JP2002097493A - 石油製品製造装置用洗浄剤組成物及び洗浄方法 - Google Patents

石油製品製造装置用洗浄剤組成物及び洗浄方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 石油製品や石油化学製品を製造する石油精製
装置や石油化学製造装置に付着した固体状有機物を洗浄
するための洗浄剤及びその洗浄方法を提供する 【解決手段】 石油製品製造装置に堆積した固体状有機
物を除去するための洗浄剤であって、(A)アニオン性
界面活性剤及び非イオン性界面活性剤からなるA成分
と、(B)炭素数9〜18の芳香族炭化水素及び/又は
ナフテン炭化水素からなるB成分を含有し、A成分とB
成分の含有重量の比(A/B)が、0.25〜2.5で
ある。特に、A成分のアニオン性界面活性剤がスルホン
酸塩及び/又は硫酸エステル塩であり、A成分の非イオ
ン性界面活性剤がポリアルキレングリコール及び/又は
脂肪酸アルカノールアミドであることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、石油製品や石油化
学製品を製造する石油精製装置や石油化学製造装置に付
着した固体状有機物の洗浄に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、原油を精製して石油製品を製造
するための石油精製装置は、定期的に内部を開放して検
査、点検を行っている。例えば、常圧残渣油を減圧蒸留
する減圧蒸留装置の塔底部には、原油中の重質残渣分が
堆積しており、これらは装置運転時の加熱により、樹脂
化して強固に装置内部に付着している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような付着物は、
スチームを吹き付けることや、石油系溶剤で洗浄しても
十分に除去することは困難であり、除去のためには多く
のコスト、労力、時間がかかっていた。本発明はこのよ
うな除去しにくい付着物を洗浄するための洗浄剤及びそ
の洗浄方法を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、石油精製
装置や石油化学製造装置の内部に付着した汚れを洗浄す
るための洗浄剤組成物を鋭意検討した結果、アニオン性
及び非イオン性界面活性剤と、芳香族系(又はナフテン
系)炭化水素を特定比率で含有する洗浄剤組成物が、か
かる目的を達成するものであることを見出し、本発明を
完成した。
【0005】即ち、本発明は、石油製品製造装置に堆積
した固体状有機物を除去するための洗浄剤であって、
(A)アニオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤
からなるA成分と、(B)炭素数9〜18の芳香族炭化
水素及び/又はナフテン炭化水素からなるB成分を含有
し、A成分とB成分の含有重量の比(A/B)が、0.
25〜2.5である。特に、A成分のアニオン性界面活
性剤がスルホン酸塩及び/又は硫酸エステル塩であり、
A成分の非イオン性界面活性剤がポリアルキレングリコ
ール及び/又は脂肪酸アルカノールアミドであることが
好ましい。
【0006】本発明の洗浄方法は、固体状有機物が堆積
した石油製品製造装置に、(A)アニオン性界面活性剤
及び非イオン性界面活性剤からなるA成分と、(B)炭
素数9〜18の芳香族炭化水素及び/又はナフテン炭化
水素からなるB成分を含有し、A成分とB成分の含有重
量の比(A/B)が、0.25〜2.5である洗浄剤と
水を導入するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】[界面活性剤] 本発明の洗浄剤
組成物には、界面活性剤としては、アニオン性界面活性
剤と非イオン性界面活性剤の両方を配合する。アニオン
性界面活性剤成分としては、スルホン酸塩、硫酸エステ
ル塩、燐酸エステル塩、カルボン酸塩を用いることがで
きるが、スルホン酸塩、硫酸エステル塩が好ましく用い
られる。炭素数8〜18のアルキルベンゼンスルホン酸
塩、炭素数8〜16のアルカンスルホン酸塩、炭素数8
〜16の硫酸化油、炭素数8〜16のアルキル硫酸塩、
スルホコハク酸ジアルキルエステル塩(ここでアルキル
基の炭素数は6〜9)からなる群より選ばれる少なくと
も1種のアニオン性界面活性剤を用いることができる。
特に炭素数8〜18の直鎖アルキルベンゼンスルホン
酸、硫酸化ひまし油またはこれらの塩が好ましい。な
お、ここでいう塩とは、アルカリ金属塩、アルカリ土類
金属塩、アンモニウム塩又は炭素数1〜5のアルカノー
ルアミン塩及び酸タイプ(塩を形成していない酸自体)
を含むものである。
【0008】非イオン性界面活性剤としては、ポリアル
キレングリコール及び/又は脂肪酸アルカノールアミド
であることが好ましい。ポリアルキレングリコールとし
ては、ポリアルキレングリコールモノエーテルやポリア
ルキレングリコールブロックコポリマーを用いることが
できる。このポリアルキレングリコールモノエーテル
は、 R−O−(R−O)−H (ここで、Rは炭素数12〜18のアルキルフェニル
基又は炭素数6〜16のアルキル基、Rは炭素数2〜
4のアルキレン基、nは4〜16)で表される化合物を
用いることが好ましい。特に、Rは炭素数12〜16
のアルキルフェニル基、Rはエチレン基、nは8〜1
0であるポリアルキレングリコールアルキルフェニルエ
ーテルが好ましい。
【0009】ポリアルキレングリコールモノエーテルの
他に、ポリアルキレングリコールブロックコポリマーを
配合することが好ましい。好ましく用いられる化合物
は、 HO−(CO)−(CO)−(C
O)−H (ここで、p、q、rは15〜25で、平均分子量は1
500〜4000)で表されるポリエチレングリコール
−ポリプロピレングリコールブロックコポリマーであ
る。
【0010】脂肪酸アルカノールアミドは、脂肪酸とア
ルカノールアミンとの縮合により合成され、脂肪酸とし
ては炭素数8〜18の飽和又は不飽和の脂肪酸が、アル
カノールアミンとしてはモノエタノールアミン、ジエタ
ノールアミン、モノイソプロパノールアミンなどの炭素
数2〜6のアルカノールアミンが好ましく用いられる。
特には、炭素数8〜18の飽和又は不飽和の脂肪酸とジ
エタノールアミンからなる脂肪酸アルカノールアミドが
好ましく用いられる。
【0011】[炭化水素] 本発明の洗浄剤組成物に
は、炭素数9〜18の芳香族炭化水素又はナフテン炭化
水素が配合される。これらの炭化水素は、石油精製、石
油化学製造装置等の洗浄の際に揮発性の高い場合には危
険性が高くなるため、沸点範囲が150〜350℃、特
には160〜210℃に含まれることが好ましい。パラ
フィン炭化水素よりもアルキルシクロヘキサン、アルキ
ルテトラリン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン
といったナフテン炭化水素あるいは芳香族炭化水素の方
が洗浄力が高い。このため、パラフィン炭化水素が含ま
れていてもよいが、その含有量が芳香族炭化水素とナフ
テン炭化水素の合計の配合量の50重量%以下、特には
10重量%以下であることが好ましい。
【0012】[配合量] 本発明の洗浄剤中の(A)A
成分を構成するアニオン性界面活性剤と非イオン性界面
活性剤の合計含有量と、(B)B成分を構成する炭素数
9〜18の芳香族炭化水素、ナフテン炭化水素の合計含
有量との重量の比(A/B)は、0.25〜2.5であ
り、好ましくは0.3〜2である。含有量の割合がこの
範囲内では各成分が相分離することなく、水で希釈して
も安定な均一相となる。また、A成分中の(A1)アニ
オン性界面活性剤の含有量と、(A2)非イオン性界面
活性剤の含有量との重量の比(A1/A2)は、0.3
〜1.5、特には0.2〜2.0が好ましい。他の、
水、アルコールなどの溶剤が含まれていてもよい。
【0013】洗浄時には、水で希釈して用い、その際の
希釈された洗浄液中の水含有量は80〜99重量%、特
には、95〜99重量%が好ましい。本発明の実施に当
たっては、本発明の目的とする効果を損なわない範囲
で、種々の物質を配合することができる。そのようなも
のの例としては、香料、可溶化剤、キレート剤、酸化防
止剤、pH調整剤、減粘剤、分散剤等が挙げられる。
【0014】[石油製品製造装置] 本発明の対象とな
る石油製品製造装置としては、原油からナフサ、ガソリ
ン、灯油、軽油などの石油製品を精製するための石油精
製装置や、そのナフサなどの石油化学原料から石油化学
製品を製造する石油化学製造装置が挙げられる。特に重
質成分、例えば沸点が360℃以上の成分を主成分とす
る原料(または中間製品)を処理する製造装置に付着し
た固体状有機物の洗浄に好ましく用いられる。このよう
な固体状有機物のうち、360℃以上に加熱しても流動
化しない汚れの洗浄に本発明は好ましく用いられる。
【0015】[洗浄手順] 石油製品製造装置内部に本
発明の洗浄剤を水と共に導入し、希釈された洗浄液を循
環することで洗浄することが好ましいが、そのまま、静
置してもよい。洗浄剤を調製した後に導入してもよい
が、各成分を個別に導入して、石油製品製造装置内で混
合してもよい。洗浄時に加熱してもよい。加熱は、石油
製品製造装置に付属する熱交換器などにより加熱しても
よいし、スチームなどを装置内に導入してもよい。
【0016】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。
【0017】実施例1〜8、比較例1〜4の洗浄剤を表
1〜表3に示す成分を配合して調製した。表中の数字
は、配合成分をその重量部で示している。洗浄剤の安定
性を、調製後1日放置した後に洗浄剤が均一溶液で安定
となるかで評価した。均一溶液となるものを○、相分離
するものを×として評価結果を表に併せて示す。
【0018】この洗浄剤を水で50倍に稀釈した希釈洗
浄液を洗浄試験に供した。油分汚れとして、炭素鋼配管
(直径5cm、長さ30cm)の内面(面積470cm
)に均一に付着させたアスファルト50gを用いた。
この配管内に80℃の希釈洗浄液20Lを循環ポンプに
より流速5L/分で1時間循環洗浄した。洗浄後、配管
内面にアスファルトがまったく残っていないものを○、
全体の1/10以下面積にアスファルトの残留があるも
のを△、それ以上の残留のあるものを×として評価結果
を表に併せて示す。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
【表3】
【0022】なお、表中の各成分について、*1はポリ
エチレングリコールの繰り返し単位が10であるポリエ
チレングリコールノニルフェニルエーテル; *2はポ
リエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブ
ロックコポリマーであり、平均分子量が2200、全分
子量に占めるポリエチレングリコールが40重量%;*
3は炭素数9の芳香族炭化水素を94重量%含み、沸点
範囲は160−170℃; *4は炭素数10ないし1
2の芳香族炭化水素を97重量%含み、沸点範囲は18
0−210℃; *5は炭素数11ないし12のアルキ
ルデカリンを99重量%含み、沸点範囲は175−19
5℃である。
【0023】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、石油製
品製造装置に堆積した固体状有機物を除去するための洗
浄剤であって、(A)アニオン性界面活性剤及び非イオ
ン性界面活性剤からなるA成分と、(B)炭素数9〜1
8の芳香族炭化水素及び/又はナフテン炭化水素からな
るB成分を含有し、A成分とB成分の含有重量の比(A
/B)が、0.25〜2.5であり、均一に溶解力の強
い炭化水素を水相中に安定に分散することができるた
め、石油製品製造装置に残留する固体状有機物を容易に
洗浄することが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C11D 1/83 C11D 1/83 3/18 3/18 10/02 10/02 (72)発明者 高崎 聖一 埼玉県戸田市新曽南三丁目17番35号 株式 会社ジャパンエナジ−内 (72)発明者 喜平田 行紀 埼玉県戸田市新曽南三丁目17番35号 株式 会社ジャパンエナジ−内 Fターム(参考) 3B201 AA33 AB51 BB01 BB94 4H003 AB19 AB29 AC11 AC13 AC23 DA12 DB01 EB04 ED02 ED04 FA16

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 石油製品製造装置に堆積した固体状有機
    物を除去するための洗浄剤であって、(A)アニオン性
    界面活性剤及び非イオン性界面活性剤からなるA成分
    と、(B)炭素数9〜18の芳香族炭化水素及び/又は
    ナフテン炭化水素からなるB成分を含有し、A成分とB
    成分の含有重量の比(A/B)が、0.25〜2.5で
    ある石油製品製造装置用洗浄剤組成物。
  2. 【請求項2】 A成分のアニオン性界面活性剤がスルホ
    ン酸塩及び/又は硫酸エステル塩であり、A成分の非イ
    オン性界面活性剤がポリアルキレングリコール及び/又
    は脂肪酸アルカノールアミドである請求項1記載の石油
    製品製造装置用洗浄剤組成物。
  3. 【請求項3】 固体状有機物が堆積した石油製品製造装
    置に、(A)アニオン性界面活性剤及び非イオン性界面
    活性剤からなるA成分と、(B)炭素数9〜18の芳香
    族炭化水素及び/又はナフテン炭化水素からなるB成分
    を含有し、A成分とB成分の含有重量の比(A/B)
    が、0.25〜2.5である洗浄剤と水を導入する石油
    製品製造装置の洗浄方法。
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