JP2002094185A - 半導体レーザ装置およびその製造方法および半導体レーザアレイおよび表示装置およびセンサシステムおよび半導体発光装置 - Google Patents

半導体レーザ装置およびその製造方法および半導体レーザアレイおよび表示装置およびセンサシステムおよび半導体発光装置

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JP2002094185A
JP2002094185A JP2000281757A JP2000281757A JP2002094185A JP 2002094185 A JP2002094185 A JP 2002094185A JP 2000281757 A JP2000281757 A JP 2000281757A JP 2000281757 A JP2000281757 A JP 2000281757A JP 2002094185 A JP2002094185 A JP 2002094185A
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semiconductor laser
semiconductor
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laser device
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Takashi Takahashi
孝志 高橋
Shunichi Sato
俊一 佐藤
Naoto Jikutani
直人 軸谷
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Ricoh Co Ltd
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 閾電流の増大やスロープ効率の低下を抑制
し、間欠的にレーザ発振を行う高効率の半導体レーザ装
置およびその製造方法および半導体レーザアレイおよび
表示装置およびセンサシステムおよび半導体発光装置を
提供する。 【解決手段】 半導体基板101上に活性層106を含
む積層構造が形成された半導体レーザ装置において、活
性層106に電流を注入する経路中に、キャリア密度に
よって障壁高さまたは障壁幅が周期的に変化するキャリ
ア障壁層102が設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体レーザ装置
およびその製造方法および半導体レーザアレイおよび表
示装置およびセンサシステムおよび半導体発光装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体レーザをパルス発振させる
方法としては、駆動電流をパルス状に入力する方法が一
般的である。例えば特開平10−256648号には、
レーザダイオードを駆動する駆動回路と、高周波重畳回
路とを、単一の封止体に組み込んだレーザダイオードモ
ジュールが示されている。しかしながら、この技術で
は、外部にパルス電源をもたせるので、駆動回路が複雑
になってしまう。
【0003】外部回路を用いずにパルス発振する半導体
レーザとしては自励発振型半導体レーザがある。自励発
振型半導体レーザは、内部に過飽和吸収領域を有してい
る。過飽和吸収領域は、最初は光を吸収する吸収体とし
て働くが、光から発生した電子と正孔とがある程度蓄積
されると、それ以上は光を吸収できずに透明化する。そ
して、逆に蓄積された電子と正孔を光として放出するこ
とで初期状態に戻る。この吸収体と透明化の過程を繰り
返すことで、光強度が周期的に変動するパルセーション
動作を行なわせることができる。
【0004】例えば特開平11−330632号には、
積層方向に過飽和吸収層を設けた構造が示されており、
また、特開平11−220210号には、リッジ外部の
横方向に過飽和吸収領域を有する構造が示されており、
また、特開平09−148668号には、共振器方向に
過飽和吸収領域を設けた構造が示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、過飽和
吸収によってパルセーション動作する従来の半導体レー
ザにおいては、原理的に過飽和吸収領域が活性層で発生
した光を吸収するので、閾電流の増大やスロープ効率の
低下を招く。そのため、半導体レーザの動作電流が増加
するという問題があった。
【0006】本発明は、閾電流の増大やスロープ効率の
低下を抑制し、間欠的にレーザ発振を行う高効率の半導
体レーザ装置およびその製造方法および半導体レーザア
レイおよび表示装置およびセンサシステムおよび半導体
発光装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の発明は、半導体基板上に活性層を含
む積層構造が形成された半導体レーザ装置において、活
性層に電流を注入する経路中に、キャリア密度によって
障壁高さまたは障壁幅が周期的に変化するキャリア障壁
層が設けられていることを特徴としている。
【0008】また、請求項2記載の発明は、請求項1記
載の半導体レーザ装置において、前記半導体基板には、
GaAsP基板が用いられ、GaAsP基板上にAlG
aInAsP系材料からなる可視半導体レーザが形成さ
れていることを特徴としている。
【0009】また、請求項3記載の発明は、半導体基板
上に、下部半導体多層膜反射鏡と、活性層と、上部半導
体多層膜反射鏡とが積層された垂直共振器型面発光の半
導体レーザ装置において、活性層に電流を注入する経路
中に、キャリア密度によって障壁高さまたは障壁幅が周
期的に変化するキャリア障壁層が設けられていることを
特徴としている。
【0010】また、請求項4記載の発明は、半導体基板
上に、活性層を含む積層構造と、p側電極と、n側電極
とが形成されている半導体レーザ装置において、活性層
に電流を注入する経路中に、キャリア密度によって障壁
高さまたは障壁幅が周期的に変化するキャリア障壁層
と、前記キャリア障壁層に蓄積されるキャリア密度を制
御するキャリア密度制御用電極とが設けられていること
を特徴としている。
【0011】また、請求項5記載の発明は、請求項1,
請求項3または請求項4記載の半導体レーザ装置におい
て、キャリア障壁層は、自然酸化層または不純物偏析層
によって構成されていることを特徴としている。
【0012】また、請求項6記載の発明は、半導体基板
上に活性層を含む積層構造を形成し、活性層に電流を注
入する経路中に、キャリア密度によって障壁高さまたは
障壁幅が周期的に変化するキャリア障壁層を形成する半
導体レーザ装置の製造方法であって、5×1017cm-3
よりも低いキャリア濃度を有するn型半導体基板上に、
5×1017cm-3よりも低いキャリア濃度を有するn型
バッファ層を積層することにより、n型半導体基板とn
型バッファ層との界面に自然酸化層または不純物偏析層
をキャリア障壁層として形成することを特徴としてい
る。
【0013】また、請求項7記載の発明は、半導体基板
上に5×1017cm-3よりも低いキャリア濃度を有する
第1のn型半導体層を形成する工程と、第1のn型半導
体層の表面を大気に触れさせる工程と、第1のn型半導
体層上に5×1017cm-3よりも低いキャリア濃度を有
する第2のn型半導体層を積層して第1のn型半導体層
と第2のn型半導体層との界面に自然酸化層または不純
物偏析層をキャリア障壁層として形成する工程とを有し
ていることを特徴としている。
【0014】また、請求項8記載の発明は、半導体基板
上に活性層を含む積層構造が形成されている半導体レー
ザアレイにおいて、活性層に電流を注入する経路中に、
キャリア密度によって障壁高さまたは障壁幅が周期的に
変化するキャリア障壁層が設けられていることを特徴と
している。
【0015】また、請求項9記載の発明は、請求項1乃
至請求項5のいずれか一項に記載の半導体レーザ装置、
または、請求項8記載の半導体レーザアレイを光源とし
て用いる表示装置を特徴としている。
【0016】また、請求項10記載の発明は、請求項1
乃至請求項5のいずれか一項に記載の半導体レーザ装
置、または、請求項8記載の半導体レーザアレイを光源
として用いるセンサシステムを特徴としている。
【0017】また、請求項11記載の発明は、請求項1
乃至請求項5のいずれか一項に記載の半導体レーザ装
置、または、請求項8記載の半導体レーザアレイの電源
として太陽電池を用いることを特徴としている。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。
【0019】本発明は、半導体基板上に活性層を含む積
層構造が形成された半導体レーザ装置において、活性層
に電流を注入する経路中に、キャリア密度によって障壁
高さまたは障壁幅が周期的に変化するキャリア障壁層が
設けられていることを特徴としている。
【0020】ここで、キャリア障壁層の挿入位置は、活
性層に電流を注入する経路中にあればよく、n型半導体
層中またはp型半導体層中のどちらでもよい。また、キ
ャリア障壁層は、例えば、非常に薄い絶縁膜,AlAs
選択酸化層,自然酸化層,不純物ドーピング層,不純物
拡散層,不純物偏析層等によって構成される。
【0021】本発明の半導体レーザ装置は、次のように
動作する。すなわち、キャリア障壁層において活性層よ
り上流側に蓄積されるキャリア密度がある値以下の場合
は、キャリアはキャリア障壁層を超えて活性層に注入さ
れないため、発光しない。そして、キャリア障壁層に蓄
積されるキャリア密度がある値を超えると、キャリア障
壁層の障壁高さまたは障壁幅が減少し、活性層に急激に
キャリアが注入される。この注入キャリア密度が半導体
レーザの閾キャリア密度を超えると、レーザ発振する。
キャリア注入によってキャリア障壁層に蓄積されたキャ
リア密度が減少すると、障壁高さまたは障壁幅が元に戻
り、再びキャリアはキャリア障壁層に遮られて活性層へ
のキャリア注入が停止する。
【0022】以上の過程を繰り返すことで、この半導体
レーザ装置に直流電流を加えても活性層にはパルス状の
電流が流れるためにパルス発振動作を行う。従って、本
発明の半導体レーザ装置では、半導体レーザ装置の外部
にパルス駆動用の電子回路を設ける必要がなく、パルス
発振動作を行なわせることができる。
【0023】また、本発明の半導体レーザ装置は、過飽
和吸収体を用いたパルセーションではなく電気的にパル
ス動作を実現しているため、活性層で発光した光が吸収
されることがなく、閾電流の増大やスロープ効率の低下
を招くことがない。従って、パルス半導体レーザの動作
電流を低減することができる。
【0024】第1の実施形態 図1は本発明に係る半導体レーザ装置の構成例を示す図
である。図1を参照すると、この半導体レーザ装置は、
n型GaAs基板101a,n型GaAsP組成傾斜層
101b,n型GaAs0.60.4厚膜101cから構成
されたn型GaAsPエピ基板101上に、キャリア障
壁層102、n型GaAs0.60.4バッファ層103、
n型(Al0.7Ga0.30.7In0.3As0.050.95クラ
ッド層104、GaInP下部光導波層105、GaI
nAsP活性層106、GaInP上部光導波層10
7、p型(Al0.7Ga0.30.7In0.3As0.050.95
クラッド層108、p型GaInPスパイク防止層10
9、p型GaAs0.60.4キャップ層110が順次積層
されている。そして、p型GaAsPキャップ層110
上にはp側電極111が形成され、n型GaAs基板1
01aの裏面にはn側電極112が形成されている。
【0025】次に、図1の半導体レーザ装置の製造工程
例を説明する。先ず、半導体基板には、赤色LED用に
市販されているn型GaAsPエピ基板101を用い
る。ここで、n型GaAsPエピ基板101は、n型G
aAs基板101a上に、GaAsからGaAs0.6
0.4まで組成を徐々に変えながら積層したn型GaAs
P組成傾斜層101bと、組成が一定のn型GaAs
0.60.4厚膜101cとを気相成長法で積層して形成さ
れている。n型GaAsP組成傾斜層101bの層厚は
例えば50μm、n型GaAs0.60.4厚膜101cの
層厚は例えば50μmである。また、n型GaAs0.6
0.4厚膜101cは、GaAs0.60.4バルクとほぼ
同じ格子定数を有しており、基板として使用可能であ
る。また、n型GaAs0.60.4厚膜101cのキャリ
ア濃度は、市販されている典型的値である1×1017
-3となっており、低キャリア濃度の基板が容易に入手
可能である。
【0026】図1の半導体レーザ装置では、上記n型G
aAsPエピ基板101上に、n型GaAs0.60.4
ッファ層103、n型(Al0.7Ga0.30.7In0.3
0. 050.95クラッド層104、GaInP下部光導波
層105、GaInAsP活性層106、GaInP上
部光導波層107、p型(Al0.7Ga0.30.7In0 .3
As0.050.95クラッド層108、p型GaInPスパ
イク防止層109、p型GaAs0.60.4キャップ層1
10を順次結晶成長させる。結晶成長法としては有機金
属気相成長法を用いることができる。このとき、n型G
aAsPバッファ層103のキャリア濃度を5×1017
cm-3よりも低いキャリア濃度に設定することにより、
n型GaAsPエピ基板101の表面とn型GaAsP
バッファ層103との界面に、自然酸化層または不純物
偏析層からなるキャリア障壁層102が形成される。
【0027】次に、p型GaAsPキャップ層110の
表面にp側電極111を形成し、n型GaAsPエピ基
板101のn型GaAs基板101aの裏面にn側電極
112を形成する。ここで、p側電極111,n側電極
112は、真空蒸着法により形成することができる。
【0028】上記の製造方法で作製した半導体レーザ装
置は、GaInAsP活性層106のバンドギャップに
対応した680〜630nmの赤色波長でレーザ発振す
る。また、GaAs0.60.4に格子整合するバンドギャ
ップ波長が約560nmのGaInPを光導波層10
5,107として用いているので、活性領域にAlを含
まないAlフリー構造を形成可能である。従って、共振
器端面の光学損傷レベルをGaAs基板上のAlGaI
nP系赤色LDよりも向上させることができる。
【0029】また、クラッド層104,108に用いて
いる(Al0.7Ga0.30.7In0.3As0.050.95は、
GaAs基板上の赤色LDのクラッド層に一般的に用い
られる(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pよりもバンドギ
ャップが大きく、かつ屈折率が小さい。従って、活性領
域に対するキャリア閉じ込め効率及び光閉じ込め効率が
高くなっており、閾電流密度や特性温度を改善すること
ができる。
【0030】図2は、図1の半導体レーザ装置の室温連
続動作における電流−電圧特性及び電流−光出力特性を
示す図である。図2を参照すると、図1の半導体レーザ
装置に電圧を印加していくと、最初0Vから約6.2V
までほとんど電流が流れない状態となる(領域a−
b)。このとき、半導体レーザ装置からの光出力(発
光)は検出されない。その後、電圧が6.2Vから3.
8Vまで減少するにつれて電流は増加していき、負性抵
抗領域となっている(領域b−c)。このとき、半導体
レーザ装置は強い光出力を示す。さらに電圧を印加して
いくと、通常のダイオード特性と同様に電圧が増加する
につれて電流が急激に立ち上がる。光出力は、cの位置
で一旦急激に減少し、dの位置まで自然放出光が次第に
増加していき、dの位置を閾値としてレーザ発振する。
【0031】図3は、図2の領域b−cの状態における
半導体レーザ装置の発光スペクトルを示す図である。図
3を参照すると、光出力が急激に増加している領域b−
cでは、波長665nmの可視域でレーザ発振する。こ
のとき、半導体レーザ装置は連続的に発振しているので
はなく、間欠的に発振している。
【0032】また、図2の領域a−bにおいては、n型
GaAsPエピ基板101の表面とn型GaAsPバッ
ファ層103との界面に形成された自然酸化層または不
純物偏析層からなるキャリア障壁層102によって、キ
ャリアがブロックされるため、半導体レーザ装置の立ち
上がり電圧が6.2Vまで増加している。
【0033】そして、キャリア障壁層102に蓄積され
るキャリア密度がある値を超えると、キャリア障壁層1
02の障壁高さまたは障壁幅が減少し、活性層106に
急激にキャリアが注入される。この注入キャリア密度が
半導体レーザ装置の閾キャリア密度を超えると、レーザ
発振する。キャリア注入によってキャリア障壁層102
に蓄積されたキャリア密度が減少すると、障壁高さまた
は障壁幅が元に戻り、再びキャリアはキャリア障壁層1
02に遮られて活性層106へのキャリア注入が停止す
る。この過程が繰り返されることにより、領域b−cで
は活性層106にパルス状に電流が注入されて、半導体
レーザ装置は間欠的にレーザ発振する。
【0034】上記の動作では、外部回路を用いることな
く、半導体レーザ装置に直流電流を流すだけでパルス発
振を実現できる。また、過飽和吸収体を用いていないた
め、活性層で発光した光が吸収されることがなく、閾電
流の増大やスロープ効率の低下を招くことがない。従っ
て、パルス半導体レーザの動作電流を低減することがで
きる。
【0035】また、図2の領域c−eでは、定常的にキ
ャリア注入量が高くなってキャリア障壁層102の障壁
高さまたは障壁幅が減少するため、活性層106に連続
的に電流が注入されるようになり、通常の半導体レーザ
の連続動作と同様な動作を示す。
【0036】以上説明した動作を実現するためには、キ
ャリア障壁層102を超薄膜で均一に形成することが重
要である。図1の半導体レーザ装置では、周期的に障壁
高さまたは障壁幅が変化するキャリア障壁層102を基
板表面の自然酸化層または不純物偏析層によって形成し
ているので、非常に薄いキャリア障壁層102を均一に
形成することが可能である。従って、パルス半導体レー
ザを制御性良く形成することができる。
【0037】また、図4は、図1の半導体レーザ装置に
おいて、n型GaAsPバッファ層103のキャリア濃
度を6〜8×1017cm-3まで増加させた場合の電流−
電圧特性を示す図である。図4を参照すると、n型Ga
AsPバッファ層103のキャリア濃度を6〜8×10
17cm-3まで高くすると、キャリア障壁層102が有効
に機能せず、半導体レーザ装置の立ち上がり電圧は約2
V程度まで低減されて負性抵抗領域がほとんど見られな
くなる。従って、パルス発振する動作領域が得られなく
なってしまう。従って、間欠的に発振する半導体レーザ
を得るためには、n型GaAsP基板101とn型Ga
AsPバッファ層103のキャリア濃度を5×1017
-3よりも低い値に設定する必要がある。
【0038】第2の実施形態 図5は本発明に係る半導体レーザ装置の他の構成例を示
す図である。図5を参照すると、この半導体レーザ装置
は、n型GaAs基板501上に、n型GaAs第1バ
ッファ層502、キャリア障壁層102、n型GaAs
第2バッファ層503、n型Ga0.5In0.5Pクラッド
層504、GaAs下部光導波層505、GaInNA
s活性層506、GaAs上部光導波層507、p型G
0.5In0.5Pクラッド層508、p型GaAsキャッ
プ層509が順次積層されている。そして、p型GaA
sキャップ層509上にはp側電極111が形成され、
n型GaAs基板501の裏面にはn側電極112が形
成されている。
【0039】次に、図5の半導体レーザ装置の製造工程
例を説明する。先ず、半導体基板には、LD用に市販さ
れているn型GaAs基板501を用いる。ここで、n
型GaAs基板501のキャリア濃度は、典型的な1×
1018cm-3となっている。
【0040】図5の半導体レーザ装置では、上記n型G
aAs基板501上に、最初にキャリア濃度が5×10
17cm-3よりも低い、例えば1×1017cm-3のn型G
aAs第1バッファ層502を結晶成長させる。その
後、n型GaAs第1バッファ層502を積層した基板
を一旦大気に触れさせて、表面に自然酸化層または不純
物偏析層から構成されたキャリア障壁層102を形成す
る。
【0041】次に、キャリア障壁層102をはさんでn
型GaAs第1バッファ層502上に、n型GaAs第
2バッファ層503、n型Ga0.5In0.5Pクラッド層
504、GaAs下部光導波層505、GaInNAs
活性層506、GaAs上部光導波層507、p型Ga
0.5In0.5Pクラッド層508、p型GaAsキャップ
層509を順次結晶成長させる。結晶成長法としては有
機金属気相成長法を用いることができる。ここで、n型
GaAs第2バッファ層503のキャリア濃度も5×1
17cm-3よりも低いキャリア濃度、例えば2×1017
cm-3に設定することで、キャリア障壁層102を有効
に働かせることができる。
【0042】次に、p型GaAsキャップ層509の表
面にp側電極111を形成し、n型GaAs基板501
裏面にn側電極112を形成する。ここで、p側電極1
11,n側電極112は、真空蒸着法により形成するこ
とができる。
【0043】図5の半導体レーザ装置においては、n型
GaAs第1バッファ層502とn型第2バッファ層5
03との間に形成された自然酸化層または不純物偏析層
からなるキャリア障壁層102によって、この半導体レ
ーザ装置に直流電流を流しても活性層506にパルス状
に電流が注入されるため、間欠的にレーザ発振を行なわ
せることができる。従って、GaInNAs活性層50
6のバンドギャップに対応した1.2〜1.3μm帯で
パルス半導体レーザを実現できる。
【0044】また、第2の実施形態によれば、第1の実
施形態とは異なり、キャリア濃度が低い半導体基板を特
別に用いる必要がない。すなわち、第2の実施形態で
は、一般にLD用に大量生産されているキャリア濃度1
〜3×1018cm-3の半導体単結晶基板を用いてパルス
半導体レーザを製造できるため、製造コストを低減する
ことができる。
【0045】なお、図5の例では、キャリア障壁層10
2をバッファ層の途中に形成しているが、キャリア障壁
層102の挿入位置は必ずしもこの位置に限定されるも
のではない。すなわち、キャリア障壁層102の挿入位
置はp側電極111から活性層506を通ってn側電極
112へ達する電流注入経路上であればよい。
【0046】第3の実施形態 図6は本発明に係る半導体レーザ装置の他の構成例を示
す図である。図6を参照すると、この半導体レーザ装置
は、n型GaAs基板501上に、n型GaAs第1バ
ッファ層502、キャリア障壁層102、n型GaAs
第2バッファ層503が積層されている。ここで、キャ
リア障壁層102の形成方法は、第2の実施形態の場合
と同様である。
【0047】また、n型GaAs第2バッファ層503
上には、GaAsとAl0.8Ga0.2Asを交互に積層し
たn型多層膜反射鏡601、n型Al0.5Ga0.5Asバ
リア層602、InGaAs/GaAs多重量子井戸活
性層603、p型Al0.5Ga0.5Asバリア層604、
p型AlAs層605、GaAsとAl0.8Ga0.2As
を交互に積層したp型多層膜反射鏡606が順に形成さ
れている。
【0048】そして、この積層構造(601,602,
603,604,605,606)の表面からn型多層
膜反射鏡601に達するまで円筒形状にエッチングがな
されている。また、p型AlAs層605は円筒の側面
から内部に選択的に酸化されており、これにより、Al
As選択酸化領域607が形成されている。
【0049】また、p型多層膜反射鏡606上にはリン
グ状のp側電極111が形成され、n型GaAs基板5
01の裏面にはn側電極112が形成されている。
【0050】図6の半導体レーザ装置においては、p側
電極111から注入された正孔はp型多層膜反射鏡60
6を通った後にAlAs選択酸化領域607で狭窄され
て活性層603に流れ込む。一方、n側電極112から
注入された電子は、n型GaAs基板501,n型Ga
As第1バッファ層502を通って、キャリア障壁層1
02でブロックされる。キャリア障壁層102に蓄積さ
れる電子密度がある値を超えると、キャリア障壁層10
2の障壁高さまたは障壁幅が減少し、電子はキャリア障
壁層102を抜けて活性層603に注入される。活性層
603では、電子と正孔が再結合して、InGaAs量
子井戸層のバンドギャップに対応した0.9〜1.1μ
mの波長の光を放射する。活性層603で発光した光
は、上下に設けられた多層膜反射鏡606,601間で
共振して、基板と垂直方向にレーザ光が放射される。
【0051】活性層603への注入によってキャリア障
壁層102に蓄積された電子密度が減少すると、障壁高
さまたは障壁幅が元に戻り、再び電子はキャリア障壁層
102に遮られるためレーザ発振が停止する。この過程
が繰り返されることにより、間欠的にレーザ発振させる
ことができる。
【0052】第3の実施形態においても、外部回路を用
いることなく、半導体レーザ装置に直流電流を流すだけ
でパルス発振を実現できる。また、AlAs選択酸化構
造を有する垂直共振器型面発光の半導体レーザを用いて
いるため、高効率で1mA以下の低電流で動作するパル
ス半導体レーザを実現することができる。
【0053】第4の実施形態 図7は本発明に係る半導体レーザ装置の他の構成例を示
す図である。図7を参照すると、この半導体レーザ装置
は、n型GaAs基板101a,n型GaAsP組成傾
斜層101b,n型GaAs0.60.4厚膜101cから
構成されたn型GaAsPエピ基板101上に、キャリ
ア障壁層102、n型GaAs0.60.4バッファ層10
3、n型(Al0.7Ga0.3)InAsPクラッド層10
4、GaInP下部光導波層105、GaInAsP活
性層106、GaInP上部光導波層107、p型(A
0.7Ga0.3)InAsPクラッド層108、p型Ga
InPスパイク防止層109、p型GaAs0.60.4
ャップ層110が順次積層されている。
【0054】ここで、キャリア障壁層102は、n型G
aAsPエピ基板101表面と、n型GaAsPバッフ
ァ層103との界面に設けられており、自然酸化層また
は不純物偏析層で構成されている。
【0055】また、p型GaAsPキャップ層110上
にはp側電極111が形成され、n型GaAs基板10
1aの裏面にはn側電極112が形成されている。
【0056】そして、積層構造(102,103,10
4,105,106,107,108,109,11
0)の表面からn型GaAs0.60.4バッファ層103
に達するまでストライプ状にエッチングされてリッジ構
造が形成されている。リッジ構造の両外側でn型GaA
0.60.4バッファ層103が露出した部分にはZn拡
散領域701が形成されており、Zn拡散領域701の
表面には、キャリア障壁層に蓄積されるキャリア密度を
制御するキャリア密度制御用電極702が形成されてい
る。
【0057】図7の構造においては、キャリア密度制御
用電極702とn側電極112との間に電圧を印加する
ことで、キャリア障壁層102に蓄積されるキャリア密
度を変化させることができる。従って、p側電極111
とn側電極112との間でパルス状に流れる電流の周期
を制御して、所望の周期のパルス半導体レーザを得るこ
とができる。
【0058】また、上記パルス半導体レーザを光源とし
て光信号を送信する場合、キャリア密度制御用電極70
2によってパルス周期を変えることにより、光信号を周
波数変調させることもできる。
【0059】第5の実施形態 図8は本発明に係る半導体レーザアレイの構成例を示す
図である。この半導体レーザアレイは、半導体基板上に
活性層を含む積層構造が形成され、活性層に電流を注入
する経路中に、キャリア密度によって障壁高さまたは障
壁幅が周期的に変化するキャリア障壁層が設けられてい
ることを特徴としている。
【0060】図8を参照すると、この半導体レーザアレ
イは、n型GaAs基板101a,n型GaAsP組成
傾斜層101b,n型GaAs0.60.4厚膜101cか
ら構成されたn型GaAsPエピ基板101上に、キャ
リア障壁層102、n型GaAs0.60.4バッファ層1
03、n型(Al0.7Ga0.3)InAsPクラッド層1
04、GaInP下部光導波層105、GaInAsP
活性層106、GaInP上部光導波層107、p型
(Al0.7Ga0.3)InAsPクラッド層108、p型
GaInPスパイク防止層109、p型GaAs0.6
0.4キャップ層110が順次積層されている。
【0061】ここで、キャリア障壁層102は、n型G
aAsPエピ基板101の表面とn型GaAsPバッフ
ァ層103との界面に設けられており、自然酸化層また
は不純物偏析層で構成されている。
【0062】そして、図8の半導体レーザ装置では、積
層構造(102,103,104,105,106,1
07,108,109,110)の表面からn型(Al
0.7Ga0.3)InAsPクラッド層104に達するまで
ストライプ状にエッチングされて分離溝801が形成さ
れている。
【0063】また、p型GaAsPキャップ層110上
にはp側電極111が形成され、n型GaAs基板10
1aの裏面にはn側電極112が形成されている。
【0064】第1の実施形態において示したように、電
流注入量が高くなるとキャリア障壁層102は障壁高さ
または障壁幅が周期的に変化しなくなり、電流は活性層
に連続的に流れ込むようになる。従って、パルス動作す
る領域(図2の領域b−c)は限定されている。そのた
め、得られるレーザ光出力はCW換算で0.3mW程度
と低い値となっている。
【0065】これに対し、第5の実施形態においては、
活性層106が分離溝801によって空間的に分離され
たアレイ構造となっており、共通のキャリア障壁層10
2によって、アレイ構造の各活性層106に注入される
電流がパルス状に変調されることで、各半導体レーザは
同期してパルス発振を行う。これにより、パルス半導体
レーザの全光出力を向上させることができる。
【0066】第6の実施形態 図9(a),(b)は本発明に係る表示装置の構成例を
示す図である。なお、図9(a)は上面図であり、図9
(b)は側面図である。図9(a),(b)において、
符号901は第1の実施形態に示したGaAsPエピ基
板上に形成したパルス半導体レーザ(半導体レーザ装
置)であり、樹脂モールド型に実装されている。GaA
sPエピ基板上に形成した第1の実施形態の半導体レー
ザ装置では、GaInAsP活性層の組成を変えること
により、赤色から黄色の可視光を放射できる。図9
(a),(b)の表示装置では、このような可視パルス
半導体レーザ901が2次元アレイ状に並べられて構成
されている。
【0067】半導体レーザは、一般に発光ダイオードよ
りも外部量子効率が高い。従って、同じ発光強度であれ
ば半導体レーザの方が低消費電力化できる。しかも、第
1の実施形態に示したように半導体レーザ装置(パルス
半導体レーザ)901では閾電流を1mA以下と小さく
することが可能であり、間欠的にレーザ発振することで
消費電力を抑えている。従って、表示装置の消費電力を
低減させることができる。
【0068】また、半導体レーザ装置をパルス発振させ
るのに外部にパルス電源回路を用いる必要がなく、直流
電流を流すだけでよい。従って、半導体レーザ装置(パ
ルス半導体レーザ)901の駆動回路の構成を簡単なも
のにすることができ、従って、半導体レーザ装置(パル
ス半導体レーザ)901を用いた表示装置の駆動回路の
構成を簡単化できる。
【0069】なお、上述の説明では、表示装置には、第
1の実施形態の半導体レーザ装置を光源として用いると
したが、第1の実施形態の半導体レーザ装置のかわり
に、第2,第3あるいは第4の実施形態の半導体レーザ
装置を光源に用いることもできるし、あるいは、第5の
実施形態の半導体レーザアレイを光源に用いることもで
きる。
【0070】また、図9(a),(b)では、表示装置
の例として単色ディスプレイに用いられる2次元アレイ
発光装置を示したが、本発明は、この例に限定されるも
のではなく、各種表示用ランプ,警告灯,レーザポイン
タ,フルカラーディスプレイ等の様々な表示装置に本発
明の半導体レーザ装置(パルス半導体レーザ)を適用す
ることができる。
【0071】第7の実施形態 図10は本発明に係るセンサシステムの構成例を示す図
である。図10を参照すると、このセンサシステムは、
発光部1001と、受光部1002とにより構成されて
おり、発光部1001には、直流電源1003と、第
1,第2,第3あるいは第4の実施形態の半導体レーザ
装置あるいは第5の実施形態の半導体レーザアレイ10
04と、LD電流制御回路1005とが設けられてい
る。また、受光部1002には、第1,第2,第3ある
いは第4の実施形態の半導体レーザ装置あるいは第5の
実施形態の半導体レーザアレイ1004から出射された
光を受光する受光素子(フォトダイオード)1006
と、受信回路1007とが設けられている。
【0072】このような構成のセンサシステムでは、発
光部1001においては、半導体レーザ装置あるいは半
導体レーザアレイ1004を直流電源1003で駆動し
ている。この場合、半導体レーザ装置あるいは半導体レ
ーザアレイ1004は、直流電源1003で駆動されて
も、間欠的にレーザ発振を行う。
【0073】受光部1002では、半導体レーザ装置あ
るいは半導体レーザアレイ1004から出射されたレー
ザ光を受光素子(フォトダイオード)1006で受光し
て、受信回路1007に入力する。このとき、半導体レ
ーザ装置あるいは半導体レーザアレイ1004のパルス
周期に同期して信号を受光することにより、ノイズを低
減することができる。
【0074】図10のセンサシステムは、発光部100
1と受光部1002を空間伝播している光が物体によっ
て遮られると、受光素子(フォトダイオード)1006
の光信号が停止して感知される。これにより、防犯警報
システム,ドア開閉検知システム,物体位置検出システ
ム等として用いることができる。
【0075】前述したように、半導体レーザ装置あるい
は半導体レーザアレイ1004においては、動作電流を
数mAと小さくすることが可能である。また、間欠的に
レーザ発振することで光源の消費電力を抑えることがで
きる。従って、低消費電力のセンサシステムを実現でき
る。また、半導体レーザ装置あるいは半導体レーザアレ
イ1004をパルス発振させるのに外部にパルス電源回
路を用いる必要がなく、直流電流を流すだけでよい。従
って、発光部1001の駆動回路を簡略化できる。
【0076】また、上述した各実施形態の半導体レーザ
装置,半導体レーザアレイは、動作電流値が数mAと小
さいために、太陽電池を電源として、上述した各実施形
態の半導体レーザ装置,半導体レーザアレイを直接駆動
することも可能である。従って、電源供給ラインのない
屋外等で、上述した各実施形態の半導体レーザ装置,半
導体レーザアレイを太陽電池により長時間連続的に動作
させて使用することが可能である。
【0077】
【発明の効果】以上に説明したように、請求項1記載の
発明によれば、半導体基板上に活性層を含む積層構造が
形成された半導体レーザ装置において、活性層に電流を
注入する経路中に、キャリア密度によって障壁高さまた
は障壁幅が周期的に変化するキャリア障壁層が設けられ
ており、素子に直流電流を流すだけでパルス発振できる
ため、駆動回路を簡略化できる。また、過飽和吸収体を
用いていないため、活性層で発光した光が吸収されるこ
とがなく、閾電流の増大やスロープ効率の低下を招くこ
とがない。従って、パルス半導体レーザの動作電流を低
減することができる。
【0078】また、請求項2記載の発明によれば、請求
項1記載の半導体レーザ装置において、前記半導体基板
には、GaAsP基板が用いられ、GaAsP基板上に
AlGaInAsP系材料からなる可視半導体レーザが
形成されているので、閾電流の増大やスロープ効率の低
下を抑制し、間欠的にレーザ発振を行う高効率の可視半
導体レーザを実現できる。
【0079】また、請求項3記載の発明によれば、半導
体基板上に、下部半導体多層膜反射鏡と、活性層と、上
部半導体多層膜反射鏡とが積層された垂直共振器型面発
光の半導体レーザ装置において、活性層に電流を注入す
る経路中に、キャリア密度によって障壁高さまたは障壁
幅が周期的に変化するキャリア障壁層が設けられている
ので、閾電流の増大やスロープ効率の低下を抑制し、間
欠的にレーザ発振を行う高効率の垂直共振器型面発光半
導体レーザを実現することができる。
【0080】また、請求項4記載の発明によれば、半導
体基板上に、活性層を含む積層構造と、p側電極と、n
側電極とが形成されている半導体レーザ装置において、
活性層に電流を注入する経路中に、キャリア密度によっ
て障壁高さまたは障壁幅が周期的に変化するキャリア障
壁層と、前記キャリア障壁層に蓄積されるキャリア密度
を制御するキャリア密度制御用電極とが設けられてお
り、キャリア密度制御用電極は、キャリア障壁層の電位
や蓄積されるキャリア密度を変えることができるため、
パルス発振の周期を制御することができる。
【0081】また、請求項5記載の発明によれば、キャ
リア密度によって障壁高さまたは障壁幅が周期的に変化
するキャリア障壁層が自然酸化層または不純物偏析層に
よって構成されているので、閾電流の増大やスロープ効
率の低下を抑制した間欠的にレーザ発振を行う高効率の
半導体レーザにおいて、素子の制御性や均一性を高める
ことができる。
【0082】また、請求項6記載の発明によれば、5×
1017cm-3よりも低いキャリア濃度を有するn型半導
体基板上に、5×1017cm-3よりも低いキャリア濃度
を有するn型バッファ層を積層し、n型半導体基板とn
型バッファ層との界面に自然酸化層または不純物偏析層
を形成するので、キャリア障壁層を自然酸化層または不
純物偏析層によって容易に形成することができる。
【0083】また、請求項7記載の発明によれば、半導
体基板上に5×1017cm-3よりも低いキャリア濃度を
有する第1のn型半導体層を形成する工程と、第1のn
型半導体層の表面を大気に触れさせる工程と、第1のn
型半導体層上に5×1017cm-3よりも低いキャリア濃
度を有する第2のn型半導体層を積層して第1のn型半
導体層と第2のn型半導体層との界面に自然酸化層また
は不純物偏析層を形成する工程とを有しているので、キ
ャリア障壁層を自然酸化層または不純物偏析層によって
容易に形成することができる。また、請求項6記載の発
明と異なり、半導体基板のキャリア濃度に制限がないた
め、大量に市販されているLD用基板を用いることがで
きる。従って、より安価に半導体レーザ装置を製造する
ことができる。
【0084】また、請求項8記載の発明によれば、半導
体基板上に活性層を含む積層構造が形成された半導体レ
ーザアレイにおいて、活性層に電流を注入する経路中
に、キャリア密度によって障壁高さまたは障壁幅が周期
的に変化するキャリア障壁層が設けられており、間欠的
にレーザ発振を行う半導体レーザをアレイ化することに
より、パルス半導体レーザの光出力を向上させることが
できる。
【0085】また、請求項9記載の発明によれば、請求
項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の半導体レーザ
装置、または、請求項8記載の半導体レーザアレイを光
源として用いるので、表示装置の低消費電力化を図るこ
とができる。
【0086】また、請求項10記載の発明によれば、請
求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の半導体レー
ザ装置、または、請求項8記載の半導体レーザアレイを
光源として用いるので、センサシステムの低消費電力化
を図ることができる。
【0087】また、請求項11記載の発明によれば、請
求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の半導体レー
ザ装置、または、請求項8記載の半導体レーザアレイ
は、動作電流を数mA以下と非常に小さくできる。その
ため、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の半
導体レーザ装置、または、請求項8記載の半導体レーザ
アレイの電源として太陽電池を用いることが可能とな
り、長時間連続的に動作し続ける半導体発光装置を実現
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る半導体レーザ装置の構成例を示す
図である。
【図2】図1の半導体レーザ装置の室温連続動作におけ
る電流−電圧特性及び電流−光出力特性を示す図であ
る。
【図3】図2の領域b−cの状態における半導体レーザ
装置の発光スペクトルを示す図である。
【図4】図1の半導体レーザ装置において、n型GaA
sPバッファ層のキャリア濃度を6〜8×1017cm-3
まで増加させた場合の電流−電圧特性を示す図である。
【図5】本発明に係る半導体レーザ装置の構成例を示す
図である。
【図6】本発明に係る半導体レーザ装置の他の構成例を
示す図である。
【図7】本発明に係る半導体レーザ装置の他の構成例を
示す図である。
【図8】本発明に係る半導体レーザアレイの構成例を示
す図である。
【図9】本発明に係る表示装置の構成例を示す図であ
る。
【図10】本発明に係るセンサシステムの構成例を示す
図である。
【符号の説明】
101 n型GaAsPエピ基板 101a n型GaAs基板 101b n型GaAsP組成傾斜層 101c n型GaAs0.60.4厚膜 102 キャリア障壁層 103 n型GaAs0.60.4バッファ層 104 n型(Al0.7Ga0.30.7In0.3As
0.050.95クラッド層 105 GaInP下部光導波層 106 GaInAsP活性層 107 GaInP上部光導波層 108 p型(Al0.7Ga0.30.7In0.3As
0.050.95クラッド層 109 p型GaInPスパイク防止層 110 p型GaAs0.60.4キャップ層 111 p側電極 112 n側電極 501 n型GaAs基板 502 n型GaAs第1バッファ層 503 n型GaAs第2バッファ層 504 n型Ga0.5In0.5Pクラッド層 505 GaAs下部光導波層 506 GaInNAs活性層 507 GaAs上部光導波層 508 p型Ga0.5In0.5Pクラッド層 509 p型GaAsキャップ層 601 n型GaAs/Al0.8Ga0.2As多層膜
反射鏡 602 n型Al0.5Ga0.5Asバリア層 603 InGaAs/GaAs多重量子井戸活性
層 604 p型Al0.5Ga0.5Asバリア層 605 p型AlAs層 606 p型GaAs/Al0.8Ga0.2As多層膜
反射鏡 607 AlAs選択酸化領域 701 Zn拡散領域 702 キャリア密度制御用電極 801 分離溝 901 可視パルス半導体レーザ 1001 発光部 1002 受光部 1003 直流電源 1004 半導体レーザアレイ 1005 LD電流制御回路 1006 受光素子 1007 受信回路
フロントページの続き (72)発明者 軸谷 直人 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 Fターム(参考) 5F073 AA45 AA51 AA55 AA74 AB03 AB17 BA09 CA07 CA13 CA17 CA19 CB07 CB10 FA29 5F089 BB04 BC02 BC29 CA21

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体基板上に活性層を含む積層構造が
    形成された半導体レーザ装置において、活性層に電流を
    注入する経路中に、キャリア密度によって障壁高さまた
    は障壁幅が周期的に変化するキャリア障壁層が設けられ
    ていることを特徴とする半導体レーザ装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の半導体レーザ装置におい
    て、前記半導体基板には、GaAsP基板が用いられ、
    GaAsP基板上にAlGaInAsP系材料からなる
    可視半導体レーザが形成されていることを特徴とする半
    導体レーザ装置。
  3. 【請求項3】 半導体基板上に、下部半導体多層膜反射
    鏡と、活性層と、上部半導体多層膜反射鏡とが積層され
    た垂直共振器型面発光の半導体レーザ装置において、活
    性層に電流を注入する経路中に、キャリア密度によって
    障壁高さまたは障壁幅が周期的に変化するキャリア障壁
    層が設けられていることを特徴とする半導体レーザ装
    置。
  4. 【請求項4】 半導体基板上に、活性層を含む積層構造
    と、p側電極と、n側電極とが形成されている半導体レ
    ーザ装置において、活性層に電流を注入する経路中に、
    キャリア密度によって障壁高さまたは障壁幅が周期的に
    変化するキャリア障壁層と、前記キャリア障壁層に蓄積
    されるキャリア密度を制御するキャリア密度制御用電極
    とが設けられていることを特徴とする半導体レーザ装
    置。
  5. 【請求項5】 請求項1,請求項3または請求項4記載
    の半導体レーザ装置において、キャリア障壁層は、自然
    酸化層または不純物偏析層によって構成されていること
    を特徴とする半導体レーザ装置。
  6. 【請求項6】 半導体基板上に活性層を含む積層構造を
    形成し、活性層に電流を注入する経路中に、キャリア密
    度によって障壁高さまたは障壁幅が周期的に変化するキ
    ャリア障壁層を形成する半導体レーザ装置の製造方法で
    あって、5×1017cm-3よりも低いキャリア濃度を有
    するn型半導体基板上に、5×1017cm-3よりも低い
    キャリア濃度を有するn型バッファ層を積層することに
    より、n型半導体基板とn型バッファ層との界面に自然
    酸化層または不純物偏析層をキャリア障壁層として形成
    することを特徴とする半導体レーザ装置の製造方法。
  7. 【請求項7】 半導体基板上に5×1017cm-3よりも
    低いキャリア濃度を有する第1のn型半導体層を形成す
    る工程と、第1のn型半導体層の表面を大気に触れさせ
    る工程と、第1のn型半導体層上に5×1017cm-3
    りも低いキャリア濃度を有する第2のn型半導体層を積
    層して第1のn型半導体層と第2のn型半導体層との界
    面に自然酸化層または不純物偏析層をキャリア障壁層と
    して形成する工程とを有していることを特徴とする半導
    体レーザ装置の製造方法。
  8. 【請求項8】 半導体基板上に活性層を含む積層構造が
    形成されている半導体レーザアレイにおいて、活性層に
    電流を注入する経路中に、キャリア密度によって障壁高
    さまたは障壁幅が周期的に変化するキャリア障壁層が設
    けられていることを特徴とする半導体レーザアレイ。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至請求項5のいずれか一項に
    記載の半導体レーザ装置、または、請求項8記載の半導
    体レーザアレイを光源として用いることを特徴とする表
    示装置。
  10. 【請求項10】 請求項1乃至請求項5のいずれか一項
    に記載の半導体レーザ装置、または、請求項8記載の半
    導体レーザアレイを光源として用いることを特徴とする
    センサシステム。
  11. 【請求項11】 請求項1乃至請求項5のいずれか一項
    に記載の半導体レーザ装置、または、請求項8記載の半
    導体レーザアレイの電源として太陽電池を用いることを
    特徴とする半導体発光装置。
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