、PFAを射出成形すると、PFAの
金型内での流動方向によって3〜5%の成形収縮が発生
するとともに、成形体にヒケ、ソリ等の変形が発生する
問題があった。また、PFAは、成形ショット毎の寸法
の再現性が劣る等、寸法安定性が充分でなく、コネクタ
等の電気・電気部品等の高い寸法精度が要求される用途
への適用が容易でなかった。
【0004】その解決方法として、あらかじめ成形収縮
率やヒケ、ソリを見込んだ金型の寸法修正が行われてい
る。金型を製作後、PFAを成形し、成形体の寸法測定
を行い、その結果に基いて金型の寸法修正を行う作業を
数回繰り返す方法である。しかし、PFAは、成形体の
寸法がショット毎に変動したり、ヒケやソリが大きいた
め、円筒や立方体等の立体形状の成形体を成形しようと
する場合やマイクロメータレベルの寸法修正が必要な用
途の場合は、金型の寸法修正が充分でなく、射出成形法
で成形体を得ることができなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、射出成形し
て得た、ヒケ、ソリ等の変形の問題がなく、寸法安定性
に優れる含フッ素共重合体組成物の成形体の製造方法を
提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記含フッ素
重合体組成物(D)を射出成形することを特徴とする成
形体の製造方法である。式1で表される重合単位を96
〜99.99モル%、式2で表される重合単位を0.0
1〜4モル%、及び任意成分として式3で表される重合
単位を0〜3モル%の割合で含有する含フッ素共重合体
(A)を200℃以上で熱処理した含フッ素共重合体
(B)と、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(ア
ルキルビニルエーテル)共重合体(C)とを含む組成物
であり、(B)と(C)の合計100部中に(B)を
0.05〜20部含有する含フッ素重合体組成物
(D)。 −(CF2−CFX)− ・・・式1 −(CF2−CF(−ORfY))−・・・式2 −(CF2−CFZ)− ・・・式3 ただし、式1でXはフッ素原子又は塩素原子であり、式
2でRfは含フッ素2価有機基であり、Yはヒドロキシ
アルキル基、カルボキシ基、又は1価のカルボン酸誘導
体基であり、式3でZは−ORfY以外の含フッ素1価
有機基である。また、本明細書において部は質量部であ
る。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明において、(B)は、式1
で表される重合単位、式2で表される重合単位及び任意
成分として式3で表される重合単位を含有する(A)を
200℃以上で熱処理することにより得られる。
【0008】式1において、Xはフッ素原子又は塩素原
子であり、フッ素原子であることが耐薬品性等の面から
好ましい。式2において、Rfは含フッ素2価有機基で
ある。Rfに含有されるフッ素原子の数は1個以上であ
ればよいが、パーフルオロアルキレン基又はエーテル性
の酸素原子を含有するパーフルオロアルキレン基がより
好ましい。Rfの炭素原子数は1〜15が好ましく、1
〜10がより好ましい。Rfは直鎖の構造でも分岐の構
造でもよいが、分岐の構造の場合には、分岐鎖の炭素原
子数が1〜3程度の短鎖が好ましい。Rfは、直鎖構造
がより好ましい。
【0009】Rfの具体例としては、−(CF22−、
−(CF23−、−(CF24−、−(CF25−、−
(CF28−、−CF2CF(CF3)O(CF23−、
−CF2CF(CF3)O(CF23−、−CF2CF
(CF3)OCF2CF(CF3)O(CF22−、−
(CF2CF2O)2(CF23−、−CF2CF(C
3)CF2CF2CF(CF3)CF2−等が挙げられ
る。Rfが非対称の場合は左右どちらの向きに結合して
いてもよい。
【0010】式2におけるYはヒドロキシアルキル基、
カルボキシ基、又は1価のカルボン酸誘導体基である。
ヒドロキシアルキル基としては、−CH2OH、−CH2
CH 2OH、−CH2CH(OH)CH3等が挙げられ
る。1価のカルボン酸誘導体基としては、−COOM
(ただし、Mは炭素原子数1〜3程度のアルキル基、炭
素原子数1〜3程度のフルオロアルキル基、アルカリ金
属、アンモニウム塩、又は置換アンモニウム塩であ
る。)又は−COL(ただし、Lはフッ素原子又は塩素
原子である。)が挙げられる。Yとしては、−CH2
H、−CH2CH2OH、−COOH、−COOCH3
−COOCH2CH3がより好ましい。式2の重合単位は
1種のみ含まれていてもよく2種以上含まれてもよい。
【0011】式3において、Zは、−ORfY以外の含
フッ素1価有機基である。Zとしては、耐熱性、耐薬品
性等の点から炭素原子数1〜10のパーフルオロアルコ
キシ基が好ましく、パーフルオロアルコキシ基中には2
個以上のエーテル性の酸素原子を含んでいてもよい。
【0012】本発明において、(A)に含有される式1
で表される重合単位、式2で表される重合単位及び任意
成分として式3で表される重合単位の割合は、それぞれ
96〜99.99モル%、0.01〜4モル%及び0〜
3モル%である。式2で表される重合単位があまりに少
ないと(B)の架橋構造が少なく(C)と相溶する結
果、(C)の結晶化を開始する核(以下、結晶核剤とい
う。)としての効果が小さい。あまりに多いと(B)の
溶融粘度が高くなりすぎる結果、フィッシュアイ(成形
体中に入っている小球状の固まり)が発生する。
【0013】任意成分である式3で表される重合単位を
含まない場合には、式1で表される重合単位を99〜9
9.99モル%、式2で表される重合単位を0.01〜
1モル%の割合で含有する(A)が好ましく、式1で表
される重合単位を99.2〜99.9モル%、式2で表
される重合単位を0.1〜0.8モル%の割合で含有す
る(A)がより好ましい。
【0014】式3で表される重合単位が含まれる場合
は、式1で表される重合単位を96〜99.89モル
%、式2で表される重合単位を0.01〜1モル%、式
3で表される重合単位を0.1〜3モル%の割合で含有
する(A)が好ましく、式1で表される重合単位を9
6.7〜99.8モル%、式2で表される重合単位を
0.1〜0.8モル%、式3で表される重合単位を0.
1〜2.5モル%の割合で含有する(A)が好ましい。
式3で表される重合単位があまりに大きいと(B)の結
晶化温度が低下し、(C)の結晶核剤としての効果が小
さくなる。
【0015】(B)は、(A)を200℃以上の温度で
熱処理することにより得られる。熱処理によって、
(A)の溶融粘度が上昇するとともに、融点及び結晶化
温度が上昇する。これは、熱処理することにより、
(A)の分子中の式2における官能基−ORfYが、他
の分子中の同官能基と架橋反応することにより、架橋構
造を有する(B)が生成しているためと推定される。
【0016】(B)に架橋構造が生じていると推定され
る機構を以下に示す。(A)には、IR分析により式2
におけるYが認められる。(B)では、(A)に比べて
Yの含有量が減少することが認められ、又はYが認めら
れない。また、(B)の溶融粘度は(A)に比べて大き
くなり、その上昇率は(A)中の式2におけるYの含有
量が多いほど大きい。
【0017】例えば、式2中のRfYが−(CF23
OOCH3であり、式2で表される重合単位を0.2モ
ル%、式1で表される重合単位を99.8モル%含有
し、溶融粘度が約7000ポアズの(A)を、300℃
で20時間熱処理して得られる(B)には、IR分析で
−COOCH3由来のピークが検出されず、その溶融粘
度は約5万ポアズに上昇する。
【0018】架橋構造が生じる機構としては、−ORf
Y中の Y、例えば−COOCH3が熱と空気中の水分に
より加水分解反応、脱炭酸反応等を生起し、ラジカル
(−ORf・)が発生し、次いで2個のラジカルがカッ
プリングして共重合体の分子鎖間に架橋構造が生じると
推定される。したがって、(B)は、テトラフルオロエ
チレンの単独重合体(いわゆるPTFE)及び1質量%
未満の微量のヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ
(アルキルビニルエーテル)等に基づく重合単位を含有
するテトラフルオロエチレン共重合体(いわゆる変性P
TFE)と異なる構造を有するものと推定される。
【0019】(A)の熱処理温度が、200℃未満では
式2中の−ORfYが架橋反応しにくい。融点以上でも
−ORfYが架橋反応するが、(A)の粒子が互いに融
着するため、(A)の粒子の表面層のみで架橋反応が生
起し、内部まで架橋反応が進行しにくい。融点未満の熱
処理温度が好ましい。(A)の熱処理時間は、式2中の
Yの50%以上、好ましくは90%以上が分解し、架橋
反応するまでの時間とすることが好ましい。式2中のY
が架橋反応せず多量に残存すると、成形体の耐薬品性が
低下する傾向を示す。熱処理時間は、例えば300℃で
は3時間以上が好ましい。本発明における熱処理は、酸
素が存在する雰囲気で実施することが好ましい。
【0020】本発明において、(B)の融点は、(C)
の融点〜射出成形温度の間にあることが好ましく、34
0〜390℃の間がより好ましい。また、(B)の結晶
化温度は、(C)の結晶化温度〜射出成形温度の間であ
ることが好ましく、340〜390℃の間がより好まし
い。(D)を射出成形する射出成形温度は、この温度に
おいて(D)が熱溶融していることが必要で、310〜
400℃が好ましい。(B)の融点が射出成形温度以上
の場合には、(B)は射出成形機のシリンダ内で熱溶融
せず、(D)中での(B)の分散が充分でなくなる傾向
を示す。また、射出成形後の冷却過程で(B)が(C)
の結晶核剤と作用するので、(B)の結晶化温度は
(C)の結晶化温度以上であることが好ましい。本発明
において、(D)に含有される(B)の割合は、(C)
と(B)との合計100部中に0.05〜20部であ
る。あまりに少ないとヒケ、ソリの抑制効果が少なく、
あまりに多いと成形体の強度が低下する傾向を示す。
【0021】(A)及びその製造方法は公知である(特
開平3−91513号公報、特開平3−234753号
公報を参照。)。(A)は、式6で表される単量体、式
7で表される単量体、及び必要により式8で表される単
量体を重合開始源の作用下に共重合することにより得ら
れる。ただし式6におけるX、式7におけるRf及び
Y、式8におけるZはいずれも前述と同じである。
【0022】CF2=CFX ・・・式6 CF2=CF−ORfY ・・・式7 CF2=CFZ ・・・式8 重合開始源としては、電離放射線や、有機パーオキシド
系重合開始剤、酸化還元系重合開始剤等の重合開始剤等
が採用できる。重合方法としては、懸濁重合、乳化重
合、溶液重合、塊状重合等従来公知の重合方法が採用で
きる。
【0023】重合開始剤としては、ビス(フルオロアシ
ル)パーオキシド類、ビス(クロロフルオロアシル)パ
ーオキシド類、ジアルキルパーオキシジカーボネート
類、ジアシルパーオキシド類、パーオキシエステル類、
過硫酸塩類、アゾ系開始剤等が挙げられる。
【0024】重合媒体としては、溶液重合ではCClF
2CF2CClFH(以下、HCFC225cbとい
う。)等のハイドロクロロフルオロカーボン類、ter
t−ブチルアルコール等が好ましい。懸濁重合、乳化重
合では水又は水とハイドロクロロフルオロカーボン類等
の他の溶媒との混合溶媒が用いられる。重合温度は0℃
〜100℃、重合圧力は0.5〜30kg/cm2の範
囲から選択できる。
【0025】本発明において、(C)の原料単量体であ
るパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(以下、P
AVEという。)としては、(C)の高温における機械
的強度の観点から、炭素原子数3〜10のPAVEが好
ましく、炭素原子数5のパーフルオロ(n−プロピルビ
ニルエーテル)がより好ましい。また、(C)中のPA
VEに基づく重合単位の含有割合は、(C)の成形性、
高温における機械的強度の観点から1〜3モル%程度で
あることが好ましい。
【0026】(C)の溶融粘度は、射出成形性の点から
372℃、ズリ速度1000sec -1におけるキャピラ
リーレオメータによる溶融粘度で、100〜30000
ポアズであることが好ましく、500〜10000ポア
ズがより好ましい。
【0027】本発明における(D)の製造方法として
は、溶融した(C)に(B)を撹拌しながら混合する方
法、単軸又は2軸の混練押出機に(C)と(B)を同時
に供給し混練する方法等が挙げられる。混練押出機によ
り混練する方法が簡便で好ましい。混練時の(C)及び
(B)の形態も特に限定されず、ペレット状、ビーズ
状、粉末状等が用いられるが、(B)の形態は粉末状が
好ましい。(B)の粉末の平均粒子径としては1〜50
0μmが好ましく、10〜50μmがより好ましい。
【0028】本発明において、(D)の射出成形に用い
る射出成形機としては、シリンダ温度が少なくとも40
0℃まで昇温できるヒータ付きで、金型としては、金型
温度が少なくとも300℃まで加熱できる加熱設備、射
出速度が1〜100mm/secの速度に制御できる機
構及び冷却時間が10〜300secまで制御できる機
構を有するものが好ましい。
【0029】具体的成形条件としては、シリンダ温度は
310〜400℃が好ましく、340〜390℃がより
好ましい。金型温度は100〜270℃が好ましく、1
50〜250℃がより好ましい。射出速度は1〜100
mm/secが好ましく、5〜30mm/secがより
好ましい。保圧力は19〜255MPaが好ましく、3
9〜157MPaがより好ましい。保圧時間は0.1〜
20secが好ましく、0.5〜5secがより好まし
い。金型のゲート方式としては、ダイレクトゲート、サ
イドゲート、フィルムゲート、ピンゲート、トンネルゲ
ート等一般的に採用されているものが使用できる。成形
体に制約がない場合には圧力損失が最も少ないダイレク
トゲートが好ましい。成形体の冷却時間は成形体の厚さ
により適宜選択されるが10〜60sec程度が好まし
い。
【0030】本発明において、(D)を用いて射出成形
することにより、ヒケ、ソリ等の発生が抑制され、寸法
安定性に優れる成形体が得られる機構は必ずしも明確で
ないが次のように推定される。射出成形機のシリンダ内
において(D)は溶融された後、150〜250℃に設
定された金型内に射出成形される。金型内では、結晶化
温度の高い(B)が先に凝固し、次いで凝固した(B)
が結晶核剤として作用して(C)の結晶化が開始され、
(C)の球晶のサイズが微細化する結果、成形体のヒ
ケ、ソリの発生が抑制されるものと推定される。
【0031】(B)が(C)の結晶核剤として優れた効
果を示す理由としては、(B)が(C)に対して親和性
を有するが、部分的に架橋された構造のために相溶しな
いためと推定される。また、(D)中で結晶核剤となる
(B)が細かく分散しているため、結晶化が早く、か
つ、生成する球晶が小さくなり、成形ショット毎の寸法
安定性が向上するものと推定される。
【0032】本発明の成形体の製造方法で得られる成形
体は、(C)の電気特性(例えば高周波帯での誘電率が
低い)を活用した電気・電子部品例えば携帯電話用等の
小物で高寸法精度が求められるコネクタ、同軸ケーブル
等のコネクタ等の用途又は基板等の用途に使用できる。
また、本発明の成形体の製造方法によれば、円筒や立方
体等の立体形状の成形体や板状の成形体が好ましく成形
できる。
【0033】
【実施例】以下の実施例(例1、2)及び比較例(例
3)により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに
限定されない。溶融粘度、融点、結晶化温度、共重合体
組成、球晶サイズの測定、ヒケ、ソリの測定及び射出成
形方法は以下に記載の方法を用いた。
【0034】[溶融粘度:単位ポアズ]キャピラリーレ
オメータ(東洋精機社製)を用いて、使用ダイスはノズ
ル長10mm、ノズル径2mmで、温度372℃、ズリ
速度1000sec-1の条件で測定した。 [融点:単位℃]DTA(セイコー電子社製)を用い
て、試料10mg、昇温速度10℃/分で吸熱曲線を測
定し、ピーク温度を融点とした。 [結晶化温度:単位℃]DSC(セイコー電子社製)を
用いて、試料10mgで、溶融状態から10℃/分の速
度で冷却し、結晶化させたときの結晶化熱を測定し、ピ
ーク温度を結晶化温度とした。
【0035】[共重合体組成]厚さ約30μmの成形フ
ィルムをIR分析し以下のように求めた。CF2=CF
O(CF23COOCH3に基づく重合単位/テトラフ
ルオロエチレン(以下、TFEという。)に基づく重合
単位のモル比は0.42×(2370cm-1における吸
光度)/(1800cm-1における吸光度)として算出
した。 [球晶サイズの測定]試料を340℃で厚さ200μm
のフィルムに圧縮成形し、続いて冷却プレス機で約5分
間で室温付近まで急冷して試験フィルムを作成した。試
験フィルムの表面を偏光顕微鏡で観察することにより球
晶サイズを測定した。
【0036】[ヒケ、ソリの測定及び寸法安定性]設計
寸法が外径25mm、内径20mm及び高さ20mmで
ある円筒形状の成形体を射出成形し、成形体のヒケやソ
リ等の変形の有無を目視で観察した。さらにレーザース
キャンマイクロメータ(ミツトヨ社製)で成形体中央部
及び端部の外径を測定し、その差から全体的なヒケ状態
を測定した。中央部と端部の寸法差が小さいほど、ヒケ
が小さいことを示す。また、測定個数n=10として、
成形体の中央部及び端部の外径の標準偏差を算出した。
標準偏差が小さいほど、寸法安定性に優れることを示
す。
【0037】[射出成形方法]射出成形機(FANUC
−30A、ファナック社製)を用い、金型は設計寸法が
外径25mm、内径20mm及び高さ20mmである円
筒形状の成形体が得られるように彫り込まれたものを、
ゲートはゲート先端径1.0mmのトンネルゲートを、
使用した。シリンダ温度は380℃、金型温度は200
℃、射出速度は20mm/sec、保圧力は78.4M
Pa、保圧時間は3sec、冷却時間は30sec、の
成形条件で成形を行い、成形体を得た。
【0038】[例1]内容積1.1リットルのステンレ
ス鋼製反応容器を脱気し、水の470g、HCFC22
5cbの290g、CF2=CFO(CF23COOC
3の10.5g、TFEの80g、メタノールの45
gを仕込んだ。温度を50℃に保持して、重合開始剤ビ
ス(パーフルオロブチリル)パーオキシドの0.25質
量%溶液(溶媒:HCFC225cb)を仕込み、重合
を開始させた。重合中、系内にTFEを導入し、重合圧
力を1.27MPaに保持した。前記重合開始剤溶液を
重合速度がほぼ一定になるように断続的に仕込んだ。T
FEの導入量が100gになった時点で重合を終了し、
含フッ素共重合体A1の白色粉末の106gを得た。I
R分析の結果、含フッ素共重合体A1はCF2=CFO
(CF23COOCH3に基づく重合単位の含有量が
0.4モル%であり、融点が315℃、結晶化温度が2
95℃であった。
【0039】ついで、含フッ素共重合体A1を300℃
のオーブンで24時間熱処理し、含フッ素共重合体B1
の粉末を得た。IR分析の結果、含フッ素共重合体B1
には−COOCH3に由来するピークが検出されなかっ
た。含フッ素共重合体B1の融点は320℃、結晶化温
度は302℃であった。
【0040】一方、TFEに基づく重合単位/CF2
CFO(CF22CF3に基づく重合単位が98.7/
1.3(モル比)であり、372℃における溶融粘度が
2000ポアズ、融点が302℃、結晶化温度が280
℃であるTFE/パーフルオロ(n−プロピルビニルエ
ーテル)共重合体(以下、PFA−1という。)を得
た。
【0041】ビーズ状の前記PFA−1の1900gと
含フッ素共重合体B1の粉末の100gを、2軸混練押
出機により溶融混練して、含フッ素重合体組成物D1の
ペレットを得た。溶融混練条件は、シリンダ温度はC1
/C2/C3/C4/C5/C6/H=200℃/35
0℃/380℃/380℃/380℃/385℃/38
5℃、供給速度は20kg/時、スクリュ回転数は80
rpm、であった。得られた含フッ素重合体組成物D1
の溶融粘度は8000ポアズであった。含フッ素重合体
組成物D1のペレットを射出成形して成形体を得た。得
られた成形体を室温で1日放置後、ヒケ及びソリの評価
を行った。その結果を表1に示す。また、含フッ素重合
体組成物D1を成形して得たフィルムの球晶サイズは1
〜3μmであった。
【0042】[例2]CF2=CFO(CF23COO
CH3の0.8g、メタノールの50gを用いる以外は
例1と同様にして、含フッ素共重合体A2の白色粉末の
105gを得た。IR分析の結果、含フッ素共重合体A
2は、CF2=CFO(CF23COOCH3に基づく重
合単位の含有量が0.09モル%、融点が325℃、結
晶化温度が309℃であった。含フッ素共重合体A2を
300℃で24時間熱処理し、得られた含フッ素共重合
体B2をIR分析した結果、−COOCH3に由来する
ピークは検出されなかった。含フッ素共重合体A2の融
点は327℃、結晶化温度は315℃であった。
【0043】含フッ素共重合体B2の100gと例1で
用いたと同じビーズ状のPFA−1の1900gを、例
1と同様の溶融混練条件で、2軸混練押出機により溶融
混練して、含フッ素重合体組成物D2のペレットを得
た。得られた含フッ素重合体組成物D2の溶融粘度は6
500ポアズであった。含フッ素重合体組成物D2のペ
レットを射出成形して成形体を得た。得られた成形体の
ヒケ及びソリの評価を例1と同様に実施した結果を表1
に示す。また、含フッ素重合体組成物D1を成形して得
たフィルムの球晶サイズは1〜3μmであった。
【0044】[例3(比較例)]CF2=CFO(C
23COOCH3を用いず、メタノールの20gを用
いる以外は例1と同様にして、PTFE白色粉末の10
5gを得た。このPTFEは、融点が330℃、結晶化
温度が315℃であった。
【0045】このPTFE粉末の100gと例1で用い
たビーズ状のPFA−1の1900gを、例1と同様の
溶融混練条件で、2軸混練押出機により溶融混練して、
ペレット状の組成物を得た。得られた組成物の溶融粘度
は6000ポアズであった。この組成物のペレットを射
出成形して成形体を得た。得られた成形体のヒケ及びソ
リの評価を例1と同様に実施した結果を表1に示す。ま
た、この組成物を成形して得たフィルムの球晶サイズは
2〜5μmであった。
【0046】
【表1】
【0047】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、含フッ素樹
脂組成物を射出成形して、ヒケ、ソリ等の変形の問題が
なく、寸法安定性に優れる成形体が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08F 216:14) C08F 216:14) (C08L 27/18 (C08L 27/18 27:12) 27:12) B29K 27:12 B29K 27:12 Fターム(参考) 4F071 AA26 AA26X AA27 AA27X AA30 AA30X AF54 AH12 AH19 BA01 BB05 BC17 4F206 AA16D AA16E AC01 AM34 AM35 JA07 4J002 BD122 BD151 BD152 BE041 FD202 4J100 AC21R AC26P AC31P AE38Q BA03Q BA12Q BA16Q BA20Q CA04 CA05

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記含フッ素重合体組成物(D)を射出成
    形することを特徴とする成形体の製造方法。式1で表さ
    れる重合単位を96〜99.99モル%、式2で表され
    る重合単位を0.01〜4モル%、及び任意成分として
    式3で表される重合単位を0〜3モル%の割合で含有す
    る含フッ素共重合体(A)を200℃以上で熱処理した
    含フッ素共重合体(B)と、テトラフルオロエチレン/
    パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体
    (C)とを含む組成物であり、(B)と(C)の合計1
    00部中に(B)を0.05〜20部含有する含フッ素
    重合体組成物(D)。 −(CF2−CFX)− ・・・式1 −(CF2−CF(−ORfY))−・・・式2 −(CF2−CFZ)− ・・・式3 ただし、式1でXはフッ素原子又は塩素原子であり、式
    2でRfは含フッ素2価有機基であり、Yはヒドロキシ
    アルキル基、カルボキシ基、又は1価のカルボン酸誘導
    体基であり、式3でZは−ORfY以外の含フッ素1価
    有機基である。
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