JP2002094223A - 実装構造体と電子部品およびその製造方法 - Google Patents

実装構造体と電子部品およびその製造方法

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JP2002094223A
JP2002094223A JP2000284228A JP2000284228A JP2002094223A JP 2002094223 A JP2002094223 A JP 2002094223A JP 2000284228 A JP2000284228 A JP 2000284228A JP 2000284228 A JP2000284228 A JP 2000284228A JP 2002094223 A JP2002094223 A JP 2002094223A
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metal oxide
metal
electronic component
mounting structure
electrode
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JP2000284228A
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Hiroteru Takezawa
弘輝 竹沢
Takashi Kitae
孝史 北江
Yukihiro Ishimaru
幸宏 石丸
Tsutomu Mitani
力 三谷
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】電極表面に、均一な導電性金属酸化物層を設け
ることにより、耐湿信頼性およびヒートサイクル信頼性
が向上した導電性接着剤による実装構造体と電子部品お
よびその製造方法を提供する。 【解決手段】電子部品1と回路基板5とを導電性接着剤
10を用いて電気的に接続した実装構造体であって、電
子部品1または回路基板5の端子電極3,7と、導電性
接着剤10との接着界面に、当該端子電極を構成する金
属のうち少なくとも1種の金属酸化物層4,8を形成す
る。金属酸化物は、SnO2の不動態であることが好まし
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子部品の実装の
分野において、電子部品と回路基板の接合に用いる導電
性接着剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、環境調和に対する意識の高まりか
ら、エレクトロニクス実装の分野でははんだ合金中の鉛
に対する規制が行われようとしており、鉛フリー実装技
術、すなわち、鉛を使わない材料で、電子部品を接合す
る技術の確立が急務となっている。
【0003】鉛フリー実装技術としては、主として鉛フ
リーはんだ、ならびに導電性接着剤を用いた実装が挙げ
られるが、接合部の柔軟性や実装温度の低温化等のメリ
ットが期待される導電性接着剤に、より注目が集まり始
めている。
【0004】導電性接着剤は、一般的に、樹脂系接着成
分中に導電性粒子を分散させたものである。部品の実装
は、基板の電極に導電性接着剤を塗布し、部品を搭載し
た後、樹脂を硬化させることにより行われる。この工程
により、接合部が樹脂で接着されるとともに、樹脂の収
縮に伴い導電性粒子同士が接触して、接続部の導通が発
現する。
【0005】導電性接着剤に用いられる樹脂の硬化温度
は150℃程度であり、240℃程度の溶融温度が必要
なはんだと比較して極めて低い。そのため、耐熱性の低
い安価な部品も使用することができ、製造コストの削減
が可能である。
【0006】また、接合部が樹脂で接着されるため、熱
や外力による変形に対して柔軟に対応して、接合部が合
金であるはんだと比較して、接合部に亀裂が発生しにく
いというメリットを有している。
【0007】以上の理由から、導電性接着剤は、はんだ
の代替材料として期待されている。
【0008】
【発明が解決しようとする問題】導電性接着剤は、汎用
の電子部品や回路基板を用いた場合の実装信頼性が良く
ないため、はんだ代替材料としては実用化が困難であっ
た。
【0009】一般的に、電子部品や回路基板の端子電極
としては、SnPb(はんだ)、Sn、Cu、Ni等の卑金属が用
いられている。しかし、これらの電子部品や回路基板を
導電性接着剤を用いて実装した実装構造体は、高温多湿
雰囲気に暴露したり、熱ストレスを繰り返し与えたりす
ると、接続抵抗が顕著に増大する。
【0010】第1の原因として、高温耐湿雰囲気下で接
続界面に水分が浸入して卑金属電極が腐食することが考
えられる。さらに、接続界面では、導電性接着剤に用い
られる銀粒子と、卑金属電極が接触しており、その間に
電解質である水分が介在して一種の電池が形成されてい
る。そのため、より電位の低い金属である卑金属電極が
腐食する、いわゆるガルバニック腐食が発生する。さら
に、導電性接着剤のバインダ樹脂に一般的に用いられる
エポキシ樹脂は、ナトリウムイオンや塩素イオン等の不
純物を含んでいる。これらの不純物イオンが電解質の水
中に溶け込むと、電解能力が高くなりガルバニック腐食
を促進する。すなわち、高温耐湿雰囲気下での接続抵抗
上昇は、卑金属電極の腐食によるものである。
【0011】第2の原因として、卑金属は反応性に富む
ものが多く、導電性接着剤に用いられる樹脂と化学反応
を起こして、接続界面に反応生成物の層を形成する。こ
の反応生成物層は脆い性質を有するため、熱ストレスを
繰り返し与えると亀裂が発生して、接続が破壊される。
すなわち、熱ストレスを繰り返し与えた場合の接続抵抗
上昇は、卑金属電極の高活性によるものである。
【0012】以上のように、導電性接着剤では、汎用の
電極を用いると、実装信頼性が低いために、Au、Pd、Ag
等の高価な貴金属電極を使用する必要があり、製造コス
トの観点から実用化の妨げとなっていた。また、その主
な原因は、汎用の電極は卑金属であることが多く、貴金
属と比較して非常に活性であるため、化学反応が起こり
やすいことが挙げられる。
【0013】本発明は、このような課題に鑑み、汎用の
電極を用いた場合でも、高い実装信頼性を維持できる、
低コストの電極処理方法、および実装構造体と電子部品
を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の実装構造体は、電子部品と回路基板とを導
電性接着剤を用いて電気的に接続した実装構造体であっ
て、前記電子部品または回路基板の端子電極と、前記導
電性接着剤との接着界面に、当該端子電極を構成する金
属のうち少なくとも1種の金属酸化物層が存在すること
を特徴とする。
【0015】次に本発明の電子部品は、端子電極表面
に、当該端子電極を構成する金属のうち少なくとも1種
を酸化させてなる金属酸化物の膜が形成されていること
を特徴とする。
【0016】次に本発明の電子部品の製造方法は、端子
電極表面の有機物を除去し清浄な金属面を露出させた
後、電極表面を酸化させ不動態膜を形成する電子部品の
製造方法。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の実装構造体は、従来の実
装構造体と比較して、実装信頼性が向上する。その理由
は、第1に、電子部品または回路基板の端子電極を構成
する金属表面上には、金属酸化物が存在することによ
り、電極表面が酸素原子に富む状態になる。電極と、導
電性接着剤のバインダ樹脂とが酸素原子を介して強力な
水素結合を形成する。その結果、導電性接着剤との接着
強度が向上し、接着界面への水分の浸入が抑制されるた
め、耐湿信頼性が向上する。第2に、電極表面において
電極金属が原子単体で存在しないので、導電性接着剤の
バインダ樹脂中の不純物イオンであるハロゲンイオン等
が、電極金属と直接反応することができず、接着界面に
脆いハロゲン化錫の化合物が形成されない。また、金属
酸化物が電極金属表面に層状に存在するため、接着界面
各部において均一な接着強度が得られる。その結果、熱
ストレスを繰り返し加えても接着強度の劣化が発生せ
ず、従来の実装構造体よりもヒートサイクル信頼性が向
上する。
【0018】なお、本発明において、金属酸化物層を構
成する金属は、電極金属と同じ金属であるため、本発明
の金属酸化物層は、電極金属表面を酸化することにより
容易に形成できる。そのため、貴金属をメッキする場合
よりもはるかに低コストでの電極表面処理が実現し、製
造コストの大幅な削減に寄与できる。
【0019】本発明の好ましい実施態様によれば、卑金
属表面の腐食や反応を抑制し、実装信頼性を向上させた
電極および実装構造体を実現できる。すなわち、本発明
の実装構造体は、汎用の卑金属端子電極を有する電子部
品または回路基板を導電性接着剤を用いて実装した構成
を有し、端子電極表面に均一に金属酸化物層を形成す
る。
【0020】形成された金属酸化物の電気伝導率は1×1
0-10S・cm-1(ただし、Sは1/Ωである。)以上であ
ることが好ましい。この例によれば、金属酸化物層自体
が良好な導電性を保持し、導電性接着剤と電極との接続
抵抗に悪影響を及ぼすことがないため、さらに優れた実
装信頼性が得られる。なお、この条件を満足する金属酸
化物の形成は、金属種類の選定、金属の酸化プロセスの
詳細制御により実現できる。
【0021】また、形成された金属酸化物の自然電位が
Agよりも高いことが好ましい。この例によれば、さらに
耐湿信頼性が向上する。その理由は、電極と導電性接着
剤との接着界面には、以下の構成の腐食電池が構成され
る。「導電性接着剤の導電性フィラー//電解質(水)
//電極金属表面の化合物」この電池において、導電性
接着剤の導電性フィラーと電極金属表面の化合物を比較
して、自然電位は低い方の金属が腐食される。導電性フ
ィラーとしては一般的にAgが用いられている。本発明で
は、電極金属表面の化合物の自然電位がAgよりも高いた
め、電極金属が腐食されることはなく、良好な耐湿信頼
性が得られる。なお、Agは貴金属であるため、腐食によ
る酸化物や水酸化物の生成はほとんど無く、接続抵抗へ
の悪影響が無い。
【0022】また、形成された金属酸化物はpH2〜12
の水溶液に対して安定である。この例によれば、さらに
耐湿信頼性が向上する。その理由は、電解質、すなわ
ち、不純物イオンが溶けこんだ水のpHは、一般的に2〜
12であると考えられる。この電解質に対して金属表面
の金属酸化物層が侵された場合、金属酸化物は水酸化
物、炭酸塩等に変化して層の均一性が損なわれ、耐湿信
頼性が低下すると考えられる。そこで、この例の実装構
造体は、金属酸化物をpH2〜12の水溶液に対して安定
であるため、耐湿信頼性が優れる。
【0023】また、端子電極表面において、電極の金属
原子と酸素との化学結合の割合が、電極の金属原子とハ
ロゲン原子との化学結合の割合よりも多いことが好まし
い。この例によれば、さらにヒートサイクル信頼性が向
上する。その理由は、電極金属と、例えば導電性接着剤
のバインダ樹脂中に存在する塩素イオンが結合した場
合、MClnという金属化合物層が形成される。実施の形態
で述べたように、この化合物層は非常に脆い性質を有す
るため、ヒートサイクル等の熱ストレスを繰り返し加え
ると、脆性破壊を起こして接続信頼性が低下する。ま
た、MClnは非常に加水分解されやすく、容易にHClを放
出し、電極金属の腐食に寄与するため、耐湿信頼性も低
下する。金属原子とハロゲン原子との化学結合は、この
脆い金属化合物層の存在を示しており、また金属原子と
酸素原子との化学結合は、金属酸化物層、またはこの金
属酸化物層と導電性接着剤のバインダ樹脂との化学結合
を示している。したがって、この例では、脆い金属化合
物層の存在量を、金属酸化物層や金属酸化物層とバイン
ダ樹脂との結合層よりも少なく規定しているため、さら
にヒートサイクル信頼性が優れる。
【0024】なお、本発明の実装構造体においては、金
属酸化物を構成する金属がSnであることが好ましい。現
在、汎用部品の電極としては、はんだ、すなわちSnPb合
金メッキが最も多く用いられている。また、鉛フリーハ
ンダ用の電極として、最近、Sn、SnAg、SnBiといった鉛
フリー合金も用いられ始めている。したがって、汎用電
極金属としては、Snを主成分とする金属が主流を占めて
いる。Snは、水分に対する反応性が高く腐食しやすいだ
けでなく、導電性接着剤のバインダ樹脂と反応して脆い
化合物を形成しやすいため、Snを含む電極を用いた実装
構造体は、耐湿信頼性やヒートサイクル信頼性が低い。
本発明の実装構造体において、Snを主成分とする電極金
属を用いた場合、金属表面には、例えばSnO2という組成
の金属酸化物層が形成される。SnO2は、均一の膜厚で形
成した場合、不動態となり、電極内部を酸化や腐食から
保護する役割を果たし、耐湿信頼性の改善に寄与する。
さらにSnO2は、n型半導体の性質を有し、20℃で、2.5
×10-9Scmの電気伝導率を有するため、接続抵抗へ悪影
響を及ぼさない。前記SnO2不動態層の好ましい膜厚は、
10〜500nmの範囲、さらに好ましくは10〜10
0nmの範囲である。
【0025】このように金属酸化物を形成する金属とし
てSnを用いた場合、現状の汎用電極に対して本発明を最
も適応しやすいだけでなく、実装信頼性の改善効果が優
れるために、本発明として最も好ましい。
【0026】次に、本発明の電子部品または回路基板
は、汎用の卑金属端子電極を有し、端子電極表面に均一
に金属酸化物層を形成する。形成された金属酸化物の電
気伝導率は1×10-10S・cm-1以上であることが好まし
い。また、形成された金属酸化物の自然電位はAgよりも
高いことが好ましい。また、形成された金属酸化物は、
pH2〜12の水溶液に対して安定であることが好まし
い。
【0027】本発明の電子部品または回路基板の好まし
い例の内容は、前記の実装構造体において示した例と同
一であり、その作用機能も同一である。
【0028】次に本発明の電子部品の製造方法は、端子
電極表面の有機物を除去し清浄な金属面を露出させた
後、電極表面を酸化させることを特徴とする。この方法
により、本発明に記載の金属酸化物を、信頼性良くかつ
容易に製造できる。その理由は、電極表面には、水酸化
物、炭酸塩、吸着水分等の有機物が存在しており、その
ままでは、腐食促進、接着性の阻害など、実装信頼性に
悪影響を及ぼしやすい。また、これらの有機物が存在し
ていると、電極表面に均一な金属酸化物を形成できな
い。本発明では、まず、これらの有機物を除去して清浄
な金属面を露出させた後、金属表面を酸化させることに
より金属酸化物を形成するため、均一な金属酸化膜層が
得られやすい。
【0029】以上のように、本発明の実装構造体は、従
来の実装構造体と比較して実装信頼性が優れる。
【0030】なお、本発明では、以下の材料を用いるこ
とができる。
【0031】電子部品または回路基板の電極金属として
は、通常使用される電極金属を全て用いることができ
る。本発明により、表面に金属酸化物層を形成できる金
属としては、請求項6で挙げたSnPb、Sn、SnAg、SnBiな
どのSnを主成分とする金属に加えて、Cu、Ni、Ti、V、W
等の卑金属を用いることができる。また、本発明による
金属酸化物層を形成することはできないが、金属酸化物
を形成しなくても実装信頼性が優れるAu、Ag、AgPd、Pd
等の貴金属電極も用いることができるのはいうまでもな
い。
【0032】導電性接着剤の構成材料としては、以下の
材料を使用することができる。
【0033】導電性粒子としては、Agの他、Au、Agで被
覆されたCu、Cu-Ag合金、Cu、Ni、Ag-Pd合金などを用い
ても良い。ただし、体積固有抵抗値や材料コストを考慮
するとAgが好ましい。
【0034】バインダ樹脂としては、容易に入手できる
ほぼすべての樹脂を使用することができる。例えば、熱
硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、
ユリア樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、不飽和樹脂ポ
リエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコン樹
脂等を用いることができる。また、熱可塑性樹脂として
は、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレ
ン、アイオノマー、メチルペンテン樹脂、ポリアロマ
ー、フッ素樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミド
イミド、ポリカーボネート等を用いることができる。
【0035】また、硬化剤としては、一般的に用いられ
ているほぼすべての硬化剤を用いることができる。例え
ば、エチレンジアミン、ピリジン、シュウ酸等を用いる
ことができる。
【0036】なお、導電性粒子、バインダ樹脂、硬化剤
の他にも、一般的に用いられる添加剤(密着性向上剤、
変色防止剤、ダレ防止剤等)を用いることができる。
【0037】次に、本発明の実施の形態について、図面
を示しながら説明する。
【0038】(実施の形態1)本実施の形態は、電子部
品についての例である。電子部品1は、図1に示すよう
に、セラミック製の3216サイズの0Ωチップ抵抗2
上に、端子電極3を有している。なお、この端子電極3
の表面には、この電極金属を酸化させることにより形成
した平均膜厚30nmの金属酸化物層4が存在する。こ
の金属酸化物層4の形成方法について次に説明する。
【0039】まず、端子電極表面の有機物を除去し、清
浄な金属面を露出させた。すなわち、端子電極を50重量
%のHCl水溶液に30sec間浸漬した後、純水の流水に1分
間浸漬した。さらにエタノールに10秒間浸漬して水分を
アルコール置換して、ドライヤーを30秒間当ててアルコ
ール分を完全に蒸発させた。
【0040】次に、電極金属をオーブン中で150℃で120
分間加熱することにより、電極金属表面に金属酸化物層
を形成させた。
【0041】なお、実施例6においては、有機物の除去
および金属酸化物層の形成を行わなかった。
【0042】(実施の形態2)本実施の形態は、回路基
板についての例である。回路基板5は、図2に示すよう
に、ガラスエポキシ基材6上にSn電極7を形成させた構
成を有する。電極7上には、電極7を酸化させて形成さ
せた平均膜厚30nmの金属酸化物(SnO2)の層8が存在
する。
【0043】処理方法は、実施の形態1と同様にした。
【0044】(実施の形態3)本実施の形態は、実装構
造体についての例である。実装構造体9は、図3に示す
ように、上述の本発明の電子部品1を、本発明の回路基
板5上に、導電性接着剤10を用いて実装した構成を有
する。導電性接着剤10としては、市販の導電性接着剤
(ニホンハンダ製NH−010)を用いた。この導電性接
着剤は、導電性フィラーとしてAg粒子を91wt%含み、バ
インダ樹脂としてエポキシ樹脂を用いた構成を有する。
【0045】処理方法は、実施の形態1と同様にした。
【0046】(実施の形態4)本実施の形態では、実施
の形態3で説明した実装構造体の信頼性評価および解析
を行った。 (1)耐湿信頼性評価方法;実装構造体を、温度85℃、
相対湿度85%の雰囲気に制御した恒温恒湿槽に放置し
て、接続抵抗、すなわち端子電極間の抵抗を測定した。
試験時間は1000hとした。 (2)ヒートサイクル試験方法;実装構造体を、ヒート
サイクル試験槽に放置して、接続抵抗、すなわち端子電
極間の抵抗を測定した。試験条件は、-40℃〜85℃、各3
0分保持を1サイクルとして、1000cycまで測定した。 (3)電極表面解析方法;耐湿信頼性試験後の実装構造
体の電子部品を外して、端子電極表面を赤外分光装置
(FT-IR)を用いて反射法により分析した。そして、低
波数領域(約400〜700cm-1)に存在する、M(金属)−O
(酸素)結合に起因する吸収ピーク強度、およびM(金
属)−X(ハロゲン)結合に起因する吸収ピーク強度を
測定し、それらの強度比RI(=M-O/M-X)を計算により
求めた。
【0047】以下に、本発明の各実施例および比較例に
ついて説明する。各実施例は、実施の形態3の実装構造
体において、主に、電子部品1の端子電極3、回路基板
5の電極7、ならびに端子電極3上に形成する金属酸化
物4、回路基板の電極7上に形成する金属酸化物8の構
成材料を変更したものである。
【0048】表1に、各実施例に用いた構成材料名およ
びその物性値等についてまとめて示す。
【0049】また、評価測定結果を表2に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】表2の結果を考察すると、以下のことが確
認できた。
【0053】まず、実施例1〜実施例6は、比較例、す
なわち従来の実装構造体よりも耐湿試験およびヒートサ
イクル試験での接続抵抗変化率が低い。したがって、電
極表面に金属酸化物を形成させた本発明の実装構造体
は、金属酸化物を形成させない従来の実装構造体と比較
して、耐湿信頼性およびヒートサイクル信頼性が大きく
改善されることが確認できた。
【0054】次に、各実施例を比較すると以下のことが
確認できた。
【0055】初期抵抗(耐湿試験やヒートサイクル試
験)を比較すると、実施例3が最も低い初期抵抗を示
す。これは、実施例3では、電極表面に金属導体のTiO
を形成しているためである。なお、実施例1は実施例3
と同じ電極金属を用いているが、表面に形成する酸化物
の組成が不導体のTiO2である。このように、電極金属の
種類によっては、酸化物の組成により電気伝導性に大き
く影響を及ぼすことが分かる。ただし、実施例1のよう
に不導体の金属酸化物を形成しても接続抵抗は10mΩ程
度高くなるだけである。これは、金属酸化物層の膜厚が
極めて薄い(10nm程度)ことと、導電性接着剤の導電性
フィラーの中には、金属酸化物層を突き破って電極金属
に接触するものがあるためと考えられる。
【0056】次に、実施例3,4と実施例1,2,5、
6を比較すると、実施例3,4の方が耐湿試験での抵抗
変化率が低く、耐湿信頼性が優れる。これは、実施例
3、4で用いたTiN電極、Al電極は、導電性接着剤の導
電性粒子Agよりも自然電極電位が高く、電極のガルバニ
ック腐食が発生しないためである。なお、Agの自然電極
電位は0.79Vである。
【0057】また、実施例4が実施例3よりもさらに耐
湿信頼性が優れる。これ、金属酸化物のpH2〜12の水
溶液に対する安定性が、実施例4のAl2O3の方が実施例
3のTiO2よりも優れているためである。
【0058】さらに、実施例2と実施例5を比較する
と、電極金属、金属酸化物の組成は同じであるが、実施
例2の方が耐湿信頼性およびヒートサイクル信頼性が優
れる。これは、実施例2では、M-OのM-Clに対するIR強
度比が1より高く、脆くかつ腐食しやすい金属化合物で
あるM-Clの存在率が低いためである。
【0059】最後に、実施例5と実施例6を比較する
と、電極金属、金属酸化物の組成は同じであるが、実施
例5の方が耐湿信頼性およびヒートサイクル信頼性が優
れる。これは、実施例6では、金属酸化物形成時に金属
表面上の有機物の除去を行っておらず、金属水酸化物、
炭酸塩等の腐食性化合物が残存し、均一な金属酸化物層
が得られなかったためである。
【0060】以上の結果から、本発明の実装構造体は、
従来の実装構造体と比較して耐湿信頼性が大きく向上す
ることが分かった。
【0061】なお、本実施例において、電極金属表面に
金属酸化物層を形成する方法として、加熱による方法の
みを示したが、陽極酸化、クロム酸酸化等他の酸化手段
を用いても良いことは明白である。
【0062】また、電子部品と回路基板の電極として同
じ金属を用いたが、それぞれの電極が本発明の条件を満
足していれば良いので、異なる金属を用いても良い。当
然のことながら、従来から実装信頼性に問題が無かった
Au、Ag等の貴金属電極を用いても良いことは明白であ
る。
【0063】さらに、本発明の実施例、比較例において
は、部品の実装構造体の例として、チップ部品の実装構
造体のみを示したが、他の部品、例えばQFP(クワッ
ド・フラット・パッケージ)、CSP(チップ・スケー
ル・パッケージ)、BGA(ボール・グリッド・アレ
イ)などのパッケージ部品、電解コンデンサ、ダイオー
ド、スイッチ類などのチップ部品やリード部品、またI
Cのベア実装など、あらゆる部品の実装に用いることが
できることは明白である。また、導電性接着剤のバイン
ダ樹脂、導電性粒子の種類、電極金属の種類について
は、実施例で述べた具体例以外にも必要条件を満たすも
のなら良いので、これらに限定されない。
【0064】
【発明の効果】本発明によれば、従来のものよりも耐湿
信頼性およびヒートサイクル信頼性に優れた実装構造体
を得ることができた。
【0065】また、本発明によれば、特殊な電極の部品
を用いることなく、安価な汎用部品を使用できるため、
導電性接着剤実装の用途を大幅に拡大させることが十分
期待することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の電子部品の概略断面図
【図2】本発明の実施の形態2の回路基板の概略断面図
【図3】本発明の実施の形態3の実装構造体の概略断面
【符号の説明】
1 電子部品 2 チップ抵抗 3 電極 4 金属酸化物層 5 回路基板 6 ガラスエポキシ基板 7 電極 8 金属酸化物層 9 実装構造体 10 導電性接着剤
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石丸 幸宏 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 三谷 力 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5E319 AC11 BB11 GG20 5F044 KK11 LL07 MM25 NN06 QQ01 5F047 BA21 BA52 BC11 BC17

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電子部品と回路基板とを導電性接着剤を用
    いて電気的に接続した実装構造体であって、前記電子部
    品または回路基板の端子電極と、前記導電性接着剤との
    接着界面に、当該端子電極を構成する金属のうち少なく
    とも1種の金属酸化物層が存在することを特徴とする実
    装構造体。
  2. 【請求項2】金属酸化物層の電気伝導率が、1×10-10S
    ・cm-1(ただし、Sは1/Ωである。)以上である請求
    項1に記載の実装構造体。
  3. 【請求項3】金属酸化物の自然電位がAgの自然電位より
    も高い請求項1または2に記載の実装構造体。
  4. 【請求項4】金属酸化物がpH2〜12の水溶液に対して
    安定である請求項1〜3のいずれかに記載の実装構造
    体。
  5. 【請求項5】電子部品の端子電極表面および回路基板の
    端子電極表面において、前記端子電極の金属原子と酸素
    の化学結合の割合が、前記端子電極の金属原子とハロゲ
    ン原子の割合よりも多い請求項1〜4のいずれかに記載
    の実装構造体。
  6. 【請求項6】金属酸化物を構成する金属がSnである請求
    項1〜5のいずれかに記載の実装構造体。
  7. 【請求項7】金属酸化物が、SnO2の不動態である請求項
    1〜6のいずれかに記載の実装構造体。
  8. 【請求項8】端子電極表面に、当該端子電極を構成する
    金属のうち少なくとも1種を酸化させてなる金属酸化物
    の膜が形成されている電子部品。
  9. 【請求項9】金属酸化物層の電気伝導率が、1×10-10S
    ・cm-1(ただし、Sは1/Ωである。)以上である請求
    項8に記載の電子部品。
  10. 【請求項10】金属酸化物の自然電位が、Agの自然電位
    よりも高い請求項8または9に記載の電子部品。
  11. 【請求項11】金属酸化物が、pH2〜12の水溶液に
    対して安定である請求項8〜10のいずれかに記載の電
    子部品。
  12. 【請求項12】金属酸化物を構成する金属がSnである請
    求項8〜11のいずれかに記載の電子部品。
  13. 【請求項13】金属酸化物が、SnO2の不動態である請求
    項8〜12のいずれかに記載の電子部品。
  14. 【請求項14】端子電極表面の有機物を除去し清浄な金
    属面を露出させた後、電極表面を酸化させ不動態膜を形
    成する電子部品の製造方法。
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