JP2002097234A - 形状記憶高分子 - Google Patents

形状記憶高分子

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JP2002097234A JP2000279816A JP2000279816A JP2002097234A JP 2002097234 A JP2002097234 A JP 2002097234A JP 2000279816 A JP2000279816 A JP 2000279816A JP 2000279816 A JP2000279816 A JP 2000279816A JP 2002097234 A JP2002097234 A JP 2002097234A
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memory polymer
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molecule
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Koichiro Kawate
恒一郎 川手
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 1次形状への回復の際における賦形温度の依
存性を高めた耐熱性の形状記憶高分子を提供する。 【解決手段】 (A)反応性二重結合を分子内に少なく
とも2つもったソフトセグメントと、(B)反応性二重
結合を分子内に少なくとも1つもったフッ素非含有モノ
マーであって、その単独重合体が25℃以上200℃以
下のガラス転移温度を有するものと、(C)反応性二重
結合を分子内に少なくとも1つもったフッ素含有モノマ
ーであって、その単独重合体が25℃以上200℃以下
のガラス転移温度を有するものと、(D)前記ソフトセ
グメント、前記フッ素非含有モノマー及び前記フッ素含
有モノマーに対する開始剤とを備える形状記憶高分子前
駆体からなる形状記憶高分子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、形状記憶高分子、
その前駆体及びそれからなる物品に関する。
【0002】
【従来の技術】形状記憶高分子又は形状記憶樹脂と呼ば
れる材料は、周知のように、ある温度(賦形温度)で賦
形して1次形状にした後、そのガラス転移温度以下の冷
却でもって成形して2次形状にしても、ガラス転移温度
以上の加熱により元の1次形状に熱的な回復することが
できる機能性材料の1つである。
【0003】形状記憶高分子は一般に熱可塑性で、例え
ば特開昭59−53528号公報、特開昭63−179
955号公報、特開昭61−293514号公報、特開
平2−12319号公報、特開平2−232242号公
報又は特開平2−115247号公報に開示されている
ように、ポリノボルネン、スチレンーブタジエン共重合
体、ポリウレタン、ポリエステル、アクリル樹脂又はポ
リオレフィンのような熱可塑性高分子を含んでいる。
【0004】また、相互侵入網目(Inter-penetrating P
olymer Network: IPN)型の形状記憶高分子も知られ、通
常は、特開平3−68610号公報、特開平3−686
11号公報又は特開平3−223312号公報に開示さ
れているようにスチレン系ポリマーとアクリル系ポリマ
ー、アクリル系ポリマーとスチレン系ポリマー、又は、
含フッ素ポリマーとアクリルポリマーを絡み合わせて耐
熱性の向上を図っている。
【0005】熱可塑性の形状記憶高分子は2次形状に比
較的容易に変形(又は成形)することができる。しかし
ながら、他方で、そのような形状記憶高分子はIPN型で
さえ依然として十分な耐熱性を有しておらず、成形時の
歪に基づく残留応力や成形後の外力の作用によって不可
逆的なクリープを生じ易い。
【0006】それに対し、特開昭62−192440号
公報、特開昭63−69864号公報及び特公平7−7
8130号公報には、トランス-1,4-イソプレン、エポ
キシ樹脂又は反応性ウレタン/アクリル系をベースに形
成された形状記憶高分子が開示されている。このような
形状記憶高分子は網目構造を付与されて耐熱性に優れ、
歪や不可逆なクリープをできる限りなくすようにしてい
る。
【0007】特に、形状記憶高分子が反応性ウレタン/
アクリル系をベースに形成された場合には、線形弾性理
論にしたがって実際に整合していることが報告されてい
る(K. Kawate et al., J. Polymer Science Part B: Po
lymer Physics, Vol.35, 2543(1997) 及び K. Kawate e
t al., J. Polymer Science, Vol.61, 1413(1996))。こ
のような場合には、形状記憶高分子が温度又は時間に応
じた再現性のある熱的回復を定量的に行うことができ、
特開平5−17436号公報に開示されているように熱
履歴計の形で応用されうるようになっている。かくし
て、網目構造を付与された形状記憶高分子は、賦形温度
によらず所定の温度で回復をすることができるといえ
る。
【0008】それに対し、形状記憶高分子が熱可塑性の
場合は、賦形温度に依存して回復をすることが考えられ
る。熱可塑性の形状記憶高分子は応力緩和し難く、その
ガラス転移温度以下の賦形温度で外力を受けて成形され
た後に当該外力を除去しても、その内部に応力を残留さ
せ、その応力が形状記憶高分子の1次形状への回復の速
度を促進するからである。しかし、その速度は、熱可塑
性の形状記憶高分子の不可逆的なクリープにより小さ
い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、1
次形状への回復の際における賦形温度の依存性を高めた
耐熱性の形状記憶高分子、その前駆体及び物品を提供す
ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、(A)反応性
二重結合を分子内に少なくとも2つもったソフトセグメ
ントと、(B)反応性二重結合を分子内に少なくとも1
つもったフッ素非含有モノマーであって、その単独重合
体が25℃以上200℃以下のガラス転移温度を有する
ものと、(C)反応性二重結合を分子内に少なくとも1
つもったフッ素含有モノマーであって、その単独重合体
が25℃以上200℃以下のガラス転移温度を有するも
のと、(D)前記ソフトセグメント、前記フッ素非含有
モノマー及び前記フッ素含有モノマーに対する開始剤
と、を備える形状記憶高分子前駆体からなる形状記憶高
分子を提供する。
【0011】加えて、本発明は、前記の形状記憶高分子
前駆体を提供する。さらに、本発明は、形状記憶高分子
からなる物品を提供する。
【0012】以下、本発明を詳細に説明するが、本発明
はこれに限定されるものではない。
【0013】本発明による形状記憶高分子は、つぎの成
分を基本的に備える形状記憶高分子前駆体(以下、単に
「前駆体」とも言う。)からなる硬化物である。 (A)ソフトセグメント (B)フッ素非含有モノマー (C)フッ素含有モノマー (D)開始剤 必要に応じて、前駆体は、(E)硬化促進剤を含有して
よい。
【0014】(A)ソフトセグメント ソフトセグメント(A)は反応性二重結合(例えば、炭
素−炭素二重結合)を有する基を分子内に少なくとも2
つ有する多官能性の化合物である。反応性二重結合を有
する基は、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基
であってよい。ソフトセグメント(A)は、形状記憶高
分子に網目構造を形成して形状安定性及び耐熱性を付与
するほか、ある温度(賦形温度)で応答して当該形状記
憶高分子の可逆的な硬化と軟化も可能にする。ソフトセ
グメント(A)は、分子末端に反応性二重結合を有して
いることが好ましい。
【0015】上記ソフトセグメント(A)は通常、オリ
ゴマーからなっている。具体的にそのようなオリゴマー
は例えばポリカプリラクトン、ポリエステル、ポリウレ
タンをベースに形成されていることが好ましい。また、
そのようなオリゴマーがそれ自体で単独重合体を形成し
た場合には、一般に−60℃〜30℃のガラス転移温度
を有することが好ましい。ガラス転移温度が30℃より
も高い場合は、最終的に得られる形状記憶高分子が脆く
なる傾向があり、ガラス転移温度が−60℃よりも低い
場合は、形状安定性に劣る傾向があるからである。ソフ
トセグメント(A)の量は、前駆体に対して、5〜70
重量%、特に30〜60重量%であってよい。
【0016】(B)フッ素非含有モノマー及び(C)フ
ッ素含有モノマー フッ素非含有モノマー(B)及びフッ素含有モノマー
(C)はいずれも反応性二重結合(例えば、炭素−炭素
二重結合)を有する基を分子内に少なくとも1つもつ。
反応性二重結合を有する基は、例えば、(メタ)アクリ
ロイル基、ビニル基であってよい。フッ素非含有モノマ
ー(B)及びフッ素含有モノマー(C)のそれぞれは、
その単独重合体がそれぞれ25℃以上150℃以下のガ
ラス転移温度を有することが好ましい。モノマー(B)
および(C)は、前駆体の硬化物に形状記憶性を付与し
ている。
【0017】フッ素非含有モノマー(B)は、(メタ)
アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、アクリルア
ミド、ビニルエステルであってよい。フッ素非含有モノ
マーの例は、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸
メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチ
ル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸ペンチル、
メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、
メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−
ヒドロキシプロピル、メタクリル酸グリシジル、メタク
リル酸テトラヒドロフリル、イソボルニルメタクリレー
ト、ジシクロペンタニルメタクリレート、アクリル酸メ
チル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、アク
リル酸t−ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸シ
クロヘキシル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−ヒ
ドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、
アクリル酸グリシジル、アクリル酸テトラヒドロフリ
ル、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンタニルア
クリレートである。
【0018】フッ素含有モノマー(C)は、含フッ素
(メタ)アクリル酸エステル、含フッ素ビニルエステル
であってよい。フッ素含有モノマーの例は、メチル(メ
タ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロ
ピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレー
ト、ペンチル(メタ)アクリレートの脂肪族鎖の水素を
1つ以上のフッ素原子で置き換えたものが挙げられる。
フッ素非含有モノマー(B)およびフッ素含有モノマー
(C)の量は、それぞれ、前駆体に対して、5〜70重
量%、特に20〜60重量%であってよい。
【0019】また、上述したフッ素非含有モノマー
(B)及びフッ素含有モノマー(C)はソフトセグメン
トと共に適当に(好適には、前駆体に対してそれぞれ2
0〜40重量%)配合された場合、後述する開始剤や硬
化促進剤の存在下、互いに大きく異なる熱力学的性質を
もった(i)フッ素を比較的多く含むポリマー(以下、
「高フッ素ポリマー」という。)と(ii)フッ素を比較的
少なく含むポリマー(以下、「低フッ素ポリマー」とい
う。)とをラジカル重合によって生成することができ
る。その結果、これら高フッ素ポリマー及び低フッ素ポ
リマーが相分離し、本発明の形状記憶高分子には相異な
る2相の網目構造を付与することができる。
【0020】(D)開始剤および(E)硬化促進剤 開始剤(D)は一般にラジカル開始剤である。開始剤
(D)は、ソフトセグメント、フッ素非含有モノマー及
びフッ素含有モノマーの連鎖重合を開始する。好ましい
開始剤(D)は、光により容易に分解することができる
ラジカル開始剤である。なぜならば、比較的短い時間で
重合を完結させることができるからである。このような
ラジカル開始剤の例は、2,4−ジエチルチオキサント
ン、ベンゾフェノン系、2−エチルアントラキノン、チ
オキサントン系などである。ラジカル開始剤は、例え
ば、チバガイギーからダロキュアーの商品名で市販され
ている。
【0021】開始剤(D)は、含有量が特に限定されな
いが、前駆体に対して0.01〜2重量%の量で含まれ
ていることが好ましい。ラジカル開始剤が前駆体に対し
て0.01重量%より少なく含まれている場合は、重合
速度が極めて遅くなる傾向がある。逆に、ラジカル開始
剤が前駆体に対して2重量%より少なく含まれている場
合は、重合後の樹脂特性が低下する可能性がある。
【0022】必要に応じて、硬化促進剤(E)、例えば
多官能性チオール、ジメチルアミノ安息香酸エステルが
前駆体にさらに添加されてもよい。硬化促進剤は添加量
を特に限定しないが、好適には前駆体に対して0.01
重量%〜5重量%で添加される。硬化促進剤が0.01
重量%より少なく含まれている場合は、無添加との差が
明確でなくあまり硬化がない傾向がある。逆に、硬化促
進剤が5重量%より多く含まれている場合は、重合後の
樹脂特性が低下する可能性がある。
【0023】さらに、本発明者は、上記の形状記憶高分
子(以下、「多相形状記憶高分子」とも言う。)が、賦
形温度という熱履歴に対し1次形状への熱的な回復を著
しく依存させることができる多重形状記憶性を見出し
た。詳細に述べると、本発明の多相形状記憶高分子は、
室温近傍の賦形温度では1次形状への熱的な回復を容易
に行うことができるが、賦形温度の上昇に応じて1次形
状への熱的な回復を大きく遅延させることができること
が分かった。
【0024】かくして、多相形状記憶高分子はつぎのよ
うにして使用することができる。まず、この多相形状記
憶高分子を重合により形成するときの形状を1次形状と
して永久に記憶させる。この1次形状は、後述するよう
に260℃に加熱されても変化しない。つぎに、1次形状
の多相形状記憶高分子を100℃以上200℃以下の比較
的高温で2次形状に賦形する。この2次形状は室温程度
ではきわめて安定である。すなわち、2次形状の多相形
状記憶高分子はたとえ外力を受けても、大きな変形を伴
わなければ、少なくとも1つの相のTgが室温よりも高
く室温においてきわめて変形しにくから、自発的に復元
する。
【0025】あるいは、この多相形状記憶高分子で造花
を作製するとき、内側の花弁ほど高温で折りたたんで成
形すると、一定温度で全ての花弁が一斉に開く典型的な
形状記憶高分子で作製した造花と異なり、その花弁が外
側から徐々に開くようになる。
【0026】また、本発明の多相形状記憶高分子は1次
形状に回復するとき、ゴム状態になる通常の形状記憶高
分子よりも比較的高い弾性率(例えば、107〜109P
a)を有して、外力の影響を受け難くなっている。かか
る場合、本発明の多相形状記憶高分子は、例えば眼鏡の
フレーム、医療用ギブス、ブラジャーのワイヤ又は靴等
の物品を有利に提供できる。なぜなら、使用により歪を
受けたそのような物品を、温水や熱風による加熱によっ
てその歪から容易に回復する作業において弾性率の大幅
な低下がないので、外力の作用による不完全な変形が起
こりにくいからである。
【0027】
【実施例】以下、本発明を実施例にしたがって説明する
が、本発明はこれに限定されないことは言うまでもな
い。
【0028】実施例1〜3および比較例1〜2 まず、オリゴマーのソフトセグメントをつぎのように合
成した。すなわち、乾燥されたメチルエチルケトン(ME
K)の溶媒280gに、281.1gのポリカプロラクトン(ダイセ
ル化学工業(株)製、プラクセル210)を溶かして溶
液を調製した。つぎに、この溶液を40℃に温めながら、
132.3gのイソホロンジイソシアネートをそれに添加し、
それから、0.0827gのジブチル錫ジラウレートをそこに
滴下した。この状態で、その溶液を3時間保持した後、
引き続いて、8.22gのヒドロキシエチルアクリレートを
そこに添加した。その後、溶液はさらに加温して60℃に
しながら1時間保持した後、ロータリ・エバポレータで
もって上記溶媒を除去して、反応性二重結合を分子内に
2つもったソフトセグメント(すなわち、オリゴマー)
を得た。
【0029】つぎに、このオリゴマーを、表1の組成に
示されるように1種又は2種のアクリル系モノマーと配
合して組成物にした。それから、各組成物に、1重量部
の光ラジカル開始剤(チバスペシャリティーケミカル
(株)製、DAROCURE1173)と1.5重量部のペンタエリス
リトール・テトラチオグリコレートからなる硬化促進剤
(大阪有機化学工業(株)製、KOS-4)とを添加して形
状記憶高分子前駆体を調製した。それから、低圧水銀灯
を用いてこの前駆体に100〜800nmの波長をもっ
た紫外線を照射して形状記憶高分子を作製した。
【0030】
【表1】表1 組成
【0031】MMA:メチルメタクリレート TFEMA:テトラフルオロエチルメタクリレート tBA:t−ブチルアクリレート ビスコート8FM:オクタフルオロペンチルメタクリレ
ート (大阪有機化学工業株式会社製)
【0032】つぎに、各形状記憶高分子について、モル
フォロジーの観察及び形状回復率(形状記憶高分子が2
次形状から1次形状(平板状)に戻る割合)の測定を行
った。特に、実施例1の形状記憶高分子については、弾
性率の測定をさらに行った。モルフォロジーの観察は光
学顕微鏡(オリンパス光学工業(株)製、BH−2)を
使用して行った。その際、倍率は640倍に調整した。表
2に、各形状記憶高分子の観察結果を示す。
【0033】
【表2】表2 モルフォロジー 表2は、本発明の形状記憶高分子が2相構造になってい
ることを示している。
【0034】(形状回復率の変形温度依存性)形状回復
率の測定はつぎのように行った。まず、上述した形状記
憶高分子から1mmの厚さもった板状(1次形状)の試料
を作製した。それから、上記試料は、所定の賦形温度
(125℃、85℃又は50℃)でもって直角に折り曲げ2次
形状に成形した後、20℃に急冷した。つぎに、その試料
を50℃の温水に5分間浸した後その温水から取り出して
その曲げ角度を測定し、次の式によって形状回復率を求
めた。
【0035】形状回復率=(Θrs) x 100 [%] Θs: 2次形状になった試料の曲げ角度(すなわち90
°) Θr: 2次形状から回復した試料の曲げ角度 2次形状から回復した試料の曲げ角度は、40℃の温水に
5分間浸した場合にも測定して形状回復率を求めた。表
3及び表4に、50℃及び40℃の温水を使用したときの形
状回復率をそれぞれ示す。
【0036】
【表3】表3 50℃/5分での形状回復率
【0037】
【表4】表4 40℃/5分での形状回復率 表3及び表4は、形状回復率が変形温度に依存している
ことを示している。本発明の形状記憶高分子が低温で受
けた変形ほど容易に回復しやすいことがわかる。
【0038】(弾性率の温度依存性)実施例1の形状記
憶高分子について弾性率を測定した。詳細に述べると、
まず、前述した形状記憶高分子を、1.9mmの厚さと12.2m
mの幅と50mmの長さをもった測定試料に加工した。
つぎに、測定試料は5℃/分の昇温速度でもって‐80℃
〜125℃の温度に加熱しながら、動的粘弾性測定装置
(レオメトリックス社製、RDA II)を用いて、1Hzにお
ける捩り弾性率(剛性率)を測定した。表5には、‐80
℃〜125℃の温度における捩り弾性率の実部(貯蔵弾性
率:G')、虚部(損失弾性率:G")及びtanδ(=G'/G")を示
す。また、表6には、典型的な形状記憶高分子が1次形
状に回復する温度近傍における捩り弾性率を示す。
【0039】
【表5】表5 実施例1の硬化物の貯蔵弾性率G'と
損失弾性率G" 50℃における剛性率の値は、室温におけるポリエチレ
ンの剛性率(2.6E8 Pa)とほぼ同じであり、形状回復時の
弾性率が通常の形状記憶高分子に比べて高い。
【0040】
【表6】表6 形状記憶高分子の形状回復時の弾性率 表5及び表6から、本発明の形状記憶高分子が従来の典
型的な形状記憶高分子よりも高温での弾性率が高いこと
がわかる。
【0041】(2次形状の室温における安定性)実施例
1の硬化物を125℃のオーブン中で折り曲げて、折り
曲げ角度を90度に設定し、室温に戻して変形を固定し
た。この試料の折り曲げ部分に0.02N/m のトルクを
30分間作用させ、曲げ角度を120度まで開いた。こ
の試料を室温に20時間放置したところ、角度は92度
にまで戻った(回復率98%)。
【0042】(1次形状の耐熱性評価)上記のサンプル
を260℃の半田浴の中に1分間漬けたところ、まっす
ぐな状態に戻ったが、熱劣化は観察されなかった。
【0043】(誘電特性)実施例1と比較例1のサンプ
ルの誘電率と損失を横川−ヒューレットパッカード社製
のインピーダンスアナライザー4192Aを用いて評価
した。
【0044】
【表7】表7 実施例1の試料の誘電的性質
【0045】
【表8】表8 比較例1の試料の誘電的性質
【0046】
【発明の効果】本発明の形状記憶高分子はフッ素系材料
であり、低い誘電率を有し且つ耐薬品性に優れており、
電子材料にも有利に適用可能である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)反応性二重結合を分子内に少なく
    とも2つもったソフトセグメントと、 (B)反応性二重結合を分子内に少なくとも1つもった
    フッ素非含有モノマーであって、その単独重合体が25
    ℃以上200℃以下のガラス転移温度を有するものと、 (C)反応性二重結合を分子内に少なくとも1つもった
    フッ素含有モノマーであって、その単独重合体が25℃
    以上200℃以下のガラス転移温度を有するものと、 (D)前記ソフトセグメント、前記フッ素非含有モノマ
    ー及び前記フッ素含有モノマーに対する開始剤と、を備
    える形状記憶高分子前駆体からなる形状記憶高分子。
  2. 【請求項2】 (A)反応性二重結合を分子内に少なく
    とも2つもったソフトセグメントと、 (B)反応性二重結合を分子内に少なくとも1つもった
    フッ素非含有モノマーであって、その単独重合体が25
    ℃以上200℃以下のガラス転移温度を有するものと、 (C)反応性二重結合を分子内に少なくとも1つもった
    フッ素含有モノマーであって、その単独重合体が25℃
    以上200℃以下のガラス転移温度を有するものと、 (D)前記ソフトセグメント、前記フッ素非含有モノマ
    ー及び前記フッ素含有モノマーに対する開始剤と、を備
    える形状記憶高分子前駆体。
  3. 【請求項3】 形状記憶高分子からなる物品であって、 前記形状記憶高分子が、 (A)反応性二重結合を分子内に少なくとも2つもった
    ソフトセグメントと、 (B)反応性二重結合を分子内に少なくとも1つもった
    フッ素非含有モノマーであって、その単独重合体が25
    ℃以上200℃以下のガラス転移温度を有するものと、 (C)反応性二重結合を分子内に少なくとも1つもった
    フッ素含有モノマーであって、その単独重合体が25℃
    以上200℃以下のガラス転移温度を有するものと、 (D)前記ソフトセグメント、前記フッ素非含有モノマ
    ー及び前記フッ素含有モノマーに対する開始剤と、を備
    える形状記憶高分子前駆体からなることを特徴とする物
    品。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005056642A1 (ja) * 2003-12-12 2005-06-23 Nec Corporation 再成形可能かつ形状回復能に優れた形状記憶性樹脂および該樹脂の架橋物からなる成形体

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