JP2002102383A - 有機ハロゲン化合物の処理方法 - Google Patents

有機ハロゲン化合物の処理方法

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JP2002102383A
JP2002102383A JP2000294179A JP2000294179A JP2002102383A JP 2002102383 A JP2002102383 A JP 2002102383A JP 2000294179 A JP2000294179 A JP 2000294179A JP 2000294179 A JP2000294179 A JP 2000294179A JP 2002102383 A JP2002102383 A JP 2002102383A
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cement clinker
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halogen compound
organic halogen
material mixture
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Junji Asaumi
順治 浅海
Fumiyoshi Saito
文良 齋藤
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Taiheiyo Cement Corp
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Taiheiyo Cement Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 メカノケミカル処理時間を短縮することので
きる有機ハロゲン化合物の処理方法を提供すること。 【解決手段】 有機ハロゲン化合物(例:ポリ塩化ビニ
ル、ダイオキシン)に脱ハロゲン剤を添加して、メカノ
ケミカル処理し水洗濾過する処理方法おいて、該脱ハロ
ゲン剤が800〜1100℃に加熱されたセメントクリ
ンカ−原料混合物(ポルトランドセメントクリンカ−製
造用またはエコセメントクリンカ−製造用)であるこ
と、また、水洗濾過したのち無害化された残渣をセメン
トクリンカ−製造用の原料として再使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機ハロゲン化合
物の処理方法に関し、特に、特定の脱ハロゲン剤を用い
ることによって、処理のスピ−ド化をはかった有機ハロ
ゲン化合物の処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリ塩化ビニル(PVC)製品は、従来
から大量に生産され利用されてきた。そして、使用済み
の該製品のリサイクル率は低く、専ら廃棄物として焼却
または埋め立てして処分されている。しかし、これらの
処分方法は、埋立地の制限や燃焼時に有害な物質を発生
するため限界があることから、近時、廃棄物から有価物
を回収し有効活用する方法が模索されている。
【0003】その一方法として、メカノケミカル処理方
法が提案されている。簡単に言えば、有害なPVC廃棄
物(被粉砕物)を機械的エネルギ−を利用して粉砕し、
その過程で化学反応させ有毒物を分離及び/又は溶出し
易くする、という方法である。
【0004】例えば、『メカノケミストリ−と資源・廃
棄物処理』と題した論文(「金属」V0l.69(19
99) No.12 pp64〜70)には、ポリ塩化
ビニル(PVC)廃棄物に ・CaOを脱塩素剤としてPVCに対して等モル以上添
加したのち、メカノケミカル処理し、次いで、 ・得られた粉砕物を水洗濾過する 方法が脱塩素化率および反応速度の点で良好であり、該
廃棄物から塩素成分を除去できる、旨の脱塩素化方法の
記載がある。
【0005】また、特開2000−70401号公報に
は、有機ハロゲン化合物を含有する物質(注1)に、ハ
ロゲン含有量の2モル等量以上の酸化カルシウムおよび
/または水酸化カルシウム含有物質(注2)を混合し、
さらに必要に応じ反応促進剤としてアルミナ含有物質
(注3)を添加したのち、常温でボ−ルミルを用いてメ
カノケミカル処理を行い、次いで処理物を10倍以上の
水中で撹拌しハロゲンを溶出させ、濾過脱水して脱ハロ
ゲンする非加熱ハロゲン除去方法が開示されている。 (注1)ポリ弗化エチレン、ポリ塩化ビフェニル、ダイ
オキシンなど。 (注2)高炉スラグ、転炉スラグなど。 (注3)ボ−キサイト、アルミナ煉瓦など。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来法は、脱塩素剤として酸化カルシウムを十分に含み、
かつ、反応を促進するアルミナを含有するスラグを用い
ても、なおかつ、脱塩素率を少なくとも90%以上に高
めるためには、メカノケミカル処理を3時間以上行なう
必要があった。このように、従来法には、メカノケミカ
ル処理に要する時間が掛かり過ぎる欠点があるために、
処理効率が悪いという問題点を有していた。
【0007】本発明は、前記従来法の欠点・問題点を考
慮してなされたものであって、その目的とするところ
は、・メカノケミカル処理時間を短縮することのできる
有機ハロゲン化合物の処理方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、メカノケミカ
ル反応を促進するために、特に、脱ハロゲン剤に着目
し、特定の温度に加熱されたセメントクリンカ−原料混
合物を使用することを特徴とし、これにより、前記目的
を達成できる有機ハロゲン化合物の処理方法を提供する
ものである。
【0009】すなわち、本発明の有機ハロゲン化合物の
処理方法は、「有機ハロゲン化合物に脱ハロゲン剤を添
加して、メカノケミカル処理し水洗濾過する処理方法お
いて、 ・該脱ハロゲン剤が800〜1100℃に加熱されたセ
メントクリンカ−原料混合物であること」(請求項1)を
要旨とする。
【0010】また、本発明は、 ・セメントクリンカ−原料混合物がポルトランドセメン
トクリンカ−製造用またはエコセメントクリンカ−製造
用の原料混合物であること(請求項2)、 ・セメントクリンカ−原料混合物がセメントクリンカ−
製造工程におけるサスペンションプレヒ−タ−から分取
されたものであること(請求項3)、 ・セメントクリンカ−原料混合物中の生石灰(フリ−ラ
イム)の量が有機ハロゲン化合物中のハロゲンの量に対
して、1.5倍以上の反応モル当量であること(請求項
4)、および ・水洗し濾過したのち、生じた残渣をポルトランドセメ
ントクリンカ−製造用またはエコセメントクリンカ−製
造用の原料として使用する(請求項5) を特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、有機ハロゲン化合物の無害化である。その有
機ハロゲン化合物は、ポリ弗化エチレン、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ塩化ビフェニ−ル、ダイオキシン、トリクロロ
エチレン、PCBなどのハロゲンを含有する有機化合物
であり、液体・固体いずれをも対象とする。
【0012】本発明の特徴は、使用する脱ハロゲン剤が セメントクリンカ−原料混合物、かつ、 該原料混合物が特定の温度範囲内で加熱されたもの である点にある。
【0013】セメントクリンカ−原料混合物は、ポルト
ランドセメントクリンカ−製造用のもの、またはエコセ
メントクリンカ−製造用のものを使用する。いずれの原
料混合物も物理的化学的に調製された粉末混合物であ
る。
【0014】上記セメントクリンカ−原料混合物は、 ・ポルトランドセメントクリンカ−製造用の場合、石灰
石、粘土、けい石、酸化鉄などの各原料、および ・エコセメントクリンカ−製造用の場合、上記各原料の
ほかに都市ゴミ焼却灰、下水汚泥焼却灰などの1種以上
の各原料 をそれぞれのクリンカ−組成となるように調製されてい
る。
【0015】本発明は、上記原料混合物が800〜11
00℃の温度で加熱され仮焼されたものを使用する。そ
の細かさは、概ね1500cm2/g以上が好ましい。
加熱された原料混合物には、多量の生石灰(フリ−ライ
ム)が含まれており、メカノケミカル処理を行なったさ
いに、その生石灰が有機ハロゲン化合物と反応し新たな
化合物を生成することにより無害化するものである。
【0016】加熱された原料混合物中の生石灰(フリ−
ライム)の量は、有機ハロゲン化合物に含まれるハロゲ
ンの量に対して、1.5倍以上の反応モル当量となるよ
うに添加することが好ましい。反応モル当量が1.5倍
未満では、メカノケミカル反応が低下するので好ましく
ない。より好ましいのは、2倍以上である。
【0017】原料混合物は、加熱温度が800℃以下で
は、石灰石の仮焼が進行していないので生石灰の生成量
および粉化(微粉化)が不十分であり、逆に、1100
℃以上では、焼結が進行して細かさが粗くなり、いずれ
の場合もメカノケミカル処理に要する時間を改善できな
いうえに、無害化率も低下するので好ましくない。好ま
しい加熱温度は、850〜1000℃、より好ましく
は、900〜1000℃である。
【0018】加熱されたセメントクリンカ−原料混合物
には、生石灰(フリ−ライム)のほかに未分解のCaC
3、SiO2、Al23などが含まれている。特に、A
23は、有機ハロゲン化合物と生石灰との反応を促進
する効果を有しているので好ましい。
【0019】以上説明したように、800〜1100℃
に加熱されたセメントクリンカ−原料混合物は、成分的
にも細かさの点からも、有機ハロゲン化合物をメカノケ
ミカル処理するための必要条件を全て具備した材料であ
り、脱ハロゲン剤として最適である。
【0020】セメントクリンカ−原料混合物は、上記温
度範囲への加熱方法がいかなる方法であっても、脱ハロ
ゲン剤として利用することができる。セメントクリンカ
−を製造するとき、該原料混合物は、予熱・仮焼工程に
供給され加熱されるので、その工程中を移動する間に、
前記温度条件を満たしたものについて採取し利用するの
が安価でもあり入手し易いので好ましい。
【0021】例えば、サスペンションプレヒ−タ−付き
のポルトランドセメントクリンカ−製造工程では、高温
のキルン排ガスがサスペンションプレヒ−タ−(仮焼炉
およびサイクロン)内を流動する間に原料混合物へ熱伝
導するので、該原料混合物が800〜1100℃に加熱
され採取し易い箇所を選定すれば良い。
【0022】通常、サスペンションプレヒ−タ−はサイ
クロンが多段式であるが、特に、最下段(キルンに最も
近い)のサイクロン内の原料混合物が所定温度に達して
いる場合が多いので、それをサイクロン下部から採取す
るのが好ましい。
【0023】以上のようにして採取されたセメントクリ
ンカ−原料混合物は、高温状態(800〜1100℃)
に加熱されているので、適当な方法で常温まで冷却した
のちメカノケミカル処理を行なう。
【0024】次に、メカノケミカル処理について説明す
る。本発明は、前述したように、脱ハロゲン剤として一
旦加熱されたセメントクリンカ−原料混合物を用いてい
るために、メカノケミカル反応の進行が早く、従来法に
比してメカノケミカル処理に要する時間を短縮すること
ができる。
【0025】メカノケミカル処理は、有機ハロゲン化合
物およびセメントクリンカ−原料混合物とも粉末の場
合、前者のみが液体の場合がある。基本的には、両者と
も粉末の場合が好ましいのであるが、PCB、トリクロ
ロエチレンなどのような液体の場合には、それら有機ハ
ロゲン化合物を予めセメントクリンカ−原料混合物に含
浸させたのち、処理するのが好ましい。
【0026】メカノケミカル処理に用いる粉砕機は、慣
用のボ−ルミル、振動ミル、媒体撹拌ミル(アトリッシ
ョンミル)、遊星ミルなどが使用できる。一般的に、粉
砕効率の高い粉砕機は、有機ハロゲン化合物の分解速度
が早い傾向にある。それ故、ボ−ルミルより振動ミル、
媒体撹拌ミルなどが好ましく、さらに遊星ミルが最も好
ましい。
【0027】なお、粉砕機・粉砕媒体の材質には、特に
限定するものではないが、ステンレス鋼、クロ−ム鋼、
タングステンカ−バイト、メノウのほか、ジルコニア・
アルミナ・窒化珪素焼結体など各種セラミックス焼結体
が挙げられる
【0028】本発明は、メカノケミカル処理を行ない、
処理物を水洗してハロゲンを溶出させたのち、慣用手段
にしたがって濾過する。濾過後の残渣には、ハロゲン化
合物が残存していないので、これをポルトランドセメン
トクリンカ−製造用またはエコセメントクリンカ−製造
用の原料として再使用することができる。
【0029】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて説明する。 1)使用した材料 ・有機ハロゲン化合物:ポリ塩化ビニル(試薬) ・脱ハロゲン剤: [A];普通ポルトランドセメントクリンカ−製造工程
の予熱工程のサスペンションプレヒ−タ−から、900
〜950℃に加熱された普通ポルトランドセメントクリ
ンカ−原料混合物を分取し、常温に冷却した粉末(ブレ
−ン比表面積;4200cm2/g、CaO ;64.1
wt%(フリ−ライム;50.0wt%)、SiO2
13.6wt%、Fe23; 1.5wt%) [B];炭酸カルシウム(CaCO3,試薬)を900
℃で仮焼したのち、粉砕したもの(ブレ−ン比表面積;
4000cm2/g)
【0030】 2)メカノケミカル処理に使用した粉砕機 ・小型遊星ミル ポット;ステンレス製、φ40×h40mm ボ−ル;ステンレス製、φ15mm 7個
【0031】(実施例1〜2、比較例1)ポリ塩化ビニ
ルおよび脱ハロゲン剤[A]の合量を3gとし、かつ、
表1に示すようにポリ塩化ビニル中のClに対する脱ハ
ロゲン剤[A]中の生石灰(フリ−ライム)の反応モル
当量の倍数になるように添加して、小型遊星ミルにフィ
−ドしたのち、15分間の粉砕と15分間の停止(冷
却)の操作を繰り返してメカノケミカル処理を行なっ
た。メカノケミカル処理時間は、粉砕時間の総和(ミル
の停止時間を除く)として同表に併記した。
【0032】次いで、処理物(3g)を250mlの蒸
留水に入れ1時間撹拌して水洗したのち、濾過した。濾
液の溶存塩素量をイオンクロマトグラフィで測定し、残
渣中の脱塩素率を求めた。得られた結果を表1に併記し
た。
【0033】(比較例2)脱ハロゲン剤として[B]を
用いた以外は、実施例1〜2と同一条件でメカノケミカ
ル処理し水洗し濾過したのち、溶存塩素量を測定し、求
めた脱塩素率を表1に併記した。
【0034】
【表1】
【0035】実施例1〜2から、脱塩素率を少なくとも
90%以上にするのにメカノケミカル処理を2時間行な
えばで十分であるのに対し、炭酸カルシウムを仮焼した
ものを用いた場合(比較例2)は、5時間処理して90
%に達する程度である。この結果、本発明は、メカノケ
ミカル処理時間を著しく短縮できることが明らかであ
る。また、反応モル当量の倍数が1の場合、脱塩素率が
低いことも判明した(比較例1)。
【0036】
【発明の効果】本発明は、有機ハロゲン化合物の無害化
を行なうにあたり、脱ハロゲン剤として特定の温度に加
熱されたセメントクリンカ−原料混合物を添加すること
を特徴とし、これにより、 ・メカノケミカル処理時間を短縮することができる、と
いう効果を奏する。
【0037】その結果、メカノケミカル処理後の無害化
された残渣は、セメントクリンカ−原料として再利用で
きるから、本発明を実施すれば、従来行なっていた焼却
・埋め立て量が減少するので、環境保全にも好ましいも
のである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機ハロゲン化合物に脱ハロゲン剤を添
    加して、メカノケミカル処理し水洗濾過する処理方法お
    いて、該脱ハロゲン剤が800〜1100℃に加熱され
    たセメントクリンカ−原料混合物であることを特徴とす
    る有機ハロゲン化合物の処理方法。
  2. 【請求項2】 前記セメントクリンカ−原料混合物がポ
    ルトランドセメントクリンカ−製造用またはエコセメン
    トクリンカ−製造用の原料混合物であることを特徴とす
    る請求項1記載の有機ハロゲン化合物の処理方法。
  3. 【請求項3】 前記セメントクリンカ−原料混合物がセ
    メントクリンカ−製造工程におけるサスペンションプレ
    ヒ−タ−から分取されたものであることを特徴とする請
    求項1又は請求項2記載の有機ハロゲン化合物の処理方
    法。
  4. 【請求項4】 前記セメントクリンカ−原料混合物中の
    生石灰(フリ−ライム)の量が有機ハロゲン化合物中の
    ハロゲンの量に対して、1.5倍以上の反応モル当量と
    なるように添加することを特徴とする請求項1記載の有
    機ハロゲン化合物の処理方法。
  5. 【請求項5】 請求項1において水洗し濾過したのち、
    生じた残渣をポルトランドセメントクリンカ−製造用ま
    たはエコセメントクンカ−製造用の原料として使用する
    ことを特徴とする有機ハロゲン化合物の処理方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2013121997A1 (ja) * 2012-02-17 2015-05-11 シオノケミカル株式会社 水素または重水素の製造方法、水素化または重水素化有機化合物の製造方法、有機化合物の水素化または重水素化方法、ハロゲンを有する有機化合物の脱ハロゲン化方法、メカノケミカル反応用ボ−ル
JP2021038128A (ja) * 2019-08-29 2021-03-11 新東工業株式会社 水素化マグネシウムの製造方法及びテトラヒドロほう酸塩の製造方法

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