JP2002089591A - 一方向クラッチ - Google Patents

一方向クラッチ

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JP2002089591A
JP2002089591A JP2000276857A JP2000276857A JP2002089591A JP 2002089591 A JP2002089591 A JP 2002089591A JP 2000276857 A JP2000276857 A JP 2000276857A JP 2000276857 A JP2000276857 A JP 2000276857A JP 2002089591 A JP2002089591 A JP 2002089591A
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ring
wedge
circumferential direction
resilient portion
resin
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JP2000276857A
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English (en)
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Yukio Sato
幸夫 佐藤
Osamu Fujii
修 藤井
Shigeru Ishihara
滋 石原
Toshiyuki Kato
寿之 加藤
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KOOMEE KK
NSK Ltd
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KOOMEE KK
NSK Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】構成部品点数の少ない一方向クラッチを提供す
ることを課題とする。 【解決手段】軸部材1と方向規制リングが同心が配置さ
れ、方向規制リングの内径面側に設けられた複数のポケ
ット4にそれぞれころ5が収容されて、当該軸部材1と
方向規制リングとの間で、複数のころ5を介してトルク
の伝達・切断が行われる。上記ポケット4から上記ころ
5を楔状空間に付勢する弾圧部7が突出し、当該弾圧部
7は方向規制リングと一体に形成され、当該弾圧部及び
方向規制リングは、10GPa以上20GPa以下の弾
性率を有する樹脂からなる。また、上記カム面6の円周
方向に沿った輪郭は、方向規制リングの中心を中心とし
た対数渦巻の一部からなる。さらに、上記弾圧部7は、
上記楔状の空間と円周方向で対向するポケット面から当
該楔状の空間に向けて突出する板状部材からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、複写機、
ファクシミリ、プリンター等の事務機器や、各種の産業
機械の回転軸等に装着して用いられる一方向クラッチに
関する。
【0002】
【従来の技術】ファクシミリなどで使用される一方向ク
ラッチとしては、例えば特開平9−89011号公報に
記載されたものがある。この一方向クラッチでは、軸部
材(内径側部材)の外径側に対し当該軸部材と同心に方
向規制リング(外径側部材)が配置される。方向規制リ
ングの内径面には、円周方向に沿って複数のポケットが
設けられ、その各ポケットにころが収容されることで、
上記方向規制リングの内径面は、複数のころを介して軸
部材の外径面に支持される。
【0003】上記ポケットの底面の一部は、円周方向一
方に向けて狭くなる楔状の空間を形成する、傾斜したカ
ム面となっている。そのポケット内には、金属製板材か
らなるバネ片が装着され、当該バネ片は、ポケット内に
収容されたころを上記円周方向一方に向けて付勢してい
る。そして、例えば、軸部材が上記円周方向一方側に軸
回転する場合には、ころがカム面と軸部材外径面との間
で形成される楔状空間に押しつけられて(ロック動
作)、つまりころがロック状態となることで、軸部材と
方向規制リングとが接続して軸部材のトルクが方向規制
リングに伝達され、逆に、軸部材が反対方向に軸回転す
る場合には、ころがバネ片側に移動してフリー状態とな
ることで上記ロック状態が解除され、軸部材と方向規制
リングとの間のトルク伝達が切断される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記一
方向クラッチでは、クラッチ機構を構成する部品とし
て、軸部材を除けば、方向規制リング、金属製のバネ
片、及びトルク伝達用の複数のころが必要となり、クラ
ッチを構成する部品点数が多く、その分だけコスト高と
なったり、組付け作業に手間が掛かるという問題があ
る。
【0005】本発明は、上記のような問題点に着目して
なされたもので、構成部品点数の少ない一方向クラッチ
を提供することを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に、本発明は、同心に配置される内径側部材及び外径側
部材を備え、その両部材の径方向に対向する面間で転動
体を介してトルクの断続が行われるものであって、上記
両部材の一方が方向規制リングからなり、その方向規制
リングにおける上記両部材の他方と対向する面側には、
円周方向に沿って上記転動体を収容可能な複数のポケッ
トが設けられ、その各ポケットには、円周方向一方に向
けて狭くなる楔状の空間を形成するカム面が設けられて
いると共に、上記ポケットに収容された転動体を上記円
周方向一方に向けて付勢する弾圧部を備える一方向クラ
ッチにおいて、次の(1)〜(3)に記載の全ての構成
を備えることを特徴とするものである。
【0007】(1)上記弾圧部を方向規制リングと一体
にすると共に、当該弾圧部及び方向規制リングは、10
GPa以上20GPa以下の弾性率を有する樹脂からな
る。 (2)上記カム面の円周方向に沿った輪郭は、方向規制
リングの中心を中心とした対数渦巻の一部若しくは、当
該対数渦巻の一部に近似した円弧からなる。 (3)上記弾圧部は、上記楔状の空間と円周方向で対向
するポケット面から当該楔状の空間に向けて突出して板
厚方向に撓むことで転動体を円周方向に付勢する板状部
材からなる。
【0008】ここで、ポケット内に収容されて弾圧部で
付勢される転動体をポケット内に保持するための保持突
起を、方向規制リングと一体に形成することが好まし
い。また、方向規制リングを外径側部材とし、内径側部
材を軸部材とした場合には、ポケットは方向規制リング
の内径面側に形成される。本発明によれば、クラッチ機
構部分を構成する部品が、方向規制リングと当該方向規
制リングと半径方向で対向する部材(内径側部材又は外
径側部材)及びトルク伝達用の転動体で構成されること
で部品点数が少なく、低コストが実現できる。
【0009】また、方向規制リングを樹脂製とすること
で、軽量化が図られたり、加工容易性が向上する。但
し、一方向クラッチでは、ころによるロック動作及び
フリー動作が繰り返し発生し、ロック動作の度にころか
らカム面に大きな圧縮応力が作用する。このため、方向
規制リングを樹脂製とした場合には、圧縮応力によって
カム面が変形(楔状空間の楔角が変化)し、経時的にロ
ック精度が劣化する恐れがある。
【0010】また、転動体を押圧する弾圧部を方向規
制リングと一体に成形すると、樹脂の種類によっては、
剛性が低いことから一定変位での弾圧部の付勢力が、目
的とする付勢力と許容以上に異なる恐れがあり、付勢力
が小さい場合にはロックの遅れの原因となり、反対に付
勢力が大きい場合にはロック解除がスムースに行われな
い恐れがある。
【0011】さらに、転動体を押圧する弾圧部を方向
規制リングと一体に成形すると、樹脂の種類や弾圧部の
形状によっては、弾圧部の形状が目的とする形状に完全
に成形されず、つまり長さ、厚さが寸法通りに出来ず
に、狙いの付勢力が得られないといった恐れがある。本
発明では、弾圧部及び方向規制リングを樹脂製として軽
量化等を図ると共に、上記〜を考慮して、方向規制
リングのカム面の圧縮応力による変形を小さくするた
め、弾性率が10GPa以上、20GPa以下となって
いる樹脂から方向規制リングを成形している。このよう
に、弾圧部と一体に成形される方向規制リングが、弾性
率が10GPa以上、20GPa以下の樹脂から構成さ
れることで、部品点数が少ないにも関わらず、経済的な
ロック精度の劣化が抑えられる一方向クラッチを提供で
きる。
【0012】上記(1)〜(3)の限定理由は以下の理
由による。転動体からのロック時の圧縮応力による方向
規制リングの変形を出来るだけ抑えて、大きな伝達トル
クを得るためには高弾性の樹脂材料が好ましい。また、
繰り返し応力によるカム面の永久変形(クリープ)を抑
制するためにも、より高剛性が好ましい。そして、弾性
率が10GPa未満だと、圧縮応力によりカム面が必要
以上に変形して楔状空間の楔角が変わることで伝達トル
クが不足してしまう。このような理由から、弾性率を1
0GPa以上としている。
【0013】また、上記カム面の円周方向に沿った輪郭
は、方向規制リングの中心を中心とした対数渦巻(図1
1参照)の一部若しくは、当該対数渦巻の一部に近似し
た円弧とすることで、転動体からのロック時の圧縮応力
により、カム面が多少変形しても楔状空間の楔角が変わ
らない。この結果、転動体からのロック時の圧縮応力に
よる楔状空間の楔角が変わることがさらに抑えられて、
ロック時に伝達トルクが確実に伝達可能となる。
【0014】ここで、対数渦巻(Logarithmi
c Spiral)の幾何曲線は、原点を通る直線と、
当該直線と曲線との交点における接線とのなす角が一定
となる曲線である。すなわち、図12に示すように、こ
の曲線の一部でカム面の傾斜を規定することで、内径側
部材及び外径側部材の半径や転動体径に関係なく、一定
の楔角2αが得られる。つまり、転動体の径が異なって
も、転動体は、同じ接触角でカム面に当接することとな
る。
【0015】また、この対数渦巻の曲線上の各点は、図
12のように、中心からの距離が全て異なるため、この
曲線の一部でカム面を成形することが困難な場合があ
る。この場合には、上記対数渦巻の曲線の一部に近似す
る円弧を用いれば良い。円弧は、適当に定義された中心
に対し半径が一定であるので、これに対応する成形用の
型の製造を大幅に簡略化できる。なお、上記対数渦巻の
曲線の輪郭とするのは、転動体と当接する部分は少しの
部分であるので、上記円弧で近似しても作用は同じと考
えられる。
【0016】また、上記のように樹脂の弾性率が10G
Pa未満だと、カム面6の変形により伝達トルクが不足
してしまうが、弾圧部を構成する樹脂の弾性率が10G
Paを越えると、弾圧部の形状によっては弾圧部の付勢
力が大きくなりすぎて、ロック解除時の遅れが発生する
恐れがある。これに対して本発明では、弾圧部形状を、
楔状の空間と円周方向で対向するポケット面から楔状の
空間に向けて円周方向に突出した片持ち梁状態の板状の
部材とすることで、その突出長さと厚さを調整すること
で付勢力を調整可能となる。
【0017】ここで、弾圧部の弾性率は、付勢力を大き
くする点からは10GPa以上の数値で高いものほど好
ましい。しかし、弾性率を高くするほどその分、弾圧部
の厚さを薄くしなければ押圧力が大きくなりすぎて解除
時の遅れが発生するばかりでなく、成形上の制約が生じ
るため、弾圧部及び方向規制リングを構成する樹脂の弾
性率を20GPa以下とした。
【0018】上記成形上の制約とは、次の内容である。
弾圧部は板状形状なので弾性率が同じでも厚さによって
撓み易さが変わる。しかし、弾性率が高い場合に、板状
形状に厚さを薄くしなければならないが、方向規制リン
グと弾圧部とを一体に成形すると、樹脂の流動性が悪く
なって、弾圧部の形状が目的とする形状に成形できなく
なるおそれがある。したがって、弾圧部の形状を確実に
目的とする形状に成形して、各弾圧部の付勢力のバラツ
キを抑える点から、弾性率は20GPa以下が好まし
い。
【0019】ここで、方向規制リングについて、カム面
を有するリングと弾圧部を有するリングとを別々に成形
してから一体に組み付けて、弾圧部と一体となった方向
規制リングを構成すると良い。このようにすると、カム
面を有するリングは弾性率の高い樹脂材料が使用でき、
カム面のころロック時の圧縮応力による変形を小さく抑
えることができる。この結果、弾圧部を有するリング
は、付勢力に応じた弾性率の樹脂材料が使用でき、弾圧
部形状に応じた最適な付勢力が得られ、弾圧部の成形も
容易になる。
【0020】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態について
図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、複写機にお
ける紙送り駆動用のギヤ部分に一方向クラッチを設けた
場合の例で説明する。図1及び図2がその構造を示す図
である。まず構成について説明すると、図1及び図2に
示すように、軸部材1(内径側部材)の外周に外輪部材
2(外径側部材)が同心に配置され、さらに、外輪部材
2の外径面に対し圧入によってギヤ3が同心に取り付け
られている。
【0021】上記外輪部材2は、樹脂製の方向規制リン
グであって、上記軸部材1の外径面と対向する内径面に
は、円周方向に沿って所定間隔毎に複数のポケット4が
形成されている。図1では、ポケット数が7個の場合を
例示している。そして、各ポケット4にころ5(転動
体)が収容され、収容された各ころ5が軸部材1に摺接
することで、外輪部材2は、その複数のころ5を介して
軸部材1に同心に支持される。
【0022】上記ポケット4の底面における円周方向一
方(本実施形態では反時計回りの方向)側は、図3に示
すように、円周方向一方に向かうにつれて軸部材1との
間隙が連続して小さくなるような曲面にてカム面を構成
する。すなわち、ポケット4と軸部材1外径面との間に
形成する空間は、円周方向一方側が、円周方向一方に向
けて間隙が狭くなる楔状の空間となっていて、カム面6
と軸部材1との間の半径方向寸法が円周方向一方向に向
かうにつれて、ころ径よりも大きい部分から、ころ径よ
り小さい寸法に連続的に変化するように設定されてい
る。
【0023】本実施形態にあっては、上記カム面を規制
する曲線は、上記外輪部材2の中心を中心とする対数渦
巻の幾何曲面(図11参照)の一部もしくは、その対数
渦巻の幾何曲面の一部に近似する円弧から構成する。な
お、対数渦巻の幾何曲面の一部に近似する円弧で構成し
た方が、外輪部材2を成形する型の作成が容易となる。
このように、カム面6の輪郭を規制することで、ころ5
の径に関係なく、つまりころ5に多少の寸法誤差があっ
ても楔角θを一定とすることができる。
【0024】また、ポケット4の底面における円周方向
他方向側(本実施形態では時計回りの方向側)から楔状
空間に向けて、図3及び図4に示すように、板状の弾圧
部7が突出し、当該弾圧部7の撓みによってポケット4
内に収容したころ5がカム面6側(円周方向一方向)に
向けて付勢されている。上記板状の弾圧部7の根元7a
は、図4に示すように、ポケット4の底面の円周方向他
方向側における軸方向一端部側に設けられ、周方向に向
かうにつれて軸方向に延びるように、斜めに楔状空間に
向けて突出して片持ち梁状態となっている。そして、上
記板状の弾圧部7の先端部7bは、軸方向略中央部に配
置されている。その軸方向略中央部に配置された先端部
7bが円周方向からころ5に当接し、円周方向(板厚方
向)に撓むことでころ5に対し所要の付勢力を付与可能
となっている。
【0025】ここで、上記弾圧部7は、根元7aから先
端部7bに向けて板厚が薄くなるようにテーパ状である
ことが好ましい。このようにテーパ状にしておくこと
で、金型からの抜け勾配がつき、成形の際における樹脂
充填後の型抜き時において金型から弾圧部が離脱しやす
くなる。つまり、設計通りの形状に弾圧部7を成形しや
すくなる。上記テーパ角としては、経験上、1度位が望
ましい。例えば根元で0.3mm程度で先端部で0.2mm
程度となるように設計する。
【0026】また、上記弾圧部7は、軸方向一端部側か
ら1個の板状部材を軸方向に傾けて突出させる場合を例
示しているが、これに限定されない。例えば図5に示す
ように、軸方向中央部から左右対称に2本の板状部材を
楔状空間に向けて斜めに突出させて弾圧部7を構成させ
ても良い。また、上記図4及び図5では、板状の弾圧部
7の厚さ方向を外輪部材2の略軸方向に向けた例である
が、図6のように板圧方向を略径方向にして楔状空間に
向けて突出させても良い。
【0027】また、符号8は、ポケット4に収容されて
弾圧部7に付勢された状態のころが、ポケット4から脱
落することを防止するための保持突起である。この保持
突起8によって、外輪部材2を軸部材1に組み付ける前
であっても、ポケット4内にころ5を保持した状態とす
ることができる。なお、ころ5は、弾圧部7と保持突起
8によって脱落が防止されるので、ポケット4の内径側
の開口幅は、ころ5の直径よりも大きくても構わない。
【0028】また、外輪部材2の軸方向一端部には、図
1に示すように、ころ5の軸方向への抜けを防止するた
めの鍔部9がある。この鍔部9は、外輪部材2と一体成
形されていても良いし、外輪部材2とは別体となってい
ても良い。この鍔部9が外輪部材2と別体となっている
場合には、外輪部材2とは別の樹脂によって形成しても
良いし、金属製であっても良い。なお、軸方向他端部
は、ギヤ3のフランジ部3aによって、ころ5の抜けが
防止される。
【0029】そして、本実施形態にあっては、弾圧部7
及び保持突起8が、方向規制リングである外輪部材2と
一体成形されている。次に、本実施形態の一方向クラッ
チの動作や作用等について説明する。上記構成の一方向
クラッチにあっては、外輪部材2及びギヤ3に対して相
対的に軸部材1が反時計回りに軸回転すると、各ころ5
は、楔形状の空間を形成するカム面6と軸部材1との間
に挟まれてロック状態になり、当該ころ5を介して、軸
部材1のトルクが外輪部材2及びギヤ3に伝達される。
反対に、外輪部材2及びギヤ3に対して相対的に軸部材
1が時計回りに軸回転すると、各ころ5は、弾圧部7の
付勢に抗してカム面6から離れる方向に移動して、軸部
材1とポケット4の底面との間の半径方向の寸法がころ
径よりも広い空間に位置することでころ5はフリー状態
となって空転し、軸部材1のトルクは外輪部材2及びギ
ヤ3に伝達されない。このようにして、一方向クラッチ
としての動作が確保される。
【0030】そして、本実施形態では、クラッチ機構部
分が、軸部材1を除けば、外輪部材2と複数のころ5だ
けから構成されることで、部品点数が少なく、コストが
抑えられると共に、組付けも容易となる。また、軽量化
や成形を容易にするために、方向規制リングを構成し且
つ弾圧部7と一体となっている外輪部材2を樹脂から構
成している。
【0031】このとき、ころ5のロック時に、外輪部材
2、特にカム面6にはころ5からのトルク伝達のため大
きな荷重を受ける。一般に、樹脂材料は金属に比べ弾性
率が小さく、金属より大きな変形を生じる。したがっ
て、上記樹脂としては、大きな伝達トルクを確保するた
めに、高弾性の材料が好ましい。また、ロック動作によ
って生じる繰り返しの応力による永久変形(クリープ)
を抑制するためにも、より高剛性が好ましい。
【0032】上記観点から方向規制リング及び弾圧部7
を構成する樹脂として、弾性率が10GPa以上20G
Pa以下のものを使用する。弾性率が10GPa未満だ
と、特にカム面6の変形により伝達トルクが不足してし
まう。反対に、弾性率が20GPaを超えると、弾圧部
7の板状形状の厚さを薄くしないと押圧力が大きく解除
時の遅れが発生すると共に、ポケット4へのころ5の組
み付けが困難となる場合もある。
【0033】また、弾圧部7を板状形状にしているの
で、弾性率が同じでも厚さによって撓み易さが変更され
て、弾圧部7による付勢力が調整可能となる。但し、外
輪部材2と弾圧部7とを樹脂によって一体成形すると、
弾性率が高い場合に、板状形状の弾圧部7の厚さを薄く
しなければならないため、樹脂の流動性が悪くなって、
弾圧部7の形状が完全に目的とする形状に成形できなく
なるおそれが大きい。したがって、弾圧部7の形状を完
全に目的とする形状に成形させ、各弾圧部7の付勢力の
バラツキを抑える点からも弾性率は20GPa以下とす
る。
【0034】また、外輪部材2のカム面6は対数渦巻の
一部若しくはそれに近似した円弧形状であるので、転動
体からのロック時に圧縮応力を受けてカム面6が変形し
ても、楔状空間の楔角θの変化が抑えられ、安定したロ
ックが発揮される。ここで、外輪部材2を、図7に示す
ように、カム面6を有する第1のリング20と、弾圧部
7を有する第2のリング21とで構成しても良い。この
ように別々に成形すると、カム面6を有する第1のリン
グ20は弾性率の高い樹脂材料が使用でき、カム面6の
ころロック時の圧縮応力による変形を小さく抑えること
ができる。そして、弾圧部7を有する第2のリング21
は弾圧部7の付勢力に応じた弾性率の樹脂材料が使用で
き、弾圧部形状に応じた最適な付勢力が得られ、弾圧部
7の成形も容易になる。
【0035】図6が上記カム面6を有する第1のリング
20を示し、図7が上記弾圧部7を有する第2のリング
21を示している。第1のリング20の軸方向一方の端
面には、周方向に沿って位置決め用のだぼ穴22が開口
し、第2のリング21の軸方向一方の端面には、上記位
置決め用のだぼ穴22に嵌め込むだぼ23が設けられ
て、上記図7のように、だぼ穴22にだぼ23を嵌め込
むようにして、第1のリング20に対し軸方向から第2
のリング21を取り付けて、上記外輪部材2としてい
る。本実施形態では、弾圧部7は、根元7aが外輪部材
における軸方向一端部側に位置して、楔状空間に向けて
斜めに突出して、ころ5を付勢する先端部7bが軸方向
中央部に配置されているので、上記のように外輪部材2
を2つのリング20,21にすることが容易である。本
実施形態では、鍔部を第2のリング21にした例であ
る。
【0036】また、ころ5を内径方向から押圧してポケ
ット4内に保持する保持突起8についても、ころ5が脱
落しないように、ころ5を適切な力で押さえておくだけ
の弾性率が必要がある。この観点からも高剛性の弾性率
を有する樹脂から保持突起8を備えた外輪部材2を構成
することが好ましい。外輪部材2を構成する高弾性率の
樹脂材料としては、例えば66ナイロン、6ナイロン、
11ナイロン、12ナイロンなどのポリアミド樹脂、ポ
リアセタール樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、
オレフィン系樹脂、ポリフェニレンサルファイト樹脂を
単独で用いるか、又は、補強材を充填して使用すること
で実現できる。補強材を充填することにより、樹脂材料
の弾性率は大きくなり、耐圧性能も向上することから、
補強材の種類と充填量を選定することにより、任意の弾
性率に調整できる。補強材としては、ガラス繊維、カー
ボン繊維、チタン酸カリウムウィスカーなどのウィスカ
ーを例示できる。
【0037】また、一方向クラッチに所要のロック性能
を確保するために、ころ5がロック状態となったときに
おける、ころ5の軸部材1との接点の接線と、ころ5の
カム面6との接点の接線とのなす楔角θ(図1参照)
は、ロックによる任意トルクの増大ロックの遅れを少な
くすると共にロック状態のバラツキを小さくするという
観点から、8°以上が好ましく、更に好ましくは10°
以下がより好ましい。
【0038】本実施形態では、カム面6の輪郭を対数渦
巻若しくはそれに近似した形状としているので、上記好
ましい楔角θに容易に設定される。また、上記実施形態
では、転動体としてころ5を例示しているが玉であって
も良い。但し、外輪部材2を樹脂で構成した場合には、
応力緩和の観点から接触面積の大きいころ5を用いる方
が有利である。なお、転動体の材質は、特に限定しない
が、軸受鋼などの金属が例示できる。軸部材1は、一般
にステンレス等が使用される。
【0039】また、上記実施形態では、外径側部材であ
る外輪部材2を方向規制リングとしているが、例えば、
外輪部材2を軸部材1に圧入で固定し、当該外輪部材2
外径面とギア3内径面との間にクラッチ機構を形成して
も良い。この場合には、外輪部材2の外径面側にポケッ
ト4などが配置される。
【0040】
【実施例】上記図1及び図2に示す構成の一方向クラッ
チについて、弾圧部7を備えた外輪部材2を樹脂製とし
た。外輪部材2の材料として、66ナイロンの30%ガ
ラス繊維強化材料(BASFジャパン(株)ウルトラミ
ッドA3WG6)、ポリフェニレンサルファイト樹脂
(L−PPS)の30%カーボン繊維、強化材料及び4
0%カーボン繊維強化材料、ポリフェニレンサルファイ
ト樹脂(L−PPS)の30%カーボン樹脂強化材料を
それぞれ用いて、4種類の外輪部材2をそれぞれ成形し
た。
【0041】その後、各外輪部材2について、ポケット
4にころ5を装着し、図10に示す耐久試験機で耐久性
評価の試験を行った。この試験機は、ころ5を収容した
評価する外輪部材2を軸部材1の一端部に装着し、外輪
部材2外周に取り付けたアーム12をモータ駆動で揺動
させることで、ころ5によるロック状態とフリー状態を
繰り返すものである。軸部材1の他端部には、トルク負
荷用の荷重レバー13が取り付けられている。
【0042】そして、トルク負荷用の荷重レバーによっ
て軸部材1に負荷するトルク負荷を5.4N・cmに設
定して、ロック状態とフリー状態の繰り返しを1分間に
120回のサイクルで揺動させ、上記4種類の各外輪部
材2について耐久性能試験を行った。その結果を表1に
示す。ここで、一方向クラッチの耐久寿命の評価とし
て、入力と出力の応答の時間差が2倍になるまでロック
精度が劣化した時点の繰り返し回数を採用した。
【0043】
【表1】
【0044】この表1から分かるように、弾圧部7が一
体成形された外輪部材2(方向規制リング)の樹脂の弾
性率が10GPa以上であれば、弾圧部7が一体に形成
されている外輪部材2を樹脂製としても耐久性の向上が
認められ、必要とする寿命が確保できる。さらに、上記
外輪部材2を構成する樹脂の弾性率を変えて、上記評価
試験を繰り返したところ、弾性率が10GPa以上で耐
久寿命が向上することを確認した。つまり、弾圧部7が
一体成形された外輪部材2(方向規制リング)の樹脂の
弾性率が10GPa以上であれば、弾圧部7が一体に形
成されている外輪部材2を樹脂製としても耐久性の向上
が認められ、必要とする寿命が確保できる。
【0045】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明を採用
すると、転動体をカム面に付勢する弾圧部が方向規制リ
ングと一体で形成されていることから、クラッチ機構を
構成する部分が内径側部材、外径側部材、及び転動体だ
けとなり、低コストの一方向クラッチを提供できるとい
う効果がある。また、部品点数が減少することは、組付
けも簡易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく実施形態に係る一方向クラッチ
を示す側面図である。
【図2】図1におけるA−A断面図である。
【図3】外輪部材を示す側面図である。
【図4】弾圧部を示す図3におけるB−B断面図であ
る。
【図5】別の例の弾圧部を示す図である。
【図6】別の例の弾圧部を示す図である。
【図7】外輪部材のカム面を有するリングと弾圧部を有
するリングの別体にした一方向ローラクラッチ
【図8】カム面を有する第1のリングを示す図であっ
て、(a)はその側面図、(b)はそのC−C断面図で
ある。
【図9】弾圧部を有する第2のリングを示す図であっ
て、(a)はその側面図、(b)はそのD−D断面図で
ある。
【図10】実施例で用いる耐久試験機の概略構成図であ
り、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図11】対数渦巻を示す図である。
【図12】カム面の輪郭を対数渦巻とした場合の作用を
説明するための図である。
【符号の説明】
1 軸部材 2 外輪部材(方向規制リング) 3 ギア 4 ポケット 5 ころ 6 カム面 7 弾圧部 7a 根元 7b 先端部 8 保持突起 9 鍔部 20 第1のリング 21 第2のリング 22 だぼ穴 23 だぼ θ 楔角
フロントページの続き (72)発明者 藤井 修 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内 (72)発明者 石原 滋 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内 (72)発明者 加藤 寿之 神奈川県高座郡寒川町一之宮4丁目17番地 3号 株式会社コーメー内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 同心に配置される内径側部材及び外径側
    部材を備え、その両部材の径方向に対向する面間で転動
    体を介してトルクの断続が行われるものであって、上記
    両部材の一方が方向規制リングからなり、その方向規制
    リングにおける上記両部材の他方と対向する面側には、
    円周方向に沿って上記転動体を収容可能な複数のポケッ
    トが設けられ、その各ポケットには、円周方向一方に向
    けて狭くなる楔状の空間を形成するカム面が設けられて
    いると共に、上記ポケットに収容された転動体を上記円
    周方向一方に向けて付勢する弾圧部を備える一方向クラ
    ッチにおいて、 次の(1)〜(3)に記載の全ての構成を備えることを
    特徴とする一方向クラッチ。 (1)上記弾圧部を方向規制リングと一体にすると共
    に、当該弾圧部及び方向規制リングは、10GPa以上
    20GPa以下の弾性率を有する樹脂からなる。 (2)上記カム面の円周方向に沿った輪郭は、方向規制
    リングの中心を中心とした対数渦巻の一部若しくは、当
    該対数渦巻の一部に近似した円弧からなる。 (3)上記弾圧部は、上記楔状の空間と円周方向で対向
    するポケット面から当該楔状の空間に向けて突出して板
    厚方向に撓むことで転動体を円周方向に付勢する板状部
    材からなる。
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