JP2002092832A - 傾斜磁気ヘッドおよびテープ状磁気記録媒体の記録再生方法および回転型傾斜磁気ヘッド機構 - Google Patents

傾斜磁気ヘッドおよびテープ状磁気記録媒体の記録再生方法および回転型傾斜磁気ヘッド機構

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JP2002092832A
JP2002092832A JP2000280757A JP2000280757A JP2002092832A JP 2002092832 A JP2002092832 A JP 2002092832A JP 2000280757 A JP2000280757 A JP 2000280757A JP 2000280757 A JP2000280757 A JP 2000280757A JP 2002092832 A JP2002092832 A JP 2002092832A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 構造が簡素で接触特性にすぐれた傾斜磁気ヘ
ッドおよびテープ状磁気記録媒体の記録再生方法および
回転型傾斜磁気ヘッド機構を提供する。 【解決手段】 磁気テープMTを巻設可能な円筒状の回
転ドラムDRの外周面に陥設した窓部WD内に、窓部W
Dの進行方向幅よりも短い幅で、前方から後方へ徐々に
内側へ傾斜する傾斜平滑面ISP1を備える傾斜磁気ヘ
ッドIH1を、傾斜平滑面ISP1が外周面から奥まっ
た位置に露出し且つ前後両端と窓部WDの両端間に空隙
状のチャネルCh11、Ch21を形成するよう搭載
し、磁気テープMTと接触して磁気的干渉をなすヘッド
エレメントHE1を、磁気テープMTが傾斜平滑面IS
P1に接触する範囲内に配設する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、傾斜磁気ヘッドお
よびテープ状磁気記録媒体の記録再生方法および回転型
傾斜磁気ヘッド機構に関する。
【0002】
【従来の技術】テープ状磁気記録媒体に信号を記録再生
する装置として、回転するドラムに搭載した磁気ヘッド
によりテープ状磁気記録媒体上に傾斜角度を有するトラ
ックを形成させて記録し、更にこの傾斜トラックをトレ
ースして再生する、回転ドラム型のビデオカセットレコ
ーダ装置が広く使用されており、とりわけ最近ではデジ
タル規格による回転ドラム型のVTR装置が普及してい
る。
【0003】テープ状磁気記録媒体の例として、塗布式
の磁気テープがある。その構造は、プラスチックの基材
上に針状や微粒子状の磁性粉を接着剤であるバインダで
塗布した磁性層または磁性面が形成され、磁性面は高密
度記録になるに従ってその磁性面の保磁力Hc、残留磁
束密度Brが大となる傾向にあり、例えばDV規格のM
Pテ−プでは保磁力Hcが2300エルステッド、残留
磁束密度Brが3000ガウスに達している。一方、磁
性粉単体の大きさは、塗布型メタルテ−プで0.1×
1.0μmと微小化している。またテープ厚は、従来の
編集機で使用された10〜16μm程度のテープ厚か
ら、テープカセットの小型化かつ長時間記録再生の要請
でテープ厚が薄くなり、DV規格準拠のデジタルビデオ
信号用のテープ状磁気記録媒体はテープ厚が7〜8μm
となっている。したがって、こうした特性の磁気テープ
に記録/再生する装置側には、磁気テープとの物理的接
触の制御に関わる流体的干渉機能と、記録/再生に関わ
る磁気的干渉機能の両面につき工夫が為される必要があ
る。
【0004】こうした磁気テープ記録/再生装置の例と
して、回転しつつ磁気テープ媒体に記録/再生する従来
構成の回転型磁気ヘッド機構は、磁気誘導原理による磁
気ヘッドを採用している。この磁気ヘッドは両磁極が狭
小なヘッドギャップを挟んで対峙し、このヘッドギャッ
プに直角方向の至近位置に磁気テープ媒体の磁性面を配
し、記録時には両磁極の駆動により発生する磁力線が一
方の磁極からヘッドギャップおよび磁性面を経て他方の
磁極へ至る際に磁性面を構成する磁性体を磁化すること
で記録がなされ、また再生時には磁気テープ媒体の磁性
面を構成する磁性体から発生する漏洩磁束をヘッドギャ
ップを経て両磁極により捉え、磁気テープ媒体の移動に
ともない変動する際に電磁誘導で発生する起電力を検出
して再生がなされる。
【0005】ここで記録密度を高め、且つS/N比を改
善するにはヘッドギャップへの磁気テープ媒体の密着が
必要であり、しかも密着がなされつつ安定なテープの移
動を維持する必要がある。従来の構成においては、上記
の密着状態を具現するために磁気テープ媒体をヘッドギ
ャップへ押圧して接触圧を得ており、とりわけ回転型磁
気ヘッド機構では磁気テープ媒体に付与する張力により
上記の接触圧、いわゆる「当たり」を得る構成となって
いる。図15はこのような従来の回転型磁気ヘッド機構
の構成を説明する模式図である。また図16は図15に
おけるA矢視図、図17は図15におけるB矢視図であ
る。
【0006】各図に示されるように、回転型磁気ヘッド
機構100は、円筒状の回転ドラム101の円筒面の一
部分が開口するよう陥設したヘッド窓102に、ヘッド
ギャップ103を備える磁気ヘッド104を配設して、
回転方向106へ所定速度で回転する。この回転により
磁気ヘッド104も同速度で移動する。回転ドラム10
1に沿う磁気テープ媒体105には張力107が付与さ
れ、この張力107で引かれることでヘッドギャップ1
03へ押圧されつつ、磁気ヘッド104よりも遅い速度
で同方向へ進行するよう構成されている。また回転ドラ
ム101の下端には若干の距離を隔てて円筒状の固定ド
ラム111が配設されている。
【0007】ここでヘッドギャップ103と磁気テープ
媒体105との接触状態を改善するために、ヘッドギャ
ップ103周辺にある磁気テープ媒体105と接触する
面108を記録トラック方向すなわち磁気テープ走行方
向に凸の曲率109の曲面構成とし、さらにトラック幅
方向にも凸の曲率110の曲面構成とし、さらに面10
8がヘッドギャップ103とともに、回転ドラム101
の円筒面から突き出した構成とされている。この構成の
磁気ヘッド104に磁気テープ媒体105が張力107
による押圧で接触すると、磁気テープ媒体105が磁気
ヘッド104の面108に沿って凸状に変形して接触状
態が改善される。また、磁気テープ媒体105の磁気ヘ
ッド104に接触しない部分は、ヘッド窓102と回転
ドラム101と固定ドラム111間の隙間による影響で
変形することもある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来構
成の回転型磁気ヘッド機構100は、磁気テープ媒体1
05へ十分な張力107を付与し、この張力107によ
り磁気テープ媒体105を凸面状の磁気ヘッド104へ
強制的に押圧して接触状態を改善し、磁気ヘッド104
と磁気テープ媒体105間の磁気的干渉をなすことによ
り、磁気的記録または再生がなされるものであった。し
かしながら、前記のように磁気テープ媒体105を凸面
状の磁気ヘッド104へ強制的に押圧する結果、ヘッド
ギャップ103の摩耗が進行してヘッド寿命を短縮する
という問題があった。また一方において、磁気テープ媒
体105の磁性面が同様に摩耗し、また非可逆の変形が
生じてテープ寿命を短縮するという不具合があった。
【0009】このため、ヘッド寿命を延長するべく、従
来構成にあってはヘッドギャップ103の奥行、すなわ
ちギャップデプスを深く設定してマージンを設ける設計
が為されていた。これによれば、例えば当初においてギ
ャップデプスを20乃至30μmと深く構成して、摩耗
によりギャップデプスが限界値まで減るまでの時間を稼
ぎ、ヘッド寿命を延長するものである。ところが前記の
ように当初のギャップデプスを深く設定する構成では、
感度改善に限界があり、また高密度記録が抑制され、高
密度再生に限界が生じるという問題があった。また前記
の、テープ寿命を短縮するという不具合を解決する効果
を有するものではなかった。
【0010】さらに、前記の磁気誘導原理に基づく磁気
ヘッドに替わるものとして、主としてハード磁気ディス
ク装置(HDD)において適用されている、磁気抵抗効
果を利用して記録メディア上の磁界変化を極めて浅いギ
ャップデプスで検出する構成である磁気抵抗効果型(或
いは磁束応答型)のMRヘッドならびにGMRヘッド
を、テープ状磁気記録媒体へ適用するための方途を具現
するものでもなかった。
【0011】本発明は、前記のような従来技術における
問題点を解決するためなされたもので、接触圧を軽減し
つつヘッドとテープ媒体の良好な接触状態を維持して摩
耗を減少させることによりヘッド寿命およびテープ寿命
を延長し、さらに磁気抵抗効果型のヘッドのテープ媒体
へ適用を可能にする傾斜磁気ヘッド、およびテープ状磁
気記録媒体の記録再生方法、および回転型傾斜磁気ヘッ
ド機構を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記従来技術の課題を解
決するため、本発明の請求項1に係る傾斜磁気ヘッド
は、テープ状磁気記録媒体を外周面に巻設して回転可能
な回転ドラムの前記外周面に陥設され、前記回転ドラム
の回転とともに進行しつつ前記テープ状磁気記録媒体へ
接触して記録または再生する磁気ヘッドであって、前記
進行時に前記テープ状磁気記録媒体に対向する傾斜平滑
面と、前記テープ状磁気記録媒体と接触して磁気による
記録または再生の少なくとも何れかが可能な記録再生部
と、を備え、前記傾斜平滑面は、先端が前記回転ドラム
外周面を越えない位置にあり、且つ前記進行方向の前側
から後側へ向かい徐々に前記回転ドラムの回転中心方向
に傾斜する構成とされ、前記記録再生部は、前記傾斜平
滑面上の、前記テープ状磁気記録媒体が接触する範囲内
に配設されたことを特徴とする。
【0013】前記の構成によれば、傾斜磁気ヘッドの傾
斜平滑面が回転ドラム外周面よりも奥まった内周側に在
ることで凹んだ領域を形成し、回転ドラムの回転時に当
該凹んだ領域内の圧力が減少してテープ状磁気記録媒体
が傾斜平滑面に向かい誘引された状態となる。傾斜平滑
面が進行方向の前側から後側へ向かい徐々に回転ドラム
の回転中心方向に傾斜することで、傾斜平滑面上の任意
の位置における法線方向が回転ドラムの半径方向に対し
角度を張る。傾斜磁気ヘッドが回転ドラムの回転により
外周面の接線方向へ進行すると、当該角度を張った傾斜
平滑面も当該方向に進行することにより、傾斜平滑面上
の全位置において、一斉に負圧が生じる。前記の誘引に
より傾斜平滑面に接近したテープ状磁気記録媒体は、傾
斜平滑面上で一斉に生じた負圧により急速に傾斜平滑面
に吸引されて傾斜平滑面へ接触し、これにより傾斜平滑
面上に設けられた記録再生部への、テープ状磁気記録媒
体の接触圧を伴う接触がなされる。このようにして強制
力が付勢されることなく、いずれも回転ドラムの回転に
より自然発生した、凹部の誘引効果および、角度を張っ
た傾斜平滑面の負圧効果との相乗効果によって記録再生
部への接触圧が確保され、摩耗を抑えて記録または再生
がなされる。
【0014】本発明の請求項2に係る傾斜磁気ヘッド
は、テープ状磁気記録媒体を外周面に巻設して回転可能
な回転ドラムの、前記外周面に陥設された窓部内に露出
し、且つ前記窓部よりも小寸法で前記窓部の両端との間
にそれぞれ空隙を形成して搭載され、前記回転ドラムの
回転とともに進行しつつ前記テープ状磁気記録媒体へ接
触して記録または再生する磁気ヘッドであって、前記進
行時に前記テープ状磁気記録媒体に対向する傾斜平滑面
と、前記テープ状磁気記録媒体と接触して磁気による記
録または再生の少なくとも何れかが可能な記録再生部
と、を備え、前記傾斜平滑面は、先端が前記回転ドラム
外周面よりも内周側に位置し、且つ前記進行方向の前側
から後側へ向かい徐々に前記回転ドラムの回転中心方向
に傾斜する構成とされ、前記記録再生部は、前記傾斜平
滑面上の、前記テープ状磁気記録媒体が接触する範囲内
に配設されたことを特徴とする。
【0015】前記の構成によれば、回転ドラムの回転時
に、傾斜磁気ヘッドの両端と窓部の両端間に形成された
両空隙内の圧力が減少することにより、テープ状磁気記
録媒体は両空隙内に誘引されて傾斜磁気ヘッドの傾斜平
滑面により接近する状態で傾斜平滑面に至る。一方、傾
斜磁気ヘッドの傾斜平滑面が進行方向の前側から後側へ
向かい徐々に回転ドラムの回転中心方向に傾斜すること
で、傾斜平滑面上の任意の位置における法線方向が回転
ドラムの半径方向に対し角度を張る。この傾斜磁気ヘッ
ドが回転ドラムの回転により外周面の接線方向へ進行す
ると、角度を張った傾斜平滑面も当該接線方向に進行す
ることにより、傾斜平滑面上の全位置において、一斉に
負圧が生じる。前記の空隙内への誘引により傾斜平滑面
に至近位置にあるテープ状磁気記録媒体は、傾斜平滑面
上に一斉に生じた負圧により効果的に傾斜平滑面に吸引
されて傾斜平滑面へ接触し、これにより傾斜平滑面上に
設けられた記録再生部への、テープ状磁気記録媒体の接
触圧を伴う接触がなされる。このようにして強制力が付
勢されることなく、いずれも回転ドラムの回転により自
然発生した、空隙の強い誘引効果および、角度を張った
傾斜平滑面の負圧効果の相乗効果によって記録再生部へ
の接触圧が確保され、摩耗を抑えて記録または再生がな
される。
【0016】本発明の請求項3に係る傾斜磁気ヘッド
は、請求項2記載のものであって、前記傾斜平滑面の前
記先端が、前記テープ状磁気記録媒体に接触可能な位置
に配設されたことを特徴とする。
【0017】前記の構成によれば、前記のようにして誘
引されたテープ状磁気記録媒体が傾斜平滑面の前記負圧
に吸引される以前に、傾斜平滑面の先端がテープ状磁気
記録媒体に接触する。これにより後部への空気の流入が
抑制され、より良好な接触状態ならびに接触面積の拡大
が具現される。あるいは傾斜平滑面の先端がテープ状磁
気記録媒体に接触することで、接触直後における傾斜平
滑面とテープ状磁気記録媒体間に減圧状態の膨張空間が
形成され、当該減圧によりテープ状磁気記録媒体は傾斜
平滑面へ効果的に吸引され、より良好な接触状態ならび
に接触面積の拡大が具現される。
【0018】本発明の請求項4に係るテープ状磁気記録
媒体の記録再生方法は、テープ状磁気記録媒体を外周面
に巻設して回転可能な回転ドラムの、前記外周面を越え
ない位置に、前記回転による進行方向の先端側から後方
側へ向かい、徐々に前記回転ドラムの回転中心方向に傾
斜した傾斜平滑面を露出して配設し、且つ前記傾斜平滑
面上に、テープ状磁気記録媒体と接触して磁気による記
録または再生の少なくとも何れかを実行する記録再生部
を配設し、ついで前記回転ドラムに前記テープ状磁気記
録媒体を巻設させ、前記傾斜平滑面の進行にともない惹
起される負圧により前記テープ状磁気記録媒体と前記記
録再生部を接触させることにより記録または再生の少な
くとも何れかを実行することを特徴とする。
【0019】前記の記録再生方法によれば、傾斜磁気ヘ
ッドの傾斜平滑面が回転ドラム外周面よりも奥まった内
周側に凹んだ領域を形成させ、回転ドラムの回転時に当
該凹んだ領域内の圧力減少によりテープ状磁気記録媒体
が傾斜平滑面に向かい誘引される。傾斜平滑面が進行方
向の前側から後側へ向かい徐々に回転ドラムの回転中心
方向に傾斜することで、傾斜平滑面上の任意の位置にお
ける法線方向が回転ドラムの半径方向に対し角度を張
る。傾斜磁気ヘッドが回転ドラムの回転により外周面の
接線方向へ進行すると、当該角度を張った傾斜平滑面も
当該方向に進行することにより、傾斜平滑面上の全位置
において、一斉に負圧が生じる。前記の誘引により傾斜
平滑面に接近したテープ状磁気記録媒体は、傾斜平滑面
上に一斉に生じた前記負圧により急速に傾斜平滑面に吸
引されて傾斜平滑面へ接触し、これにより傾斜平滑面上
に設けられた記録再生部への、テープ状磁気記録媒体の
接触圧を伴う接触がなされる。このようにして強制力が
付勢されることなく、いずれも回転ドラムの回転により
自然発生した、凹部の誘引効果および、角度を張った傾
斜平滑面の負圧効果との相乗効果によって記録再生部へ
の接触圧が確保され、摩耗を抑えて記録または再生がな
される。
【0020】本発明の請求項5に係るテープ状磁気記録
媒体の記録再生方法は、テープ状磁気記録媒体を外周面
に巻設して回転可能な回転ドラムの、前記外周面に陥設
された窓部内に、前記窓部よりも小寸法であり、且つ前
記回転による進行方向の先端側から後方側へ向かい、徐
々に前記回転ドラムの回転中心方向に傾斜した傾斜平滑
面を、前記外周面よりも奥まった内周側の位置に露出さ
せ、且つ前記窓部の両端との間にそれぞれ空隙を形成し
て配設し、且つ前記傾斜平滑面上に、前記テープ状磁気
記録媒体と接触して磁気による記録または再生の少なく
とも何れかを実行する記録再生部を配設し、ついで前記
回転ドラムに前記テープ状磁気記録媒体を巻設させ、前
記傾斜平滑面の進行にともない惹起される負圧により前
記テープ状磁気記録媒体と前記記録再生部を接触させる
ことにより記録または再生の少なくとも何れかを実行す
ることを特徴とする。
【0021】前記の記録再生方法によれば、回転ドラム
の回転時に、傾斜磁気ヘッドの両端と窓部の両端間に形
成された両空隙内の圧力が減少することにより、テープ
状磁気記録媒体は両空隙内に誘引されて傾斜磁気ヘッド
の傾斜平滑面により接近する状態で傾斜平滑面に至る。
一方、傾斜磁気ヘッドの傾斜平滑面が進行方向の前側か
ら後側へ向かい徐々に回転ドラムの回転中心方向に傾斜
することで、傾斜平滑面上の任意の位置における法線方
向が回転ドラムの半径方向に対し角度を張る。この傾斜
磁気ヘッドが回転ドラムの回転により外周面の接線方向
へ進行すると、角度を張った傾斜平滑面も当該接線方向
に進行することにより、傾斜平滑面上の全位置におい
て、一斉に負圧が生じる。前記の空隙内への誘引により
傾斜平滑面に至近位置にあるテープ状磁気記録媒体は、
傾斜平滑面上に一斉に生じた負圧により効果的に傾斜平
滑面に吸引されて傾斜平滑面へ接触し、これにより傾斜
平滑面上に設けられた記録再生部への、テープ状磁気記
録媒体の接触圧を伴う接触がなされる。このようにして
強制力が付勢されることなく、いずれも回転ドラムの回
転により自然発生した、空隙の強い誘引効果および、角
度を張った傾斜平滑面の負圧効果の相乗効果によって記
録再生部への接触圧が確保され、摩耗を抑えて記録また
は再生がなされる。
【0022】本発明の請求項6に係るテープ状磁気記録
媒体の記録再生方法は、請求項5記載のものであって、
前記傾斜平滑面の先端を前記テープ状磁気記録媒体に接
触させることを特徴とする。よって前記の記録再生方法
によれば、前記のようにして誘引されたテープ状磁気記
録媒体が傾斜平滑面の前記負圧に吸引される以前に、傾
斜平滑面の先端がテープ状磁気記録媒体に接触する。こ
れにより後部への空気の流入が抑制され、より良好な接
触状態ならびに接触面積の拡大が具現される。あるいは
傾斜平滑面の先端がテープ状磁気記録媒体に接触するこ
とで、接触直後における傾斜平滑面とテープ状磁気記録
媒体間に減圧状態の膨張空間が形成され、当該減圧によ
りテープ状磁気記録媒体は傾斜平滑面へ効果的に吸引さ
れ、より良好な接触状態ならびに接触面積の拡大が具現
される。
【0023】本発明の請求項7に係る回転型傾斜磁気ヘ
ッド機構は、傾斜磁気ヘッドを具備し、円筒状の外周面
にテープ状磁気記録媒体を巻設して回転可能に構成され
た回転ドラムを備え、前記傾斜磁気ヘッドは、前記回転
ドラムの回転とともに進行しつつ前記テープ状磁気記録
媒体と対向する傾斜平滑面と、前記テープ状磁気記録媒
体と接触して磁気による記録または再生の少なくとも何
れかを実行する記録再生部と、を備え、前記傾斜平滑面
は、先端が前記外周面を越えない位置にあり、且つ前記
進行方向の前側から後側へ向かい徐々に前記回転ドラム
の回転中心方向に傾斜し、前記記録再生部は、前記傾斜
平滑面上の、前記テープ状磁気記録媒体が接触する範囲
内に配設されたことを特徴とする。
【0024】前記の構成によれば、傾斜磁気ヘッドの傾
斜平滑面によって回転ドラム外周面よりも奥まった内周
側に凹んだ領域が形成され、回転ドラムの回転時に当該
凹んだ領域内の圧力が減少してテープ状磁気記録媒体が
傾斜平滑面に向かい誘引されて接近する。これを第1段
階とする。傾斜平滑面が進行方向の前側から後側へ向か
い徐々に回転ドラムの回転中心方向に傾斜することで、
傾斜平滑面上の任意の位置における法線方向が回転ドラ
ムの半径方向に対し角度を張る。傾斜磁気ヘッドが回転
ドラムの回転により外周面の接線方向へ進行すると、当
該角度を張った傾斜平滑面も当該方向に進行することに
より、傾斜平滑面上の全位置において、一斉に負圧が生
じ、前記誘引により傾斜平滑面に接近したテープ状磁気
記録媒体は、傾斜平滑面上の前記一斉に発生した負圧に
より急速に傾斜平滑面に吸引されて傾斜平滑面へ接触
し、これにより傾斜平滑面上に設けられた記録再生部へ
の、テープ状磁気記録媒体の接触圧を伴う接触がなされ
る。これを第2段階とする。このようにして強制力が付
勢されることなく、いずれも回転ドラムの回転により自
然発生した、第1段階での凹部の誘引効果および、第2
段階での傾斜平滑面の負圧効果との相乗効果によって記
録再生部への接触圧が確保され、摩耗を抑えて記録また
は再生がなされる。
【0025】本発明の請求項8に係る回転型傾斜磁気ヘ
ッド機構は、円筒状の回転ドラムを備え、前記回転ドラ
ムは、テープ状磁気記録媒体を巻設して回転する外周面
と、前記外周面中に開設された窓部と、前記窓部よりも
小寸法で、前記窓部内に、前後両端がそれぞれ前記窓部
の前後両端との間に空隙を形成して配設され、前記外周
面の回転とともに所定の進行方向へ進行する傾斜磁気ヘ
ッドと、を具備し、前記傾斜磁気ヘッドは、先端が前記
回転ドラム外周面よりも内周側に位置し、且つ前記進行
方向の前側から後側へ向かい徐々に前記回転ドラムの回
転中心方向に傾斜し、前記進行時に前記テープ状磁気記
録媒体に対向する傾斜平滑面と、前記傾斜平滑面上の、
前記テープ状磁気記録媒体が接触する範囲内に配設さ
れ、前記テープ状磁気記録媒体と接触して磁気による記
録または再生の少なくとも何れかが可能な記録再生部
と、を備えたことを特徴とする。
【0026】前記の構成によれば、回転ドラムの回転時
に、傾斜磁気ヘッドの両端と窓部の両端間に形成された
両空隙内の圧力が減少し、テープ状磁気記録媒体が傾斜
平滑面に向かい効果的に誘引されて接近する。これを第
1段階とする。傾斜平滑面が進行方向の前側から後側へ
向かい徐々に回転ドラムの回転中心方向に傾斜すること
で、傾斜平滑面上の任意の位置における法線方向が回転
ドラムの半径方向に対し角度を張る。傾斜磁気ヘッドが
回転ドラムの回転により外周面の接線方向へ進行する
と、当該角度を張った傾斜平滑面も当該方向に進行する
ことにより、傾斜平滑面上の全位置において、一斉に負
圧が生じ、誘引により傾斜平滑面に至近位置にあるテー
プ状磁気記録媒体が前記一斉に生じた負圧により効果的
に傾斜平滑面に吸引されて傾斜平滑面へ接触し、傾斜平
滑面上に設けられた記録再生部への、テープ状磁気記録
媒体の接触圧を伴う接触がなされる。これを第2段階と
する。このようにして強制力が付勢されることなく、い
ずれも回転ドラムの回転により自然発生した、第1段階
による空隙の強い誘引効果および、第2段階による傾斜
平滑面の負圧効果の相乗効果によって記録再生部への接
触圧が確保され、摩耗を抑えて記録または再生がなされ
る。
【0027】本発明の請求項9に係る回転型傾斜磁気ヘ
ッド機構は、請求項8記載のもので、前記傾斜平滑面の
先端を前記テープ状磁気記録媒体に接触させる構成とす
るから、前記のようにして誘引されたテープ状磁気記録
媒体が傾斜平滑面の前記負圧に吸引される以前に、傾斜
平滑面の先端がテープ状磁気記録媒体に接触する。これ
により後部への空気の流入が抑制され、より良好な接触
状態ならびに接触面積の拡大が具現される。あるいは傾
斜平滑面の先端がテープ状磁気記録媒体に接触すること
で、接触直後における傾斜平滑面とテープ状磁気記録媒
体間に減圧状態の膨張空間が形成され、当該減圧により
テープ状磁気記録媒体は傾斜平滑面へ効果的に吸引さ
れ、より良好な接触状態ならびに接触面積の拡大が具現
される。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、この発明の好適な実施形態
を添付図を参照して詳細に説明する。なお、以下に述べ
る実施形態は、この発明の本質的な構成と作用を示すた
めの好適な例の一部であり、したがって技術構成上好ま
しい種々の限定が付されている場合があるが、この発明
の範囲は、以下の説明において特にこの発明を限定する
旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものでは
ない。
【0029】図1は、本発明に係る回転型傾斜磁気ヘッ
ド機構の第1の実施形態の要部を示す模式斜視図であ
る。図2は、図1に示され、また本発明の一実施形態で
もある傾斜磁気ヘッドの構成の説明図である。図3は、
図2におけるA矢視図である。図4は、本実施形態の構
成にいたるまでの実験試行の説明図である。図5は、図
4に続く実験試行の説明図である。図6は、傾斜平滑面
上および磁気テープ面上に形成されるエアフィルムの説
明図である。図7は、図2に示される傾斜平滑面と磁気
テープの流体的干渉の説明図である。以下、図1〜図7
に基づき回転型傾斜磁気ヘッド機構RHA1の構成と動
作を説明する。
【0030】図1に示されるように、本実施形態に係る
回転型傾斜磁気ヘッド機構RHA1は、略同一の直径を
有して夫々が円筒面を有する円筒形状の回転ドラムDR
及び固定ドラムDFが同軸に、且つ夫々の円筒面の一方
の縁端を対向させ近接して配置され構成される。回転ド
ラムDRは回転可能な上ドラムであり、固定ドラムDF
はシャーシやフレームに固定された下ドラムである。回
転ドラムDRは軸中心に回転可能な円筒を外周面として
備え、図示されない駆動手段により、外周面が線速度V
dで進行するように高速回転される。外周面の下部の所
定位置には、複数の窓WDが穿設され、各々の窓WD内
に傾斜磁気ヘッドIH1が嵌設されている。なお図解を
容易にするため他の窓と傾斜磁気ヘッドの図示を省略し
ている。
【0031】このような構造の回転ドラムDRの外周面
と固定ドラムDFの外周面にわたり磁気テープ(テープ
状磁気記録媒体)MTが巻設される。また固定ドラムD
Fには、磁気テープMTの走行路を規制するためのリー
ドLdが形成されている。
【0032】磁気テープMTは固定ドラムDFのリード
Ldに沿い、所定の角度を張るように回転ドラムDRに
巻設され、さらに不図示の張力制御手段により張力Ts
が付勢され、磁気テープMTは回転ドラムDRの回転時
に、線速度Vmt(Vmt<Vd)で外周面の進行方向
と同方向に進行してヘリカルスキャン方式で磁気記録/
再生される。
【0033】回転ドラムDRの外周面への磁気テープM
Tの巻設は、回転ドラムDRの回転時に例えば略半周分
だけ巻き付けられ、他の半周分は磁気テープMTが巻き
付けられず開放状態で移動し、続く半周において再び磁
気テープMTと対向する過程を反復する。
【0034】図1〜図3に示されるように、傾斜磁気ヘ
ッドIH1はひとつの面が傾斜面を形成する略直方体形
状で、回転ドラムDR中心から径方向の高さは窓WDの
高さ(外周面の位置)より所定距離だけ回転中心側に奥
まった位置にあり、且つ磁気テープMTに対向可能な傾
斜平滑面ISP1を有して、回転ドラムDRの回転にと
もない所定速度で進行する際に、対向する磁気テープM
Tと流体的干渉を為すよう構成されている。
【0035】図2および図3に示されるように、傾斜平
滑面ISP1は進行方向前方先端のエッジEjh11が
回転ドラムDR外周面よりも内周側に位置し、且つエッ
ジEjh11から後端のエッジEjh21に向かい、傾
斜角度θ1で徐々に回転中心側へ傾斜した構造を有す
る。このように傾斜平滑面ISP1上の任意の位置にお
ける法線方向が回転ドラムDRの半径方向に対し角度を
張る。上記の構成により、傾斜平滑面ISP1の全ての
部分は窓WDの高さ(外周面の位置)を越えない、回転
ドラムDR中心側に収まる。
【0036】傾斜平滑面ISP1はフェライト、センダ
スト、アモルフォス合金などの磁性体及びセラミックス
等によるサブストレート材で平滑に仕上げ加工がなさ
れ、さらに傾斜平滑面ISP1上には、磁気テープMT
と磁気的干渉を為す記録再生部であるヘッドエレメント
HE1が、磁気テープMTが接触する範囲内にあって傾
斜平滑面ISP1から突出しないよう配設されている。
【0037】ヘッドエレメントHE1は、回転ドラムD
Rが所定方向に回転している際に、傾斜平滑面ISP1
に吸引される磁気テープMTの不図示の磁性面に接触
し、磁気的干渉により磁性面に磁気記録または再生す
る。このヘッドエレメントHE1は、例えば磁気誘導原
理によるヘッドの場合にはヘッドギャップとして形成さ
れる。ここで回転ドラムDRの回転時の外周面上の線速
度はVdであるから、傾斜磁気ヘッドIH1のヘッドエ
レメントHE1も略、線速度Vdで移動する。磁気テー
プMTはこれと同方向にこれより遅い線速度Vmtで進
む。この速度の差(ベクトル差)が、磁気テープMTに
対するヘッドエレメントHE1の実質速度となる。
【0038】また傾斜平滑面ISP1の少なくとも進行
方向の長さ寸法は窓WDの長さ寸法より小さく設定され
る。この結果、傾斜平滑面ISP1の前後両端と窓WD
の前後両端間には空隙状のチャネルCh11およびCh
21がそれぞれ形成されている。とりわけ本実施形態で
はチャネルCh11の進行方向の幅(すなわち長さ)と
チャネルCh21の進行方向の幅(長さ)とが等しく構
成されている。
【0039】傾斜磁気ヘッドIH1本体はその底部を回
転ドラムDRの窓WDの底部に支持されるよう取り付け
られるか、或いは回転ドラムDRの窓WDの側面に支持
されるよう嵌挿して取り付けられる。したがって傾斜磁
気ヘッドIH1本体は、ヘッドエレメントHE1を含む
電磁気的機構および傾斜平滑面ISP1と、取付支持機
構とを一体とした構成か、または、ヘッドエレメントH
E1を含む電磁気的機構および平滑面が形成された直方
体状のヘッド機構と、この平滑面を傾斜させた状態で傾
斜平滑面ISP1を形成するようヘッド機構を取り付け
る、角度形成を司る取付支持機構との合体で構成するよ
うにする。
【0040】なお上記では1基の回転ドラムDRと、そ
の下方に配設された1基の固定ドラムDFから成る構成
を示したが、これに限定されることなく例えば中ドラム
回転型に代表される、3基以上から成る構成の磁気ヘッ
ド機構であっても差し支えない。
【0041】以下、回転型磁気ヘッド機構RHA1の動
作を説明する。先ず、エアフィルムの形成動作につき説
明する。回転ドラムDRに磁気テープMTが巻設されな
い無負荷の場合を想定すると、回転ドラムDRの回転に
伴い、線速度Vdで移動する回転ドラムDRの外周面上
と、略同一の線速度Vdで移動する傾斜磁気ヘッドIH
1の傾斜平滑面ISP1上には、夫々空気層(エアフィ
ルム)が形成される。さらに、線速度Vmtで移動する
磁気テープMTの表面にもエアフィルムが形成される。
これらエアフィルムは法線方向に厚みを有する。
【0042】回転ドラムDRの外周面に最も近い空気
の、回転ドラムDRに対する相対速度はゼロであり、し
たがってエアフィルムの中でも外周面に接する第1の薄
い厚さの空気層は回転ドラムDRの表面と同じか、また
はそれに近い線速度で移動するが、同じエアフィルム中
でその上に形成された第2の空気層は、空気の粘性によ
り第1の空気層の線速度が維持されず、それよりも遅い
線速度で移動する。これは外周面上から測った相対速度
が発生したことになる。したがって相対速度分だけ遅れ
る。以下同様に、第3の薄い厚さの空気層以降は相対速
度の絶対値が順に増大し、したがって遅れは順に増大
し、同じエアフィルム中の最も外周面から離れた第nの
薄い厚さの空気層の相対速度の絶対値は最大になり、第
1の薄い空気層の線速度の絶対値に等しくなったところ
でエアフィルムが消え、線速度がゼロの環境空気(静止
した空気)となる。ここでエアフィルム中の空気層の状
態は、外周面に近い空気層が形成する層流域から、端面
から離れるにつれ乱流域へ遷移する。
【0043】回転ドラムDRは前記のように、回転の半
周分を磁気テープMTと対向しない開放状態(無負荷状
態)で移動し、外周面にエアフィルムを形成しながら回
転を続行し、続く半周において巻設された磁気テープM
Tと対向する。一方、磁気テープMTも速度Vmtで移
動することにより、表面にエアフィルムが形成される。
【0044】つぎに、高速回転する回転ドラムDRの外
周面に磁気テープMTが巻設された場合を説明する。線
速度Vmtで進行する磁気テープMTにはテープ巻取り
側等に設けられた不図示のテンションアーム等から引か
れて張力Tsが付与されている。従来の回転ヘッドにお
いては、この張力(テンション)を強く設定して磁気テ
ープMTをヘッドに強制的に押圧し接触させる構成とさ
れたが、本発明の構成では磁気テープMTをヘッドに強
制的に押圧して接触させることのない、適切な張力Ts
を付与するよう運用される。これにより回転ドラムDR
に負荷が付与される。回転ドラムDR外周面に磁気テー
プMTが巻設されると、両者間にベルヌーイ法則にした
がう流体的干渉が発生する。
【0045】回転ドラムDR外周面に形成されたエアフ
ィルムと、磁気テープMT表面に形成されたエアフィル
ムは、回転ドラムDRの外周面と磁気テープMTが対向
した際に合体され、所定の張力で引かれている磁気テー
プMTと回転ドラムDR外周面との間に、線速度Vdと
線速度Vmt間の新しい平均線速度を有する合体エアフ
ィルムが生成され、これが回転ドラムDR外周面と磁気
テープMT間に流れるエアストリーム(空気流)として
観察される。磁気テープMTから測った合体エアフィル
ムの線速度は線速度Vmtより大であるが、回転ドラム
DR外周面の表面粗度は、磁気テープMTの膠着(クリ
ンギング)を回避し、且つ磁気テープMTを回転ドラム
DR外周面から浮かせる目的でヘッドの粗度よりも粗く
仕上げられていることで乱流状態を発現しやすく、合体
エアフィルムが仮想的な空気塊で構成されたとみた場合
に各空気塊の速度方向は異なり分散して一致しない。よ
ってベルヌーイ法則における運動エネルギー項の増加は
抑制され、圧力項の低下すなわち減圧効果も、後述する
ヘッド面上での減圧よりも軽減される。この結果、回転
ドラムDR外周面はエアストリームを挟んで、所定の張
力で引かれている磁気テープMTを浮かせた状態で、磁
気テープMTを膠着させることなくスライドして移動す
ることができる。傾斜平滑面ISP1上のエアフィルム
については後述する。
【0046】つぎにチャネルCh11、およびCh21
の作用を説明する。チャネルCh11は、磁気テープM
Tの軌跡制御を目的とするもので、その作用は例えば以
下のような説明が可能である。なおチャネルCh21の
作用についても略同様である。
【0047】回転ドラムDRと傾斜磁気ヘッドIH1間
の空隙状のチャネルCh11は、回転ドラムDRの回転
時に外周面周辺に生じる空気流の流線と鉛直方向に形成
されていて、その作用はベンチュリ管の作用に準じて説
明される。上記の回転状態においてチャネルCh11は
静止した環境空気に対して高速移動していることによ
り、チャネルCh11内側から観察すると逆に、環境空
気の高速移動流がチャネルCh11の開口部の外側を略
直角方向に通過していることになる。チャネルCh11
は狭小の通路を構成するから、ベンチュリ効果によりチ
ャネルCh11内は減圧される。この減圧は、チャネル
Ch11内の空気が誘出されることにより生じる。ここ
でチャネルCh11は、途中の壁部から底部に至り閉じ
られた構成でも、或いは底部が開口するか、途中の壁部
が一部開放された構成の何れであっても、程度の差はあ
れ減圧が生じる。これは空気塊間のエネルギー伝達に抵
抗と時間遅れが存在することに起因するもので、このよ
うな局所的な圧力勾配の生成は気体状の流体に一般的な
現象である。
【0048】高速移動状態にある空隙状のチャネルCh
11周辺の空気流は、定常状態においてもエディカレン
トの生成等で極めて複雑であるが、マクロ的に把える
と、上記の誘出空気流はチャネルCh11端面に沿うよ
うに流路形成されてチャネルCh11外へ誘出され、一
方においてチャネルCh11開口部の流路抵抗が低い中
央部分から環境空気がチャネルCh11内へ導入され、
この差分が定常的な減圧を形成するものと考えられる。
【0049】このような本実施形態のチャネル構成にい
たるまでの実験試行を、図4および図5に基づき経緯説
明する。図4は、回転ドラムDRの窓WD内に配設した
傾斜磁気ヘッドIHを、磁気テープMTとの流体的干渉
をなしえない程度に奥まった位置に置いた際の実験結果
の説明図である。この構成にあっては、窓WD全体が幅
広の1個のチャネルまたは凹部として作用し、幅広ゆえ
に前記のように窓WDによる負圧ΔP4は小さく、よっ
て磁気テープMTが窓WDを渡る際の誘引軌跡の撓みは
小さく観察された。このとき磁気テープMTの剛性およ
び慣性により、誘引軌跡の撓みのピークpkは窓WDの
中央部に現出するのではなく、中央部よりも進行方向の
後方に形成されることが観察された。
【0050】ついで図5に示されるように、窓WDの中
央部にその中心を置いた傾斜磁気ヘッドIHの位置を外
周側へ移動させて、傾斜平滑面ISPと仮想の外周面と
の距離dL5を若干浅くし、しかも磁気テープMTとの
流体的干渉をなしえない位置に置くと、窓WDの内部が
傾斜磁気ヘッドIHにより分断され、略同幅の2個のチ
ャネルCh1’、Ch2’が形成される。ただしチャネ
ルCh1’、Ch2’は何れも後述する本格的なチャネ
ルCh1、Ch2への過渡的状態であるから、それらの
減圧(負圧)ΔP51、ΔP52はまだ小さく、よって
磁気テープMT軌跡の十分な誘引効果が得られないもの
の、前記図4の誘引軌跡に比してさらなる誘引効果が観
察された。また誘引軌跡の撓みのピークpkは前記同
様、中央部よりも進行方向の後方に形成されることが観
察された。一方、傾斜平滑面ISP上にはエアフィルム
が形成されるが、磁気テープMTとの距離が遠いゆえ未
だ吸引効果が及ばないことが観察された。
【0051】こののち、傾斜磁気ヘッドIHの位置をさ
らに外周側へ移動させて、傾斜平滑面ISPと仮想の外
周面との距離を前記よりさらに浅くし、図3に示される
位置に置くと、本格的なチャネルCh1、Ch2が形成
され、それらの減圧(負圧)は大になり、よって磁気テ
ープMT軌跡の十分な誘引効果が得られることが観察さ
れた。
【0052】図3に戻り、ここで形成される減圧は、チ
ャネルCh11の開口部の外側を渡るように流れる空気
流の線速度を一定とすると、主としてチャネルCh11
の幅に依存する。すなわち空気流が同一線速度の場合、
幅が狭いチャネルに形成される減圧の絶対値は、幅が広
いチャネルに形成される減圧の絶対値よりも大となる。
したがってベルヌーイ法則に基づき形成される減圧が所
定値となるように、チャネルCh11の幅を設計するよ
うにできる。チャネルCh21についても同様である。
【0053】上記のように回転ドラムDRの回転時にチ
ャネルCh11、Ch21に減圧が形成されると、チャ
ネルCh11、Ch21を渡る磁気テープMTがチャネ
ル側へ誘引されて軌跡が内側へ撓み、傾斜磁気ヘッドI
H1の傾斜平滑面ISP1により接近する状態となる。
これが本実施形態の構成による第1の効果である。した
がってチャネルCh11、Ch21により磁気テープM
Tの軌跡を制御して、傾斜平滑面ISP1への磁気テー
プMTの進行軌跡を制御することができる。
【0054】つぎに図6にもとづき、傾斜平滑面ISP
1上と磁気テープMTの表面上でのエアフィルムの形成
動作につき説明する。回転ドラムDRの回転に伴い、線
速度Vdで移動する回転ドラムDRの外周面上と略同一
の線速度Vdで移動する傾斜磁気ヘッドIH1の傾斜平
滑面ISP1上では、傾斜平滑面ISP1とともに空気
が移動し、空気流が形成されるが、この空気流がヘッド
側エアフィルムAfhとなる。ヘッド側エアフィルムA
fhは傾斜平滑面ISP1とともに移動し、法線方向に
厚みを有して、複数の薄い空気層から構成されるとして
扱うことができ、薄い空気層間で前述したエアポケット
の伝達により負圧が伝達される結果、進行方向と直角の
高さ方向にエネルギ伝達効率に基づく速度勾配が生じ
る。したがって高さ(厚み)の増加に伴い速度が減少
し、ある高さ(このエアフィルムの限界厚)で速度を失
いエアフィルムが消滅する。
【0055】一方、磁気テープMTの表面とこれに接す
る空気塊(不図示)間には分子間引力が作用して、これ
ら空気塊は磁気テープMTの表面上に吸着されており、
磁気テープMTの線速度Vmtでの移動にともない表面
上にテープ側エアフィルムAfmが形成される。
【0056】ついで図3に基づき、また前述した各図を
参照して回転ドラムDRの高速回転下で磁気テープMT
が傾斜平滑面ISP1の面上に近接する際の流体的干渉
および磁気的干渉につき説明する。回転ドラムDR外周
面に磁気テープMTが巻設されると、とりわけ窓部WD
内のチャネルCh11、Ch21と磁気テープMT間、
さらに傾斜磁気ヘッドIH1の傾斜平滑面ISP1と磁
気テープMT間に、流体的干渉が発生する。チャネルC
h11、Ch21と磁気テープMT間の流体的干渉は前
述した通りである。
【0057】図7は、傾斜平滑面と磁気テープの流体的
干渉の説明図である。磁気テープMTは磁性体側がヘッ
ドの傾斜平滑面ISP1に対向するが、磁性体は傾斜平
滑面ISP1上への膠着(クリンギング)を回避する目
的で意図的に粗面に形成されることにより、微小な凹凸
が存在し、この磁性体上に分子間引力で吸着されてい
る、テープ側エアフィルムAfmを構成する空気塊ap
1〜ap3が、ヘッド側エアフィルムAfhのエアポケ
ットに取り込まれることにより、また同時にヘッド側エ
アフィルムAfh内にあっても傾斜平滑面ISP1から
遠い位置の空気塊ap4、ap5などが、より近い位置
のエアポケットに取り込まれることにより、ヘッド側エ
アフィルムAfhおよびテープ側エアフィルムAfmの
両方の厚みが減少する。また傾斜平滑面ISP1と磁気
テープMTとの対向距離が増大するにつれ、ヘッド側エ
アフィルムAfhとテープ側エアフィルムAfmは合体
されて合体エアフィルムとなるが、合体エアフィルム内
においても負圧の伝達がなされて厚みが減少する。この
結果、磁気テープMTが傾斜平滑面ISP1へ吸い寄せ
られる。
【0058】上記のような流体的干渉は巨視的に、ベル
ヌーイ法則に従う減圧による効果として説明される。ベ
ルヌーイ法則(広義のエネルギー保存則である)では、
空気の運動エネルギーと圧力の和を一定とする。記号*
*を2乗として、P+v**2/2ρ=cоnstと示
される。ρは空気の比容である。運動エネルギー項が増
大すると、圧力項の低下すなわち減圧効果が大となる。
なおポテンシャル項は省略してある。この減圧が対向す
る各部分において発生し、よって全体としてヘッドの傾
斜平滑面ISP1に磁気テープMTが吸い付けらる。
【0059】ここで傾斜平滑面ISP1に対向し接触す
る磁気テープMTの磁性面(不図示)は、傾斜平滑面I
SP1への膠着を避けるべく、傾斜平滑面ISP1の表
面粗度よりも粗く形成されているから、傾斜平滑面IS
P1に接触しても磁気テープMTが膠着されることがな
く、両者の凹凸が部分的に接触する状態となる。
【0060】このように、傾斜平滑面ISP1と磁気テ
ープMTの凹凸が部分的に接触することにより、ヘッド
エレメントHE1と磁気テープMTが磁気的干渉が可能
な距離に維持される(図中、ctp11で示される位置
から後方)状態になって、両者間の磁気的干渉により磁
気テープMTの磁性面への記録/再生がなされる。磁気
テープMTは、作用する種々の力によって決まる接触範
囲(図3の接触点ctp11〜ctp21間)にわたり
傾斜平滑面ISP1と接触し、この間にヘッドエレメン
トHE1に接触して磁気的干渉し、記録/再生がなされ
るから、ヘッドエレメントHE1は磁気テープMTの上
記接触点ctp11〜ctp21の範囲内に配設するよ
うにすればよい。
【0061】磁気テープMTは、傾斜平滑面ISP1と
の接触範囲の後端において、前述した付勢されている張
力と、エネルギ減衰したエアフィルムによる減圧との均
衡がくずれることにより、傾斜平滑面ISP1から離脱
してチャネルCh21を渡り、窓WDの後部エッジEj
wを越えて回転ドラムDRの外周面へ至り、外周面上の
エアフィルムに載ってさらに進行方向後方に至る。
【0062】上記のように本実施形態の構成では傾斜平
滑面ISP1と磁気テープMTとの流体的干渉を特徴と
するが、とりわけ平滑面を、従来のフラットヘッドにお
けるような法線方向を回転ドラムの半径方向に合致させ
る構成ではなく、角度を張って傾斜させることにより、
顕著な効果を具現するものである。この特徴は傾斜平滑
面ISP1上での負圧形成にある。さらに加えて、傾斜
平滑面ISP1と磁気テープMTとの特徴的な位置関係
にある。前者の、傾斜平滑面ISP1上での負圧形成を
以下、図8にもとづき微視的に説明する。
【0063】傾斜平滑面ISP1上に存在する空気中で
微小な容積を占める空気を仮想的な塊とし、これを空気
塊a1〜aNとする。空気塊a1〜aNは図中、点線の
円で示される。さらにこれら空気塊a1〜aNの外側に
不図示の空気塊が存在する。これら隣接する空気塊間の
力の伝達には抵抗が作用し、また時間遅れを伴うが、こ
の性質が空気の粘性、または粘性抵抗として説明され
る。
【0064】傾斜平滑面ISP1には表面加工の限界か
ら微小な凹凸が存在し、その平均的な傾斜角度θ1を張
って不図示の磁気テープとの相対速度V’で移動する
が、移動前の傾斜平滑面ISP1が点線の凹凸を有する
曲線で、移動後の傾斜平滑面ISP1’が実線の曲線
で、それぞれ示されている。傾斜平滑面ISP1の表面
とこれに接する空気塊a1〜aN間には分子間引力が作
用して、これら空気塊は傾斜平滑面ISP1の凹凸を有
する表面上に吸着されている。
【0065】傾斜平滑面ISP1が急速移動して傾斜平
滑面ISP1’となると、傾斜平滑面ISP1’の表面
の空気塊a1〜aNが存在した位置に減圧された仮想的
なエアポケットa1’〜aN’が生じる。これらのエア
ポケットa1’〜aN’は元の位置にある空気塊a1〜
aNをそれぞれ取り込むことで埋められるが、これによ
り吸引された空気塊a1〜aNが在った位置につぎの減
圧されたエアポケットの列が生じ、周辺の隣接空気塊を
吸引する。このように次々にエアポケットの発生が伝搬
されるが、その際に生じるエネルギの損失(たとえば空
気塊の振動や温度上昇など)によりエアポケットの減圧
状態は徐々に環境圧に近づき、やがてエアポケットの発
生がなくなる。前記の粘性抵抗はこうしたエネルギ伝達
効率の別の説明である。
【0066】上記において、傾斜平滑面ISP1が角度
θ1を張って移動することにより、凹凸を有する傾斜平
滑面ISP1の表面上の各位置には一斉にエアポケット
a1’〜aN’が生じて負圧が発生する。これにより空
気塊a1〜aNは一斉に吸引され、これが外側の空気塊
に順に伝達されて効率的に磁気テープを引込み、傾斜平
滑面ISP1へ接触させる。このように傾斜した面を用
いる構造により、傾斜面上の凹凸状態にもよるが、傾斜
面上の殆ど全ての空気塊が、しかも一斉にエアポケット
の生成に関与するのが、本発明の特徴である。負圧生成
に関与する空気塊が、たとえば面の接線方向を進行方向
に一致させた従来構成によるフラットヘッドに比して増
加することは構造的にも明らかであり、この結果、表面
層の更新が効率的になされて負圧効果が促進される。
【0067】一方、傾斜平滑面ISP1の外から、例え
ば磁気テープ側からは、空気塊のV’方向への移動はベ
クトル分解から傾斜平滑面ISP1に沿った空気流とし
て観察されることになる。そして巨視的にはこの空気流
による、ベルヌーイ法則に基づいた減圧として前記が説
明されることになる。
【0068】つぎに後者の、傾斜平滑面ISP1と磁気
テープMTとの特徴的な位置関係を説明する。図3〜図
5において示したように、窓WDを渡る磁気テープMT
は前述した誘引により内側へ向かい軌跡が撓み、ピーク
pkを有する山状を呈する。従来構成によるフラットヘ
ッドは磁気テープMTのこの山状のピークpk部分と流
体的干渉および磁気的干渉することを意図して構成され
ていた。本発明の構成ではこれと異なり、磁気テープM
Tの軌跡につき、裾から山頂に至る山腹に相当する部分
に対して流体的干渉および磁気的干渉するよう位置され
ている。これは磁気テープMTの裾から頂に至る山腹の
平均的角度と、傾斜平滑面ISP1の有する傾斜角度と
の相関を利用したものであり、両者の位置関係を利用す
るものである。この結果、磁気テープMTが傾斜平滑面
ISP1に吸引され易く、しかも長い距離にわたって接
触状態、または安定した磁気的干渉が可能な距離の維持
がなされる。これにより良好かつ安定した流体的干渉
と、性能的に優れた磁気的干渉を具現することができ、
また広い作動可能範囲を実現できる。
【0069】このように図3に示される実施形態では、
2段階によって傾斜平滑面ISP1上の磁気テープMT
の流体的干渉および磁気的干渉が実現される。すなわち
第1段階ではチャネルの減圧効果によって磁気テープM
Tが、奥まった位置にある傾斜平滑面ISP1へ向けて
誘引され、ついで第2段階で、傾斜平滑面ISP1上に
傾斜を利用して高効率で形成されているエアフィルム
が、誘引されてきた磁気テープMTを吸引して傾斜平滑
面ISP1に接触させる。この際に、第1段階による誘
引で磁気テープMTは傾斜平滑面ISP1に十分接近で
きることで、傾斜平滑面ISP1と磁気テープMT間の
空気の流路が狭くなり、第2段階においてこの狭まった
流路を流れるエアフィルムの減圧効果がさらに効率的に
作用して、より短いリード距離で接触が実現される。加
えてさらに、上記の磁気テープMT軌跡と傾斜平滑面I
SP1の位置関係が寄与する。このように第1段階の効
果と第2段階の効果との相乗効果を実現するのが本実施
形態の特徴である。
【0070】さらに本実施形態では磁気テープMTへの
接触圧の発生は回転にともない自動的に生成される空気
流によって発生する流体力学的な作用に基づいており、
よって接触のための強制力を加える必要がないのが特徴
である。このように接触状態が具現されると、ヘッドエ
レメントHE1による磁気テープMTへの摩耗のない磁
気的干渉すなわち磁気記録/磁気再生が安定して実行さ
れる。
【0071】ところで、例えばテープ基体の剛性や慣性
などにより稼働条件に変動がある場合などに、磁気テー
プMTが窓WDの後部エッジEjwに衝突的に接触する
可能性がある。そこで、磁気テープMTの磁性面そのも
のが耐衝撃性および耐摩耗性にすぐれたものでなく、或
いは磁性面をテープ基体へ接着する接着剤の特性がとり
わけすぐれたものでない一般的な磁気テープMTを適用
する場合は、磁気テープMTに衝撃を与えないための対
応策を構じておくことが好ましい。そこで、この磁気テ
ープMTへの衝撃を回避するため、窓WDの後部エッジ
Ejwを例えば図3に示されるように曲率付きのエッジ
で構成する。このようにエッジを曲率付きにすることに
より、たとえ衝撃が発生しても磁気テープMTの保護が
可能になる。
【0072】したがって本実施形態の回転型傾斜磁気ヘ
ッド機構RHA1の設計手順としては、磁気テープMT
が窓部WDの先端エッジを摺過せず、さらに傾斜磁気ヘ
ッドIH1の先端エッジEjh11に衝突することな
く、傾斜平滑面ISP1上に吸引されて接触し、ついで
傾斜平滑面ISP1の後部で接触を解いて、窓部WDの
後端エッジEjwに衝突・摺過することなく乗り越えが
可能なように、窓部WDの幅長、傾斜磁気ヘッドIH1
の内周側への後退距離(奥まりの深さ)、傾斜平滑面I
SP1の全長、傾斜角度θ1、チャネルCh11および
チャネルCh21の幅長を最適設定するようにし、この
ようにして傾斜磁気ヘッドIH1の寸法と位置を決定の
のち、磁気テープMTが傾斜平滑面ISP1と接触する
範囲内の位置に、ヘッドエレメントHE1を配設するよ
うに設計する。
【0073】上記のように本実施形態の構造は、回転ド
ラムDRを回転させるだけで、自然発生する空気流によ
る上記第1段階の効果および第2段階の効果の相乗効果
を具現するから、ヘッド接触圧を極めて小さくできる。
したがって摩耗が極めて小さいから、ヘッドエレメント
HE1として磁気誘導型ヘッドすなわちヘッドギャップ
を備える構成のヘッドを適用する場合、ギャップデプス
を浅く数μm程度に構成できる。これにより従来のよう
に摩耗を鑑みた深いマージンを想定する必要がなくなる
ことで、ヘッド使用の初期から直ちに最適条件での記録
/再生ができ、高記録密度の記録/再生が可能になる。
またヘッド自体を小型化でき、且つ長寿命にすることが
できる。さらにヘッド接触圧が極めて小さいことで、磁
気テープの長寿命化をも同時に実現できる。
【0074】図9は、本発明に係る回転型磁気ヘッド機
構の第2の実施形態の構成の説明図である。図10は、
図9に示される傾斜平滑面への磁気テープの接触の説明
図である。また以下の説明で、前記実施形態におけると
同じ部分には前記と同一符号を付けて、前記実施形態で
述べた図と説明を援用する。
【0075】図9に示されるように、本実施形態に係る
回転型磁気ヘッド機構RHA2は円筒状の外周面の回転
ドラムDRを備え、この外周面に窓部WDを開設し、窓
部WD内の中央に、窓部WDよりも小寸法の傾斜磁気ヘ
ッドIH2を配設する。傾斜磁気ヘッドIH2の前後両
端と窓部WDのそれぞれ前後両端との間に略同一幅の空
隙状のチャネルCh12、Ch22が形成されている。
【0076】回転ドラムDRの外周面は、磁気テープM
Tを巻設して接線方向に所定線速度Vdで回転し、この
外周面の回転とともに傾斜磁気ヘッドIH2も所定の進
行方向へ進行する。傾斜磁気ヘッドIH2は、回転ドラ
ムDRの回転とともに移動しつつ磁気テープMTと対向
して流体的干渉をなす傾斜平滑面ISP2と、この傾斜
平滑面ISP2上にあって記録再生部として機能し、磁
気テープMTと接触して磁気的干渉をなすことにより記
録または再生の少なくとも何れかを実行するヘッドエレ
メントHE2とを備える。
【0077】ここで傾斜平滑面ISP2は、先端エッジ
Ejh12を備え、この先端エッジEjh12から後端
エッジEjh22へ向かい、徐々に回転中心方向へ傾斜
角度θ1で傾斜しており、後端エッジEjh22は回転
ドラムDRの外周面trcよりも奥まった位置dLに配
設される。さらに、先端エッジEjh12が磁気テープ
MTと接触するよう構成されたことを特徴としている。
【0078】つぎに図10に基づき、また図9を参照し
つつ本実施形態の動作を説明する。本実施形態では傾斜
磁気ヘッドIH2の先端エッジEjh12を磁気テープ
MTに接触させることにより、表面に比較的厚いテープ
側エアフィルムAfm12を形成させた磁気テープMT
が先端エッジEjh12に至り接触すると、先端エッジ
Ejh12と磁気テープMT間に形成される流体の流路
が極端に狭隘化される。これにより、空気の流入抵抗が
著しく増大して、テープ側エアフィルムAfm12を構
成する空気が先端エッジEjh12と磁気テープMT間
に流入するのが困難となる(図10のspt参照)。理
論的には接触が完全であると流入を完全遮断することに
なる。したがって実際上も微量の空気流入が許容される
にすぎない。この現象は一般的に「エアフィルムの剥
離」として説明されている。
【0079】上記の結果、先端エッジEjh12以後の
傾斜平滑面ISP2と磁気テープMTの対向領域にはヘ
ッド側エアフィルムAfhと微量のテープ側エアフィル
ムAfm22のみが存在することになり、減圧が効果的
に進行して接触状態が早期に、接触位置ctp12以降
に具現される。しかも以降の空気流入がないから、接触
状態は安定して、かつ広範囲にわたり実現される。接触
範囲は図9に示されるように、接触位置ctp12から
接触位置ctp22にわたる広い領域となる。これによ
り、稼働条件の変動への対応度が広まり、動作安定性を
確保することができる。しかも広い接触領域の任意の位
置にヘッドエレメントHE2を配設できるから、設計自
由度も増大する。
【0080】したがって本実施形態の回転型磁気ヘッド
機構RHA2の設計手順としては、磁気テープMTが窓
部WDの先端エッジを摺過せず、さらに傾斜磁気ヘッド
IH2の先端エッジEjh12に接触して摺過し、傾斜
平滑面ISP2上に吸引されて接触し、ついで傾斜平滑
面ISP2の後部で接触を解いて、窓部WDの後端エッ
ジEjwに衝突・摺過することなく(図9中、nctで
示す)乗り越えが可能なように、窓部WDの幅長、傾斜
磁気ヘッドIH2の内周側への後退距離(奥まりの深
さ)、傾斜平滑面ISP2の全長、傾斜角度θ1、チャ
ネルCh12およびチャネルCh22の幅長を最適設定
するようにし、このようにして傾斜磁気ヘッドIH2の
寸法と位置を決定ののち、磁気テープMTが傾斜平滑面
ISP2と接触する範囲ctp12〜ctp22内の位
置に、ヘッドエレメントHE2を配設するように設計す
る。
【0081】ところで圧力降下により磁気テープMTが
チャネルCh12方向に誘引され、磁気テープMTの移
動軌跡がチャネルCh12内側に変移した状態で、磁気
テープMTが傾斜平滑面ISP2の先端エッジEjh1
2へ相当の角度を有して接触する場合であると、磁気テ
ープMTは剛性を有することにより、エッジEjh12
を通過した部分から後方にある磁気テープMTは、図1
1に示されるように傾斜平滑面ISP2に角度を有して
立ち上がることになり、磁気テープMTの軌跡を膨張さ
せる。
【0082】他方において磁気テープMTには、前記の
張力Tsが付与されるから、これが前記の磁気テープM
Tの撓みを抑え、軌跡の膨張の制約要因として作用す
る。これらのバランスとして磁気テープMTの立ち上が
りによる膨張空間Xpchが形成されるが、形成が急激
に成されることで減圧状態となる。この膨張空間Xpc
hの減圧効果により、磁気テープMTが傾斜平滑面IS
P2に吸い寄せられる力が発生する。この結果、傾斜平
滑面ISP2上の磁気テープMTは、エッジEjh12
を通過して立ち上がった後、減圧で傾斜平滑面ISP2
へ接近すると、傾斜平滑面ISP2による強力なベルヌ
ーイ効果の作用により、磁気テープMTが傾斜平滑面I
SP2に沿い急速に吸引され、このような良好な流体的
干渉により性能的に優れた磁気的干渉を具現できる。
【0083】上記のように、本実施形態によれば傾斜平
滑面ISP2と磁気テープMTの広い接触範囲を具現で
きることにより、ヘッドエレメントHE2の配設位置の
自由度が増大して設計条件上、有利である。しかも広い
接触範囲にわたり安定した接触状態を実現するので、安
定した記録/再生を確実にする。
【0084】さらに、ヘッドエレメントHE2への接触
圧について説明すると、上記のように本実施形態におい
てはベルヌーイ法則により生じる減圧効果による、磁気
テープMTの傾斜磁気ヘッドIH2の傾斜平滑面ISP
2への接触を利用するものであるから、ヘッドエレメン
トHE2への接触圧を十分小さなものにでき、しかも磁
気誘導効果上も問題のない接触圧をしかも安定して得る
ことができる。したがって、例えば従来の構成における
ような、大張力により磁気テープを強制的にヘッドへ押
圧接触させる必要がないから、ヘッド摩耗が極めて小さ
く、よってヘッド摩耗に係る問題を解決でき、ヘッドの
長寿命化を実現するのみならず、磁気テープMTへの負
荷が小さいことで磁気テープMTの摩耗または/および
非可逆変形を回避して、長寿命化をも同時に実現するこ
とができる。
【0085】さらにヘッド摩耗が小さいことにより、傾
斜磁気ヘッドIH2に磁気誘導型ヘッドを適用する場
合、ヘッドエレメントHE2のギャップデプスを浅く、
例えば数ミクロン程度またはそれ以下に構成することが
可能になり、ヘッド性能を改善して高感度での高密度記
録/再生を可能にする。
【0086】さらに上記のようにヘッド摩耗が小さいこ
とにより、磁気テープとヘッドが接触をなす構成であっ
ても、磁気抵抗効果を利用して記録メディア上の磁界変
化を極めて浅いギャップデプスで検出する構成である磁
気抵抗効果型(或いは磁束応答型)のMRヘッドならび
にGMRヘッド等を本実施形態の傾斜磁気ヘッドIH2
として適用することが可能になる。
【0087】つぎに図12は、本発明に係る回転型磁気
ヘッド機構の第3の実施形態の構成の説明図である。ま
た以下の説明で前記実施形態におけると同じ部分には前
記と同一符号を付けて、前記実施形態で述べた図と説明
を援用する。本実施形態の回転型磁気ヘッド機構RHA
3は、円筒状の外周面の回転ドラムDRを備え、この外
周面に窓部WDを開設し、窓部WD内に、窓部WDより
も小寸法の傾斜磁気ヘッドIH3を配設する。傾斜磁気
ヘッドIH3の位置は窓部WD内の進行方向側へ偏って
配設されている。この結果、窓部WDの前端と傾斜磁気
ヘッドIH3の前端間には狭い幅のチャネルCh13が
形成され、傾斜磁気ヘッドIH3の後端と窓部WDの後
端間には幅広のチャネルCh23が形成されている。
【0088】回転ドラムDRの外周面は、磁気テープM
Tを巻設して接線方向に所定線速度Vdで回転し、この
外周面の回転とともに傾斜磁気ヘッドIH3も所定の進
行方向へ進行する。傾斜磁気ヘッドIH3は、回転ドラ
ムDRの回転とともに移動しつつ磁気テープMTと対向
して流体的干渉をなす傾斜平滑面ISP3と、この傾斜
平滑面ISP3上にあって記録再生部として機能し、磁
気テープMTと接触して磁気的干渉をなすことにより記
録または再生の少なくとも何れかを実行するヘッドエレ
メントHE3とを備える。ここで傾斜平滑面ISP3は
先端のエッジEjhから後方へ向かい、徐々に回転中心
方向へ傾斜角度θ3で傾斜しており、また回転ドラムD
Rの外周面よりも奥まった位置に配設され、傾斜平滑面
ISP3の全てが外周面よりも内周側に在るよう構成さ
れている。
【0089】本実施形態の動作を説明する。回転ドラム
DRが回転すると、窓部WDの前方側の幅狭のチャネル
Ch13内の減圧が、後方側の幅広のチャネルCh23
内の減圧よりも大となり、回転ドラムDRの奥まった内
周側に位置する傾斜平滑面ISP3に向かい誘引される
磁気テープMTの誘引軌跡のピークが中央よりも前方側
へ形成される。
【0090】一方、傾斜平滑面ISP3は角度θ3で傾
斜するゆえ、回転ドラムDRの回転により傾斜平滑面I
SP3は面の接線方向から角度θ3だけ振った方向に進
行し、これにより傾斜平滑面ISP3の上に一斉に負圧
が生じる。したがって傾斜磁気ヘッドIH3は、その傾
斜平滑面ISP3の上に負圧を形成しつつ、近接位置に
ある磁気テープMTに対し速度差V’(V’=Vd−V
mt)で移動しており、この面上に一斉に形成された負
圧によって磁気テープMT間に存在する空気が吸引され
ると、磁気テープMT側からみて、傾斜平滑面ISP3
上に空気流が形成される。
【0091】この空気流は、主としてチャネルCh13
による誘引効果で傾斜平滑面ISP3に接近した磁気テ
ープMTと傾斜平滑面ISP3とに挟まれて流れ、ベル
ヌーイの法則に基づく減圧が生じる。この減圧効果によ
り磁気テープMTは傾斜平滑面ISP3へ接近して接触
し、これにより傾斜平滑面ISP3上に配設されたヘッ
ドエレメントHE3へ、接触圧を伴い接触する。このよ
うにして磁気テープMTに接触のための他の強制力を付
勢することなく、傾斜平滑面ISP3が進行することに
より自然発生した空気流の減圧効果によって、磁気テー
プMTを所定の低接触圧でヘッドエレメントHE3へ接
触させることができ、ヘッドエレメントHE3の摩耗お
よび磁気テープMTの摩耗を抑えた記録/再生が可能に
なる。
【0092】さらに上記のように傾斜磁気ヘッドIH3
が前方側へ偏り位置することで、傾斜平滑面ISP3か
ら磁気テープMTが離脱する位置は窓部WD内において
前方側へ偏るようになり、加えて後方側の幅広のチャネ
ルCh23内の減圧が小さいことによって当該チャネル
Ch23を渡る磁気テープMTの誘引が小さくなるか
ら、磁気テープMTが窓部WDの後部エッジEjwへ衝
突または接触することなく(図中の符号nctで示され
る)乗り越えることが可能になる。
【0093】したがって設計手順としては、磁気テープ
MTが窓部WDの先端エッジを摺過せず、さらに傾斜磁
気ヘッドIH3のエッジEjhに衝突することなく(図
中、nctで示す)、傾斜平滑面ISP3上に吸引され
て接触し、ついで傾斜平滑面ISP3の後部で接触を解
いて、窓部WDの後端エッジに衝突・摺過することなく
乗り越えが可能なように、窓部WDの幅長、傾斜磁気ヘ
ッドIH3の内周側への後退(奥まり)距離、傾斜平滑
面ISP3の全長、傾斜角度θ3、チャネルCh13お
よびチャネルCh23の幅長を最適設定するようにし、
このようにして傾斜磁気ヘッドIH3の寸法と位置を決
定ののち、磁気テープMTが傾斜平滑面ISP3と接触
する範囲内の位置に、ヘッドエレメントHE3を配設す
るように設計する。
【0094】このように本実施形態の構成によれば、チ
ャネルCh13とチャネルCh23の進行方向の幅長な
どを調整することにより磁気テープMTの軌跡を制御し
て、傾斜平滑面ISP3およびヘッドエレメントHE3
への磁気テープMTの接触範囲と位置を最適に設定する
ことができ、且つ磁気テープMTの窓部WDの後部エッ
ジへの衝突または接触を回避させることができる。その
他の利点は前記実施形態におけると略同様であり、よっ
て前記実施形態で述べた説明を援用する。
【0095】図13は、本発明に係る回転型磁気ヘッド
機構の第4の実施形態の構成の説明図である。また以下
の説明で前記実施形態におけると同じ部分には前記と同
一符号を付けて、前記実施形態で述べた図と説明を援用
する。本実施形態の回転型磁気ヘッド機構RHA4は、
チャネルを省略して窓部WD内の全域に傾斜平滑面IS
P4を形成させ、且つ傾斜平滑面ISP4が回転ドラム
DRの外周面から連続して回転中心側に傾斜する構成と
する。この結果、窓部WD内に凹部が形成される。さら
に傾斜平滑面ISP4上にヘッドエレメントHE4を傾
斜平滑面ISP4から突出しないよう設ける。
【0096】つぎに動作を説明する。回転ドラムDRが
回転すると、凹部内の圧力が減少して磁気テープMTが
回転ドラムDRの傾斜平滑面ISP4に向かい誘引され
る。上記のように形成された凹部が誘引効果を示すこと
は、実験結果からも確認されている。誘引され、傾斜平
滑面ISP4に接近した磁気テープMTは傾斜平滑面I
SP4表面に形成される負圧によって吸引され、ヘッド
エレメントHE4と接触して磁気的に記録/再生され
る。なお上記の構成で、窓部WDの後端エッジを丸みを
付けた曲面で構成することにより、稼働条件によって過
渡的に磁気テープMTが窓部WDに接触する際の衝撃を
緩和することができる。
【0097】図14は、本発明に係る回転型磁気ヘッド
機構の第5の実施形態の構成の説明図である。また以下
の説明で前記実施形態におけると同じ部分には前記と同
一符号を付けて、前記実施形態で述べた図と説明を援用
する。本実施形態の回転型磁気ヘッド機構RHA5は、
チャネルを省略して窓部WD内の全域に傾斜平滑面IS
P5を形成させ、且つ傾斜平滑面ISP5が回転ドラム
DRの外周面から内周側に奥まった位置を先端とし、後
方へ向かい回転中心側に傾斜する構成とする。この結
果、窓部WD内に奥まった凹部が形成される。さらに傾
斜平滑面ISP5上にヘッドエレメントHE5を傾斜平
滑面ISP5から突出しないよう設ける。
【0098】つぎに動作を説明する。回転ドラムDRが
回転すると、凹部内の圧力が減少して磁気テープMTが
回転ドラムDRの傾斜平滑面ISP5に向かい誘引され
る。上記のように形成された奥まった凹部が誘引効果を
示すことは、実験結果からも確認されている。誘引さ
れ、傾斜平滑面ISP5に接近した磁気テープMTは傾
斜平滑面ISP5表面に形成される負圧によって吸引さ
れ、ヘッドエレメントHE5と接触して磁気的に記録/
再生される。なお上記の構成で、窓部WDの先端エッジ
または/および後端エッジを丸みを付けた曲面で構成す
ることにより、稼働条件によって過渡的に磁気テープM
Tが窓部WDに接触する際の衝撃を緩和することができ
る。
【0099】また、本発明のテープ状磁気記録媒体の記
録再生方法は、前記の各実施形態において説明されたよ
うに、磁気テープを巻設して回転可能な回転ドラムの外
周面を越えない位置に、先端側から後方側へ向かい徐々
に回転中心方向に傾斜した傾斜平滑面を露出させた傾斜
磁気ヘッドを配設し、且つ傾斜平滑面上に、磁気テープ
と接触して磁気による記録または再生の少なくとも何れ
かを実行するヘッドエレメントを配設する。その上で、
回転ドラムに磁気テープを巻設させ、傾斜平滑面の進行
にともない惹起される負圧により磁気テープとヘッドエ
レメントを接触させ、記録/再生を実行する。
【0100】したがって、この記録再生方法によれば、
回転ドラムを回転させると傾斜磁気ヘッドの傾斜平滑面
が回転ドラム外周面よりも内周側に形成させた凹部内の
圧力が減少し、これにより磁気テープが傾斜平滑面に向
かい誘引される。回転ドラムの回転により傾斜磁気ヘッ
ドが外周面の接線方向へ進行すると、当該接線方向に角
度を張った傾斜平滑面が当該方向に進行し、傾斜平滑面
上の全位置において一斉に負圧が生じるが、誘引され傾
斜平滑面に接近した磁気テープはこの負圧により急速に
傾斜平滑面に吸引されて傾斜平滑面へ接触し、ヘッドエ
レメントへ接触圧を伴って接触する。このようにして強
制力を付勢することなく、いずれも回転ドラムの回転に
より自然発生した、凹部の誘引効果および、角度を張っ
た傾斜平滑面の負圧効果との相乗効果によってヘッドエ
レメントへの接触圧を得ることができ、摩耗発生を抑え
た記録/再生ができる。
【0101】また、本発明のテープ状磁気記録媒体の他
の記録再生方法は、磁気テープを巻設可能な回転ドラム
の外周面に陥設された窓部内に、窓部よりも小寸法の傾
斜平滑面を、回転ドラム外周面よりも奥まった内周側の
位置に、進行方向の先端側から後方側へ向かい徐々に回
転中心方向に傾斜させて露出させ、且つ窓部の両端との
間にそれぞれ空隙を形成して配設し、且つ傾斜平滑面上
に、磁気テープと接触して磁気による記録または再生の
少なくとも何れかを実行するヘッドエレメントを配設す
る。その上で、回転ドラムに磁気テープを巻設させ、傾
斜平滑面の進行にともない惹起される負圧により磁気テ
ープとヘッドエレメントを接触させ、記録/再生を実行
する。
【0102】したがって、この記録再生方法によれば、
回転ドラムを回転させると両空隙内の圧力が減少して、
磁気テープが回転ドラムの傾斜平滑面に向かい効果的に
誘引される。回転ドラムの回転により傾斜磁気ヘッドが
外周面の接線方向へ進行すると、当該接線方向に角度を
張った傾斜平滑面が当該方向に進行し、傾斜平滑面上の
全位置において一斉に負圧が生じるが、誘引され傾斜平
滑面に接近した磁気テープはこの負圧により急速に傾斜
平滑面に吸引されて傾斜平滑面へ接触し、ヘッドエレメ
ントへ接触圧を伴って接触する。このようにして強制力
を付勢することなく、いずれも回転ドラムの回転により
自然発生した、空隙の誘引効果および、角度を張った傾
斜平滑面の負圧効果との相乗効果によってヘッドエレメ
ントへの接触圧を得ることができ、摩耗発生を抑えた記
録/再生ができる。
【0103】また、本発明のテープ状磁気記録媒体のさ
らに別の記録再生方法は、上述の方法において、傾斜平
滑面の先端を磁気テープに接触させる。よって誘引され
た磁気テープが傾斜平滑面の負圧にトラップされる前
に、傾斜平滑面の先端がテープ状磁気記録媒体に接触す
ることで空気の流入が抑制され、より良好な接触状態が
得られ、また接触面積を拡大することができる。
【0104】上述したように、本発明により以下の利点
を実現することができる。 1.チャネル構成による効果、または傾斜磁気ヘッドを
奥まって位置させる構成による効果で磁気テープを傾斜
磁気ヘッドへ誘引する第1段階と、ついで回転にともな
い傾斜磁気ヘッド面上に一斉に自然に発生する負圧効果
を利用して、誘引された磁気テープを傾斜磁気ヘッドへ
接触させる第2段階とによって相乗効果を具現するか
ら、ヘッドエレメント接触圧を十分小さく、かつ磁気的
記録または再生上も問題のない接触圧を安定して得るこ
とができる。 2.傾斜磁気ヘッドの摩耗(傾斜平滑面、エッジ部、ヘ
ッドエレメントの摩耗)を極めて小さくでき、傾斜磁気
ヘッドを長寿命にすることができる。 3.磁気テープの長寿命化をも同時に実現することがで
きる。 4.ヘッド摩耗が極めて小さいので、ヘッドエレメント
のギャップデプスを浅く構成できるから、高感度、かつ
高密度の記録/再生が可能になる。 5.傾斜磁気ヘッドの寸法を小形に構成できる。 6.磁気テープと傾斜磁気ヘッドとの接触をなす構成と
して、磁気抵抗効果を利用して記録メディア上の磁界変
化を極めて浅いギャップデプスで検出する構成である磁
気抵抗効果型(或いは磁束応答型)のMRヘッドならび
にGMRヘッドを、接触式で、テープ状磁気記録媒体へ
適用できる。
【0105】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の請求項1
に係る傾斜磁気ヘッドは、テープ状磁気記録媒体と対向
する傾斜平滑面を、後方へ向かい徐々に回転中心へ傾斜
し、且つ回転ドラム外周面を越えない位置に置き、さら
に傾斜平滑面上のテープ状磁気記録媒体が接触する範囲
内の位置に記録再生部を設けて構成するから、傾斜平滑
面により形成される凹部の圧力減少でテープ状磁気記録
媒体を傾斜平滑面に向かい誘引して接近させることがで
き、さらに傾斜平滑面上に一斉に生じる負圧により、接
近したテープ状磁気記録媒体を強制力を付与することな
く傾斜平滑面へ接触させ、且つ記録再生部と接触させる
ことができる。このように回転ドラムの回転にともない
具現される、凹部において自然発生する減圧による誘引
の効果と、傾斜平滑面の進行により自然発生した負圧効
果とによって、テープ状磁気記録媒体をとりこみ且つ接
触させて記録再生部への接触圧を確保できる。よって摩
耗を抑えた高感度・高密度の記録または再生が可能にな
る。
【0106】本発明の請求項2に係る傾斜磁気ヘッド
は、回転ドラムの外周面に陥設された窓部内に、窓部よ
りも小寸法でテープ状磁気記録媒体と対向する傾斜平滑
面を、回転ドラム外周面より内周側の位置に先端があっ
て後方へ向かい徐々に回転中心へ傾斜し、且つ窓部の両
端との間にそれぞれ空隙を形成させて置き、さらに傾斜
平滑面上のテープ状磁気記録媒体が接触する範囲内の位
置に記録再生部を設けて構成するから、形成された両空
隙内の圧力減少でテープ状磁気記録媒体を傾斜平滑面に
向かい誘引して接近させることができ、さらに傾斜平滑
面上に一斉に生じる負圧により、接近したテープ状磁気
記録媒体を強制力を付与することなく傾斜平滑面へ接触
させ、且つ記録再生部と接触させることができる。この
ように回転ドラムの回転にともない具現される、空隙内
において自然発生する減圧による誘引の効果と、傾斜平
滑面の進行により自然発生した負圧効果とによって、テ
ープ状磁気記録媒体をとりこみ且つ接触させて記録再生
部への接触圧を確保できる。よって摩耗を抑えた高感度
・高密度の記録または再生が可能になる。
【0107】本発明の請求項3に係る磁気ヘッドは、請
求項2記載のもので、傾斜平滑面の先端をテープ状磁気
記録媒体に接触可能な位置に配設するから、誘引された
テープ状磁気記録媒体が傾斜平滑面の負圧によってトラ
ップされる前に、傾斜平滑面の先端がテープ状磁気記録
媒体に接触する。これにより空気の流入を抑制でき、よ
り良好な接触状態と接触面積の拡大を具現できる。
【0108】本発明の請求項4に係るテープ状磁気記録
媒体の記録再生方法は、回転ドラムの外周面を越えない
位置に、進行方向先端側から後方側へ向かい徐々に回転
中心方向に傾斜した傾斜平滑面を露出して配設し、傾斜
平滑面上に、テープ状磁気記録媒体と接触して磁気によ
る記録または再生を実行する記録再生部を配設し、つい
で回転ドラムにテープ状磁気記録媒体を巻設させるもの
であるから、巻設したテープ状磁気記録媒体を、傾斜平
滑面により形成される凹部の圧力減少で傾斜平滑面に向
かい誘引して接近させることができ、さらに傾斜平滑面
上に一斉に生じる負圧により、接近したテープ状磁気記
録媒体を強制力を付与することなく傾斜平滑面へ接触さ
せ、且つ記録再生部と接触させることができる。このよ
うに回転ドラムの回転にともない具現される、凹部にお
いて自然発生する減圧による誘引の効果と、傾斜平滑面
の進行により自然発生した負圧効果とによって、テープ
状磁気記録媒体をとりこみ且つ接触させて記録再生部へ
の接触圧を確保できる。よって摩耗を抑えた高感度・高
密度の記録または再生が可能になる。
【0109】本発明の請求項5に係るテープ状磁気記録
媒体の記録再生方法は、回転ドラムの外周面に陥設され
た窓部内に、窓部より小寸法で進行方向先端側から後方
側へ向かい徐々に回転中心方向に傾斜した傾斜平滑面
を、先端が回転ドラムの外周面より内周側であり、且つ
窓部の両端との間にそれぞれ空隙を形成させて置き、さ
らに傾斜平滑面上のテープ状磁気記録媒体が接触する範
囲内に記録再生部を配設し、ついで回転ドラムにテープ
状磁気記録媒体を巻設させるものであるから、巻設した
テープ状磁気記録媒体を、空隙内に発生した圧力減少で
傾斜平滑面に向かい誘引して接近させることができ、さ
らに傾斜平滑面上に一斉に生じる負圧により、接近した
テープ状磁気記録媒体を強制力を付与することなく傾斜
平滑面へ接触させ、且つ記録再生部と接触させることが
できる。このように回転ドラムの回転にともない具現さ
れる、空隙において自然発生する減圧による誘引の効果
と、傾斜平滑面の進行により自然発生した負圧効果とに
よって、テープ状磁気記録媒体をとりこみ且つ接触させ
て記録再生部への接触圧を確保できる。よって摩耗を抑
えた高感度・高密度の記録または再生が可能になる。
【0110】本発明の請求項6に係るテープ状磁気記録
媒体の記録再生方法は、請求項5記載のものであって、
傾斜平滑面の先端をテープ状磁気記録媒体に接触可能な
位置に配設させるから、誘引されたテープ状磁気記録媒
体が傾斜平滑面の負圧によってトラップされる前に、傾
斜平滑面の先端がテープ状磁気記録媒体に接触する。こ
れにより空気の流入を抑制でき、より良好な接触状態と
接触面積の拡大を具現できる。
【0111】本発明の請求項7に係る回転型磁気ヘッド
機構は、具備する傾斜磁気ヘッドのテープ状磁気記録媒
体と対向する傾斜平滑面を、後方へ向かい徐々に回転中
心へ傾斜し、且つ回転ドラム外周面を越えない位置に置
き、さらに傾斜平滑面上のテープ状磁気記録媒体が接触
する範囲内の位置に記録再生部を設けて構成するから、
傾斜平滑面により形成される凹部の圧力減少でテープ状
磁気記録媒体を傾斜平滑面に向かい誘引して接近させる
ことができ、さらに傾斜平滑面上に一斉に生じる負圧に
より、接近したテープ状磁気記録媒体を強制力を付与す
ることなく傾斜平滑面へ接触させ、且つ記録再生部と接
触させることができる。このように回転ドラムの回転に
ともない具現される、凹部において自然発生する減圧に
よる誘引の効果と、傾斜平滑面の進行により自然発生し
た負圧効果とによって、テープ状磁気記録媒体をとりこ
み且つ接触させて記録再生部への接触圧を確保できる。
よって摩耗を抑えた高感度・高密度の記録または再生が
可能になる。
【0112】本発明の請求項8に係る回転型磁気ヘッド
機構は、回転ドラムの外周面に陥設された窓部内に、窓
部よりも小寸法の傾斜磁気ヘッドを、その傾斜平滑面の
先端が回転ドラム外周面より内周側の位置にあって後方
へ向かい徐々に回転中心へ傾斜し、且つ窓部の両端との
間にそれぞれ空隙を形成させて置き、さらに傾斜平滑面
上のテープ状磁気記録媒体が接触する範囲内の位置に記
録再生部を設けて構成するから、形成された空隙内の圧
力減少でテープ状磁気記録媒体を傾斜平滑面に向かい誘
引して接近させることができ、さらに傾斜平滑面上に一
斉に生じる負圧により、接近したテープ状磁気記録媒体
を強制力を付与することなく傾斜平滑面へ接触させ、且
つ記録再生部と接触させることができる。このように回
転ドラムの回転にともない具現される、空隙内において
自然発生する減圧による誘引の効果と、傾斜平滑面の進
行により自然発生した負圧効果とによって、テープ状磁
気記録媒体をとりこみ且つ接触させて記録再生部への接
触圧を確保できる。よって摩耗を抑えた高感度・高密度
の記録または再生が可能になる。
【0113】本発明の請求項9に係る回転型磁気ヘッド
機構は、請求項8記載のもので、傾斜平滑面の先端をテ
ープ状磁気記録媒体に接触可能な位置に配設するから、
誘引されたテープ状磁気記録媒体が傾斜平滑面の負圧に
よってトラップされる前に、傾斜平滑面の先端がテープ
状磁気記録媒体に接触する。これにより空気の流入を抑
制でき、より良好な接触状態と接触面積の拡大を具現で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る回転型傾斜磁気ヘッド機構の第1
の実施形態の要部を示す模式斜視図である。
【図2】図1に示され、また本発明の一実施形態でもあ
る傾斜磁気ヘッドの構成の説明図である。
【図3】図1におけるA矢視図である。
【図4】本実施形態の構成にいたるまでの実験試行の説
明図である。
【図5】図4に続く実験試行の説明図である。
【図6】傾斜平滑面上および磁気テープ面上に形成され
るエアフィルムの説明図である。
【図7】図2に示される傾斜平滑面と磁気テープの流体
的干渉の説明図である。
【図8】本発明の構成における傾斜平滑面の負圧生成の
原理の説明図である。
【図9】本発明に係る回転型磁気ヘッド機構の第2の実
施形態の構成の説明図である。
【図10】図9に示される傾斜平滑面への磁気テープの
接触の説明図である。
【図11】磁気テープの立ち上がりによる膨張空間の形
成の説明図である。
【図12】本発明に係る回転型磁気ヘッド機構の第3の
実施形態の構成の説明図である。
【図13】本発明に係る回転型磁気ヘッド機構の第4の
実施形態の構成の説明図である。
【図14】本発明に係る回転型磁気ヘッド機構の第5の
実施形態の構成の説明図である。
【図15】従来の回転ドラム型ヘッドの構成を説明する
模式図である。
【図16】図15におけるA矢視図である。
【図17】図15におけるB矢視図である。
【符号の説明】
RHA1……回転型傾斜磁気ヘッド機構、DR……回転
ドラム、Vd……ドラム線速度、WD……窓、Ch11
……チャネル、Ch21……チャネル、IH1……傾斜
磁気ヘッド、ISP1……傾斜平滑面、HE1……ヘッ
ドエレメント(記録再生部)、DF……固定ドラム、L
d……リード、MT……磁気テープ(テープ状磁気記録
媒体)、Vmt……磁気テープ線速度
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5D036 AA10 BB02 BB12 CC61 5D093 AA01 AC01 AD05 DA01 DA04 5D111 AA23 DD05 DD14 DD23 EE01 KK07 KK09

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 テープ状磁気記録媒体を外周面に巻設し
    て回転可能な回転ドラムの前記外周面に陥設され、前記
    回転ドラムの回転とともに進行しつつ前記テープ状磁気
    記録媒体へ接触して記録または再生する磁気ヘッドであ
    って、 前記進行時に前記テープ状磁気記録媒体に対向する傾斜
    平滑面と、 前記テープ状磁気記録媒体と接触して磁気による記録ま
    たは再生の少なくとも何れかが可能な記録再生部と、を
    備え、 前記傾斜平滑面は、先端が前記回転ドラム外周面を越え
    ない位置にあり、且つ前記進行方向の前側から後側へ向
    かい徐々に前記回転ドラムの回転中心方向に傾斜する構
    成とされ、 前記記録再生部は、前記傾斜平滑面上の、前記テープ状
    磁気記録媒体が接触する範囲内に配設されたことを特徴
    とする傾斜磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】 テープ状磁気記録媒体を外周面に巻設し
    て回転可能な回転ドラムの、前記外周面に陥設された窓
    部内に露出し、且つ前記窓部よりも小寸法で前記窓部の
    両端との間にそれぞれ空隙を形成して搭載され、前記回
    転ドラムの回転とともに進行しつつ前記テープ状磁気記
    録媒体へ接触して記録または再生する磁気ヘッドであっ
    て、 前記進行時に前記テープ状磁気記録媒体に対向する傾斜
    平滑面と、 前記テープ状磁気記録媒体と接触して磁気による記録ま
    たは再生の少なくとも何れかが可能な記録再生部と、を
    備え、 前記傾斜平滑面は、先端が前記回転ドラム外周面よりも
    内周側に位置し、且つ前記進行方向の前側から後側へ向
    かい徐々に前記回転ドラムの回転中心方向に傾斜する構
    成とされ、 前記記録再生部は、前記傾斜平滑面上の、前記テープ状
    磁気記録媒体が接触する範囲内に配設されたことを特徴
    とする傾斜磁気ヘッド。
  3. 【請求項3】 前記傾斜平滑面の前記先端が、前記テー
    プ状磁気記録媒体に接触可能な位置に配設されたことを
    特徴とする請求項2記載の傾斜磁気ヘッド。
  4. 【請求項4】 テープ状磁気記録媒体を外周面に巻設し
    て回転可能な回転ドラムの、前記外周面を越えない位置
    に、 前記回転による進行方向の先端側から後方側へ向かい、
    徐々に前記回転ドラムの回転中心方向に傾斜した傾斜平
    滑面を露出して配設し、 且つ前記傾斜平滑面上に、テープ状磁気記録媒体と接触
    して磁気による記録または再生の少なくとも何れかを実
    行する記録再生部を配設し、 ついで前記回転ドラムに前記テープ状磁気記録媒体を巻
    設させ、前記傾斜平滑面の進行にともない惹起される負
    圧により前記テープ状磁気記録媒体と前記記録再生部を
    接触させることにより記録または再生の少なくとも何れ
    かを実行することを特徴とするテープ状磁気記録媒体の
    記録再生方法。
  5. 【請求項5】 テープ状磁気記録媒体を外周面に巻設し
    て回転可能な回転ドラムの、前記外周面に陥設された窓
    部内に、 前記窓部よりも小寸法であり、且つ前記回転による進行
    方向の先端側から後方側へ向かい、徐々に前記回転ドラ
    ムの回転中心方向に傾斜した傾斜平滑面を、前記外周面
    よりも奥まった内周側の位置に露出させ、且つ前記窓部
    の両端との間にそれぞれ空隙を形成して配設し、 且つ前記傾斜平滑面上に、前記テープ状磁気記録媒体と
    接触して磁気による記録または再生の少なくとも何れか
    を実行する記録再生部を配設し、 ついで前記回転ドラムに前記テープ状磁気記録媒体を巻
    設させ、前記傾斜平滑面の進行にともない惹起される負
    圧により前記テープ状磁気記録媒体と前記記録再生部を
    接触させることにより記録または再生の少なくとも何れ
    かを実行することを特徴とするテープ状磁気記録媒体の
    記録再生方法。
  6. 【請求項6】 前記傾斜平滑面の先端を前記テープ状磁
    気記録媒体に接触させることを特徴とする請求項5記載
    のテープ状磁気記録媒体の記録再生方法。
  7. 【請求項7】 傾斜磁気ヘッドを具備し、且つ円筒状の
    外周面にテープ状磁気記録媒体を巻設して回転可能に構
    成された回転ドラムを備え、 前記傾斜磁気ヘッドは、前記回転ドラムの回転とともに
    進行しつつ前記テープ状磁気記録媒体と対向する傾斜平
    滑面と、 前記テープ状磁気記録媒体と接触して磁気による記録ま
    たは再生の少なくとも何れかを実行する記録再生部と、
    を備え、 前記傾斜平滑面は、先端が前記外周面を越えない位置に
    あり、且つ前記進行方向の前側から後側へ向かい徐々に
    前記回転ドラムの回転中心方向に傾斜し、 前記記録再生部は、前記傾斜平滑面上の、前記テープ状
    磁気記録媒体が接触する範囲内に配設されたことを特徴
    とする回転型傾斜磁気ヘッド機構。
  8. 【請求項8】 円筒状の回転ドラムを備え、前記回転ド
    ラムは、 テープ状磁気記録媒体を巻設して回転する外周面と、 前記外周面中に開設された窓部と、 前記窓部よりも小寸法で、前記窓部内に、前後両端がそ
    れぞれ前記窓部の前後両端との間に空隙を形成して配設
    され、前記外周面の回転とともに所定の進行方向へ進行
    する傾斜磁気ヘッドと、を具備し、 前記傾斜磁気ヘッドは、 先端が前記回転ドラム外周面よりも内周側に位置し、且
    つ前記進行方向の前側から後側へ向かい徐々に前記回転
    ドラムの回転中心方向に傾斜し、前記進行時に前記テー
    プ状磁気記録媒体に対向する傾斜平滑面と、 前記傾斜平滑面上の、前記テープ状磁気記録媒体が接触
    する範囲内に配設され、前記テープ状磁気記録媒体と接
    触して磁気による記録または再生の少なくとも何れかが
    可能な記録再生部と、を備えたことを特徴とする回転型
    傾斜磁気ヘッド機構。
  9. 【請求項9】 前記傾斜平滑面の先端を前記テープ状磁
    気記録媒体に接触させる構成としたことを特徴とする請
    求項8記載の回転型傾斜磁気ヘッド機構。
JP2000280757A 2000-09-14 2000-09-14 傾斜磁気ヘッドおよびテープ状磁気記録媒体の記録再生方法および回転型傾斜磁気ヘッド機構 Pending JP2002092832A (ja)

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